JP2004244609A - 熱可塑性樹脂、架橋樹脂及び架橋樹脂複合材料の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂、架橋樹脂及び架橋樹脂複合材料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
ノルボルネン系モノマーを塊状重合して得られる後架橋可能な熱可塑性樹脂及びその製造方法、並びに熱可塑性樹脂を架橋する工程を有する架橋樹脂および架橋樹脂複合材料の製造方法を提供する。
【解決手段】
ノルボルネン系モノマー、メタセシス重合触媒、連鎖移動剤及び架橋剤を含む重合性組成物(A)を塊状重合することを特徴とする、後架橋可能な熱可塑性樹脂及びその製造方法、並びに該熱可塑性樹脂を必要により金属箔等の基材と積層し、熱可塑性樹脂(部分)を架橋することを特徴とする架橋樹脂、架橋樹脂複合材料の製造方法。
【選択図】 なし。

Description

本発明は、ノルボルネン系モノマーを塊状重合して得られる後架橋可能な熱可塑性樹脂及びその製造方法、並びにこの熱可塑性樹脂を架橋する工程を有する架橋樹脂及び架橋樹脂複合材料の製造方法に関する。
従来、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を有機過酸化物などの架橋剤で架橋させてなる架橋成形品が知られている。例えば、特許文献1には、熱可塑性水素化開環ノルボルネン系樹脂100重量部に対して、有機過酸化物0.001〜30重量部、及び架橋助剤を有機過酸化物1重量部に対して0.1〜10重量部添加し、均一に分散させたノルボルネン系樹脂組成物を、フィルムやプリプレグに成形し、基材と積層した後、加熱加圧成形して架橋・熱融着させてなる架橋成形品が記載されている。また、この文献には、得られる架橋成形品は、耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性、耐湿性、耐水性、電気特性に優れ、層間絶縁膜、防湿層形成用フィルムなどとして有用であることも記載されている。
しかしながら、この文献に記載された方法は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物溶液を基材上に塗布してシートを得た後、このシートを基材から剥離し、銅箔などと重ね合わせて熱プレスするものである。このため、工程数が多く煩雑であり、工業的生産規模で製造する上で必ずしも有利なものといえなかった。また、残存溶剤により、銅箔が剥離したり、ガスが発生してフクレなどが生じるおそれがあった。
特開平6−248164号公報
ところで、特表平11−507962号公報には、ノルボルネン系モノマーなどの環状オレフィン類を、ルテニウムカルベン錯体及び架橋剤の存在下にメタセシス重合させて、ポリシクロオレフィンを製造し、次いで、後硬化(後架橋)させる方法が開示されている。
しかしながら、本発明者の知見によると、この方法によっては、得られたノルボルネン系樹脂と銅箔とを重ね合わせて熱プレスしても、後硬化前の樹脂が溶融・流動することなく、架橋反応のみが進行する。このため、層間密着性に優れる銅張積層板を製造することが困難であった。
本発明は、かかる実情の下になされたものであって、ノルボルネン系モノマーを塊状重合して得られる後架橋可能な熱可塑性樹脂及びその製造方法、並びに熱可塑性樹脂を架橋する工程を有する架橋樹脂及び架橋樹脂複合材料の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく、ノルボルネン系モノマーをメタセシス重合触媒の存在下に塊状重合して、後架橋可能な熱可塑性樹脂を効率よく製造する方法について、鋭意研究を重ねた。
その結果、(i)ノルボルネン系モノマーをメタセシス重合触媒の存在下に塊状重合するに際し、連鎖移動剤及び架橋剤を共存させておくと、後架橋可能な熱可塑性のノルボルネン系樹脂を効率よく得ることができること、(ii)この熱可塑性樹脂を架橋させることにより、高い耐熱性を有する架橋樹脂を効率よく得ることができること、(iii)前記熱可塑性樹脂を基材と積層し、この熱可塑性樹脂を架橋させることで、密着性に優れる架橋樹脂複合材料が効率よく得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
かくして本発明の第1によれば、ノルボルネン系モノマー、メタセシス重合触媒、連鎖移動剤及び架橋剤を含む重合性組成物(A)を、塊状重合することを特徴とする後架橋可能な熱可塑性樹脂の製造方法が提供される。
本発明の製造方法は、前記ノルボルネン系モノマーの重合反応率が80%以上であるのが好ましい。
本発明の製造方法においては、前記連鎖移動剤として、式:CH=CH−Q(式中、Qはメタクリロイル基、アクリロイル基、ビニルシリル基、エポキシ基及びアミノ基から選ばれる基を少なくとも一つ有する基を示す。)で表される化合物を用いるのが好ましい。
本発明の製造方法においては、前記ノルボルネン系モノマーとして、カルボキシル基又は酸無水物基を有するノルボルネン系モノマーを含むノルボルネン系モノマー混合物を用い、前記架橋剤としてエポキシ化合物を用いるのが好ましい。
本発明の製造方法においては、前記架橋剤としてラジカル発生剤を用い、該ラジカル発生剤の1分間半減期温度以下の反応温度で、重合性組成物(A)を塊状重合するのが好ましく、重合性組成物(A)としてラジカル架橋遅延剤をさらに含むものを用いるのがより好ましい。
本発明の第2によれば、本発明の製造方法により得られる後架橋可能な熱可塑性樹脂が提供される。
本発明の熱可塑性樹脂は、(a)前記重合性組成物(A)を支持体上で塊状重合することにより、フィルム状に成形してなる樹脂、好適には前記支持体として、金属箔若しくは樹脂フィルムを用いて得られる樹脂、(b)前記重合性組成物(A)を型内で塊状重合することにより、所定の形状に成形してなる樹脂、又は(c)前記重合性組成物(A)を繊維材料に含浸させた後、塊状重合して得られる樹脂、のいずれかであるのが好ましい。
本発明の第3によれば、本発明の熱可塑性樹脂を架橋する工程を有する架橋樹脂の製造方法が提供される。
本発明の第4によれば、本発明の熱可塑性樹脂を基材と積層し、熱可塑性樹脂部分を架橋する工程を有する架橋樹脂複合材料の製造方法が提供される。
本発明の架橋樹脂複合材料の製造方法においては、前記基材が、金属箔又はプリント配線板であるのが好ましい。また前記金属箔としては、下記式(8)で表されるシランカップリング剤又は下記式(9)で表されるチオール系カップリング剤で処理されたものであるのが好ましい。
Figure 2004244609
(式中、Rは末端に二重結合、メルカプト基又はアミノ基のいずれかを有する基を表し、X,Yはそれぞれ独立して加水分解性基、水酸基又はアルキル基を表し、Zは加水分解性基又は水酸基を表す。また、Tは芳香環、脂肪族環、複素環又は脂肪族鎖のいずれかを表し、nは2以上の整数を表す。)
本発明の熱可塑性樹脂の製造方法によれば、ノルボルネン系モノマー、メタセシス重合触媒、連鎖移動剤及び架橋剤を含む重合性組成物(A)を、塊状重合するという簡便な方法により、後架橋可能な熱可塑性樹脂を効率よく製造することができる。また、重合性組成物(A)を繊維材料に含浸させた後に、支持体上で、あるいは(成形)型内で塊状重合することにより、熱可塑性樹脂含浸プリプレグ、熱可塑性樹脂フィルム及び熱可塑性樹脂成形体を効率よく製造することができる。
本発明の熱可塑性樹脂は、ノルボルネン系モノマーの重合反応率が80%以上であるが、架橋反応はほとんど進行していない状態の樹脂であり、残留モノマーの含有量が少ないので臭気の問題がなく、保存安定性に優れている。
本発明の架橋樹脂、架橋樹脂複合材料の製造方法は簡便であり、しかも連続生産が可能であるので、工業的に有利な製造方法である。
また、本発明の熱可塑性樹脂を基材と積層し熱可塑性樹脂部分を架橋して得られる架橋樹脂複合材料は、架橋樹脂と基材との接着性に優れたものである。ノルボルネン系モノマーを塊状重合して得られるノルボルネン系樹脂は、電気絶縁性、機械特性、耐熱性、接着性、誘電特性などに優れる。従って、本発明の製造方法により得られる架橋樹脂、架橋樹脂複合材料は、電気材料として好適である。
以下、本発明を詳細に説明する。
1)熱可塑性樹脂の製造方法
本発明の熱可塑性樹脂の製造方法は、ノルボルネン系モノマー、メタセシス重合触媒、架橋剤及び連鎖移動剤を含む重合性組成物(A)を塊状重合することを特徴とする。
(1)ノルボルネン系モノマー
本発明の製造方法において、重合性組成物(A)を構成するノルボルネン系モノマーとしては、ノルボルネン類、ジシクロペンタジエン類、テトラシクロドデセン類などが挙げられる。これらは、アルキル基、アルケニル基、アルキリデン基、アリール基などの炭化水素基や、極性基によって置換されていてもよい。また、ノルボルネン環の二重結合以外に、さらに二重結合を有していてもよい。
ノルボルネン系モノマーの具体例としては、ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン)などのジシクロペンタジエン類;
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロヘキシルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロペンチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチレンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−ビニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−プロペニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロヘキセニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロペンテニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−フェニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル、4−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−メタノール、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−オール、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸無水物、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボニトリル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルバルデヒド、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボキサミド、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸イミド、9−クロロテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、4−トリメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン、9−アセチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンなどのテトラシクロドデセン類;
2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボルネン、5−デシル−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシル−2−ノルボルネン、5−シクロペンチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−シクロヘキセニル−2−ノルボルネン、5−シクロペンテニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンともいう)、テトラシクロ[10.2.1.02,11.04,9]ペンタデカ−4,6,8,13−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9,9a,10−ヘキサヒドロアントラセンともいう)、5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチル、2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチル、酢酸5−ノルボルネン−2−イル、酢酸2−メチル−5−ノルボルネン−2−イル、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イル、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、5−ノルボルネン−2−メタノール、5−ノルボルネン−2,3−ジメタノール、5−ノルボルネン−2,2−ジメタノール、5−ノルボルネン−2−オール、5−ノルボルネン−2−カルボニトリル、5−ノルボルネン−2−カルバルデヒド、5−ノルボルネン−2−カルボキサミド、2−アセチル−5−ノルボルネン、3−メトキシカルボニル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸などのノルボルネン類;
7−オキサ−2−ノルボルネン、5−メチル−7−オキサ−2−ノルボルネン、5−エチル−7−オキサ−2−ノルボルネン、5−ブチル−7−オキサ−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−7−オキサ−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシル−7−オキサ−2−ノルボルネン、5−エチリデン−7−オキサ−2−ノルボルネン、5−フェニル−7−オキサ−2−ノルボルネン、7−オキサ−5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、酢酸7−オキサ−5−ノルボルネン−2−イル、メタクリル酸7−オキサ−5−ノルボルネン−2−イルなどのオキサノルボルネン類;
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ−4,10−ジエン、ペンタシクロ[9.2.1.14,7.02,10.03,8]ペンタデカ−5,12−ジエン、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]ヘプタデカ−4−エンなどの五環体以上の環状オレフィン類;などが挙げられる。
これらのノルボルネン系モノマーは1種単独で用いることができるが、これらの2種以上を混合したノルボルネン系モノマー混合物を用いることもできる。2種以上のモノマーを併用し、そのブレンド比を変化させることで、得られる熱可塑性樹脂のガラス転移温度や溶融温度を自由に制御することが可能である。
また、本発明においては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン、1,5−シクロオクタジエンなどの単環シクロオレフィン及び置換基を有するそれらの誘導体を上記ノルボルネン系モノマーに添加したノルボルネン系モノマー混合物を使用することもできる。単環シクロオレフィン類及びそれらの誘導体の添加量は、ノルボルネン系モノマー混合物の全量に対して、好ましくは40重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。添加量が40重量%を超えると、塊状重合により得られる重合体が樹脂ではなく、エラストマーとなる場合があるため好ましくない。
これらの中でも、後述する架橋剤としてエポキシ化合物を使用する場合には、架橋樹脂が効率よく得られることから、ノルボルネン系モノマーとして、カルボキシル基又は酸無水物基を有するノルボルネン系モノマーを含むノルボルネン系モノマー混合物を用いるのが好ましい。該ノルボルネン系モノマー混合物中のカルボキシル基又は酸無水物基を有するノルボルネン系モノマーの含有量は、好ましくは1モル%以上、より好ましくは5モル%以上である。
(2)メタセシス重合触媒
重合性組成物(A)を構成するメタセシス重合触媒は、ノルボルネン系モノマーを、メタセシス開環重合させるものであれば特に限定されない。
用いるメタセシス重合触媒としては、遷移金属原子を中心原子として、複数のイオン、原子、多原子イオン及び/又は化合物が結合してなる錯体が挙げられる。遷移金属原子としては、5族、6族及び8族(長周期型周期表、以下同じ)の原子が使用される。それぞれの族の原子は特に限定されないが、5族の原子としては例えばタンタルが挙げられ、6族の原子としては、例えばモリブデンやタングステンが挙げられ、8族の原子としては、例えばルテニウムやオスミウムが挙げられる。
これらの中でも、8族のルテニウムやオスミウムの錯体をメタセシス重合触媒として用いることが好ましく、ルテニウムカルベン錯体が特に好ましい。ルテニウムカルベン錯体は、塊状重合時の触媒活性が優れるため、後架橋可能な熱可塑性樹脂の生産性に優れ、得られる熱可塑性樹脂の臭気(未反応のモノマーに由来する)が少なく生産性に優れる。また、酸素や空気中の水分に対して比較的安定であって、失活しにくいので、大気下でも生産が可能である。
ルテニウムカルベン錯体は、下記の式(1)又は式(2)で表されるものである。
Figure 2004244609
式(1)及び(2)において、R、Rは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含んでもよいC〜C20の炭化水素基を表す。X、Xは、それぞれ独立して任意のアニオン性配位子を示す。L、Lはそれぞれ独立して、ヘテロ原子含有カルベン化合物又は中性電子供与性化合物を表す。また、R、R、X、X、L及びLは、任意の組合せで互いに結合して多座キレート化配位子を形成してもよい。
ヘテロ原子とは、周期律表第15族及び第16族の原子を意味し、具体的には、N、O、P、S、As、Se原子などを挙げることができる。これらの中でも、安定なカルベン化合物が得られる観点から、N、O、P、S原子などが好ましく、N原子が特に好ましい。
ヘテロ原子含有カルベン化合物は、カルベン炭素の両側にヘテロ原子が隣接して結合していることが好ましく、さらにカルベン炭素原子とその両側のヘテロ原子とを含むヘテロ環が構成されているものがより好ましい。また、カルベン炭素に隣接するヘテロ原子には嵩高い置換基を有していることが好ましい。
ヘテロ原子含有カルベン化合物の例としては、下記の式(3)又は式(4)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2004244609
(式中、R〜Rは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含んでもよいC〜C20の炭化水素基を表す。また、R〜Rは任意の組合せで互いに結合して環を形成していもよい。)
前記式(3)及び(4)で表される化合物の具体例としては、1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ(1−アダマンチル)イミダゾリジン−2−イリデン、1−シクロヘキシル−3−メシチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジメシチルオクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン、1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデンなどが挙げられる。
また、前記式(3)及び式(4)で示される化合物のほかに、1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン、N,N,N’,N’−テトライソプロピルホルムアミジニリデン、1,3,4−トリフェニル−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデンなどのヘテロ原子含有カルベン化合物も用い得る。
前記式(1)及び式(2)において、アニオン(陰イオン)性配位子X、Xは、中心金属から引き離されたときに負の電荷を持つ配位子であり、例えば、F、Cl、Br、Iなどのハロゲン原子、ジケトネート基、置換シクロペンタジエニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボキシル基などを挙げることができる。これらの中でもハロゲン原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
また、中性の電子供与性化合物は、中心金属から引き離されたときに中性の電荷を持つ配位子であればいかなるものでもよい。その具体例としては、カルボニル、アミン類、ピリジン類、エーテル類、ニトリル類、エステル類、ホスフィン類、チオエーテル類、芳香族化合物、オレフィン類、イソシアニド類、チオシアネート類などが挙げられる。これらの中でも、ホスフィン類、エーテル類及びピリジン類が好ましく、トリアルキルホスフィンがより好ましい。
前記式(1)で表される錯体化合物としては、例えば、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−オクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン[1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジイソプロピルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)ピリジンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(2−フェニルエチリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−フェニルエチリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリドなどのヘテロ原子含有カルベン化合物と中性の電子供与性化合物が結合したルテニウム錯体化合物;
ベンジリデンビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)ビス(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリドなどの2つの中性電子供与性化合物が結合したルテニウム化合物;
ベンジリデンビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデンビス(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)ルテニウムジクロリドなどの2つのヘテロ原子含有カルベン化合物が結合したルテニウム錯体化合物;などが挙げられる。
また、前記式(1)において、RとLが結合している錯体化合物として、下記の(5)〜(7)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2004244609
前記式(2)で表される錯体化合物としては、例えば、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(フェニルビニリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(t−ブチルビニリデン)(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリドなどが挙げられる。
これらのルテニウム錯体触媒は、例えば、Org.Lett.,1999年,第1巻,953頁、Tetrahedron.Lett.,1999年,第40巻,2247頁などに記載された方法によって製造することができる。
メタセシス重合触媒の使用量は、(触媒中の金属原子:ノルボルネン系モノマー)のモル比で、通常1:2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:5,000〜1:1,000,000、より好ましくは1:10,000〜1:500,000の範囲である。
メタセシス重合触媒は必要に応じて、少量の不活性溶剤に溶解又は懸濁して使用することができる。かかる溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、流動パラフィン、ミネラルスピリットなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの含酸素炭化水素;などが挙げられる。これらの中では、工業的に汎用な芳香族炭化水素や脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素の使用が好ましい。また、メタセシス重合触媒としての活性を低下させないものであれば、液状の老化防止剤、可塑剤やエラストマーを溶剤として用いてもよい。
メタセシス重合触媒は、重合活性を制御したり、重合反応率を向上させる目的で活性剤(共触媒)と併用することもできる。活性剤としては、アルミニウム、スカンジウム、スズのアルキル化物、ハロゲン化物、アルコキシ化物及びアリールオキシ化物などを例示することができる。
活性剤の具体例としては、トリアルコキシアルミニウム、トリフェノキシアルミニウム、ジアルコキシアルキルアルミニウム、アルコキシジアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウム、ジアルコキシアルミニウムクロリド、アルコキシアルキルアルミニウムクロリド、ジアルキルアルミニウムクロリド、トリアルコキシスカンジウム、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシスズ、テトラアルコキシジルコニウムなどが挙げられる。
活性剤の使用量は、(メタセシス重合触媒中の金属原子:活性剤)のモル比で、通常、1:0.05〜1:100、好ましくは1:0.2〜1:20、より好ましくは1:0.5〜1:10の範囲である。
また、メタセシス重合触媒として、5族及び6族の遷移金属原子の錯体を用いる場合には、メタセシス重合触媒及び活性剤は、いずれもモノマーに溶解して用いる方が好ましいが、生成物の性質を本質的に損なわない範囲であれば少量の溶剤に懸濁又は溶解させて用いることができる。
(3)連鎖移動剤
本発明の製造方法においては、重合性組成物(A)の構成成分として連鎖移動剤を用いる。連鎖移動剤の存在下に重合することにより、熱可塑性の樹脂を得ることができる。
連鎖移動剤としては、例えば、置換基を有していてもよい鎖状のオレフィン類を用いることができる。その具体例としては、例えば、1−ヘキセン、2−ヘキセンなどの脂肪族オレフィン類;スチレン、ジビニルベンゼン、スチルベンなどの芳香族基を有するオレフィン類;ビニルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素基を有するオレフィン類;エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;メチルビニルケトン、1,5−ヘキサジエン−3−オン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン−3−オンなどのビニルケトン類;式:CH=CH−Qで表される化合物(式中、Qはメタクリロイル基、アクリロイル基、ビニルシリル基、エポキシ基及びアミノ基から選ばれる基を少なくとも一つ有する基を示す。);が挙げられる。これらの化合物の中でも、式:CH=CH−Qで表される化合物を用いると、Qがポリマー末端に導入され、後架橋時に末端のQが架橋に寄与するので架橋密度を上げることができるので好ましい。
式:CH=CH−Qで表される化合物の具体例としては、メタクリル酸ビニル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸3−ブテン−1−イル、メタクリル酸3−ブテン−2−イル、メタクリル酸スチリルなどの、Qがメタクリロイル基を有する基である化合物;アクリル酸アリル、アクリル酸3−ブテン−1−イル、アクリル酸3−ブテン−2−イル、アクリル酸1−メチル−3−ブテン−2−イル、アクリル酸スチリル、エチレングリコールジアクリレートなどの、Qがアクリロイル基を有する基である化合物;アリルトリビニルシラン、アリルメチルジビニルシラン、アリルジメチルビニルシランなどの、Qがビニルシリル基を有する基である化合物;アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテルなどの、Qがエポキシ基を有する基である化合物;アリルアミン、2−(ジエチルアミノ)エタノールビニルエーテル、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、4−ビニルアニリンなどのXがアミノ基を有する基である化合物;などが挙げられる。
連鎖移動剤の添加量は、前記ノルボルネン系モノマー全体に対して、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。連鎖移動剤の添加量がこの範囲であるときに、重合反応率が高く、しかも後架橋可能な熱可塑性樹脂を効率よく得ることができる。連鎖移動剤の添加量が少なすぎると、熱可塑性樹脂とならない場合がある。逆に添加量が多すぎると、後架橋が困難になる場合がある。
(4)架橋剤
本発明の製造方法においては、重合性組成物(A)を構成する成分としてさらに架橋剤を含む。架橋剤は、本発明の熱可塑性樹脂の官能基と架橋反応して架橋樹脂を生じせしめるものである。官能基としては、例えば、炭素−炭素二重結合、カルボン酸基、酸無水物基、水酸基、アミノ基、活性ハロゲン原子、エポキシ基などが挙げられる。
架橋剤としては、例えば、ラジカル発生剤、エポキシ化合物、イソシアネート基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、酸無水物基含有化合物、アミノ基含有化合物、ルイス酸などが挙げられる。これらの架橋剤は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ラジカル発生剤、エポキシ化合物、イソシアネート基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、酸無水物基含有化合物の使用が好ましく、ラジカル発生剤、エポキシ化合物、イソシアネート基含有化合物の使用がより好ましく、ラジカル発生剤又はエポキシ化合物の使用が特に好ましい。
ラジカル発生剤としては、例えば、有機過酸化物やジアゾ化合物などが挙げられる。有機過酸化物としては特に限定されないが、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類;ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンなどのジアルキルペルオキシド類;ジプロピオニルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ジ(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどのペルオキシケタール類;t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエートなどのペルオキシエステル類;t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、ジ(イソプロピルペルオキシ)ジカルボナートなどのペルオキシカルボナートなどのケトンペルオキシド類;t−ブチルトリメチルシリルペルオキシドなどのアルキルシリルペルオキサシド;などが挙げられる。中でも、メタセシス重合反応に対する障害が少ない点で、ジアルキルペルオキシドが好ましい。
ジアゾ化合物としては、例えば、4,4'−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン、4,4'−ジアジドカルコン、2,6−ビス(4'−アジドベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4'−アジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4'−ジアジドジフェニルスルホン、4,4'−ジアジドジフェニルメタン、2,2'−ジアジドスチルベンなどが挙げられる。
エポキシ化合物としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、クレゾール型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールA型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールF型エポキシ化合物、水素添加ビスフェノールA型エポキシ化合物などのグリシジルエーテル型エポキシ化合物;脂環式エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、イソシアヌレート型エポキシ化合物などの多価エポキシ化合物;などの分子内に二以上のエポキシ基を有する化合物が挙げられる。
イソシアネート基含有化合物としては、例えば、パラフェニレンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの分子内に二以上のイソシアネート基を有する化合物が挙げられる。
カルボキシル基含有化合物としては、例えば、フマル酸、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、ハイミック酸、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバチン酸などの分子内に二以上のカルボキシル基を有する化合物が挙げられる。
酸無水物基含有化合物としては,例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ピロペリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ナジック酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、無水マレイン酸変性ポリプロピレンなどが挙げられる。
ルイス酸としては、例えば、四塩化珪素、塩酸、硫酸、塩化第二鉄、塩化アルミニウム、塩化第二スズ、四塩化チタンなどが挙げられる。
アミノ基含有化合物としては、例えば、トリメチルヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、1,4−ジアミノブタンなどの脂肪族ジアミン類;トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン、アミノエチルエタノールアミンなどの脂肪族ポリアミン類;フェニレンジアミン、4,4'−メチレンジアニリン、トルエンジアミン、ジアミノジトリルスルホンなどの芳香族アミン類;などの分子内に二以上のアミノ基を有する化合物が挙げられる。
本発明においては、熱可塑性樹脂のどの場所(架橋部位)で架橋させるかにより、用いる架橋剤を使い分けることができる。例えば、炭素−炭素二重結合部分で架橋させる場合にはラジカル発生剤を使用することができる。また、カルボキシル基や酸無水物基を有する熱可塑性樹脂を架橋させる場合にはエポキシ化合物を使用することができ、水酸基を有する熱可塑性樹脂を架橋させる場合には、イソシアネート基を含有する化合物を使用でき、エポキシ基を含有する熱可塑性樹脂を架橋させる場合には、カルボキシル基含有化合物や酸無水物基含有化合物を使用することができる。その他、カチオン的に架橋させたい場合には、ルイス酸を架橋剤として使用することもできる。
架橋剤の使用量は特に限定されず、用いる架橋剤の種類に応じて、適宜設定することができる。例えば、架橋剤としてラジカル発生剤を使用する場合には、架橋剤の使用量は、ノルボルネン系モノマー100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。また、架橋剤としてエポキシ化合物を使用する場合には、ノルボルネン系モノマー100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部である。架橋剤の添加量があまりに少ないと架橋が不十分となり、高い架橋密度の架橋樹脂が得られなくなるおそれがある。使用量が多すぎる場合には、架橋効果が飽和する一方で、所望の物性を有する熱可塑性樹脂及び架橋樹脂が得られなくなるおそれがある。
また本発明においては、架橋効果を向上させるために、架橋助剤を架橋剤とともに併用することができる。架橋助剤としては、公知の架橋助剤、例えば、p−キノンジオキシムなどのジオキシム化合物;ラウリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクレートなどのメタクリレート化合物;ジアリルフマレートなどのフマル酸化合物:ジアリルフタレートなどのフタル酸化合物、トリアリルシアヌレートなどのシアヌル酸化合物;マレイミドなどのイミド化合物;などが挙げられる。架橋助剤の使用量は特に制限されないが、ノルボルネン系モノマー100重量部に対して、通常0〜100重量部、好ましくは0〜50重量部である。
(5)ラジカル架橋遅延剤
また本発明においては、架橋剤としてラジカル発生剤を用いる場合には、重合性組成物(A)にラジカル架橋遅延剤を含有させるのが好ましい。ラジカル架橋遅延剤は、一般的にラジカル捕捉機能を有する化合物であり、ラジカル発生剤によるラジカル架橋反応を遅らせる効果を有するものである。重合性組成物(A)にラジカル架橋遅延剤を添加することにより、熱可塑性樹脂を積層する場合の流動性及び熱可塑性樹脂の保存安定性を向上させることができる。
用いるラジカル架橋遅延剤としては、例えば、4−メトキシフェノール、4−エトキシフェノール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−t−ブチルー4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソールなどのアルコキシフェノール類;ヒドロキノン、2−メチルヒドロキノン、2,5−ジメチルヒドロキノン、2−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2,5−ビス(1,1−ジメチルブチル)ヒドロキノン、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ヒドロキノンなどのヒドロキノン類;カテコール、4−t−ブチルカテコール、3,5−ジ−t−ブチルカテコールなどのカテコール類;ベンゾキノン、ナフトキノン、メチルベンゾキノンなどのベンゾキノン類;などが挙げられる。これらの中でも、アルコキシフェノール類、カテコール類、ベンゾキノン類が好ましく、アルコキシフェノール類が特に好ましい。
ラジカル架橋遅延剤の含有量は、ラジカル発生剤1モルに対して、通常0.001〜1モル、好ましくは0.01〜1モルである。
以上に説明したようなノルボルネン系モノマー、メタセシス重合触媒、連鎖移動剤及び架橋剤を含有してなる重合性組成物(A)を調製し、該組成物(A)を塊状重合することにより、熱可塑性樹脂を製造することができる。
重合性組成物(A)を調製する方法に特に制約はないが、例えば、ノルボルネン系モノマー(以下、「モノマー液」という場合がある。)と、メタセシス重合触媒を適当な溶媒に溶解若しくは分散させた溶液(触媒液)とを別々に調製し、反応させる直前に混合して調製する方法が挙げられる。この場合、連鎖移動剤及び架橋剤はモノマー液に添加してもよいし、触媒液に添加してもよい。また、これらをモノマー液と触媒液とを混合した後に添加することもできる。
前記重合性組成物(A)には、各種の添加剤、例えば強化材、改質剤、酸化防止剤、難燃剤、充填剤、着色剤、光安定剤などを含有させることができる。これらの添加剤は、予めモノマー液又は触媒液に溶解又は分散させることができる。
強化材としては、例えば、ガラス繊維、ガラス布、紙基材、ガラス不織布などが挙げられる。改質剤としては、例えば、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)及びこれらの水素化物などのエラストマーなどが挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、アミン系などの各種のプラスチック・ゴム用酸化防止剤などが挙げられる。これらの酸化防止剤は単独で用いてもよいが、二種以上を組合せて用いることが好ましい。
難燃剤としては、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物系難燃剤などが挙げられる。難燃剤は単独で用いてもよいが、二種以上を組合せて用いることが好ましい。
充填材としては、例えば、ガラス粉末、カーボンブラック、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、雲母、アルミナ、二酸化チタン、ジルコニア、ムライト、コージライト、マグネシア、クレー、硫酸バリウム等の無機質充填材、木粉、ポリエチレン粉等の有機充填材を使用できる。また、黒鉛粉、木炭粉、竹炭粉、金属粉等を使用すると導電性や電磁波遮蔽性を向上させることができる。チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、ジルコン酸鉛等の粉末を使用すると比誘電率を増大させることができる。Mn−Mg−Zn系、Ni−Zn系、Mn−Zn系等のフェライト、カルボニル鉄、鉄−珪素系合金、鉄−アルミニウム−珪素系合金、鉄−ニッケル系合金等の強磁性金属粉等を使用すると強磁性を付与することができる。また、充填材は、シランカップリング剤等で表面処理したものを用いることもできる。
着色剤としては、染料、顔料などが用いられる。染料の種類は多様であり、公知のものを適宜選択して使用すればよい。また、顔料としては、例えば、カーボンブラック、黒鉛、黄鉛、酸化鉄黄色、二酸化チタン、酸化亜鉛、四酸化三鉛、鉛丹、酸化クロム、紺青、チタンブラックなどが挙げられる。光安定剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オギザニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤などが挙げられる。
これらの添加剤の使用量は、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して、通常0.001〜100重量部である。
重合性組成物(A)を塊状重合する方法としては、例えば、(a)重合性組成物(A)を支持体上に注ぐか又は塗布し、塊状重合する方法、(b)重合性組成物(A)を型内で塊状重合する方法、(c)重合性組成物(A)を繊維材料に含浸させた後、塊状重合する方法が挙げられる。
(a)の方法によれば、熱可塑性樹脂フィルムが得られる。ここで用いる支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ナイロンなどの樹脂;鉄、ステンレス、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、金、銀などの金属材料;などが挙げられる。その形状は特に限定されないが、金属箔又は樹脂フィルムの使用が好ましい。これら金属箔又は樹脂フィルムの厚さは、作業性などの観点から、通常1〜150μm、好ましくは2〜100μm、より好ましくは3〜75μmである。
重合性組成物(A)の支持体表面への塗布方法は特に制限されず、例えば、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スリットコート法などの公知の塗布方法が挙げられる。
重合性組成物(A)を所定温度に加熱する方法としては特に制約されず、加熱プレート上に支持体を載せて加熱する方法、プレス機を用いて加圧しながら加熱(熱プレス)する方法、加熱したローラーで押圧する方法、加熱炉を用いる方法などが挙げられる。
以上のようにして得られる熱可塑性樹脂フィルムの厚みは、通常15mm以下、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下である。
(b)の方法によれば、任意の形状の熱可塑性樹脂成形体を得ることができる。その形状としては、シート状、フィルム状、柱状、円柱状、多角柱状等が挙げられる。
ここで用いる成形型としては、従来公知の成形型、例えば、割型構造すなわちコア型とキャビティー型を有する成形型を用いることができ、それらの空隙部(キャビティー)に反応液を注入して塊状重合させる。コア型とキャビティー型は、目的とする成形品の形状にあった空隙部を形成するように作製される。また、成形型の形状、材質、大きさなどは特に制限されない。また、ガラス板や金属板などの板状成形型と所定の厚みのスペーサーとを用意し、スペーサーを2枚の板状成形型で挟んで形成される空間内に反応液を注入することにより、シート状又はフィルム状の熱可塑性樹脂成形体を得ることができる。
反応液を成形型のキャビティー内に充填する際の充填圧力(射出圧)は、通常0.01〜10MPa、好ましくは0.02〜5MPaである。充填圧力が低すぎると、キャビティー内周面に形成された転写面の転写が良好に行われない傾向にあり、充填圧が高すぎると、成形型の剛性を高くしなければならず経済的ではない。型締圧力は通常0.01〜10MPaの範囲内である。
(c)の方法によれば、熱可塑性樹脂含浸プリプレグを得ることができる。ここで用いる繊維材料の材質は、有機及び/又は無機の繊維であり、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、アミド繊維、金属繊維、セラミック繊維などの公知のものが挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。繊維材料の形状としては、マット、クロス、不織布などが挙げられる。
重合性組成物(A)を繊維材料に含浸させるには、例えば、重合性組成物(A)の所定量を、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スリットコート法等の公知の方法により繊維材料に塗布し、必要に応じてその上に保護フィルムを重ね、上側からローラーなどで押圧することにより行うことができる。重合性組成物(A)を繊維材料に含浸させた後は、得られた重合性組成物(A)の含浸繊維材料(含浸物)を所定温度に加熱することにより、塊状重合させて熱可塑性樹脂含浸プリプレグが得られる。
含浸物の加熱方法は特に限定されず、前記(a)の方法と同様の方法が採用でき、含浸物を支持体上に設置して加熱してもよい。また、繊維材料を設置した型内に重合性組成物(A)を注入し、重合性組成物(A)を含浸させてから前記(b)の方法に従い塊状重合してもよい。
重合性組成物(A)は従来の樹脂ワニスと比較して低粘度であり、繊維材料に対して含浸性に優れるので、得られるプリプレグは繊維材料に熱可塑性樹脂が均一に含浸してなるものである。また、このプリプレグは、重合性組成物(A)を含浸させた後、所定温度に加熱して塊状重合することにより得られるものであるため、従来のように、樹脂ワニスを含浸させた後、溶剤を除去する工程が不要であって、生産性に優れ、残存溶媒による臭気やフクレ等の問題も生じない。さらに、本発明の熱可塑性樹脂は保存安定性に優れるので、得られるプリプレグも保存安定性に優れる。
上記(a)、(b)及び(c)のいずれの方法においても、重合性組成物(A)を重合させるための加熱温度は、通常50〜200℃、好ましくは100〜200℃である。重合時間は適宜選択すればよいが、通常、10秒から20分、好ましくは5分以内である。
重合性組成物(A)を所定温度に加熱することにより重合反応が開始する。この重合反応は発熱反応であり、一旦塊状重合が開始すると、反応液の温度が急激に上昇し、短時間(例えば、10秒から5分程度)でピーク温度に到達する。重合反応時の最高温度があまりに高くなると、重合反応のみならず、架橋反応も進行して、後架橋可能な熱可塑性樹脂が得られないおそれがある。したがって、重合反応のみを完全に進行させ、架橋反応が進行しないようにするためには、塊状重合のピーク温度を、通常230℃未満、好ましくは200℃未満に制御する必要がある。
この場合、前記架橋剤としてラジカル発生剤を使用する場合には、塊状重合時のピーク温度を前記ラジカル発生剤の1分間半減期温度以下とするのが好ましい。ここで、1分間半減期温度は、ラジカル発生剤の半量が1分間で分解する温度である。例えば、ジ−t−ブチルペルオキシドでは186℃、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシンでは194℃である。
また、重合反応熱による過熱を防止するために、重合性組成物(A)に反応遅延剤を添加することにより、ゆっくりと反応させることもできる。
用いる反応遅延剤としては、例えば、1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン、(シス,シス)−2,6−オクタジエン、(シス,トランス)−2,6−オクタジエン、(トランス,トランス)−2,6−オクタジエンなどの鎖状1,5−ジエン化合物;(トランス)−1,3,5−ヘキサトリエン、(シス)−1,3,5−ヘキサトリエン、(トランス)−2,5−ジメチル−1,3,5−ヘキサトリエン、(シス)−2,5−ジメチル−1,3,5−ヘキサトリエンなどの鎖状1,3,5−トリエン化合物;トリフェニルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィンなどのホスフィン類;アニリンなどのルイス塩基;などが挙げられる。
また、前記した環状オレフィン系モノマーのうち、分子内に1,5−ジエン構造や1,3,5−トリエン構造を有する環状オレフィンは反応遅延剤としても働く。例えば、1,5−シクロオクタジエン、1,5−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン、1,3,5−シクロヘプタトリエン、(シス,トランス,トランス)−1,5,9−シクロドデカトリエン、4−ビニルシクロヘキセン、ジペンテンなどの単環式化合物;5−ビニル−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−(1−プロペニル)−2−ノルボルネンなどの多環式化合物;などが挙げられる。
反応遅延剤の添加割合は、前記モノマー液に対して0.001〜5重量%、好ましくは0.002〜2重量%の範囲である。反応遅延剤の添加割合が0.001重量%未満であると、反応遅延効果が発揮されない。逆に5重量%を超える場合には、重合物に残存する反応遅延剤によって物性が低下したり、重合反応が十分に進行しなくなるおそれがある。
2)熱可塑性樹脂
本発明の熱可塑性樹脂は、本発明の製造方法により得られるものであり、後架橋可能な樹脂である。ここで「後架橋可能な」とは、熱可塑性樹脂を加熱・溶融し、さらに加熱を継続することで、架橋反応が進行して架橋樹脂になるという意味である。
本発明の熱可塑性樹脂は、塊状重合はほぼ完全に進行しているため、残留モノマーが少なくなっている。すなわち、重合反応率が高いので、モノマーに由来する臭気により、作業環境が悪化することがない。本発明の熱可塑性樹脂の重合反応率は、通常80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。熱可塑性樹脂の重合反応率は、例えば、熱可塑性樹脂を溶媒に溶解して得られた溶液をガスクロマトグラフィーにより分析することで求めることができる。
塊状重合により得られる樹脂が溶媒に溶解することで、この樹脂が熱可塑性樹脂であることを確認することができる。すなわち、得られた樹脂が溶媒に溶解するものであれば、熱可塑性樹脂であり、溶解しないものであれば、架橋樹脂である。前記溶媒としては、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素が挙げられる。
また、本発明の熱可塑性樹脂は、全体が後架橋可能な熱可塑性樹脂でなくてもよく、一部分が架橋樹脂になっているものであってもよい。すなわち、ノルボルネン系モノマーを塊状重合して、一定の厚みを有する樹脂成形物を得る場合には、該成形物の中心部分は重合反応熱が発散しにくいので、部分的に重合反応温度が高くなる場合があるが、このような場合であっても、少なくとも表面部分が後架橋可能な熱可塑性樹脂であればよい。
本発明の熱可塑性樹脂は、塊状重合がほぼ完全に進行して得られるものであるので、熱可塑性樹脂の保存中に塊状重合(メタセシス開環重合)が進行することがない。また、架橋剤を含有しているにもかかわらず、加熱溶融しない限りは架橋反応も進行しない。従って、熱可塑性樹脂の表面硬度が保存中に変化しにくく、保存安定性に優れる。特に、重合性組成物(A)に架橋剤としてラジカル発生剤とラジカル架橋遅延剤とを含有する重合性組成物(A)を塊状重合して得られるものは、保存安定性に優れている。
3)架橋樹脂の製造方法
本発明の架橋樹脂の製造方法は、本発明の熱可塑性樹脂を架橋する工程を有することを特徴とする。すなわち、本発明の熱可塑性樹脂を加熱溶融し、さらに加熱を継続することで架橋反応を進行させて架橋樹脂を得ることができる。熱可塑性樹脂を架橋させるときの温度は、前記塊状重合時のピーク温度より20℃以上高いのが好ましく、通常170〜250℃、好ましくは180〜220℃である。また、架橋する時間は特に制約されないが、通常数分から数時間である。
熱可塑性樹脂を架橋する方法としては、熱可塑性樹脂が溶融して架橋するものであれば特に制約されない。熱可塑性樹脂がシート状又はフィルム状の成形物である場合には、該成形物を必要に応じて積層し、熱プレスする方法が好ましい。熱プレスするときの圧力は、通常0.5〜20MPa、好ましくは3〜10MPaである。熱プレスする方法は、例えば、平板成形用のプレス枠型を有する公知のプレス機、シートモールドコンパウンド(SMC)やバルクモールドコンパウンド(BMC)などのプレス成形機を用いて行なうことができ、生産性に優れる。
4)架橋樹脂複合材料の製造方法
本発明の架橋樹脂複合材料の製造方法は、本発明の熱可塑性樹脂を基材と積層し、前記熱可塑性樹脂を架橋する工程を有する。
用いる基材としては、銅箔、アルミ箔、ニッケル箔、クロム箔、金箔、銀箔などの金属箔;プリント配線板;導電性ポリマーフィルム、他の樹脂フィルムなどのフィルム類;などが挙げられる。なお、熱可塑性樹脂を前記(a)の方法で製造した場合には、支持体を基材としてそのまま用いてもよい。
前記熱可塑性樹脂を架橋する方法としては特に制限されないが、生産性よく架橋樹脂複合材料を製造する上では、熱可塑性樹脂と基材とを積層したものを熱プレスする方法が好ましい。熱プレスの条件は、前記架橋樹脂を製造する場合と同様である。
本発明で得られる熱可塑性樹脂は流動性及び密着性に優れるため、基材と積層して架橋することで、平坦性に優れ、かつ、基材と架橋樹脂とが強固に接着し、良好な密着性を有する架橋樹脂複合材料を得ることができる。
本発明の架橋樹脂複合材料の製造方法は、前記基材として金属箔、好ましくは銅箔を用いて金属箔張積層板を製造するのに好適である。ここで用いる金属箔の厚みや粗化状態は、特に制限されず、使用目的に応じて適宜選定することができる。また、金属箔の表面はシランカップリング剤、チオール系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、各種接着剤などで処理されていてもよく、下記式(8)で表されるシランカップリング剤又は式(9)で表されるチオール系カップリング剤で処理されていることが好ましい。
Figure 2004244609
式(8)で表されるシランカップリング剤において、式中、Rは、末端に二重結合、メルカプト基又はアミノ基のいずれかを有する基を表し、X,Yはそれぞれ独立して加水分解性基、水酸基又はアルキル基を表す。Zは加水分解性基又は水酸基を表す。
式(8)で表されるシランカップリング剤の具体例としては、アリルトリメトキシシラン、3−ブテニルトリメトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、N−β−(N−(ビニルベンジル)アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩、アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、スチリルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、β−メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、β−メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、δ−メタクリロキシブチルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
式(9)で表されるチオール系カップリング剤において、式中、Tは、芳香環、脂肪族環、複素環又は脂肪族鎖を表し、nは2以上の整数を表す。
式(9)で表されるチオール系カップリング剤としては、例えば、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアゾール、2,4−ジメルカプト−6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジメルカプト−6−アニリノ−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
熱可塑性樹脂と金属箔とを重ね合わせて熱プレスを行なうと、熱可塑性樹脂が一旦溶融して金属箔と接着し、その後架橋反応が進行して架橋樹脂となる。本発明の製造方法によれば、架橋樹脂と金属箔とが強固に接合してなる架橋樹脂金属箔張積層板を得ることができる。得られる架橋樹脂金属箔張積層板の金属箔の引き剥がし強さは、例えば、金属箔として銅箔を用いた場合、JIS C6481に基づいて測定した値で、好ましくは0.8kN/m以上、より好ましくは1.2kN/m以上である。
本発明の架橋樹脂複合材料の製造方法は、前記基材としてプリント配線板を用いて、多層プリント配線板を製造するのにも好適である。ここで用いるプリント配線板としては、通常の回路用プリント配線板であれば特に制限されず、公知のものを使用できる。例えば、外層材(片面銅張積層板など)、内層材(両面プリント配線板など)を前記プリプレグを介して重ね合わせ、加圧加熱することで、多層プリント配線板を製造することができる。
本発明により得られる架橋樹脂複合材料は、電気絶縁性、機械的強度、耐熱性、誘電特性などに優れるノルボルネン系樹脂が基材と強固に接着し、かつ良好な密着性を有するので、電気材料として好適である。
また、本発明によれば、電気絶縁性、機械的強度、密着性に優れるノルボルネン系樹脂がプリント配線板と強固に接着された多層プリント配線板を効率よく製造することができる。
次に実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特に断りのない限り、重量基準である。
銅張積層板の銅箔引き剥がし強さ及び銅箔除去後の曲げ強度、並びに曲げ弾性率は、JIS C6481に基づいて測定した。
実施例1
ガラス製フラスコ中で、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド51部と、トリフェニルホスフィン79部とを、トルエン952部に溶解させて触媒液を調製した。
100mlのポリエチレン製の瓶(外径50mm)に、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン38.5部及び5−エチリデン−2−ノルボルネン18.5部からなるモノマー液、連鎖移動剤としてスチレン0.39部、架橋剤としてジ−t−ブチルペルオキシド(1分間半減期温度186℃)0.51部、及び上記触媒液0.197部を攪拌しながら加えて、重合性組成物1を調製した。
次いで、この重合性組成物1を金型内に圧送した。ここで、金型として、2.2mm×120mm×120mmの平板成形用で、ヒーター付きクロームメッキ鉄板にコ字型スペーサーを挟んだものを用いた。金型温度は、片面は68℃、もう一方の面は50℃にセットした。
重合性組成物1を金型内に圧送した後2分で脱型し、平板を取り出した。この平板を直径10mmの円盤状に切り取り、トルエンに一日浸漬したところ、表面部分は溶解したが、板厚中央部分は溶解せずに残った。このことより、得られた平板の中央部は架橋が進行している一方で、表面部分は未架橋のままであることが分かった。
この平板の表面部分を両面0.2mmの厚さだけ削り取り、削った試料を合わせてトルエンに溶解させて、ガスクロマトグラフィーによって残留モノマーを定量して重合反応率を計算すると、95%であった。
また、得られた平板を87mm×87mmの正方形に切り出し、2mm×90mm×90mmの平板成形用ロの字型のプレス枠を用いて、片面(重合時に型温が50℃であった方の面)に、電解銅箔(Type GTS、厚み0.0018mm、古河サーキットフォイル社製)を重ね合わせ、熱プレスして、板厚み2mmの片面銅張積層板を得た。熱プレスの条件は、プレス温度200℃×15分、プレス圧5MPaとした。
得られた銅張積層板の銅箔引き剥がし強さは1.2kN/mであった。
銅箔引き剥がし強さを測定後において、銅箔が剥がれた樹脂部分を直径10mmの円盤状に切り取り、トルエンに一日浸漬したところ、プレス前の試験に見られたような表面の溶解は起こらず、全体的に膨潤するのみであった。
また、銅箔引き剥がし強さ測定後の銅箔が剥がれた樹脂部分を260℃のハンダ槽に20秒間浮かばせても、ガスの発生や変形は見られなかった。
以上より、熱プレスによって、樹脂の表面部分が一旦溶融して銅箔と接着し、その後架橋して、高い耐熱性を有する架橋樹脂が得られたことが分かった。
比較例1
ジ−t−ブチルペルオキシドを添加しない以外は、実施例1と同様に成形して、2.2mm厚みの平板を得た。得られた平板を用いて実施例1と同様にして板厚み2mmの片面銅張積層板を得た。この片面銅張り板の銅箔の引き剥がし強さは1.1kN/mであった。
銅箔引き剥がし強さを測定後において、銅箔が剥がれた樹脂部分を、直径10mmの円盤状に切り取り、トルエンに一日浸漬したところ、完全に溶解した。また、銅箔引き剥がし強さ測定後の銅箔が剥がれた樹脂部分を260℃のハンダ槽に20秒間浮かばせたところ、溶融・変形し、表面からガスの発生が見られた。以上より、ジ−t−ブチルペルオキシドなどの架橋剤を添加しない場合は、熱可塑性樹脂を加熱溶融させても、架橋反応が進行せず、架橋樹脂を得ることができないため、得られた銅張積層板は耐熱性が劣ることが分かった。
比較例2
スチレンを添加しない以外は、実施例1と同様に成形して2.2mm厚みの平板を得た。得られた平板を直径10mmの円盤状に切り取り、トルエンに一日浸漬したところ、実施例1に見られたような表面の溶解は起こらず、全体的に膨潤するのみであった。
また、この平板を用いて実施例1と同様にして板厚み2mmの片面銅張積層板を得た。この片面銅張り板の銅箔の引き剥がし強さは0.2kN/mであった。
以上より、スチレンなどの連鎖移動剤を添加しない場合は,熱可塑性樹脂を得ることができず、銅箔と溶融・接着しないことが分かった。
実施例2
ガラス瓶に、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンを25部、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸を8部、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量420〜480g/eq、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:AER8049)を8.2部、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量210g/eq、大日本インキ化学(株)製、商品名:EXA−7015)を4.9部、及び連鎖移動剤としてスチレンを0.2部加えて、80℃のオイルバスで加熱・撹拌して、モノマー液1を得た。
ガラス瓶に撹拌子を入れ、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシル)ルテニウムジクロリドを0.00047部、トリフェニルホスフィン0.00062部を加えた。トルエン0.013部を加えて溶解させた後、激しく撹拌しながらモノマー液1を3部加えた。60℃のウォーターバスで加温したところ、加温してから47秒後に重合発熱によるミストの生成が観測され、重合反応が完結した。
得られた重合物はテトラヒドロフランに溶解したので、未架橋であることが分かった。重合物の一部をテトラヒドロフランに溶解させ、ガスクロマトグラフィーによって残留モノマーを定量して重合反応率を計算すると、91%であった。重合物を面板ヒーターで徐々に加熱したところ、210℃で融解して流動するようになったが、更に温度を上げていくと、250℃で流動性がなくなりゴム状物となった。
実施例3
100mlのナス型フラスコに、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンを26部、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物を4.2部、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(AER8049)を5.2部、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EXA−7015)を3.1部、及び連鎖移動剤としてスチレンを0.18部を加えて、80℃のオイルバスで加熱・撹拌して、モノマー液2を得た。
ガラス瓶に撹拌子を入れ、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシル)ルテニウムジクロリドを0.00047部、トリフェニルホスフィン0.0037部を加えた。トルエン0.013部を加えて均一な溶液とした後、激しく撹拌しながらモノマー液2を3部加えた。そのまま70℃のウォーターバスで加温したところ、加温してから47秒後に重合発熱によるミストの生成が観測され、重合反応が完結した。
得られた重合物はクロロホルムに溶解したので、未架橋であることが分かった。重合物溶液のガスクロマトグラフィーによる残留モノマーを定量したところ、ノルボルネン系モノマー全体(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレン+5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物)の反応率は98%であった。重合物を面板ヒーターで徐々に加熱したところ、170℃で融解して流動するようになったが、更に温度を上げていくと、230℃で流動性がなくなりゴム状物となった。
実施例4
100mlのポリエチレン製の瓶に3,5−ジ−t−ブチルヒドロキシアニソール2089mg、テトラシクロ[6.2.13,6.02,7]ドデカ−4−エンを22.5g、2−ノルボルネンを7.5g、メタクリル酸アリルを0.74ml、ジ−t−ブチルペルオキシド(1分間半減期温度186℃)を0.43ml入れ、実施例1の触媒溶液を0.12ml加えて撹拌し、重合性組成物2を調製した。
ガラス繊維強化PTFE樹脂フィルム(300mm×300mmに切断したもの。厚み0.08mm。商品番号:5310、サンゴバン・ノートン社製)の上にガラスクロス(200mm×200mmに切断したもの、厚み0.092mm。品名:2116/350/AS891AW、旭シュエーベル社製)3枚を敷き、重合性組成物2を約半量ガラスクロス上に注ぎ、上からもう1枚の上記のガラス繊維強化PTFE樹脂フィルムで覆い、ローラーで押圧して含浸させた。
これをガラス繊維強化PTFE樹脂フィルムごと、145℃に加熱したアルミニウム板に1分間貼り付けて、重合させた。その後、両面のガラス繊維強化PTFE樹脂フィルムを剥がしてプリプレグを得た。
得られたプリプレグの一部を白金るつぼに入れて、電気炉で樹脂部分を燃焼させて、残ったガラス重量からガラス含有率を求めると、58%であった。また、このプリプレグの一部をトルエンに浸漬し、樹脂部分を溶解させ、溶解液のガスクロマトグラフィーにより残留モノマーを定量し、これとガラス含有率から重合反応率を計算すると、97%であった。
蒸留水60gに酢酸を0.05部加え、さらにビニル−トリ(2−メトキシエトキシ)シラン(商品名:A−172、日本ユニカー(株)製)を0.18g加えて、10分間撹拌して加水分解・溶解させた。こうして得たシランカップリング剤溶液を脱脂綿に含ませ、電解銅箔(粗面GTS処理品、厚み0.018mm、古河サーキットフォイル(株)製)の粗面に塗布し、窒素雰囲気下、130℃で1時間乾燥した。
上記プリプレグ(87mm×87mmに切断したもの)を3枚、内側の寸法が90mm×90mmのロの字型型枠(厚み1mm)に入れ、両面から上記シランカップリング剤処理銅箔(115mm×115mmに切断したもの)でプリプレグ側が粗面となるように挟み、プレス圧4.1MPaで200℃、15分間熱プレスした。その後、プレス圧をかけたまま冷却し、100℃以下になってからサンプルを取り出し、両面銅張積層板を得た。
この両面銅張積層板の銅箔の引き剥がし強さを測定したところ、1.6kN/mであった。また、260℃のハンダ浴で20秒間ハンダ耐熱試験を行ったところ、フクレは見られなかった。
銅箔除去後の繊維強化樹脂部分(厚み1.5mm)の曲げ試験を行ったところ、曲げ弾性率は12GPa、曲げ強さは385MPaとなった。また、インピーダンスアナライザー(型番号:E4991、アジレント社製)で誘電率、誘電正接を測定したところ、100MHzではそれぞれ3.5、0.0013であり、13.1GHzではそれぞれ3.5、0.0022となった。
実施例5
100m1のポリエチレン製の瓶にヒュームドシリカ(商品名:アエロジル200、日本アエロジル(株)製)を0.6g、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンを22.5g、2−ノルボルネンを7.5g、メタクリル酸スチリルを1.0g、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン(1分間半減期温度194℃)を0.36g入れ、実施例1の触媒溶液を0.12ml加え撹拌し、重合性組成物3を調製した。
蒸留水60gに酢酸を0.05部加え、さらにスチリルトリメトキシシラン(商品名:KEM−1403、信越化学(株)製)を0.18g加えて1時間撹拌して加水分解・溶解させた。このシランカップリング剤溶液を脱脂綿に含ませ、電解銅箔(実施例4で使用のもの)の粗面に塗布し、窒素雰囲気下、130℃で1時間乾燥した。
塗装用ローラーを用いて、上記電解銅箔(220mm×220mmの大きさに切断したもの)の粗面に重合性組成物3を塗布し、上からガラス繊維強化PTFE樹脂フィルム(実施例4で使用のもの)で覆い、銅箔側を145℃に加熱したアルミニウム板に1分間貼り付けて、重合させた。その後、ガラス繊維強化PTFE樹脂フィルムを剥がして樹脂付銅箔を得た。
この樹脂付銅箔の一部をトルエンに浸漬して樹脂部分を溶解させ、溶解液のガスクロマトグラフィーにより残留モノマーを定量し、これと残った銅箔重量から重合反応率を計算すると、97%であった。
銅箔表面を、表面粗化剤CZ−8100(メック社製)を用いてマイクロエッチング処理したガラスエポキシ両面銅張積層板(厚み1mm、80mm×80mmに切断したもの)を、上記樹脂付銅箔で樹脂側が内側になるように挟み、プレス圧5.2MPaで200℃、15分間熱プレスした。その後、プレス圧をかけたまま冷却し、100℃以下になってからサンプルを取り出し、多層銅張積層板を得た。
この多層銅張積層坂の裏面の銅箔の引き剥がし強さを測定したところ、1.6kN/mであった。また、銅箔を引き剥がした後の表面樹脂層について、内側の銅箔との密着性を碁盤目試験(JIS K 5400)で確認したところ、ハガレはなかった。
また、実施例4と同様にして作った両面銅張積層板から、過硫酸アンモニウム水溶液でエッチングして銅を取り除いた板(厚み1.4mm、80mm×80mmに切断したもの)について、上記樹脂付き銅箔で樹脂側が内側になるように挟み、プレス圧5.2MPaで200℃、15分間熱プレスした。その後、プレス圧をかけたまま冷却し、100℃以下になってからサンプルを取り出し、両面銅張積層板を得た。
この両面銅張積層板の表面の銅箔の引き剥がし強さを測定したところ、1.6kN/mであった。また、銅箔を引き剥がした後の表面樹脂層について、内側の樹脂層との密着性を碁盤目試験(JIS K 5400)で確認したところ、剥がれはなかった。
実施例6
100mlのポリエチレン製の瓶に、ヒュ−ムドシリカ(アエロジル200)を0.6g、テトラシクロ〔6.2.1.13,6.02,7〕ドデカ−4−エンを12g、2−ノルボルネンを5.4g、ジシクロペンタジエンを12g、スチレンを0.40ml、ジ−t−ブチルペルオキシドを0.43ml入れ、実施例1の触媒溶液を0.12ml加え撹拌し、重合性組成物4を調製した。
塗装用ローラーを用いて、ガラスクロス強化PTFE樹脂フィルム(実施例4で使用のもの)の上面に重合性組成物4を塗布し、上からもう一枚のガラスクロス強化PTFE樹脂フィルムをかぶせ、145℃に加熱したアルミニウム板に1分間貼り付けて、重合させた。その後、ガラスクロス強化PTFE樹脂フィルムを剥がして樹脂フィルムを得た。
このフィルムの一部をトルエンに浸漬して樹脂部分を溶解させ、溶解液のガスクロマトグラフィーより残留モノマーを定量し重合反応率を計算すると、98%であった。
上記で得た樹脂フィルムを用いた他は実施例5と同様にして、表面に架橋樹脂が接着した両面銅張積層板を得た。表面樹脂層について、内側の銅箔との密着性を碁盤目試験(JIS K 5400)で確認したところ、ハガレはなかった。
実施例7〜12
シランカップリング剤として、第1表に示すものを使用した他は実施例4と同様に操作した。得られた両面銅張積層板の銅箔引き剥がし強さを測定した結果を第1表に示す。ただし、実施例9及び12では、酢酸を使用せずに、シランカップリング剤溶液を調製した。
実施例13
シランカップリング剤溶液の代わりに、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジンの0.3%テトラヒドロフラン溶液を用いた他は、実施例4と同様に操作した。得られた両面銅張積層板の銅箔引き剥がし強さを測定した結果を第1表に示す。
実施例14〜16
連鎖移動剤としてメタクリル酸アリルの代わりに、メタクリル酸スチリル、1−オクテン又はスチレンを使用する以外は、実施例8と同様に操作して、それぞれ実施例14,15,16とした。銅箔引き剥がし強さは、それぞれ1.5kN/m,1.1kN/m、1.1kN/mとなった。
これより、メタクリロイル基を有する連鎖移動剤を使用した場合は、銅箔と樹脂との接着がより強固になることが分かる。
Figure 2004244609

Claims (16)

  1. ノルボルネン系モノマー、メタセシス重合触媒、連鎖移動剤及び架橋剤を含む重合性組成物(A)を、塊状重合することを特徴とする後架橋可能な熱可塑性樹脂の製造方法。
  2. 前記ノルボルネン系モノマーの重合反応率が80%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性樹脂の製造方法。
  3. 前記連鎖移動剤として、式:CH=CH−Q(式中、Qはメタクリロイル基、アクリロイル基、ビニルシリル基、エポキシ基及びアミノ基から選ばれる基を少なくとも一つ有する基を示す。)で表される化合物を用いることを特徴とする、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂の製造方法。
  4. 前記ノルボルネン系モノマーとして、カルボキシル基又は酸無水物基を有するノルボルネン系モノマーを含むノルボルネン系モノマー混合物を用い、かつ前記架橋剤としてエポキシ化合物を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂の製造方法。
  5. 前記架橋剤としてラジカル発生剤を用い、該ラジカル発生剤の1分間半減期温度以下の反応温度で、重合性組成物(A)を塊状重合することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂の製造方法。
  6. 前記重合性組成物(A)として、さらにラジカル架橋遅延剤を含むものを用いることを特徴とする請求項5に記載の熱可塑性樹脂の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られる後架橋可能な熱可塑性樹脂。
  8. 前記重合性組成物(A)を支持体上で塊状重合することにより、フィルム状に成形してなる請求項7に記載の熱可塑性樹脂。
  9. 前記支持体が、金属箔又は樹脂フィルムである請求項8に記載の熱可塑性樹脂。
  10. 前記重合性組成物(A)を型内で塊状重合することにより、所定の形状に成形してなる請求項7に記載の熱可塑性樹脂。
  11. 前記重合性組成物(A)を繊維材料に含浸させた後、塊状重合して得られる請求項7に記載の熱可塑性樹脂。
  12. 請求項7〜11のいずれかに記載の熱可塑性樹脂を架橋する工程を有する架橋樹脂の製造方法。
  13. 請求項7〜11のいずれかに記載の熱可塑性樹脂を基材と積層し、熱可塑性樹脂部分を架橋する工程を有する架橋樹脂複合材料の製造方法。
  14. 前記基材として金属箔を用いる請求項13に記載の架橋樹脂複合材料の製造方法。
  15. 前記金属箔が、下記式(8)で表されるシランカップリング剤又は下記式(9)で表されるチオール系カップリング剤で処理されたものである請求項14に記載の架橋樹脂複合材料の製造方法。
    Figure 2004244609
    (式中、Rは末端に二重結合、メルカプト基又はアミノ基のいずれかを有する基を表し、X,Yはそれぞれ独立して加水分解性基、水酸基又はアルキル基を表し、Zは加水分解性基又は水酸基を表す。また、Tは芳香環、脂肪族環、複素環又は脂肪族鎖のいずれかを表し、nは2以上の整数を表す。)
  16. 前記基材としてプリント配線板を用いる請求項13に記載の架橋樹脂複合材料の製造方法。
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