JP2022143444A - 樹脂組成物、成形体、及び金属張積層板 - Google Patents

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Masakata Shiba
真司 山田
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Abstract

【課題】本発明の課題は、半田耐熱性や金属への接着性が良好であり、かつ柔軟性に優れる環状オレフィン重合体の架橋物を提供することである。【解決手段】本発明は、環状オレフィン重合体と、ラジカル架橋剤と、架橋助剤と、を含み、前記環状オレフィン重合体が、炭素原子間の不飽和結合を主鎖に含まず、前記環状オレフィン重合体が、エチレンユニットを含み、前記環状オレフィン重合体のガラス転移温度が、150℃未満であり、前記架橋助剤が、炭素原子間に不飽和結合を含む物質である、樹脂組成物を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、成形体、及び金属張積層板に関する。
環状オレフィン重合体は、高い透明性を有し、各種分野で広く利用されている。環状オレフィン重合体の用途として、例えば、金属張積層板(プリント基板等)における樹脂層としての利用が知られる。
近年、携帯電話、無線LAN、GPS、VICS(登録商標)、ITS技術(ETC等)等の情報通信分野においては、著しい技術発達がなされている。これにともない、マイクロ波、ミリ波等の高周波領域において適用できる高性能な高周波対応電子部品へのニーズが強くなっている。
このような電子部品を構成する材料は、優れた誘電特性を有することが求められている。伝送損失の低下を防ぐ観点からは、誘電率及び/又は誘電正接が低い材料であることが求められており、誘電特性に優れる環状オレフィン重合体の利用が増えている。
また、このような利用においては、半田耐熱性や金属への接着性等を高める観点から、環状オレフィン重合体は架橋して用いられ得る(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2003-238761号公報
ここで、環状オレフィン重合体の架橋の際には、架橋性官能基(ビニル基、エチリデン基等)が側鎖に導入された環状オレフィン重合体が用いられることがある。
しかし、架橋性官能基の導入の有無にかかわらず、半田耐熱性や金属への接着性が良好な環状オレフィン重合体の架橋物に対するニーズがある。さらには、このような架橋物に対しては柔軟性を備えることも要求され得る。
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、半田耐熱性や金属への接着性が良好であり、かつ柔軟性に優れる環状オレフィン重合体の架橋物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、環状オレフィン重合体として、炭素原子間の不飽和結合を主鎖に含まず、エチレンユニットを含み、かつ、ガラス転移温度が150℃未満であるものを用いることで上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 環状オレフィン重合体と、
ラジカル架橋剤と、
架橋助剤と、
を含み、
前記環状オレフィン重合体が、炭素原子間の不飽和結合を主鎖に含まず、
前記環状オレフィン重合体が、エチレンユニットを含み、
前記環状オレフィン重合体のガラス転移温度が、150℃未満であり、
前記架橋助剤が、炭素原子間に不飽和結合を含む物質である、
樹脂組成物。
(2) 前記環状オレフィン重合体中のエチレンユニットの比率が、45mol%以上である、(1)に記載の樹脂組成物。
(3) 前記環状オレフィン重合体のガラス転移温度が、100℃未満である、(1)又は2のいずれかに記載の樹脂組成物。
(4) 前記環状オレフィン重合体中のエチレンユニットの比率が、60mol%以上である、(1)から(3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(5) 前記環状オレフィン重合体が、炭素原子間の不飽和結合を側鎖に含まない、(1)から(4)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(6) (1)から(5)のいずれかに記載の樹脂組成物から得られた成形体。
(7) 前記成形体が、ボンディングシート、カバーレイフィルムの接着層、又はフレキシブルプリント配線基板用フィルムである、(6)に記載の成形体。
(8) (6)に記載の成形体を備える、金属張積層板。
本発明によれば、半田耐熱性や金属への接着性が良好であり、かつ柔軟性に優れる環状オレフィン重合体の架橋物が提供される。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、環状オレフィン重合体と、ラジカル架橋剤と、架橋助剤(炭素原子間に不飽和結合を含む物質)と、を含む。
また、該環状オレフィン重合体は、以下の要件を全て満たす。
(要件1)炭素原子間の不飽和結合を主鎖に含まない。
(要件2)エチレンユニットを含む。
(要件3)ガラス転移温度が150℃未満である。
本発明者らの検討の結果、上記要件を全て満たす環状オレフィン重合体は、意外にも、架橋性官能基の導入の有無にかかわらず、上述のラジカル架橋剤、及び架橋助剤との組み合わせにおいて、半田耐熱性や金属への接着性が良好であり、かつ柔軟性に優れる架橋物を形成することが見出された。
本発明の作用が奏される理由は定かではないが、以下のように推察される。
ラジカル架橋剤の作用により、環状オレフィン重合体に含まれるエチレンユニットから水素が引き抜かれ、ラジカルが生成する。このようなラジカルにより、環状オレフィン重合体が架橋される。架橋の際に、環状オレフィン重合体のガラス転移温度が150℃未満であり、かつ、架橋助剤が存在することで、架橋反応が効率的に進行する結果、半田耐熱性に優れる架橋物が得られる。
また、環状オレフィン重合体が、主鎖に不飽和結合を含まず、かつ、エチレンユニットを含むことから、本発明の樹脂組成物から得られる架橋物には柔軟性も付与される。
さらに、本発明の樹脂組成物から得られる架橋物は、上記のような柔軟性を有するため、外力(例えば、剥離力等)が加えられた際に内部で適度に応力緩和するので、金属に対して強固に接着することができる。
したがって、本発明の樹脂組成物から得られる架橋物は、上記のように良好な柔軟性や金属への接着性を有することから、例えば、柔軟性と、金属箔や高分子フィルム(ポリイミドフィルム等)への接着強度との両立が要求される用途(例えば、ボンディングシート、カバーレイフィルム用接着層、又はフレキシブルプリント配線基板用フィルム等)に好適に使用できる。
以上のことから、本発明によれば、環状オレフィン重合体への架橋性官能基の導入の有無にかかわらず、半田耐熱性や金属への接着性が良好であり、かつ柔軟性に優れる架橋物が得られる。したがって、本発明の好ましい態様は、環状オレフィン重合体として、架橋性官能基が導入されていない(特に、架橋性官能基が主鎖に導入されていない)環状オレフィン重合体のみを使用する態様を包含する。
なお、本発明において、環状オレフィン重合体の側鎖に架橋性官能基が導入された態様は排除されない。
本発明において、「半田耐熱性」とは、本発明の樹脂組成物から得られた成形体が、半田リフロー等の高温下にさらされても変形や金属箔の剥離が生じにくいことを意味する。
例えば、本発明の樹脂組成物から得られた成形体が、金属箔を積層させたプリント基板である場合、高温実装プロセス(半田リフロー等)を経ても、変形や金属箔(銅箔等)の剥離を起こさずに、回路として機能することを意味する。なお、半田リフローの温度は、最高温度が260℃程度であり得る(一般社団法人電子情報技術産業協会の推奨によるリフロープロファイルを参照。)。
半田耐熱性は、実施例に示した方法等で評価される。
本発明において「金属に対する接着性が良好である」とは、任意の手段で金属(金属箔等)と接着された、本発明の樹脂組成物から得られた成形体が、該金属の表面から剥がれにくいこと、又は、剥がれないことを意味する。
金属の種類、及び、本発明の樹脂組成物から得られた成形体と、金属との接着方法としては、特に限定されないが、下記(金属張積層板)の項で挙げたものを好適に採用できる。
金属に対する接着性は、実施例に示した銅箔接着強度の測定結果等に基づき評価される。
本発明において「架橋物が柔軟性に優れる」とは、架橋物が屈曲するように力をかけた場合に、架橋物に折り目がつかないか、又は、折り目がついても割れないことを意味する。
架橋物の柔軟性は、実施例に示した架橋物柔軟性の評価方法等に基づき評価される。
以下、本発明の樹脂組成物の詳細について説明する。
(環状オレフィン重合体)
本発明における環状オレフィン重合体(以下、「本発明における重合体」ともいう。)の形態は、特に限定されないが、以下が挙げられる。
(1)環構造を有する単量体と、オレフィンとの付加型重合体
(2)環構造を有する単量体と、単環構造を有する単量体との開環型重合体
本発明の樹脂組成物に配合される環状オレフィン重合体の種類は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
本発明における環状オレフィン重合体が、付加型重合体、及び開環型重合体のいずれの態様であっても、環状オレフィン重合体を構成する単量体は、得られる環状オレフィン重合体にエチレンユニットが含まれるように選択される。
以下、本発明における環状オレフィン重合体を構成する単量体の例を説明する。
[環構造を有する単量体]
本発明における重合体を構成する環構造を有する単量体としては、ノルボルネン、及び下記一般式(I)で示される複環環状単量体が挙げられる。
Figure 2022143444000001
式(I)中、R~R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものである。炭化水素基は飽和炭化水素基でも、不飽和炭化水素基でもよい。
不飽和炭化水素基としては、ビニル基が挙げられる。ビニル基を含む環構造を有する単量体として、5-ビニル-2-ノルボルネン等が挙げられる。
とR10、R11とR12は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよい。
又はR10と、R11又はR12とは、互いに環を形成していてもよい。
nは、0又は正の整数を示し、nが2以上の場合には、R~Rは、それぞれの繰り返し単位の中で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。ただし、n=0の場合、R~R及びR~R12の少なくとも1個は、水素原子ではない。
とR10、又はR11とR12とが一体化して2価の炭化水素基を形成する場合の具体例としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基等のアルキリデン基等を挙げることができる。
又はR10と、R11又はR12とが、互いに環を形成する場合には、形成される環は単環でも多環であってもよく、架橋を有する多環であってもよく、二重結合を有する環であってもよく、またこれらの環の組み合わせからなる環であってもよい。また、これらの環はメチル基等の置換基を有していてもよい。
環構造を有する単量体は、側鎖を有するものであってもよく、側鎖を有さないものであってもよい。
環構造を有する単量体の具体例としては、ノルボルネン、テトラシクロドデセンが挙げられる。
オレフィンとの反応における触媒(メタロセン触媒等)に対する反応性が高いという観点から、環構造を有する単量体としては、ノルボルネンが特に好ましい。
本発明における重合体において、環構造を有する単量体に由来する構造単位の含有量は特に限定されない。
該構造単位の含有量の下限値は、重合体に耐熱性を付与するという観点から、重合体に含まれる全構造単位に対し、好ましくは0mol%超、より好ましくは5mol以上である。
該構造単位の含有量の上限値は、架橋性を付与しやすいという観点から、重合体に含まれる全構造単位に対し、好ましくは55mol%以下、より好ましくは50mol%以下、さらに好ましくは40mol%である。
本発明における重合体を構成する環構造を有する単量体は、1種単独でもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
[オレフィン]
本発明における重合体を構成するオレフィンとしては特に限定されないが、例えば、α-オレフィンが挙げられる。α-オレフィンとしては、炭素数2以上10以下のα-オレフィンが好ましい。
α-オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-へキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-へキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-へキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン等が挙げられる。上記のうち、エチレンが特に好ましい。
本発明における重合体において、オレフィンの含有量は特に限定されない。
該オレフィンの含有量の下限値は、得られる架橋物に柔軟性を付与しやすいという観点から、重合体に含まれる全構造単位に対し、好ましくは45mol%以上、より好ましくは50mol%以上、さらに好ましくは60mol%以上である。
該オレフィンの含有量の上限値は、適度な弾性率を有する架橋物を得られやすいという観点から、重合体に含まれる全構造単位に対し、好ましくは100mol%未満、より好ましくは95mol%以下である。
本発明における重合体を構成するオレフィンは、1種単独でもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
[単環構造を有する単量体]
単環構造を有する単量体としては、環状構造を1つのみ有するオレフィンであれば特に限定されない。オレフィンとしては、炭素数3以上10以下のオレフィンが好ましい。
単環構造を有する単量体の具体例としては、環状モノオレフィン(シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、メチルシクロペンテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等)、環状ジオレフィン(シクロヘキサジエン、メチルシクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチルシクロオクタジエン等)が挙げられる。上記のうち、シクロペンテンが特に好ましい。
本発明における重合体において、単環構造を有する単量体の含有量は特に限定されない。
該単環構造を有する単量体の含有量の下限値は、得られる架橋物に柔軟性を付与しやすいという観点から、重合体に含まれる全構造単位に対し、好ましくは40mol%以上である。
該単環構造を有する単量体の含有量の上限値は、適度な弾性率を有する架橋物を得られやすいという観点から、重合体に含まれる全構造単位に対し、好ましくは100mol%未満である。
本発明における重合体を構成する単環構造を有する単量体は、1種単独でもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
[付加型反応]
本発明における重合体が、環構造を有する単量体と、オレフィンとの付加型重合体である場合、上記の環構造を有する単量体と、オレフィンとを用いて、付加型重合体の製造方法として知られる任意の手法を採用して該重合体を製造することができる。
付加重合触媒としては、メタロセン系触媒を特に好適に用いることができる。
メタロセン触媒の具体的な例としては、(t-ブチルアミド)ジメチル-9-フルオレニルシランチタンジメチル、ラセミ-エチリデン-ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、ラセミ-ジメチルシリル-ビス(2-メチル-ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロライド、ラセミ-イソプロピリデン-ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、イソプロピリデン(1-インデニル)(3-イソプロピル-シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(t-ブチルアミド)ジメチル-9-フルオレニルシランジルコニウムジメチル、(t-ブチルアミド)ジメチル-9-フルオレニルシランジルコニウムジクロリド、(t-ブチルアミド)ジメチル-9-(3,6-ジメチルフルオレニル)シランジルコニウムジメチル、(t-ブチルアミド)ジメチル-9-[3,6-ジ(i-プロピル)フルオレニル]シランジルコニウムジメチル、(t-ブチルアミド)ジメチル-9-[3,6-ジ(t-ブチル)フルオレニル]シランジルコニウムジメチル、(t-ブチルアミド)ジメチル-9-[2,7-ジ(t-ブチル)フルオレニル]シランジルコニウムジメチル、(t-ブチルアミド)ジメチル-9-(2,3,6,7-テトラメチルフルオレニル)シランジルコニウムジメチル、ラセミ-エチリデン-ビス(インデニル)チタンジクロライド、ラセミ-ジメチルシリル-ビス(2-メチル-ベンゾインデニル)チタンジクロライド、ラセミ-イソプロピリデン-ビス(テトラヒドロインデニル)チタンジクロライド、イソプロピリデン(1-インデニル)(3-イソプロピル-シクロペンタジエニル)チタンジクロライド、(t-ブチルアミド)ジメチル-9-フルオレニルシランチタンジクロリド、(t-ブチルアミド)ジメチル-9-(3,6-ジメチルフルオレニル)シランチタンジメチル、(t-ブチルアミド)ジメチル-9-[3,6-ジ(i-プロピル)フルオレニル]シランチタンジメチル、(t-ブチルアミド)ジメチル-9-[3,6-ジ(t-ブチル)フルオレニル]シランチタンジメチル、(t-ブチルアミド)ジメチル-9-[2,7-ジ(t-ブチル)フルオレニル]シランチタンジメチル、(t-ブチルアミド)ジメチル-9-(2,3,6,7-テトラメチルフルオレニル)シランチタンジメチルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
付加重合触媒は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明における重合体は、上記重合触媒とともに、助触媒を使用するとより容易に得られやすい。助触媒は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
助触媒としては、アルキルアルミノキサン、アルキルアルミニウム等が挙げられる。
[開環型反応]
本発明における重合体が、環構造を有する単量体と、単環構造を有する単量体との開環型重合体である場合、上記の環構造を有する単量体と、単環構造を有する単量体と、連鎖移動剤とを用いて、開環重合触媒の存在下で開環重合させたのち必要に応じて水素化することで得られる。
連鎖移動剤としては、分子量を制御でき、末端に炭素原子間の二重結合を1つ持つものであれば特に制約されないが、例えば上述のα-オレフィン(1-ヘキセン等)が挙げられる。
開環重合触媒としては、単環の環状オレフィンと、ノルボルネン化合物とを、開環共重合できるものであればよく、ルテニウムカルベン錯体が好ましい。
ルテニウムカルベン錯体の具体例としては、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)-3,3-ジフェニルプロペニリデンルテニウムジクロリド、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)t-ブチルビニリデンルテニウムジクロリド、ジクロロ-(3-フェニル-1H-インデン-1-イリデン)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム、ビス(1,3-ジイソプロピルイミダゾリン-2-イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(1,3-ジシクロヘキシルイミダゾリン-2-イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3-ジメシチルイミダゾリン-2-イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3-ジメシチルイミダゾリジン-2-イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)エトキシメチリデンルテニウムジクロリド、(1,3-ジメシチルイミダゾリジン-2-イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)エトキシメチリデンルテニウムジクロリドが挙げられる。
開環重合触媒は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明においては、開環重合を行った後、必要に応じて開環重合工程における反応系に水素化触媒及び水素を添加して、開環重合体中の炭素原子間の二重結合を水素化してもよい。
水素化触媒は、オレフィン類や芳香族化合物の水素化反応に一般的に使用されるものであればよい。
水素化触媒の具体例としては、以下が挙げられる。
(1)遷移金属を担体(カーボン、アルミナ、シリカ、ケイソウ土等)に担持させた担持型金属触媒
(2)有機遷移金属化合物(チタン、コバルト、ニッケル等)と、有機金属化合物(リチウム、マグネシウム、アルミニウム、スズ等)からなる均一系触媒、
(3)金属錯体触媒(ロジウム、ルテニウム等)
[環状オレフィン重合体における炭素原子間の不飽和結合]
本発明における重合体は、炭素原子間の不飽和結合を主鎖に含まない。
環状オレフィン重合体における主鎖の不飽和結合は、ラジカル架橋反応に寄与するものの反応性に乏しいため、ラジカル架橋反応後、少なくとも一部が残存し得る。このような不飽和結合を有する重合体は熱酸化されやすくなる。
さらに、環状オレフィン重合体において、主鎖に不飽和結合が含まれていると、分子の運動性を拘束するため、得られる架橋物の柔軟性や金属への接着性を損ないやすい。
したがって、本発明においては、主鎖に不飽和結合を含まない環状オレフィン重合体を用いることで、架橋反応を効率的に進行させ、柔軟性や金属への接着性に優れる架橋物が得られる。
ただし、本発明において、ラジカル架橋性を有する炭素原子間の不飽和結合を含む側鎖が導入された環状オレフィン重合体の使用は排除されない。
このような側鎖の導入方法は公知の技術を用いることができるが、例えば上述の環構造を有する単量体(ビニルノルボルネン等)と、上述のオレフィン(エチレン等)とを共重合させることが挙げられる。
他方で、上記のような側鎖は、重合時に望ましくない反応を発生させて重合の制御が困難になる可能性や、架橋反応において架橋密度を過度に上げて得られる架橋物が剛直になる可能性をもたらす。
したがって、重合反応の制御や、得られる架橋物の柔軟性の確保がしやすいという観点から、本発明における環状オレフィン重合体は、炭素原子間の不飽和結合を含む側鎖を含まないことが好ましい。
[環状オレフィン重合体中のエチレンユニット]
本発明における重合体はエチレンユニットを含む。
環状オレフィン重合体がエチレンユニットを含むことで、適度な架橋密度で架橋でき、得られる架橋物に良好な柔軟性を付与できる。
さらに、架橋物が適度な柔軟性を有していると、外力(例えば、剥離力等)が加えられた際に内部で適度に応力緩和するので、金属に対して強固に接着することが可能である。
したがって、本発明の樹脂組成物から得られる架橋物は、エチレンユニットの作用により、例えば、柔軟性と、金属箔や高分子フィルム(ポリイミドフィルム等)への接着強度との両立が要求される用途(例えば、ボンディングシート、カバーレイフィルム用接着層、又はフレキシブルプリント配線基板用フィルム等)に好適に使用できる。
重合体が、エチレンユニットを含むかどうかや、エチレンユニットの量は、13C-NMRを用いた方法で特定される。
架橋性が良好な環状オレフィン重合体が得られやすいという観点から、本発明における重合体中のエチレンユニットの比率の下限は、好ましくは45mol%以上、より好ましくは50mol%以上、さらに好ましくは60mol%以上である。
発明における重合体中のエチレンユニットの比率の上限は、特に限定されないが、好ましくは100mol%未満、より好ましくは95mol%以下である。
[環状オレフィン重合体のガラス転移温度]
本発明における重合体のガラス転移温度(以下、「Tg」ともいう。)は、150℃未満である。環状オレフィン重合体のTgが150℃以上であると、架橋性が劣り、半田耐熱性や金属への接着性が良好な架橋物を得られにくい。
本発明における重合体のTgの上限は、好ましくは100℃未満である。
本発明における重合体のTgの下限は、好ましくは-30℃以上、より好ましくは0℃以上である。
本発明において、Tgは、DSC法(JIS K 7121記載の方法)によって昇温速度20℃/分の条件で測定した値を採用する。
(ラジカル架橋剤)
本発明におけるラジカル架橋剤は、熱ラジカル重合開始剤として知られるものを使用できる。
本発明の樹脂組成物に配合されるラジカル架橋剤の種類は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
熱ラジカル開始剤としては、有機過酸化物(ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカルボネート、パーオキシケタール、ケトンパーオキサイド)、電気陰性度の高い元素(酸素や窒素等)を含まない非極性ラジカル発生剤を使用できる。
混錬時の熱安定性が良好であるという観点から、10時間半減期温度が通常100℃以上、好ましくは110℃以上、さらに好ましくは120℃以上の熱ラジカル開始剤が好ましい。
熱ラジカル開始剤としては、例えば、
1,4-ビス[(t-ブチルパーオキシ)イソプロピル]ベンゼン、ジクミルパーオキシド、t-ブチルクミルパーオキシド、2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)2,5-ジメチルヘキシン-3、ジ-t-ブチルパーオキシド、イソプロピルクミル-t-ブチルパーオキシド、ビス(α-t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン等のジアルキルパーオキシド類;
2,2-ジ(t-ブチルパーオキシ)ブタン、n-ブチル4,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)バレレート等のパーオキシケタール類;
t-ブチルパーオキシイソナノエート、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル類;
t-ブチルハイドロパーオキシド、クミンハイドロパーオキシド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキシド、p-メンタンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド類;
2,3ジメチル-2,3ジフィニルブタン、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン、3,4-ジメチル-3,4-ジフェニルヘキサン、1,1,2-トリフェニルエタン、1,1,1-トリフェニル-2-フェニルエタン等の非極性ラジカル発生剤
が挙げられる。
本発明の樹脂組成物中のラジカル架橋剤の含有量の上限は、特に限定されないが、樹脂組成物に対して、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
本発明の樹脂組成物中のラジカル架橋剤の含有量の下限は、特に限定されないが、樹脂組成物に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上である。
(架橋助剤)
本発明における架橋助剤は、炭素原子間に不飽和結合を含む物質であり、かつ、共架橋剤として知られるものを使用できる。
架橋剤に加えて、このような架橋助剤を用いることで、エチレンユニットから効果的に水素を引き抜き、ラジカル架橋反応を良好に進行させることができる。
本発明の樹脂組成物に配合される架橋助剤の種類は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
架橋助剤としては、例えば、
p-キノンジオキシム、p,p’-ジベンゾイルキノンジオキシム等のオキシム類;
ベンジルメタクリレート(メタクリル酸ベンジル)、エチレンジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート等のアクリレート又はメタクリレート類;
ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、ビニルピリジン等のビニルモノマー類;
ヘキサメチレンジアリルナジイミド、ジアリルイソフタレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル化合物類;
N,N’-m-フェニレンビスマレイミド、N,N’-(4,4’-メチレンジフェニレン)ジマレイミド等のマレイミド化合物類;
ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の環状非共役ジエン類;
ブタジエンオリゴマー、ポリブタジエン末端ジアクリレート等の架橋性オリゴマー
が挙げられる。
本発明の樹脂組成物中の架橋助剤の含有量の上限は、特に限定されないが、樹脂組成物に対して、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
本発明の樹脂組成物中の架橋助剤の含有量の下限は、特に限定されないが、樹脂組成物に対して、好ましくは0質量%超、より好ましくは1質量%以上である。
(その他の成分)
本発明の樹脂組成物には、上述の成分に加えて、本発明の効果を阻害しない範囲で、任意の成分を配合できる。このような成分として、無機充填剤(シリカ等)、酸化防止剤、難燃剤等が挙げられる。
このような成分の種類や配合量は、得ようとする効果等に応じて適宜設定できる。
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物の製造方法は特に限定されないが、上記成分を適宜混合等することで得ることができる。
本発明の樹脂組成物は、未架橋のものも、架橋されたものも包含する。
本発明の樹脂組成物を架橋させる場合、架橋条件としては特に限定されず、配合されたラジカル架橋剤や架橋助剤の種類等に応じて適宜設定できる。
本発明の樹脂組成物を架橋させる場合、好ましい架橋条件としては、架橋剤の1分間半減期温度での加熱が挙げられる。
架橋剤の1分間半減期温度で、例えば5分から10分加熱すると、架橋剤がほぼ完全にラジカルに分解し、架橋反応が進行しやすくなる。
<成形体>
架橋された本発明の樹脂組成物は、半田耐熱性や金属への接着性が良好な架橋物である。
したがって、本発明の樹脂組成物を、架橋工程、及び任意の成形工程に供することで、半田耐熱性や金属への接着性が良好な成形体を得ることができる。すなわち、本発明の成形体は、架橋された本発明の樹脂組成物が成形されたものである。
成形工程における方法や条件としては、得ようとする成形体の種類に応じて適宜選択でき、特に限定されないが、2軸押出機、T形ダイ、熱ロール等を用いた方法が挙げられる。
成形体の形状や大きさは特に限定されず、成形体の用途等に応じて適宜設定できる。
成形体の種類としては特に限定されないが、ボンディングシート、カバーレイフィルムの接着層、フレキシブルプリント配線基板用フィルム等が挙げられる。
(金属張積層板)
本発明の金属張積層板は、本発明の成形体と、該成形体の任意の面に設けられる金属箔層とを含む。
金属張積層板における成形体の形状は特に限定されないが、通常、平坦な面を有する。例えば、金属張積層板における成形体の形状は、シート状、フィルム状等であり得る。
金属張積層板における成形体の厚さは、特に限定されず、例えば、5μm~500μmであってもよい。
本発明の金属張積層板を構成する金属箔層の材料としては、特に限定されず、配線基板において通常使用される金属であってもよく、例えば、銅、アルミニウム、金、銀、ニッケル、等が挙げられる。
金属箔層として銅箔を採用する場合、圧延銅箔や電解銅箔等を好適に使用できる。
金属箔層の厚さは、特に限定されず、市販の金属箔の厚さを任意に採用できる。
金属箔層は、成形体の面のうちの1以上に形成できる。金属箔層は、成形体の表面の全面に形成してもよいし、表面の一部にのみ形成してもよい。
(金属張積層板の製造方法)
金属張積層板の製造方法としては、ラミネート方式、スパッタリング方式、キャスト方式、ボンディングシート等を用いた接着方式を利用できる。
成形体と金属箔層との間には、その他の層(接着剤層等)が存在していてもよいし、存在していなくてもよい。必要に応じて、金属箔層の表面をキレート剤で処理して金属箔層と成形体との密着性を改善させてもよい。
本発明の金属張積層板においては、成形体と金属箔層との密着性が良好であるので、好ましくは、成形体と金属箔層とは直接接触しており、成形体と金属箔層との間に他の層等が存在しない。
本発明の金属張積層板は、耐熱性、金属への接着性等が要求される用途に好適に使用できる。例えば、本発明の金属張積層板は、種々の基板(プリント基板(フレキシブルプリント基板等)、金属張積層板を複数重ね合わせた多層基板、高周波用配線基板)、半導体パッケージ用配線フィルム等として好適に使用できる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<環状オレフィン重合体の作製>
以下の方法に基づき、6種類の環状オレフィン重合体を作製した。
なお、環状オレフィン重合体A乃至Fは主鎖に炭素原子間の不飽和結合を含まない(つまり主鎖に炭素原子間の飽和結合のみを含む)。また、環状オレフィン重合体A乃至Eは側鎖にも炭素原子間の不飽和結合を含まない(つまり側鎖に炭素原子間の飽和結合のみを含む)。
(環状オレフィン重合体-Aの製造方法)
加熱装置、攪拌機、窒素挿入装置を備えた5リットルのオートクレーブ中に、トルエン(4リットル)、及び濃度を2.2mol/lに調整したPMAO(東ソー・ファインケム株式会社製)のトルエン溶液(75ml)を投入した。
次いで、ノルボルネン(70g)を注入し、容器を窒素で置換して減圧後、エチレンボンベよりエチレンを圧入し、10atmのゲージ圧で満たした。その後、70℃に加熱し、5分間攪拌した。
グローブボックス内にて1μmol/mlに調整したイソプオピリデン(9-フルオレニル)-(1-(3-メチル)シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライドのトルエン溶液(5ml)をオートクレーブ内に加え、15分放置して反応を進めた。
反応後、内容物を排出し、これに500mlの蒸留水、濾過剤を加えた後、加圧濾過した。アセトン10リットル中に濾液を注入し、攪拌、濾過後に、同量のアセトンで洗浄した後、乾燥させ、約60gの白色粉末を得た。この白色粉末が「環状オレフィン重合体-A」に相当する。
なお、環状オレフィン重合体-Aは、付加型重合体である。
(環状オレフィン重合体-Bの製造方法)
ノルボルネンの使用量を425gにしたこと、エチレンの圧力を8atmにしたこと以外は合成例1と同様にして、約60gの白色粉末を得た。この白色粉末が「環状オレフィン重合体-B」に相当する。
なお、環状オレフィン重合体-Bは、付加型重合体である。
(環状オレフィン重合体-Cの製造方法)
ノルボルネンの使用量を1695gにしたこと以外は合成例1と同様にして、約60gの白色粉末を得た。この白色粉末が「環状オレフィン重合体-C」に相当する。
なお、環状オレフィン重合体-Cは、付加型重合体である。
(環状オレフィン重合体-Dの製造方法)
ノルボルネンの使用量を330gにしたこと、エチレンの圧力を8atmにしたこと以外は合成例1と同様にして、約60gの白色粉末を得た。この白色粉末が「環状オレフィン重合体-D」に相当する。
なお、環状オレフィン重合体-Dは、付加型重合体である。
(環状オレフィン重合体-Eの製造方法)
窒素雰囲気下で、攪拌機を備えたガラス反応容器に、ノルボルネン化合物(2-ノルボルネン)599質量部、単環の環状オレフィン(シクロペンテン)703質量部、トルエン2411質量部、及び1-ヘキセン(連鎖移動剤)1.2質量部を加えた。
次いで、トルエン35質量部に溶解したジクロロ-(3-フェニル-1H-インデン-1-イリデン)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)0.154質量部を加え、室温で3時間、重合反応を行った。重合反応後、過剰のビニルエチルエーテルを加えることにより重合反応を停止させた。
重合反応の停止後、水素化触媒として40% Ni/ケイソウ土0.3質量部を添加し、水素圧力10kg/cm、温度150℃で5時間、水素化反応を行った。水素化反応終了後、反応物を冷却して、フィルターにより反応溶液をろ過して水素化触媒を除去した。
上記の操作により得られた重合溶液を2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾールを含む大過剰のメタノールに注ぎ、沈殿した重合体を回収し、メタノールで洗浄した後、50℃で3日間、真空乾燥して、開環共重合体833部を得た。この開環共重合体が「環状オレフィン重合体-E」に相当する。
環状オレフィン重合体-Eの数平均分子量(Mn)は63,000であり、重量平均分子量(Mw)は114,000であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は1.8だった。
なお、環状オレフィン重合体-Eは、開環型重合体である。
(環状オレフィン重合体-Fの製造方法)
ノルボルネンの使用量を1650gにしたこと以外は合成例1と同様にして、約60gの白色粉末を得た。この白色粉末が「環状オレフィン重合体-F」に相当する。
なお、環状オレフィン重合体-Fは、付加型重合体である。
(ガラス転移温度(Tg))
JIS K 7121に準拠して、DSC法に基づく下記の条件で、各環状オレフィン重合体のガラス転移温度(単位:℃)を測定した。その結果を表1の「Tg」の項に示す。
DSC装置:示差走査熱量計「DSC-7000X」(株式会社日立ハイテクサイエンス製)
測定雰囲気:窒素
昇温条件:20℃/分
(エチレンユニットの比率の測定)
13C-NMRを用いた方法で、各環状オレフィン重合体中のエチレンユニットの比率(単位:mol%)を測定した。その結果を表1の「エチレンユニット」の項に示す。なお、用いた装置及び測定条件は以下のとおりである。
13C-NMRの測定条件]
NMR装置:「BrukerAVANCE600」(Bruker社製)
測定溶媒:1,1,2,2-テトラクロロエタン-d
測定核種:13
測定温度:381K
サンプル濃度:80mg/mL
サンプルチューブ径:10mm
積算回数:18000回
パルス繰り返し時間:3秒
[エチレンユニットの比率の算出方法]
環状オレフィン重合体-A乃至D、及びFについては、ノルボルネン由来(C1~C7)のシグナル積分値、及びエチレン由来(E)のシグナル積分値から、下記計算式によりノルボルネンの比率Nb(mol%)を算出し、100からその値を引くことで、エチレンユニットの比率を算出した。
なお、C1~C7、及びEの位置は、下記式(II)に示すとおりである。
Figure 2022143444000002
Figure 2022143444000003
環状オレフィン重合体-Eについては、シクロペンタン由来のシグナル積分値及びエチレン由来のシグナル積分値から、シクロペンタンの比率(mol%)を算出し、100からその値を引くことで、エチレンユニットの比率を算出した。
Figure 2022143444000004
<樹脂組成物の作製及び架橋>
以下の方法で樹脂組成物の作製及び架橋を行った。
(樹脂組成物の作製)
表2に示す割合で環状オレフィン重合体、ラジカル架橋剤、及び架橋助剤を混練し、未架橋樹脂組成物(各総量:50g)を作製した。なお、架橋助剤が液体である場合は、比重に基づき、所定の体積となるようにピペットマンで計量して用いた。
混練の際には、「ラボプラストミル(商標)」(株式会社東洋精機製作所製)を用いて、樹脂、架橋助剤、架橋剤の順番で混錬した。
混練条件は、表3の「混練温度」、及び「混練時間」に示す温度及び時間に設定した。
なお、ラジカル架橋剤、及び架橋助剤として以下を用いた。下記架橋助剤は、いずれも炭素原子間に不飽和結合を含む物質である。
(ラジカル架橋剤)
2,3ジメチル-2,3ジフィニルブタン(Nof BC):商品名「ノフマーBC」、日油株式会社製
1,4-ビス[(t-ブチルパーオキシ)イソプロピル]ベンゼン(PerP):商品名「パーブチルP」、日油株式会社製
(架橋助剤)
トリアリルイソシアヌレート(TAIC):商品名「TAIC」、三菱ケミカル株式会社製
メタクリル酸ベンジル(BzMc)
(樹脂組成物の架橋)
各未架橋樹脂組成物をそれぞれ約500mgずつ計量した。
ステンレス板(SUS板)の表面上に、ポリイミドフィルム(商品名「カプトン(商標)500H/V」、東レ・デュポン株式会社製、厚み125μm)、電解銅箔(商品名「CF-49A-DS-HD2-12」、福田金属箔粉工業株式会社製、厚み12μm)をこの順で重ねた。
金属枠(10cm×10cmの穴の開いた厚み50μmのもの)を電解銅箔の上に載せ、その枠内に上記計量物を載せた後、上記電解銅箔、上記ポリイミドフィルムの順に載せ、樹脂を銅箔で挟んだ。なお、電解銅箔のマット面(粗化面)と、樹脂組成物とを接触させ、かつ、電解銅箔のシャイニー面と、ポリイミドフィルムとを接触させた。
表3の「第1温度」及び「第1保持時間」の項に示す温度及び時間で保持した後、樹脂組成物を充分に流動させた。
次いで、表3の「第2温度」の項に示す温度まで上昇後、表3の「第2保持時間」に示す時間にわたって保持することで架橋剤を分解及び反応させた。この操作により、銅箔が接着した架橋済樹脂組成物(金属張積層板)を得た。
Figure 2022143444000005
Figure 2022143444000006
<架橋済樹脂組成物の評価>
各架橋済樹脂組成物を用いて、以下の方法で、諸特性を評価した。その結果を表4に示す。
(架橋度)
各架橋済樹脂組成物をエッチング液(商品名「H-1000A」、サンハヤト株式会社製)に浸漬後、10分間放置し、表面の銅箔を取り除いた。
次いで、各架橋済樹脂組成物を30mgずつスクリュー瓶に計量し、トルエン(15ml)を添加し、密封した。
密封された状態の各スクリュー瓶を、湯(40℃)中に保持し、超音波洗浄器(商品名「MCD-10」、アズワン株式会社)を用いて40℃に加熱したのち、40Hzの超音波で60分間処理した。
超音波処理後、上澄み(トルエン)を取り除き、残った架橋済樹脂組成物を風乾した。風乾後の質量を測定し、初期値(トルエン添加前の架橋済樹脂組成物の使用量)に対する、風乾後の架橋済樹脂組成物の比率(%)を架橋度として特定した。
得られた架橋度を以下の基準で評価した。
[架橋度の評価基準]
4:80%以上
3:60%以上80%未満
2:40%以上60%未満
1:40%未満
(半田耐熱性)
銅箔が接着した各架橋済樹脂組成物を、260℃に加熱した半田浴に30秒間浸漬した後の変形状態を目視で観察し、以下の基準で変形及び膨れを評価した。試料の変形や膨れが少ないほど、半田耐熱性が高いことを意味する。
[半田耐熱性の評価基準]
2:変形及び膨れの両方が発生しなかった。
1:変形及び膨れの少なくとも一方が発生した。
(銅箔接着強度)
銅箔が接着した各架橋済樹脂組成物を、1.5cm×10cmに切り出した。
切り出した各試料を、「JIS C 6471 フレキシブルプリント配線板用銅張積層板試験方法」に基づいて接着強度を測定した。
具体的には、引張圧縮試験機(EZ TEST SHIMADZU)を用いて、試験速度=50mm/min、引き剥がし方向=90°の条件で、幅1mmの導体(銅箔)の接着強度を測定した。
得られた値について以下の基準で評価を行った。
[銅箔接着強度の評価基準]
5:3.0kN/m以上
4:2.0kN/m以上3.0kN/m未満
3:1.0kN/m以上2.0kN/m未満
2:0.6kN/m以上1.0kN/m未満
1:0.6kN/m未満
(架橋物柔軟性)
銅箔が接着した架橋済樹脂組成物(金属張積層板)をエッチング液(商品名「H-1000A」、サンハヤト株式会社製)に浸漬後、10分間放置し、表面の銅箔を取り除き、樹脂フィルムを得た。
得られた樹脂フィルムを1.5cm×5cmに取り出し、評価用フィルムとした。評価用フィルムを手で180度に折り曲げ、以下の基準で評価を行った。
[架橋物柔軟性の評価基準]
3:折り目がつかない
2:折り目はつくが、割れない
1:割れる
Figure 2022143444000007
表4に示されるとおり、本発明の樹脂組成物から得られる成形体(架橋済樹脂組成物)は、半田耐熱性が高く、金属への接着性が良好だった。

Claims (8)

  1. 環状オレフィン重合体と、
    ラジカル架橋剤と、
    架橋助剤と、
    を含み、
    前記環状オレフィン重合体が、炭素原子間の不飽和結合を主鎖に含まず、
    前記環状オレフィン重合体が、エチレンユニットを含み、
    前記環状オレフィン重合体のガラス転移温度が、150℃未満であり、
    前記架橋助剤が、炭素原子間に不飽和結合を含む物質である、
    樹脂組成物。
  2. 前記環状オレフィン重合体中のエチレンユニットの比率が、45mol%以上である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記環状オレフィン重合体のガラス転移温度が、100℃未満である、請求項1又は2のいずれかに記載の樹脂組成物。
  4. 前記環状オレフィン重合体中のエチレンユニットの比率が、60mol%以上である、請求項1から3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 前記環状オレフィン重合体が、炭素原子間の不飽和結合を側鎖に含まない、請求項1から4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の樹脂組成物から得られた成形体。
  7. 前記成形体が、ボンディングシート、カバーレイフィルムの接着層、又はフレキシブルプリント配線基板用フィルムである、請求項6に記載の成形体。
  8. 請求項6に記載の成形体を備える、金属張積層板。
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