JP2015086287A - 重合性組成物、架橋性樹脂、架橋性樹脂複合体、架橋樹脂及び架橋樹脂複合体 - Google Patents

重合性組成物、架橋性樹脂、架橋性樹脂複合体、架橋樹脂及び架橋樹脂複合体 Download PDF

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Abstract

【課題】はんだ耐熱性やピール強度等に優れ、かつ、低温架橋可能で、生産性に優れた架橋性樹脂、架橋性樹脂複合体、これらの架橋体の提供。【解決手段】シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、及び下記式(1)のラジカル発生剤をからなる組成物をメタセシス重合してなる架橋性樹脂、架橋性樹脂複合体。(R1〜R4は各々独立してH、C1〜10の鎖状炭化水素基、C3〜12の脂環式炭化水素基、又はC6〜12の芳香族炭化水素基を表し、X1及びX2は各々独立して電子供与性基)前記X1及びX2がヒドロキルシル基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、アミノ基であり、特にヒドロキル基である化合物を含有する重合性組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、低い温度で架橋することが可能な架橋性樹脂が得られる重合性組成物、当該架橋性樹脂、架橋性樹脂複合体、架橋樹脂及び架橋樹脂複合体に関する。
従来、ノルボルネン系モノマーを開環メタセシス重合して得られる熱可塑性ノルボルネン系樹脂を、有機過酸化物等の架橋剤で架橋させることによって架橋成形品が得られることが知られている。
例えば、特許文献1には、熱可塑性水素化開環ノルボルネン系樹脂に、有機過酸化物及び架橋助剤を添加し、均一に分散させてノルボルネン系樹脂組成物を得、この組成物をフィルムやプリプレグに成形し、これらを基板と積層し、次いで積層物を加熱加圧成形して架橋成形品を得たことが記載されている。また、この文献には、得られる架橋成形品は、層間絶縁膜、防湿層形成用フィルム等として有用であることも記載されている。
特許文献2には、ノルボルネン系モノマーを、メタセシス重合触媒であるルテニウムカルベン錯体及び架橋剤の存在下にメタセシス重合させて、後硬化可能な架橋性樹脂を得、次いで、このものを後硬化(後架橋)させて、高密度に架橋された架橋樹脂を得る方法が開示されている。
また、特許文献3には、ノルボルネン系モノマー、メタセシス重合触媒、連鎖移動剤及び架橋剤を含む重合性組成物を塊状重合して架橋性の熱可塑性樹脂を得、この架橋性熱可塑性樹脂を基板等に積層し、架橋させて、複合材料を得たことが開示されている。
しかしながら、上記特許文献1〜3に開示されている方法で得られる複合体は、架橋樹脂が基板表面の凹凸に対応して埋め込まれ難く、基板と架橋樹脂との密着性が低くなることがあった。また、周波数1GHzにおける誘電損失が大きく、高周波用の回路基板への適用が制限されることがあった。
これらの問題を解決する方法として、特許文献4には、ノルボルネン系モノマー、メタセシス重合触媒、及び特定の非極性ラジカル発生剤を含む重合性組成物を塊状重合して架橋性樹脂複合体を得、この架橋性樹脂複合体を基板等に積層し、加熱加圧成形して、架橋樹脂複合体を得る方法が提案されている。
特開平6−248164号公報 国際公開第1997/003096号 国際公開第2004/003052号 国際公開2008/047894号
しかしながら、特許文献4に記載の重合性組成物を用いる場合には、得られる架橋樹脂複合体の機械的強度等の特性には問題がないものの、架橋させるために高温に加熱する必要があり、生産効率が低いという問題があった。
そこで、本発明は、はんだ耐熱性やピール強度等の機械的強度に優れ、かつ、低い温度での架橋が可能な架橋性樹脂、架橋性樹脂複合体を得ることができる重合性組成物、この重合性組成物をメタセシス重合して得られる架橋性樹脂、架橋性樹脂複合体、並びに、これらを架橋して得られる架橋樹脂、及び架橋樹脂複合体を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒を含有する重合性組成物に、後述する式(1)で表される化合物からなるラジカル発生剤を含有させることで、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
かくして本発明によれば、下記(1)〜(3)の重合性組成物、(4)の架橋性樹脂、(5)の架橋性樹脂複合体、(6)の架橋樹脂、及び、(7)〜(9)の架橋樹脂複合体が提供される。
(1)シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、及び下記式(1)で示される化合物からなるラジカル発生剤を含有することを特徴とする重合性組成物。
Figure 2015086287
(式中、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10の鎖状炭化水素基、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基、または炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を表し、X及びXはそれぞれ独立して、電子供与性基を表す。)
(2)前記式(1)で表される化合物が、前記式(1)中、X、Xが、それぞれ独立して、ヒドロキシル基、メルカプト基、炭素数1〜6のアルコキシル基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜6のアルキル基、又は、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基の化合物である、(1)に記載の重合性組成物。
(3)前記式(1)で表される化合物が、前記式(1)中、X、Xがヒドロキシル基の化合物である、(1)に記載の重合性組成物。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の重合性組成物を塊状重合して得られる、架橋性樹脂。
(5)(1)〜(3)のいずれかに記載の重合性組成物を支持体に塗布または含浸し、塊状重合して得られる架橋性樹脂複合体。
(6)(4)に記載の架橋性樹脂を架橋してなる架橋樹脂。
(7)(4)に記載の架橋性樹脂の成形体を支持体上で架橋してなる、架橋樹脂複合体。
(8)(5)に記載の架橋性樹脂複合体を架橋してなる架橋樹脂複合体。
(9)前記架橋を別の支持体上で行って得られるものである、(8)に記載の架橋樹脂複合体。
本発明の重合性組成物によれば、はんだ耐熱性やピール強度等の機械的強度を有し、かつ、低い温度での架橋が可能な架橋性樹脂、架橋性樹脂複合体を得ることができる。
本発明の架橋性樹脂又は架橋性樹脂複合体は、低い温度で架橋することができるため、高い生産効率で、架橋樹脂や架橋樹脂複合体を得ることができる。
本発明の架橋樹脂や架橋樹脂複合体は、はんだ耐熱性やピール強度等の機械的強度、電気絶縁性、密着性、誘電特性等の特性に優れる。
以下、本発明を、1)重合性組成物、2)架橋性樹脂及び架橋性樹脂複合体、3)架橋樹脂、及び、4)架橋樹脂複合体、に項分けして詳細に説明する。
1)重合性組成物
本発明の重合性組成物は、シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、及び式(1)
Figure 2015086287
(式中、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10の鎖状炭化水素基、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基、または炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を表し、X及びXはそれぞれ独立して、電子供与性基を表す。)で示される化合物からなるラジカル発生剤を含有することを特徴とする。
(1)シクロオレフィンモノマー
本発明の重合性組成物に用いるシクロオレフィンモノマーは、分子内に、脂環構造と、この脂環構造内にメタセシス開環重合性の炭素−炭素二重結合とを有する化合物である。具体的には、ノルボルネン系モノマー、単環シクロオレフィン等が挙げられる。
ノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環を有する化合物である。具体的には、ノルボルネン類、ジシクロペンタジエン類、テトラシクロドデセン類、五環体以上の環状オレフィン類等が挙げられる。
これらは、メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基、プロペニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;メチリデン基、エチリデン基等の炭素数2〜6のアルキリデン基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等のアリール基;等の炭化水素基、水酸基;シアノ基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基;アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基;カルボキシル基;及び酸無水物基;等の極性基を置換基として有していてもよい。
ノルボルネン系モノマーは、無置換又は置換基として炭化水素を有する(すなわち、置換基として極性基を有さない)ノルボルネン系モノマーと、置換基として極性基を有するノルボルネン系モノマーに大別することができる。
極性基を有さないノルボルネン系モノマーとしては、
2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボルネン、5−デシル−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシル−2−ノルボルネン、5−シクロペンチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−シクロヘキセニル−2−ノルボルネン、5−シクロペンテニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンとも言う。)、テトラシクロ[10.2.1.02,11.04,9]ペンタデカ−4,6,8,13−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9,9a,10−ヘキサヒドロアントラセンとも言う。)等のノルボルネン類;
ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エンとも言う。)等のジシクロペンタジエン類;
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロヘキシルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロペンチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチレンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−ビニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−プロペニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロヘキセニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロペンテニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−フェニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン等のテトラシクロドデセン類;
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ−4,10−ジエン、ペンタシクロ[9.2.1.14,7.02,10.03,8]ペンタデカ−5,12−ジエン、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]ヘプタデカ−4−エン等の五環体以上の環状オレフィン類;等が挙げられる。
極性基を有するノルボルネン系モノマーとしては、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチルエステル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−メタノール、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸無水物、5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、酢酸5−ノルボルネン−2−イル、5−ノルボルネン−2−メタノール、5−ノルボルネン−2−オール、5−ノルボルネン−2−カルボニトリル、2−アセチル−5−ノルボルネン、7−オキサ−2−ノルボルネン等が挙げられる。
また、単環シクロオレフィンとしては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、シクロドデセン、1,5−シクロオクタジエン等が挙げられる。これらは置換基を有していてもよい。これらの置換基としては、前記ノルボルネン系モノマーの置換基として例示したのと同様のものが挙げられる。
これらのシクロオレフィンモノマーは、1種単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明においては、2種以上のモノマーを併用し、そのブレンド比を変化させることで、得られる架橋性樹脂成形体のガラス転移温度や溶融温度を自由に制御することが可能である。
また、単環シクロオレフィンを用いる場合は、ノルボルネン系モノマーと併用するのが好ましい。この場合、その使用量は、ノルボルネン系モノマー全体に対して、好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。使用量が40質量%を超えると、塊状重合により得られる重合体の耐熱性が不十分となる場合がある。
(2)メタセシス重合触媒
本発明の重合性組成物を構成するメタセシス重合触媒は、シクロオレフィンモノマーのメタセシス開環重合反応の触媒となるものであれば特に限定されない。
メタセシス重合触媒としては、遷移金属原子を中心にして、イオン、原子、多原子イオン及び/又は化合物が複数結合してなる錯体が挙げられる。遷移金属原子としては、5族、6族及び8族(長周期型周期表、以下同じ)の原子が使用される。それぞれの族の原子は特に限定されないが、好ましい5族の原子としてはタンタルが挙げられ、好ましい6族の原子としては、モリブデン、タングステンが挙げられ、好ましい8族の原子としては、ルテニウム、オスミウムが挙げられる。
これらの中でも、8族のルテニウムやオスミウムの錯体をメタセシス重合触媒として用いることが好ましく、ルテニウムカルベン錯体が特に好ましい。8族のルテニウムやオスミウムの錯体は、酸素や空気中の水分に対して比較的安定であって、失活しにくいので、大気下でも架橋性樹脂の生産が可能である。また、ルテニウムカルベン錯体は、塊状重合時の触媒活性が優れるため、後架橋可能な架橋性樹脂の生産性に優れ、残留未反応モノマーに由来する臭気が少ない架橋性樹脂を得ることができる。
ルテニウムカルベン錯体は、下記の式(i)又は式(ii)で表されるものである。
Figure 2015086287
式(i)及び(i)において、R11及びR12は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。X11及びX12は、それぞれ独立して任意のアニオン性配位子を示す。L及びLはそれぞれ独立して、ヘテロ原子含有カルベン化合物又は中性電子供与性化合物を表す。また、RとRは互いに結合して環を形成してもよい。さらに、R11、R12、X11、X12、L及びLは、任意の組合せで互いに結合して多座キレート化配位子を形成してもよい。
ヘテロ原子とは、周期律表第15族及び第16族の原子を意味し、具体的には、N、O、P、S、As、Se等を挙げることができる。これらの中でも、安定なカルベン化合物が得られる観点から、N、O、P、およびSが好ましく、N(窒素原子)が特に好ましい。
ヘテロ原子含有カルベン化合物は、カルベン炭素原子の両側にヘテロ原子が隣接して結合していることが好ましく、さらにカルベン炭素原子とその両側のヘテロ原子とを含むヘテロ環が構成されているものがより好ましい。また、カルベン炭素原子に隣接するヘテロ原子には嵩高い置換基を有していることが好ましい。
ヘテロ原子含有カルベン化合物としては、下記の式(iii)又は式(iv)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015086287
(式中、R13〜R16は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含んでもよい炭素数1〜20個の炭化水素基を表す。また、R13〜R16は任意の組合せで互いに結合して環を形成していてもよい。)
前記式(iii)又は式(iv)で表される化合物としては、1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ビス(1−アダマンチル)イミダゾリジン−2−イリデン、1−シクロヘキシル−3−メシチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジメシチルオクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン、1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ビス(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン等が挙げられる。
また、前記式(iii)又は式(iv)で表される化合物のほかに、1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン、N,N,N’,N’−テトライソプロピルホルムアミジニリデン、1,3,4−トリフェニル−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン等のヘテロ原子含有カルベン化合物も用い得る。
前記式(i)及び式(ii)において、アニオン(陰イオン)性配位子X11およびX12は、中心金属原子から引き離されたときに負の電荷を持つ配位子であり、例えば、F、Cl、Br、I等のハロゲン原子、ジケトネート基、置換シクロペンタジエニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボキシル基等を挙げることができる。これらの中でもハロゲン原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
また、中性の電子供与性化合物は、中心金属から引き離されたときに中性の電荷を持つ配位子であればいかなるものでもよい。その具体例としては、カルボニル、アミン類、ピリジン類、エーテル類、ニトリル類、エステル類、ホスフィン類、チオエーテル類、芳香族化合物、オレフィン類、イソシアニド類、チオシアネート類等が挙げられる。これらの中でも、ホスフィン類、エーテル類及びピリジン類が好ましく、トリアルキルホスフィンがより好ましい。
前記式(i)で表される錯体化合物としては、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(3−フェニル−1H−インデン−1−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−オクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン[1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジイソプロピルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)ピリジンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(2−フェニルエチリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−フェニルエチリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン)[(フェニルチオ)メチレン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−ピロリドン−1−イルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド等のLおよびLの一方がヘテロ原子含有カルベン化合物であり、他方が中性の電子供与性化合物であるルテニウム錯体化合物;
ベンジリデンビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)ビス(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド等のLおよびLの両方が中性電子供与性化合物であるルテニウム錯体化合物;
ベンジリデンビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデンビス(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)ルテニウムジクロリド等のLおよびLの両方がヘテロ原子含有カルベン化合物であるルテニウム錯体化合物;等が挙げられる。
また、前記式(i)において、R13とLが結合している錯体化合物として、下記の(v)〜(vii)で表される化合物が挙げられる。iPrはイソプロピル基を表す。
Figure 2015086287
前記式(ii)で表される錯体化合物としては、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(フェニルビニリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(t−ブチルビニリデン)(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリド等が挙げられる。
これらの錯体化合物の中でも、前記式(i)で表され、かつLおよびLの一方が前記式(iv)で表される化合物であり、他方が中性の電子供与性化合物であるルテニウム錯体化合物が最も好ましい。
これらのメタセシス重合触媒は、Org.Lett.,1999年,第1巻,953頁,Tetrahedron.Lett.,1999年,第40巻,2247頁等に記載された方法によって製造することができる。
メタセシス重合触媒の使用量は、(触媒中の金属原子:シクロオレフィンモノマー)のモル比で、通常1:2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:5,000〜1:1,000,000、より好ましくは1:10,000〜1:500,000の範囲である。
メタセシス重合触媒は必要に応じて、少量の不活性溶剤に溶解又は懸濁して使用することができる。かかる溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、流動パラフィン、ミネラルスピリット等の鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;インデン、インダン、テトラヒドロナフタレン等の芳香環と脂環との縮合環を有する炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル等の含窒素炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の含酸素炭化水素;等が挙げられる。これらの中では、工業的に汎用な炭化水素の使用が好ましい。また、メタセシス重合触媒としての活性を低下させないものであれば、液状の老化防止剤、液状の可塑剤や液状のエラストマーを溶剤として用いてもよい。
メタセシス重合触媒は、重合活性を制御し、重合反応率を向上させる目的で活性剤(共触媒)と併用することもできる。活性剤としては、アルミニウム、スカンジウム、スズのアルキル化物、ハロゲン化物、アルコキシ化物及びアリールオキシ化物等を例示することができる。
活性剤としては、トリアルコキシアルミニウム、トリフェノキシアルミニウム、ジアルコキシアルキルアルミニウム、アルコキシジアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウム、ジアルコキシアルミニウムクロリド、アルコキシアルキルアルミニウムクロリド、ジアルキルアルミニウムクロリド、トリアルコキシスカンジウム、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシスズ、テトラアルコキシジルコニウム等が挙げられる。
活性剤の使用量は、(メタセシス重合触媒中の金属原子:活性剤)のモル比で、通常、1:0.05〜1:100、好ましくは1:0.2〜1:20、より好ましくは1:0.5〜1:10の範囲である。
また、メタセシス重合触媒として、5族及び6族の遷移金属原子の錯体を用いる場合には、メタセシス重合触媒及び活性剤は、いずれもモノマーに溶解して用いる方が好ましいが、生成物の性質を本質的に損なわない範囲であれば少量の溶剤に懸濁又は溶解させて用いることができる。
(3)ラジカル発生剤
本発明の重合性組成物は、さらに、前記式(1)で表される化合物からなるラジカル発生剤(以下、「ラジカル発生剤(1)」ということがある。)を含有する。
ラジカル発生剤は、加熱されることによりラジカルを発生し、架橋反応を開始させることができる化合物である。
本発明の重合性組成物においては、ラジカル発生剤(1)を用いるため、低い温度で架橋することが可能な、架橋性樹脂及び架橋性樹脂複合体を得ることができる。
前記式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10の鎖状炭化水素基、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基、又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を表す。
炭素数1〜10の鎖状炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基等が挙げられる。
炭素数3〜12の脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基等が挙げられる。
炭素数6〜12の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。
これらの中でも、入手容易性、及び、本発明の効果が得られやすい等の理由から、R〜Rとしては、それぞれ独立して、炭素数1〜10の鎖状炭化水素基、フェニル基が好ましく、炭素数1〜6の鎖状炭化水素基がより好ましく、メチル基、エチル基であるのがさらに好ましく、R、Rがエチル基で、R、Rがメチル基であるのが特に好ましい。
及びXはそれぞれ独立して、電子供与性基を表す。ここで電子供与性基は、結合するベンゼン環の電子密度を増加させる効果を持つ置換基を意味する。
、Xの電子供与性基としては、特に制約はないが、それぞれ独立して、ヒドロキシル基、メルカプト基、炭素数1〜6のアルコキシル基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜6のアルキル基、又は、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、であるのが好ましい。
、Xの炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。
炭素数1〜6のアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられ、炭素数1〜6のアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、t−ブチルチオ基等が挙げられる。
炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基としては、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等が挙げられる。
ラジカル発生剤(1)の1分間半減期温度は、150〜350℃が好ましく、200〜300℃がより好ましい。なお、本発明において、1分間半減期温度とは、ラジカル発生剤が分解して1分間で半量となる温度を表す。
ラジカル発生剤(1)の具体例としては、2,3−ジメチル−2,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、3,4−ジメチル−3,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,2−ジフェニル−1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,3−ジフェニル−2,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、3,4−ジフェニル−3,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1−フェニル−1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1−フェニル−1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、4,5−ジメチル−4,5−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン等のX及びXがヒドロキシル基である化合物;
2,3−ジメチル−2,3−ビス(4−メトキシフェニル)ブタン、2,3−ジメチル−2,3−ビス(4−メトキシフェニル)ブタン、3,4−ジメチル−3,4−ビス(4−エトキシフェニル)ヘキサン、3,4−ジメチル−3,4−ビス(4−エトキシフェニル)ヘキサン等のX及びXがアルコキシル基である化合物;
2,3−ジメチル−2,3−ビス(4−メルカプトフェニル)ブタン、2,3−ビス(4−メルカプトフェニル)ブタン、1,4−ビス(4−メルカプトフェニル)ブタン、3,4−ジメチル−3,4−ビス(4−メルカプトフェニル)ヘキサン、1,2−ジフェニル−1,2−ビス(4−メルカプトフェニル)エタン、2,3−ジフェニル−2,3−ビス(4−メルカプトフェニル)ブタン、3,4−ジフェニル−3,4−ビス(4−メルカプトフェニル)ヘキサン、1−フェニル−1,2−ビス(4−メルカプトフェニル)プロパン、1−フェニル−1,2−ビス(4−メルカプトフェニル)エタン、4,5−ジメチル−4,5−ビス(4−メルカプトフェニル)オクタン等のX及びXがメルカプト基である化合物;
2,3−ジメチル−2,3−ビス(4−メチルチオフェニル)ブタン、2,3−ジメチル−2,3−ビス(4−メチルチオフェニル)ブタン、3,4−ジメチル−3,4−ビス(4−エチルチオフェニル)ヘキサン、3,4−ジメチル−3,4−ビス(4−エチルチオフェニル)ヘキサン等のX及びXがアルコキシル基である化合物;
2,3−ジメチル−2,3−ビス(4−メチルフェニル)ブタン、2,3−ジメチル−2,3−ビス(4−メチルフェニル)ブタン、3,4−ジメチル−3,4−ビス(4−エチルフェニル)ヘキサン、3,4−ジメチル−3,4−ビス(4−エチルフェニル)ヘキサン等のX及びXがアルキル基である化合物;
2,3−ジメチル−2,3−ビス(4−アミノフェニル)ブタン、3,4−ジメチル−3,4−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサン、2,3−ジメチル−2,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ブタン、3,4−ジメチル−3,4−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ヘキサン等のX及びXがアミノ基又は置換アミノ基である化合物;等が挙げられる。
これらの中でも、入手容易性、及び本発明の効果がより得られやすい観点から、式(1)中、X及びXがヒドロキシル基である化合物が好ましく、X及びXがヒドロキシル基であり、R〜Rがアルキル基である化合物がより好ましく、2,3−ジメチル−2,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、3,4−ジメチル−3,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサンが特に好ましい。
ラジカル発生剤(1)としては、式(1)で表される化合物を、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上の化合物を併用する場合、その使用量比を変化させることで、得られる架橋性樹脂のガラス転移温度や溶融状態を自由に制御することが可能である。
ラジカル発生剤(1)の使用量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。ラジカル発生剤(1)の量があまりに少ないと架橋が不十分となり、高い架橋密度の架橋樹脂が得られなくなるおそれがある。ラジカル発生剤(1)の量が多すぎる場合には、架橋効果が飽和する一方で、所望の物性を有する熱可塑性樹脂及び架橋樹脂が得られなくなるおそれがある。
ラジカル発生剤(1)の多くは公知物質であり、従来公知の方法によって製造することができる(J.Org.Chem.2011,76,2296−2300(非特許文献1)等参照)。以下に、製造方法のいくつかを例示する。
(I)製造方法1
前記式(1)中、X及びXが共にヒドロキシル基である、下記式(1−1)で表される化合物は、以下のようにして製造することができる。
Figure 2015086287
式中、R〜Rは前記と同じ意味を表す。Xはハロゲン原子を表し、臭素原子又はヨウ素原子であるのが好ましい。
式(2)で表される化合物を、水及び塩基存在下、ヨウ化銅のナノ粒子(CuI Nano Particles(前記式中、「np」と表記。以下にて同じ。))と接触させることにより、式(1−1)で表される化合物を得ることができる。
用いる塩基としては、水酸化テトラn−ブチルアンモニウム(nBuNOH)、水酸化トリメチルフェニルアンモニウム、水酸化テトラメチルフェニルアンモニウム、水酸化テトラエチルフェニルアンモニウム等の第四級アンモニウム塩;水酸化カリウム、水酸化セシウム等の金属水酸化物;等が挙げられる。これらの中でも、高収率で目的物が得られることから、第四級アンモニウム塩が好ましく、nBuNOHが特に好ましい。
塩基の使用量は、化合物(2)に対して、通常2〜5当量である。
ヨウ化銅のナノ粒子は、非特許文献2記載の方法にて合成することができる。
ヨウ化銅のナノ粒子の使用量は、化合物(2)の通常0.5〜3モル%である。
水の使用量は、化合物(2)1mmolに対して、通常1〜3mlである。
また、反応は窒素雰囲気下で行うのが好ましい。反応温度は、通常、室温から100℃であり、反応時間は、通常15〜60時間である。
(II)製造方法2
前記式(1)中、X及びXが共にメルカプト基である化合物(1−2)は、前記化合物(1−1)の製造方法における反応系に、硫黄(硫黄粉)を存在させることにより、前記と同様にして製造することができる。
Figure 2015086287
(式中、R〜R、Xは前記と同じ意味を表す。以下にて同じ。)
硫黄(硫黄粉)の使用量は、化合物(2)に対して、通常1〜5当量である。
(III)製造方法3
前記式(1)中、X及びXが共にアミノ基である化合物(1−3)は、前記化合物(1−1)の製造方法における反応系に、アンモニア水(28%NHaq.)を存在させることにより、前記と同様にして製造することができる。
Figure 2015086287
NHの使用量は、化合物(2)に対して、通常3〜15当量である。
(IV)製造方法4
前記式(1)中、X及びXが共にアルコキシル基である化合物、アルキルチオ基である化合物、及びジアルキルアミノ基である化合物は、それぞれ、前記式(1−1)、(1−2)、(1−3)で表される化合物の、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基を、従来公知の方法によりアルキル化することにより、製造することができる。
いずれの反応においても、反応終了後は、有機合成化学における通常の後処理操作を行い、得られた反応生成物を、所望によりカラムクロマトグラフィー等の公知の精製手段を用いて精製することで、目的物を高純度で得ることができる。
前記式(2)で表される化合物は、公知の方法で製造し、入手することができる。例えば、下記式(3)で表される化合物(化合物(3))を、四塩化炭素等の適当な有機溶媒中、アルミナ担持ハロゲン化銅(II)と反応させることによって、得ることができる(下記反応式)。
Figure 2015086287
アルミナ担持ハロゲン化銅(II)の使用量は、化合物(3)1モルに対して、通常2〜10モルである。
反応温度は、通常40〜100℃であり、反応時間は、通常0.5〜6時間である。
本発明では上記のラジカル発生剤(1)を架橋剤として用いるが、本発明の重合性組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、前記ラジカル発生剤(1)以外の他の架橋剤を含ませてもよい。
また本発明においては、ラジカル発生剤(1)による架橋反応を促進させるために、架橋助剤を併用してもよい。架橋助剤としては、p−キノンジオキシム等のジオキシム化合物;ラウリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクレート等のメタクリレート化合物;ジアリルフマレート等のフマル酸化合物:ジアリルフタレート等のフタル酸化合物、トリアリルシアヌレート、トリメタアリルシアヌレート等のシアヌル酸化合物;マレイミド等のイミド化合物;等が挙げられる。また、ジイソプロペニルベンゼン、トリイソプロペニルベンゼン、およびトリメタアリルイソシアネート等の、イソプロペニル基を2以上有する化合物も好適に用いることができる。
架橋助剤の使用量は特に制限されないが、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常0〜100重量部、好ましくは0〜50重量部である。
(4)連鎖移動剤
本発明の重合性組成物は、より強度の高い架橋樹脂又は架橋樹脂複合体を得ることが可能になることから、さらに連鎖移動剤を含有することが好ましい。
連鎖移動剤としては、通常、置換基を有していてもよい鎖状のオレフィン類を用いることができる。
具体的には、1−ヘキセン、2−ヘキセン等の脂肪族オレフィン類;スチレン、ジビニルベンゼン、スチルベン等の芳香族基を有するオレフィン類;ビニルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素基を有するオレフィン類;エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;メチルビニルケトン、1,5−ヘキサジエン−3−オン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン−3−オン等のビニルケトン類;アクリル酸スチリル、エチレングリコールジアクリレート;アリルトリビニルシラン、アリルメチルジビニルシラン、アリルジメチルビニルシラン;アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル;アリルアミン、2−(ジエチルアミノ)エタノールビニルエーテル、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、4−ビニルアニリン;等が挙げられる。
これらの連鎖移動剤の中でも、より強度の高い架橋樹脂が得られることから、式(4):CH=CH−Y−OCO−CR20=CHで表される化合物が好ましい。式(4)中のYはアルキレン基、R20は水素原子又はメチル基である。
前記アルキレン基の炭素数は特に制限されないが、通常1〜20、好ましくは4〜12である。
式(4)で表される化合物としては、メタクリル酸アリル、メタクリル酸3−ブテン−1−イル、アクリル酸アリル、アクリル酸3−ブテン−1−イル、メタクリル酸ウンデセニル、メタクリル酸ヘキセニル等が挙げられる。中でも、メタクリル酸ウンデセニルおよびメタクリル酸ヘキセニルが特に好ましい。
連鎖移動剤の添加量は、前記シクロオレフィンモノマーの全量に対して、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。連鎖移動剤の添加量がこの範囲であるときに、重合反応率が高く、しかも後架橋可能な熱可塑性樹脂を効率よく得ることができる。
(5)その他の添加剤
本発明の重合性組成物には、さらに、重合反応遅延剤、老化防止剤、強化材、改質剤、難燃剤、充填剤(フィラー)、着色剤、光安定剤等の、その他の添加剤を含有させることができる。これらは、予め後述するモノマー液又は触媒液に溶解又は分散させて用いることができる。
重合反応遅延剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、ジシクロヘキシルホスフィン、ビニルジフェニルホスフィン等のホスフィン類;アニリン、ピリジン等のルイス塩基;が挙げられる。中でも、本発明の重合性組成物の可使時間を効率よく制御でき、重合反応の阻害が少ないので、ホスフィン類が好ましい。
また、シクロオレフィンモノマーと共重合可能な環状オレフィン系モノマーのうち、分子内に1,5−ジエン構造や1,3,5−トリエン構造を有する環状オレフィンは重合反応遅延剤としても機能する。このような化合物としては、1,5−シクロオクタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン等が挙げられる。
老化防止剤は、架橋樹脂成形体の耐熱性を向上し得る化合物である。
老化防止剤としては、例えば、フェノール系老化防止剤、アミン系老化防止剤、リン系老化防止剤、及びイオウ系老化防止剤等が挙げられ、フェノール系老化防止剤及びアミン系老化防止剤が好ましく、フェノール系老化防止剤がより好ましい。老化防止剤は、1種単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。老化防止剤を用いる場合、その含有量は、目的に合わせて適宜決定することができる。
強化材としては、チョッブドストランド、ミルドファイバー等の短繊維状の粉体が挙げられ、その繊維の種類としては、ガラス繊維、紙基材、カーボン繊維、金属繊維、アラミド繊維等が挙げられる。改質剤としては、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)及びこれらの水素化物等のエラストマー等が挙げられる。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系、リン系、アミン系等の各種のプラスチック・ゴム用酸化防止剤等が挙げられる。これらの酸化防止剤は単独で用いてもよいが、二種以上を組合せて用いることが好ましい。
難燃剤としては、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物系難燃剤、三酸化アンチモン等のアンチモン化合物、等が挙げられる。難燃剤は単独で用いてもよいが、二種以上を組合せて用いることが好ましい。
充填材としては、ガラス粉末、セラミック粉末、シリカ等が挙げられる。これら充填材は、二種類以上を併用してもよい。充填剤として、シランカップリング剤等で表面処理したものを用いることもできる。充填材の量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対し、通常0〜600重量部、好ましくは50〜500重量部、より好ましくは50〜300重量部である。
着色剤としては、染料、顔料等が用いられる。染料の種類は多様であり、公知のものを適宜選択して使用すればよい。
重合性組成物の調製方法は、特に制約されない。例えば、メタセシス重合触媒を適当な溶媒に溶解若しくは分散させた液(以下、「触媒液」ということがある。)を調製し、別にシクロオレフィンモノマーに充てん剤、難燃剤等の添加剤を必要に応じて配合した液(以下、「モノマー液」ということがある。)を調製し、該モノマー液に触媒液を添加し、攪拌することによって調製できる。モノマー液と触媒液との混合は次に述べる塊状重合を行う直前に行うことが好ましい。また、連鎖移動剤、ラジカル発生剤(1)、ラジカル架橋遅延剤等は、モノマー液と触媒液を混合する前にモノマー液及び/又は触媒液に添加してもよいし、モノマー液と触媒液とを混合した後に添加してもよい。
2)架橋性樹脂及び架橋性樹脂複合体
本発明の架橋性樹脂は、前記重合性組成物を塊状重合することによって得られる。
重合性組成物を塊状重合する方法としては、(a)重合性組成物を支持体に注ぐか又は塗布し、塊状重合する方法、(b)重合性組成物を型内に注ぎこみ、塊状重合する方法、(c)重合性組成物を支持体に含浸させ、塊状重合する方法等が挙げられる。
(a)又は(c)の方法によって前記重合性組成物を塊状重合すると、支持体と架橋性樹脂とを含む架橋性樹脂複合体が得られる。
(a)の方法によれば、架橋性樹脂と支持体とから形成される架橋性樹脂複合体が得られる。ここで用いる支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ナイロン等の樹脂;鉄、ステンレス、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、金、銀等の金属材料;等からなるものが挙げられる。その形状は特に限定されないが、金属箔又は樹脂フィルムの使用が好ましい。例えば、支持体に銅箔を用いた場合、樹脂付き銅箔(Resin Coated Cupper(RCC))を得ることができる。これら金属箔又は樹脂フィルムの厚さは、作業性等の観点から、通常1〜150μm、好ましくは2〜100μm、より好ましくは3〜75μmである。これらの支持体の表面は平滑であることが好ましい。また、これらの支持体表面は、スチリルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤等で表面処理をしてあることが好ましい。
重合性組成物を支持体へ塗布する方法は特に制限されず、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スリットコート法等の公知の塗布方法が挙げられる。
塊状重合はメタセシス重合触媒が機能する温度まで重合性組成物を加熱することによって開始される。
重合性組成物を所定温度に加熱する方法としては特に制約されず、加熱プレート上に載せて加熱する方法、プレス機を用いて加圧しながら加熱(熱プレス)する方法、加熱したローラーで押圧する方法、加熱炉を用いる方法等が挙げられる。
以上のようにして得られる架橋性樹脂フィルムは、厚さが通常15mm以下、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下、特に好ましくは1mm以下である。
(b)の方法によれば、任意の形状の架橋性樹脂の成形体を得ることができる。その形状としては、シート状、フィルム状、柱状、円柱状、多角柱状等が挙げられる。
ここで用いる型としては、従来公知の成形型、例えば、割型構造すなわちコア型とキャビティー型を有する成形型を用いることができ、それらの空隙部(キャビティー)に重合性組成物を注入して塊状重合させる。コア型とキャビティー型は、目的とする成形品の形状にあった空隙部を形成するように作製される。また、成形型の形状、材質、大きさ等は特に制限されない。また、ガラス板や金属板等の板状成形型と所定の厚さのスペーサーとを用意し、スペーサーを2枚の板状成形型で挟んで形成される空間内に重合性組成物を注入することにより、シート状又はフィルム状の架橋性樹脂成形体を得ることができる。
重合性組成物を成形型のキャビティー内に充填する際の充填圧力(注入圧)は、通常0.01〜10MPa、好ましくは0.02〜5MPaである。充填圧力が低すぎると、キャビティー内周面に形成された転写面の転写が良好に行われない傾向にあり、充填圧が高すぎると、成形型の剛性を高くしなければならず経済的ではない。型締圧力は通常0.01〜10MPaの範囲内である。
(c)の方法では、支持体としては、繊維材を用いる。この方法によれば、架橋性樹脂が繊維材に含浸された架橋性樹脂複合体であるプリプレグを得ることができる。用いる繊維材の材質は、有機及び/又は無機の繊維であり、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、アミド繊維、金属繊維、セラミック繊維等の公知のものが挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。繊維材の形状としては、マット、クロス、不織布等が挙げられる。また、これらの繊維材はその表面がシランカップリング剤等で表面処理をしてあることが好ましい。
重合性組成物の繊維材への含浸は、例えば、重合性組成物の所定量を、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スリットコート法等の公知の方法により繊維材に塗布し、必要に応じてその上に保護フィルムを重ね、上側からローラー等で押圧することにより行うことができる。重合性組成物を繊維材に含浸させた後、含浸物を所定温度に加熱することにより、重合性組成物を塊状重合させることができ、それによって架橋性樹脂が含浸されたプリプレグが得られる。
含浸物の加熱方法は特に限定されず、前記(a)の方法と同様の方法が採用でき、含浸物を基材上に設置して加熱してもよい。また、繊維材を設置した型内に重合性組成物を注入し、重合性組成物を含浸させてから前記(b)の方法に従い塊状重合してもよい。
重合性組成物は従来の樹脂ワニスと比較して低粘度であり、繊維材に対する含浸性に優れるので、繊維材に架橋性樹脂を均一に含浸させることができる。
また、重合性組成物は反応に関与しない溶媒等の含有量が少ないので、繊維材に含浸させた後に溶媒を除去する等の工程が不要であり、生産性に優れ、残存溶媒による臭気やフクレ等も生じない。さらに、本発明の架橋性樹脂は保存安定性に優れるので、得られるプリプレグは保存安定性に優れる。
上記(a)、(b)及び(c)のいずれの方法においても、重合性組成物を重合させるための加熱温度は、通常100〜200℃である。重合時間は適宜選択すればよいが、通常、10秒間から20分間、好ましくは5分間以内である。
重合性組成物を所定温度に加熱することにより重合反応が開始する。この重合反応は発熱反応であり、一旦塊状重合反応が開始すると、反応液の温度が急激に上昇し、短時間(例えば、10秒間から5分間程度)でピーク温度に到達する。重合反応時の最高温度があまりに高くなると、架橋反応が起きて架橋樹脂になってしまい、後架橋可能な架橋性樹脂が得られないおそれがある。したがって、重合反応のみを完全に進行させ、架橋反応が進行しないようにするためには、塊状重合のピーク温度を、前記ラジカル発生剤の1分間半減期温度以下、好ましくは200℃未満に制御することが好ましい。
本発明の架橋性樹脂は、後架橋可能な樹脂である。ここで「後架橋可能な」は、樹脂を加熱することによって、架橋反応が進行して架橋樹脂になり得るということである。
また、本発明の架橋性樹脂複合体は、該架橋性樹脂と前記支持体とが一体化されてなる複合材料である。
本発明の架橋性樹脂は、前述した重合性組成物の塊状重合反応がほぼ完全に進行するので、残留モノマーが少なくなっており、モノマーに由来する臭気等で作業環境が悪化することがない。また、前記の非極性ラジカル発生剤として分解温度の高いものを用いると、架橋時において、架橋性樹脂が適度に流動し、金属箔等の支持体との密着性、配線板への埋め込み性が良好になる。また、非極性ラジカル発生剤の分解によって生成する物質は非極性であるので、得られる架橋樹脂の誘電損失(tanδ)が著しく小さくなっており、電気特性に優れている。
本発明の架橋性樹脂は、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素等の溶媒に可溶であることが好ましい。また、熱可塑性を示すので、架橋反応が起きない程度の温度で溶融成形を行うことによって様々な形状を形成できる。
本発明の架橋性樹脂の成形体は、一部分が架橋樹脂になっているものであってもよい。例えば、型内で重合性組成物を塊状重合したときには、型の中心部分は重合反応熱が発散しにくいので、型内の一部の温度が高くなりすぎる場合がある。高温部では架橋反応が起き、架橋樹脂になってしまうことがある。しかし、熱を発散しやすい表面部が後架橋可能な架橋性樹脂で形成されていれば、本発明の架橋性樹脂の成形体としての効果を十分に享受できる。架橋性樹脂の複合体においても、同様に架橋性樹脂の一部が架橋樹脂になっていてもよい。
本発明の架橋性樹脂は、塊状重合がほぼ完全に進行して得られるものであるので、保管中にさらに重合反応が進行するという恐れがない。本発明の架橋性樹脂は架橋剤(非極性ラジカル発生剤)を含有しているが、架橋反応を起す温度以上に加熱しない限り、表面硬度が変化する等の不具合が生じず、保存安定性に優れている。
3)架橋樹脂
本発明の架橋樹脂は、本発明の架橋性樹脂を架橋して得られるものである。
架橋性樹脂の架橋は、本発明の架橋性樹脂を加熱溶融する等して、架橋性樹脂が架橋反応を起す温度以上に維持することによって行うことができる。架橋性樹脂を架橋させるときの温度は、前記塊状重合時のピーク温度より20℃以上高いことが好ましく、通常170〜220℃、好ましくは180〜200℃である。
本発明においては、低い温度でも架橋することができるため、高い生産効率で架橋樹脂を得ることができる。
架橋する時間は、加熱温度、用いる架橋性樹脂の種類等にも依存するが、通常数分間から数時間である。
架橋性樹脂がシート状又はフィルム状の成形体である場合には、必要に応じて基材に該成形体を積層し、熱プレスすることにより、架橋性樹脂を架橋樹脂とすることができる。
熱プレスするときの圧力は、通常0.5〜20MPa、好ましくは3〜10MPaである。熱プレスは、真空または減圧雰囲気下で行ってもよい。熱プレスは、平板成形用のプレス枠型を有する公知のプレス機、シートモールドコンパウンド(SMC)やバルクモールドコンパウンド(BMC)等のプレス成形機を用いて行なうことができる。
4)架橋樹脂複合体
本発明の架橋樹脂複合体は、前記架橋樹脂と支持体とを含んでなるものである。
本発明の架橋樹脂複合体は、前述の架橋性樹脂複合体を架橋することによって得られる。また、架橋性樹脂成形体を支持体上で加熱して架橋することによって、または、架橋性樹脂複合体を別の支持体上で加熱して架橋することによっても得られる。
架橋性樹脂成形体又は架橋性樹脂複合体を支持体上で加熱して架橋する方法としては、熱プレスによる方法が挙げられる。例えば板状、フィルム状に成形された架橋性樹脂を、熱プレスによって、支持体に積層させ、さらに加熱を続けることによって架橋性樹脂を架橋することができる。熱プレスの条件は、前記架橋性樹脂を架橋する場合と同様である。
ここで用いられる新たな支持体としては、銅箔、アルミ箔、ニッケル箔、クロム箔、金箔、銀箔等の金属箔;プリント配線板;導電性ポリマーフィルム、他の樹脂フィルム等のフィルム類;等が挙げられる。また、該支持体としてプリント配線板を用いると、多層プリント配線板を製造することができる。銅箔等の金属箔やプリント配線板上の導電層は、その表面が、シランカップリング剤、チオール系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、各種接着剤等で処理されているものが好ましい。これらのうちシランカップリング剤で処理されているものが特に好ましい。
本発明の架橋性樹脂は流動性及び密着性に優れているので、平坦性に優れ、かつ、支持体との密着性に優れた複合体を得ることができる。本発明の複合体は、例えば、支持体として超平滑(SLP)銅箔を用いた場合には、JIS C6481に基づいて測定した剥離強度が、好ましくは0.4kN/m以上、より好ましくは0.6kN/m以上である。
本発明の架橋樹脂及び架橋樹脂複合体は、電気絶縁性、機械的強度、耐熱性、誘電特性等に優れている。また複合体は、支持体との密着性が良好であり、電気材料として好適である。
次に実施例等により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(合成例1)化合物(1a)の合成
Figure 2015086287
臭化銅(II)水和物(10g)を蒸留水(30ml)に溶解させた溶液に、アルミナ(20g)を加え、均一に混合した。次いで、このものを、80℃に加熱しながらエバポレーターを使用して水を除去し、残留物を減圧乾燥して、アルミナ担持臭化銅(II)を得た。
フラスコ中で、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン(2.4g)を四塩化炭素(80ml)に溶解させ、そこへ、上記で得られたアルミナ担持臭化銅(II)(30g)を加え、全容を80℃で2時間撹拌した。反応混合物をろ過し、得られたろ液からエバポレーターを使用して溶媒を除去し、3,4−ジメチル−3,4−ビス(4−ブロモフェニル)ヘキサン(以下、「ジブロモ体」ということがある。)を得た。
ジブロモ体のH−NMRスペクトルデータは以下のとおりであった。
H NMR(CDCl,δ in ppm):0.82(t,6H),1.24(d,6H),1.58(dd,4H),6.96(4H),7.29(4H)
得られたジブロモ体(4.2g)、非特許文献2に記載されている方法で合成したナノ粒子状ヨウ化銅(I)(29mg)、及び水酸化テトラブチルアンモニウム(40%水溶液)(20ml)を混合し、全容を、窒素雰囲気下、80℃で48時間撹拌した。反応終了後、反応混合物に、34%塩酸水溶液(10ml)及び酢酸エチル(100ml)を加えて分液し、酢酸エチル層を分取した。得られた有機層を水で洗浄し、無水塩化カルシウムで乾燥後濃縮し、濃縮物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル:n−ヘキサン=1:9の混合溶媒(体積比))にて精製し、化合物(1a)を(1.12g)得た。(収率38%)
得られた化合物(1a)のH−NMRスペクトルデータは以下のとおりであった。
このものを、ラジカル発生剤(1a)として用いた。
H−NMR(CDCl,δ in ppm):0.80(t,6H),1.26(d,6H),1.60(dd,4H),5.10(2H),6.73(4H),7.03(4H)
(実施例1)
(重合性組成物の調製)
ガラス製フラスコ中で、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド0.04部と、トリフェニルホスフィン0.06部を、テトラヒドロフラン0.7部に溶解させて触媒液を調製した。
200mlの金属容器に、シクロオレフィンモノマーとしてのテトラシクロドデセン(テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン(TCD)100部、合成例1で得たラジカル発生剤(1a)を2部、架橋助剤としてのトリメチロールプロパントリメタクリレート15部、フィラーとしてのシリカ粒子(平均粒子径0.5μm)20部、連鎖移動剤としてのスチレン0.74部、及び、老化防止剤としての3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール1部を混合してモノマー液を調製した。
次いで、容量200mlのポリエチレン製の瓶に、前記モノマー液120部と、上記触媒液0.17部を攪拌しながら加えて、重合性組成物1を得た。
(プリプレグの作製)
次いで、得られた重合性組成物1の80gを、ガラスクロス(Eガラス、日東紡社製)に含浸させ、得られた含浸物を120℃で5分間加熱して塊状重合させて、厚さ0.15mmのプリプレグシート(架橋性樹脂成形体)を得た。
(銅張積層板の作製)
作製したプリプレグシート(10cm角)を6枚重ねて、積層したプリプレグシートの積層物の上下を、厚み18μmのF2銅箔(古河電工社製、シランカップリング剤処理電解銅箔、粗度Rz=1600nm)で挟み、200℃、3MPaにて60分間熱プレスを行い、銅張積層板1を得た。
(比較例1)
実施例1において、ラジカル発生剤(1a)に代えて、下記に示す化合物(3a)(市販品)からなるラジカル発生剤(3a)を用いた以外は、実施例1と同様にして銅張積層板2を得た。
Figure 2015086287
(参考例1)
比較例1において、熱プレスの温度を200℃から230℃に変更した以外は、比較例1と同様にして銅張積層板3を得た。
実施例1、比較例1、及び参考例1で得た銅張積層板1〜3につき、下記に示す方法で、はんだ耐熱性を評価し、ピール強度を測定した。結果を下記表1に示す。
(はんだ耐熱性)
銅張積層板から50mm角の試験片を切り出し280℃のハンダ浴に1分間浸漬した。その後、外観を目視で観察した。評価は下記の通りとした。
○:異常なし
×:フクレ、剥離あり
(ピール強度)
作製した銅張積層板から、JIS C6481に基づいて銅箔を剥離し、その時の引き剥がし強度を測定した。
Figure 2015086287
表1から、実施例1の銅張積層板1は、比較例1の銅張積層板2に比して、ピール強度に優れ、はんだ耐熱性にも優れることがわかる。
また、参考例1の銅張積層板3は、はんだ耐熱性、ピール強度に優れるが、熱プレス温度を高く設定する必要があった。
これらの結果から、ラジカル発生剤(1a)を用いた重合性組成物を使用した場合は、市販品のラジカル発生剤(3a)を用いた重合性組成物を使用した場合よりも、熱プレス温度を低く設定することができることがわかる。

Claims (9)

  1. シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、及び下記式(1)で示される化合物からなるラジカル発生剤を含有することを特徴とする重合性組成物。
    Figure 2015086287
    (式中、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10の鎖状炭化水素基、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基、または炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を表し、X及びXはそれぞれ独立して、電子供与性基を表す。)
  2. 前記式(1)で表される化合物が、前記式(1)中、X、Xが、それぞれ独立して、ヒドロキシル基、メルカプト基、炭素数1〜6のアルコキシル基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜6のアルキル基、又は、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基の化合物である、請求項1に記載の重合性組成物。
  3. 前記式(1)で表される化合物が、前記式(1)中、X、Xがヒドロキシル基の化合物である、請求項1に記載の重合性組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の重合性組成物を塊状重合して得られる架橋性樹脂。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の重合性組成物を支持体に塗布または含浸し、塊状重合して得られる架橋性樹脂複合体。
  6. 請求項4に記載の架橋性樹脂を架橋してなる架橋樹脂。
  7. 請求項4に記載の架橋性樹脂の成形体を支持体上で架橋してなる、架橋樹脂複合体。
  8. 請求項5に記載の架橋性樹脂複合体を架橋してなる架橋樹脂複合体。
  9. 前記架橋を別の支持体上で行って得られるものである、請求項8に記載の架橋樹脂複合体。
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