JP2014234410A - 重合性組成物、架橋性樹脂成形体、および架橋樹脂成形体 - Google Patents

重合性組成物、架橋性樹脂成形体、および架橋樹脂成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】重合性組成物中における無機フィラーの分散性に優れるとともに、ドリル加工時の加工性に優れる架橋樹脂成形体の製造に有用な重合性組成物を提供すること。【解決手段】シクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、無機フィラー、および架橋助剤を含有する重合性組成物であって、前記無機フィラーは、当該重合性組成物中に60〜80重量%を含有するとともに、モース硬度がXであるフィラー1と、モース硬度がY(X>Y)であるフィラー2と、を有し、前記フィラー1のモース硬度と前記フィラー2のモース硬度の差(X−Y)は、4以上6未満である重合性組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、重合性組成物、架橋性樹脂成形体、および架橋樹脂成形体に関する。
近年、通信機器用途等に用いられるマイクロ波またはミリ波等の高周波回路基板用の絶縁層を形成する材料としては、たとえば、誘電正接が小さい等の観点から、シクロオレフィンモノマーを重合したシクロオレフィンポリマーが注目されている。また、前記絶縁層の線膨張率を低下させる等の観点から、絶縁層を構成するポリマーには、シリカ(酸化ケイ素)等の無機フィラーを添加することも行われている。たとえば、特許文献1には、シクロオレフィンモノマー、重合触媒、および特定の表面処理を施した無機フィラーを含有する重合性組成物を塊状重合して架橋性樹脂成形体であるプリプレグを得て、このプリプレグを架橋反応させることにより架橋樹脂成形体を得る技術が開示されている。
特開2013−43953号公報
特許文献1にも示すように、重合性組成物中における無機フィラーの分散性を向上させることが求められており、特に、無機フィラーの含有量が多い場合には、重合性組成物中における無機フィラーの分散性が必ずしも十分ではないという問題があった。また、高周波回路基板には、表裏面の導通を確保するためのスルーホールを形成する目的で、当該基板にはドリルにより貫通孔を形成するが、回路基板製造用の材料組成によっては、ドリルの耐摩耗性が十分ではなく加工性が劣る場合があった。
本発明の目的は、重合性組成物中における無機フィラーの分散性に優れるとともに、ドリル加工時の加工性に優れる架橋樹脂成形体の製造に有用な重合性組成物を提供することである。また、本発明の他の目的は、前記架橋性樹脂成形体、および前記特性を有する架橋樹脂成形体を提供することである。
本発明によれば、下記〔1〕〜〔5〕の重合性組成物、下記〔6〕の架橋性樹脂成形体、および下記〔7〕の架橋樹脂成形体が提供される。
〔1〕シクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、無機フィラー、および架橋助剤を含有する重合性組成物であって、前記無機フィラーは、当該重合性組成物中に60〜80重量%を含有するとともに、モース硬度がXであるフィラー1と、モース硬度がY(X>Y)であるフィラー2と、を有し、前記フィラー1のモース硬度と前記フィラー2のモース硬度の差(X−Y)は、4以上6未満である。
〔2〕前記フィラー2に対する前記フィラー1の重量比(フィラー1/フィラー2)は、0.05〜0.8である前記重合性組成物。
〔3〕前記フィラー1は、酸化ケイ素により形成されたフィラーである前記重合性組成物。
〔4〕前記フィラー2は、水酸化アルミニウムにより形成されたフィラー2A、および/または水酸化マグネシウム2Bにより形成されたフィラーである前記重合性組成物。
〔5〕前記フィラー2は、水酸化マグネシウムにより形成されたフィラー2Bである前記重合性組成物。
〔6〕前記フィラー2Bは、前記シクロオレフィンモノマー100重量部に対して50〜250重量部含有する前記重合性組成物。
〔7〕前記重合性組成物を繊維状強化材に含浸させた状態で前記重合性組成物を重合してなる架橋性樹脂成形体。
〔8〕前記架橋性樹脂成形体を架橋してなる架橋樹脂成形体。
本発明によれば、重合性組成物中における無機フィラーの分散性に優れるとともに、ドリル加工時の加工性に優れる架橋樹脂成形体の製造に有用な重合性組成物を提供できるという効果がある。また、この架橋樹脂成形体は、通信機器用途等に用いられるマイクロ波またはミリ波等の高周波回路基板に好適に用いることができるという効果がある。
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明は、シクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、無機フィラー、および架橋助剤を含有する重合性組成物であって、前記無機フィラーは、当該重合性組成物中に60〜80重量%を含有するとともに、モース硬度がXであるフィラー1と、モース硬度がY(X>Y)であるフィラー2と、を有し、前記フィラー1のモース硬度と前記フィラー2のモース硬度の差(X−Y)は、4以上6未満である。
ここで、モース硬度とは、特定の鉱物の硬さによって10もしくは15段階に段階的に分類し、各分類にはたとえば1〜10の数字が付され、測定対象に対して、硬度の小さい鉱物(数字の小さい方)から順にこすり合わせて、測定対象に傷がつくか否かを目測し、測定対象の硬度を判断したものである。
〔シクロオレフィンモノマー〕
前記シクロオレフィンモノマーは、分子内に脂環構造と炭素−炭素二重結合とを有する化合物である。シクロオレフィンモノマーは、重合によってシクロオレフィン樹脂を与える。
シクロオレフィンモノマーを構成する脂環式構造としては、単環、多環、縮合多環、橋かけ環およびこれらの組み合わせ多環などが挙げられる。脂環式構造を構成する炭素数に格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個である。
シクロオレフィンモノマーとしては、単環のシクロオレフィンモノマーや、ノルボルネン系モノマーなどが挙げられる。これらは、アルキル基、アルケニル基、アルキリデン基、アリール基などの炭化水素基や、極性基によって置換されていてもよい。また、ノルボルネン環の二重結合以外に、二重結合を有していてもよい。
単環シクロオレフィンモノマーの具体例としては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン、1,5−シクロオクタジエンなどが挙げられる。
ノルボルネン系モノマーの具体例としては、ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエンなどのジシクロペンタジエン類;
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−フェニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸無水物などのテトラシクロドデセン類;
2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イル、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物などのノルボルネン類;
7−オキサ−2−ノルボルネン、5−エチリデン−7−オキサ−2−ノルボルネンなどのオキサノルボルネン類;
テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンともいう)、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ−4,10−ジエン、ペンタシクロ[9.2.1.02,10.03,8]ペンタデカ−5,12−ジエンなどの四環以上の環状オレフィン類;などが挙げられる。
これらのシクロオレフィンモノマーのうち、極性基を有しないシクロオレフィンモノマーは、低誘電正接の成形体を与えるのに有利である。またテトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエンなどの芳香性の縮合環を有するものを用いると重合性組成物の粘度を下げることができる。
これらのシクロオレフィンモノマーは一種単独でも用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。組み合わせることで、シクロオレフィン樹脂の物性を制御できる。
本発明の重合性組成物には、本発明の効果の発現が阻害されない限り、以上のシクロオレフィンモノマーと共重合可能な任意のモノマーが含まれていてもよい。共重合可能なモノマーとしては、α−オレフィン類、ジエン類、(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
〔重合触媒〕
本発明に用いる重合触媒は、シクロオレフィンモノマーを重合させ得るものであれば特に限定されない。重合触媒としては、メタセシス重合触媒、付加重合触媒等が挙げられる。これらの重合触媒は、目的とする重合体の種類に応じて適宜選択できる。
(メタセシス重合触媒)
前記メタセシス重合触媒としては、遷移金属原子を中心原子として、複数のイオン、原子、多原子イオン、及び化合物等が結合してなる遷移金属錯体が挙げられる。遷移金属原子としては、通常、5族、6族及び8族(長周期型周期表による。以下、同じ。)の原子が使用される。それぞれの族の原子は特に限定されないが、5族の原子としては、例えば、タンタルが挙げられ、6族の原子としては、例えば、モリブデンやタングステンが挙げられ、8族の原子としては、例えば、ルテニウムやオスミウムが挙げられる。中でも、遷移金属原子としては、8族のルテニウムやオスミウムが好ましい。
メタセシス重合触媒としては、ルテニウムカルベン錯体が好ましい。ルテニウムカルベン錯体は、ルテニウム原子にカルベン炭素が二重結合した構造(Ru=C)を有する錯体であり、重合時の触媒活性に優れる。このため、メタセシス重合触媒としてルテニウムカルベン錯体を含む重合性組成物を重合して架橋性樹脂成形体としてのプリプレグを製造する場合、得られるプリプレグには未反応のモノマーに由来する臭気が少ない。したがって、生産性良く良質なプリプレグが得られる。また、ルテニウムカルベン錯体は、酸素や空気中の水分に対して比較的安定であって失活しにくいため、大気下でも使用可能である。
ルテニウムカルベン錯体は、ヘテロ環構造を有するカルベン化合物を配位子として有することが好ましい。このようなルテニウムカルベン錯体を用いることで、機械的強度と耐衝撃性が高度にバランスされたプリプレグや積層体が得られ易くなる。
ヘテロ環構造を構成するヘテロ原子は、周期律表第15族及び第16族の原子を意味し、酸素原子、窒素原子等が挙げられ、好ましくは窒素原子である。また、ヘテロ環構造としては、イミダゾリン環構造やイミダゾリジン構造が好ましい。
ヘテロ環構造を有するカルベン化合物の具体例としては、1,3−ジ(1−アダマンチル)イミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジメシチルオクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン、1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン、N,N,N’,N’−テトライソプロピルホルムアミジニリデン、1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン等が挙げられる。
ルテニウムカルベン触媒の具体例としては、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−ピロリドン−1−イルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−オクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン[1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジイソプロピルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)ピリジンルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)ピリジンルテニウムジクロリド等の、配位子としてヘテロ環構造を有する化合物と、中性の電子供与性化合物が結合したルテニウム錯体化合物が挙げられる。
メタセシス重合触媒は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。メタセシス重合触媒の含有量は、(メタセシス重合触媒中の金属原子:シクロオレフィンモノマー)のモル比で、通常1:2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:5,000〜1:1,000,000、より好ましくは1:10,000〜1:500,000の範囲である。
メタセシス重合触媒は活性剤と併用することもできる。活性剤は、重合活性を制御したり、重合反応率を向上させたりする目的で添加される。活性剤としては、アルミニウム、スカンジウム、スズのアルキル化物、ハロゲン化物、アルコキシ化物及びアリールオキシ化物などを例示することができる。
活性剤としては、トリアルコキシアルミニウム、トリフェノキシアルミニウム、ジアルコキシアルキルアルミニウム、アルコキシジアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウム、ジアルコキシアルミニウムクロリド、アルコキシアルキルアルミニウムクロリド、ジアルキルアルミニウムクロリド、トリアルコキシスカンジウム、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシスズ、テトラアルコキシジルコニウムなどが挙げられる。
活性剤を使用する場合の使用量は、(メタセシス重合触媒中の金属原子:活性剤)のモル比で、通常、1:0.05〜1:100、好ましくは1:0.2〜1:20、より好ましくは1:0.5〜1:10の範囲である。
また、メタセシス重合触媒として、5族及び6族の遷移金属原子の錯体を用いる場合には、メタセシス重合触媒及び活性剤は、いずれもモノマーに溶解して用いる方が好ましいが、生成物の性質を本質的に損なわない範囲であれば少量の溶剤に懸濁又は溶解させて用いることができる。
(付加重合触媒)
前記付加重合触媒としては、例えば、公知のチーグラー触媒やメタロセン触媒が挙げられる。中でも、周期律表第8、9、10族から選ばれる少なくとも1種の遷移金属のハロゲン化合物(以下、「化合物(A)」ということがある。)と、B,Al,Ti,Zn,Ge,Sn,Sb原子から選ばれる金属原子を有し、かつ、該金属原子に直接結合する炭素原子を有さない化合物(以下、「化合物(B)」ということがある。)を反応させることにより得られるものが好ましい。
化合物(A)は、周期律表第8、9、10族から選ばれる少なくとも1種の遷移金属のハロゲン化合物である。化合物(A)を構成する遷移金属原子としては、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金等が挙げられ、好ましくはコバルト、ニッケル、パラジウム、白金、より好ましくはニッケル、パラジウムである。
化合物(A)の具体例としては、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、臭化鉄(II)、臭化鉄(III)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)鉄(II)、ジクロロビス(トリn−ブチルホスフィン)鉄(II)等の鉄化合物;塩化コバルト、臭化コバルト、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)コバルト等のコバルト化合物;塩化ニッケル、臭化ニッケル、ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、ジクロロビス(トリメチルホスフィン)ニッケル、ジクロロ(2,2’−ピピリジル)ニッケル、ジクロロ(エチレンジアミン)ニッケル等のニッケル化合物;塩化ルテニウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ヒドロクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロテトラキス(アセトニトリル)ルテニウム、ジクロロテトラキス(ジメチルサルフォキシド)ルテニウム等のルテニウム化合物;塩化ロジウム、臭化ロジウム、トリクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等のロジウム化合物;塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、ヨウ化パラジウム、ジクロロ(トリメチルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリエチルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム等のパラジウム化合物;等が挙げられる。
化合物(B)は、B,Al,Ti,Zn,Ge,Sn,Sb原子から選ばれる金属原子を有し、かつ、該金属原子に直接結合する炭素原子を有さない化合物である。「金属原子に直接結合する炭素原子を有さない」とは、金属原子にアルキル基、アルケニル基等の炭化水素基等に起因する炭素原子が直接結合していないことをいう。
化合物(B)を構成する金属原子は、B,Al,Ti,Zn,Ge,Sn,Sb原子から選ばれるものであり、好ましくはB,Al,Ti,Zn,Sn、より好ましくはB,Al,Tiである。
化合物(B)の具体例としては、塩化チタン(IV)、臭化チタン(IV)、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラメトキシチタン、トリメトキシチタンモノクロリド、ジメトキシチタンジクロリド、メトキシチタントリクロリド、トリヒドロキシチタンモノクロリド、ジヒドロキシチタンジクロリド、ヒドロキシチタントリクロリド、酸化チタン等のチタン化合物;塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、ジエトキシ亜鉛、酸化亜鉛等の亜鉛化合物;三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三ヨウ化ホウ素、トリエトキシホウ素、酸化ホウ素等のホウ素化合物;塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、クロロアルミノキサン、酸化アルミニウム等のアルミニウム化合物;フッ化スズ(IV)、塩化スズ(IV)、臭化スズ(IV)、ヨウ化スズ(IV)、酸化スズ(IV)等のスズ化合物;塩化アンチモン(V)、フッ化アンチモン(V)、酸化アンチモン等のアンチモン化合物;等が挙げられる。
付加重合触媒は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
化合物(A)と化合物(B)の割合は、特に限定されないが、通常、〔化合物(A):化合物(B)〕のモル比で、1:0.1〜1:10,000、好ましくは1:0.5〜1:5,000である。
付加重合触媒の含有量は、(付加重合触媒中の金属原子:シクロオレフィンモノマー)のモル比で、通常、1:2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:5,000〜1:1,000,000、より好ましくは1:10,000〜1:500,000の範囲である。
〔架橋剤〕
本発明に用いる架橋剤は、本発明の重合性組成物を用いて得られる架橋性樹脂成形体中の樹脂成分の架橋反応を誘起し得る化合物である。架橋剤は上記効果を奏するものであれば特に限定されないが、架橋反応を効率よく行うことができることから、ラジカル発生剤が好ましい。ラジカル発生剤としては、例えば、有機過酸化物、ジアゾ化合物、および非極性ラジカル発生剤等が挙げられる。
有機過酸化物としては、t−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド等のヒドロペルオキシド類;ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン等のジアルキルペルオキシド類;ジプロピオニルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド等のジアシルペルオキシド類;2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等のペルオキシケタール類;t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエート等のペルオキシエステル類;t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、ジ(イソプロピルペルオキシ)ジカルボナート等のペルオキシカルボナート類;t−ブチルトリメチルシリルペルオキシド等のアルキルシリルペルオキシド類;3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパン、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナン、3,6−ジエチル−3,6−ジメチル−1,2,4,5−テトロキサン等の環状パーオキサイド類;等が挙げられる。
ジアゾ化合物としては、4,4’−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノン等が挙げられる。
非極性ラジカル発生剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、1,1,2−トリフェニルエタン、及び1,1,1−トリフェニル−2−フェニルエタン等が挙げられる。
これらのラジカル発生剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。ラジカル発生剤の配合量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。
〔無機フィラー〕
無機フィラーは、無機材料からなるフィラーであり、得られる架橋樹脂成形体における機械的強度の向上や、線膨張係数を低減させる等の目的で用いる。無機フィラーは、重合性組成物中に60〜80重量%を含有し、より好ましくは65〜75重量%を含有する。本発明の重合性組成物に用いる無機フィラーとしては、モース硬度Xであるフィラー1と、モース硬度Yであるフィラー2とを含有する。モース硬度Xとモース硬度Yとの関係は、X>Yであり、かつX−Yは、4以上6未満であり、4以上5未満であることがより好ましい。ここで、無機フィラーとしては、フィラー1とフィラー2の二種類のみを用いる態様の他に、たとえば、モース硬度の異なる3種類以上のフィラーを含有する構成や、3種類以上の無機フィラーを用いる態様であって、かつそのうちの2種類以上が同じモース硬度を有する構成とすることもできる。要するに、本発明の重合性組成物中の無機フィラーとしては、モース硬度の差が4以上6未満の関係を満たす2種類の無機フィラーを少なくとも含有する構成とすればよい。
本発明の重合性組成物において、前記フィラー2に対する前記フィラー1の重量比(フィラー1/フィラー2)は、0.05〜0.8であり、0.1〜0.7がより好ましい。重量比を上記範囲とすることにより、より一層分散性を高めることができる。
無機フィラーとしては、線膨張係数が15ppm/℃以下の材料を好適に用いることができ、たとえば、シリカ(酸化ケイ素)、シリカバルーン、アルミナ、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化すず、酸化ベリリウム、バリウムフェライト、及びストロンチウムフェライト等の無機酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、及び炭酸水素ナトリウム等の無機炭酸塩;硫酸カルシウム等の無機硫酸塩;タルク、クレー、マイカ、カオリン、フライアッシュ、モンモリロナイト、ケイ酸カルシウム、ガラス、及びガラスバルーン等の無機ケイ酸塩;水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;等を挙げることができる。
ここで、相対的にモース硬度の高いフィラー1としては、酸化ケイ素により形成されたフィラーを好適に用いることができる。また、相対的にモース硬度の低いフィラー2としては、水酸化アルミニウムにより形成されたフィラー2A、および/または水酸化マグネシウム2Bを用いることができ、水酸化マグネシウム2Bを用いることが好ましい。水酸化マグネシウムにより形成されたフィラー2Bを用いる場合、フィラー2Bの含有量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して50〜250重量部であることが好ましく、100〜200重量部であることがより好ましい。重量を前記範囲とすることにより、より一層分散性を高めることができる。
本発明に用いる無機フィラーの粒子径(平均粒子径)は、所望により適宜選択すればよいが、粒子を三次元的にみたときの長手方向と短手方向の長さの平均値として、0.001〜50μm、好ましくは0.01〜10μm、より好ましくは0.1〜5μmの範囲である。
〔架橋助剤〕
本発明に用いる架橋助剤は、架橋性樹脂成形体としてのプリプレグ中において、実質的に遊離の状態で存在し、架橋剤により架橋反応が誘起された後において、当該反応に関与して架橋構造の一部を構成する多官能化合物である。架橋助剤を含有するプリプレグを用いて得られる架橋樹脂成形体は、十分な架橋構造を有するため、耐熱性に優れる。
架橋助剤としては、イソプロペニル基を2以上有する多官能化合物や、(メタ)アクリロイル基を2以上有する多官能化合物が挙げられる。
イソプロペニル基を2以上有する多官能化合物の具体例としては、p−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、及びo−ジイソプロペニルベンゼン等のイソプロペニル基を2つ有する多官能化合物が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を2以上有する多官能化合物の具体例としては、エチレンジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレンジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレンジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及び2,2’−ビス〔4−(メタ)クリロキシジエトキシフェニル〕プロパン等の(メタ)アクリロイル基を2つ有する二官能化合物や、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート等の、(メタ)アクリロイル基を3つ有する三官能化合物等が挙げられる。これらの中でも、得られる架橋樹脂成形体の耐熱性をより一層向上できるとの観点から、(メタ)アクリロイル基を3つ有する三官能化合物が好ましく、メタクリロイル基を3つ有する三官能化合物がより好ましく、トリメチロ−ルプロパントリメタクリレートまたはペンタエリトリトールトリメタクリレートがさらに好ましい。
架橋助剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
他の多官能化合物として前記(メタ)アクリロイル基を3つ有する三官能化合物を併用する場合において、(メタ)アクリロイル基を3つ有する三官能化合物に対する前記二官能化合物の重量比(二官能化合物/(メタ)アクリロイル基を3つ有する三官能化合物)は、10/20〜30/20であることが好ましい。重量比が前記数値範囲となることにより、より一層耐熱性に優れ、かつ誘電正接をさらに低減できる。
〔重合性組成物〕
本発明の重合性組成物は、上記の成分に加えて、反応性流動化剤、連鎖移動剤、重合調整剤、重合反応遅延剤、充填剤、難燃剤、老化防止剤、および着色料等のその他の成分を含有してもよい。前記その他の成分としては、例えば、特開2009−242568号公報に記載の化合物や、特開2010−100683号公報に記載の化合物等を用いることができる。
ここで、反応性流動化剤とは、架橋性樹脂成形体としてのプリプレグ中において、実質的に遊離の状態で存在し、流動化剤としてプリプレグを構成する樹脂成分のガラス転移温度(Tg)を低下させて、加熱溶融時のプリプレグの流動性を高めるとともに、架橋剤により架橋反応が誘起された後においては当該反応に関与して重合体への結合反応性を示す単官能化合物である。反応性流動化剤を含有するプリプレグは、それを加熱溶融して架橋性成形体を製造する際、任意の部材の形状に対する追従性に優れるため、得られる架橋樹脂成形体は層間密着性や配線埋め込み性に優れる。さらに、得られる架橋樹脂成形体は、十分な架橋構造を有するため、耐熱性や耐クラック性に優れる。
反応性流動化剤としては、例えば、(メタ)アクリル基やイソプロペニル基等の架橋性の炭素−炭素二重結合を有する基や、エポキシ基、イソシアネート基、スルホン酸基等の反応性有機基を含む化合物が挙げられる。中でも、架橋反応における反応性に優れることから、(メタ)アクリル基またはイソプロペニル基を含む化合物が好ましい。また、反応性流動化剤としては、前記反応性有機基を1つ有する単官能の化合物が好ましい。(メタ)アクリル基を含む化合物の具体例としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。イソプロペニル基を含む化合物の具体例としては、イソプロペニルベンゼン等が挙げられる。
重合性組成物は、前記成分を混合して得ることができる。混合方法としては、常法に従えばよい。例えば、重合触媒を適当な溶媒に溶解若しくは分散させた液(触媒液)を、シクロオレフィンモノマーやその他の成分を含有する液(モノマー液)に添加し、攪拌することによって重合性組成物を調製できる。
本発明の重合性組成物を重合して得られる樹脂成形体は、前記式(1)で示される架橋助剤を含有するものであって、架橋性を有するものであり、本発明の重合性組成物は、架橋性樹脂成形体としてのプリプレグの原料として有用である。
2)架橋性樹脂成形体(プリプレグ)
本発明の架橋性樹脂成形体は、前記重合性組成物を繊維状強化材に含浸させた状態で、前記重合性組成物を重合して得られるプリプレグである。
繊維状強化材としては、無機系および/または有機系の繊維の織布又は不織布が挙げられる。無機系繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、タングステン繊維、モリブデン繊維、チタン繊維、スチール繊維、ボロン繊維、シリコンカーバイド繊維、シリカ繊維等が挙げられる。有機系繊維としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維、アラミド繊維、超高分子ポリエチレン繊維、ポリアミド(ナイロン)繊維、液晶ポリエステル繊維等が挙げられる。前記繊維状強化材は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。前記繊維状強化材は、繊維束を開繊して用いてもよい。前記架橋性樹脂成形体中の前記繊維状強化材の含有量は、通常、10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%の範囲である。繊維状強化材の含有量がこの範囲にあれば、得られる架橋性樹脂成形体の誘電特性と機械強度が高度にバランスされ、好適である。
重合性組成物を繊維状強化材に含浸させる際は、公知の方法を利用することができる。例えば、重合性組成物の所定量を、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、及びスリットコート法等の公知の方法により繊維状強化材に塗布し、所望によりその上に保護フィルムを重ね、上側からローラーなどで押圧することにより、重合性組成物を繊維状強化材に含浸させることができる。
重合性組成物を繊維状強化材に含浸させた後、得られた含浸物を所定温度に加熱することにより、重合性組成物を塊状重合させることができ、これによってシート状またはフィルム状の架橋性樹脂成形体が得られる。
加熱温度は、通常、30〜250℃、好ましくは50〜200℃、より好ましくは90〜150℃の範囲であって、かつ架橋剤としてラジカル発生剤を用いる場合には、ラジカル発生剤の1分間半減期温度以下、好ましくは1分間半減期温度よりも10℃以上低い温度、より好ましくは1分間半減期温度よりも20℃以上低い温度とし得る。また、重合時間は、適宜選択すればよいが、10秒間から60分間、好ましくは20分間以内である。
本発明の架橋性樹脂成形体は、成形型を用いて製造できる。例えば、成形型内に繊維状強化材を設置し、該型内に重合性組成物を注入して、重合性組成物を繊維状強化材に含浸させた後、得られた含浸物を所定温度に加熱することにより、重合性組成物を塊状重合させることにより、任意の形状に形成できる。例えば、成形型として、割型構造、すなわち、コア型とキャビティー型を有する成形型を用いることにより、シート状、フィルム状、柱状、円柱状、多角柱状等の任意の形状の架橋性樹脂成形体が得られ、また、ガラス板や金属板などの板状成形型と所定の厚さのスペーサーとを用いることで、シート状またはフィルム状の架橋性樹脂成形体が得られる。
本発明の架橋性樹脂成形体の厚みは、使用目的に応じて適宜選択されるが、0.001〜10mm、好ましくは0.005〜1mm、より好ましくは0.01〜0.5mmの範囲である。この範囲にあれば、架橋性樹脂成形体を積層した際の賦形性、また、硬化して得られる架橋樹脂成形体の機械強度や靭性などの特性が充分に発揮される。
本発明の架橋性樹脂成形体を構成する重合体(シクロオレフィンポリマー)は、実質的に架橋構造を有さず、例えば、トルエンに可溶である。当該重合体の分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(溶離液:テトラヒドロフラン)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常、1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜100,000の範囲である。
本発明の架橋性樹脂成形体を用いることにより、回路基板材料として好適に用いられる架橋樹脂成形体が得られる。架橋樹脂成形体は、1枚の架橋性樹脂成形体より構成してもよいし、複数枚の架橋性樹脂成形体を積層した積層体として構成することもできる。例えば、本発明の架橋性樹脂成形体と、これと積層可能なその他の材料を、任意の組合せで任意の順に積層し、所望により更に賦形した後に、架橋性樹脂成形体の架橋反応を行うことにより、架橋樹脂成形体が得られる。
積層可能なその他の材料としては、使用目的に応じて適宜選択されるが、例えば、熱可塑性樹脂材料、金属材料などが挙げられ、特に金属材料が好適に用いられる。金属材料としては、回路基板で一般に用いられるものを格別な制限なく用いることができ、通常、金属箔、好ましくは銅箔が用いられる。金属箔の厚みは、使用目的に応じて適宜選択されるが、0.5〜50μm、好ましくは1〜30μm、より好ましくは3〜20μmの範囲である。また、金属材料は、その表面が、シランカップリング剤、チオール系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、各種接着剤などで処理されているものが好ましい。
架橋性樹脂成形体の架橋反応を行う方法は、特に限定されない。例えば、平板成形用のプレス枠型を有する公知のプレス機、シートモールドコンパウンド(SMC)やバルクモールドコンパウンド(BMC)などのプレス成形機を用いて熱プレスを行なうことで、架橋性樹脂成形体の架橋反応を行い、架橋樹脂成形体が得られる。
加熱温度は、架橋剤により架橋反応が誘起される温度以上である。例えば、架橋剤としてラジカル発生剤を使用する場合、通常、1分間半減期温度以上、好ましくは1分間半減期温度より5℃以上高い温度、より好ましくは1分間半減期温度より10℃以上高い温度である。典型的には、100〜300℃、好ましくは150〜250℃の範囲である。加熱時間は、0.1〜180分、好ましくは1〜120分、より好ましくは2〜60分の範囲である。プレス圧力としては、通常、0.1〜20MPa、好ましくは0.1〜10MPa、より好ましくは1〜5MPaである。また、熱プレスは、真空または減圧雰囲気下で行ってもよい。
本発明の架橋性樹脂成形体を用いて得られる架橋樹脂成形体は、耐熱性により一層優れ、かつ誘電正接がさらに低いものである。したがって、この架橋樹脂成形体は、プリント基板材料として好適に用いることができる。
以下、実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。また、下記の実施例および比較例において、「部」および「%」は特に断りのない限り、重量基準である。
(実施例1)
メタセシス重合触媒としてのベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド51部と、トリフェニルホスフィン79部とを、トルエン952部に溶解させて触媒液を調整した。
これとは別に、シクロオレフィンモノマーとしてのテトラシクロドデセン(テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン/TCD)100部と、ラジカル発生剤としての3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパン(1分間半減期温度205℃)2部と、架橋助剤としてのトリメチロールプロパントリメタクリレート15部と、フィラー1としての酸化ケイ素粒子(平均粒子径0.5μm、モース硬度7)20部と、フィラー2(フィラー2B)としての水酸化マグネシウム(平均粒子径0.5μm、モース硬度3)200部と、連鎖移動剤としてのスチレン0.74部と、フェーノール系老化防止剤としての3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール1部とを混合してモノマー液を調製した。得られたモノマー液を用いて、ワニス中のフィラー分散性(ヒステリシスループ)を評価した。このモノマー液に上記触媒液をシクロオレフィンモノマー100gあたり0.12mLの割合で加えて攪拌し、重合性組成物を調製した。重合性組成物における無機フィラー(フィラー1とフィラー2の合計量)含有割合は、65.3重量%であった。
次いで、得られた重合性組成物をガラスクロス(NEガラス)に含浸させ、これを120℃で5分間加熱して塊状重合させて、厚さ0.15mmのプリプレグシート(架橋性樹脂成形体)を得た。
次いで、作製したプリプレグシート(10cm角)を6枚重ね、積層したプリプレグシートを、厚み18μmのF2銅箔(古河サーキットフォイル社製、シランカップリング剤処理電解銅箔、粗度Rz=1600nm)で挟み、205℃で20分間、3MPaにて熱プレスを行い、銅張積層板(積層体)を得た。得られた銅張積層板を用いて、上記方法によりドリル磨耗性を評価した。
(実施例2)
実施例1において、フィラー2としての水酸化マグネシウム(平均粒子径0.5μm、モース硬度3)の配合量200部を100部に変更し、さらに水酸化アルミニウム(平均粒子径0.5μm、モース硬度3)100部を混合したこと以外は実施例1と同様にして、重合性組成物、プリプレグシートおよび銅張積層板を作製した。そして、実施例1と同様に各特性について評価した。重合性組成物における無機フィラー(フィラー1とフィラー2の合計量)含有割合は、65.3重量%であった。
(実施例3)
実施例1において、酸化ケイ素粒子(平均粒子径0.5μm、モース硬度7)の配合量20部を100部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、重合性組成物、プリプレグシートおよび銅張積層板を作製した。そして、実施例1と同様に各特性について評価した。重合性組成物における無機フィラー(フィラー1とフィラー2の合計量)含有割合は、72.0重量%であった。
(比較例1)
実施例1において、酸化ケイ素粒子(平均粒子径0.5μm、モース硬度7)の配合量15部を0部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、重合性組成物、プリプレグシートおよび銅張積層板を作製した。そして、実施例1と同様に各特性について評価した。重合性組成物における無機フィラー(フィラー1とフィラー2の合計量)含有割合は、63.1重量%であった。
(比較例2)
実施例1において、酸化ケイ素粒子(平均粒子径0.5μm、モース硬度7)の配合量20部を300部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、重合性組成物、プリプレグシートおよび銅張積層板を作製した。そして、実施例1と同様に各特性について評価した。重合性組成物における無機フィラー(フィラー1とフィラー2の合計量)含有割合は、81.1重量%であった。
(比較例3)
実施例2において、酸化ケイ素粒子(平均粒子径0.5μm、モース硬度7)の配合量20部を5部に、水酸化マグネシウム(平均粒子径0.5μm)の配合量100部を65部に、さらに水酸化アルミニウム(平均粒子径0.5μm)の配合量100部を65部に変更したこと以外は実施例2と同様にして、重合性組成物、プリプレグシートおよび銅張積層板を作製した。そして、実施例2と同様に各特性について評価した。重合性組成物における無機フィラー(フィラー1とフィラー2の合計量)含有割合は、53.6重量%であった。
(比較例4)
実施例3において、酸化ケイ素粒子(平均粒子径0.5μm、モース硬度7)100部を、アルミナ粒子(平均粒子径0.5μm、モース硬度9)100部に変更したこと以外は実施例3と同様にして、重合性組成物、プリプレグシートおよび銅張積層板を作製した。そして、実施例3と同様に各特性について評価した。重合性組成物における無機フィラー含有割合は、72.0重量%であった。
各特性を下記の方法に従って評価した。評価結果を表1に示す。
(1)ワニス中フィラー分散性
得られたモノマー液のヒステリシスループを求め、以下の基準に従ってフィラー分散性を評価した。なお、分散性測定には、HAAKE社製、RS6000標準型を用いた。ヒステリシスループとは、横軸にせん断速度[1/s]、縦軸にせん断応力[Pa]をとり、せん断速度を0から1000まで上げたせん断応力のプロットAと、1000から0まで下げたときのせん断応力のプロットBが一致する場合をヒステリシスループがみられない、一致しない場合をヒステリシスループがある、とした。
○:ヒステリシスループがみられない
×:ヒステリシスループがある
(2)ドリル磨耗性
後述のプリプレグを12枚重ね、それを18μmF0銅箔(シランカップリング剤処理電解銅箔、古河サーキットホイル社製) で挟み、220℃ で2時間、3MPaにて加熱プレスして得た、厚さ0.5mmの両面銅張積層板をコア基板として用いる。コア基板にドリル1機により連続して3000個のスルーホール用開口( 孔径150μm)を形成するのに用いたドリルの刃先の磨耗状態を評価した。未使用ドリルの刃先の直径(mm)から使用後ドリルの刃先の直径(mm)を差引いて得た値を未使用ドリルの刃先の直径(mm)で除し、得られた値に100を乗じてドリル磨耗の程度(%)を求め、以下の評価基準に従って開口のドリル磨耗性を評価した。ドリルの刃先の磨耗が大きいということは、開口内壁の抵抗が大きいということであり、従って、ドリル磨耗性が大きい程、開口の内壁の荒れが大きいと判断できる。なお、ドリルの刃先の直径とは、ドリルの先端を長手方向正面から見た時の直径をいう。
○・・・ 5%以内
× ・・・5%超
Figure 2014234410
第1表より、以下のことがわかる。
実施例1〜3で得られた重合性組成物における無機フィラーの分散性に優れ、かつ、この重合性組成物を用いて得られた架橋樹脂成形体(銅張積層板)は、ドリル摩耗性に優れていた。これに対して、モース硬度の異なるフィラーを用いていない比較例1は、無機フィラーの分散性の点で劣っていた。また、モース硬度の差が4以上6未満である二種類の無機フィラーを用いるものの、無機フィラーの添加量が多い比較例2は、無機フィラーの分散性および前記ドリル摩耗性の両方の点で劣っていた。また、モース硬度の差が4以上6未満である二種類の無機フィラーを用いるものの、無機フィラーの添加量が少ない比較例3は、無機フィラーの分散性の点で劣っていた。モース硬度の差が4以上6未満ではない二種類の無機フィラーを用いる比較例4は、前記ドリル摩耗性の点で劣っていた。

Claims (8)

  1. シクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、無機フィラー、および架橋助剤を含有する重合性組成物であって、
    前記無機フィラーは、当該重合性組成物中に60〜80重量%を含有するとともに、モース硬度がXであるフィラー1と、モース硬度がY(X>Y)であるフィラー2と、を有し、前記フィラー1のモース硬度と前記フィラー2のモース硬度の差(X−Y)は、4以上6未満である重合性組成物。
  2. 前記フィラー2に対する前記フィラー1の重量比(フィラー1/フィラー2)は、0.05〜0.8である請求項1に記載の重合性組成物。
  3. 前記フィラー1は、酸化ケイ素により形成されたフィラーである請求項1または2に記載の重合性組成物。
  4. 前記フィラー2は、水酸化アルミニウムにより形成されたフィラー2A、および/または水酸化マグネシウム2Bにより形成されたフィラーである請求項1〜3のいずれかに記載の重合性組成物。
  5. 前記フィラー2は、水酸化マグネシウムにより形成されたフィラー2Bである請求項4に記載の重合性組成物。
  6. 前記フィラー2Bは、前記シクロオレフィンモノマー100重量部に対して50〜250重量部含有する請求項5に記載の重合性組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の重合性組成物を繊維状強化材に含浸させた状態で前記重合性組成物を重合してなる架橋性樹脂成形体。
  8. 請求項7に記載の架橋性樹脂成形体を架橋してなる架橋樹脂成形体。
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