JP2011074271A - 重合性組成物、樹脂成形体、及び積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】誘電正接が小さく、高いピール強度を有する積層体を与える重合性組成物を提供すること。
【解決手段】(メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマー(A)を0.1〜9モル%含む単量体混合物、メタセシス重合触媒、及び架橋剤を含有してなる重合性組成物。好ましくは、前記シクロオレフィンモノマー(A)1モルに対して0.2〜10モルの連鎖移動剤をさらに含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子機器の材料等として好適に用いられる、重合性組成物、架橋性樹脂成形体、架橋樹脂成形体及び積層体に関する。
回路基板は、一般に誘電体層と導体層とから構成される。近年、高度情報化時代を迎え、情報伝送は高速化・高周波化に向って動き出し、マイクロ波通信やミリ波通信が現実になってきている。これらの高周波化時代の回路基板の誘電体層は、高周波におけるノイズや伝送ロスを極限まで軽減する必要があり、そのためこのような誘電体層を形成する材料として、誘電正接(tanδ)の小さい誘電体材料が求められている。
このような回路基板の誘電体層を構成するための材料として、シクロオレフィンモノマーを塊状重合したシクロオレフィンポリマーが注目されている。たとえば、特許文献1には、ノルボルネン系モノマー、メタセシス重合触媒、連鎖移動剤及び架橋剤を含む重合性組成物が開示されている。この特許文献1に開示されている重合性組成物は、流動性を有しているため、支持体である不織布などにしみ込ませたり、フィルム状に成形し、重合性組成物を塊状重合することによって架橋可能な熱可塑性樹脂とすることができる。そして、得られた熱可塑性樹脂を誘電体層とし、導体層としての金属箔等の基材と積層し、架橋することによって様々な架橋樹脂成形体を得ることが可能となる。
特開2004−244609号公報
しかしながら、本発明者らが検討したところ、特許文献1に記載の重合性組成物を、回路基板用の誘電体層として用いた際に、電気特性は良好であるものの、導体層に対する密着性が不十分であり、そのため、ピール強度が不十分になる場合があることが認められた。
本発明の目的は、誘電正接が小さく、高いピール強度を有する積層体を与える重合性組成物及び架橋性樹脂成形体、並びに、これらを用いて得られる架橋樹脂成形体及び積層体を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、特定量の、(メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマーを含有する単量体混合物、メタセシス重合触媒、及び架橋剤を含有してなる重合性組成物を用いて得られる積層体が、誘電正接が小さく、高いピール強度を有するものであることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、
〔1〕(メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマー(A)を0.1〜9モル%含む単量体混合物、メタセシス重合触媒、及び架橋剤を含有してなる重合性組成物、
〔2〕前記シクロオレフィンモノマー(A)1モルに対して0.2〜10モルの連鎖移動剤をさらに含有する前記〔1〕に記載の重合性組成物、
〔3〕前記単量体混合物が、ビニル基及び/又はビニリデン基を有するシクロオレフィンモノマー(B)(ただし、(メタ)アクリロイル基を有するものを除く。)、及び/又は、脂環構造内に架橋性の炭素−炭素不飽和結合を有するシクロオレフィンモノマー(C)(ただし、(メタ)アクリロイル基、ビニル基又はビニリデン基を有するものを除く。)をさらに含有する前記〔1〕又は〔2〕に記載の重合性組成物、
〔4〕前記単量体混合物中における、前記シクロオレフィンモノマー(A)、シクロオレフィンモノマー(B)及びシクロオレフィンモノマー(C)の合計の含有量が20重量%以上である前記〔3〕に記載の重合性組成物、
〔5〕前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の重合性組成物を塊状重合してなる架橋性樹脂成形体、
〔6〕前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の重合性組成物を塊状重合してなる重合体を架橋してなる架橋樹脂成形体、並びに、
〔7〕少なくとも、前記〔5〕に記載の架橋性樹脂成形体、又は前記〔6〕に記載の架橋樹脂成形体を積層してなる積層体、
が提供される。
本発明によれば、高周波領域での誘電正接が極めて小さく、ピール強度に優れた積層体を与える重合性組成物及び架橋性樹脂成形体、並びに、これらを用いて得られる架橋樹脂成形体及び積層体が提供される。本発明の積層体は、高周波領域での誘電正接が極めて小さく、ピール強度に優れているため、幅広い用途で高周波基板材料として好適に使用することができる。
本発明の重合性組成物は、(メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマー(A)を0.1〜9モル%含む単量体混合物、メタセシス重合触媒、及び架橋剤を含有してなる。
(単量体混合物)
本発明で用いる単量体混合物は、(メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマー(A)を0.1〜9モル%含有する。
(メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマー(A)(以下、適宜、「シクロオレフィンモノマー(A)」と略記する。)は、分子内に(メタ)アクリロイル基(アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基の意。)と、脂環構造とを有し、かつ、脂環構造内に炭素−炭素二重結合を有するものである。
シクロオレフィンモノマー(A)を構成する脂環構造としては、単環、多環、縮合多環、橋かけ環およびこれらの組み合わせ多環などが挙げられる。脂環構造を構成する炭素数に格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個である。このようなシクロオレフィンモノマー(A)としては、(メタ)アクリロイル基を有する単環シクロオレフィンモノマー、(メタ)アクリロイル基を有するノルボルネン系モノマーなどが挙げられ、(メタ)アクリロイル基を有するノルボルネン系モノマーが好ましい。
(メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマー(A)の具体例としては、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イル、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イルメチル、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イルメチル、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イルエチル、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イルエチル、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イルプロピル、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イルプロピル、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イルブチル、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イルブチル、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イルヘキシル、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イルヘキシル、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イルオクチル、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イルオクチル、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イルデシル、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イルデシルなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて、用いることができる。これらのなかでも、本発明の作用効果がより一層顕著なものとなるという点より、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イルが好ましく、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イルが特に好ましい。
単量体混合物中における、シクロオレフィンモノマー(A)の含有割合は、単量体混合物を構成する全単量体100モル%中、0.1〜9モル%であり、好ましくは0.5〜8モル%、より好ましくは1〜7モル%、特に好ましくは2〜5モル%である。本発明においては、シクロオレフィンモノマー(A)の含有割合を上記範囲に制御することにより、重合性組成物を塊状重合させ、架橋性樹脂成形体とした場合において、シクロオレフィンモノマー(A)に由来する(メタ)アクリロイル基が、重合体末端に存在することとなる割合を極めて低く抑えることができる。これにより、得られる架橋樹脂成形体及び積層体を誘電正接が小さいものとすることができ、積層体にあっては、さらにピール強度に優れたものとすることができる。シクロオレフィンモノマー(A)の含有割合が少なすぎると、得られる積層体のピール強度が低下してしまう。一方、多すぎると、シクロオレフィンモノマー(A)に由来する(メタ)アクリロイル基が、重合体末端に存在することとなる割合が高くなり、誘電正接が高くなってしまう。
本発明で用いる単量体混合物は、シクロオレフィンモノマー(A)に加えて、ビニル基及び/又はビニリデン基を有するシクロオレフィンモノマー(B)(ただし、(メタ)アクリロイル基を有するものを除く。)、及び/又は、脂環構造内に架橋性の炭素−炭素不飽和結合を有するシクロオレフィンモノマー(C)(ただし、(メタ)アクリロイル基、ビニル基又はビニリデン基を有するものを除く。)を含有していることが好ましい。
ビニル基及び/又はビニリデン基を有するシクロオレフィンモノマー(B)(以下、適宜、「シクロオレフィンモノマー(B)」と略記する。)は、分子内にビニル基(CH=CH−)及び/又はビニリデン基(CH=C<)と、脂環構造とを有し、かつ、脂環構造内に炭素−炭素二重結合を有するものである。
シクロオレフィンモノマー(B)を構成する脂環構造としては、単環、多環、縮合多環、橋かけ環およびこれらの組み合わせ多環などが挙げられる。脂環構造を構成する炭素数に格別な制限はないが、通常、4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個である。このようなシクロオレフィンモノマー(B)としては、ビニル基及び/又はビニリデン基を有する単環シクロオレフィンモノマー、ビニル基及び/又はビニリデン基を有するノルボルネン系モノマーなどが挙げられ、ビニル基及び/又はビニリデン基を有するノルボルネン系モノマーが好ましい。
ビニル基及び/又はビニリデン基を有するシクロオレフィンモノマー(B)の具体例としては、9−メチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチリデン−10−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチリデン−10−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチリデン−10−イソプロピルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチリデン−10−ブチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデン−10−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデン−10−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデン−10−イソプロピルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデン−10−ブチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−n−プロピリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−n−プロピリデン−10−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−n−プロピリデン−10−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−n−プロピリデン−10−イソプロピルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−n−プロピリデン−10−ブチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−イソプロピリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−イソプロピリデン−10−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−イソプロピリデン−10−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−イソプロピリデン−10−イソプロピルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−イソプロピリデン−10−ブチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−ビニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−プロペニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンなどのテトラシクロドデセン類;5−メチリデン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、n−プロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−アリル−2−ノルボルネン、5,6−ジエチリデン−2−ノルボルネンなどのノルボルネン類;などが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて、用いることができる。これらのなかでも、本発明の作用効果がより一層顕著なものとなるという点より、テトラシクロドデセン類が好ましく、9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンが特に好ましい。
脂環構造内に架橋性の炭素−炭素不飽和結合を有するシクロオレフィンモノマー(C)(以下、適宜、「シクロオレフィンモノマー(C)」と略記する。)は、分子内に脂環構造を有し、かつ、脂環構造内に架橋性の炭素−炭素不飽和結合を有するものである。
本発明において、「架橋性の炭素−炭素不飽和結合」とは、開環重合には関与せず、架橋反応に関与可能な炭素−炭素不飽和結合をいう。架橋反応とは橋架け構造を形成する反応であり、縮合反応、付加反応、ラジカル反応、メタセシス反応など種々の形態のものが存在するが、本発明においては、通常、ラジカル架橋反応またはメタセシス架橋反応、特にラジカル架橋反応をいう。架橋性の炭素−炭素不飽和結合としては、芳香族炭素−炭素不飽和結合を除く炭素−炭素不飽和結合、すなわち、脂肪族炭素−炭素二重結合または脂肪族炭素−炭素三重結合が挙げられ、本発明においては、通常、脂肪族炭素−炭素二重結合をいう。そして、本発明で用いるシクロオレフィンモノマー(C)は、このような架橋性の炭素−炭素不飽和結合を構成する全ての炭素原子が、脂環構造の一部を構成するものからなるものである。
シクロオレフィンモノマー(C)を構成する脂環構造としては、単環、多環、縮合多環、橋かけ環およびこれらの組み合わせ多環などが挙げられる。脂環構造を構成する炭素数に格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個である。このようなシクロオレフィンモノマー(C)としては、脂環構造内に架橋性の炭素−炭素不飽和結合を有する単環シクロオレフィンモノマー、脂環構造内に架橋性の炭素−炭素不飽和結合を有するノルボルネン系モノマーなどが挙げられ、脂環構造内に架橋性の炭素−炭素不飽和結合を有するノルボルネン系モノマーが好ましい。
脂環構造内に架橋性の炭素−炭素不飽和結合を有するシクロオレフィンモノマー(C)の具体例としては、ジシクロペンタジエン、メチル−ジシクロペンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエン、エチルジシクロペンタジエン、2,5−ノルボルナジエン、5−メチル−2,5−ノルボルナジエン、5−フェニル−2,5−ノルボルナジエン、5,6−ジメチル−2,5−ノルボルナジエンなどの脂環構造内に炭素−炭素二重結合を2つ有する化合物が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて、用いることができる。これらのなかでも、本発明の作用効果がより一層顕著なものとなるという点より、ジシクロペンタジエンが好ましい。
本発明で用いる単量体混合物中における、シクロオレフィンモノマー(A)と、シクロオレフィンモノマー(B)及び/又はシクロオレフィンモノマー(C)との比率は、「シクロオレフィンモノマー(A):シクロオレフィンモノマー(B)及び/又はシクロオレフィンモノマー(C)」の重量比で、好ましくは0.1:100〜9:100、より好ましくは0.5:100〜8:100、さらに好ましくは1:100〜7:100である。
また、本発明で用いる単量体混合物中における、シクロオレフィンモノマー(A)、シクロオレフィンモノマー(B)及びシクロオレフィンモノマー(C)の合計の含有量は、単量体混合物を構成する全単量体中、20重量%以上であることが好ましく、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは重量60%以上である。シクロオレフィンモノマー(A)、シクロオレフィンモノマー(B)及びシクロオレフィンモノマー(C)の合計の含有量が少なすぎると、得られる架橋樹脂成形体及び積層体の誘電正接が高くなったり、積層体のピール強度が低下してしまうおそれがある。
なお、本発明で用いる単量体混合物は、上記したシクロオレフィンモノマー(A)、シクロオレフィンモノマー(B)及びシクロオレフィンモノマー(C)以外に、これらと共重合可能な単量体を含有していてもよい。共重合可能な単量体としては、特に限定されないが、上記シクロオレフィンモノマー(A)、シクロオレフィンモノマー(B)及びシクロオレフィンモノマー(C)以外のその他のシクロオレフィンモノマー(D)が挙げられる。
その他のシクロオレフィンモノマー(D)の具体例としては、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−プロピル−2−ノルボルネン、5,6−ジメチル−2−ノルボルネン、1−メチル−2−ノルボルネン、7−メチル−2−ノルボルネン、5,5,6−トリメチル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−ヘキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−フルオロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,5−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−シクロへキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジクロロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−イソブチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、5−クロロ−2−ノルボルネン、5,5−ジクロロ−2−ノルボルネン、5−フルオロ−2−ノルボルネン、5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチル−2−ノルボルネン、5−クロロメチル−2−ノルボルネン、5−メトキシ−2−ノルボルネン、5,6−ジカルボキシル−2−ノルボルネンアンハイドレート、5−ジメチルアミノ−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネンなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて、用いることができる。
本発明で用いる単量体混合物中における、共重合可能な単量体の含有割合は、単量体混合物を構成する全単量体中、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
(メタセシス重合触媒)
本発明で用いるメタセシス重合触媒としては、上述した単量体混合物を構成する単量体をメタセシス開環重合できるものであれば良いが、通常、遷移金属原子を中心原子として、複数のイオン、原子、多原子イオンおよび/または化合物が結合してなる錯体が挙げられる。遷移金属原子としては、5族、6族及び8族(長周期型周期表、以下同じ)の原子が使用される。それぞれの族の原子は特に限定されないが、5族の原子としては例えばタンタルが挙げられ、6族の原子としては、例えばモリブデンやタングステンが挙げられ、8族の原子としては、例えばルテニウムやオスミウムが挙げられる。これらの中でも、8族のルテニウムやオスミウムの錯体をメタセシス重合触媒として用いることが好ましく、ルテニウムカルベン錯体が特に好ましい。ルテニウムカルベン錯体は、塊状重合時の触媒活性が優れるため、架橋性樹脂成形体の生産性に優れ、得られる架橋性樹脂成形体は、未反応のモノマーに由来する臭気が少なく、作業性に優れる。ルテニウムカルベン錯体は、酸素や空気中の水分に対して比較的安定であって、失活し難いので、これを用いることにより、大気下での生産を可能とすることができる。
ルテニウムカルベン錯体としては、下記一般式(1)または一般式(2)で表されるものが挙げられる。
Figure 2011074271
上記一般式(1)および一般式(2)において、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
1およびX2は、それぞれ独立して任意のアニオン性配位子を示す。アニオン性配位子とは、中心金属原子から引き離されたときに負の電荷を持つ配位子であり、例えば、ハロゲン原子、ジケトネート基、置換シクロペンタジエニル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、カルボキシル基などを挙げることができる。これらの中でもハロゲン原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
1およびL2はそれぞれ独立して、ヘテロ原子含有カルベン化合物又はヘテロ原子含有カルベン化合物以外の中性電子供与性化合物を表す。ヘテロ原子とは、周期律表第15族および第16族の原子を意味し、具体的には、N、O、P、S、As、Se原子などを挙げることができる。これらの中でも、安定なカルベン化合物が得られる観点から、N、O、P、S原子などが好ましく、N原子が特に好ましい。
ヘテロ原子含有カルベン化合物としては、下記一般式(3)または一般式(4)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2011074271
式中、R〜Rは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、またはハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含んでもよい炭素数1〜20個の炭化水素基を表す。また、R〜Rは任意の組合せで互いに結合して環を形成していてもよい。
中性電子供与性化合物は、中心金属から引き離されたときに中性の電荷を持つ配位子であればいかなるものでもよい。その具体例としては、ホスフィン類、エーテル類及びピリジン類などが挙げられ、トリアルキルホスフィンがより好ましい。
なお、上記式(1)および(2)において、RとRは互いに結合して環を形成してもよく、さらに、R、R、X1、X2、L1およびL2は、任意の組合せで互いに結合して、多座キレート化配位子を形成してもよい。
本発明においては、メタセシス重合触媒としてヘテロ環構造を有する化合物を配位子として有するルテニウム触媒を用いることが、得られる架橋樹脂成形体及び積層体の高周波特性、及び積層体のピール強度の各特性を高度にバランスさせることができるため、好ましい。ヘテロ環構造を構成するヘテロ原子としては、例えば、O原子、N原子等が挙げられ、好ましくはN原子である。また、ヘテロ環構造としては、イミダゾリン構造やイミダゾリジン構造が好ましい。
このようなヘテロ環構造を有する化合物を配位子として有するルテニウム触媒としては、上記式(1)または(2)で表され、L1またはL2としてヘテロ原子含有カルベン化合物からなる配位子を有するルテニウム触媒を好適に用いることができる。ヘテロ原子含有カルベン化合物を構成するヘテロ原子としては、N原子が好ましい。このようなヘテロ原子含有カルベン化合物の具体例としては、例えば、1,3−ジ(1−アダマンチル)イミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジメシチルオクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン、1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)、1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデンなどが挙げられる。
また、ヘテロ原子含有カルベン化合物からなる配位子を有するルテニウム触媒の具体例としては、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−オクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン[1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジイソプロピルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)ピリジンルテニウムジクロリドなどの、配位子としてヘテロ原子含有カルベン化合物と中性電子供与性化合物とが結合したルテニウム錯体化合物が挙げられる。
これらのメタセシス重合触媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。メタセシス重合触媒の使用量は、(触媒中の金属原子:単量体混合物に含まれる全単量体)のモル比で、通常1:2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:5,000〜1:1,000,000、より好ましくは1:10,000〜1:500,000の範囲である。
メタセシス重合触媒は、所望により、少量の不活性溶剤に溶解または懸濁して使用することができる。このような溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、流動パラフィン、ミネラルスピリットなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;インデン、テトラヒドロナフタレンなどの脂環と芳香環とを有する炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの含酸素炭化水素;などが挙げられる。これらの中では芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、および脂環と芳香環とを有する炭化水素の使用が好ましい。
(架橋剤)
本発明で用いる架橋剤は、本発明の重合性組成物を塊状重合することにより得られる架橋性樹脂成形体において、架橋反応を誘起する目的で使用される。従って、得られる成形体は後架橋可能な熱可塑性樹脂からなるものとなる。ここで「後架橋可能な」とは、該樹脂を加熱することにより架橋反応を進行させて架橋樹脂になし得ることを意味する。当該樹脂を基材樹脂とする本発明の架橋性樹脂成形体は、加熱により溶融し、高粘度であるため、その形状は保持する一方、任意の部材を接触させた場合、その表面では、該部材の形状に対し追従性を発揮し、最終的に架橋して硬化する。本発明の架橋性樹脂成形体のかかる特性は、本発明の架橋性樹脂成形体を積層し、加熱して溶融、架橋して得られる積層体においてピール強度の向上に寄与するものと考えられる。
本発明において架橋剤としては、通常、ラジカル発生剤が好適に用いられる。ラジカル発生剤としては、例えば、有機過酸化物、ジアゾ化合物、および非極性ラジカル発生剤などが挙げられ、好ましくは有機過酸化物、および非極性ラジカル発生剤である。
有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類;ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンなどのジアルキルペルオキシド類;ジプロピオニルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類;2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどのペルオキシケタール類;t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエートなどのペルオキシエステル類;t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、ジ(イソプロピルペルオキシ)ジカルボナートなどのペルオキシカルボナート類;t−ブチルトリメチルシリルペルオキシドなどのアルキルシリルペルオキシド類;3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパン、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナン、3,6−ジエチル−3,6−ジメチル−1,2,4,5−テトロキサンなどの環状パーオキサイド類;が挙げられる。これらのなかでも、重合反応に対する障害が少ない点で、ジアルキルペルオキシド類、ペルオキシケタール類、および環状パーオキサイド類が好ましい。
ジアゾ化合物としては、例えば、4,4’−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノンなどが挙げられる。
非極性ラジカル発生剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、1,1,2−トリフェニルエタン、1,1,1−トリフェニル−2−フェニルエタンなどが挙げられる。
架橋剤として、ラジカル発生剤を使用する場合、1分間半減期温度は、硬化(本発明の重合性組成物を塊状重合することにより得られる架橋性樹脂成形体の架橋)の条件により適宜選択されるが、通常、100〜300℃、好ましくは150〜250℃、より好ましくは160〜230℃の範囲である。ここで1分間半減期温度は、ラジカル発生剤の半量が1分間で分解する温度である。例えば、ジ−t−ブチルペルオキシドでは186℃、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシンでは194℃である。
これらの架橋剤は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明の重合性組成物への架橋剤の配合量は、単量体混合物100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。
(連鎖移動剤)
本発明の重合性組成物は、上記した単量体混合物、メタセシス重合触媒、及び架橋剤に加えて、連鎖移動剤を含有していることが好ましい。
本発明の重合性組成物に連鎖移動剤を配合した場合、該組成物を塊状重合して得られる架橋性樹脂成形体の表面では、加熱溶融時の追従性がより向上し得る。それゆえ、連鎖移動剤を配合してなる重合性組成物を用いて得られた架橋性樹脂成形体を積層し、加熱して溶融、架橋して得られる積層体では、層間の密着性が一層高まり、ピール強度がより向上するので、好ましい。連鎖移動剤は、架橋性炭素−炭素不飽和結合をさらに1以上有していてもよい。かかる架橋性炭素−炭素不飽和結合としてはビニル基及び/又はビニリデン基として存在するのが好ましい。
このような連鎖移動剤の具体例としては、1−ヘキセン、2−ヘキセン、スチレン、ビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼンなどのヘテロ原子を持たない炭化水素化合物;アリルアミン、アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、エチルビニルエーテル、メチルビニルケトン、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、4−ビニルアニリン、メタクリル酸ビニル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸スチリル、アクリル酸アリル、メタクリル酸ウンデセニル、アクリル酸スチリル、エチレングリコールジアクリレート、アリルトリビニルシラン、テトラアリルシランなどのヘテロ原子を有する炭化水素化合物;が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて、用いることができる。これらのなかでも、得られる架橋樹脂成形体及び積層体の誘電正接をより小さくすることができ、また、積層体のピール強度をより高くすることができるという点より、ヘテロ原子を持たない炭化水素化合物が好ましく、ジビニルベンゼンがより好ましい。
本発明の重合性組成物への連鎖移動剤の配合比は、シクロオレフィンモノマー(A)1モルに対して、好ましくは0.2〜10モルであり、より好ましくは0.5〜8モル、さらに好ましくは1〜6モルである。連鎖移動剤の配合比が少なすぎると、得られる架橋性樹脂成形体の積層性が低下する傾向にあり、一方、多すぎると、得られる積層体のピール強度が低下する傾向にある。
(重合性組成物)
本発明の重合性組成物は、上記単量体混合物、メタセシス重合触媒、架橋剤、及び所望により連鎖移動剤を含有してなるものである。また、本発明で用いる重合性組成物には、所望により、充填剤、難燃剤、重合調整剤、重合反応遅延剤、老化防止剤、その他の配合剤などを添加することができる。
充填剤としては、工業的に一般に使用されるものであれば格別な限定はなく、無機系充填剤および有機系充填剤のいずれも用いることができるが、好適には無機系充填剤である。本発明の重合性組成物に充填剤を配合することにより、得られる架橋樹脂成形体及び積層体の機械的強度と耐熱性との向上が可能となる。
無機系充填剤としては、例えば、鉄、銅、ニッケル、金、銀、アルミニウム、鉛、タングステン等の金属粒子;カーボンブラック、グラファイト、活性炭、炭素バルーン等の炭素粒子;シリカ、シリカバルーン、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化すず、酸化ベリリウム、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等の無機酸化物粒子;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム等の無機炭酸塩粒子;硫酸カルシウム等の無機硫酸塩粒子;タルク、クレー、マイカ、カオリン、フライアッシュ、モンモリロナイト、ケイ酸カルシウム、ガラス、ガラスバルーン等の無機ケイ酸塩粒子;チタン酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸鉛等のチタン酸塩粒子;窒化アルミニウム、炭化ケイ素粒子やウィスカー等が挙げられる。有機系充填剤としては、例えば、木粉、デンプン、有機顔料、ポリスチレン、ナイロン、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン、塩化ビニル、廃プラスチック等の化合物粒子が挙げられる。これらの充填剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
充填剤の配合量は、単量体混合物100重量部に対して、通常1〜1,000重量部、好ましくは10〜500重量部、より好ましくは50〜350重量部の範囲である。
難燃剤としては、工業的に使用されるものであれば格別な限定なく用いることができる。難燃剤としては、例えば、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、塩素化ポリスチレン、塩素化ポリエチレン、高塩素化ポリプロピレン、クロロスルホン化ポリエチレン、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフェニルオキシド、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、テトラブロモビスフェノールS、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニルプロパン)、ペンタブロモトルエンなどのハロゲン系難燃剤;含リン難燃剤、含窒素難燃剤、三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物などの非ハロゲン系難燃剤;などが挙げられる。これらの難燃剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
難燃剤の配合量は、単量体混合物100重量部に対して、通常、10〜300重量部、好ましくは20〜200重量部、より好ましくは30〜150重量部の範囲である。
重合調整剤は、重合活性を制御したり、重合反応率を向上させたりする目的で配合されるものである。重合調整剤としては、例えば、トリアルコキシアルミニウム、トリフェノキシアルミニウム、ジアルコキシアルキルアルミニウム、アルコキシジアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウム、ジアルコキシアルミニウムクロリド、アルコキシアルキルアルミニウムクロリド、ジアルキルアルミニウムクロリド、トリアルコキシスカンジウム、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシスズ、テトラアルコキシジルコニウムなどが挙げられる。これらの重合調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合調整剤を用いる場合における、重合調整剤の配合量は、モル比(メタセシス重合触媒中の金属原子:重合調整剤)で、好ましくは1:0.05〜1:100、より好ましくは1:0.2〜1:20、さらに好ましくは1:0.5〜1:10の範囲である。
重合反応遅延剤は、本発明の重合性組成物の粘度増加を抑制し得るものである。重合反応遅延剤としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、ジシクロヘキシルホスフィン、ビニルジフェニルホスフィン、アリルジフェニルホスフィン、トリアリルホスフィン、スチリルジフェニルホスフィンなどのホスフィン化合物;アニリン、ピリジンなどのルイス塩基;等を用いることができる。重合反応遅延剤を用いる場合における、重合反応遅延剤の配合量は、所望により適宜調整すればよい。
老化防止剤としては、たとえば、フェノール系老化防止剤、アミン系老化防止剤、リン系老化防止剤、イオウ系老化防止剤などが挙げられ、これらの老化防止剤を配合することにより、架橋反応を阻害しないで、得られる架橋樹脂成形体及び積層体の耐熱性を高度に向上させることができるため、好適である。これらの中でも、フェノール系老化防止剤およびアミン系老化防止剤が好ましく、フェノール系老化防止剤がより好ましい。これらの老化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。老化防止剤を使用する場合における、老化防止剤の使用量は、単量体混合物100重量部に対して、好ましくは0.0001〜10重量部、より好ましくは0.001〜5重量部、さらに好ましくは0.01〜2重量部の範囲である。
また、本発明の重合性組成物には、上記した配合剤以外のその他の配合剤を配合することができる。その他の配合剤としては、着色剤、光安定剤、顔料、発泡剤などを用いることができる。着色剤としては、染料、顔料などが用いられる。染料の種類は多様であり、公知のものを適宜選択して使用すればよい。これらのその他の配合剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、本発明の効果を損ねない範囲で適宜選択される。
本発明の重合性組成物は、上記成分を混合して得ることができる。混合方法としては、常法に従えばよく、例えば、メタセシス重合触媒を適当な溶媒に溶解若しくは分散させた液(触媒液)を調製し、別に単量体混合物、及び架橋剤などの必須の成分、ならびに所望によりその他の配合剤を配合した液(モノマー液)を調製し、該モノマー液に触媒液を添加し、攪拌することによって調製することができる。
(架橋性樹脂成形体)
本発明の架橋性樹脂成形体は、上述した本発明の重合性組成物を塊状重合することにより得られる。重合性組成物を塊状重合して架橋性樹脂成形体を得る方法としては、例えば、(a)重合性組成物を支持体上に塗布し、次いで塊状重合する方法、(b)重合性組成物を成形型内に注入し、次いで塊状重合する方法、(c)重合性組成物を繊維状強化材に含浸させ、次いで塊状重合する方法などが挙げられる。
上記(a)の方法によれば、フィルム状や板状等の架橋性樹脂成形体が得られる。該成形体の厚さは、通常、15mm以下、好ましくは5mm以下、より好ましくは0.5mm以下、最も好ましくは0.1mm以下である。支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、及びナイロンなどの樹脂からなるフィルムや板;鉄、ステンレス、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、金、及び銀などの金属材料からなるフィルムや板;などが挙げられる。中でも、金属箔又は樹脂フィルムの使用が好ましい。金属箔又は樹脂フィルムの厚さは、作業性などの観点から、通常、1〜150μm、好ましくは2〜100μm、より好ましくは3〜75μmである。金属箔としては、その表面が平滑であるものが好ましく、表面粗度(Rz)としては、AFM(原子間力顕微鏡)により測定される値で、通常、10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2μm以下である。また、金属箔の表面は、公知のカップリング剤や接着剤などで処理されているのが好ましい。(a)の方法によれば、例えば、支持体として銅箔を用いた場合、樹脂付き銅箔〔Resin Coated Copper (RCC)〕を得ることができる。
支持体上に本発明の重合性組成物を塗布する方法としては、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、及びスリットコート法などの公知の塗布方法が挙げられる。
支持体上に塗布された重合性組成物を所望により乾燥させ、次いで塊状重合する。塊状重合は重合性組成物を所定の温度で加熱して行われる。重合性組成物の加熱方法としては特に制約されず、支持体に塗布された重合性組成物を、加熱プレート上に載せて加熱する方法、プレス機を用いて加圧しながら加熱(熱プレス)する方法、加熱したローラーで押圧する方法、加熱炉内で加熱する方法などが挙げられる。
上記(b)の方法によれば、任意の形状の架橋性樹脂成形体を得ることができる。その形状としては、シート状、フィルム状、柱状、円柱状、及び多角柱状等が挙げられる。
ここで用いる型としては、従来公知の成形型、例えば、割型構造、すなわち、コア型とキャビティー型を有する成形型を用いることができ、それらの空隙部(キャビティー)に重合性組成物を注入して塊状重合させる。コア型とキャビティー型は、目的とする成形品の形状にあった空隙部を形成するように作製される。成形型の形状、材質、大きさなどは特に制限されない。さらに、ガラス板や金属板などの板状成形型と所定の厚さのスペーサーとを用意し、スペーサーを2枚の板状成形型で挟んで形成される空間内に重合性組成物を注入し塊状重合することにより、シート状又はフィルム状の架橋性樹脂成形体を得ることもできる。
重合性組成物を成形型のキャビティー内に充填する際の充填圧力(注入圧)は、通常、0.01〜10MPa、好ましくは0.02〜5MPaである。充填圧力が低すぎると、キャビティー内周面に形成された転写面の転写が良好に行われない傾向にあり、充填圧が高すぎると、成形型の剛性を高くしなければならず経済的ではない。型締圧力は、通常、0.01〜10MPaの範囲内である。重合性組成物の加熱方法としては、成形型に配設された電熱器やスチームなどの加熱手段を利用する方法や、成形型を電気炉内で加熱する方法などが挙げられる。
上記(c)の方法は、シート状又はフィルム状の架橋性樹脂成形体を得るのに好適に使用される。例えば、重合性組成物の繊維状強化材への含浸は、重合性組成物の所定量を、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、及びスリットコート法等の公知の方法により繊維状強化材に塗布し、所望によりその上に保護フィルムを重ね、上側からローラーなどで押圧することにより行うことができる。重合性組成物を繊維状強化材に含浸させた後、含浸物を所定温度に加熱することで重合性組成物を塊状重合させ、所望の架橋性樹脂成形体を得る。
繊維状強化材としては、無機系及び/又は有機系の繊維が使用でき、例えば、ガラス繊維、金属繊維、セラミック繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、アミド繊維、ポリアリレートなどの液晶繊維などの公知のものが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組合せて用いることができる。繊維状強化材の形状としては、特に限定されず、例えば、マット、クロス、及び不織布などが挙げられる。
繊維状強化材に重合性組成物を含浸させてなる含浸物の加熱方法としては、例えば、含浸物を支持体上に設置して上記(a)の方法のようにして加熱する方法、予め型内に繊維状強化材を設置しておき、該型内で重合性組成物を含浸させて含浸物を得、前記(b)の方法のようにして加熱する方法などが挙げられる。
上記(a)、(b)及び(c)のいずれの方法においても、重合性組成物を重合させるための加熱温度は、通常、30〜250℃、好ましくは50〜200℃、より好ましくは90〜150℃の範囲であって、かつ架橋剤、通常、ラジカル発生剤の1分間半減期温度以下、好ましくは1分間半減期温度の10℃以下、より好ましくは1分間半減期温度の20℃以下である。また、重合時間は適宜選択すればよいが、通常、1秒間〜20分間、好ましくは10秒間〜5分間である。重合性組成物をかかる条件で加熱することにより未反応モノマーの少ない架橋性樹脂成形体が得られるので好適である。
以上のようにして本発明の重合性組成物を塊状重合して得られる架橋性樹脂成形体を構成する重合体は、実質的に架橋構造を有さず、例えば、トルエンに可溶である。当該重合体の分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(溶離液:テトラヒドロフラン)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常、1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜100,000の範囲である。
本発明の架橋性樹脂成形体は、後架橋可能な樹脂成形体であるが、その構成樹脂の一部分が架橋されたものであってもよい。例えば、型内で重合性組成物を塊状重合したときには、型の中心部分は重合反応熱が発散しにくいので、型内の一部の温度が高くなりすぎる場合がある。高温部では架橋反応が起き、架橋が生ずることがある。しかし、熱を発散しやすい表面部が後架橋可能な架橋性の樹脂で形成されていれば、本発明の架橋性樹脂成形体は所望の効果を充分に発揮し得る。
本発明の架橋性樹脂成形体は、塊状重合を完結させて得られるものであり、保管中にさらに重合反応が進行するというおそれがない。また、本発明の架橋性樹脂成形体は、ラジカル発生剤などの架橋剤を含有してなるが、架橋反応を起す温度以上に加熱しない限り、表面硬度が変化するなどの不具合を生じず、保存安定性に優れる。
本発明の架橋性樹脂成形体は、例えば、プリプレグとして、本発明の架橋樹脂成形体及び積層体の製造に好適に用いられる。
(架橋樹脂成形体)
本発明の架橋樹脂成形体は、本発明の重合性組成物を塊状重合し、架橋してなるものである。かかる架橋樹脂成形体は、例えば、上述した本発明の架橋性樹脂成形体を架橋することにより得られる。架橋性樹脂成形体の架橋は、該成形体を、該成形体を構成する重合体において架橋反応が生ずる温度以上に維持することによって行うことができる。加熱温度は、通常、架橋剤により架橋反応が誘起される温度以上である。例えば、架橋剤としてラジカル発生剤を使用する場合、通常、1分間半減期温度以上、好ましくは1分間半減期温度より5℃以上高い温度、より好ましくは1分間半減期温度より10℃以上高い温度である。典型的には、100〜300℃、好ましくは150〜250℃の範囲である。加熱時間は、0.1〜180分間、好ましくは0.5〜120分間、より好ましくは1〜60分間の範囲である。また、本発明の重合性組成物を、上述した架橋性樹脂成形体が架橋する温度以上に維持することにより、具体的には、上述した温度及び時間で加熱することにより、シクロオレフィンモノマーの塊状重合と、当該重合により生ずるシクロオレフィンポリマーにおける架橋反応とを共に進行させて、本発明の架橋樹脂成形体を製造することも可能である。このようにして架橋樹脂成形体を製造する場合、上記(a)の方法に準じ、例えば、支持体として銅箔を用いれば、銅張積層板〔Copper Clad Laminates (CCL)〕を得ることができる。
(積層体)
本発明の積層体は、少なくとも、前記架橋性樹脂成形体、又は前記架橋樹脂成形体を積層してなるものである。両成形体はそれぞれ、連続的に積層されていても、他の層を挟んで間接的に積層されていてもよい。
本発明の架橋性樹脂成形体を積層してなる積層体としては、例えば、上記(a)の方法で得られる、銅箔と架橋性樹脂成形体とが層状に一体化してなるRCCが挙げられる。また、本発明の架橋樹脂成形体を積層してなる積層体としては、例えば、上記(a)の方法に準じて得られる、銅箔と架橋樹脂成形体とが層状に一体化してなるCCLが挙げられる。上記(a)の方法において、支持体として、別途得られた架橋樹脂成形体を用いれば、架橋性樹脂成形体と架橋樹脂成形体との積層体を得ることもできる。
また、架橋性樹脂成形体がシート状又はフィルム状である場合、該成形体、及び所望により、シート状又はフィルム状の架橋樹脂成形体を、任意に積層し、又はさらに、例えば、前記金属箔を積層し、熱プレスして架橋することにより、架橋樹脂成形体を積層してなる、本発明の積層体が得られる。その際、上記RCCやCCLなどの積層体を積層してもよい。熱プレスするときの圧力は、通常、0.5〜20MPa、好ましくは3〜10MPaである。熱プレスは、真空又は減圧雰囲気下で行ってもよい。熱プレスは、平板成形用のプレス枠型を有する公知のプレス機、シートモールドコンパウンド(SMC)やバルクモールドコンパウンド(BMC)などのプレス成形機を用いて行なうことができる。
本発明の積層体は、高周波領域での誘電正接が極めて小さく、また、該積層体を構成する架橋性樹脂成形体又は架橋樹脂成形体からなる層と、当該層に接する他の層との密着性が高く、したがって、ピール強度に優れる。そのため、本発明の積層体は、通信機器用途等のマイクロ波またはミリ波等の高周波回路基板に好適に用いることができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。各例中の部及び%は、特に断りのない限り、重量基準である。
なお、各特性の定義及び評価方法は、以下のとおりである。
(1)誘電正接(tanδ)
積層体について、エッチングを行った後、インピーダンスアナライザー(アジレントテクノロジー社製、型番号E4991A)を用いて20℃で周波数1GHzにおける誘電正接(tanδ)を容量法にて測定し、以下の基準で評価した。
○:0.001以下
△:0.001超、0.0015以下
×:0.0015超
(2)ピール強度
室温(25℃)下、積層体から銅箔(厚さ12μm)を引き剥がすときの強度を、JIS C6481に基づいて測定することで、ピール強度の評価を行った。ピール強度は、以下の基準にしたがって、評価した。
○:0.4kN/m超
△:0.3kN/m超、0.4kN/m以下
×:0.3kN/m以下
実施例1
ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド0.05部と、トリフェニルホスフィン0.01部とを、インデン1.51部に溶解させて触媒液を調製した。これとは別に、シクロオレフィンモノマーとして、エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン(ETD)60部、ジシクロペンタジエン(DCP)40部、及びメタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル(MAc−NB)2.4部、ならびに、酸化防止剤としての2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール0.28部を添加した混合物をガラス容器に入れ、ここに充填剤としてのシリカ(アドマテックス社製、製品名SO−E2、シランカップリング剤処理品 平均粒径0.5μm)100部、並びに、難燃剤としてのアンチモン酸化物(PATOX−M、日本精鉱社製)20部及びエタン−1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)(SAYTEX8010、アルベマール社製)40部を入れ、均一に混合した。次いで、ここに、連鎖移動剤としてのジビニルベンゼン(東京化成社製)1.8部、及び、架橋剤としてのジ−t−ブチルパーオキサイド〔化薬アクゾ社製、カヤブチルD(登録商標)〕1.14部を投入してモノマー液を得た。そして、このモノマー液に上記メタセシス触媒液をシクロオレフィンモノマー100部あたり1.6ml投入して攪拌し、重合性組成物を得た。なお、実施例1においては、単量体混合物中における、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル(MAc−NB)の含有割合は、2.11モル%であった。また、ジビニルベンゼンの含有割合は、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル(MAc−NB)1モルに対して1モルであった。
次いで、得られた重合性組成物をガラスクロス(Eガラス、2112)に含浸させ、これを120℃で3.5分間で重合反応を行い、厚さ0.13 mmのプリプレグ(架橋性樹脂成形体)を得た。さらに、プリプレグ16枚を、電解銅箔(Type F0、シランカップリング剤処理品、厚み0.012mm、古河電気工業社製)で挟み、熱プレス機により、平板形状を保ちながら、熱プレスして、架橋樹脂成形体が積層された、厚さ2mmの積層体を得た。熱プレスの条件は、温度200℃、15分間、圧力3MPaとした。
そして、得られた積層体を用いて、上記した方法にしたがい、誘電正接及びピール強度の各評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2
メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル(MAc−NB)の配合量を2.4部から、4.8部に変更した以外は、実施例1と同様にして、重合性組成物および積層体を製造し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。なお、実施例2においては、単量体混合物中における、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル(MAc−NB)の含有割合は、4.13モル%であった。また、ジビニルベンゼンの含有割合は、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル(MAc−NB)1モルに対して0.5モルであった。
実施例3
メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル(MAc−NB)の配合量を2.39部から、1.2部に変更した以外は、実施例1と同様にして、重合性組成物および積層体を製造し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。なお、実施例3においては、単量体混合物中における、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル(MAc−NB)の含有割合は、1.07モル%であった。また、ジビニルベンゼンの含有割合は、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル(MAc−NB)1モルに対して2モルであった。
比較例1
メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル(MAc−NB)を使用せず、かつ、ジビニルベンゼン1.8部の代わりに、ウンデセニルモノメタクリレート2.9部を使用した以外は、実施例1と同様にして、重合性組成物および積層体を製造し、同様に評価を行った。
比較例2
メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル(MAc−NB)を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして、重合性組成物および積層体を製造し、同様に評価を行った。
比較例3
メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル(MAc−NB)の配合量を2.4部から100部に変更した以外は、実施例1と同様にして、重合性組成物および積層体を製造し、同様に評価を行った。なお、比較例3においては、単量体混合物中における、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル(MAc−NB)の含有割合は、100モル%であった。
比較例4
シクロオレフィンモノマーとして、ジシクロペンタジエン(DCP)80部、及びスチリルノルボルネン(ST−NB)20部を用い、かつ、連鎖移動剤としてのジビニルベンゼンの配合量を1.8部から、0.3部に変更した以外は、実施例1と同様にして、重合性組成物および積層体を製造し、同様に評価を行った。
比較例5
シクロオレフィンモノマーとして、エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン(ETD)57.7部、ジシクロペンタジエン(DCP)38.5部、及び、ビニルノルボルネン(Vinyl−NB)3.8部を用いた以外は、実施例1と同様にして、重合性組成物および積層体を製造し、同様に評価を行った。
比較例6
シクロオレフィンモノマーとして、エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン(ETD)67.5部、及び、エチリデンノルボルネン(ETD−NB)32.5部を用い、かつ、連鎖移動剤として、ジビニルベンゼン1.8部の代わりに、スチレン0.7部を使用した以外は、実施例1と同様にして、重合性組成物および積層体を製造し、同様に評価を行った。
Figure 2011074271
表1中、それぞれ、「MAc−NB」はメタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル、「ETD」はエチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、「DCP」はジシクロペンタジエン、「ST−NB」はスチリルノルボルネン、「Vinyl−NB」はビニルノルボルネン、「ETD−NB」はエチリデンノルボルネンを、示している。
表1に示すように、(メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマー(A)であるメタクリル酸5−ノルボルネン−2−イルを本発明所定量含む重合性組成物を用いた場合には、得られる積層体は、誘電正接が小さく、ピール強度に優れる結果となった(実施例1〜3)。
これに対して、(メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマー(A)を用いず、連鎖移動剤としてウンデセニルモノメタクリレートを用いた場合には、誘電正接が高くなる結果となった(比較例1)。
また、(メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマー(A)を用いず、連鎖移動剤としてジビニルベンゼン又はスチレンを用いた場合には、ピール強度に劣る結果となった(比較例2,4〜6)。
さらに、(メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマー(A)の配合量が多すぎる場合には、ピール強度は良好なものの、誘電正接が高くなる結果となった(比較例3)。

Claims (7)

  1. (メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマー(A)を0.1〜9モル%含む単量体混合物、メタセシス重合触媒、及び架橋剤を含有してなる重合性組成物。
  2. 前記シクロオレフィンモノマー(A)1モルに対して0.2〜10モルの連鎖移動剤をさらに含有する請求項1に記載の重合性組成物。
  3. 前記単量体混合物が、ビニル基及び/又はビニリデン基を有するシクロオレフィンモノマー(B)(ただし、(メタ)アクリロイル基を有するものを除く。)、及び/又は、脂環構造内に架橋性の炭素−炭素不飽和結合を有するシクロオレフィンモノマー(C)(ただし、(メタ)アクリロイル基、ビニル基又はビニリデン基を有するものを除く。)をさらに含有する請求項1又は2に記載の重合性組成物。
  4. 前記単量体混合物中における、前記シクロオレフィンモノマー(A)、シクロオレフィンモノマー(B)及びシクロオレフィンモノマー(C)の合計の含有量が20重量%以上である請求項3に記載の重合性組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の重合性組成物を塊状重合してなる架橋性樹脂成形体。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の重合性組成物を塊状重合してなる重合体を架橋してなる架橋樹脂成形体。
  7. 少なくとも、請求項5に記載の架橋性樹脂成形体、又は請求項6に記載の架橋樹脂成形体を積層してなる積層体。
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