JP6664398B2 - 2つ以上のアルコキシシリル基を有する熱硬化性アルコキシシリル化合物、それを含む組成物、硬化物、及びその用途、並びにアルコキシシリル化合物の製造方法 - Google Patents

2つ以上のアルコキシシリル基を有する熱硬化性アルコキシシリル化合物、それを含む組成物、硬化物、及びその用途、並びにアルコキシシリル化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、複合体で優れた耐熱特性を示す2つ以上のアルコキシシリル基を有する熱硬化性アルコキシシリル化合物(以下、「アルコキシシリル化合物」という)、それを含む組成物、硬化物、及びその用途、並びにアルコキシシリル化合物の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、複合体で優れた耐熱特性、具体的に、複合体で低い熱膨張係数(CTE、coefficient of Thermal Expansion)とガラス転移温度を示さないTgレス(Tg‐less)を有する熱硬化性アルコキシシリル化合物、それを含む組成物、硬化物、及びその用途、並びにアルコキシシリル化合物の製造方法に関する。
熱硬化有機材料の熱膨張係数は約50〜80ppm/℃であって、無機粒子であるセラミック材料や金属材料の熱膨張係数(例えば、シリコンの熱膨張係数は3〜5ppm/℃であり、銅の熱膨張係数は17ppm/℃である)に比べて、熱膨張係数値が数倍〜数十倍程度と非常に大きい。したがって、例えば、半導体、ディスプレイなどの分野で熱硬化性材料が無機材料または金属材料とともに用いられる場合、熱硬化性材料と無機材料または金属材料の互いに異なる熱膨張係数により、高分子材料の物性及び加工性が著しく制限される。また、例えば、シリコンウエハーとエポキシ基板が隣接して用いられる半導体パッケージングなどの場合や、ガスバリア性を付与するために無機遮断膜を高分子フィルム上にコーティングする場合に、工程及び/または使用温度が変化すると、構成成分間の著しい熱膨張係数の差(CTE‐mismatch)によって無機層のクラック、基板の反り、コーティング層の剥離(peeling‐off)、基板の破れなどの製品不良が発生する。
このような熱硬化性材料の高いCTE及びそれによる熱硬化性材料の寸法変化(dimensional change)により、次世代半導体基板、PCB(printed
circuit board)、パッケージング(packaging)、OTFT(Organic Thin Film Transistor)、フレキシブルディスプレイ基板(flexible display substrate)などの技術開発が制限されている。具体的に、現在、半導体及びPCB分野では、金属/セラミック材料に比べて非常に高いCTEを有するエポキシ材料により、高集積化、高微細化、フレキシブル化、高性能化などが求められる次世代部品の設計と加工性及び信頼性の確保が困難となっている。換言すれば、部品工程温度でのエポキシ材料の高い熱膨張特性により、部品の製造時に不良が発生するだけでなく、工程が制限され、部品の設計、加工性及び信頼性の確保が問題となる。したがって、電子部品の加工性及び信頼性を確保するために、エポキシの改善された熱膨張特性、すなわち、寸法安定性が求められる。
現在まで、熱硬化性エポキシ化合物の熱膨張特性を改善(すなわち、小さい熱膨張係数)するためには、通常、エポキシ化合物を無機粒子(無機フィラー)及び/または繊維と複合化する方法が広く用いられてきた。熱膨張特性を改善するためにエポキシ化合物と充填剤としての無機粒子を複合化する場合には、約2〜30μmの大きさのシリカ無機粒子を多量使用した際にのみ、CTEの減少効果が得られる。しかし、多量の無機粒子を充填することにより、加工性及び部品の物性が低下するという問題を伴う。すなわち、多量の無機粒子による流動性減少及び谷間充填時のボイド形成などが問題となる。また、無機粒子の添加により、材料の粘度が急激に増加する。さらに、半導体構造の微細化により、無機粒子の大きさが減少する傾向にあるが、1μm以下のフィラーを用いると、流動性低下
(粘度増加)の問題が遥かに激しくなる。そして、平均粒径の大きい無機粒子を用いる場合には、樹脂と無機粒子を含む組成物の適用部位に充填されない頻度が高くなる。一方、有機樹脂と充填剤としての繊維を含む組成物を用いる場合にもCTEは大きく減少するが、シリコンチップなどに比べて依然として高いCTEを示す。
上記のように、現在のエポキシ化合物の複合化技術の限界により、次世代半導体基板及びPCBなどの高集積された高性能電子部品の製造が制限されている。したがって、従来の熱硬化性高分子複合体の高いCTEと、それによる耐熱特性及び加工性の不足などの問題を改善するために、改善された熱膨張特性、すなわち、低いCTE及びTgレス(Tg
less)特性を有する新しい化合物の開発が求められている。
本発明の一実施形態によると、複合体で向上した耐熱特性、具体的には、低いCTEとTgレス特性を示すとともに、硬化物で優れた難燃性を示す新しい熱硬化性アルコキシシリル化合物が提供される。
本発明の他の実施形態によると、アルコキシシリル化合物の複合体で向上した耐熱特性、具体的には、低いCTEとTgレス特性を示すとともに、硬化物で優れた難燃性を示す熱硬化性アルコキシシリル組成物が提供される。
さらに、本発明のさらに他の実施形態によると、エポキシ化合物とのブレンドにより、複合体で向上した耐熱特性、具体的には、低いCTEとTgレス特性を示すとともに、硬化物で優れた難燃性を示す本発明の一実施形態によるアルコキシシリル組成物の硬化物が提供される。
また、本発明の他の実施形態によると、本発明の一実施形態による熱硬化性アルコキシシリル組成物の用途が提供される。
本発明の他の実施形態によると、熱硬化性アルコキシシリル基化合物の製造方法が提供される。
本発明の第1態様によると、下記式AI〜IIからなる群から選択され、少なくとも2つ以上のアルコキシシリル基を有するアルコキシシリル化合物が提供される。
(上記式AI〜DIの置換基a及びbは、それぞれ独立して、下記式S1、S2、水素、及びC110アルケニル(alkenyl)基からなる群から選択され、置換基c〜fは、それぞれ独立して、下記式S1、水素、C110アルキル基、C110アルケニル(alkenyl)基及びC630アリール(aryl)基からなる群から選択され、上記a〜fのうち少なくとも2つの置換基は、下記式S1及びS2からなる群から選択され;
上記式AIにおいて、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐であってもよく;
上記式EI〜IIにおいて、置換基g〜jのうち2つ以上は下記式S1及びS2からなる群から選択され、残りは、水素、C110アルキル基、C110アルケニル(alkenyl)基またはC630アリール(aryl)基であってもよく;
上記式HIにおいて、Mは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐であり;
上記式IIは、酸素のメタ位置で直鎖もしくは分岐鎖のC1‐C10アルキル基で置換されてもよく、
[化S1]
‐(CH2z‐SiR123
[化S2]
‐CONH(CH2z‐SiR123
上記式S1及びS2において、R1〜R3のうち少なくとも1つは炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシ基であり、残りは炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であり、zは3〜10の整数である。
本発明の第2態様によると、上記式AI〜DIからなる群から選択され、置換基a及びbのうち少なくとも1つは水素であり、置換基c〜fのうち少なくとも2つは式S1である、アルコキシシリル化合物が提供される。
本発明の第3態様によると、上記式EI〜GIからなる群から選択され、置換基g〜jのうち少なくとも1つは水素であり、少なくとも2つは式S1及び式S2からなる群から選択される、アルコキシシリル化合物が提供される。
本発明の第4態様によると、本発明の第1態様から第3態様の何れか1記載のアルコキシシリル化合物を少なくとも1つ含むアルコキシシリル組成物が提供される。
本発明の第5態様によると、第4態様において、無機粒子及び繊維からなる群から選択される少なくとも1種の充填剤をさらに含む、アルコキシシリル組成物が提供される。
本発明の第6態様によると、第5態様において、上記無機粒子が、シリカ、ジルコニア、チタニア、アルミナ、窒化ケイ素、及び窒化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属酸化物;T‐10型シルセスキオキサン;ラダー(ladder)型シルセスキオキサン;及びかご型シルセスキオキサンからなる群から選択される少なくとも1種である、アルコキシシリル組成物が提供される。
本発明の第7態様によると、第5態様において、上記無機粒子がアルコキシシリル組成物の全固形分を基準として5wt%〜95wt%で含まれる、アルコキシシリル組成物が提供される。
本発明の第8態様によると、第5態様において、上記無機粒子がアルコキシシリル組成物の全固形分を基準として30wt%〜95wt%で含まれる、アルコキシシリル組成物が提供される。
本発明の第9態様によると、第5態様において、上記無機粒子がアルコキシシリル組成物の全固形分を基準として5wt%〜60wt%で含まれる、アルコキシシリル組成物が提供される。
本発明の第10態様によると、第5態様において、上記繊維が、Eガラス繊維、Tガラス繊維、Sガラス繊維、NEガラス繊維、Hガラス繊維及び石英からなる群から選択されるガラス繊維、及び液晶ポリエステル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、全芳香族繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、ナイロン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエーテルスルホン繊維、ポリビニリデンフルオライド繊維、ポリエチレンスルフィド繊維及びポリエーテルエーテルケトン繊維からなる群から選択される有機繊維からなる群から選択される少なくとも1種である、アルコキシシリル組成物が提供される。
本発明の第11態様によると、第5態様において、上記繊維がアルコキシシリル組成物の全固形分に対して10wt%〜90wt%で含まれる、アルコキシシリル組成物が提供
される。
本発明の第12態様によると、第5態様において、繊維を含む場合に、無機粒子をさらに含む、アルコキシシリル組成物が提供される。
本発明の第13態様によると、第1態様から第3態様の何れか1つに記載のアルコキシシリル化合物及びエポキシ化合物を含む、アルコキシシリル組成物が提供される。
本発明の第14態様によると、第13態様において、上記エポキシ化合物が、グリシジルエーテル系エポキシ化合物、グリシジル系エポキシ化合物、グリシジルアミン系エポキシ化合物、グリシジルエステル系エポキシ化合物、ゴム変性エポキシ化合物、脂肪族ポリグリシジル系エポキシ化合物及び脂肪族グリシジルアミン系エポキシ化合物からなる群から選択される少なくとも1種である、アルコキシシリル組成物が提供される。
本発明の第15態様によると、第14態様において、上記エポキシ化合物は、コア構造として、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェニル、ナフタレン、ベンゼン、チオジフェノール、フルオレン(fluorene)、アントラセン、イソシアヌレート、トリフェニルメタン、1,1,2,2‐テトラフェニルエタン、テトラフェニルメタン、4,4’‐ジアミノジフェニルメタン、アミノフェノール、シクロ脂肪族、またはノボラックユニットを有する、アルコキシシリル組成物が提供される。
本発明の第16態様によると、第13態様において、上記アルコキシシリル組成物は、下記式AI〜CIからなる群から選択されるアルコキシシリル化合物及びエポキシ化合物を含み、
この際、上記Yは、‐CH2‐または‐C(CH32‐であり、
上記c〜fは水素であり、
上記a及びbは、それぞれ下記式S1及びS2からなる群から選択され、
[化S1]
‐(CH2z‐SiR123
[化S2]
‐CONH(CH2z‐SiR123
上記式S1及びS2において、R1〜R3は炭素数1〜2のアルコキシ基であり、zは3〜10の整数である、アルコキシシリル組成物が提供される。
本発明の第17態様によると、第13態様において、上記アルコキシシリル組成物は、下記式AI〜CIからなる群から選択されるアルコキシシリル化合物及びエポキシ化合物を含み、
この際、上記Yは、‐CH2‐または‐C(CH32‐であり、
上記a及びbは水素であり、
上記c〜fのうち少なくとも2つは下記式S1であり、
[化S1]
‐(CH2z‐SiR123
上記式S1において、R1〜R3は炭素数1〜2のアルコキシ基であり、zは3〜10の整数である、アルコキシシリル組成物が提供される。
本発明の第18態様によると、第13態様において、上記アルコキシシリル化合物の組成物は、下記式EI〜GIからなる群から選択されるアルコキシシリル化合物及びエポキシ化合物を含み、
この際、上記g〜jのうち少なくとも1つは水素であり、少なくとも2つは下記式S1及び式S2からなる群から選択され、
[化S1]
‐(CH2z‐SiR123
上記式S1において、R1〜R3は炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシ基であり、zは3〜10の整数であり、
[化S2]
‐CONH(CH2z‐SiR123
上記式S2において、R1〜R3のうち少なくとも1つは炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシ基であり、残りは炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であり、zは3〜10の整数である、アルコキシシリル化合物の組成物が提供される。
本発明の第19態様によると、第13態様において、上記アルコキシシリル化合物のアルコキシ基と上記エポキシ化合物のエポキシ基とのモル比が0.1〜10:1である、アルコキシシリル組成物が提供される。
本発明の第20態様によると、第13態様において、上記アルコキシシリル化合物のアルコキシ基と上記エポキシ化合物のエポキシ基とのモル比が0.2〜1:1である、アルコキシシリル組成物が提供される。
本発明の第21態様によると、第13態様において、硬化剤をさらに含む、アルコキシシリル組成物が提供される。
本発明の第22態様によると、第4態様から第21態様のうち何れか一態様のアルコキシシリル組成物を含む電子材料が提供される。
本発明の第23態様によると、第4態様から第21態様のうち何れか一態様のアルコキシシリル組成物を含む基板が提供される。
本発明の第24態様によると、第4態様から第21態様のうち何れか一態様のアルコキシシリル組成物を含むフィルムが提供される。
本発明の第25態様によると、第4態様から第21態様のうち何れか一態様のアルコキシシリル組成物からなる基材層上に金属層を含む積層板が提供される。
本発明の第26態様によると、第25態様に記載の積層板を含むプリント配線板が提供される。
本発明の第27態様によると、第26態様に記載のプリント配線板を含む半導体装置が提供される。
本発明の第28態様によると、第4態様から第21態様のうち何れか一態様のアルコキシシリル組成物を含む半導体パッケージング材料が提供される。
本発明の第29態様によると、第28態様に記載の半導体パッケージング材料を含む半導体装置が提供される。
本発明の第30態様によると、第2態様から第19態様のうち何れか一態様のアルコキシシリル組成物を含む接着剤が提供される。
本発明の第31態様によると、第4態様から第21態様のうち何れか一態様のアルコキシシリル組成物を含む塗料が提供される。
本発明の第32態様によると、第4態様から第21態様のうち何れか一態様のアルコキシシリル組成物を含む複合材料が提供される。
本発明の第33態様によると、第4態様から第21態様のうち何れか一態様のアルコキシシリル組成物を含むプリプレグが提供される。
本発明の第34態様によると、第33態様に記載のプリプレグに金属層が配置された積層板が提供される。
本発明の第35態様によると、第4態様から第21態様のうち何れか一態様のアルコキシシリル組成物の硬化物が提供される。
本発明の第36態様によると、第35態様において、熱膨張係数が100ppm/℃以
下である、アルコキシシリル組成物の硬化物が提供される。
本発明の第37態様によると、第36態様において、ガラス転移温度が80℃より高いか、ガラス転移温度を示さない、アルコキシシリル組成物の硬化物が提供される。
本発明の第38態様によると、下記式AS〜ISの何れか1つの出発物質と下記式M1のイソシアネート系アルコキシシランを任意の塩基及び任意の溶媒の存在下で反応させることで、下記式AI〜IIの何れか1つの最終目的物を得る、アルコキシシリル化合物の製造方法が提供される。
[出発物質]
(上記式AS〜DSにおいて、置換基k及びlはそれぞれ水素であり、m〜pは、それぞれ独立して、水素、C110アルキル基、C110アルケニル(alkenyl)基及びC630アリール(aryl)からなる群から選択され、上記式ASにおいて、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐であり、
上記式ES〜ISにおいて、置換基q〜tのうち2つ以上は水素であり、残りは、独立
して、C110アルキル基、C110アルケニル(alkenyl)基及びC630アリール(aryl)基から選択されてもよく、
上記式HSにおいて、Mは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐であり、
上記式ISは、酸素のメタ位置で直鎖もしくは分岐鎖のC1‐C10アルキル基で置換されてもよい。)
[化M1]
-OCN‐(CH2z‐SiR123
(上記式において、R1〜R3のうち少なくとも1つはC1‐C10の直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシ基であり、残りは直鎖もしくは分岐鎖のC1‐C10アルキル基であり、zは3〜10の整数である。)
[最終生成物]
(上記式AI〜DIの置換基a及びbはそれぞれ下記式S2であり、置換基c〜fは、それぞれ独立して、水素、C110アルキル基、C110アルケニル(alkenyl)基及びC630アリール(aryl)基からなる群から選択され、
上記式AIにおいて、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐であり、
上記式EI〜IIにおいて、置換基g〜jのうち2つ以上は下記式S2であり、残りは、それぞれ独立して、水素、C110アルキル基、C110アルケニル(alkenyl)基及びC630アリール(aryl)基からなる群から選択され、
上記式HIにおいて、Mは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐であり、
上記式IIは、酸素のメタ位置で直鎖もしくは分岐鎖のC1‐C10アルキル基で置換されてもよい。)
[化S2]
‐CONH(CH2z‐SiR123
(上記式S2において、R1〜R3のうち少なくとも1つは炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシ基であり、残りは炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であり、zは3〜10の整数である。)
本発明の第39態様によると、第38態様において、上記反応は、AS〜ISの何れか1つの出発物質のヒドロキシ基1当量に対して、上記式M1のイソシアネート系アルコキシ基シランが0.1〜5当量となるように反応させることで行われる、アルコキシシリル化合物の製造方法が提供される。
本発明の第40態様によると、第38態様において、上記反応は、15℃〜120℃で1〜72時間行われる、アルコキシシリル化合物の製造方法が提供される。
本発明の第41態様によると、下記式AS〜ISの何れか1つの出発物質と下記式M2のアルケニル化合物を任意の塩基及び任意の溶媒の存在下で反応させることで、下記式A1〜I1の何れか1つの中間生成物(1)を得る第1‐1段階と、上記中間生成物(1)と下記式M3のアルコキシ基シランを金属触媒及び任意の溶媒の存在下で反応させることで、下記式AI〜IIの何れか1つの最終生成物を得る第1‐2段階と、を含む、アルコキシシリル化合物の製造方法が提供される。
[出発物質]
(上記式AS〜DSにおいて、置換基k及びlはそれぞれ水素であり、m〜pは、それぞれ独立して、水素、C110アルキル基、C110アルケニル(alkenyl)基及びC630アリール(aryl)からなる群から選択され、
上記式ASにおいて、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐であり、
上記式ES〜ISにおいて、置換基q〜tのうち2つ以上は水素であり、残りは、それぞれ独立して、C110アルキル基、C110アルケニル(alkenyl)基及びC630アリール(aryl)基からなる群から選択され、
上記式HSにおいて、Mは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐であり、
上記式ISは、酸素のメタ位置で直鎖もしくは分岐鎖のC1‐C10アルキル基で置換されてもよい。)
[化M2]
X‐(CH2Z-2‐CH=CH2
(上記式M2において、Xは、Cl、Br、I、‐O‐SO2‐CH3、‐O‐SO2‐CF3、‐O‐SO2‐C64‐CF3、‐O‐SO2‐C64‐NO2または‐O‐SO2‐C64‐CH3であり、zは3〜10の整数である。)
[中間生成物(1)]
(上記式A1〜D1において、置換基k1及びl1はそれぞれ‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)であり、置換基m1〜p1は、それぞれ独立して、水素、アルキル基、アルケニル基及びアリール(aryl)基からなる群から選択され、
上記式A1において、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐であり、
上記式E1〜I1において、置換基q1〜t1のうち2つ以上は‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)であり、残りは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、アルケニル(alkenyl)基及びアリール(aryl)基からなる群から選択されてもよく、
上記式H1において、Mは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐であり、
上記式I1は、酸素のメタ位置で直鎖もしくは分岐鎖のC1‐C10アルキル基で置換されてもよい。)
[化M3]
HSiR123
(上記式M3において、R1〜R3のうち少なくとも1つはC1‐C10の直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシ基であり、残りは、それぞれ独立して、直鎖もしくは分岐鎖のC1‐
C10アルキル基である。)
[最終生成物]
(上記式AI〜DIの置換基a及びbは下記式S1であり、置換基c〜fは、それぞれ独立して、式S1、水素、‐OH、C110アルキル基、C110アルケニル基及びC630アリール(aryl)基からなる群から選択されてもよく、
上記式AIにおいて、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐であり、
上記式EI〜IIにおいて、置換基g〜jのうち2つ以上は下記式S1であり、残りは、それぞれ独立して、水素、C110アルキル基、C110アルケニル基及びC630アリール(aryl)基からなる群から選択されてもよく、
上記式HIにおいて、Mは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐であり、
上記式IIは、酸素のメタ位置で直鎖もしくは分岐鎖のC1‐C10アルキル基で置換されてもよい。)
[化S1]
‐(CH2z‐SiR123
(上記式S1において、R1〜R3のうち少なくとも1つは炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシ基であり、残りは炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であり、zは3〜10の整数である。)
本発明の第42態様によると、第41態様において、上記第1‐1段階は、出発物質のヒドロキシ基1当量に対して、上記式M2のアルケニル化合物の‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)が0.5〜10当量となるように反応させることで行われる、アルコキシシリル化合物の製造方法が提供される。
本発明の第43態様によると、第41態様において、上記第1‐1段階は、15℃〜100℃で1〜120時間行われる、アルコキシシリル化合物の製造方法が提供される。
本発明の第44態様によると、第41態様において、上記第1‐2段階は、上記中間生成物(1)のアルケニル基1当量に対して、上記式M3のアルコキシ基シランが1〜5当量となるように反応させることで行われる、アルコキシシリル化合物の製造方法が提供される。
本発明の第45態様によると、第41態様において、上記第1‐2段階は、15℃〜120℃で1〜72時間行われる、アルコキシシリル化合物の製造方法が提供される。
(上記式AI〜DIの置換基a及びbは、下記式S1またはS2;水素;またはアルケニル(alkenyl)基であってもよく、置換基c〜fは、下記式S1、水素、アルキル基、アルケニル(alkenyl)基またはアリール(aryl)基であってもよく、上記式AIにおいて、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐であってもよく、
上記式EI〜IIの置換基g〜jのうち2つ以上は下記式S1またはS2であり、残りは、水素、アルキル基、アルケニル(alkenyl)基またはアリール(aryl)基であってもよく、上記式HIにおいて、Mは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐であり、上記式IIは、酸素のメタ位置で直鎖もしくは分岐鎖のC1‐C10アルキル基で置換されてもよい。)
[化S1]
‐(CH2z‐SiR123
[化S2]
‐CONH(CH2z‐SiR123
(上記式S1及びS2において、R1〜R3のうち少なくとも1つは炭素数1〜10アル
コキシ基であり、残りは炭素数1〜10アルキル基であって、上記アルキル基及びアルコキシ基は直鎖もしくは分岐鎖であり、zは3〜10の整数である。)
本発明による新しいアルコキシシリル化合物を含む熱硬化性アルコキシシリル組成物は、複合体で向上した耐熱特性、すなわち、アルコキシシリル組成物のCTEが減少し、ガラス転移温度を示さない(以下、「Tgレス(Tg‐less)」という)効果を奏する。さらに、本発明によるアルコキシシリル化合物を含む硬化物は、アルコキシシリル基によって優れた難燃性を示す。
温度変化による実施例34と比較例1の寸法変化を示すグラフである。 温度変化による実施例1と比較例1の寸法変化を示すグラフである。 温度変化による実施例46の寸法変化を示すグラフである。 実施例1と比較例1の複合体のストリップが燃焼したことを示す写真である。
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
本発明は、アルコキシシリル組成物の硬化による複合体で改善された耐熱特性、具体的には、低いCTE及びTgレス(Tg‐less)、及び/または硬化物で優れた難燃性を有する新しい熱硬化性アルコキシシリル化合物、それを含むアルコキシシリル組成物、その硬化物、及びその用途、並びにその製造方法を提供する。
本発明において「複合体」とは、アルコキシシリル化合物及び充填剤(繊維及び/または粒子)を含む組成物の硬化物を意味する。本発明において「硬化物」とは、アルコキシシリル化合物を含む組成物の硬化物を意味し、アルコキシシリル化合物とともに、硬化触媒、充填剤、エポキシ化合物、硬化剤、硬化触媒、及びその他の添加剤からなる群から選択される少なくとも1種を任意に含む、何れかのアルコキシシリル化合物を含む組成物の硬化物を意味する。また、上記硬化物は半硬化物を含むことができる。通常、無機粒子や繊維が補強された硬化物のみを複合体と言うため、硬化物は複合体よりも広い意味を有するが、無機粒子や繊維が補強された硬化物は複合体と同一の意味として理解されることができる。
以下、本発明の一実施形態で提供される熱硬化性アルコキシシリル化合物、それを含む組成物、硬化物、及びその用途、並びにアルコキシシリル化合物の製造方法についてより詳細に説明する。
1.アルコキシシリル化合物
本発明の一実施形態によると、下記式AI〜IIからなる群から選択され、少なくとも2つ以上のアルコキシシリル基を有するアルコキシシリル化合物が提供される。
(上記式AI〜DIの置換基a及びbは、それぞれ独立して、下記式S1、S2、水素、及びC110アルケニル(alkenyl)基からなる群から選択され、置換基c〜fは、それぞれ独立して、下記式S1、水素、C110アルキル基、C110アルケニル(alkenyl)基及びC630アリール(aryl)基からなる群から選択され、上記a〜fのうち少なくとも2つの置換基は、下記式S1及びS2からなる群から選択され;
上記式AIにおいて、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐であってもよく;
上記式EI〜IIにおいて、置換基g〜jのうち2つ以上は下記式S1及びS2からなる群から選択され、残りは、水素、C110アルキル基、C110アルケニル(alkenyl)基またはC630アリール(aryl)基であってもよく;
上記式HIにおいて、Mは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐であり;
上記式IIは、酸素のメタ位置で直鎖もしくは分岐鎖のC1‐C10アルキル基で置換されてもよく、
[化S1]
‐(CH2z‐SiR123
[化S2]
‐CONH(CH2z‐SiR123
上記式S1及びS2において、R1〜R3のうち少なくとも1つは炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシ基であり、残りは炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であり、zは3〜10の整数である。より好ましくは、上記R1〜R3のうち少なくとも1つは炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシ基であり、さらに好ましくは、上記R1〜R3のうち少なくとも1つは炭素数1または2のアルコキシである。
本明細書において、「アルコキシ」は、‐OR(Rはアルキル)である1価基であって、これは直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。また、環状であっても非環状であってもよい。さらに、N、O、S、またはPなどのヘテロ原子を有しても有しなくてもよい。
本明細書において、「アルキル」は、炭素数がC1〜C10である1価(monovalent)の炭化水素基のことであって、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。また、環状であっても非環状であってもよい。さらに、N、O、S、またはPなどのヘテロ原子を有しても有しなくてもよい。
本明細書において、「アルケニル」は、1つ以上の二重炭素‐炭素結合を有するアルキル基のことであって、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。また、環状であっても非環状であってもよい。さらに、N、O、S、またはPなどのヘテロ原子を有しても有しなくてもよい。特に限定しないが、アルケニルの炭素数はC3〜C10であってもよく、後述の‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)も上記アルケニルに含まれ得る。
本明細書において、「アリール(aryl)」は、芳香族炭化水素の核から1つの水素原子を除去した残基のことであって、特に限定しないが、炭素数はC6〜C30であり、例えば、C6〜C15であってもよい。また、単環であっても多環であってもよい。
本発明による具体的なアルコキシシリル化合物は、例えば、上記式AI〜DIからなる群から選択され、置換基a及びbのうち少なくとも1つが水素であり、置換基c〜fのうち少なくとも2つが式S1である、アルコキシシリル化合物であることができる。
本発明による具体的なアルコキシシリル化合物のさらに他の例は、上記式EI〜GIからなる群から選択され、置換基g〜jのうち少なくとも1つが水素であり、少なくとも2つが式S1及び式S2からなる群から選択される、アルコキシシリル化合物であることができる。
2.アルコキシシリル化合物の組成物
本発明のさらに他の実施形態によると、上記本発明の何れかの実施形態による上記式AI〜IIからなる群から選択される少なくとも1種のアルコキシシリル化合物を含む組成物が提供される。
上記本発明で提供される何れかの組成物は、電子材料用、例えば、これに限定されるものではないが、半導体基板、封止材料(パッケージング材料)、フィルム、プリント配線板などの電子部品用途、接着剤、塗料、複合材料などの各種用途に用いられることができる。また、上記本発明で提供される何れかの組成物は、硬化性組成物及び/または無機材料を含む硬化性組成物であることができる。
従来技術では、アルコキシシリル化合物が無機粒子表面処理剤、添加剤(additives)、ゾルゲル反応によるシリカもしくは有無機ハイブリッドの製造などに用いられていたが、本発明のアルコキシシリル化合物は、熱硬化性バインダーとして用いられる点で、従来の技術と区別され得る。すなわち、このような組成物に含まれた本発明のアルコキシシリル化合物は、熱硬化反応が可能なモノマーまたはバインダーとして作用するものであって、これに限定されるものではないが、例えば、硬化時にイミダゾール硬化剤またはノボラック硬化剤などによって反応させることができる。
本発明の上述及び後述の何れかの実施形態によるアルコキシシリル化合物の組成物は、アルコキシシリル化合物として、本発明の何れかの実施形態によって提供される上記式AI〜IIからなる群から選択される少なくとも1種のアルコキシシリル化合物(以下、「本発明のアルコキシシリル化合物」ともいう)を含むアルコキシシリル化合物の組成物を意味すると理解されるべきであり、アルコキシシリル化合物の組成物にさらに含まれ得る触媒、無機材料(充填剤)(例えば、無機粒子及び/または繊維)、その他の添加剤の種類、配合比などを限定するものではない。
さらに、本発明の一実施形態によると、上記の本発明の何れかの実施形態による上記式AI〜IIからなる群から選択される少なくとも1種のアルコキシシリル化合物及び無機材料(充填剤)(例えば、無機粒子及び/または繊維)を含むアルコキシシリル化合物の組成物(以下、「複合組成物」という)が提供される。上記複合組成物は、上記式AI〜IIからなる群から選択される少なくとも1種のアルコキシシリル化合物と充填剤を含むアルコキシシリル化合物の組成物が含まれるものであると理解されるべきであり、アルコキシシリル化合物の組成物にさらに含まれ得る触媒、無機材料(充填剤)(例えば、無機粒子及び/または繊維)、その他の添加剤の種類、配合比などを限定するものではない。
上記複合組成物だけでなく、上述及び後述の本発明の何れかの実施形態による組成物に、無機材料である充填剤として無機粒子及び/または繊維をさらに含むことができる。
無機粒子としては、従来、有機樹脂の熱膨張係数を減少させるために用いられると知られている何れかの無機粒子が用いられることができ、これに限定されるものではないが、シリカ(例えば、溶融シリカ及び結晶性シリカを含む)、ジルコニア、チタニア、アルミナ、窒化ケイ素及び窒化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属酸化物、T‐10型シルセスキオキサン、ラダー(ladder)型シルセスキオキサン、及びかご型シルセスキオキサンからなる群から選択される少なくとも1種が用いられることができる。上記無機粒子は、単独で用いられてもよく、2種以上の混合物として用いられてもよい。
無機粒子を特に多量配合する場合には、溶融シリカを用いることが好ましい。溶融シリカとしては、破砕状や球状の何れも使用可能であるが、溶融シリカの配合量を高め、且つ成形材料の溶融粘度の上昇を抑制するためには、球状のものを用いることが好ましい。
上記無機粒子としては、これに限定されるものではないが、複合体の使用用途、具体的には、無機粒子の分散性などを考慮して、粒子サイズが0.5nm〜数十μm(例えば、50μm〜100μm)の無機粒子が用いられることができる。無機粒子はエポキシ化合物に分散されるため、粒子サイズによる分散性の差によって、上記のサイズの無機粒子がともに用いられることが好ましい。さらに、無機粒子の配合量を高めるためには、無機粒子の粒子分布をより広くして配合することが好ましい。
本発明の一実施形態によるアルコキシシリル化合物の組成物において、上記アルコキシシリル化合物に対して添加される無機粒子は、アルコキシシリル複合体のCTEの減少及
び適用時に求められる適正粘度及び用途に応じて適宜添加することができる。無機粒子の含量は、アルコキシシリル化合物の組成物の全固形分を基準として5wt%〜95wt%、例えば、5wt%〜90wt%、例えば、10wt%〜90wt%、例えば、30wt%〜95wt%、例えば、30wt%〜90wt%、例えば、5wt%〜60wt%、例えば、10wt%〜50wt%であることができる。
より具体的に、一例として、アルコキシシリル化合物の組成物が半導体の封止材などに用いられる場合、これに限定されるものではないが、CTE値と材料加工性を考慮して、無機粒子の含量は、例えば、アルコキシシリル化合物の組成物の全固形分に対して30wt%〜95wt%、例えば、30wt%〜90wt%であることができる。また、一例として、アルコキシシリル化合物の組成物が半導体基板などに用いられる場合には、基板のCTE値と強度などを考慮して、無機粒子の含量は、例えば、アルコキシシリル化合物の組成物の全固形分に対して5wt%〜60wt%、例えば、10wt%〜50wt%であることができる。
一方、繊維が無機材料として用いられる場合には、熱硬化性樹脂の技術分野において一般的に用いられる何れかの種類及び寸法の繊維が用いられることができる。
繊維としては、これに限定されるものではないが、従来、有機樹脂硬化物の物性を改善するために用いられる通常の何れかの繊維が用いられることができる。具体的には、ガラス繊維、有機繊維、またはこれらの混合物が用いられることができる。また、本明細書で用いられた用語「ガラス繊維」は、ガラス繊維だけでなく、ガラス繊維織布、ガラス繊維不織布などを含む意味で用いられる。これに限定されるものではないが、ガラス繊維としては、Eガラス繊維、Tガラス繊維、Sガラス繊維、NEガラス繊維、Dガラス繊維、石英ガラス繊維などのガラス繊維が挙げられ、例えば、EまたはTガラス繊維が挙げられる。有機繊維としては、これに特に限定されるものではないが、液晶ポリエステル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、全芳香族繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、ナイロン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエーテルスルホン繊維、ポリビニリデンフルオライド繊維、ポリエチレンスルフィド繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維からなる群から選択される少なくとも1種が単独で用いられてもよく、2種以上がともに用いられてもよい。
本発明による何れかのアルコキシシリル化合物の組成物において、充填剤として繊維が用いられる場合、繊維の含量は、アルコキシシリル化合物の組成物の全固形分に対して10wt%〜90wt%、例えば、30wt%〜70wt%、また例えば、35wt%〜65wt%であることができる。一方、繊維を含むアルコキシシリル化合物の組成物において、通常、繊維を除いた固形分部分はレジン成分と称され、この際、繊維を含むアルコキシシリル化合物の組成物において繊維以外の量はレジン成分の量である。したがって、レジン含量は10wt%〜90wt%、例えば、30wt%〜70wt%、また例えば、35wt%〜65wt%であることができる。繊維の含量が上記範囲であることが、耐熱性の向上及び加工性の点で好ましい。上記アルコキシシリル化合物の組成物の全固形分は、アルコキシシリル化合物の組成物を構成する成分のうち溶媒及びその他の液体物質を除いたアルコキシシリル化合物の組成物の構成成分の重量の和を意味する。
さらに、上記繊維を含む何れかのアルコキシシリル化合物の組成物には、また、必要に応じて、無機粒子がさらに含まれることができる。この際、無機粒子は物性向上及び工程性を考慮して、全レジン含量の重量を基準として1wt%〜70wt%範囲の量で配合されることができる。この際、使用可能な無機粒子の種類は特に限定されず、この技術分野において公知の何れかの無機粒子が用いられることができ、例えば、上記の無機粒子の種類が用いられることができる。
さらに、本発明によると、上記本発明のアルコキシシリル化合物及びエポキシ化合物を含むアルコキシシリル化合物の組成物が提供され、この技術分野において、アルコキシシリル化合物の組成物、硬化物及び/または複合体は、それらの適用先及び/または用途に応じて、種々の通常のエポキシ化合物がともに用いられることができる。したがって、本発明の上述及び後述の何れかの実施形態によるアルコキシシリル化合物の組成物は、本発明の何れかの実施形態による上記式AI〜IIからなる群から選択される少なくとも1種のアルコキシシリル化合物だけでなく、従来この技術分野において公知の何れかの種類のエポキシ化合物(以下、「従来のエポキシ化合物」ともいう)をさらに含むことができる。
上記従来のエポキシ化合物は、特に限定されるものではないが、従来この技術分野において公知の何れかのエポキシ化合物であることができ、例えば、グリシジルエーテル系エポキシ化合物、グリシジル系エポキシ化合物、グリシジルアミン系エポキシ化合物、グリシジルエステル系エポキシ化合物、ゴム変性エポキシ化合物、脂肪族ポリグリシジル系エポキシ化合物及び脂肪族グリシジルアミン系エポキシ化合物からなる群から選択される少なくとも1種であることができる。さらに、上記従来のエポキシ化合物は、コア構造として、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェニル、ナフタレン、ベンゼン、チオジフェノール、フルオレン(fluorene)、アントラセン、イソシアヌレート、トリフェニルメタン、1,1,2,2‐テトラフェニルエタン、テトラフェニルメタン、4,4’‐ジアミノジフェニルメタン、アミノフェノールシクロ脂肪族、またはノボラックユニットを有するグリシジルエーテル系エポキシ化合物、グリシジル系エポキシ化合物、グリシジルアミン系エポキシ化合物、グリシジルエステル系エポキシ化合物、ゴム変性エポキシ化合物、脂肪族ポリグリシジル系エポキシ化合物及び脂肪族グリシジルアミン系エポキシ化合物からなる群から選択される少なくとも1種であることができる。
例えば、上記従来のエポキシ化合物は、コア構造として、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェニル、ナフタレン、またはフルオレンを有する、グリシジルエーテル系エポキシ化合物、グリシジル系エポキシ化合物、グリシジルアミン系エポキシ化合物、グリシジルエステル系エポキシ化合物、ゴム変性エポキシ化合物、脂肪族ポリグリシジル系エポキシ化合物及び脂肪族グリシジルアミン系エポキシ化合物からなる群から選択される少なくとも1種であることができる。
これに限定されるものではないが、例えば、本発明の一実施形態による何れかのアルコキシシリル化合物の組成物は、アルコキシシリル化合物の全重量を基準として、本発明の何れかの実施形態によるアルコキシシリル化合物1〜99wt%及び従来のエポキシ化合物1〜99wt%;例えば、本発明のアルコキシシリル化合物10〜90wt%及び従来のエポキシ化合物10〜90wt%;例えば、本発明のアルコキシシリル化合物30〜99wt%及び従来のエポキシ化合物1〜70wt%、例えば、本発明のアルコキシシリル化合物50〜99wt%及び従来のエポキシ化合物1〜50wt%、例えば、本発明のアルコキシシリル化合物10〜100wt%未満及び従来のエポキシ化合物0超過〜90wt%;例えば、本発明のアルコキシシリル化合物30〜100wt%未満及び従来のエポキシ化合物0超過〜70wt%;例えば、本発明のアルコキシシリル化合物50〜100wt%未満及び従来のエポキシ化合物0超過〜50wt%を含むことができる。
より具体的に、エポキシ化合物が混合された上記組成物の場合、アルコキシシリル化合物のアルコキシ基と上記エポキシ化合物のエポキシ基とのモル比は、0.1〜10:1であることが好ましく、0.2〜1:1であることがより好ましい。上記アルコキシシリル化合物のアルコキシ基のモル比がエポキシ化合物のエポキシ基1モル当たり0.1モル未
満となる含量で含まれる場合には、アルコキシシリル化合物による耐熱特性の向上効果が得られない恐れがあり、10モルを超えて含まれる場合には、エポキシが含まれた硬化物の硬化度が十分ではない恐れがあるという問題がある。
上記エポキシ化合物を含むアルコキシシリル化合物の組成物は、例えば、下記式AI〜CIからなる群から選択されるアルコキシシリル化合物及びエポキシ化合物を含む組成物であることができる。
(この際、上記Yは、‐CH2‐または‐C(CH32‐であり、
上記c〜fは水素であり、
上記a及びbは、それぞれ下記式S1及びS2からなる群から選択され、
[化S1]
‐(CH2z‐SiR123
[化S2]
‐CONH(CH2z‐SiR123
上記式S1及びS2において、R1〜R3は炭素数1または2の直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシ基であり、zは3〜10の整数である。)
上記アルコキシシリル化合物の組成物の他の具体例は、下記式AI〜CIからなる群から選択されるアルコキシシリル化合物及びエポキシ化合物を含む組成物である。
(この際、上記Yは、‐CH2‐または‐C(CH32‐であり、
上記a及びbは水素であり、
上記c〜fのうち少なくとも2つは下記式S1であり、
[化S1]
‐(CH2z‐SiR123
上記式S1において、R1〜R3は炭素数1または2のアルコキシ基であり、zは3〜10の整数である。)
上記アルコキシシリル化合物の組成物の他の具体例は、下記式EI〜GIからなる群から選択されるアルコキシシリル化合物及びエポキシ化合物を含む組成物である。
この際、上記g〜jのうち少なくとも1つは水素であり、少なくとも2つは下記式S1及び式S2からなる群から選択され、
[化S1]
‐(CH2z‐SiR123
上記式S1において、R1〜R3は炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシ基であり、zは3〜10の整数であり、
[化S2]
‐CONH(CH2z‐SiR123
上記式S2において、R1〜R3のうち少なくとも1つは炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシ基であり、残りは炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であり、zは3〜10の整数である、アルコキシシリル化合物の組成物である。
上記アルコキシシリル化合物の組成物は、硬化剤をさらに含むことができる。上記硬化剤としては、エポキシ化合物に対する硬化剤として一般に知られている何れの硬化剤も使用可能であり、これに特に限定されるものではないが、例えば、イミダゾール、アミン、フェノール樹脂、酸無水物などが用いられることができる。
より具体的に、これに限定されるものではないが、イミダゾール硬化剤としては、2‐メチルイミダゾール(2MZ)、2‐ウンデシルイミダゾール、2‐エチル‐4‐メチルイミダゾール(2E4M)、2‐フェニルイミダゾール、1‐(2‐シアノエチル)‐2‐アルキルイミダゾール、2‐ヘプタデシルイミダゾール(heptadecylimidazole、2HDI)などのイミダゾール、潜在性イミダゾールなどが挙げられる。
これに限定されるものではないが、アミン硬化剤としては、脂肪族アミン、指環族アミン、芳香族アミン、その他のアミン、及び変性ポリアミンを用いてもよく、2つ以上の第一級アミン基を含むアミン化合物を用いてもよい。上記アミン硬化剤の具体例としては、4,4’‐メチレンジアニリン(ジアミノジフェニルメタン)(4,4’‐Methylenedianiline(Diamino diphenyl methane、DAMまたはDDM))、ジアミノジフェニルスルホン(Diamino diphenyl
sulfone、DDS)、m‐フェニレンジアミン(m‐phenylenediamine)からなる群から選択される1種以上の芳香族アミン、ジエチレントリアミン(Diethylenetriamine、DETA)、ジエチレンテトラアミン(Diethylene tetramine)、トリエチレンテトラアミン(Triethylene Tetramine、TETA)、m‐キシレンジアミン(m‐Xylenediamine、MXDA)、メタンジアミン(Methanediamine、MDA)、N,N’‐ジエチレンジアミン(N,N’‐Diethylenediamine、N
,N’‐DEDA)、テトラエチレンペンタアミン(Tetraethylenepentaamine、TEPA)及びヘキサメチレンジアミン(Hexamethylenediamine)からなる群から選択される少なくとも1種以上の脂肪族アミン、イソホロンジアミン(Isophorone Diamine、IPDI)、N‐アミノエチルピペラジン(N‐Aminoethyl piperazine、AEP)、ビス(4‐アミノ3‐メチルシクロヘキシル)メタン(Bis(4‐Amino 3‐Methylcyclohexyl)Methane、Larominc 260)からなる群から選択される1種以上の指環族アミン、ジシアンジアミド(DICY)などのその他のアミン、ポリアミド系、エポキシド系などの変性アミンが挙げられる。
これに限定されるものではないが、フェノール硬化剤の例としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、キシレンノボラック樹脂、トリフェニルノボラック樹脂、ビフェニルノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン系ノボラック樹脂、フェノールp‐キシレン、ナフタレン系フェノールノボラック樹脂、トリアジン系化合物などが挙げられる。
これに限定されるものではないが、酸無水物硬化剤の例としては、ドデセニルコハク酸無水物(dodecenyl succinic anhydride、DDSA)、ポリアゼライン酸ポリ無水物(poly azelaic poly anhydride)などの脂肪族無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物(hexahydrophthalic anhydride、HHPA)、メチルテトラヒドロフタル酸無水物(methyl tetrahydrophthalic anhydride、MeTHPA)、メチルナジック酸無水物(methylnadic anhydride、MNA)などの指環族無水物、トリメリット酸無水物(Trimellitic Anhydride、TMA)、ピロメリット酸二無水物(pyromellitic acid dianhydride、PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(benzophenonetetracarboxylic dianhydride、BTDA)などの芳香族無水物、テトラブロモフタル酸無水物(tetrabromophthalic anhydride、TBPA)、クロレンド酸無水物(chlorendic anhydride)などのハロゲン系無水物などが挙げられる。
硬化剤の含量は、熱硬化性複合体の目的とする硬化度の範囲に応じて、アルコキシシリル化合物のアルコキシシリル基の濃度を基準として調節でき、もしエポキシ化合物がさらに組成物に含まれる場合には、アルコキシシリル基とエポキシ基の濃度を基準として硬化剤の含量を調節することができる。例えば、イミダゾール硬化剤を使用する場合には、(アルコキシシリル化合物+エポキシ化合物)の重量を基準として0.1〜7phrを使用し、フェノール硬化剤を使用する場合には、フェノール硬化剤とアルコキシシリル基またはフェノール硬化剤とアルコキシシリル基及びエポキシ基の当量反応において、(アルコキシシリル基+エポキシ)当量/フェノール当量の比が0.5〜10となるように、例えば、0.8〜5.0となるように硬化剤の含量を調節して使用することが好ましい。
イミダゾール硬化剤とフェノール硬化剤の場合を例として硬化剤の配合量について説明したが、アミン、酸無水物など、本明細書に別に記載していないエポキシ化合物の硬化に使用可能な何れかの硬化剤も、所望の硬化度範囲に応じて、アルコキシシリル組成物中の全アルコキシシリル基またはアルコキシシリル基とエポキシ基の濃度を基準として、熱硬化性官能基と硬化剤の反応性官能基の化学反応式に応じて化学量論的量で適宜配合して使用することができ、これは当該技術分野の熟練者が適宜調節することができる事項である。
上記のアルコキシシリル化合物と、それに任意に添加可能なエポキシ化合物との硬化反
応を促進するために、任意の硬化促進剤(触媒)が必要に応じてさらに含まれることができる。硬化促進剤(触媒)としては、この技術分野においてエポキシ組成物の硬化に一般に用いられると知られている何れかの触媒が使用可能であり、これに限定されるものではないが、例えば、イミダゾール系、第三級アミン系、第四級アンモニウム系、有機酸塩系、ルイス酸、リン化合物系などの硬化促進剤が使用できる。
より具体的に、例えば、2‐メチルイミダゾール(2MZ)、2‐ウンデシルイミダゾール、2‐エチル‐4‐メチルイミダゾール(2E4M)、2‐フェニルイミダゾール、1‐(2‐シアノエチル)‐2‐アルキルイミダゾール、2‐ヘプタデシルイミダゾール(heptadecylimidazole、2HDI)などのイミダゾール系;ベンジルジメチルアミン(benzyl dimethyl amine、BDMA)、トリスジメチルアミノメチルフェノール(DMP‐30)、トリエチレンジアミンなどの第三級アミン系化合物;テトラブチルアンモニウムブロミドなどの第四級アンモニウム塩;ジアザビシクロウンデセン(DBU)やDBUの有機酸塩;トリフェニルホスフィン、リン酸エステルなどのリン系化合物、BF3‐モノエチルアミン(BF3‐MEA)などのルイス酸などが挙げられ、これに限定されるものではない。これら硬化促進剤は、これらのマイクロカプセルコーティング及び錯塩形成などにより潜在化されたものを用いてもよい。これらは硬化条件に応じて単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記硬化促進剤の配合量は、特に限定されるものではなく、この技術分野において一般に用いられる量で配合して用いることができる。例えば、上記エポキシ化合物に対して0.1〜10phr(parts per hundred resin、エポキシ化合物100重量部当たりの重量部)、例えば、0.2〜5phrであることができる。硬化促進剤は、硬化反応促進効果及び硬化反応速度制御の点で、上記含量で用いられることが好ましい。上記硬化促進剤を上記範囲の配合量で用いることで、硬化が速く進行され、作業処理量の向上が期待できる。
上記アルコキシシリル化合物の組成物には、必要に応じて、硬化物の物性を損なわない範囲で、通常配合される離型剤、表面処理剤、難燃剤、可塑剤、抗菌剤、レベリング剤、消泡剤、着色剤、安定剤、カップリング剤、粘度調節剤、希釈剤などのその他の添加剤がさらに配合されてもよい。
上述のように、本明細書で用いられた用語「アルコキシシリル組成物」は、本発明のアルコキシシリル化合物だけでなく、必要に応じて、他の構成成分、例えば、触媒、無機材料(充填剤)(例えば、無機粒子及び/または繊維)、その他の通常のエポキシ化合物、溶媒などのように、この技術分野で必要に応じて配合されるその他の添加剤を含み得ると理解されるべきであり、通常、アルコキシシリル化合物の組成物における溶媒は、組成物の工程性などを考慮して、固形分含量及び/または粘度を適宜調節するように任意に用いられることができる。
上記本発明の何れかの実施形態で提供される何れかのアルコキシシリル化合物の組成物は、電子材料用に用いられることができる。電子材料は、これに限定されるものではないが、例えば、半導体用基板、フィルム、プリプレグ、または本発明の組成物からなる基材層に金属層が配置された積層板、基板、封止材料(パッケージング材料)、ビルドアップフィルム、ビルドアップ基板などだけでなく、プリント配線板などの電子部品である。また、接着剤、塗料及び複合材料などの各種用途に適用されることができる。本発明のさらに他の実施形態によると、本発明のアルコキシシリル化合物を含む何れかの組成物を含む、またはそれからなる電子材料が提供される。さらに、上記電子材料を含むか、それからなる半導体装置がさらに提供される。具体的に、上記半導体装置は、本発明のアルコキシシリル化合物を含む組成物を含むか、またはそれからなるプリント配線板を含む(例えば
、半導体素子が搭載)半導体装置及び/または半導体パッケージング材料を含む半導体装置であることができる。また、上記本発明の何れかの実施形態で提供される何れかのアルコキシシリル化合物の組成物を含むか、それからなる硬化物、接着剤、塗料または複合材料が提供される。この際、本発明のアルコキシシリル化合物の組成物に含まれるアルコキシシリル化合物は、添加剤として使用されるものではなく、硬化用モノマー及び/またはバインダーとして作用するものである。
本発明のさらに他の実施形態によると、上記の本発明の何れかの実施形態で提供されるアルコキシシリル化合物の組成物を含むか、またはそれからなる硬化物が提供される。上記本発明の何れかの実施形態で提供されるアルコキシシリル化合物の組成物は、実際に適用される場合、例えば、電子材料などに適用される場合、硬化物として用いられる。この技術分野においてアルコキシシリル化合物と無機成分の充填剤を含む組成物の硬化物は、通常、複合体と称される。
上記の本発明の一実施形態で提供されるアルコキシシリル化合物は、複合体で優れた耐熱特性及び/または硬化物で優れた難燃性を示す。
具体的に、本発明の複合体は、低いCTE、例えば、15ppm/℃以下、例えば、12ppm/℃以下、例えば、10ppm/℃以下、例えば、8ppm/℃以下、例えば、6ppm/℃以下、例えば、4ppm/℃以下のCTEを示す。CTE値が小さいほど優れた物性を有し、CTEの下限値は特に限定されない。
例えば、本発明による何れかのアルコキシシリル化合物、無機材料としてガラス繊維、例えば、E‐ガラス及び/またはT‐ガラス繊維を含み、レジン含量が15wt%〜60wt%(レジン含量には、無機粒子が含まれても、含まれなくてもよい)である複合体は、例えば、10ppm/℃以下、例えば、8ppm/℃以下、例えば、6ppm/℃以下、例えば、4ppm/℃以下のCTEを示す。
また、例えば、本発明による何れかのアルコキシシリル化合物、無機材料として無機粒子、例えば、シリカ粒子を60〜80wt%、例えば、70〜80wt%含む複合体は、20ppm/℃以下、例えば、15ppm/℃以下、例えば、10ppm/℃以下、例えば、8ppm/℃以下、例えば、6ppm/℃以下、例えば、4ppm/℃以下のCTEを示す。
また、本発明による複合体(無機材料を含む硬化物)は、Tgが100℃より高く、またはTgレスであることができる。Tg値が大きいほど優れた物性を有し、Tgの上限値は特に限定されない。また、従来の熱硬化性樹脂は、Tg前後のCTE値において非常に大きい差を示す。しかし、本発明の組成物はTgレスの特性を有するため、測定温度区間でCTEの変化がないか、またはTgが観察される場合にも、Tg以上の温度での物性の低下が従来の熱硬化樹脂に比べて著しく減少する。
一方、本発明によるアルコキシシリル化合物自体の硬化物(無機材料を含まない硬化物)は、50ppm/℃〜100ppm/℃のCTEを有する。
本明細書において範囲として示した値は、特に他に言及しない限り、範囲の下限値と上限値だけでなく、範囲内の何れかの下部範囲及びその範囲に属する全ての数をそれぞれ含むことを意味する。例えば、C1〜C10は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10の全てを含むと理解されるべきである。また、数値範囲のうち、下限値または上限値が規定されていないものは、数値が小さいほど、または大きいほど好ましいものであり、これらの限界を特に規定せず、何れかの値を含むと理解されるべきで
ある。例えば、4ppm/℃以下のCTEは、4、3.5、3、2.7、2、1.4、1、0.5ppm/℃など、範囲内の全ての値を含むと理解されるべきである。
特に、本発明によるアルコキシシリル化合物の組成物において、アルコキシシリル化合物とエポキシ化合物を含む組成物の場合、シリル基及びエポキシ基を同時に有するシリルエポキシに比べて合成が容易であるため、工程の効率化が可能である。
さらに、上記のようなアルコキシシリル化合物とエポキシ化合物を含むアルコキシシリル化合物の組成物において、この際、上記アルコキシシリル化合物が少なくとも1つの‐OH基を含む場合には、OH基を含まないアルコキシシリル化合物の組成物に比べてCTEがより低くなるとともに、ガラス転移温度を示さないTgレス特性が観察されて、このように耐熱特性がより向上することを観察することができる。
この際、含まれ得るアルコキシシリル化合物は、上記式AI〜DIからなる群から選択され、置換基a及びbのうち少なくとも1つは水素であり、置換基c〜fのうち少なくとも2つは式S1であることができる。
また、本発明による具体的なアルコキシシリル化合物は、例えば、上記式EI〜GIからなる群から選択され、置換基g〜jのうち少なくとも1つは水素であり、少なくとも2つは式S1及び式S2からなる群から選択されるアルコキシシリル化合物であることができる。
3.アルコキシシリル化合物の製造方法
上記式AI〜IIの本発明によるアルコキシシリル化合物は次の方法により製造されることができ、それぞれの方法について具体的に説明する。
イ.2つ以上の‐CONH(CH2z‐SiR123の置換基と未反応置換基を有するアルコキシシリル化合物の製造方法(方法1)
2つ以上の‐CONH(CH2z‐SiR123の置換基と未反応置換基を有する式AI〜IIのアルコキシシリル化合物は、下記式AS〜ISの何れか1つの出発物質と下記式M1のイソシアネート系アルコキシ基シランを任意の塩基及び任意の溶媒の存在下で反応させることで得ることができる。
[出発物質]
(上記式AS〜DSにおいて、置換基k及びlはそれぞれ水素であり、m〜pは、それぞれ独立して、水素、C110アルキル基、C110アルケニル(alkenyl)基及びC630アリール(aryl)からなる群から選択され、上記式ASにおいて、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐であり、
上記式ES〜ISにおいて、置換基q〜tのうち2つ以上は水素であり、残りは、独立して、C110アルキル基、C110アルケニル(alkenyl)基及びC630アリール(aryl)基から選択されてもよく、
上記式HSにおいて、Mは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐であり、
上記式ISは、酸素のメタ位置で直鎖もしくは分岐鎖のC1‐C10アルキル基で置換されてもよい。)
[化M1]
OCN‐(CH2z‐SiR123
(上記式において、R1〜R3のうち少なくとも1つはC1‐C10の直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシ基であり、残りは直鎖もしくは分岐鎖のC1‐C10アルキル基であり、
zは3〜10の整数である。)
[最終生成物]
(上記式AI〜DIの置換基a及びbはそれぞれ下記式S2であり、置換基c〜fは、それぞれ独立して、水素、C110アルキル基、C110アルケニル(alkenyl)基及びC630アリール(aryl)基からなる群から選択され、
上記式AIにおいて、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐であり、
上記式EI〜IIにおいて、置換基g〜jのうち2つ以上は下記式S2であり、残りは、それぞれ独立して、水素、C110アルキル基、C110アルケニル(alkenyl)基及びC630アリール(aryl)基からなる群から選択され、
上記式HIにおいて、Mは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐であり、
上記式IIは、酸素のメタ位置で直鎖もしくは分岐鎖のC1‐C10アルキル基で置換されてもよい。)
[化S2]
‐CONH(CH2z‐SiR123
(上記式S2において、R1〜R3のうち少なくとも1つは炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシ基であり、残りは炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であり、zは3〜10の整数である。)
上記方法1では、AS〜ISの何れか1つの出発物質のヒドロキシ基1当量に対して、上記式M1のイソシアネート系アルコキシ基シランが0.1〜5当量となるように、任意の塩基及び任意の溶媒の存在下で反応させることでアルコキシシリル化合物を製造することができる。また、このような反応は、15℃〜120℃で1〜72時間行うことができる。
上記方法1により、AS〜ISの何れか1つの出発物質のヒドロキシ基が‐CONH(CH2z‐SiR123で置換され、2つ以上のアルコキシシリル基と、残りの未反応置換基として水素、アルキル基、アルケニル(alkenyl)基またはアリール(aryl)基を有するアルコキシシリル化合物を製造することができる。
この際、使用可能な塩基の例としては、これに限定されるものではないが、例えば、K2CO3、Na2CO3、KHCO3、NaHCO3、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。これら塩基は、単独で用いられてもよく、2種以上がともに用いられてもよい。塩基は、上記出発物質のヒドロキシ基1当量に対して0.1当量〜5当量で用いることが反応効率の点で好ましい。
上記反応における溶媒は、必要に応じて任意に用いられることができる。例えば、第1段階反応において、別の溶媒がなくても、反応温度で反応物の粘度が反応の進行に適するのであれば、溶媒を用いなくてもよい。すなわち、溶媒がなくても反応物の混合及び撹拌が円滑に進行される程度に反応物の粘度が低くなると、別の溶媒を必要とせず、これは当業者が容易に判断することができる。溶媒を使用する場合に可能な溶媒としては、反応物を十分に溶解することができ、反応に如何なる悪影響も与えることなく、反応後に除去しやすいものであれば何れの有機溶媒も使用でき、特にこれに限定されるものではないが、例えば、トルエン、アセトニトリル、THF(tetra hydro furan)、MEK(methyl ethyl ketone)、DMF(dimethyl formamide)、DMSO(dimethyl sulfoxide)、メチレンクロリド(MC)などが使用できる。これら溶媒は、単独で用いられてもよく、2種以上がともに用いられてもよい。溶媒の使用量は特に限定されず、反応物が十分に溶解され、且つ反応に好ましくない影響を与えない範囲で適切な量で用いられることができ、この技術分野における技術者であれば、これを考慮して適宜選択することができる。
ロ.2つ以上の‐(CH2z‐SiR123の置換基と未反応置換基を有するアルコキシシリル化合物の製造方法(方法2)
2つ以上の‐(CH2z‐SiR123の置換基と未反応置換基を有するアルコキシシリル化合物は、下記式AS〜ISの何れか1つの出発物質と下記式M2のアルケニル化合物を任意の塩基及び任意の溶媒の存在下で反応させることで、下記式A1〜I1の何れか1つの中間生成物(1)を得る第1‐1段階と、上記中間生成物(1)と下記式M3のアルコキシ基シランを金属触媒及び任意の溶媒の存在下で反応させることで、下記式AI〜IIの何れか1つの最終生成物を得る第1‐2段階と、を行うことにより製造されることができる。
[出発物質]
(上記式AS〜DSにおいて、置換基k及びlはそれぞれ水素であり、m〜pは、それぞれ独立して、水素、C110アルキル基、C110アルケニル(alkenyl)基及びC630アリール(aryl)からなる群から選択され、
上記式ASにおいて、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐であり、
上記式ES〜ISにおいて、置換基q〜tのうち2つ以上は水素であり、残りは、それぞれ独立して、C110アルキル基、C110アルケニル(alkenyl)基及びC630アリール(aryl)基からなる群から選択され、
上記式HSにおいて、Mは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐であり、
上記式ISは、酸素のメタ位置で直鎖もしくは分岐鎖のC1‐C10アルキル基で置換されてもよい。)
[化M2]
X‐(CH2Z-2‐CH=CH2
(上記式M2において、Xは、Cl、Br、I、‐O‐SO2‐CH3、‐O‐SO2‐CF3、‐O‐SO2‐C64‐CF3、‐O‐SO2‐C64‐NO2または‐O‐SO2‐C64‐CH3であり、zは3〜10の整数である。)
[中間生成物(1)]
(上記式A1〜D1において、置換基k1及びl1はそれぞれ、‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)であり、置換基m1〜p1は、それぞれ独立して、水素、アルキル基、アルケニル基及びアリール(aryl)基からなる群から選択され、
上記式A1において、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐であり、
上記式E1〜I1において、置換基q1〜t1のうち2つ以上は、‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)であり、残りは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、アルケニル(alkenyl)基及びアリール(aryl)基からなる群から選択されてもよく、
上記式H1において、Mは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐であり、
上記式I1は、酸素のメタ位置で直鎖もしくは分岐鎖のC1‐C10アルキル基で置換されてもよい。)
[化M3]
HSiR123
(上記式M3において、R1〜R3のうち少なくとも1つはC1‐C10の直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシ基であり、残りは、それぞれ独立して、直鎖もしくは分岐鎖のC1‐C10アルキル基である。)
[最終生成物]
(上記式AI〜DIの置換基a及びbは下記式S1であり、置換基c〜fは、それぞれ独立して、式S1、水素、‐OH、C110アルキル基、C110アルケニル基及びC630アリール(aryl)基からなる群から選択されてもよく、
上記式AIにおいて、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐であり、
上記式EI〜IIにおいて、置換基g〜jのうち2つ以上は下記式S1であり、残りは、それぞれ独立して、水素、C110アルキル基、C110アルケニル基及びC630アリール(aryl)基からなる群から選択されてもよく、
上記式HIにおいて、Mは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐であり、
上記式IIは、酸素のメタ位置で直鎖もしくは分岐鎖のC1‐C10アルキル基で置換
されてもよい。)
[化S1]
‐(CH2z‐SiR123
(上記式S1において、R1〜R3のうち少なくとも1つは炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシ基であり、残りは炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であり、zは3〜10の整数である。)
上記第1‐1段階では、上記式AS〜ISの何れか1つの出発物質と上記式M2のアルケニル化合物を反応させることで、出発物質のヒドロキシ基が‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)で置換された中間生成物(1)を得る。
上記第1‐1段階では、出発物質のヒドロキシ基1当量に対して、上記式M2のアルケニル化合物の‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)が0.5〜10当量となるように添加して反応させ、15℃〜100℃で1〜120時間行うことで中間生成物(1)を得ることができる。
上記第1‐1段階で使用可能な塩基の例としては、これに限定されるものではないが、例えば、KOH、NaOH、K2CO3、Na2CO3、KHCO3、NaHCO3、NaH、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。これら塩基は、単独で用いられてもよく、2種以上がともに用いられてもよい。塩基は、上記出発物質のヒドロキシ基1当量に対して0.1当量〜5当量で用いることが反応効率の点で好ましい。
上記第1‐1段階における溶媒は、必要に応じて任意に用いられることができる。別の溶媒がなくても、反応温度で反応物の粘度が反応の進行に適するのであれば、溶媒を用いなくてもよい。すなわち、溶媒がなくても反応物の混合及び撹拌が円滑に進行される程度に反応物の粘度が低くなると、別の溶媒を必要とせず、これは当業者が容易に判断することができる。溶媒を使用する場合に可能な溶媒としては、反応物を十分に溶解することができ、反応に如何なる悪影響も与えることなく、反応後に除去しやすいものであれば何れの有機溶媒も使用でき、これに特に限定されるものではないが、例えば、トルエン、アセトニトリル、THF(tetra hydro furan)、MEK(methyl ethyl ketone)、DMF(dimethyl formamide)、DMSO(dimethyl sulfoxide)、メチレンクロリド(MC)、H2Oまたはアルコール類(メタノール、エタノール)などが使用できる。これら溶媒は、単独で用いられてもよく、2種以上がともに用いられてもよい。溶媒の使用量は特に限定されず、反応物が十分に溶解され、且つ反応に好ましくない影響を与えない範囲で適切な量で用いられることができ、この技術分野における技術者であれば、これを考慮して適宜選択することができる。
上記第1‐2段階では、中間生成物(1)と上記式M3のアルコキシ基シランを金属触媒及び任意の溶媒の存在下で反応させることで、中間生成物(1)のアルケニル基が下記式S1で置換された、下記式AI〜IIの最終生成物を得ることができる。上記中間生成物(1)のアルケニル基は、出発物質に存在していたアルケニル基だけでなく、上記式M2により置換された‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)も含む。上記第1‐2段階では、中間生成物(1)のアルケニル基とアルコキシシランが化学量論に従って当量比で反応するため、上記中間生成物(1)のアルケニル基1当量に対して上記式M3のアルコキシ基シランが1〜5当量となるように添加して反応させ、15℃〜120℃で1〜72時間行うことができる。
上記第1‐2段階反応における金属触媒としては、これに限定されるものではないが、例えば、PtO2またはH2PtCl6(Chloroplatinic acid)の白金触媒が使用できる。白金触媒は、中間生成物(1)のアルケニル基1当量に対して0.005〜0.05当量で用いることが反応効率の点で好ましい。
第1‐2段階反応における溶媒は、必要に応じて任意に用いられることができる。例えば、第1‐2反応段階において、別の溶媒がなくても、反応温度で反応物の粘度が反応の進行に適するのであれば、溶媒を用いなくてもよい。すなわち、溶媒がなくても反応物の混合及び撹拌が円滑に進行される程度に反応物の粘度が低くなると、別の溶媒を必要とせず、これは当業者が容易に判断することができる。溶媒を使用する場合に可能な溶媒としては、反応物を十分に溶解することができ、反応に如何なる悪影響も与えることなく、反応後に除去しやすいものであれば、何れの非プロトン性溶媒(aprotic solvent)も使用できる。これに限定されるものではないが、例えば、トルエン、アセトニトリル、THF(tetra hydro furan)、MEK(methyl ethyl ketone)、DMF(dimethyl formamide)、DMSO(dimethyl sulfoxide)、メチレンクロリド(MC)などが使用できる。これら溶媒は、単独で用いられてもよく、2種以上がともに用いられてもよい。溶媒の使用量は特に限定されず、反応物が十分に溶解され、且つ反応に好ましくない影響を与えない範囲で適切な量で用いられることができ、この技術分野における技術者であれば、これを考慮して適宜選択することができる。
ハ.2つ以上の‐CONH(CH2z‐SiR123の置換基、少なくとも1つ以上の‐(CH2z‐SiR123の置換基、及び未反応置換基を有するアルコキシシリル化合物の製造方法(方法3)
2つ以上の‐CONH(CH2z‐SiR123の置換基、少なくとも1つ以上の‐(CH2z‐SiR123の置換基、及び未反応置換基を有するアルコキシシリル化合物は、上記方法1で製造された2つ以上の‐CONH(CH2z‐SiR123の置換基と未反応置換基を有するアルコキシシリル化合物のうちヒドロキシ基を有し得る式EI〜IIの何れか1つに、さらに‐(CH2z‐SiR123の置換基を結合することで製造されることができる。
具体的に、上記方法1で製造されたアルコキシシリル化合物のうちヒドロキシ基を有し得る式EI〜IIの何れか1つと、下記式M2のアルケニル化合物を、任意の塩基及び任意の溶媒の存在下で反応させることで、上記ヒドロキシ基を‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)で置換する第1‐3段階と、上記第1‐3段階で置換された‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)を下記式M3のアルコキシ基シランと金属触媒及び任意の溶媒の存在下で反応させることで、下記式S1で置換する第1‐4段階と、を行うことにより製造されることができる。
[化M2]
X‐(CH2Z-2‐CH=CH2
(上記式において、Xは、Cl、BrまたはIのハライド、‐O‐SO2‐CH3、‐O‐SO2‐CF3、‐O‐SO2‐C64‐CF3、‐O‐SO2‐C64‐NO2または‐O‐SO2‐C64‐CH3であり、zは3〜10の整数である。)
[化M3]
HSiR123
(上記式において、R1〜R3のうち少なくとも1つはC1‐C10アルコキシ基であり、残りは直鎖もしくは分岐鎖のC1‐C10アルキル基であり、上記アルコキシ基及びアルキル基は直鎖または分岐鎖である。)
[化S1]
‐(CH2z‐SiR123
(上記式S1において、R1〜R3のうち少なくとも1つは炭素数1〜10アルコキシ基であり、残りは炭素数1〜10アルキル基であり、上記アルコキシ基及びアルキル基は測鎖または分岐鎖であり、zは3〜10の整数である。)
上記第1‐3段階では、ヒドロキシ基を有する式EI〜IIの何れか1つと上記式M2のアルケニル化合物を反応させることで、式EI〜IIの何れか1つのヒドロキシ基を‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)で置換させる。
上記第1‐3段階は、式EI〜IIの何れか1つのヒドロキシ基1当量に対して、上記式M2のアルケニル化合物の‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)が0.5〜10当量となるように添加して反応させ、15℃〜100℃で1〜120時間行うことができる。
上記第1‐3段階で使用可能な塩基の例としては、これに限定されるものではないが、例えば、KOH、NaOH、K2CO3、Na2CO3、KHCO3、NaHCO3、NaH、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。これら塩基は、単独で用いられてもよく、2種以上がともに用いられてもよい。塩基は、上記出発物質のヒドロキシ基1当量に対して0.1当量〜5当量で用いることが反応効率の点で好ましい。
上記第1‐3段階における溶媒は、必要に応じて任意に用いられることができる。別の溶媒がなくても、反応温度で反応物の粘度が反応の進行に適するのであれば、溶媒を用いなくてもよい。すなわち、溶媒がなくても反応物の混合及び撹拌が円滑に進行される程度に反応物の粘度が低くなると、別の溶媒を必要とせず、これは当業者が容易に判断することができる。溶媒を使用する場合に可能な溶媒としては、反応物を十分に溶解することができ、反応に如何なる悪影響も与えることなく、反応後に除去しやすいものであれば何れの有機溶媒も使用でき、これに特に限定されるものではないが、例えば、トルエン、アセトニトリル、THF(tetra hydro furan)、MEK(methyl ethyl ketone)、DMF(dimethyl formamide)、DMSO(dimethyl sulfoxide)、メチレンクロリド(MC)、H2Oまたはアルコール類(メタノール、エタノール)などが使用できる。これら溶媒は、単独で用いられてもよく、2種以上がともに用いられてもよい。溶媒の使用量は特に限定されず、反応物が十分に溶解され、且つ反応に好ましくない影響を与えない範囲で適切な量で用いられることができ、この技術分野における技術者であれば、これを考慮して適宜選択することができる。
上記第1‐4段階では、上記第1‐3段階で置換された‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)と上記式M3のアルコキシ基シランを金属触媒及び任意の溶媒の存在下で反応させることで、上記‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)が上記式S1で置換され、2つ以上の‐CONH(CH2z‐SiR123の置換基、少なくとも1つ以上の‐(CH2z‐SiR123の置換基、及び未反応置換基を有するアルコキシシリル化合物を得ることができる。上記第1‐4段階では、上記第1‐3段階で置換された‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)とアルコキシシランが化学量論に従って当量比で反応するため、上記第1‐3段階で置換された‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)1当量に対して、上記式M3のアルコキシ基シランが1〜5当量となるように添加して反応させ、15℃〜120℃で1〜72時間行うことができる。
上記第1‐4段階反応における金属触媒としては、これに限定されるものではないが、例えば、PtO2またはH2PtCl6(Chloroplatinic acid)の白金触媒が使用できる。白金触媒は、上記第1‐3段階で置換された‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)1当量に対して0.005〜0.05当量で用いることが反応効率の点で好ましい。
第1‐4段階反応における溶媒は、必要に応じて任意に用いられることができる。例えば、第1‐4段階において、別の溶媒がなくても、反応温度で反応物の粘度が反応の進行に適するのであれば、溶媒を用いなくてもよい。すなわち、溶媒がなくても反応物の混合及び撹拌が円滑に進行される程度に反応物の粘度が低くなると、別の溶媒を必要とせず、これは当業者が容易に判断することができる。溶媒を使用する場合に可能な溶媒としては、反応物を十分に溶解することができ、反応に如何なる悪影響も与えることなく、反応後に除去しやすいものであれば、何れの非プロトン性溶媒(aprotic solvent)も使用できる。これに限定されるものではないが、例えば、トルエン、アセトニトリル、THF(tetra hydro furan)、MEK(methyl ethyl ketone)、DMF(dimethyl formamide)、DMSO(dimethyl sulfoxide)、メチレンクロリド(MC)などが使用できる。これら溶媒は、単独で用いられてもよく、2種以上がともに用いられてもよい。溶媒の使用量は特に限定されず、反応物が十分に溶解され、且つ反応に好ましくない影響を与えない範囲で適切な量で用いられることができ、この技術分野における技術者であれば、これを考慮して適宜選択することができる。
ニ.2つ以上の(CH2z‐SiR123の置換基、少なくとも1つ以上の‐CONH(CH2z‐SiR123の置換基、及び未反応置換基を有するアルコキシシリル化合物の製造方法(方法4)
2つ以上の‐(CH2z‐SiR123の置換基、少なくとも1つ以上の‐CONH(CH2z‐SiR123の置換基、及び未反応置換基を有するアルコキシシリル化合物は、上記方法2で製造された2つ以上の‐(CH2z‐SiR123の置換基と未反応置換基を有するアルコキシシリル化合物のうちヒドロキシ基を有し得る式EI〜IIの何れか1つに、さらに‐CONH(CH2z‐SiR123の置換基を結合することで製造されることができる。
具体的に、上記方法2で製造されたアルコキシシリル化合物のうち、上記第1‐1段階でアルケニル基で置換されていないヒドロキシ基を有し得る式EI〜IIの何れか1つと、下記式M1のイソシアネート系アルコキシ基シランを、任意の塩基及び任意の溶媒の存在下で反応させることで、上記ヒドロキシ基を式S2で置換してアルコキシシリル化合物を得ることができる。
[化M1]
OCN‐(CH2z‐SiR123
(上記式において、R1〜R3のうち少なくとも1つはC1‐C10アルコキシ基であり、残りは直鎖もしくは分岐鎖のC1‐C10アルキル基であり、上記アルコキシ基及びアルキル基は直鎖または分岐鎖であり、zは3〜10の整数である。)
上記方法4では、式EI〜IIの何れか1つのヒドロキシ基1当量に対して、上記式M1のイソシアネート系アルコキシ基シランが1〜5当量となるように、任意の塩基及び任意の溶媒の存在下で反応させることでアルコキシシリル化合物を製造することができる。また、このような反応は、15℃〜120℃で1〜72時間行うことができる。
上記方法4により、式EI〜IIの何れか1つのヒドロキシ基が‐CONH(CH2z‐SiR123で置換されて、2つ以上の(CH2z‐SiR123の置換基と少なくとも1つ以上の‐CONH(CH2z‐SiR123の置換基を有し、選択的に、水素、アルキル基、アルケニル(alkenyl)基またはアリール(aryl)基である残りの未反応置換基を有するアルコキシシリル化合物を製造することができる。
使用可能な塩基の例としては、これに限定されるものではないが、例えば、K2CO3、Na2CO3、KHCO3、NaHCO3、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。これら塩基は、単独で用いられてもよく、2種以上がともに用いられてもよい。塩基は、上記出発物質のヒドロキシ基1当量に対して0.1当量〜5当量で用いることが反応効率の点で好ましい。
上記反応における溶媒は、必要に応じて任意に用いられることができる。例えば、上記反応で別の溶媒がなくても、反応温度で反応物の粘度が反応の進行に適するのであれば、溶媒を用いなくてもよい。すなわち、溶媒がなくても反応物の混合及び撹拌が円滑に進行される程度に反応物の粘度が低くなると、別の溶媒を必要とせず、これは当業者が容易に判断することができる。溶媒を使用する場合に可能な溶媒としては、反応物を十分に溶解することができ、反応に如何なる悪影響も与えることなく、反応後に除去しやすいものであれば何れの有機溶媒も使用でき、これに特に限定されるものではないが、例えば、トルエン、アセトニトリル、THF(tetra hydro furan)、MEK(methyl ethyl ketone)、DMF(dimethyl formamide)、DMSO(dimethyl sulfoxide)、メチレンクロリド(MC)などが使用できる。これら溶媒は、単独で用いられてもよく、2種以上がともに用いられてもよい。溶媒の使用量は特に限定されず、反応物が十分に溶解され、且つ反応に好ましくない影響を与えない範囲で適切な量で用いられることができ、この技術分野における技術者であれば、これを考慮して適宜選択することができる。
ホ.全ての置換基が水素である出発物質(式AS〜DS)をアルケニル化し、転位反応を1回行った後、(CH2z‐SiR123の置換基を2つ含むようにするか、または転位反応後にさらにアルケニル化して(CH2z‐SiR123の置換基を3〜4つ有するようにする、アルコキシシリル化合物の製造方法(方法5)
製造方法5‐1:全ての置換基が水素である出発物質(式AS〜DS)をアルケニル化し、転位反応を1回行った後、(CH2z‐SiR123の置換基を2つ有するアルコキシシリル化合物を製造することができる。
[5‐1方法により合成された構造例]
製造方法5‐2:全ての置換基が水素である出発物質(式AS〜DS)をアルケニル化し、転位反応を1回行った後、さらにアルケニル化して、(CH2z‐SiR123の置換基を3〜4つ有するアルコキシシリル化合物を製造することができる。
[5‐2方法により合成された構造例]
すなわち、(CH2z‐SiR123の置換基を2〜4つ有するアルコキシシリル化合物は、全ての置換基が水素である出発物質(式AS〜DS)をアルケニル化し、転位反応を1回行った後、さらにアルケニル化して、(CH2z‐SiR123の置換基を結合させることで製造されることができる。
具体的に、下記式AS〜DSの何れか1つの出発物質と下記式M2のアルケニル化合物を任意の塩基及び任意の溶媒の存在下で反応させることで、ヒドロキシ基が‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)で置換された中間生成物(21)を得る第2‐1段階と、上記中間生成物(21)に対して転位反応を行うことで、ヒドロキシ基を有する中間生成物(22)を得る第2‐2段階と、上記中間生成物(22)と下記式M2のアルケニル化合物を任意の塩基及び任意の溶媒の存在下で反応させることで、ヒドロキシ基が‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)で置換された中間生成物(23)を得る第2‐3段階と、上記中間生成物(23)と下記式M3のアルコキシ基シランを金属触媒及び任意の溶媒の存在下で反応させることで、下記式AI〜DIの何れか1つの最終生成物を得る第2‐4段階と、を行うことにより、上記アルコキシシリル化合物を得ることができる。
[出発物質]
(上記式AS〜DSの置換基k〜pは水素であり、上記式ASにおいて、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐である。)
[化M2]
X‐(CH2Z-2‐CH=CH2
(上記式において、Xは、Cl、BrまたはIのハライド、‐O‐SO2‐CH3、‐O‐SO2‐CF3、‐O‐SO2‐C64‐CF3、‐O‐SO2‐C64‐NO2または‐O‐SO2‐C64‐CH3であり、zは3〜10の整数である。)
[中間生成物(21)]
(上記式A21〜D21の置換基k1及びl1は‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)であり、m1〜p1は水素であり、上記式A21において、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐である。)
[中間生成物(22)]
(上記式A22〜D22の置換基k2〜p2において、m2及びn2の何れか1つとo2及びp2の何れか1つは‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)であり、残りは水素であり、上記式A22において、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐である。)
[中間生成物(23)]
(上記式A23〜D23の置換基k3〜p3において、k3;l3;m3またはn3の何れか1つ;及びo3またはp3の何れか1つは、‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)であり、残りは水素であり、上記式A23において、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐である。)
[化M3]
HSiR123
(上記式において、R1〜R3のうち少なくとも1つはC1‐C10アルコキシ基であり、残りは直鎖もしくは分岐鎖のC1‐C10アルキル基であり、上記アルコキシ基及びアルキル基は直鎖または分岐鎖である。)
[最終生成物]
(上記式AI〜DIの置換基a〜fのうち2つ以上は下記式S1であり、残りは水素または‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)であり、上記式AIにおいて、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐である。)
[化S1]
‐(CH2z‐SiR123
(上記式S1において、R1〜R3のうち少なくとも1つは炭素数1〜10アルコキシ基であり、残りは炭素数1〜10アルキル基であり、上記アルコキシ基及びアルキル基は測鎖または分岐鎖であり、zは3〜10の整数である。)
上記第2‐1段階では、全ての置換基が水素である上記式AS〜DSの何れか1つの出発物質と上記式M2のアルケニル化合物を任意の塩基及び任意の溶媒の存在下で反応させることで、ヒドロキシ基が‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)で置換された中間生成物(21)を得ることができる。
上記第2‐1段階は、式AS〜DSの何れか1つのヒドロキシ基1当量に対して、上記式M2のアルケニル化合物の‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)が0.5〜10当量となるように添加して反応させ、15℃〜100℃で1〜120時間行うことができる。
上記第2‐1段階で使用可能な塩基の例としては、これに限定されるものではないが、例えば、KOH、NaOH、K2CO3、Na2CO3、KHCO3、NaHCO3、NaH、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。これら塩基は、単独で用いられてもよく、2種以上がともに用いられてもよい。塩基は、上記出発物質のヒドロキシ基1当量に対して0.1当量〜5当量で用いることが反応効率の点で好ましい。
上記第2‐1段階における溶媒は、必要に応じて任意に用いられることができる。別の溶媒がなくても、反応温度で反応物の粘度が反応の進行に適するのであれば、溶媒を用いなくてもよい。すなわち、溶媒がなくても反応物の混合及び撹拌が円滑に進行される程度に反応物の粘度が低くなると、別の溶媒を必要とせず、これは当業者が容易に判断することができる。溶媒を使用する場合に可能な溶媒としては、反応物を十分に溶解することができ、反応に如何なる悪影響も与えることなく、反応後に除去しやすいものであれば何れの有機溶媒も使用でき、これに特に限定されるものではないが、例えば、トルエン、アセトニトリル、THF(tetra hydro furan)、MEK(methyl ethyl ketone)、DMF(dimethyl formamide)、DMSO(dimethyl sulfoxide)、メチレンクロリド(MC)、H2Oまたはアルコール類(メタノール、エタノール)などが使用できる。これら溶媒は、単独で用いられてもよく、2種以上がともに用いられてもよい。溶媒の使用量は特に限定されず、反応物が十分に溶解され、且つ反応に好ましくない影響を与えない範囲で適切な量で用いられることができ、この技術分野における技術者であれば、これを考慮して適宜選択することができる。
上記第2‐1段階でアルケニル化された中間生成物(21)に対して転位反応を行うことで、ヒドロキシ基を有する中間生成物(22)を得る第2‐2段階を行うことができる。
上記転位反応は単分子反応(unimolecular reaction)であるため、当量が制限されない。また、140℃〜250℃で1〜200時間行うか、100W〜750Wのマイクロ波を走査して120℃〜250℃で1〜1000分間行うことができる。
上記転位反応の時に、温度が上昇するに従って反応物の粘度が反応の進行に適した粘度となるのであれば、溶媒を用いなくてもよい。すなわち、溶媒がなくても反応物の混合及び撹拌が円滑に進行される程度に反応物の粘度が低くなると、別の溶媒を必要とせず、これは当業者が容易に判断することができる。但し、必要に応じて溶媒の存在下で進行され
ることができ、特に限定されないが、キシレン、1,2‐ジクロロベンゼン、N,N‐ジエチルアニリンなどが使用できる。後述の転位反応は上記第2‐2段階と同様に行うことができる。
上記第2‐3段階では、上記第2‐2段階で製造されたヒドロキシ基を有する上記中間生成物(22)と上記式M2のアルケニル化合物を任意の塩基及び任意の溶媒の存在下で反応させることで、ヒドロキシ基が‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)で置換された中間生成物(23)を得ることができる。
上記第2‐3段階は中間生成物(22)をアルケニル化する段階であって、上記2‐1段階で行うアルケニル化反応と同様の条件で行うことができる。
上記第2‐4段階では、上記第2‐3段階でアルケニル化が行われた上記中間生成物(23)と上記式M3のアルコキシ基シランを金属触媒及び任意の溶媒の存在下で反応させることで、下記式AI〜DIの最終生成物、すなわち、(CH2z‐SiR123の置換基を2〜4つ有するアルコキシシリル化合物を得ることができる。上記第2‐4段階では、上記第2‐3段階で置換された‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)とアルコキシシランが化学量論に従って当量比で反応するため、上記第2‐3段階で置換された‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)1当量に対して上記式M3のアルコキシ基シランが1〜5当量となるように添加して反応させ、15℃〜120℃で1〜72時間行うことができる。
上記第2‐4段階の反応で用いられる金属触媒としては、これに限定されるものではないが、例えば、PtO2またはH2PtCl6(Chloroplatinic acid)の白金触媒が使用できる。白金触媒は、上記第1‐3段階で置換されたアルケニル基1当量に対して0.005〜0.05当量で用いることが反応効率の点で好ましい。
第2‐4段階反応における溶媒は、必要に応じて任意に用いられることができる。例えば、第2‐4段階において、別の溶媒がなくても、反応温度で反応物の粘度が反応の進行に適するのであれば、溶媒を用いなくてもよい。すなわち、溶媒がなくても反応物の混合及び撹拌が円滑に進行される程度に反応物の粘度が低くなると、別の溶媒を必要とせず、これは当業者が容易に判断することができる。溶媒を使用する場合に可能な溶媒としては、反応物を十分に溶解することができ、反応に如何なる悪影響も与えることなく、反応後に除去しやすいものであれば何れの非プロトン性溶媒(aprotic solvent)も使用できる。これに限定されるものではないが、例えば、トルエン、アセトニトリル、THF(tetra hydro furan)、MEK(methyl ethyl
ketone)、DMF(dimethyl formamide)、DMSO(dimethyl sulfoxide)、メチレンクロリド(MC)などが使用できる。これら溶媒は、単独で用いられてもよく、2種以上がともに用いられてもよい。溶媒の使用量は特に限定されず、反応物が十分に溶解され、且つ反応に好ましくない影響を与えない範囲で適切な量で用いられることができ、この技術分野における技術者であれば、これを考慮して適宜選択することができる。
ヘ.全ての置換基が水素である出発物質(式AS〜DS)をアルケニル化し、転位反応を1回行った後、2つの‐CONH(CH2z‐SiR123の置換基及びアルケニル基を有するアルコキシシリル化合物の製造方法(方法6)
2つの‐CONH(CH2z‐SiR123の置換基及びアルケニル基を有するアルコキシシリル化合物は、全ての置換基が水素である出発物質(式AS〜DS)をアルケニル化し、転位反応を1回行った後、‐CONH(CH2z‐SiR123の置換基を結合させることで製造されることができる。
具体的に、上記方法5で全ての置換基が水素である出発物質(式AS〜DS)をアルケニル化し、転位反応を1回行って得られた中間生成物(22)と、下記式M1のイソシアネート系アルコキシ基シランを、任意の塩基及び任意の溶媒の存在下で反応させることで、下記式AI〜DIの何れか1つの最終生成物を得る第2‐5段階を行うことにより、上記アルコキシシリル化合物が製造される。
[中間生成物(22)]
(上記式A22〜D22の置換基k2〜p2において、m2及びn2の何れか1つとo2及びp2の何れか1つは‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)であり、残りは水素であり、上記式A22において、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐である。)
[化M1]
OCN‐(CH2z‐SiR123
(上記式において、R1〜R3のうち少なくとも1つはC1‐C10アルコキシ基であり、残りは直鎖もしくは分岐鎖のC1‐C10アルキル基であり、上記アルコキシ基及びアルキル基は直鎖または分岐鎖であり、zは3〜10の整数である。)
[最終生成物]
(上記式AI〜DIの置換基a及びbは下記式S2であり、cまたはdの何れか1つ及びeまたはfの何れか1つは‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)であり、残りは水素であり、上記式AIにおいて、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐である。)
[化S2]
‐CONH(CH2z‐SiR123
(上記式S2において、R1〜R3のうち少なくとも1つは炭素数1〜10アルコキシ基であり、残りは炭素数1〜10アルキル基であり、上記アルコキシ基及びアルキル基は測鎖または分岐鎖であり、zは3〜10の整数である。)
上記第2‐5段階では、中間生成物(22)のヒドロキシ基1当量に対して、下記式M1のイソシアネート系アルコキシ基シランが1〜5当量となるように任意の塩基及び任意の溶媒の存在下で反応させることで、アルコキシシリル化合物を製造することができる。また、このような反応は、15℃〜120℃で1〜72時間行うことができる。
上記第2‐5段階で使用可能な塩基の例としては、これに限定されるものではないが、例えば、K2CO3、Na2CO3、KHCO3、NaHCO3、NaH、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。これら塩基は、単独で用いられてもよく、2種以上がともに用いられてもよい。塩基は、上記中間生成物(22)のヒドロキシ基1当量に対して0.1当量〜5当量で用いることが反応効率の点で好ましい。
上記第2‐5段階における溶媒は、必要に応じて任意に用いられることができる。別の溶媒がなくても、反応温度で反応物の粘度が反応の進行に適するのであれば、溶媒を用いなくてもよい。すなわち、溶媒がなくても反応物の混合及び撹拌が円滑に進行される程度に反応物の粘度が低くなると、別の溶媒を必要とせず、これは当業者が容易に判断することができる。溶媒を使用する場合に可能な溶媒としては、反応物を十分に溶解することができ、反応に如何なる悪影響も与えることなく、反応後に除去しやすいものであれば何れの有機溶媒も使用でき、これに特に限定されるものではないが、例えば、トルエン、アセトニトリル、THF(tetra hydro furan)、MEK(methyl ethyl ketone)、DMF(dimethyl formamide)、DMSO(dimethyl sulfoxide)、メチレンクロリド(MC)などが使用できる。これら溶媒は、単独で用いられてもよく、2種以上がともに用いられてもよい。
溶媒の使用量は特に限定されず、反応物が十分に溶解され、且つ反応に好ましくない影響を与えない範囲で適切な量で用いられることができ、この技術分野における技術者であれば、これを考慮して適宜選択することができる。
ト.全ての置換基が水素である出発物質(式AS〜DS)をアルケニル化し、転位反応を1回行った後、2つの‐CONH(CH2z‐SiR123の置換基及び少なくとも1つ以上の‐(CH2z‐SiR123の置換基を有するアルコキシシリル化合物の製造方法(方法7)
2つの‐CONH(CH2z‐SiR123の置換基及び少なくとも1つ以上の‐(CH2z‐SiR123の置換基を有するアルコキシシリル化合物は、上記方法6で製造された2つの‐CONH(CH2z‐SiR123の置換基及びアルケニル基を有するアルコキシシリル化合物に、さらに‐(CH2z‐SiR123の置換基を結合させることで製造されることができる。
具体的に、上記方法6で製造されたアルコキシシリル化合物の何れか1つと下記式M3のアルコキシ基シランを金属触媒及び任意の溶媒の存在下で反応させることで、下記式AI〜DIの何れか1つの最終生成物を得る第2‐6段階を行うことにより、上記アルコキシシリル化合物が製造される。
[化M3]
HSiR123
(上記式において、R1〜R3のうち少なくとも1つはC1‐C10アルコキシ基であり、残りは直鎖もしくは分岐鎖のC1‐C10アルキル基であり、上記アルコキシ基及びアルキル基は直鎖または分岐鎖である。)
[最終生成物]
(上記式AI〜DIの置換基a及びbは下記式S2であり、c及びdの何れか1つ及びe及びfの何れか1つは下記式S1であり、残りは水素であり、上記式AIにおいて、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐である。)
[化S1]
‐(CH2z‐SiR123
[化S2]
‐CONH(CH2z‐SiR123
(上記式S1及びS2において、R1〜R3のうち少なくとも1つは炭素数1〜10アルコキシ基であり、残りは炭素数1〜10アルキル基であり、上記アルコキシ基及びアルキル基は測鎖または分岐鎖であり、zは3〜10の整数である。)
上記第2‐6段階では、上記第2‐5段階で製造されたアルコキシシリル化合物の‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)とアルコキシシランが化学量論に従って当量比で反応するため、上記第2‐5段階で製造されたアルコキシシリル化合物の‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)1当量に対して上記式M3のアルコキシ基シランが1〜5当量となるように添加して反応させ、15℃〜120℃で1〜72時間行うことができる。
上記第2‐6段階反応で用いられる金属触媒としては、これに限定されるものではないが、例えば、PtO2またはH2PtCl6(Chloroplatinic acid)の白金触媒が使用できる。白金触媒は、上記第2‐5段階で製造されたアルコキシシリル化合物の‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)1当量に対して0.005〜0.05当量で用いることが反応効率の点で好ましい。
第2‐6段階反応における溶媒は、必要に応じて任意に用いられることができる。例えば、第2‐6段階において、別の溶媒がなくても、反応温度で反応物の粘度が反応の進行に適するのであれば、溶媒を用いなくてもよい。すなわち、溶媒がなくても反応物の混合及び撹拌が円滑に進行される程度に反応物の粘度が低くなると、別の溶媒を必要とせず、これは当業者が容易に判断することができる。溶媒を使用する場合に可能な溶媒としては、反応物を十分に溶解することができ、反応に如何なる悪影響も与えることなく、反応後に除去しやすいものであれば何れの非プロトン性溶媒(aprotic solvent)も使用できる。これに限定されるものではないが、例えば、トルエン、アセトニトリル、THF(tetra hydro furan)、MEK(methyl ethyl
ketone)、DMF(dimethyl formamide)、DMSO(dimethyl sulfoxide)、メチレンクロリド(MC)などが使用できる。これら溶媒は、単独で用いられてもよく、2種以上がともに用いられてもよい。溶媒の使用量は特に限定されず、反応物が十分に溶解され、且つ反応に好ましくない影響を与えない範囲で適切な量で用いられることができ、この技術分野における技術者であれば、これを考慮して適宜選択することができる。
チ.全ての置換基が水素である出発物質(式AS〜DS)をアルケニル化し、転位反応を2回行った後、4つの‐(CH2z‐SiR123の置換基及びヒドロキシ基を有するアルコキシシリル化合物の製造方法(方法8)
4つの‐(CH2z‐SiR123の置換基及びヒドロキシ基を有するアルコキシシリル化合物は、上記方法5で製造された中間生成物(23)に対してさらに転位反応を行った後、さらに‐(CH2z‐SiR123の置換基を結合させることで製造されることができる。
具体的に、上記方法5で製造された中間生成物(23)に対して転位反応を行うことで、ヒドロキシ基を有する中間生成物(31)を得る第3‐1段階と、上記中間生成物(31)と下記式M3のアルコキシ基シランを金属触媒及び任意の溶媒の存在下で反応させることで、下記式AI〜DIの何れか1つの最終生成物を得る第3‐2段階と、を行うことにより、上記アルコキシシリル化合物が製造されることができる。
[中間生成物(23)]
(上記式A23〜D23の置換基k3〜p3において、k3;l3;m3またはn3の何れか1つ;及びo3またはp3の何れか1つは‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)であり、残りは水素であり、上記式A23において、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐である。)
[中間生成物(31)]
(上記式A31〜D31の置換基k1及びl1は水素であり、m1〜p1は‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)であり、上記式A31において、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐である。)
[化M3]
HSiR123
(上記式において、R1〜R3のうち少なくとも1つはC1‐C10アルコキシ基であり、残りは直鎖もしくは分岐鎖のC1‐C10アルキル基であり、上記アルコキシ基及びアルキル基は直鎖または分岐鎖である。)
[最終生成物]
(上記式AI〜DIの置換基a及びbは水素であり、c〜fのうち2つ以上は下記式S1であり、残りは‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)であり、上記式AIにおいて、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐である。)
[化S1]
‐(CH2z‐SiR123
(上記式S1において、R1〜R3のうち少なくとも1つは炭素数1〜10アルコキシ基であり、残りは炭素数1〜10アルキル基であり、上記アルコキシ基及びアルキル基は測鎖または分岐鎖であり、zは3〜10の整数である。)
上記第3‐1段階の転位反応は、上記方法5の第2‐2段階の転位反応と同様に行うことができる。転位反応により、4つの‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)及びヒドロキシ基を有する中間生成物(31)を得ることができる。
上記第3‐2段階では、上記第3‐1段階で製造された中間生成物(31)と上記式M3のアルコキシ基シランを金属触媒及び任意の溶媒の存在下で反応させることで、上記式AI〜DIの最終生成物を得ることができる。
上記第3‐2段階では、上記第3‐1段階で製造された中間生成物(31)の‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)とアルコキシシランが化学量論に従って当量比で反応するため、上記第3‐1段階で製造された中間生成物(31)の‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)1当量に対して上記式M3のアルコキシ基シランが1〜5当量となるように添加して反応させ、15℃〜120℃で1〜72時間行うことができる。
上記第3‐2段階反応で用いられる金属触媒としては、これに限定されるものではないが、例えば、PtO2またはH2PtCl6(Chloroplatinic acid)の白金触媒が使用できる。白金触媒は、上記第3‐1段階で製造された中間生成物(31)の‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)1当量に対して0.005〜0.05当量で用いることが反応効率の点で好ましい。
第3‐2段階反応における溶媒は、必要に応じて任意に用いられることができる。例え
ば、第3‐2段階において、別の溶媒がなくても、反応温度で反応物の粘度が反応の進行に適するのであれば、溶媒を用いなくてもよい。すなわち、溶媒がなくても反応物の混合及び撹拌が円滑に進行される程度に反応物の粘度が低くなると、別の溶媒を必要とせず、これは当業者が容易に判断することができる。溶媒を使用する場合に可能な溶媒としては、反応物を十分に溶解することができ、反応に如何なる悪影響も与えることなく、反応後に除去しやすいものであれば何れの非プロトン性溶媒(aprotic solvent)も使用できる。これに限定されるものではないが、例えば、トルエン、アセトニトリル、THF(tetra hydro furan)、MEK(methyl ethyl
ketone)、DMF(dimethyl formamide)、DMSO(dimethyl sulfoxide)、メチレンクロリド(MC)などが使用できる。これら溶媒は、単独で用いられてもよく、2種以上がともに用いられてもよい。溶媒の使用量は特に限定されず、反応物が十分に溶解され、且つ反応に好ましくない影響を与えない範囲で適切な量で用いられることができ、この技術分野における技術者であれば、これを考慮して適宜選択することができる。
リ.全ての置換基が水素である出発物質(式AS〜DS)をアルケニル化し、転位反応を2回行って、6つの‐(CH2z‐SiR123の置換基を有し、ヒドロキシ基を有しないアルコキシシリル化合物の製造方法(方法9)
6つの‐(CH2z‐SiR123の置換基を有し、ヒドロキシ基を有しないアルコキシシリル化合物は、上記方法8の中間生成物(31)をアルケニル化した後、さらに‐(CH2z‐SiR123の置換基を結合することで製造されることができる。
具体的に、上記方法8の第3‐1段階で製造された中間生成物(31)と下記式M2と任意の塩基及び任意の溶媒の条件下で反応させることで、上記ヒドロキシ基が‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)で置換された中間生成物(32)を得る第3‐3段階と、上記中間生成物(32)と下記式M3のアルコキシ基シランを金属触媒及び任意の溶媒の存在下で反応させることで、下記式AI〜DIの何れか1つの最終生成物を得る第3‐4段階と、を行うことにより、上記アルコキシシリル化合物が製造されることができる。
[中間生成物(31)]
(上記式A31〜D31の置換基k1及びl1は水素であり、m1〜p1は‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)であり、上記式A31において、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐である。)
[化M2]
X‐(CH2Z-2‐CH=CH2
(上記式において、XはCl、BrまたはIのハライド、‐O‐SO2‐CH3、‐O‐SO2‐CF3、‐O‐SO2‐C64‐CF3、‐O‐SO2‐C64‐NO2または‐O‐SO2‐C64‐CH3であり、zは3〜10の整数である。)
[中間生成物(32)]
(上記式A32〜D32の置換基k2〜p2は‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)であり、上記式A31において、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐である。)
[化M3]
HSiR123
(上記式において、R1〜R3のうち少なくとも1つはC1‐C10アルコキシ基であり、残りは直鎖もしくは分岐鎖のC1‐C10アルキル基であり、上記アルコキシ基及びアルキル基は直鎖または分岐鎖である。)
[最終生成物]
(上記式AI〜DIの置換基a〜fのうち2つ以上は下記式S1であり、残りは‐(C
2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)であり、上記式AIにおいて、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐である。)
[化S1]
‐(CH2z‐SiR123
(上記式S1において、R1〜R3のうち少なくとも1つは炭素数1〜10アルコキシ基であり、残りは炭素数1〜10アルキル基であり、上記アルコキシ基及びアルキル基は測鎖または分岐鎖であり、zは3〜10の整数である。)
上記第3‐3段階では、第3‐1段階で製造された中間生成物(31)と上記式M2のアルケニル化合物を任意の塩基及び任意の溶媒の存在下で反応させることで、ヒドロキシ基が‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)で置換された中間生成物(32)を得ることができる。
上記第3‐3段階は、第3‐1段階で製造された中間生成物(31)のヒドロキシ基1当量に対して、上記式M2のアルケニル化合物の‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)が0.5〜10当量となるように添加して反応させ、15℃〜100℃で1〜120時間行うことができる。
上記第3‐3段階で使用可能な塩基の例としては、これに限定されるものではないが、例えば、KOH、NaOH、K2CO3、Na2CO3、KHCO3、NaHCO3、NaH、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。これら塩基は、単独で用いられてもよく、2種以上がともに用いられてもよい。塩基は、上記第3‐1段階で製造された中間生成物(31)のヒドロキシ基1当量に対して0.1当量〜5当量で用いることが反応効率の点で好ましい。
上記第3‐3段階における溶媒は、必要に応じて任意に用いられることができる。別の溶媒がなくても、反応温度で反応物の粘度が反応の進行に適するのであれば、溶媒を用いなくてもよい。すなわち、溶媒がなくても反応物の混合及び撹拌が円滑に進行される程度に反応物の粘度が低くなると、別の溶媒を必要とせず、これは当業者が容易に判断することができる。溶媒を使用する場合に可能な溶媒としては、反応物を十分に溶解することができ、反応に如何なる悪影響も与えることなく、反応後に除去しやすいものであれば何れの有機溶媒も使用でき、これに特に限定されるものではないが、例えば、トルエン、アセトニトリル、THF(tetra hydro furan)、MEK(methyl ethyl ketone)、DMF(dimethyl formamide)、DMSO(dimethyl sulfoxide)、メチレンクロリド(MC)、H2Oまたはアルコール類(メタノール、エタノール)などが使用できる。これら溶媒は、単独で用いられてもよく、2種以上がともに用いられてもよい。溶媒の使用量は特に限定されず、反応物が十分に溶解され、且つ反応に好ましくない影響を与えない範囲で適切な量で用いられることができ、この技術分野における技術者であれば、これを考慮して適宜選択することができる。
上記第3‐4段階では、上記第3‐3段階で製造された中間生成物(32)と上記式M3のアルコキシ基シランを金属触媒及び任意の溶媒の存在下で反応させることで、下記式AI〜DIの最終生成物を得ることができる。
上記第3‐4段階では、上記第3‐3段階で製造された中間生成物(32)の‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)とアルコキシシランが化学量論に従って当量比で反応するため、上記第3‐3段階で製造された中間生成物(32)の‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)1当量に対して上記式M3のアルコキシ基シランが
1〜5当量となるように添加して反応させ、15℃〜120℃で1〜72時間行うことができる。
上記第3‐4段階反応で用いられる金属触媒としては、これに限定されるものではないが、例えば、PtO2またはH2PtCl6(Chloroplatinic acid)の白金触媒が使用できる。白金触媒は、上記第3‐1段階で製造された中間生成物(31)の‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)1当量に対して0.005〜0.05当量で用いることが反応効率の点で好ましい。
第3‐4段階反応における溶媒は、必要に応じて任意に用いられることができる。例えば、第3‐4段階において、別の溶媒がなくても、反応温度で反応物の粘度が反応の進行に適するのであれば、溶媒を用いなくてもよい。すなわち、溶媒がなくても反応物の混合及び撹拌が円滑に進行される程度に反応物の粘度が低くなると、別の溶媒を必要とせず、これは当業者が容易に判断することができる。溶媒を使用する場合に可能な溶媒としては、反応物を十分に溶解することができ、反応に如何なる悪影響も与えることなく、反応後に除去しやすいものであれば何れの非プロトン性溶媒(aprotic solvent)も使用できる。これに限定されるものではないが、例えば、トルエン、アセトニトリル、THF(tetra hydro furan)、MEK(methyl ethyl
ketone)、DMF(dimethyl formamide)、DMSO(dimethyl sulfoxide)、メチレンクロリド(MC)などが使用できる。これら溶媒は、単独で用いられてもよく、2種以上がともに用いられてもよい。溶媒の使用量は特に限定されず、反応物が十分に溶解され、且つ反応に好ましくない影響を与えない範囲で適切な量で用いられることができ、この技術分野における技術者であれば、これを考慮して適宜選択することができる。
ヌ.全ての置換基が水素である出発物質(式AS〜DS)をアルケニル化し、転位反応を2回行って、2つの‐CONH(CH2z‐SiR123の置換基及び4つのアルケニル基を有するアルコキシシリル化合物の製造方法(方法10)
2つの‐CONH(CH2z‐SiR123の置換基及び4つの‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)を有するアルコキシシリル化合物は、方法8の第3‐1段階で製造された中間生成物(31)に、‐CONH(CH2z‐SiR123の置換基をさらに結合することで製造されることができる。
具体的に、上記方法8の第3‐1段階で製造された中間生成物(31)と下記式M1のイソシアネート系アルコキシ基シランを任意の塩基及び任意の溶媒の存在下で反応させることで、下記式AI〜DIの何れか1つの最終生成物を得る第3‐5段階を行うことにより製造されることができる。
[中間生成物(31)]
(上記式A31〜D31の置換基k1及びl1は水素であり、m1〜p1は‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)であり、上記式A31において、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐である。)
[化M1]
OCN‐(CH2z‐SiR123
(上記式において、R1〜R3のうち少なくとも1つはC1‐C10アルコキシ基であり、残りは直鎖もしくは分岐鎖のC1‐C10アルキル基であり、上記アルコキシ基及びアルキル基は直鎖または分岐鎖であり、zは3〜10の整数である。)
[最終生成物]
(上記式AI〜DIの置換基a及びbは下記式S2であり、c〜fは‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)であり、上記式AIにおいて、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐である。)
[化S2]
‐CONH(CH2z‐SiR123
(上記式S2において、R1〜R3のうち少なくとも1つは炭素数1〜10アルコキシ基
であり、残りは炭素数1〜10アルキル基であり、上記アルコキシ基及びアルキル基は測鎖または分岐鎖であり、zは3〜10の整数である。)
上記第3‐5段階では、中間生成物(31)のヒドロキシ基1当量に対して、下記式M1のイソシアネート系アルコキシ基シランが1〜5当量となるように任意の塩基及び任意の溶媒の存在下で反応させることで、アルコキシシリル化合物を製造することができる。また、このような反応は、15℃〜120℃で1〜72時間行うことができる。
上記第3‐5段階で使用可能な塩基の例としては、これに限定されるものではないが、例えば、K2CO3、Na2CO3、KHCO3、NaHCO3、NaH、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。これら塩基は、単独で用いられてもよく、2種以上がともに用いられてもよい。塩基は、上記中間生成物(31)のヒドロキシ基1当量に対して0.1当量〜5当量で用いることが反応効率の点で好ましい。
上記第3‐5段階における溶媒は、必要に応じて任意に用いられることができる。別の溶媒がなくても、反応温度で反応物の粘度が反応の進行に適するのであれば、溶媒を用いなくてもよい。すなわち、溶媒がなくても反応物の混合及び撹拌が円滑に進行される程度に反応物の粘度が低くなると、別の溶媒を必要とせず、これは当業者が容易に判断することができる。溶媒を使用する場合に可能な溶媒としては、反応物を十分に溶解することができ、反応に如何なる悪影響も与えることなく、反応後に除去しやすいものであれば何れの有機溶媒も使用でき、これに特に限定されるものではないが、例えば、トルエン、アセトニトリル、THF(tetra hydro furan)、MEK(methyl ethyl ketone)、DMF(dimethyl formamide)、DMSO(dimethyl sulfoxide)、メチレンクロリド(MC)などが使用できる。これら溶媒は、単独で用いられてもよく、2種以上がともに用いられてもよい。溶媒の使用量は特に限定されず、反応物が十分に溶解され、且つ反応に好ましくない影響を与えない範囲で適切な量で用いられることができ、この技術分野における技術者であれば、これを考慮して適宜選択することができる。
ル.全ての置換基が水素である出発物質(式AS〜DS)をアルケニル化し、転位反応を2回行って、2つの‐CONH(CH2z‐SiR123の置換基及び少なくとも2つ以上の‐(CH2z‐SiR123の置換基を有するアルコキシシリル化合物の製造方法(方法11)
2つの‐CONH(CH2z‐SiR123の置換基及び少なくとも2つ以上の‐(CH2z‐SiR123の置換基を有するアルコキシシリル化合物は、上記方法10で製造されたアルコキシシリル化合物に、さらに‐(CH2z‐SiR123の置換基を結合することで製造されることができる。
具体的に、上記方法10で製造されたアルコキシシリル化合物の何れか1つと下記式M3のアルコキシ基シランを金属触媒及び任意の溶媒の存在下で反応させることで、下記式AI〜DIの何れか1つの最終生成物を得る第3‐6段階を行うことにより製造されることができる。
[化M3]
HSiR123
(上記式において、R1〜R3のうち少なくとも1つはC1‐C10アルコキシ基であり、残りは直鎖もしくは分岐鎖のC1‐C10アルキル基であり、上記アルコキシ基及びアルキル基は直鎖または分岐鎖である。)
[最終生成物]
(上記式AI〜DIの置換基a及びbは下記式S2であり、c〜fのうち2つ以上は下記式S1であり、残りは‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)であり、上記式AIにおいて、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐である。)
[化S1]
‐(CH2z‐SiR123
[化S2]
‐CONH(CH2z‐SiR123
(上記式S1及びS2において、R1〜R3のうち少なくとも1つは炭素数1〜10アルコキシ基であり、残りは炭素数1〜10アルキル基であり、上記アルコキシ基及びアルキル基は測鎖または分岐鎖であり、zは3〜10の整数である。)
上記第3‐6段階では、方法10で製造されたアルコキシシリル化合物の‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)とアルコキシシランが化学量論に従って当量比で反応するため、上記方法10で製造されたアルコキシシリル化合物の‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)1当量に対して上記式M3のアルコキシ基シランが1〜5当量となるように添加して反応させ、15℃〜120℃で1〜72時間行うことができる。
上記第3‐6段階反応における金属触媒としては、これに限定されるものではないが、例えば、PtO2またはH2PtCl6(Chloroplatinic acid)の白金触媒が使用できる。白金触媒は、上記方法10で製造されたアルコキシシリル化合物の‐(CH2Z-2CH=CH2(Zは3〜10の整数)1当量に対して0.005〜0.05当量で用いることが反応効率の点で好ましい。
第3‐6段階反応における溶媒は、必要に応じて任意に用いられることができる。例えば、第3‐6反応段階において、別の溶媒がなくても、反応温度で反応物の粘度が反応の進行に適するのであれば、溶媒を用いなくてもよい。すなわち、溶媒がなくても反応物の混合及び撹拌が円滑に進行される程度に反応物の粘度が低くなると、別の溶媒を必要とせず、これは当業者が容易に判断することができる。溶媒を使用する場合に可能な溶媒としては、反応物を十分に溶解することができ、反応に如何なる悪影響も与えることなく、反応後に除去しやすいものであれば何れの非プロトン性溶媒(aprotic solve
nt)も使用できる。これに限定されるものではないが、例えば、トルエン、アセトニトリル、THF(tetra hydro furan)、MEK(methyl ethyl ketone)、DMF(dimethyl formamide)、DMSO(dimethyl sulfoxide)、メチレンクロリド(MC)などが使用できる。これら溶媒は、単独で用いられてもよく、2種以上がともに用いられてもよい。溶媒の使用量は特に限定されず、反応物が十分に溶解され、且つ反応に好ましくない影響を与えない範囲で適切な量で用いられることができ、この技術分野における技術者であれば、これを考慮して適宜選択することができる。
以下、具体的な実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。下記実施例は本発明の理解のための例に過ぎず、本発明の範囲がこれに限定されるものではない。
合成例1:ビスフェノールA系アルコキシシリル化合物(式AI)(Hydrosilyation、A‐1)の合成(方法2)
(1)第1段階
二口フラスコに、ビスフェノールA(A)25g、アリルブロミド39.7g、及びテトラヒドロフラン(THF)400mlを入れて常温で撹拌した。その後、H2O400mlにNaOH10.5gを溶かした溶液を常温で1時間かけてゆっくりと添加した後、4時間さらに撹拌した。その後、蒸発器を用いてTHFを除去した後、エチルアセテート400mlを入れ、H2Oとともにワークアップして無機物を除去した。有機層にMgSO4を入れて残っているH2Oを除去した後、セライトフィルター(celite filter)で濾過し、蒸発乾燥させて中間生成物を得た。
(2)第2段階
フラスコに、上記中間生成物10g、PtO20.15g、トリエトキシシラン11.7g、及びトルエン150mlを入れて5分間常温で撹拌した。その後、温度を80℃にして12時間加熱及び撹拌した。その後、常温に冷却し、セライトフィルターで濾過して無機物を除去した。トルエンを蒸発乾燥により除去し、真空ポンプを用いて完全に乾燥させて最終目的物(A‐1)を得た。
上記合成例1の合成反応は次のとおりである。
合成例2〜7:アルコキシシリル化合物(Hydrosilyation、B‐1〜G‐1)(方法2)
使用した反応物の量を除き、上記の合成例1と同様の方法により第1段階及び第2段階反応を行うことで、式B‐1〜G‐1のアルコキシシリル化合物を合成した。第1段階及び第2段階で使用した反応物の量は、それぞれ下記表1及び表2のとおりである。
‐合成例2の合成反応
‐合成例3の合成反応
‐合成例4の合成反応
‐合成例5の合成反応
‐合成例6の合成反応
‐合成例7の合成反応
合成例8:ジアミノジフェニルメタン系アルコキシシリル化合物(Hydrosilyation、H‐1)(方法2)
(1)第1段階
二口フラスコに、ジアミノジフェニルメタン(I)20gとCH3CN400mlを常温で添加して撹拌した後、0℃でアリルブロミド73.2gを添加した。その後、ピリジン47.9gを1時間かけてゆっくりと添加し、80℃で2時間撹拌しながら反応させた。反応終了後、蒸発器を用いて溶媒を除去し、エチルアセテート400mlと1MのNaOH溶液を用いてワークアップした後、有機層を分離して、有機層にMgSO4を入れて残っているH2Oを除去し、濾過及び蒸発させて中間生成物を得た。
(2)第2段階
フラスコに、上記中間生成物10g、PtO20.13g、トリエトキシシラン20.2g、及びトルエン150mlを入れて5分間常温で撹拌した。その後、温度を80℃にして12時間加熱及び撹拌した。その後、常温に冷却し、セライトフィルターで濾過して無機物を除去した。トルエンを蒸発乾燥させて除去し、真空ポンプを用いて完全に乾燥させて最終目的物(H‐1)を得た。
‐上記合成例8の合成反応は下記のとおりである。
合成例9:アミノフェノール系アルコキシシリル化合物(Hydrosilyation、I‐1)(方法2)
(1)第1段階
二口フラスコに、アミノフェノール(I)25g、アリルブロミド124.7g、及びテトラヒドロフラン(THF)400mlを入れて常温で撹拌した。その後、H2O400mlにNaOH33.0gを溶かした溶液を常温で1時間かけてゆっくりと添加し、4時間さらに撹拌した。その後、蒸発器を用いてTHFを除去した後、エチルアセテート400mlを入れ、H2Oとともにワークアップ(work up)して無機物を除去した。有機層にMgSO4を入れて残っているH2Oを除去した後、セライトフィルター(celite filter)で濾過し、蒸発乾燥させて中間生成物を得た。
(2)第2段階
フラスコに、上記中間生成物10g、PtO20.20g、トリエトキシシラン23.6g、及びトルエン150mlを入れて5分間常温で撹拌した。その後、温度を80℃にして12時間加熱及び撹拌した。その後、常温に冷却し、セライトフィルターで濾過して無機物を除去した。トルエンを蒸発乾燥させて除去し、真空ポンプを用いて完全に乾燥させて最終目的物(I‐3)を得た。
‐上記合成例9に用いられた合成反応は下記のとおりである。
合成例10:ビスフェノールA系アルコキシシリル化合物(carbamate、A‐2)(方法1)
フラスコに、ビスフェノールA(A)25g、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)34.0g、及びメチレンクロリド200mlを入れて常温で5分間撹拌した。その後、トリエトキシシリルプロピルイソシアネート54.2gを常温で添加した後、温度を60℃に加熱して12時間反応させた。反応終了後、常温に冷やした溶液をH2Oを用いてワークアップし、有機層を分離して、MgSO4を入れて残っているH2Oを除去した後、セライトフィルターで濾過し、蒸発乾燥して最終目的物(A‐2)を得た。
‐合成例10に用いられた合成反応は下記のとおりである。
合成例11〜16:アルコキシシリル化合物(carbamate、B‐2〜G‐2)(方法1)
使用した反応物の量を除き、上記の合成例10と同様の方法により反応を行うことで、式B‐2〜G‐2のアルコキシシリル化合物を合成した。各合成段階で使用した反応物の量は下記表のとおりである。
‐合成例11に用いられた合成反応は下記のとおりである。
‐合成例12に用いられた合成反応は下記のとおりである。
‐合成例13に用いられた合成反応は下記のとおりである。
‐合成例14に用いられた合成反応は下記のとおりである。
‐合成例15に用いられた合成反応は下記のとおりである。
‐合成例16に用いられた合成反応は下記のとおりである。
合成例17:ジアミノジフェニルメタン系アルコキシシリル化合物(carbamate、H‐2)(方法1)
フラスコに、ジアミノジフェニルメタン(H)25g、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)97.8g、及びメチレンクロリド500mlを入れて常温で撹拌した。その後、トリエトキシシリルプロピルイソシアネート374.3gを常温で30分間添加した後、常温で30分間さらに反応させた。その後、蒸発器(evaporator)を用いて溶媒を除去した後、温度を80℃に加熱して12時間反応させた。反応終了後、常温に冷やした後、H2Oを用いてワークアップし、有機層を分離して、有機層にMgSO4を入れて残っているH2Oを除去した後、セライトフィルターで濾過し、蒸発させて最終目的物(H‐2)を得た。
‐上記合成例17に用いられた合成反応は下記のとおりである。
合成例18:アミノフェノール系アルコキシシリル化合物(carbamate、I‐2)(方法1)
フラスコに、アミノフェノール(I)10g、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)28.4g、及びメチレンクロリド400mlを入れて常温で撹拌した。その後、トリエトキシシリルプロピルイソシアネート45.3gを常温で30分間添加し、常温で30分間さらに反応させた。その後、温度を60℃に加熱して12時間反応させた。反応終了後、常温に冷やした後、H2Oを用いてワークアップし、有機層を分離して、有機層にMgSO4を入れて残っているH2Oを除去した後、セライトフィルターで濾過し、蒸発させて最終目的物(I‐2)を得た。
‐合成例18に使用した合成反応は下記のとおりである。
合成例19:ビスフェノールA系アルコキシシリル化合物(Hydrosilylation、A‐3)(方法5)
(1)第1段階
合成例1の1段階反応と同様の反応により中間生成物を得た。
(2)第2段階
フラスコに、上記第1段階の中間生成物である4,4’‐(プロパン‐2,2‐ジイル)ビス(アリルオキシベンゼン)10gを入れて180℃で8時間反応させることで、クライゼン転位(Claisen rearrangement)が行われた4,4’‐(プロパン‐2,2‐ジイル)ビス(2‐アリルフェノール)を得た。
(3)第3段階
二口フラスコに還流冷却器(reflux condenser)を取り付け、上記第2段階の中間生成物である4,4’‐(プロパン‐2,2‐ジイル)ビス(2‐アリルフェノール)9gを80℃のアセトンに溶かした。その後、アリルブロミド6.4mlとK2CO324.7gを入れて80℃で24時間撹拌した後、常温に冷却し、セライトフィル
ターで濾過し、蒸発させて溶媒を除去して反応物を得た。上記反応物をエチルアセテートに溶かした後、水で洗ってから、ブライン(brine)溶液で洗浄した。有機溶媒層をMgSO4で乾燥した後、濾過し、蒸発器を用いて溶媒を除去して、4つのアリル基を有する4,4’‐(プロパン‐2,2‐ジイル)ビス(2‐アリル‐1‐(アリルオキシ)ベンゼン)を得た。
(4)第4段階
フラスコに、上記第3段階の中間生成物10g、PtO20.23g、トリエトキシシラン22.1ml、及びトルエン150mlを入れて5分間常温で撹拌した後、温度を85℃にして36時間撹拌した。その後、常温に冷却し、セライトフィルターで濾過して無機物を除去した。トルエンを蒸発乾燥させて除去し、真空ポンプを用いて完全に乾燥させて最終目的物(A‐3)を得た。
‐上記合成例19に用いられた合成反応は下記のとおりである。
合成例20〜22:アルコキシシリル化合物(Hydrosilyation、B‐3〜D‐3)(方法5)
使用した反応物の量を除き、上記の合成例19と同様の方法により第1段階〜第4段階の反応を行うことで、4つのアルコキシシリル基を有する式B3〜D3のアルコキシシリル化合物を合成した。第3段階及び第4段階で使用した反応物の量は、それぞれ下記表4及び表5のとおりである。
‐合成例20に用いられた合成反応は下記のとおりである。
‐合成例21に用いられた合成反応は下記のとおりである。
‐合成例22に用いられた合成反応は下記のとおりである。
合成例23:アリル基を有するビスフェノールA系アルコキシシリル化合物(Carbamate、A‐4)(方法6)
(1)第1段階及び第2段階
合成例19での第1段階と第2段階反応と同様に行うことで、2つのアリル基を有する中間生成物である4,4’‐(プロパン‐2,2‐ジイル)ビス(2‐アリルフェノール)を得た。
(2)第3段階
フラスコに、上記中間生成物である4,4’‐(プロパン‐2,2‐ジイル)ビス(2‐アリルフェノール)10g、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)10.1g、及びメチレンクロリド300mlを入れて常温で撹拌した。その後、トリエトキシシリル
プロピルイソシアネート(OCN(CH23Si(OEt)3)16.0gを常温で5分間添加し、温度を80℃に加熱して12時間反応させた。反応終了後、常温に冷やした後、H2Oを用いてワークアップし、有機層を分離して、有機層にMgSO4を入れて残っているH2Oを除去した後、セライトフィルターで濾過し、蒸発させて最終目的物(A‐4)を得た。
‐上記合成例23に使用した合成反応は下記のとおりである。
合成例24〜26:2つのアリル基を有するアルコキシシリル化合物(Carbamate、B‐4〜D‐4)(方法6)
使用した反応物の量を除き、上記の合成例23と同様の方法により1段階〜3段階反応を行うことで、2つのアリル基を有する式B‐4〜D‐4のアルコキシシリル化合物を合成した。各合成段階で使用した反応物の量は下記表6のとおりである。
‐上記合成例24に使用した合成反応は下記のとおりである。
‐上記合成例25に使用した合成反応は下記のとおりである。
‐上記合成例26に使用した合成反応は下記のとおりである。
合成例27:2種のアルコキシシリル基を有するビスフェノールA系アルコキシシリル化合物(A‐5)(方法7)
フラスコに、合成例23で合成されたA‐4化合物である4,4’‐(プロパン‐2,2‐ジイル)ビス(2‐アリル‐4,1‐フェニレン)ビス(3‐(トリエトキシシリル)プロピルカルバメート)10g、PtO20.06g、トリエトキシシラン4.5g、及びトルエン100mlを入れて5分間常温で撹拌した後、温度を80℃にして12時間加熱及び撹拌した。その後、常温に冷却し、セライトフィルターで濾過して無機物を除去した。トルエンを蒸発乾燥させて除去し、真空ポンプを用いて完全に乾燥させて最終目的物(A‐5)を得た。
‐上記合成例27に用いられた合成反応は下記のとおりである。
合成例28〜合成例30:2種のアルコキシシリル基を有するアルコキシシリル化合物(B‐5〜D‐5)(方法7)
使用した反応物の量を除き、上記の合成例27と同様の方法により反応を行うことで、2種のアルコキシシリル基を有する式B‐5〜D‐5のアルコキシシリル化合物を合成した。各合成段階で使用した反応物の量は下記表7のとおりである。
‐上記合成例28に用いられた合成反応は下記のとおりである。
‐上記合成例29に用いられた合成反応は下記のとおりである。
‐上記合成例30に用いられた合成反応は下記のとおりである。
合成例31:2種のアルコキシシリル基を有するアルコキシシリル化合物(A‐6)(
方法8)
(1)第1段階
フラスコに、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)8.57g、トリエトキシシリルプロピルイソシアネート16.40g、及びメチレンクロリド60mlを入れて常温で撹拌した。その後、ビスフェノールA(A)25gを60mlのメチレンクロリドに溶解させた溶液を60℃で6時間かけてゆっくりと添加した。その後、9時間さらに撹拌した。反応終了後、常温に冷やした溶液をH2Oを用いてワークアップし、有機層を分離して、MgSO4を入れて残っているH2Oを除去した後、濾過し、蒸発乾燥して中間生成物を得た。
(2)第2段階
二口フラスコに、上記第1段階の中間生成物25g、アリルブロミド9.69g、及びテトラヒドロフラン(THF)50mlを入れて常温で撹拌した。その後、H2O50mlにNaOH3.20gを溶かした溶液を常温で1時間かけてゆっくりと添加した後、4時間さらに撹拌した。その後、蒸発器を用いてTHFを除去した後、エチルアセテート200mlを入れてH2Oとともにワークアップし、無機物を除去した。有機層にMgSO4を入れて残っているH2Oを除去した後、セライトフィルター(celite filter)で濾過し、蒸発乾燥させて中間生成物を得た。
(3)第3段階
フラスコに、上記第2段階の中間生成物25g、PtO20.18g、トリエトキシシラン11.7g、及びトルエン150mlを入れて5分間常温で撹拌した。その後、温度を80℃にして12時間加熱及び撹拌した。その後、常温に冷却し、セライトフィルターで濾過して無機物を除去した。トルエンを蒸発乾燥により除去し、真空ポンプを用いて完全に乾燥させて最終目的物(A‐6)を得た。
‐合成例31に用いられた合成反応は下記のとおりである。
合成例32〜合成例34:2種のアルコキシシリル基を有するアルコキシシリル化合物
(B‐6〜D‐6)(方法8)
使用した反応物の量を除き、上記の合成例31と同様の方法により反応を行うことで、2種のアルコキシシリル基を有する式B‐6〜D‐6のアルコキシシリル化合物を合成した。各合成段階で使用した反応物の量は下記表のとおりである。
(1)第1段階
(2)第2段階
(3)第3段階
‐上記合成例32に用いられた合成反応は下記のとおりである。
‐上記合成例33に用いられた合成反応は下記のとおりである。
‐上記合成例34に用いられた合成反応は下記のとおりである。
合成例35:2種のアルコキシシリル基を有するアルコキシシリル化合物(A‐7)(方法9)
(1)第1段階
二口フラスコに、ビスフェノールA(A)25g、アリルブロミド8.02g、及びテトラヒドロフラン(THF)83mlを入れて常温で撹拌した。その後、H2O83mlにNaOH2.65gを溶かした溶液を常温で3時間かけてゆっくりと添加した後、4時間さらに撹拌した。その後、蒸発器を用いてTHFを除去した後、エチルアセテート200mlを入れてH2Oとともにワークアップし、無機物を除去した。有機層にMgSO4を入れて残っているH2Oを除去した後、セライトフィルター(celite filter)で濾過し、蒸発乾燥させて中間生成物を得た。
(2)第2段階
フラスコに、上記第1段階の中間生成物25g、PtO20.14g、トリエトキシシラン10.59g、及びトルエン277mlを入れて5分間常温で撹拌した。その後、温度を80℃にして12時間加熱及び撹拌した。その後、常温に冷却し、セライトフィルターで濾過して無機物を除去した。トルエンを蒸発乾燥により除去し、真空ポンプを用いて完全に乾燥させて中間生成物を得た。
(3)第3段階
フラスコに、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)5.55g、トリエトキシシリルプロピルイソシアネート10.63g、及びメチレンクロリド86mlを常温で撹拌した。その後、第2段階の中間生成物25gを64mlのメチレンクロリドに溶解させた溶液を60℃で6時間かけてゆっくりと添加した。その後、9時間さらに撹拌した。反応終了後、常温に冷やした溶液をH2Oを用いてワークアップし、有機層を分離して、MgSO4を入れて残っているH2Oを除去した後、濾過し、蒸発乾燥して最終目的物(A‐7)を得た。
‐合成例35に用いられた合成反応は下記のとおりである。
合成例36〜合成例38:2種のアルコキシシリル基を有するアルコキシシリル化合物(B‐7〜D‐7)(方法9)
使用した反応物の量を除き、上記の合成例35と同様の方法により反応を行うことで、2種のアルコキシシリル基を有する式B‐7〜D‐7のアルコキシシリル化合物を合成した。各合成段階で使用した反応物の量は下記表のとおりである。
(1)第1段階
(2)第2段階
(3)第3段階
‐上記合成例36に用いられた合成反応は下記のとおりである。
‐上記合成例37に用いられた合成反応は下記のとおりである。
‐上記合成例38に用いられた合成反応は下記のとおりである。
合成例39:4つのアルコキシシリル基を有するアルコキシシリル化合物(A‐8)(方法10)
(1)第1段階
二口フラスコに、ビスフェノールA(A)25g、アリルブロミド16.25g、及びテトラヒドロフラン(THF)83mlを入れて常温で撹拌した。その後、H2O83mlにNaOH5.37gを溶かした溶液を常温で3時間かけてゆっくりと添加した後、4時間さらに撹拌した。その後、蒸発器を用いてTHFを除去した後、エチルアセテート200mlを入れてH2Oとともにワークアップして無機物を除去した。有機層にMgSO4を入れて残っているH2Oを除去した後、セライトフィルター(celite filter)で濾過し、蒸発乾燥させて中間生成物を得た。
(2)第2段階
フラスコに、上記第1段階の中間生成物である4,4’‐(プロパン‐2,2‐ジイル)ビス((アリルオキシ)ベンゼン)25gを入れて180℃で8時間反応させることで、クライゼン転位(Claisen rearrangement)が行われた4,4’
‐(プロパン‐2,2‐ジイル)ビス(2‐アリルフェノール)を得た。
(3)第3段階
二口フラスコに、上記第2段階の中間生成物である4,4’‐(プロパン‐2,2‐ジイル)ビス(2‐アリルフェノール)25g、アリルブロミド13.18g、及びテトラヒドロフラン(THF)68mlを入れて常温で撹拌した。その後、H2O68mlにNaOH4.36gを溶かした溶液を常温で3時間かけてゆっくりと添加した後、4時間さらに撹拌した。その後、蒸発器を用いてTHFを除去した後、エチルアセテート200mlを入れてH2Oとともにワークアップして無機物を除去した。有機層にMgSO4を入れて残っているH2Oを除去した後、セライトフィルター(celite filter)で濾過し、蒸発乾燥させて中間生成物を得た。
(4)第4段階
フラスコに、第3段階の中間生成物である4,4’‐(プロパン‐2,2‐ジイル)ビス(2‐アリル‐1‐(アリルオキシ)ベンゼン)25gを入れて180℃で8時間反応させることで、クライゼン転位(Claisen rearrangement)が行われた4,4’‐(プロパン‐2,2‐ジイル)ビス(2、6‐ジアリルフェノール)を得た。
(5)第5段階
フラスコに、第4段階の中間生成物25g、PtO20.10g、トリエトキシシラン30.36g、及びトルエン214mlを入れて5分間常温で撹拌した。その後、温度を80℃にして12時間加熱及び撹拌した。その後、常温に冷却し、セライトフィルターで濾過して無機物を除去した。トルエンを蒸発乾燥により除去し、真空ポンプを用いて完全に乾燥させて最終目的物(A‐8)を得た。
‐合成例39に用いられた合成反応は下記のとおりである。
合成例40〜42:4つのアルコキシシリル基を有する化合物(B‐8〜D‐8)(方法10)
使用した反応物の量を除き、上記の合成例39と同様の方法により反応を行うことで、4つのアルコキシシリル基を有する式B‐8〜D‐8のアルコキシシリル化合物を合成した。各合成段階で使用した反応物の量は下記表のとおりである。
(1)第1段階
(2)第2段階
化合物B‐8〜D‐8の合成のための第2段階反応では、第1段階の生成物のみで反応を行った。
(3)第3段階
(4)第4段階
化合物B‐8〜D‐8の合成のための第2段階反応では、第3段階の生成物のみで反応を行った。
(5)第5段階
‐上記合成例40に用いられた合成反応は下記のとおりである。
‐上記合成例41に用いられた合成反応は下記のとおりである。
‐上記合成例42に用いられた合成反応は下記のとおりである。
合成例43:6つのアルコキシシリル基を有する化合物(A‐9)(方法11)
(1)第1段階
二口フラスコに、合成例39の第4段階反応後の中間生成物25g、アリルブロミド11.18g、及びテトラヒドロフラン(THF)58mlを入れて常温で撹拌した。その後、H2O58mlにNaOH3.70gを溶かした溶液を常温で3時間かけてゆっくりと添加した後、4時間さらに撹拌した。その後、蒸発器を用いてTHFを除去した後、エ
チルアセテート200mlを入れてH2Oとともにワークアップして無機物を除去した。有機層にMgSO4を入れて残っているH2Oを除去した後、セライトフィルター(celite filter)で濾過し、蒸発乾燥させて中間生成物を得た。
(2)第2段階
フラスコに、上記第1段階の中間生成物25g、PtO20.09g、トリエトキシシラン39.54g、及びトルエン186mlを入れて5分間常温で撹拌した。その後、温度を80℃にして12時間加熱及び撹拌した。その後、常温に冷却し、セライトフィルターで濾過して無機物を除去した。トルエンを蒸発乾燥により除去し、真空ポンプを用いて完全に乾燥させて最終目的物(A‐9)を得た。
‐合成例43に用いられた合成反応は下記のとおりである。
合成例44〜46:6つのアルコキシシリル基を有する化合物(B‐9〜D‐9)(方法11)
使用した反応物の量を除き、上記の合成例43と同様の方法により反応を行うことで、6つのアルコキシシリル基を有する式B‐9〜D‐9のアルコキシシリル化合物を合成した。各合成段階で使用した反応物の量は下記表のとおりである。
(1)第1段階
(2)第2段階
‐上記合成例44に用いられた合成反応は下記のとおりである。
‐上記合成例45に用いられた合成反応は下記のとおりである。
‐上記合成例46に用いられた合成反応は下記のとおりである。
合成例47:4つのアリル基と2つのアルコキシシリル基を有する化合物(Carbamate、A‐10)(方法12)
フラスコに、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)11.94g、トリエトキシシリルプロピルイソシアネート22.85g、及びメチレンクロリド46mlを常温で撹拌した。その後、合成例39の第4段階反応後の中間生成物25gを46mlのメチレンクロリドに溶解させた溶液を60℃で6時間かけてゆっくりと添加した後、9時間さらに撹拌した。反応終了後、常温に冷やした溶液をH2Oを用いてワークアップし、有機層を分離して、MgSO4を入れて残っているH2Oを除去した後、濾過し、蒸発乾燥して中間生成物を得た。
‐合成例47に用いられた合成反応は下記のとおりである。
合成例48〜50:4つのアリル基と2つのアルコキシシリル基を有する化合物(Carbamate、B‐10〜D‐10)(方法12)
使用した反応物の量を除き、上記の合成例47と同様の方法により反応を行うことで、4つのアリル基と2つのアルコキシシリル基を有する式B‐10〜D‐10のアルコキシシリル化合物を合成した。各合成段階で使用した反応物の量は下記表のとおりである。
‐上記合成例48に用いられた合成反応は下記のとおりである。
‐上記合成例49に用いられた合成反応は下記のとおりである。
‐上記合成例50に用いられた合成反応は下記のとおりである。
合成例51:2種のアルコキシシリル基を有する化合物(A‐11)(方法13)
(1)第1段階
フラスコに、合成例39の第4段階反応後の中間生成物25g、PtO20.10g、トリエトキシシラン30.36g、及びトルエン214mlを入れて5分間常温で撹拌した。その後、温度を80℃にして12時間加熱及び撹拌した。その後、常温に冷却し、セライトフィルターで濾過して無機物を除去した。トルエンを蒸発乾燥により除去し、真空ポンプを用いて完全に乾燥させて中間生成物を得た。
(2)第2段階
フラスコに、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)5.39g、トリエトキシシリルプロピルイソシアネート10.32g、及びメチレンクロリド20mlを常温で撹拌した。その後、第1段階の中間生成物25gを20mlのメチレンクロリドに溶解させた溶液を60℃で6時間かけてゆっくりと添加した後、9時間さらに撹拌した。反応終了後、常温に冷やした溶液をH2Oを用いてワークアップし、有機層を分離して、MgSO4を入れて残っているH2Oを除去した後、濾過し、蒸発乾燥して中間生成物を得た。
‐合成例51に用いられた合成反応は下記のとおりである。
合成例52〜54:2種のアルコキシシリル基を有する化合物(B‐11〜D‐11)(方法13)
使用した反応物の量を除き、上記の合成例51と同様の方法により反応を行うことで、2種のアルコキシシリル基を有する式B‐11〜D‐11のアルコキシシリル化合物を合成した。各合成段階で使用した反応物の量は下記表のとおりである。
(1)第1段階
(2)第2段階
‐上記合成例52に用いられた合成反応は下記のとおりである。
‐上記合成例53に用いられた合成反応は下記のとおりである。
‐上記合成例54に用いられた合成反応は下記のとおりである。
合成例55:ビスフェノールA系コアを有するシリル化合物の合成
500mlのフラスコに、出発物質22.61g、トリエトキシシラン29.75ml、白金酸化物337mg、及びテトラヒドロフラン60mlを入れて混合した後、アルゴンが充填された状態で60℃で3時間撹拌した。反応後、得られた粗生成物をセライト濾過し、蒸発器を用いて溶媒を除去して、最終目的物であるアルコキシシリル基を含むビスフェノールA化合物を得た。反応スキーム及び得られた最終生成物のNMRデータは次のとおりである。
1H NMR(400MHz,DMSO):δ=0.53(t,J=8.0Hz,4H),1.11(t,J=4.0Hz,18H),1.51‐1.57(m,10H),2.44‐2.48(m,4H),3.70(dd,J=8.0Hz,12H),6.62‐6.68(m,2H),6.78‐6.85(m,4H),8.94(br,2H).
合成例56:ビフェニル系コアを有するシリル化合物の合成
500mlのフラスコに、出発物質22.67g、トリエトキシシラン34.54ml
、白金酸化物389mg、及びテトラヒドロフラン60mlを入れて混合した後、アルゴンが充填された状態で60℃で3時間撹拌した。反応後、得られた粗生成物をセライト濾過し、蒸発器を用いて溶媒を除去して、最終目的物であるアルコキシシリル基を含むビフェニル化合物を得た。反応スキーム及び得られた最終生成物のNMRデータは次のとおりである。
1H NMR(400MHz,DMSO):δ=0.60(t,J=8.0Hz,4H),1.13(t,J=4.0Hz,18H),1.55‐1.66(m,4H),2.55‐2.59(m,4H),3.74(dd,J=8.0Hz,12H),6.78‐6.84(m,2H),7.16‐7.24(m,4H),9.20(br,2H).
合成例57:ナフタレン系コアを有するシリル化合物の合成
500mlのフラスコに、出発物質15.78g、トリエトキシシラン26.65ml、白金酸化物301mg、及びテトラヒドロフラン60mlを入れて混合した後、アルゴンが充填された状態で60℃で3時間撹拌した。反応後、得られた粗生成物をセライト濾過し、蒸発器を用いて溶媒を除去して、最終目的物であるアルコキシシリル基を含むビフェニル化合物を得た。反応スキーム及び得られた最終生成物のNMRデータは次のとおりである。
1H NMR(400MHz,DMSO):δ=0.53(t,J=8.0Hz,4H),1.11(t,J=4.0Hz,18H),1.51‐1.57(m,4H),2.44‐2.48(m,4H),3.70(dd,J=8.0Hz,12H),7.08‐7.11(m,2H),7.59‐7.64(m,2H),8.79(br,2H).
合成例58:トリフェニルメタン系コアを有するシリル化合物の合成
フラスコに、4,4’,4’’‐トリヒドロキシトリフェニルメタン(E)25g及びテトラヒドロフラン(THF)500mlを入れて常温で撹拌した。その後、トリエトキシシリルプロピルイソシアネート42.3gを常温で30分間添加した後、常温で20時間反応させた。反応終了後、蒸発器(evaporator)を用いて溶媒を除去した後、真空オーブンを用いて完全に乾燥して最終目的物を得た。反応スキーム及び得られた最終生成物のNMRデータは次のとおりである。
1H NMR(400MHz,DMSO):δ=9.48(br.s,1H),7.89‐7.86(m,2H),7.05‐6.97(m,4H),6.84‐6.80(m,4H),6.75‐6.69(m,4H),5.65(s,0.25H),5.51(s,0.47H),5.34(s,0.17H),5.18(s,0.11H),3.83(q,12H,J=6.8Hz),3.26(q,4H,J=6.8Hz),1.74‐1.66(m,4H),1.24(t,18H,J=7.2Hz),0.70‐0.66(m,4H)
合成例59:テトラフェニルエタン系コアを有するシリル化合物の合成
フラスコに、4,4’,4’’,4’’’‐テトラヒドロキシテトラフェニルエタン(F)25g及びテトラヒドロフラン(THF)500mlを入れて常温で撹拌した。その後、トリエトキシシリルプロピルイソシアネート31.0gを常温で30分間添加した後、常温で20時間反応させた。反応終了後、蒸発器(evaporator)を用いて溶媒を除去した後、真空オーブンを用いて完全に乾燥して最終目的物を得た。反応スキーム及び得られた最終生成物のNMRデータは次のとおりである。
1H NMR(400MHz,DMSO):δ=9.50(s,2H),7.90‐7.87(m,2H),7.31‐7.11(m,12H),6.75‐6.66(m,4H),4.57‐4.55(m,2H),3.83(q,12H,J=6.8Hz),3.36‐3.32(m,4H),1.74‐1.66(m,4H),1.24(t,18H,J=7.2Hz),0.70‐0.66(m,4H)
合成例60:ビスナフタレン系コアを有するシリル化合物の合成
フラスコに、1,1’‐メチレンジナフタレン‐2,7‐ジオール(G)25g及びテトラヒドロフラン(THF)500mlを入れて常温で撹拌した。その後、トリエトキシシリルプロピルイソシアネート37.2gを常温で30分間添加した後、常温で20時間反応させた。反応終了後、蒸発器(evaporator)を用いて溶媒を除去した後、真空オーブンを用いて完全に乾燥して最終目的物を得た。反応スキーム及び得られた最終生成物のNMRデータは次のとおりである。
1H NMR(400MHz,DMSO):δ=9.51(s,2H),7.91‐7.87(m,2H),7.48‐7.41‐7.33(m,6H),6.96‐6.84(m,4H),4.50(s,2H),3.84(q,12H,J=6.8Hz),3.36‐3.30(m,4H),1.75‐1.67(m,4H),1.23(t,18H,J=7.2Hz),0.71‐0.66(m,4H)
物性評価
1.ガラス繊維複合体の製造
下記表22の配合組成物を、固形分含量が40wt%〜50wt%となるようにメチルエチルケトンに溶かした後、均一な溶液となるように混合して得られた混合物にガラス繊維(T‐glass 2116、日東紡製)を浸漬することで、ガラス繊維複合物を製造した。その後、上記複合物を100℃に加熱された真空オーブンに入れて溶媒を除去した後、ホットプレスで硬化させることで、実施例1〜37及び比較例1のガラス繊維複合体フィルム(4mm×16mm×0.1mm)を得た。複合体フィルムの製造時に、プレスの圧力とレジンの粘度に応じて複合体フィルムのレジン含量を調節した。複合体フィルムのレジン含量は、下記表22に示したとおりである。この際、下記表22のポリビニルアセタールは、配合組成物をメチルエチルケトンに溶かす時にともに混合するものであって、硬化物のクラックを抑えるための添加剤として用いられたものである。
2.エポキシフィラー複合体(硬化物)の製造
下記表23の組成に従って、固形分含量が40wt%となるようにメチルエチルケトンに溶かして混合液を製造した。この際、シリカとしては、2‐メトキシエタノール溶媒に分散されたスラリーを使用した。上記混合液を1500rpmの速度で1時間混合した後、硬化剤を入れてさらに50分間混合した。その後、これに、最後に硬化触媒を入れて10分間さらに混合してエポキシ混合物を得た。上記混合物を100℃に加熱された真空オーブンに入れて溶媒を除去した後、予熱されたホットプレスで硬化させることで、エポキシフィラー(無機粒子)複合体(5mm×5mm×3mm)の実施例38〜50を得た。
3.耐熱特性の評価
上記実施例及び比較例で得られた複合体の温度による寸法変化を熱‐機械分析機(Thermo‐mechanical Analysizer)を用いて評価し、下記表22及び表23に示した。アルコキシシリル化合物のガラス繊維複合体フィルムの試験片は4×16×0.1(mm3)のサイズに、エポキシフィラー複合体の試験片は5×5×3(mm3)のサイズに製造した。下記の表22及び表23において、Tgレスは、ガラス転移温度を示さないことを意味する。実施例34及び比較例1の温度による寸法変化を図1に示し、実施例1及び比較例1の温度による寸法変化を図2に示した。
注:上記表22及び23で用いられた化合物は次のとおりである。
(1)DGEBA:ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(Diglycidyl
ether of bisphenol A、Aldrich社製、Mw=377)
(2)EXA4700:ジナフタレン系エポキシ(EEW=162)
(3)YX4000H:ビフェニル系エポキシ
(4)polydis:ゴム変性エポキシ(Strruktol社製)
(5)HF‐1M:フェノールノボラック系硬化剤(Meiwa Plastic Industries製、HEW=107)
(6)TPP:トリフェニルホスフィン(Aldrich社製)
(7)2E4MZ:2‐エチル‐4‐メチルイミダゾール(Aldrich社製)
上記表22に示したように、本発明によるアルコキシシリル化合物を含む実施例1〜実施例37のガラス繊維複合体は、本発明のアルコキシシリル化合物を含まない比較例1のガラス繊維複合体に比べて低いCTEを有することが分かった。具体的に、図1に示したように、製造された実施例34のアルコキシシリル化合物のガラス繊維複合体は、温度による寸法変化の幅が小さく、比較例1のガラス繊維複合体のCTEに比べてCTEが大きく減少したことが分かった。また、ガラス転移温度を示す比較例1と異なって、ガラス転移温度が観察されないTgレス転移特性を示し、比較例に比べて著しく優れた熱的特性を有することが分かった。
上記表22の一部配合ではガラス転移温度が観察される。しかし、図2から確認できるように、比較例1のガラス繊維複合体には、ガラス転移温度前後の物性差が明らかに観察される。しかし、ガラス転移が観察される実施例1の場合は、ガラス転移温度前後の物性差が大きくないことが分かる。
上記表23及び図3に示したように、本発明によるアルコキシシリル化合物を含む実施例38〜実施例40のフィラー複合体は、本発明のアルコキシシリル化合物を含まない比較例2のフィラー複合体に比べて低いCTE及びTgレス転移特性を有することが分かった。
上記表22の実施例1と比較例1の複合体のストリップに点火し、これらストリップが燃焼された写真を図4に示した。図4に示したように、本発明によるアルコキシシリル複合体のストリップは、何れも1秒〜2秒以内に自然消化した。しかし、アルコキシシリル基を有しない比較例1の複合体のストリップは最後まで燃えて完全燃焼した。このことから、本発明によるアルコキシシリル化合物を含む硬化物が優れた難燃性を有することが分かった。
本発明は上述の実施形態及び添付の図面によって限定されない。添付の特許請求の範囲によって権利範囲を限定することとし、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な形態の置換、変形及び変更が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者に明らかである。

Claims (3)

  1. 電子材料、基板、フィルム、積層板、プリント配線板、半導体装置、パッケージング材料、接着剤、塗料、複合材料又はプリプレグに用いるための組成物であって、
    下記式AIで表され、少なくとも2つ以上のアルコキシシリル基を有するアルコキシシリル化合物;

    (前記式AIの置換基a及びbは、それぞれ独立して、下記式S1、S2、水素、及びC110アルケニル(alkenyl)基からなる群から選択され、置換基c〜fは、それぞれ独立して、下記式S1、水素、C110アルキル基、C110アルケニル(alkenyl)基及びC630アリール(aryl)基からなる群から選択され、前記a〜fのうち少なくとも2つの置換基は、下記式S1及びS2からなる群から選択され;
    前記式AIにおいて、Yは、‐CH2‐、‐C(CH32‐、‐C(CF32‐、‐S‐または‐SO2‐であ
    [化S1]
    ‐(CH2z‐SiR123
    [化S2]
    ‐CONH(CH2z‐SiR123
    前記式S1及びS2において、R1〜R3のうち少なくとも1つは炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシ基であり、残りは炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であり、zは3〜10の整数である。)
    エポキシ化合物;
    無機粒子及び繊維からなる群から選択される少なくとも1種の充填剤;及び
    エポキシ化合物用硬化剤を含む組成物(但し、前記アルコキシシリル化合物が、前記充填剤の表面処理剤として含まれる場合を除く。)。
  2. 前記式AI置換基a及びbのうち少なくとも1つは水素であり、置換基c〜fのうち少なくとも2つは式S1である、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記アルコキシシリル化合物のアルコキシ基と前記エポキシ化合物のエポキシ基とのモル比が0.1〜10:1である、請求項1に記載の組成物。
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