JP2008150569A - 重合性組成物および架橋性樹脂並びにそれの製造方法 - Google Patents
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- SRFQEDAOOIGAIP-UHFFFAOYSA-N CCC1(C)OOC(C)(C)OO1 Chemical compound CCC1(C)OOC(C)(C)OO1 SRFQEDAOOIGAIP-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
Abstract
Description
本発明は、重合性組成物および架橋性樹脂並びにそれの製造方法に関する。より詳細には、電気回路基板に使用する電気材料等として好適な架橋性樹脂を得ることができる重合性組成物、およびそれを用いて得られる架橋性樹脂、架橋性樹脂等の製造方法、並びに電気絶縁性、密着性、機械的強度、耐熱性、誘電特性などに優れた架橋体、複合体、積層体などに関する。
熱可塑性ノルボルネン系樹脂を有機過酸化物などの架橋剤で架橋させることによって架橋成形品が得られることが知られている。例えば、特許文献1には、熱可塑性水素化開環ノルボルネン系樹脂に、有機過酸化物および架橋助剤を添加し、均一に分散させてノルボルネン系樹脂組成物を得、この組成物をフィルムやプリプレグに成形し、基板と積層し、次いで加熱加圧成形して架橋・熱融着させて、架橋成形品が得られることが記載されている。そして特許文献1には、該架橋成形品が層間絶縁膜、防湿層形成用フィルムなどとして有用であると記載されている。
特開平6−248164号公報
特許文献2には、ノルボルネン系モノマーを、ルテニウムカルベン錯体および架橋剤の存在下にメタセシス重合させて、ポリシクロオレフィンを製造し、次いで、後硬化(後架橋)させる方法が開示されている。この特許文献2の方法によって高密度に架橋したポリマーが得られると教示している。
特表平11−507962号公報
さらに、特許文献3には、ノルボルネン系モノマー、メタセシス重合触媒、連鎖移動剤および架橋剤を含む重合性組成物を塊状重合して架橋性の熱可塑性樹脂を得、この架橋性熱可塑性樹脂を基板等に積層し、架橋して、複合材料を得られることが開示されている。
特開2004−244609号公報
本発明者の検討によると、上記特許文献に開示されている方法で得られる、架橋体と基板とが積層されてなる積層体は、架橋体が基板表面の凹凸に対応して埋め込まれ難く、基板と架橋体との密着性が低くなることがあった。また周波数1GHzにおける誘電損失が大きく、高周波用の回路基板への適用が制限されることがあった。
本発明の目的は、電気回路基板に使用する電気材料等として好適な架橋性樹脂を得ることができる重合性組成物、およびそれを用いて得られる架橋性樹脂、架橋性樹脂等の製造方法、並びに電気絶縁性、密着性、機械的強度、耐熱性、誘電特性などに優れた架橋体、複合体、積層体などの用途を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、ノルボルネン系モノマー、メタセシス重合触媒、および架橋剤を含む重合性組成物において、該架橋剤として特定構造を有する過酸化物を用いることによって、電気絶縁性、密着性、機械的強度、耐熱性、誘電特性などに優れた架橋体が得られることを見出した。本発明は、この知見に基づき、さらに検討し、完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、以下の態様を含むものである。
(1) ノルボルネン系モノマー、メタセシス重合触媒、および式(A)で表される構造を有する過酸化物を含む重合性組成物。
(1) ノルボルネン系モノマー、メタセシス重合触媒、および式(A)で表される構造を有する過酸化物を含む重合性組成物。
但し、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、またはアルキル基であり、R1およびR2がアルキル基である場合は互いに結合して環を形成していてもよい。
(2) 式(A)で表される構造を有する過酸化物において、R1およびR2が、ぞれぞれ独立に鎖状アルキル基である、前記の重合性組成物。
(3) 前記過酸化物が、式(B)で表される構造の環状過酸化物である、前記の重合性組成物。
(2) 式(A)で表される構造を有する過酸化物において、R1およびR2が、ぞれぞれ独立に鎖状アルキル基である、前記の重合性組成物。
(3) 前記過酸化物が、式(B)で表される構造の環状過酸化物である、前記の重合性組成物。
但し、nは自然数である。
(4) 前記過酸化物は、1分間半減期温度が150℃〜350℃である前記の重合性組成物。
(5) さらに、連鎖移動剤を含む前記の重合性組成物。
(6) 前記連鎖移動剤が式(C):CH2=CH−Y−OCO−CR9=CH2で表される化合物である、前記の重合性組成物。
(式中、Yはアルキレン基を、R9は水素原子またはメチル基を表す。)
(4) 前記過酸化物は、1分間半減期温度が150℃〜350℃である前記の重合性組成物。
(5) さらに、連鎖移動剤を含む前記の重合性組成物。
(6) 前記連鎖移動剤が式(C):CH2=CH−Y−OCO−CR9=CH2で表される化合物である、前記の重合性組成物。
(式中、Yはアルキレン基を、R9は水素原子またはメチル基を表す。)
(7) 前記の重合性組成物を塊状重合して得られる、架橋性樹脂。
(8) 前記の重合性組成物を支持体に塗布または含浸し、塊状重合して得られる、架橋性樹脂複合体。
(9) 前記架橋性樹脂を架橋してなる架橋体。
(8) 前記の重合性組成物を支持体に塗布または含浸し、塊状重合して得られる、架橋性樹脂複合体。
(9) 前記架橋性樹脂を架橋してなる架橋体。
(10) 前記の架橋性樹脂の成形体を支持体上で架橋してなる、架橋樹脂複合体。
(11) 前記の架橋性樹脂複合体を架橋してなる架橋樹脂複合体。
(12) 前記架橋を別の支持体上で行って得られる、前記の架橋樹脂複合体。
(13) 前記の重合性組成物を塊状重合する工程を含む、架橋性樹脂の製造方法。
(14) 前記の重合性組成物を支持体に塗布または含浸し、塊状重合する工程を含む、架橋性樹脂複合体の製造方法。
(15) 前記の架橋性樹脂を架橋する工程を含む、架橋体の製造方法。
(16) 前記の架橋性樹脂成形体を支持体上で架橋する工程を含む、架橋樹脂複合体の製造方法。
(17) 前記の架橋性樹脂複合体を架橋する工程を含む、架橋樹脂複合体の製造方法。
(18) 前記架橋を別の支持体上で行う、前記の架橋樹脂複合体の製造方法。
(11) 前記の架橋性樹脂複合体を架橋してなる架橋樹脂複合体。
(12) 前記架橋を別の支持体上で行って得られる、前記の架橋樹脂複合体。
(13) 前記の重合性組成物を塊状重合する工程を含む、架橋性樹脂の製造方法。
(14) 前記の重合性組成物を支持体に塗布または含浸し、塊状重合する工程を含む、架橋性樹脂複合体の製造方法。
(15) 前記の架橋性樹脂を架橋する工程を含む、架橋体の製造方法。
(16) 前記の架橋性樹脂成形体を支持体上で架橋する工程を含む、架橋樹脂複合体の製造方法。
(17) 前記の架橋性樹脂複合体を架橋する工程を含む、架橋樹脂複合体の製造方法。
(18) 前記架橋を別の支持体上で行う、前記の架橋樹脂複合体の製造方法。
本発明の重合性組成物を塊状重合し次いで架橋させると、電気絶縁性、密着性、機械的強度、耐熱性、誘電特性などの特性に優れた架橋体が得られる。
この架橋体を、フィルム状の基材に積層することによって、または繊維材と複合することによって、上記特性を備えた複合体を得ることができる。
本発明の重合性組成物を用いて得られた架橋体、および複合体は、電気回路基板に使用する電気材料等として好適である。
この架橋体を、フィルム状の基材に積層することによって、または繊維材と複合することによって、上記特性を備えた複合体を得ることができる。
本発明の重合性組成物を用いて得られた架橋体、および複合体は、電気回路基板に使用する電気材料等として好適である。
[重合性組成物]
本発明の重合性組成物は、ノルボルネン系モノマー、メタセシス重合触媒、および過酸化物を含むものである
(1)ノルボルネン系モノマー
重合性組成物を構成するノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環を含むモノマーである。具体的には、ノルボルネン類、ジシクロペンタジエン類、テトラシクロドデセン類などが挙げられる。これらは、アルキル基、アルケニル基、アルキリデン基、アリール基などの炭化水素基や、カルボキシル基または酸無水物基などの極性基が置換基として含まれていてもよい。また、ノルボルネン環の二重結合以外に、さらに二重結合を有していてもよい。これらの中でも、極性基を含まない、すなわち炭素原子と水素原子のみで構成されるノルボルネン系モノマーが好ましい。
本発明の重合性組成物は、ノルボルネン系モノマー、メタセシス重合触媒、および過酸化物を含むものである
(1)ノルボルネン系モノマー
重合性組成物を構成するノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環を含むモノマーである。具体的には、ノルボルネン類、ジシクロペンタジエン類、テトラシクロドデセン類などが挙げられる。これらは、アルキル基、アルケニル基、アルキリデン基、アリール基などの炭化水素基や、カルボキシル基または酸無水物基などの極性基が置換基として含まれていてもよい。また、ノルボルネン環の二重結合以外に、さらに二重結合を有していてもよい。これらの中でも、極性基を含まない、すなわち炭素原子と水素原子のみで構成されるノルボルネン系モノマーが好ましい。
極性基を含まないノルボルネン系モノマーとしては、ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エンとも言う。)などのジシクロペンタジエン類;
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロヘキシルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロペンチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチレンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−ビニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−プロペニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロヘキセニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロペンテニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−フェニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンなどのテトラシクロドデセン類;
2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボルネン、5−デシル−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシル−2−ノルボルネン、5−シクロペンチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−シクロヘキセニル−2−ノルボルネン、5−シクロペンテニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンとも言う。)、テトラシクロ[10.2.1.02,11.04,9]ペンタデカ−4,6,8,13−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9,9a,10−ヘキサヒドロアントラセンとも言う。)などのノルボルネン類;
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ−4,10−ジエン、ペンタシクロ[9.2.1.14,7.02,10.03,8]ペンタデカ−5,12−ジエン、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]ヘプタデカ−4−エンなどの五環体以上の環状オレフィン類;などが挙げられる。
極性基を含むノルボルネン系モノマーとしては、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−メタノール、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸無水物、5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、酢酸5−ノルボルネン−2−イル、5−ノルボルネン−2−メタノール、5−ノルボルネン−2−オール、5−ノルボルネン−2−カルボニトリル、2−アセチル−5−ノルボルネン、7−オキサ−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
これらのノルボルネン系モノマーは1種単独で若しくは2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上のモノマーを併用し、そのブレンド比を変化させることで、得られる架橋性樹脂のガラス転移温度や溶融温度を自由に制御することが可能である。
また、本発明においては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン、1,5−シクロオクタジエンなどの単環シクロオレフィンおよび置換基を有するそれらの誘導体を上記ノルボルネン系モノマーに添加して重合に供することができる。単環シクロオレフィン類およびそれらの誘導体の添加量は、ノルボルネン系モノマー混合物の全量に対して、好ましくは40重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。添加量が40重量%を超えると、塊状重合により得られる重合体の耐熱性が不十分となる場合がある。
(2)メタセシス重合触媒
重合性組成物を構成するメタセシス重合触媒は、ノルボルネン系モノマーを、メタセシス開環重合させるものであれば特に限定されない。
メタセシス重合触媒としては、遷移金属原子を中心にして、イオン、原子、多原子イオンおよび/または化合物が複数結合してなる錯体が挙げられる。遷移金属原子としては、5族、6族および8族(長周期型周期表、以下同じ)の原子が使用される。それぞれの族の原子は特に限定されないが、好ましい5族の原子としてはタンタルが挙げられ、好ましい6族の原子としては、モリブデン、タングステンが挙げられ、好ましい8族の原子としては、ルテニウム、オスミウムが挙げられる。
重合性組成物を構成するメタセシス重合触媒は、ノルボルネン系モノマーを、メタセシス開環重合させるものであれば特に限定されない。
メタセシス重合触媒としては、遷移金属原子を中心にして、イオン、原子、多原子イオンおよび/または化合物が複数結合してなる錯体が挙げられる。遷移金属原子としては、5族、6族および8族(長周期型周期表、以下同じ)の原子が使用される。それぞれの族の原子は特に限定されないが、好ましい5族の原子としてはタンタルが挙げられ、好ましい6族の原子としては、モリブデン、タングステンが挙げられ、好ましい8族の原子としては、ルテニウム、オスミウムが挙げられる。
これらの中でも、8族のルテニウムやオスミウムの錯体をメタセシス重合触媒として用いることが好ましく、ルテニウムカルベン錯体が特に好ましい。ルテニウムカルベン錯体は、塊状重合時の触媒活性が優れるため、後架橋可能な架橋性樹脂の生産性に優れ、残留未反応モノマーに由来する臭気が少ない架橋性樹脂を得ることができる。また、8族のルテニウムやオスミウムの錯体は、酸素や空気中の水分に対して比較的安定であって、失活しにくいので、大気下でも架橋性樹脂の生産が可能である。
ルテニウムカルベン錯体は、下記の式(1)または式(2)で表されるものである。
式(1)および式(2)において、R3およびR4は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、またはハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
X1およびX2は、それぞれ独立して任意のアニオン性配位子を示す。
L1およびL2はそれぞれ独立して、ヘテロ原子含有カルベン化合物または中性電子供与性化合物を表す。
また、R3とR4は互いに結合して環を形成してもよい。
さらに、R3、R4、X1、X2、L1およびL2は、任意の組合せで互いに結合して多座キレート化配位子を形成してもよい。
X1およびX2は、それぞれ独立して任意のアニオン性配位子を示す。
L1およびL2はそれぞれ独立して、ヘテロ原子含有カルベン化合物または中性電子供与性化合物を表す。
また、R3とR4は互いに結合して環を形成してもよい。
さらに、R3、R4、X1、X2、L1およびL2は、任意の組合せで互いに結合して多座キレート化配位子を形成してもよい。
ヘテロ原子とは、周期律表第15族および第16族の原子を意味し、具体的には、N、O、P、S、As、Se原子などを挙げることができる。これらの中でも、安定なカルベン化合物が得られる観点から、N、O、P、S原子などが好ましく、N原子が特に好ましい。
ヘテロ原子含有カルベン化合物は、カルベン炭素の両側にヘテロ原子が隣接して結合していることが好ましく、さらにカルベン炭素原子とその両側のヘテロ原子とを含むヘテロ環が構成されているものがより好ましい。また、カルベン炭素に隣接するヘテロ原子には嵩高い置換基を有していることが好ましい。
ヘテロ原子含有カルベン化合物としては、下記の式(3)または式(4)で示される化合物が挙げられる。
(式中、R5〜R8は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、またはハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含んでもよい炭素数1〜20個の炭化水素基を表す。また、R5〜R8は任意の組合せで互いに結合して環を形成していてもよい。)
前記式(3)または式(4)で表される化合物としては、1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ(1−アダマンチル)イミダゾリジン−2−イリデン、1−シクロヘキシル−3−メシチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジメシチルオクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン、1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデンなどが挙げられる。
また、前記式(3)または式(4)で示される化合物のほかに、1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン、N,N,N’,N’−テトライソプロピルホルムアミジニリデン、1,3,4−トリフェニル−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデンなどのヘテロ原子含有カルベン化合物も用い得る。
前記式(1)および式(2)において、アニオン(陰イオン)性配位子X1、X2は、中心金属原子から引き離されたときに負の電荷を持つ配位子であり、例えば、F、Cl、Br、Iなどのハロゲン原子、ジケトネート基、置換シクロペンタジエニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボキシル基などを挙げることができる。これらの中でもハロゲン原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
また、中性の電子供与性化合物は、中心金属から引き離されたときに中性の電荷を持つ配位子であればいかなるものでもよい。その具体例としては、カルボニル、アミン類、ピリジン類、エーテル類、ニトリル類、エステル類、ホスフィン類、チオエーテル類、芳香族化合物、オレフィン類、イソシアニド類、チオシアネート類などが挙げられる。これらの中でも、ホスフィン類、エーテル類およびピリジン類が好ましく、トリアルキルホスフィンがより好ましい。
前記式(1)で表される錯体化合物としては、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(3−フェニル−1H−インデン−1−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−オクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン[1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジイソプロピルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)ピリジンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(2−フェニルエチリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−フェニルエチリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン)[(フェニルチオ)メチレン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−ピロリドン−1−イルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリドなどのヘテロ原子含有カルベン化合物および中性の電子供与性化合物が結合したルテニウム錯体化合物;
ベンジリデンビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)ビス(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリドなどの2つの中性電子供与性化合物が結合したルテニウム化合物;
ベンジリデンビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデンビス(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)ルテニウムジクロリドなどの2つのヘテロ原子含有カルベン化合物が結合したルテニウム錯体化合物;などが挙げられる。
また、前記式(1)において、R3とL1が結合している錯体化合物として、下記の(5)〜(7)で表される化合物が挙げられる。式(5)中のiPrはイソプロピル基を表す。Mesは下記に示されている構造の基である。
前記式(2)で表される錯体化合物としては、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(フェニルビニリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(t−ブチルビニリデン)(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリドなどが挙げられる。
これらの錯体化合物の中でも、前記式(1)で表され、かつ配位子として前記式(4)で表される化合物を1つ有するものが最も好ましい。
これらのルテニウム錯体触媒は、Org. Lett., 1999年, 第1巻, 953頁, Tetrahedron. Lett., 1999年, 第40巻, 2247頁などに記載された方法によって製造することができる。
メタセシス重合触媒の使用量は、(触媒中の金属原子:ノルボルネン系モノマー)のモル比で、通常1:2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:5,000〜1:1,000,000、より好ましくは1:10,000〜1:500,000の範囲である。
メタセシス重合触媒は必要に応じて、少量の不活性溶剤に溶解または懸濁して使用することができる。かかる溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、流動パラフィン、ミネラルスピリットなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの含酸素炭化水素;などが挙げられる。これらの中では、工業的に汎用な芳香族炭化水素や脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素の使用が好ましい。また、メタセシス重合触媒としての活性を低下させないものであれば、液状の老化防止剤、液状の可塑剤、液状のエラストマーを溶剤として用いてもよい。
メタセシス重合触媒は、重合活性を制御し、重合反応率を向上させる目的で活性剤(共触媒)と併用することもできる。活性剤としては、アルミニウム、スカンジウム、およびスズのアルキル化物、ハロゲン化物、アルコキシ化物およびアリールオキシ化物などを例示することができる。
活性剤としては、トリアルコキシアルミニウム、トリフェノキシアルミニウム、ジアルコキシアルキルアルミニウム、アルコキシジアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウム、ジアルコキシアルミニウムクロリド、アルコキシアルキルアルミニウムクロリド、ジアルキルアルミニウムクロリド、トリアルコキシスカンジウム、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシスズ、テトラアルコキシジルコニウムなどが挙げられる。
活性剤の使用量は、(メタセシス重合触媒中の金属原子:活性剤)のモル比で、通常、1:0.05〜1:100、好ましくは1:0.2〜1:20、より好ましくは1:0.5〜1:10の範囲である。
活性剤の使用量は、(メタセシス重合触媒中の金属原子:活性剤)のモル比で、通常、1:0.05〜1:100、好ましくは1:0.2〜1:20、より好ましくは1:0.5〜1:10の範囲である。
また、メタセシス重合触媒として、5族および6族の遷移金属原子の錯体を用いる場合には、メタセシス重合触媒および活性剤は、いずれもモノマーに溶解して用いる方が好ましいが、生成物の性質を本質的に損なわない範囲であれば少量の溶剤に懸濁または溶解させて用いることができる。
(3)過酸化物
本発明の重合性組成物に用いられる過酸化物は、式(A)で表される構造を有する過酸化物である。このような過酸化物を用いると、極性化合物の残留が少なく、電気特性に優れる架橋体を得ることができる。
本発明の重合性組成物に用いられる過酸化物は、式(A)で表される構造を有する過酸化物である。このような過酸化物を用いると、極性化合物の残留が少なく、電気特性に優れる架橋体を得ることができる。
但し、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、またはアルキル基であり、R1およびR2がアルキル基である場合は互いに結合して環を形成していてもよい。
R1およびR2は、ぞれぞれ独立に鎖状アルキル基であることが重合反応への影響が少ないので好ましい。
本発明に用いられる好ましい過酸化物は、式(A)で表される構造が繰り返され、末端に水素またはアルキル基が結合したもの(式(A−1))または式(B)で表される構造の環状過酸化物が挙げられる。
R1およびR2は、ぞれぞれ独立に鎖状アルキル基であることが重合反応への影響が少ないので好ましい。
本発明に用いられる好ましい過酸化物は、式(A)で表される構造が繰り返され、末端に水素またはアルキル基が結合したもの(式(A−1))または式(B)で表される構造の環状過酸化物が挙げられる。
但し、R10、R11はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であり、好ましくはアルキル基である。mは自然数であり、好ましくは1〜6である。
nは自然数、好ましくは2〜6の整数、より好ましくは2〜4の整数である。
本発明に用いられる過酸化物は、1分間半減期温度が、好ましくは150℃〜350℃、より好ましくは160〜300℃、さらに好ましくは170〜200℃である。
本発明に用いられる過酸化物の具体例としては、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロへキサン、n−ブチル 4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヴァレレート、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ジ(4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン;ケトンパーオキサイド類が挙げられる。
これらの中でも、上記式(B)で表される環状の過酸化物が好ましく、式(B−1)または式(B−2)で表される環状過酸化物を含むものがより好ましく、式(B−1)で表される環状過酸化物を含むものが特に好ましい。
これらの中でも、上記式(B)で表される環状の過酸化物が好ましく、式(B−1)または式(B−2)で表される環状過酸化物を含むものがより好ましく、式(B−1)で表される環状過酸化物を含むものが特に好ましい。
これらの過酸化物は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上の過酸化物を併用し、そのブレンド比を変化させることで、得られる架橋樹脂のガラス転移温度や溶融状態を自由に制御することが可能である。
過酸化物の使用量は、ノルボルネン系モノマー100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。過酸化物の量があまりに少ないと架橋が不十分となり、高い架橋密度の架橋樹脂が得られなくなるおそれがある。過酸化物の量が多すぎる場合には、架橋効果が飽和する一方で、所望の物性を有する架橋性樹脂および架橋樹脂が得られなくなるおそれがある。
本発明の重合性組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、前記構造を有する過酸化物以外に他の架橋剤を含ませてもよい。他の架橋剤として他のラジカル発生剤、エポキシ化合物、イソシアネート基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、酸無水物基含有化合物などが挙げられる。
また本発明においては、上記過酸化物による架橋反応を促進させるために、架橋助剤を使用することができる。架橋助剤としては、p−キノンジオキシムなどのジオキシム化合物;ラウリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクレートなどのメタクリレート化合物;ジアリルフマレートなどのフマル酸化合物:ジアリルフタレートなどのフタル酸化合物、トリアリルシアヌレートなどのシアヌル酸化合物;マレイミドなどのイミド化合物;などが挙げられる。架橋助剤の使用量は特に制限されないが、ノルボルネン系モノマー100重量部に対して、通常0〜100重量部、好ましくは0〜50重量部である。
(4)連鎖移動剤
本発明の重合性組成物は、さらに重合反応の連鎖移動剤を含有することが好ましい。
連鎖移動剤としては、通常、置換基を有していてもよい鎖状のオレフィン類を用いることができる。
具体的には、1−ヘキセン、2−ヘキセンなどの脂肪族オレフィン類;スチレン、ジビニルベンゼン、スチルベンなどの芳香族基を有するオレフィン類;ビニルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素基を有するオレフィン類;エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;メチルビニルケトン、1,5−ヘキサジエン−3−オン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン−3−オンなどのビニルケトン類;アクリル酸スチリル、エチレングリコールジアクリレート;アリルトリビニルシラン、アリルメチルジビニルシラン、アリルジメチルビニルシラン;アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル;アリルアミン、2−(ジエチルアミノ)エタノールビニルエーテル、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、4−ビニルアニリン;などが挙げられる。
本発明の重合性組成物は、さらに重合反応の連鎖移動剤を含有することが好ましい。
連鎖移動剤としては、通常、置換基を有していてもよい鎖状のオレフィン類を用いることができる。
具体的には、1−ヘキセン、2−ヘキセンなどの脂肪族オレフィン類;スチレン、ジビニルベンゼン、スチルベンなどの芳香族基を有するオレフィン類;ビニルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素基を有するオレフィン類;エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;メチルビニルケトン、1,5−ヘキサジエン−3−オン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン−3−オンなどのビニルケトン類;アクリル酸スチリル、エチレングリコールジアクリレート;アリルトリビニルシラン、アリルメチルジビニルシラン、アリルジメチルビニルシラン;アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル;アリルアミン、2−(ジエチルアミノ)エタノールビニルエーテル、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、4−ビニルアニリン;などが挙げられる。
これらの連鎖移動剤の中でも、式(C):CH2=CH−Y−OCO−CR9=CH2で表される化合物が好ましい。式(C)中のYはアルキレン基、R9は水素原子またはメチル基である。
アルキレン基の炭素数は特に制限されないが、通常1〜20、好ましくは4〜12である。この構造の連鎖移動剤を用いることで、より強度の高い架橋樹脂成形体または架橋樹脂複合体を得ることが可能になる。
式(C)で表される化合物としては、メタクリル酸アリル、メタクリル酸3−ブテン−1−イル、アクリル酸アリル、アクリル酸3−ブテン−1−イル、メタクリル酸ウンデセニル、メタクリル酸ヘキセニルなどが挙げられる。中でも、メタクリル酸ウンデセニルおよびメタクリル酸ヘキセニルが特に好ましい。
アルキレン基の炭素数は特に制限されないが、通常1〜20、好ましくは4〜12である。この構造の連鎖移動剤を用いることで、より強度の高い架橋樹脂成形体または架橋樹脂複合体を得ることが可能になる。
式(C)で表される化合物としては、メタクリル酸アリル、メタクリル酸3−ブテン−1−イル、アクリル酸アリル、アクリル酸3−ブテン−1−イル、メタクリル酸ウンデセニル、メタクリル酸ヘキセニルなどが挙げられる。中でも、メタクリル酸ウンデセニルおよびメタクリル酸ヘキセニルが特に好ましい。
連鎖移動剤の添加量は、前記ノルボルネン系モノマーの全量に対して、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。連鎖移動剤の添加量がこの範囲であるときに、重合反応率が高く、しかも後架橋可能な熱可塑性樹脂を効率よく得ることができる。
(5)その他の添加剤
前記重合性組成物には、各種の添加剤、例えば、重合反応遅延剤、ラジカル架橋遅延剤、強化材、改質剤、酸化防止剤、難燃剤、充填剤、着色剤、光安定剤などを含有させることができる。これらは、後述するモノマー液または触媒液にあらかじめ溶解または分散させて用いることができる。
前記重合性組成物には、各種の添加剤、例えば、重合反応遅延剤、ラジカル架橋遅延剤、強化材、改質剤、酸化防止剤、難燃剤、充填剤、着色剤、光安定剤などを含有させることができる。これらは、後述するモノマー液または触媒液にあらかじめ溶解または分散させて用いることができる。
重合反応遅延剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィンなどのホスフィン類;アニリン、ピリジンなどのルイス塩基;が挙げられる。中でも、本発明の重合性組成物の可使時間を効率よく制御でき、重合反応の阻害が少ないので、ホスフィン類が好ましい。
また、ノルボルネン系モノマーと共重合可能な環状オレフィン系モノマーのうち、分子内に1,5−ジエン構造や1,3,5−トリエン構造を有する環状オレフィンは重合反応遅延剤としても機能する。このような化合物としては、1,5−シクロオクタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
また、ノルボルネン系モノマーと共重合可能な環状オレフィン系モノマーのうち、分子内に1,5−ジエン構造や1,3,5−トリエン構造を有する環状オレフィンは重合反応遅延剤としても機能する。このような化合物としては、1,5−シクロオクタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
ラジカル架橋遅延剤としては、アルコキシフェノール類、カテコール類、ベンゾキノン類が挙げられ、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソールなどのアルコキシフェノール類が好ましい。
強化材としては、ガラス繊維、ガラス布、紙基材、ガラス不織布などが挙げられる。改質剤としては、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)およびこれらの水素化物などのエラストマーなどが挙げられる。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系、リン系、アミン系などの各種のプラスチック・ゴム用酸化防止剤などが挙げられる。これらの酸化防止剤は単独で用いてもよいが、二種以上を組合せて用いることが好ましい。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系、リン系、アミン系などの各種のプラスチック・ゴム用酸化防止剤などが挙げられる。これらの酸化防止剤は単独で用いてもよいが、二種以上を組合せて用いることが好ましい。
難燃剤としては、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物系難燃剤、三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物、などが挙げられる。難燃剤は単独で用いてもよいが、二種以上を組合せて用いることが好ましい。
充填材としては、ガラス粉末、セラミック粉末、シリカなどが挙げられる。これら充填材は、二種類以上を併用してもよい。充填剤として、シランカップリング剤等で表面処理したものを用いることもできる。充填材の量は、ノルボルネン系モノマー100重量部に対し、通常0〜600重量部、好ましくは50〜500重量部、より好ましくは50〜300重量部である。
着色剤としては、染料、顔料などが用いられる。染料の種類は多様であり、公知のものを適宜選択して使用すればよい。
重合性組成物は、その調製する方法によって特に制約されない。重合性組成物は、例えば、メタセシス重合触媒を適当な溶媒に溶解若しくは分散させた液(以下、「触媒液」ということがある。)を調製し、別にノルボルネン系モノマーに充てん剤、難燃剤などの添加剤を必要に応じて配合した液(以下、「モノマー液」ということがある。)を調製し、該モノマー液に触媒液を添加し、攪拌することによって調製できる。触媒液の添加は次に述べる塊状重合を行う直前に行うことが好ましい。
また、連鎖移動剤、過酸化物、ラジカル架橋遅延剤などは、モノマー液と触媒液を混合する前にモノマー液および/または触媒液に添加してもよいし、モノマー液と触媒液とを混合した後に添加してもよい。
また、連鎖移動剤、過酸化物、ラジカル架橋遅延剤などは、モノマー液と触媒液を混合する前にモノマー液および/または触媒液に添加してもよいし、モノマー液と触媒液とを混合した後に添加してもよい。
[架橋性樹脂および架橋性樹脂複合体]
本発明の架橋性樹脂は、前記重合性組成物を塊状重合することによって得られる。
重合性組成物を塊状重合する方法としては、(a)重合性組成物を支持体に注ぐかまたは塗布し、塊状重合する方法、(b)重合性組成物を型内に注ぎこみ、塊状重合する方法、(c)重合性組成物を支持体に含浸し塊状重合する方法などが挙げられる。なお、(a)または(c)の方法によって前記重合性組成物を塊状重合すると、支持体と架橋性樹脂とを含む架橋性樹脂複合体が得られる。
本発明の架橋性樹脂は、前記重合性組成物を塊状重合することによって得られる。
重合性組成物を塊状重合する方法としては、(a)重合性組成物を支持体に注ぐかまたは塗布し、塊状重合する方法、(b)重合性組成物を型内に注ぎこみ、塊状重合する方法、(c)重合性組成物を支持体に含浸し塊状重合する方法などが挙げられる。なお、(a)または(c)の方法によって前記重合性組成物を塊状重合すると、支持体と架橋性樹脂とを含む架橋性樹脂複合体が得られる。
(a)の方法によれば、架橋性樹脂と支持体とから形成される架橋性樹脂複合体が得られる。ここで用いる支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ナイロンなどの樹脂;鉄、ステンレス、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、金、銀などの金属材料;などからなるものが挙げられる。その形状は特に限定されないが、金属箔または樹脂フィルムの使用が好ましい。例えば、支持体に銅箔を用いた場合、樹脂付き銅箔(Resin Coated Copper (RCC))を得ることができる。これら金属箔または樹脂フィルムの厚さは、作業性などの観点から、通常1〜150μm、好ましくは2〜100μm、より好ましくは3〜75μmである。これらの支持体の表面は平滑であることが好ましい。また、これらの支持体表面は、スチリルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤などで表面処理をしてあることが好ましい。
重合性組成物を支持体へ塗布する方法は特に制限されず、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スリットコート法などの公知の塗布方法が挙げられる。
塊状重合反応はメタセシス重合触媒が機能する温度まで重合性組成物を加熱することによって開始される。
重合性組成物を所定温度に加熱する方法としては特に制約されず、加熱プレート上に載せて加熱する方法、プレス機を用いて加圧しながら加熱(熱プレス)する方法、加熱したローラーで押圧する方法、加熱炉を用いる方法などが挙げられる。
以上のようにして得られる架橋性樹脂フィルムは、厚さが通常15mm以下、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下である。
重合性組成物を所定温度に加熱する方法としては特に制約されず、加熱プレート上に載せて加熱する方法、プレス機を用いて加圧しながら加熱(熱プレス)する方法、加熱したローラーで押圧する方法、加熱炉を用いる方法などが挙げられる。
以上のようにして得られる架橋性樹脂フィルムは、厚さが通常15mm以下、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下である。
(b)の方法によれば、任意の形状の架橋性樹脂の成形体を得ることができる。その形状としては、シート状、フィルム状、柱状、円柱状、多角柱状等が挙げられる。
ここで用いる型としては、従来公知の成形型、例えば、割型構造、すなわちコア型とキャビティー型を有する成形型を用いることができ、それらの空隙部(キャビティー)に重合性組成物を注入して塊状重合させる。コア型とキャビティー型は、目的とする成形品の形状にあった空隙部を形成するように作製される。また、成形型の形状、材質、大きさなどは特に制限されない。また、ガラス板や金属板などの板状成形型と所定の厚さのスペーサーとを用意し、スペーサーを2枚の板状成形型で挟んで形成される空間内に重合性組成物を注入することにより、シート状またはフィルム状の架橋性樹脂成形体を得ることができる。
重合性組成物を成形型のキャビティー内に充填する際の充填圧力(注入圧)は、通常0.01〜10MPa、好ましくは0.02〜5MPaである。充填圧力が低すぎると、キャビティー内周面に形成された転写面の転写が良好に行われない傾向にあり、充填圧が高すぎると、成形型の剛性を高くしなければならず経済的ではない。型締圧力は通常0.01〜10MPaの範囲内である。
(c)の方法で用いられる支持体は、繊維材である。この方法によれば、架橋性樹脂が繊維材に含浸された架橋性樹脂複合体であるプリプレグを得ることができる。ここで用いる繊維材の材質は、有機および/または無機の繊維であり、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、アミド繊維、金属繊維、セラミック繊維などの公知のものが挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。繊維材の形状としては、マット、クロス、不織布などが挙げられる。また、これらの繊維材はその表面がシランカップリング剤などで表面処理をしてあることが好ましい。
重合性組成物の繊維材への含浸は、例えば、重合性組成物の所定量を、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スリットコート法等の公知の方法により繊維材に塗布し、必要に応じてその上に保護フィルムを重ね、上側からローラーなどで押圧することにより行うことができる。重合性組成物を繊維材に含浸させた後、含浸物を所定温度に加熱することにより、重合性組成物を塊状重合させることができ、それによって架橋性樹脂が含浸されたプリプレグが得られる。
含浸物の加熱方法は特に限定されず、前記(a)の方法と同様の方法が採用でき、含浸物を基材上に設置して加熱してもよい。また、繊維材を設置した型内に重合性組成物を注入し、重合性組成物を含浸させてから前記(b)の方法に従い塊状重合してもよい。
本発明の重合性組成物は従来の樹脂ワニスと比較して低粘度であり、繊維材に対する含浸性に優れるので、繊維材に架橋性樹脂を均一に含浸させることができる。
また、本発明の重合性組成物は反応に関与しない溶媒等の含有量が少ないので、繊維材に含浸させた後に溶媒を除去するなどの工程が不要であり、生産性に優れ、残存溶媒による臭気やフクレ等も生じない。さらに、本発明の架橋性樹脂は保存安定性に優れるので、得られるプリプレグは保存安定性に優れる。
また、本発明の重合性組成物は反応に関与しない溶媒等の含有量が少ないので、繊維材に含浸させた後に溶媒を除去するなどの工程が不要であり、生産性に優れ、残存溶媒による臭気やフクレ等も生じない。さらに、本発明の架橋性樹脂は保存安定性に優れるので、得られるプリプレグは保存安定性に優れる。
上記(a)、(b)および(c)のいずれの方法においても、重合性組成物を重合させるための加熱温度は、通常50〜250℃、好ましくは100〜200℃である。重合時間は適宜選択すればよいが、通常、10秒間〜20分間、好ましくは5分間以内である。
重合性組成物を所定温度に加熱することにより塊状重合反応が開始する。この重合反応は発熱反応であり、一旦塊状重合反応が開始すると、反応液の温度が急激に上昇し、短時間(例えば、10秒間から5分間程度)でピーク温度に到達する。重合反応時の最高温度があまりに高くなると、架橋反応が起きて架橋体になってしまい、後架橋可能な架橋性樹脂が得られないおそれがある。
したがって、重合反応のみを完全に進行させ、架橋反応が進行しないようにするためには、塊状重合反応時のピーク温度を、前記過酸化物の1分間半減期温度以下、好ましくは230℃以下、より好ましくは200℃未満に制御することが好ましい。
したがって、重合反応のみを完全に進行させ、架橋反応が進行しないようにするためには、塊状重合反応時のピーク温度を、前記過酸化物の1分間半減期温度以下、好ましくは230℃以下、より好ましくは200℃未満に制御することが好ましい。
本発明の架橋性樹脂は、架橋可能な樹脂である。ここで「架橋可能な」は、樹脂を加熱することによって、架橋反応が進行して架橋体になり得るということである。
また、本発明の架橋性樹脂複合体は、該架橋性樹脂と前記支持体とが一体化されてなる複合材料である。
また、本発明の架橋性樹脂複合体は、該架橋性樹脂と前記支持体とが一体化されてなる複合材料である。
本発明の架橋性樹脂は、前述した重合性組成物の塊状重合反応がほぼ完全に進行するので、残留モノマーが少なくなっており、モノマーに由来する臭気等で作業環境が悪化することがない。また、前記の過酸化物として分解温度の高いものを用いると、架橋時において、架橋性樹脂が適度に流動し、金属箔などの支持体との密着性、配線板への埋め込み性が良好になる。また、上記過酸化物によって得られる架橋体は、誘電損失(tanδ)が著しく小さくなっており、電気特性に優れている。
本発明の架橋性樹脂は、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素等の溶媒に可溶であることが好ましい。また、熱可塑性を示すので、架橋反応が起きない程度の温度で溶融成形を行うことによって様々な形状を形成できる。
本発明の架橋性樹脂の成形体は、一部分が架橋体になっているものであってもよい。例えば、型内で重合性組成物を塊状重合したときには、型の中心部分は重合反応熱が発散しにくいので、型内の一部の温度が高くなりすぎる場合がある。高温部では架橋反応が起き、架橋体になってしまうことがある。しかし、熱を発散しやすい表面部が後架橋可能な架橋性樹脂で形成されていれば、本発明の架橋性樹脂の成形体としての効果を十分に享受できる。架橋性樹脂の複合体においても、同様に架橋性樹脂の一部が架橋体になっていてもよい。
本発明の架橋性樹脂は、塊状重合がほぼ完全に進行して得られるものであるので、保管中にさらに重合反応が進行するという恐れがない。本発明の架橋性樹脂は式(A)で表される構造を有する過酸化物を含有しているが、架橋反応を起す温度以上に加熱しない限り、表面硬度が変化するなどの不具合が生じず、保存安定性に優れている。
[架橋体]
本発明の架橋体は前記架橋性樹脂を架橋してなるものである。
架橋性樹脂の架橋は、例えば、本発明の架橋性樹脂を加熱するなどして、架橋性樹脂が架橋反応を起す温度以上に維持することによって行うことができる。架橋性樹脂を架橋させるときの温度は、前記塊状重合時のピーク温度より20℃以上高いことが好ましく、通常170〜250℃、好ましくは180〜220℃である。また、架橋する時間は特に制約されないが、通常数分間から数時間である。
本発明の架橋体は前記架橋性樹脂を架橋してなるものである。
架橋性樹脂の架橋は、例えば、本発明の架橋性樹脂を加熱するなどして、架橋性樹脂が架橋反応を起す温度以上に維持することによって行うことができる。架橋性樹脂を架橋させるときの温度は、前記塊状重合時のピーク温度より20℃以上高いことが好ましく、通常170〜250℃、好ましくは180〜220℃である。また、架橋する時間は特に制約されないが、通常数分間から数時間である。
架橋性樹脂がシート状またはフィルム状の成形体である場合には、該成形体を基材に必要に応じて積層し、熱プレスする方法が好ましい。熱プレスするときの圧力は、通常0.5〜20MPa、好ましくは3〜10MPaである。熱プレスは、真空または減圧雰囲気下で行ってもよい。熱プレスは、平板成形用のプレス枠型を有する公知のプレス機、シートモールドコンパウンド(SMC)やバルクモールドコンパウンド(BMC)などのプレス成形機を用いて行なうことができる。
[架橋樹脂複合体]
本発明の架橋樹脂複合体は、前記架橋体と支持体とを含んでなるものである。
本発明の架橋樹脂複合体は、前述の架橋性樹脂複合体を架橋することによって得られる。また、架橋性樹脂成形体を支持体上で加熱して架橋することによって、または、架橋性樹脂複合体を別の支持体上で加熱して架橋することによっても得られる。
本発明の架橋樹脂複合体は、前記架橋体と支持体とを含んでなるものである。
本発明の架橋樹脂複合体は、前述の架橋性樹脂複合体を架橋することによって得られる。また、架橋性樹脂成形体を支持体上で加熱して架橋することによって、または、架橋性樹脂複合体を別の支持体上で加熱して架橋することによっても得られる。
架橋性樹脂成形体または架橋性樹脂複合体を支持体上で加熱して架橋する方法としては、板状、フィルム状に成形された架橋性樹脂を、熱プレスによって、支持体に積層させ、さらに加熱を続けることによって架橋性樹脂を架橋することができる。熱プレスの条件は、前記架橋性樹脂を架橋する場合と同様である。
ここで用いられる新たな支持体としては、銅箔、アルミ箔、ニッケル箔、クロム箔、金箔、銀箔などの金属箔;プリント配線板;導電性ポリマーフィルム、他の樹脂フィルムなどのフィルム類;などが挙げられる。また、該支持体としてプリント配線板を用いると、多層プリント配線板を製造することができる。
銅箔などの金属箔やプリント配線板上の導電層は、その表面が、シランカップリング剤、チオール系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、各種接着剤などで処理されているものが好ましい。これらのうちシランカップリング剤で処理されているものが特に好ましい。
ここで用いられる新たな支持体としては、銅箔、アルミ箔、ニッケル箔、クロム箔、金箔、銀箔などの金属箔;プリント配線板;導電性ポリマーフィルム、他の樹脂フィルムなどのフィルム類;などが挙げられる。また、該支持体としてプリント配線板を用いると、多層プリント配線板を製造することができる。
銅箔などの金属箔やプリント配線板上の導電層は、その表面が、シランカップリング剤、チオール系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、各種接着剤などで処理されているものが好ましい。これらのうちシランカップリング剤で処理されているものが特に好ましい。
本発明の架橋性樹脂は流動性および密着性に優れているので、平坦性に優れ、かつ、支持体との密着性に優れた複合体を得ることができる。
本発明の複合体は、例えば、支持体として超平滑(SLP)銅箔を用いた場合には、JIS C6481に基づいて測定した剥離強度が、好ましくは0.4kN/m以上、より好ましくは0.6kN/m以上である。
本発明の複合体は、例えば、支持体として超平滑(SLP)銅箔を用いた場合には、JIS C6481に基づいて測定した剥離強度が、好ましくは0.4kN/m以上、より好ましくは0.6kN/m以上である。
本発明の架橋体および複合体は、電気絶縁性、機械的強度、耐熱性、誘電特性などに優れている。また複合体は、支持体との密着性が良好であり、電気材料として好適である。
次に実施例および比較例を挙げ、本発明について具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例および比較例において、「部」および「%」は特に断りのない限り、重量基準である。
本実施例では以下の方法に従って評価を行った。
(数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn))
テトラヒドロフランを展開溶媒とする、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによる測定結果を標準ポリスチレンの分子量に換算して求めた。
(重合転化率(Conv.))
重合転化率は、ガスクロマトグラフィーにより残留モノマーを定量して求めた。
(数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn))
テトラヒドロフランを展開溶媒とする、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによる測定結果を標準ポリスチレンの分子量に換算して求めた。
(重合転化率(Conv.))
重合転化率は、ガスクロマトグラフィーにより残留モノマーを定量して求めた。
(樹脂流れ性)
プリプレグを10cm角に切り出し試験片を得た。この試験片6枚を重ねて、JIS C 6521に従い、温度150℃、時間10分、圧力3MPaの条件にて樹脂流れ評価を行った。
プリプレグを10cm角に切り出し試験片を得た。この試験片6枚を重ねて、JIS C 6521に従い、温度150℃、時間10分、圧力3MPaの条件にて樹脂流れ評価を行った。
(ピール強度)
積層体に積層された厚さ12μmのSLP銅箔をJIS C6481に基づいて剥離しそのときの強度を測定した。
積層体に積層された厚さ12μmのSLP銅箔をJIS C6481に基づいて剥離しそのときの強度を測定した。
(誘電損失(tanδ))
インピーダンスアナライザー(アジレントテクノロジー社製、型番号E4991)を用いて周波数1GHzにおける誘電損失(tanδ)を容量法にて測定した。
インピーダンスアナライザー(アジレントテクノロジー社製、型番号E4991)を用いて周波数1GHzにおける誘電損失(tanδ)を容量法にて測定した。
実施例1
ガラス製フラスコ中で、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド 0.04部と、トリフェニルホスフィン 0.06部を、テトラヒドロフラン 0.7部に溶解させて触媒液を調製した。
200mlの金属容器にテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−4−エン 100部、シランカップリング剤で表面処理したシリカ粒子 100部、難燃剤としてアンチモン酸化物(PATOX−M、日本精鉱社製) 10部およびエタン−1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)(SAYTEX8010、ALBEMARLE社製) 20部を入れ、均一に混合してモノマー液を得た。
次いで、ポリエチレン製の瓶に、前記モノマー液 240部、連鎖移動剤としてメタクリル酸ウンデセニル(エコノマーML、新中村化学社製) 1.8部、過酸化物として3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナン(1分間半減期温度175℃、トリゴノックス301、化薬アクゾ社製、式(B−1)で表される化合物) 1.66部、および上記触媒液 0.35部を攪拌しながら加えて、重合性組成物を得た。
ガラス製フラスコ中で、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド 0.04部と、トリフェニルホスフィン 0.06部を、テトラヒドロフラン 0.7部に溶解させて触媒液を調製した。
200mlの金属容器にテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−4−エン 100部、シランカップリング剤で表面処理したシリカ粒子 100部、難燃剤としてアンチモン酸化物(PATOX−M、日本精鉱社製) 10部およびエタン−1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)(SAYTEX8010、ALBEMARLE社製) 20部を入れ、均一に混合してモノマー液を得た。
次いで、ポリエチレン製の瓶に、前記モノマー液 240部、連鎖移動剤としてメタクリル酸ウンデセニル(エコノマーML、新中村化学社製) 1.8部、過酸化物として3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナン(1分間半減期温度175℃、トリゴノックス301、化薬アクゾ社製、式(B−1)で表される化合物) 1.66部、および上記触媒液 0.35部を攪拌しながら加えて、重合性組成物を得た。
次いで、この重合性組成物 70部をポリエチレンナフタレートフィルム(タイプQ51、厚さ75μm、帝人デュポンフィルム社製)の上に流延し、その上にガラスクロス(2116−シランカップリング剤処理品、厚さ75μm) を敷いて、さらにその上に上記重合性組成物 70部を流延した。その上からさらにポリエチレンナフタレートフィルムをかぶせ、ローラーを用いて重合性組成物をガラスクロス全体に含浸させた。次いで、これを155℃に熱した加熱炉中で、2分間加熱し、重合性組成物を塊状重合させてプリプレグを得た。このプリプレグの塊状重合体部分の分子量を測定したところ、Mw=21,000、Mw/Mn=2.7であった。また、得られたプリプレグをトルエンに溶解させ、ガスクロマトグラフィーにより残留モノマーを定量して重合転化率を計算したところ97.5%であった。
このプリプレグを100mm角の大きさに切り出し、それを6枚重ねにし、その両面をSLP銅箔(TypeF0、厚さ0.0012mm、シランカップリング剤表面処理品、古河サーキットフォイル社製)で挟み、熱プレスにて、3MPa、200℃で15分間加熱圧着し、積層板を作製した。
得られた積層板を25mm×100mmの大きさに切り出し、ピール強度を測定したところ、0.7kN/mであった。
得られた積層板を25mm×100mmの大きさに切り出し、ピール強度を測定したところ、0.7kN/mであった。
前記積層板を20mm×20mm角の大きさに切り出し、40℃の塩化第二鉄溶液(サンハヤト社製)に浸漬し、表面の銅箔を取り除いた。銅箔が取り除かれた後の積層板の誘電損失(tanδ)は0.0014であった。
実施例2
3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナン 1.66部を3,6−ジエチル−3,6−ジメチル−1,2,4,5−テトロキサン(式(B−2)で表される化合物) 2.0部に置き換えた以外は実施例1と同じ方法でプリプレグを得た。そして、そのプリプレグを200℃、30分間の熱プレス条件に変更した以外は実施例1と同じ方法で積層板を得た。その評価結果を表1に示した。
3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナン 1.66部を3,6−ジエチル−3,6−ジメチル−1,2,4,5−テトロキサン(式(B−2)で表される化合物) 2.0部に置き換えた以外は実施例1と同じ方法でプリプレグを得た。そして、そのプリプレグを200℃、30分間の熱プレス条件に変更した以外は実施例1と同じ方法で積層板を得た。その評価結果を表1に示した。
実施例3
3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナン 1.66部を、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン(トリゴノックスDT−50、化薬アクゾ社製) 1.74部に置き換えた以外は実施例1と同じ方法でプリプレグ、積層板を得た。その評価結果を表1に示した。
3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナン 1.66部を、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン(トリゴノックスDT−50、化薬アクゾ社製) 1.74部に置き換えた以外は実施例1と同じ方法でプリプレグ、積層板を得た。その評価結果を表1に示した。
実施例4
3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナン 1.66部を、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(トリゴノックス22−70E、化薬アクゾ社製) 1.64部に置き換えた以外は実施例1と同じ方法でプリプレグ、積層板を得た。その評価結果を表1に示した。
3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナン 1.66部を、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(トリゴノックス22−70E、化薬アクゾ社製) 1.64部に置き換えた以外は実施例1と同じ方法でプリプレグ、積層板を得た。その評価結果を表1に示した。
比較例1
3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナン 1.66部を、ジ−t−ブチルパーオキサイド(カヤブチルD、化薬アクゾ社製) 1.14部に置き換えた以外は実施例1と同じ方法でプリプレグ、積層板を得た。その評価結果を表1に示した。
3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナン 1.66部を、ジ−t−ブチルパーオキサイド(カヤブチルD、化薬アクゾ社製) 1.14部に置き換えた以外は実施例1と同じ方法でプリプレグ、積層板を得た。その評価結果を表1に示した。
比較例2
3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナン 1.66部を、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(カヤヘキサAD、化薬アクゾ社製) 1.2部に置き換えた以外は実施例1と同じ方法でプリプレグ、積層板を得た。その評価結果を表1に示した。
3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナン 1.66部を、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(カヤヘキサAD、化薬アクゾ社製) 1.2部に置き換えた以外は実施例1と同じ方法でプリプレグ、積層板を得た。その評価結果を表1に示した。
以上の結果から、従来使用されてきた過酸化物を用いた比較例1または比較例2の重合性組成物は、樹脂流れ性が低い。また誘電損失(tanδ)は0.0018前後である。一方、式(A)で表される構造を有する過酸化物を用いた実施例1〜4の重合性組成物は、樹脂流れ性に優れ、凹凸への埋め込み性に優れることが判る。また誘電損失(tanδ)が0.0014〜0.0017であり、非常に小さいので高周波の伝達特性に優れており、電気回路基板の材料として好適であることがわかる。
Claims (18)
- 式(A)で表される構造を有する過酸化物において、R1およびR2が、ぞれぞれ独立に鎖状アルキル基である、請求項1に記載の重合性組成物。
- 前記過酸化物は、1分間半減期温度が150℃〜350℃である請求項1〜3のいずれかに記載の重合性組成物。
- さらに、連鎖移動剤を含む請求項1〜4のいずれかに記載の重合性組成物。
- 前記連鎖移動剤が式(C):CH2=CH−Y−OCO−CR9=CH2で表される化合物である、請求項5に記載の重合性組成物。
(式中、Yはアルキレン基を、R9は水素原子またはメチル基を表す。) - 請求項1〜6のいずれかに記載の重合性組成物を塊状重合して得られる、架橋性樹脂。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の重合性組成物を支持体に塗布または含浸し、塊状重合して得られる、架橋性樹脂複合体。
- 請求項7に記載の架橋性樹脂を架橋してなる架橋体。
- 請求項7に記載の架橋性樹脂の成形体を支持体上で架橋してなる、架橋樹脂複合体。
- 請求項8に記載の架橋性樹脂複合体を架橋してなる架橋樹脂複合体。
- 前記架橋を別の支持体上で行って得られる、請求項11に記載の架橋樹脂複合体。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の重合性組成物を塊状重合する工程を含む、架橋性樹脂の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の重合性組成物を支持体に塗布または含浸し、塊状重合する工程を含む、架橋性樹脂複合体の製造方法。
- 請求項7に記載の架橋性樹脂を架橋する工程を含む、架橋体の製造方法。
- 請求項7に記載の架橋性樹脂の成形体を支持体上で架橋する工程を含む、架橋樹脂複合体の製造方法。
- 請求項8に記載の架橋性樹脂複合体を架橋する工程を含む、架橋樹脂複合体の製造方法。
- 前記架橋を別の支持体上で行う、請求項17に記載の架橋樹脂複合体の製造方法。
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2007
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