JP2008195798A - 複合材料の製造方法 - Google Patents

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JP2008195798A JP2007031335A JP2007031335A JP2008195798A JP 2008195798 A JP2008195798 A JP 2008195798A JP 2007031335 A JP2007031335 A JP 2007031335A JP 2007031335 A JP2007031335 A JP 2007031335A JP 2008195798 A JP2008195798 A JP 2008195798A
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Akihiko Yoshihara
明彦 吉原
Junji Odemura
順司 小出村
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Abstract

【課題】 シクロオレフィン樹脂と繊維材料との密着性に優れ、誘電率が低く配線基板の絶縁層等に好適に用いられる複合材料成形体を、作業工程が少なく高い生産性で製造できる製造方法を提供する。
【解決手段】 シクロオレフィンモノマー、および第8族金属のカルベン錯体を含む重合性組成物を、液晶ポリマーよりなる繊維材の存在下に重合して、複合材料を製造する。該液晶ポリマーよりなる繊維材としては、単位面積当たりの重量が1〜100g/mであるクロスを好適に用いることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、複合材料の製造方法、該製造方法により得られる複合材料、ならびに該複合材料の成形体を用いて得られる架橋体および積層体に関する。より詳しくは、多層回路基板の絶縁層などに好適に用いることができる、優れた電気特性を有する複合材料を、高い生産性で製造できる製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化、軽量化、多機能化に伴い、電子部品等の実装密度向上のため多層配線板の微細配線化が急速に進んでいる。これに伴い多層配線板に用いられる材料にもさらなる電気特性の向上が求められている。例えば電気絶縁層に用いられる多層配線板用接着シートの製造方法として、特定の構造を有するエポキシ樹脂とアクリロニトリルブタジエンゴムと熱硬化剤とを必須成分とする樹脂組成物を、液晶ポリエステルからなる不織布に含浸後、乾燥させる工程を経て半硬化状態にする方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、この方法で得られる多層配線板用接着シートの、誘電率や誘電正接などの電気特性は不十分であった。また、用いる溶剤を乾燥し除去するため生産性も低かった。
高い電気的接続信頼性や優れた高周波特性が要求される配線基板の絶縁層を形成できる材料として、シクロオレフィンモノマーを含む重合性組成物を塊状重合して得られるシクロオレフィン樹脂が注目を集めている。かかるシクロオレフィン樹脂の強度を高める方法として、塊状重合をアラミド繊維やガラスクロスなどの繊維材料の存在下に行うことで、繊維強化された複合材料を得ることが提案されている(特許文献2)。しかしながら、繊維材料により重合反応が阻害され、複合材料中に未反応のシクロオレフィンモノマーが残留したり、ボイド(空隙)などが含まれる問題があった。かかる問題を防止するため、繊維材料を使用前に加熱乾燥して用いることが必要な場合があり、作業工程が増える問題があった。また、得られる複合材料の電気特性についても、さらなる改良が求められていた。
特開2005−175265号公報 WO2004/069895号パンフレット
本発明は、シクロオレフィン樹脂と繊維材料との密着性に優れ、誘電率が低く配線基板の絶縁層等に好適に用いられる複合材料成形体を、作業工程が少なく高い生産性で製造できる製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討の結果、繊維材として液晶性ポリマーよりなる繊維材を用い、該液晶性ポリマーよりなる繊維材の存在下に、シクロオレフィンモノマーおよび第8族金属のカルベン錯体を含む重合性組成物を重合することで、上記課題を解決できることを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに到った。
かくして本発明によれば、下記(1)〜(4)が提供される。
(1)シクロオレフィンモノマーおよび第8族金属のカルベン錯体を含む重合性組成物を、液晶ポリマーよりなる繊維材の存在下に重合する複合材料の製造方法。
前記液晶ポリマーよりなる繊維材は、表面処理されたものであることが好ましい。、
前記重合性組成物は、さらに連鎖移動剤を含むことが好ましい。
前記重合性組成物は、さらに架橋剤を含むことが好ましい。
前記重合は、塊状重合であることが好ましい。
前記塊状重合は、支持体上または型内で行うことが好ましい。
前記液晶ポリマーよりなる繊維材は、クロスであることが好ましい。
前記クロスの単位面積当たりの重量は、1〜100g/mであることが好ましい。
(2)上記の製造方法で得られる、複合材料成形体。
(3)上記の複合材料成形体を架橋してなる架橋体。
(4)上記(2)記載の複合材料成形体または(3)記載の架橋体からなる構成層を含む積層体。
本発明の製造方法によれば、シクロオレフィン樹脂と繊維材料との密着性に優れ、誘電率が低く配線基板の絶縁層等に好適に用いられる複合材料成形体を、作業工程が少なく高い生産性で製造することができる。上記成形体およびそれを架橋してなる架橋体、ならびにそれらを、構成層として含む積層体は、上記特性を備え、電気回路基板に使用する電気材料等として好適である。
本発明の複合材料の製造方法は、シクロオレフィンモノマーおよび第8族金属のカルベン錯体を含む重合性組成物を、液晶ポリマーよりなる繊維材の存在下に重合することを特徴とする。
(液晶ポリマーよりなる繊維材)
本発明に用いられる液晶ポリマーよりなる繊維材とは、エステル結合を有し液晶状態を示すポリマーから形成される繊維である。このような液晶ポリマーとしては、公知の液晶ポリエステルおよび液晶ポリエステルアミドを挙げることができる。具体的には、以下に例示する(a)〜(d)の化合物およびそれらの誘導体を、エステル結合および/またはアミド結合を形成できるように適宜組み合わせて共重合することより得られる。
(a)芳香族または脂肪族のジヒドロキシ化合物
(b)芳香族または脂肪族のジカルボン酸
(c)芳香族ヒドロキシカルボン酸
(d)芳香族ジアミン、芳香族ヒドロキシルアミンまたは芳香族アミノカルボン酸
これらの中でも、強度や耐熱性が優れるため主鎖中に脂肪族炭化水素を実質的に有しない全芳香族ポリエステルが好ましい。全芳香族ポリエステルは、芳香族ジヒドロキシ化合物、芳香族ジカルボン酸、および芳香族ヒドロキシカルボン酸を、エステル結合を形成できるように適宜組み合わせて共重合することより得られる。
具体的には、下記式(1)〜(11)で表されるものが好ましい。また、これらには、必要に応じてイソフタル酸単位などの他の単量体単位を有していてもよいが、繊維性能などの点からは他の単量体単位の割合は少量(通常20モル%以下)であることが好ましい。なお、式(1)〜(11)中、( )内は単量体単位を表す。また、「,」による区切りは、各単量体単位を有する共重合体であることを表し、各単量体単位の結合の順序は限定されない。
Figure 2008195798
Figure 2008195798
これらの中でも、式(5)で表される2つの単量体単位を有するものが好ましい。さらにこの2つの単量体単位の合計が65モル%以上、特に80モル%以上である溶融液晶性ポリエステルであることが好ましく、両単位の合計量に対して2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸単位の割合が5〜45モル%である溶融液晶性ポリエステルよりなることが繊維性能の点から特に好ましい。これらの溶融液晶性ポリエステルの融点は繊維材の耐熱性、寸法安定性などの点から、290℃以上であることが好ましく、300〜390℃であることがより好ましく、300〜350℃であることが特に好ましい。
液晶ポリマーよりなる繊維材の形状としては、チップ、ミルドファイバー、およびチョップドストランドなどの短繊維;およびクロス;が挙げられる。中でも、強度や耐熱性が優れるためクロスが好ましい。クロスの形態の例としては、ロービングクロス、チョップドマット、サーフェシングマットなどの織布または不織布が挙げられる。これらの形態の中では、得られる複合材料成形体の寸法安定性の観点からは織布や不織布が好ましい。また、これらの織布または不織布を、熱ロールなどで圧縮してなるものも好ましい。本発明においては、これら両者の特長を兼備させるために織布と不織布とを積層して用いても良い。また、液晶ポリマーよりなる繊維材にガラス、アラミド、ポリベンゾオキサゾールおよび天然セルロース系繊維のクロスまたはミクロフィブリルを混抄して用いても良い。
本発明に用いる液晶ポリマーからなるクロスとして、その単位面積当たりの重量を適宜選択することにより、得られる複合材料の厚みや強度を任意に変えることができる。液晶ポリマーからなるクロスの単位面積当たりの重量は、通常1〜100g/m、好ましくは3〜80g/m、より好ましくは5〜70g/m、特に好ましくは5〜50g/mである。単位面積当たりの重量が小さすぎると得られる複合材料の強度が不十分となる場合がある。一方大きすぎると、繊維間の空隙が少なくシクロオレフィンモノマーなどが含浸しにくくなるため、密着性が不十分な場合がある。
また液晶ポリマーからなるクロスの厚みは通常5〜200μm、好ましくは10〜150μm、より10〜100μmである。この範囲より小さいと得られる複合材料強度が弱くなり、またこの範囲より大きいと積層時の厚みの制御が困難になるという問題が生じ得る。
本発明に用いられる液晶ポリマーからなるクロスとしては、全芳香族ポリエステルをメルトブロー法により、紡糸時に高配向させた繊維から構成される不織布が特に好ましい。具体的にはベクルスおよびベクトラン(いずれもクラレ社の商品名)などを使用できる。
液晶ポリマーよりなる繊維材を製造するための方法は、メルトブロー法など公知の方法を用いればよく特に限定されない。
液晶性ポリマーよりなる繊維材は、そのまま用いてもシクロオレフィンモノマーを重合して得られる樹脂と良好な密着性を示すが、表面処理を施したものを用いると、より密着性を高めることができるので好ましい。表面処理の方法としては、(i)液晶性ポリマーよりなる繊維材の表面を粗化し、アンカー効果を利用する方法;(ii)表面に極性基を形成させる方法;および(iii)その極性基をさらに化学反応で修飾する方法;等により樹脂との相溶性や反応性を挙げて密着性を向上する方法が挙げられる。上記極性基としては、水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、およびエステル基などが挙げられる。
表面に極性基を形成させる方法としては、具体的には、グロー放電処理、UVオゾン処理、光増感UV法、電子線処理、低圧プラズマ処理、常圧プラズマ処理、コロナ放電処理、および酸素雰囲気化での加熱処理などの、酸化処理が挙げられる。また、その他の表面処理法としては、サンドブラスト法、クロム酸混液処理、アルカリ溶液処理、火炎処理、フッ素化処理、溶剤処理、表面グラフト処理、ブレンド法、ポリマー処理、スパッタ成膜、カップリング剤処理などが挙げられる。これらの表面処理は一種単独または二種以上を組み合わせて行っても良い。
例えば、コロナ放電処理を行う場合は、表面を活性化して酸化を促進するとの観点および液晶性ポリマーよりなる繊維材の炭化を抑制する点から0.5〜3キロワットの条件下で行うのが好ましい。
熱処理を行う場合の加熱方法としては、例えば加熱板や赤外線ヒーターなどからの輻射熱を利用する方法、熱ローラー、熱プレートなどに接触させる方法、高周波などを利用する内部加熱方法などを挙げることができる。熱処理時の雰囲気は特に制限されず、空気のような酸素を含有する活性ガス雰囲気下で行うことがでる。この熱処理は通常100〜400℃、好ましくは200〜400℃、特に300〜400℃で1分以上行うのが好ましい。該熱処理時間は生産性の点からは30時間以下であるのが好ましい。
溶剤処理とは、溶剤で液晶性ポリマーよりなる繊維材の表面を洗浄することをいう。用いられる溶剤としては、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類;トルエンなどの芳香族炭化水素類;アセトンなどのケトン類;酢酸エチルなどのエステル類;テトラヒドロフランなどのエーテル類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;ジメチルスルフォキシドなどのスルフォキシド類;エタノールなどのアルコール類;水;などが挙げられる。
カップリング剤処理とは、液晶性ポリマーよりなる繊維材と化学反応する化合物を用いてその表面を処理することをいう。かかる化合物としては、シランカップリング剤、アルミネートカップリング剤、チタネートカップリング剤、シラザン類、およびオルガノシロキサン等の公知のカップリング剤が挙げられる。これらのカップリング剤は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、シラザン類やシランカップリング剤が好ましく、これらの中でもビニル基、メタクリロイル基、およびスチリル基などの二重結合を有する基から選ばれる反応性基を有するものがより好ましい。かかる反応性基は、炭素と水素のみで形成されていることが特に好ましい。
処理に用いるカップリング剤の量は、液晶性ポリマーよりなる繊維材に対し通常0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5部である。
シランカップリング剤としては、アリルトリメトキシシラン、3−ブテニルトリメトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、N−β−(N−(ビニルベンジル)アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩、アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、スチリルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、β−メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、β−メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、δ−メタクリロキシブチルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
アルミネートカップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロポキシモノエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等が挙げられる。
チタネートカップリング剤としては、例えば、トリイソステアロイルイソプロピルチタネート、ジ(ジオクチルホスフェート)ジイソプロピルチタネート、ジドデシルベンゼンスルフォニルジイソプロピルチタネート、ジイソステアリルジイソプロピルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート等が挙げられる。
シラザン類としては、ヘキサメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ジブチルテトラメチルジシラザン、ジフェニルテトラメチルジシラザンなどが挙げられる。
ポリマー処理とは、液晶性ポリマーよりなる繊維材の表面の少なくとも一部をポリマーで被覆することをいう。用いられるポリマーとしては、高密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレンおよびエチレン−プロピレンゴムなどのポリオレフィン;ポリブタジエンなどの共役ジエンポリマー;ポリカーボネート;ポリスルホンまたはポリエーテルスルホン;ポリエーテルイミドなどのポリイミド;ポリビニルアルコール、ポリピロリドンおよびポリビニルブチラールなどの水溶性または親水性ポリマー;が挙げられる。
これらのポリマーは特に限定されないが、ポリオレフィンや共役ジエンポリマーなどの極性基が少ないものが好ましい。
(シクロオレフィンモノマー)
重合性組成物を構成するシクロオレフィンモノマーは、炭素原子で形成される環構造を有し、該環中に炭素−炭素二重結合を有する化合物である。その例として、ノルボルネン系モノマーおよび単環シクロオレフィンなどが挙げられ、ノルボルネン系モノマーが好ましい。ノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環を含むモノマーである。具体的には、ノルボルネン類、ジシクロペンタジエン類、テトラシクロドデセン類などが挙げられる。これらは、アルキル基、アルケニル基、アルキリデン基、アリール基などの炭化水素基や、カルボキシル基又は酸無水物基などの極性基が置換基として含まれていてもよい。
また、ノルボルネン環の二重結合以外に、さらに二重結合を有していてもよい。これらの中でも、極性基を含まない、すなわち炭素原子と水素原子のみで構成されるノルボルネン系モノマーが好ましい。
極性基を含まないノルボルネン系モノマーとしては、ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エンとも言う。)などのジシクロペンタジエン類;
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロヘキシルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロペンチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチレンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−ビニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−プロペニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロヘキセニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロペンテニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−フェニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンなどのテトラシクロドデセン類;
2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボルネン、5−デシル−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシル−2−ノルボルネン、5−シクロペンチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−シクロヘキセニル−2−ノルボルネン、5−シクロペンテニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンとも言う。)、テトラシクロ[10.2.1.02,11.04,9]ペンタデカ−4,6,8,13−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9,9a,10−ヘキサヒドロアントラセンとも言う。)などのノルボルネン類;
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ−4,10−ジエン、ペンタシクロ[9.2.1.14,7.02,10.03,8]ペンタデカ−5,12−ジエン、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]ヘプタデカ−4−エンなどの五環体以上の環状オレフィン類;などが挙げられる。
極性基を含むノルボルネン系モノマーとしては、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−メタノール、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸無水物、5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、酢酸5−ノルボルネン−2−イル、5−ノルボルネン−2−メタノール、5−ノルボルネン−2−オール、5−ノルボルネン−2−カルボニトリル、2−アセチル−5−ノルボルネン、7−オキサ−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
単環シクロオレフィンとしては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン、1,5−シクロオクタジエンなどの単環シクロオレフィン及び置換基を有するそれらの誘導体が挙げられる。これらのシクロオレフィンモノマーは1種単独で若しくは2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上のモノマーを併用し、そのブレンド比を変化させることで、得られる架橋性樹脂成形体のガラス転移温度や溶融温度を自由に制御することが可能である。単環シクロオレフィン類及びそれらの誘導体の添加量は、シクロオレフィンモノマーの全量に対して、好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。添加量が40質量%を超えると、得られる重合体の耐熱性が不十分となる場合がある。
(第8族金属のカルベン錯体)
重合性組成物を構成する第8族金属のカルベン錯体は、シクロオレフィンモノマーを、メタセシス開環重合させるメタセシス触媒として用いられる。
第8族金属のカルベン錯体とは、第8族金属(長周期型周期表、以下同じ)の原子にカルベン化合物が結合した化合物であり、金属原子(M)にカルベン炭素が二重結合した構造(M=C、以下、「反応中心のカルベン構造」ともいう。)を有するものである。好ましい8族の原子としては、ルテニウム、オスミウムが挙げられる。
第8族金属のカルベン錯体としては、ルテニウムカルベン錯体が特に好ましい。ルテニウムカルベン錯体は、塊状重合時の触媒活性が優れるため、後架橋可能な架橋性樹脂の生産性に優れ、残留未反応モノマーに由来する臭気が少ない架橋性樹脂を得ることができる。また、第8族のルテニウムやオスミウムの錯体は、酸素や空気中の水分に対して比較的安定であって、失活しにくいので、大気下でも架橋性樹脂の生産が可能である。
ルテニウムカルベン錯体は、下記の式(12)又は式(13)で表されるものである。
Figure 2008195798
式(12)及び(13)において、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。X1及びX2は、それぞれ独立して任意のアニオン性配位子を示す。L1及びL2はそれぞれ独立して、ヘテロ原子含有カルベン化合物又は中性電子供与性化合物を表す。また、RとRは互いに結合して環を形成してもよい。さらに、R、R、X1、X2、L1及びL2は、任意の組合せで互いに結合して多座キレート化配位子を形成してもよい。
ヘテロ原子とは、周期律表第15族及び第16族の原子を意味し、具体的には、N、O、P、S、As、Se原子などを挙げることができる。これらの中でも、安定なカルベン化合物が得られる観点から、N、O、P、S原子などが好ましく、N原子が特に好ましい。
ヘテロ原子含有カルベン化合物は、カルベン炭素の両側にヘテロ原子が隣接して結合していることが好ましく、さらにカルベン炭素原子とその両側のヘテロ原子とを含むヘテロ環が構成されているものがより好ましい。また、カルベン炭素に隣接するヘテロ原子には嵩高い置換基を有していることが好ましい。
ヘテロ原子含有カルベン化合物としては、下記の式(14)又は式(15)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2008195798
(式中、R〜Rは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含んでもよい炭素数1〜20個の炭化水素基を表す。また、R〜Rは任意の組合せで互いに結合して環を形成していてもよい。)
前記式(14)または式(15)で表される化合物としては、1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ(1−アダマンチル)イミダゾリジン−2−イリデン、1−シクロヘキシル−3−メシチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジメシチルオクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン、1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデンなどが挙げられる。
また、前記式(14)または式(15)で示される化合物のほかに、1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン、N,N,N’,N’−テトライソプロピルホルムアミジニリデン、1,3,4−トリフェニル−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデンなどのヘテロ原子含有カルベン化合物も用い得る。
前記式(12)及び式(13)において、アニオン(陰イオン)性配位子X、Xは、中心金属原子から引き離されたときに負の電荷を持つ配位子であり、例えば、F、Cl、Br、Iなどのハロゲン原子、ジケトネート基、置換シクロペンタジエニル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、カルボキシル基などを挙げることができる。これらの中でもハロゲン原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
また、中性の電子供与性化合物は、中心金属から引き離されたときに中性の電荷を持つ配位子であればいかなるものでもよい。その具体例としては、カルボニル、アミン類、ピリジン類、エーテル類、ニトリル類、エステル類、ホスフィン類、チオエーテル類、芳香族化合物、オレフィン類、イソシアニド類、チオシアネート類などが挙げられる。これらの中でも、ホスフィン類、エーテル類及びピリジン類が好ましく、トリアルキルホスフィンがより好ましい。
前記式(12)で表される錯体化合物としては、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(3−フェニル−1H−インデン−1−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−オクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン[1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジイソプロピルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)ピリジンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(2−フェニルエチリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−フェニルエチリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン)[(フェニルチオ)メチレン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−ピロリドン−1−イルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリドなどのLおよびLの一方がへテロ原子含有カルベン化合物であり、他方が中性の電子供与性化合物であるルテニウム錯体化合物;
ベンジリデンビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)ビス(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリドなどの、LおよびLの両方が中性の電子供与性化合物であるルテニウム化合物;
ベンジリデンビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデンビス(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)ルテニウムジクロリドなどの、LおよびLの両方がヘテロ原子含有カルベン化合物であるルテニウム錯体化合物;などが挙げられる。
前記式(13)で表される錯体化合物としては、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(フェニルビニリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(t−ブチルビニリデン)(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリドなどが挙げられる。
これらの錯体化合物の中でも、前記式(12)で表され、かつ配位子として前記式(15)で表される化合物を1つ有するものが最も好ましい。
これらのルテニウム錯体触媒は、Org. Lett., 1999年, 第1巻, 953頁, Tetrahedron. Lett., 1999年, 第40巻, 2247頁などに記載された方法によって製造することができる。
メタセシス重合触媒の使用量は、(触媒中の金属原子:シクロオレフィンモノマー)のモル比で、通常1:2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:5,000〜1:1,000,000、より好ましくは1:10,000〜1:500,000の範囲である。
メタセシス重合触媒は必要に応じて、少量の不活性溶剤に溶解又は懸濁して使用することができる。かかる溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、流動パラフィン、ミネラルスピリットなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの含酸素炭化水素;などが挙げられる。これらの中では、工業的に汎用な芳香族炭化水素や脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素の使用が好ましい。また、メタセシス重合触媒としての活性を低下させないものであれば、液状の老化防止剤、液状の可塑剤、液状のエラストマーを溶剤として用いてもよい。
メタセシス重合触媒は、活性剤(共触媒)と併用することもできる。活性剤は、重合活性を制御し、重合反応率を向上させる目的で添加されるものである。活性剤としては、アルミニウム、スカンジウム、スズのアルキル化物、ハロゲン化物、アルコキシ化物及びアリールオキシ化物などを例示することができる。
活性剤としては、トリアルコキシアルミニウム、トリフェノキシアルミニウム、ジアルコキシアルキルアルミニウム、アルコキシジアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウム、ジアルコキシアルミニウムクロリド、アルコキシアルキルアルミニウムクロリド、ジアルキルアルミニウムクロリド、トリアルコキシスカンジウム、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシスズ、テトラアルコキシジルコニウムなどが挙げられる。
活性剤の使用量は、(メタセシス重合触媒中の金属原子:活性剤)のモル比で、通常、1:0.05〜1:100、好ましくは1:0.2〜1:20、より好ましくは1:0.5〜1:10の範囲である。
(連鎖移動剤)
本発明の重合性組成物は、さらに重合反応の連鎖移動剤を含有することが好ましい。連鎖移動剤としては、炭素−炭素二重結合を有し、該二重結合が環構造の一部となっていない化合物を用いることができる。
具体的には、1−ヘキセン、2−ヘキセンなどの脂肪族オレフィン類;スチレン、ジビニルベンゼン、スチルベンなどの芳香族基を有するオレフィン類;ビニルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素基を有するオレフィン類;エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;メチルビニルケトン、1,5−ヘキサジエン−3−オン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン−3−オンなどのビニルケトン類;アクリル酸スチリル、エチレングリコールジアクリレート;アリルトリビニルシラン、アリルメチルジビニルシラン、アリルジメチルビニルシラン;アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル;アリルアミン、2−(ジエチルアミノ)エタノールビニルエーテル、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、4−ビニルアニリン;などが挙げられる。
これらの連鎖移動剤の中でも、上記置換基として、連鎖移動剤として反応に関与する基以外に、後述する架橋に寄与する基を有するものが好ましい。かかる架橋に寄与する基とは、具体的には、炭素−炭素二重結合を有する基であり、ビニル基、アクリロイル基およびメタクリロイル基等が挙げられる。これらの基は、分子鎖の末端にあることが好ましい。特に、式(A):CH2=CH−Y−OCO−CR=CH2で表される化合物が好ましい。式(A)中のYはアルキレン基、Rは水素原子又はメチル基である。アルキレン基の炭素数は特に制限されないが、通常1〜20、好ましくは4〜12である。この構造の連鎖移動剤を用いることで、より強度の高い架橋樹脂成形体または架橋樹脂複合体を得ることが可能になる。
式(A)で表される化合物としては、メタクリル酸アリル、メタクリル酸3−ブテン−1−イル、アクリル酸アリル、アクリル酸3−ブテン−1−イル、メタクリル酸ウンデセニル、メタクリル酸ヘキセニルなどが挙げられる。中でも、メタクリル酸ウンデセニルおよびメタクリル酸ヘキセニルが特に好ましい。
連鎖移動剤の添加量は、前記シクロオレフィンモノマー100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部である。連鎖移動剤の添加量がこの範囲であるときに、重合反応率が高く、しかも後架橋可能な重合体を効率よく得ることができる。
(架橋剤)
本発明に用いる重合性組成物は、重合後に架橋性を有する重合体を得るために、架橋剤を含有することが好ましい。
架橋剤としては、例えば、ラジカル発生剤、エポキシ化合物、イソシアネート基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、酸無水物基含有化合物、アミノ基含有化合物、ルイス酸などが挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、ラジカル発生剤、エポキシ化合物、イソシアネート基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、酸無水物基含有化合物が好ましく、ラジカル発生剤、エポキシ化合物、イソシアネート基含有化合物がより好ましく、ラジカル発生剤が特に好ましい。
ラジカル発生剤としては、有機過酸化物、ジアゾ化合物および非極性ラジカル発生剤などが挙げられる。有機過酸化物としては特に限定されないが、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類;ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンなどのジアルキルペルオキシド類;ジプロピオニルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類;2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどのペルオキシケタール類;t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエートなどのペルオキシエステル類;t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、ジ(イソプロピルペルオキシ)ジカルボナートなどのペルオキシカルボナートt−ブチルトリメチルシリルペルオキシドなどのアルキルシリルペルオキサシド類およびペルオキシケタール類;などが挙げられる。中でも、メタセシス重合反応に対する障害が少ない点で、ジアルキルペルオキシドおよびペルオキシケタール類が好ましい。
ジアゾ化合物としては、例えば、4,4’−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン、4,4’−ジアジドカルコン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ジアジドジフェニルスルホン、4,4’−ジアジドジフェニルメタン、2,2’−ジアジドスチルベンなどが挙げられる。
非極性ラジカル発生剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、2,3−ジフェニルブタン、1,4−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、1,1,2,2−テトラフェニルエタン、2,2,3,3−テトラフェニルブタン、3,3,4,4−テトラフェニルヘキサン、1,1,2−トリフェニルプロパン、1,1,2−トリフェニルエタン、トリフェニルメタン、1,1,1−トリフェニルエタン、1,1,1−トリフェニルプロパン、1,1,1−トリフェニルブタン、1,1,1−トリフェニルペンタン、1,1,1−トリフェニル−2−プロペン、1,1,1−トリフェニル−4−ペンテン、1,1,1−トリフェニル−2−フェニルエタンなどが挙げられる。
これらのラジカル発生剤の中でも、得られる複合材料の誘電正接を低いものとできるので、有機過酸化物および非極性ラジカル発生剤が好ましい。これらのラジカル発生剤は、1種単独で用いることができるが、これらの2種以上を混合したラジカル発生剤の混合物を用いることもできる。2種以上のラジカル発生剤を併用し、そのブレンド比を変化させることで、得られる架橋性樹脂のガラス転移温度や溶融状態を制御することが可能である。
架橋剤の使用量は、シクロオレフィンモノマー100質量部に対して、通常0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部である。架橋剤の量があまりに少ないと架橋が不十分となり、高い架橋密度の架橋体が得られなくなるおそれがある。架橋剤の量が多すぎる場合には、架橋効果が飽和する一方で、所望の物性を有する複合材料成形体及び架橋体が得られなくなるおそれがある。
また本発明においては、架橋剤としてラジカル発生剤を用いた場合、その架橋反応を促進させるために、架橋助剤を使用することができる。架橋助剤としては、p−キノンジオキシムなどのジオキシム化合物;ラウリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクレートなどのメタクリレート化合物;ジアリルフマレートなどのフマル酸化合物:ジアリルフタレートなどのフタル酸化合物、トリアリルシアヌレートなどのシアヌル酸化合物;マレイミドなどのイミド化合物;などが挙げられる。架橋助剤の使用量は特に制限されないが、シクロオレフィンモノマー100質量部に対して、通常0〜100質量部、好ましくは0〜50質量部である。
(その他の添加剤)
前記重合性組成物には、各種の添加剤、例えば、重合反応遅延剤、ラジカル架橋遅延剤、強化材、改質剤、酸化防止剤、充填材、着色剤、光安定剤などを含有させることができる。これらは、予め後述するモノマー液又は触媒液に溶解又は分散させて用いることができる。
重合反応遅延剤はメタセシス重合触媒の重合活性を制御し、重合性組成物のゲル化時間を伸ばし、加工性を向上させる化合物である。例えば、1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン、(シス、シス)−2,6−オクタジエン、(シス、トランス)−2,6−オクタジエン、(トランス、トランス)−2,6−オクタジエンなどの鎖状ジエン化合物;(トランス)−1,3,5−ヘキサトリエン、(シス)−1,3,5−ヘキサトリエン、(トランス)−2,5−ジメチル−1,3,5−ヘキサトリエン、(シス)−2,5−ジメチル−1,3,5−ヘキサトリエンなどの鎖状トリエン化合物;トリフェニルホスフィンやメチルジフェニルホスフィンなどのアリールホスフィン類;トリ−n−ブチルホスフィンやトリエチルホスフィンなどのアルキルホスフィン類;アニリンなどのルイス塩基;などが挙げられる。
さらに、ジエン構造またはトリエン構造を有するシクロオレフィンモノマーは、シクロオレフィンモノマーであると同時に重合反応遅延剤としても働く。このようなシクロオレフィンモノマーとしては、例えば、1,5−シクロオクタジエンや1,5−ジメチル−1,5−シクロオクタジエンなどの環内に二つの二重結合を有するシクロオレフィンモノマー;1,3,5−シクロヘプタトリエンや(シス,トランス,トランス)−1,5,9−シクロドデカトリエンなどの環内に三つの二重結合を有するシクロオレフィンモノマー;ビニルノルボルネンやエチリデンノルボルネンなどの環内および環外に二重結合を有するシクロオレフィンモノマー;等が挙げられる。
これらの重合反応遅延剤の中でも、鎖状ジエン化合物、アリールホスフィン類、アルキルホスフィン類、およびジエン構造またはトリエン構造を有するシクロオレフィンモノマーが好ましく、アルキルホスフィン類、環内に二つの二重結合を有するシクロオレフィンモノマー、ならびに環内および環外に二重結合を有するシクロオレフィンモノマーが特に好ましい。
ラジカル架橋遅延剤は、ラジカル捕捉機能を有する化合物であり、ラジカル発生剤によるラジカル架橋反応を遅らせる効果を有するものである。重合性組成物にラジカル架橋遅延剤を添加することにより、得られる架橋性樹脂の流動性及び保存安定性を向上させることができる。ラジカル架橋遅延剤としては、例えば、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、ビス−1,2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)エタンなどのヒドロキシアニソール類;2,6−ジメトキシ−4−メチルフェノール、2,4−ジメトキシ−6−t−ブチルフェノール等のジアルコキシフェノール類;カテコール、4−t−ブチルカテコール、3,5−ジ−t−ブチルカテコールなどのカテコール類;ベンゾキノン、ナフトキノン、メチルベンゾキノンなどのベンゾキノン類;などが挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシアニソール類、カテコール類、ベンゾキノン類が好ましく、ヒドロキシアニソール類が特に好ましい。これらのラジカル架橋遅延剤は、それぞれ単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができ、その配合割合はラジカル発生剤1モルに対して、通常0.001〜1モル、好ましくは0.01〜1モルである。
強化材としては、ガラス繊維などの無機強化材;および紙基材、アラミド繊維および炭素繊維などの有機強化材;を、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。改質剤としては、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)及びこれらの水素化物などのエラストマーなどが挙げられる。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系、リン系、アミン系などの各種のプラスチック・ゴム用酸化防止剤などが挙げられる。これらの酸化防止剤は単独で用いてもよいが、二種以上を組合せて用いることが好ましい。
充填材としては、ポリエチレン粉などの有機充填材;ガラス粉末、セラミック粉末、およびシリカなどの無機充填材;が挙げられる。これら充填材は、単独で用いてもよいが二種類以上を併用してもよい。中でも、無機充填材が好ましく、シリカが特に好ましい。また、充填材として多孔質または中空状のものを用いると、誘電率が低く、線膨張が小さく、耐熱性に優れる複合材料を得られるので好ましい。充填材として、シランカップリング剤等で表面処理したものを用いることもできる。充填材の粒子径は、一次粒子の数基準粒度分布におけるメディアン径が、通常0.001〜100μm、好ましくは0.005〜50μm、より好ましくは0.01〜10μm、特に好ましくは、0.05〜5μmである。充填材の量は、シクロオレフィンモノマー100質量部に対し、通常0.01〜1,000質量部である。
難燃剤としては、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物系難燃剤、三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物、などが挙げられる。難燃剤は単独で用いてもよいが、二種以上を組合せて用いることが好ましい。
着色剤としては、染料、顔料などが用いられる。染料の種類は多様であり、公知のものを適宜選択して使用すればよい。
重合性組成物を調製する方法は特に制約されない。重合性組成物は、例えば、メタセシス触媒を適当な溶媒に溶解若しくは分散させた液(以下、「触媒液」ということがある。)を調製し、別にシクロオレフィンモノマーに他の添加剤を必要に応じて配合した液(以下、「モノマー液」ということがある。)を調製し、該モノマー液に触媒液を添加し、攪拌することによって調製できる。触媒液の添加は次に述べる塊状重合を行う直前に行うことが好ましい。また、連鎖移動剤、架橋剤、ラジカル架橋遅延剤などは、モノマー液と触媒液を混合する前にモノマー液及び/又は触媒液に添加してもよいし、モノマー液と触媒液とを混合した後に添加してもよい。
本発明の製造方法は、上記の重合性組成物を、液晶ポリマーよりなる繊維材の存在下に重合する。重合方法は特に限定されないが、塊状重合が好ましい。塊状重合により、種々の形状の複合材料成形体を得ることができる。ここで、「存在下に」とは、繊維材と重合性組成物とが接触する状態で重合を行うことをいう。具体的には、繊維材がクロスである場合には、繊維材に重合性組成物を含浸し、次いで塊状重合を行う方法が挙げられる。繊維材への重合性組成物の含浸は、支持体上または型内で行うことが好ましい。
重合性組成物の液晶性ポリマーよりなる繊維材への含浸は、例えば、重合性組成物の所定量を、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スリットコート法等の公知の方法により繊維材に塗布し、必要に応じてその上に保護フィルムを重ね、上側からローラーなどで押圧することにより行うことができる。重合性組成物を繊維材に含浸させた後、含浸物を所定温度に加熱することにより、重合性組成物を塊状重合させることができ、それによってシート状又はフィルム状の、本発明の複合材料成形体が得られる。
含浸を支持体上で行う場合は、支持体としてポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレンなどの樹脂;鉄、ステンレス、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、金、銀などの金属材料;などからなるものを用いることができる。その形状は特に限定されないが、金属箔又は樹脂フィルムの使用が好ましい。これら金属箔又は樹脂フィルムの厚さは、作業性などの観点から、通常1〜150μm、好ましくは2〜100μm、より好ましくは3〜75μmである。これらの支持体の表面は平滑であることが好ましい。また、これらの支持体表面は、プラズマなどによる酸化処理;黒化処理などの化学処理;シランカップリング剤などによるカップリング剤処理;などの表面処理をしてあることが好ましい。
塊状重合はメタセシス触媒が機能する温度まで重合性組成物を加熱することによって開始される。重合性組成物を所定温度に加熱する方法としては特に制約されず、加熱プレート上に載せて加熱する方法、プレス機を用いて加圧しながら加熱(熱プレス)する方法、加熱したローラーで押圧する方法、加熱炉を用いる方法などが挙げられる。
以上のようにして得られる複合材料の成形体は、厚さが通常15mm以下、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下である。
含浸を型内で行う場合は、型内に液晶ポリマーからなる繊維材を設置し、該型内に重合性組成物を注ぎ込み、次いで重合を行う。この方法によれば、任意の形状の複合材料成形体を得ることができる。その形状としては、シート状、フィルム状、柱状、円柱状、多角柱状等が挙げられる。
ここで用いる型としては、従来公知の成形型、例えば、割型構造すなわちコア型とキャビティー型を有する成形型を用いることができ、それらの空隙部(キャビティー)に重合性組成物を注入して塊状重合させる。コア型とキャビティー型は、目的とする成形体の形状にあった空隙部を形成するように作製される。また、成形型の形状、材質、大きさなどは特に制限されない。また、ガラス板や金属板などの板状成形型と所定の厚さのスペーサーとを用意し、スペーサーを2枚の板状成形型で挟んで形成される空間内に重合性組成物を注入し、該型内で重合を行うことにより、シート状又はフィルム状の複合材料成形体を得ることができる。
重合性組成物を成形型のキャビティー内に充填する際の充填圧力(注入圧)は、通常0.01〜10MPa、好ましくは0.02〜5MPaである。充填圧力が低すぎると、キャビティー内周面に形成された転写面の転写が良好に行われない傾向にあり、充填圧が高すぎると、成形型の剛性を高くしなければならず経済的ではない。型締圧力は通常0.01〜10MPaの範囲内である。
重合性組成物は従来のエポキシ樹脂等と比較して低粘度であり、液晶ポリマーからなる繊維材に対する含浸性に優れるので、重合で得られる樹脂を繊維材に均一に含浸させることができる。
また、塊状重合を行う場合には、重合性組成物は反応に関与しない溶媒等の含有量が少ないので、繊維材に含浸させた後に溶媒を除去するなどの工程が不要であり、生産性に優れ、残存溶媒による臭気やフクレ等も生じない。特に、液晶ポリマーよりなる繊維材は、その表面で重合反応を阻害することがなく、予備乾燥等が不要であるので、本発明の製造方法は生産性に優れる。さらに、重合で得られる樹脂は未反応のモノマーの含有量が少なく、臭気が少なく、また耐熱性、電気特性が優れる。
液晶性ポリマーよりなる繊維材がチョップなどの短繊維である場合には、液晶性ポリマーよりなる繊維材を重合性組成物に混合し、次いで塊状重合を行う方法が挙げられる。繊維材は、モノマー液と触媒液を混合する前にモノマー液及び/又は触媒液に添加してもよいし、モノマー液と触媒液とを混合した後に添加してもよい。塊状重合の方法としては、上記と同様に型内で塊状重合を行う方法が挙げられる。また、短繊維と長繊維からなるクロスとを併用し、液晶ポリマーよりなる繊維材の短繊維を含む重合性組成物を、上記と同様に長繊維からなるクロスに含浸させてから重合してもよい。
上記いずれの方法においても、重合性組成物を重合させるための加熱温度は、通常50〜250℃、好ましくは100〜200℃である。重合時間は適宜選択すればよいが、通常、10秒間から20分間、好ましくは5分間以内である。
重合性組成物を所定温度に加熱することにより重合反応が開始する。この重合反応は発熱反応であり、一旦塊状重合が開始すると、反応液の温度が急激に上昇し、短時間(例えば、10秒間から5分間程度)でピーク温度に到達する。重合反応時の最高温度があまりに高くなると、架橋反応が起きて架橋体になってしまい、後架橋可能な複合材料成形体が得られないおそれがある。したがって、重合反応のみを完全に進行させ、架橋反応が進行しないようにするためには、塊状重合における重合性組成物のピーク温度を、前記過酸化物の1分間半減期温度以下、好ましくは230℃以下、より好ましくは200℃未満に制御することが好ましい。
本発明の複合材料成形体は、上記本発明の製造方法で得られるものであり、シクロオレフィンモノマーの重合により得られる重合体と、液晶ポリマーよりなる繊維材とが一体化しているものである。該樹脂は、重合と同時に架橋反応が起きて架橋物となったものであってもよいが、未架橋の重合体であることが好ましい。未架橋の重合体は、さらに加熱することによって、架橋反応が進行して架橋物になり得る。
未架橋の樹脂は、前述した重合性組成物の塊状重合反応がほぼ完全に進行するので、残留モノマーが少なく、モノマーに由来する臭気等で作業環境が悪化することがない。また、前記の架橋剤として分解温度の高いものを用いると、架橋時において、未架橋の樹脂が適度に流動し、金属箔などの支持体との密着性、配線板への埋め込み性が良好になる。また、本発明の複合材料を架橋して得られる架橋体は、誘電率が著しく小さくなっており、電気特性に優れている。
未架橋の樹脂は、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素等の溶媒に可溶であることが好ましい。また、加熱溶融時に高い流動性を示すので、架橋反応が起きない程度の温度で溶融成形を行うことによって様々な形状を形成できる。
本発明の複合材料成形体中の重合体は、一部分が架橋物になっているものであってもよい。例えば、型内で重合性組成物を塊状重合したときには、型の中心部分は重合反応熱が発散しにくいので、型内の一部の温度が高くなりすぎる場合がある。高温部では架橋反応が起き、架橋物になってしまうことがある。しかし、熱を発散しやすい表面部が未架橋の樹脂で形成されていれば、上記の優れた特性を十分に享受できる。
(架橋体)
本発明の架橋体は前記複合材料成形体を架橋してなるものである。架橋は、例えば、本発明の複合材料成形体を加熱溶融するなどして、複合材料成形体中の未架橋の樹脂が架橋反応を起す温度以上に維持することによって行うことができる。未架橋の樹脂を架橋させるときの温度は、前記塊状重合時のピーク温度より20℃以上高いことが好ましく、通常170〜250℃、好ましくは180〜220℃である。また、架橋する時間は特に制約されないが、通常数分から数時間である。
複合材料成形体がシート状又はフィルム状である場合には、該成形体を基材に必要に応じて積層し、熱プレスする方法が好ましい。熱プレスするときの圧力は、通常0.5〜20MPa、好ましくは3〜10MPaである。熱プレスは、真空または減圧雰囲気下で行ってもよい。熱プレスは、平板成形用のプレス枠型を有する公知のプレス機、シートモールドコンパウンド(SMC)やバルクモールドコンパウンド(BMC)などのプレス成形機を用いて行なうことができる。
(積層体)
本発明の積層体は、上記の複合材料成形体または架橋体からなる構成層を含む。より具体的には、少なくとも二以上の層を有し、その少なくとも一の層が上記の成形体または架橋体で形成されているものである。このような積層体のさらに具体的な例としては、支持体と、本発明の成形体または架橋体から形成される構成層とを含む積層体が挙げられる。また、多層積層基板のように、銅箔などの支持体と、本発明の成形体または架橋体から形成される構成層とが交互に積層されてなるものであってもよい。さらに、本発明の成形体または架橋体から形成される構成層が二以上積層されてなるものであってもよい。ここで、本発明の成形体または架橋体から形成される構成層が複数含まれている場合には、それぞれの構成層の組成および架橋の有無は同一であっても異なっていてもよい。
支持体としては、前記塊状重合に用いられる支持体として挙げた樹脂や金属材料よりなるものをいずれも用いることができる。また、プリント配線板製造用基板;導電性ポリマーフィルム;ノイズ抑制シート;電波吸収体;なども挙げられる。また、この支持体の表面はシラン系カップリング剤、チオール系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、各種接着剤などで処理されていてもよい。
本発明の架橋体からなる構成層を有する積層体を得る方法としては、例えば、(1)架橋剤を含有する重合性組成物を用いて得られた複合材料の成形体を、支持体に重ね合わせ、次いで加熱して架橋させる、(2)塊状重合を支持体上で行い、重合と同時に架橋反応を進行させる、(3)架橋剤を含有する重合性組成物を用いて得られた複合材料の成形体を、2枚以上重ね合わせ、次いで加熱して架橋させる、という方法が挙げられる。架橋反応の条件は、いずれも、上記架橋体の製造における条件と同様である。
本発明の複合材料における未架橋の重合体は流動性及び密着性に優れているので、平坦性に優れ、かつ、支持体との密着性に優れた積層体を得ることができる。本発明の積層体は、前記の支持体として超平滑(SLP)銅箔を用いたものであることが好ましい。この場合に得られる積層体のJIS C6481に基づいて測定した剥離強度が、好ましくは0.4kN/m以上、より好ましくは0.6kN/m以上である。
本発明の架橋体及び積層体は、電気絶縁性、機械的強度、耐熱性、誘電特性などに優れている。また積層体は、支持体との密着性が良好であり、電気材料として好適である。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における部および%は、特に断りのない限り重量基準である。
実施例および比較例における各特性は、下記の方法に従い測定、評価した。
(1)密着性
作成したプリプレグを切断し断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。樹脂と繊維材とが、密着していない部分がないものをA、あるものをBとして評価した。
(2)比誘電率
インピーダンスアナライザー(アジレントテクノロジー社製、型番号E4991A)を用いて周波数1GHzにおける積層体の比誘電率(ε)を容量法にて測定した。
εが3.0以下のものをA、3.0を超え3.5以下のものをB、3.6を超えるものCと判定した。εが小さいほど、電気特性に優れることを表す。
(3)発泡・ボイドの確認
100mm角のプリプレグを目視で観察した。判断基準は以下のとおりである。
発泡とは、作成したプリプレグ表面に目視で観察できるほど凹凸がみられるものである。ボイドは作成したプリプレグを透かしてみて、樹脂が存在しない部分である。
A:全体に発泡がなく、ボイドのないもの
B:全体の1/3未満の面積に発泡があり、ボイドがあるもの
C:全体の1/3以上の面積に発泡があるもの
(4)重合転化率
プリプレグの中央部分を一部切り取り、ガスクロマトグラフィーで残留モノマー量を測定した。残留モノマー量から重合転化率を算出し、以下の基準により判定した。
A:97%以上
B:93%以上、97%未満
C:93%未満
実施例1
ガラス製フラスコ中で、ベンジリデン(1,3−ジメチル−4−イミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド51部と、トリフェニルホスフィン79部とを、トルエン952部に溶解させて触媒液を調製した。
これとは別に、ポリエチレン製の瓶にシクロオレフィンモノマーとして、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン(TCD)を100部入れ、ここに連鎖移動剤としてアリルメタクリレートを0.74部、架橋剤としてジ−t−ブチルペルオキシド(1分間半減期温度186℃)を1.2部、充填材としてシリカ(アドマファイン製 0.5μm)を100部を加えた後、上記触媒液をシクロオレフィンモノマー100gあたり0.12mlの割合で加えて撹拌し、重合性組成物を調製した。
次いで、得られた重合性組成物100部をポリエチレンナフタレートフィルム(タイプQ51、厚み75μm、帝人デュポンフィルム社製)の上に流延し、その上に液晶ポリマーよりなる不織布を敷いて、さらにその上に上記重合性組成物80部を流延し、その上からさらにポリエチレンナフタレートフィルムを被せ、ローラーを用いて重合性組成物を不織布に含浸させた。なお、液晶ポリマーよりなる不織布としては、クラレ社製のベクルスMBBK40−FXA(厚み86μm、単位面積当たりの重量40g/mのもの)を用いた。次いで、これを150℃に熱した加熱炉中で、1分間加熱し、重合性組成物を塊状重合させて、厚さ0.13mmのプリプレグとして複合材料成形体を得た。
このプリプレグを100mm角の大きさに切り出し、ポリエチレンナフタレートフィルムを剥離した後、それを8枚重ね、熱プレスにて、3MPa、200℃で15分間加熱圧着し、積層体を作製した。このプリプレグおよび積層体について、濡れ性、発泡性、重合転化率および比誘電率を評価した結果を表1に示す。
Figure 2008195798
実施例2
液晶ポリマーよりなる不織布(ベクルスMBBK40−FXA)を2時間、100℃のオーブン内で乾燥して用いた他は、実施例1と同様にしてプリプレグおよび積層体を得た。このプリプレグおよび積層体について、各特性を評価した結果を表1に示す。
実施例3
液晶ポリマーよりなる不織布として、クラレ社製のベクルスMBBK40−FZSO(厚み86μm、単位面積当たりの重量40g/m、表面が酸化処理済であるもの)を用いた他は、実施例2と同様にしてプリプレグおよび積層体を得た。このプリプレグおよび積層体について、各特性を評価した結果を表1に示す。
実施例4
液晶ポリマーよりなる不織布として、クラレ社製のベクルスMBBK25−FZSO(厚み84μm、単位面積当たりの重量25g/m、表面が酸化処理済であるもの)を用いた他は、実施例2と同様にしてプリプレグおよび積層体を得た。このプリプレグおよび積層体について、各特性を評価した結果を表1に示す。
比較例1
液晶ポリマーよりなる不織布に代えて、アラミド繊維(デュポン帝人アドバンスドペーパー ノーメックス紙 410 厚み80μm、単位面積当たりの重量64g/m)を用いた他は、実施例と同様にしてプリプレグおよび積層体を得た。このプリプレグおよび積層体について、各特性を評価した結果を表1に示す。
比較例2
アラミド繊維を、100℃で2時間乾燥したものを用いた他は、比較例1と同様にしてプリプレグおよび積層体を得た。このプリプレグおよび積層体について、各特性を評価した結果を表1に示す。
比較例3
液晶ポリマーよりなる不織布に代えて、ガラスクロス(品番2112、シランカップリング剤処理品、厚み69μm、単位面積当たりの重量90g/m)を用いた他は、実施例2と同様にしてプリプレグおよび積層体を得た。このプリプレグおよび積層体について、各特性を評価した結果を表1に示す。
比較例4
ガラスクロスを、2時間、100℃のオーブン内で乾燥して用いた他は、比較例3と同様にしてプリプレグおよび積層体を得た。このプリプレグおよび積層体について、各特性を評価した結果を表1に示す。
以上の実施例および比較例から明らかなように、繊維材として液晶ポリマーよりなる不織布を用いる本発明の製造方法によれば、予備乾燥を行わない場合でも発泡およびボイドの発生が無く、高い重合転化率で生産性よくプリプレグを製造することができた。また、このプリプレグを用いて得られた積層体は、比誘電率の低いものであった(実施例1〜4)。特に、液晶ポリマーよりなる不織布として表面を酸化処理したものを用いると、得られる樹脂と繊維材との密着性にも優れる(実施例3,4)。
一方、繊維材として予備乾燥をしていないアラミド繊維を用いた場合、密着性および重合転化率が低く、発泡およびボイドが多く、得られる積層体の比誘電率も大きくなった(比較例1)。発泡を抑制し、比誘電率を小さいものとするためには、繊維材の予備乾燥が必要で生産性が低く、またその場合でも密着性および重合転化率は低いものであった(比較例2)。
また、繊維材として予備乾燥をしていないガラスクロスを用いた場合も、密着性および重合転化率が低く、発泡およびボイドが見られた。また、得られる積層体の比誘電率は特に大きかった(比較例3)。繊維材の予備乾燥を行うことで、密着性および重合転化率は高く、発泡も抑制できるが、得られる積層体の比誘電率は特に大きいものであった(比較例4)。

Claims (12)

  1. シクロオレフィンモノマーおよび第8族金属のカルベン錯体を含む重合性組成物を、液晶ポリマーよりなる繊維材の存在下に重合する複合材料の製造方法。
  2. 前記液晶ポリマーよりなる繊維材が、表面処理されたものである請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記重合性組成物がさらに連鎖移動剤を含む請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記重合性組成物がさらに架橋剤を含む請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記重合が、塊状重合である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記塊状重合を、支持体上で行うことを特徴とする、請求項5記載の製造方法。
  7. 前記塊状重合を、型内で行うことを特徴とする、請求項5記載の製造方法。
  8. 前記液晶ポリマーよりなる繊維材が、クロスである請求項5〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 前記クロスの単位面積当たりの重量が1〜100g/mである請求項8に記載の製造方法。
  10. 請求項6〜9のいずれかに記載の製造方法で得られる、複合材料成形体。
  11. 請求項10記載の複合材料成形体を架橋してなる架橋体。
  12. 請求項10記載の複合材料成形体または請求項11記載の架橋体からなる構成層を含む積層体。
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