JP2751568B2 - シラン化合物 - Google Patents

シラン化合物

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JP2751568B2
JP2751568B2 JP14033690A JP14033690A JP2751568B2 JP 2751568 B2 JP2751568 B2 JP 2751568B2 JP 14033690 A JP14033690 A JP 14033690A JP 14033690 A JP14033690 A JP 14033690A JP 2751568 B2 JP2751568 B2 JP 2751568B2
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【発明の詳細な説明】 (イ)発明の目的 〔産業上の利用分野〕 本発明は、高機能発現単量体として有用な新規なシラ
ン化合物及びその中間体として有用な新規なシラン化合
物に関するものである。
〔従来の技術〕
従来、末端に活性シリル基を有する化合物が、シーリ
ング剤又はコーティング剤等の広範な分野で用いられて
いる。
しかしながら、近年ますます高い性能、高耐熱性、高
機械的強度及び高硬度等が要求されるようになってお
り、現存するシラン化合物は、これら種々の要求に対し
て必ずしも満足のいくものではない。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、上述の従来技術の状況に鑑み、高耐熱性、
高機械的強度及び高硬度等を有する機能性高分子材料と
なり得る高機能発現単量体として、新規なシラン化合物
を提供することを目的とする。
(ロ)発明の構成 〔課題を解決する為の手段〕 本発明者等は、かかる目的を達成すべく種々検討した
結果、新規な高機能発現単量体として、下記一般式
〔I〕で示されるシラン化合物を見出し、又その中間体
として有用な下記一般式〔II〕で示される化合物を見出
した。
即ち、本発明は下記一般式〔I〕で示される化合物 〔式中R1は水素原子又はメチル基であり、R2は低級ア
ルコキシ基であり、R3は低級アルキル基又は水素原子で
あり、Xは−S−、−SO2−、−O−、−CONH−、−CH
=CH−、−CH2CH2−、 又は (R4及びR5は水素原子、フッ素原子、メチル基、エチ
ル基、トリフルオロメチル基又はトリクロロメチル基で
あり、互いに同じであっても違ってもよい)であり、p
及びqはいずれも0〜3の整数であり、p又はqのうち
少なくとも一つは1以上であり、mは0又は1であ
る。〕 及び一般式〔II〕で示される化合物である。
〔式中R1、R3、X、p、q及びmの意味は、特許請求
の範囲第1項に記載されたものと同じである。〕 一般式〔I〕におけるR2はメトキシ基、エトキシ基、
プロポキシ基又はブトキシ基等の低級アルコキシ基であ
り、R3はメチル基、エチル基、プロピル基等の低級アル
キル基、又は水素原子であり、一般式〔I〕で示される
本発明の化合物としては、例えば以下のものがある。
即ち、N,N,N′,N′−テトラ(3−トリメトキシシリ
ルプロピル)ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、
N,N,N′,N′−テトラ(3−ジメトキシメチルシリル−
2−メチルプロピル)ビス(4−アミノフェニル)スル
ホン、N,N,N′,N′−テトラ(3−ジエトキシエチルシ
リルプロピル)ビス(4−アミノフェニル)エーテル、
4,4′−ビス〔N,N,N′,N′−テトラ(3−ジプロポキシ
メチルシリル−2−メチルプロピル〕アミノベンズアニ
リド、N,N,N′,N′−テトラ(3−ジメトキシプロピル
シリルプロピル)−1,2−ビス(4−アミノフェニル)
エチレン、N,N,N′,N′−テトラ(3−トリメトキシプ
ロピルシリル−2−メチルプロピル)−1,2−ビス(4
−アミノフェニル)エタン、N,N,N′,N′−テトラ(3
−トリメトキシシリルプロピル)−2,2−ビス〔4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、1,1,1,
3,3,3−ヘキサフルオロ−〔N,N,N′,N′−テトラ(3−
トリメトキシシリルプロピル)〕−2,2−ビス〔4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、N,N,
N′,N′−テトラ(3−トリメトキシシリルプロピル)
ビス(4−アミノフェニル)メタン,N,N,N′,N′−テト
ラ(3−トリメトキシシリル−2−メチルプロピル)ビ
ス(4−アミノフェニル)メタン、N,N,N′,N′−テト
ラ(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)ビス(4−
アミノフェニル)メタン、N,N,N′,N′−テトラ(3−
ジメトキシメチルシリル−2−メチルプロピル)ビス
(4−アミノフェニル)メタン、N,N,N′,N′−テトラ
(3−ジメトキシエチルシリル−2−メチルプロピル)
ビス(4−アミノフェニル)メタン、N,N′−ビス(3
−トリメトキシシリルプロピル)−N,N′−ビス(3−
トリエトキシシリルプロピル)−2,2−ビス(4−アミ
ノフェニル)メタン、N,N,N′,N′−テトラ(3−ジメ
トキシシリルプロピル)ビス(4−アミノフェニル)−
ジフルオロメタン、N,N,N′,N′−テトラ(3−ジメト
キシシリルプロピル)−2,2−ビス(4−アミノフェニ
ル)プロパン、N,N−ビス(3−トリメトキシシリルプ
ロピル)−N′,N′−ビス(3−トリエトキシシリルプ
ロピル)−2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパ
ン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−〔N,N,N′,N′−テ
トラ(3−トリメトキシシリル−2−メチルプロピ
ル)〕−2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、
N,N,N′,N′−テトラ(3−トリメトキシシリル−2−
メチルプロピル)−1,1−ビス(4−アミノフェニル)
プロパン、N,N,N′,N′−テトラ(3−トリメトキシシ
リル−2−メチルプロピル)−3,3−ビス(4−アミノ
フェニル)ペンタン等がある。
又、一般式〔II〕で示される本発明の化合物として
は、例えば以下のものがある。
即ち、N,N,N′,N′−テトラ(3−トリクロロシリル
プロピル)ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、N,
N,N′,N′−テトラ(3−ジクロロメチルシリル−2−
メチルプロピル)ビス(4−アミノフェニル)スルホ
ン、N,N,N′,N′−テトラ(3−ジメチルクロロシリル
プロピル)ビス(4−アミノフェニル)エーテル、4,
4′−ビス〔N,N,N′,N′−テトラ(3−トリクロロシリ
ル−2−メチルプロピル〕アミノベンズアニリド、N,N,
N′,N′−テトラ(3−ジクロロメチルシリル−2−メ
チルプロピル)−1,2−ビス(4−アミノフェニル)エ
チレン、N,N,N′,N′−テトラ(3−トリクロロシリル
−2−メチルプロピル)−1,2−ビス(4−アミノフェ
ニル)エタン、N,N,N′,N′−テトラ(3−ジクロロメ
チルシリル−2−メチル−プロピル)ビス(4−アミノ
フェニル)メタン、N,N,N′,N′−テトラ(3−トリク
ロロシリル−2−メチルプロピル)ビス(4−アミノフ
ェニル)メタン、N,N′−ビス(3−ジクロロエチルシ
リルプロピル)−N,N′−ビス(3−ジクロロメチルシ
リルプロピル)2,2−ビス(4−アミノフェニル)メタ
ン、N,N,N′,N′−テトラ(3−トリクロロシリル−2
−メチルプロピル)−2,2−ビス(4−アミノフェニ
ル)プロパン、N,N−ビス(3−ジクロロエチルシリル
プロピル)−N′,N′−ビス(3−ジクロロメチルシリ
ルプロピル)−2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロ
パン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−〔N,N,N′,N′−
テトラ(3−トリクロロシリル−2−メチルプロピ
ル)〕−2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、
N,N,N′,N′−テトラ(3−ジクロロメチルシリル−2
−メチルプロピル)−1,1−ビス(4−アミノフェニ
ル)プロパン、N,N,N′,N′−テトラ(3−ジクロロエ
チルシリルプロピル)−3,3−ビス(4−アミノフェニ
ル)ペンタン等がある。
前記一般式〔I〕で示される化合物(以下単に化合物
〔I〕という)のうち、R1が水素原子である化合物は、
特開昭59-223372号公報に記載された反応と同様に、例
えば下記反応式(1)で示される反応〔以下単に反応
(1)という〕の如く、アリル化合物〔III〕とシリル
化剤〔IV〕とを塩化白金酸6水和物の存在下で反応させ
ることにより、容易に製造できる。
〔式中p′及びq′は何れも0〜3の整数であり、
p′又はq′のうちの少なくとも一方は1以上であり、
R2、R3、X、p、q及びmの意味は、前記一般式〔I〕
におけるものと同じである。〕 一方、一般式〔I〕におけるR1がメチル基である化合
物は、上記反応(1)によっては合成できず、後述のと
おり、一般式〔II〕で示される化合物(以下単に化合物
〔II〕という)を経由する、下記反応式(2)及び反応
式(3)で示される反応〔以下各々単に反応(2)及び
反応(3)という〕によって容易に合成できる。
以下にまず、一般式〔I〕におけるR1が水素原子であ
る化合物〔I〕の製造方法の一例について詳しく説明す
る。
出発物質であるアリル化合物〔III〕をトルエン又は
ベンゼン等の有機溶媒に溶かし、塩化白金酸6水和物、
アゾビスイソブチロニトリル又は過酸化ベンゾイル等の
ラジカル反応開始剤の存在下にシリル化剤〔IV〕を滴加
することにより反応せしめると、容易に化合物〔I〕を
製造することができる。シリル化剤〔IV〕の好ましい反
応比率は、アリル化合物〔III〕の1モル当たり2〜3
モルである。上記ラジカル反応開始剤の好ましい使用量
は、触媒として作用する量であればよく、例えば塩化白
金酸6水和物の場合には、アリル化合物〔III〕の1モ
ル当たり、0.05〜0.2ミリモルとすればよい。
反応(1)の好ましい反応温度は、着色を防ぐため、
0〜110℃、より好ましくは40〜60℃である。反応
(1)は10時間程度でほとんど完結するが、ガスクロマ
トグラフィー、1H−核磁気共鳴スペクトル又は13C−核
磁気共鳴スペクトル等で、反応の終結を確認するのが望
ましい。
反応(1)に用いるアリル化合物〔III〕の好ましい
例としては、N,N,N′,N′−テトラ(2−プロペニル)
ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、N,N,N′,N′
−テトラ(2−プロペニル)ビス(4−アミノフェニ
ル)スルホン、N,N,N′,N′−テトラ(2−プロペニ
ル)ビス(4−アミノフェニル)エーテル、4,4′−ビ
ス〔N,N,N′,N′−テトラ(2−プロペニル)〕アミノ
ベンズアニリド、N,N,N′,N′−テトラ(2−プロペニ
ル)−1,2−ビス(4−アミノフェニル)エチレン、N,
N,N′,N′−テトラ(2−プロペニル)−1,2−ビス(4
−アミノフェニル)エタン、N,N,N′,N′−テトラ(2
−プロペニル)−2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノ
キシ)フェニル〕プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフル
オロー〔N,N,N′,N′−テトラ(2−プロペニル)〕−
2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕
プロパン、N,N,N′,N′−テトラ(2−プロペニル)ビ
ス(4−アミノフェニル)メタン、N,N,N′,N′−テト
ラ(2−プロペニル)ビス(4−アミノフェニル)−ジ
フルオロメタン、N,N,N′,N′−テトラ(2−プロペニ
ル)−1,1−ビス(4−アミノフェニル)プロパン及び
N,N,N′,N′−テトラ(2−プロペニル)−3,3−ビス
(4−アミノフェニル)ペンタン等がある。
化合物〔I〕は、分子両末端に少なくとも1個の低級
アルコキシ基を有しておればよく、この条件を満足すれ
ば、アリル化合物〔III〕の1モル当たり4モル反応さ
せるシリル化剤〔IV〕として、1分子当たり0〜3個の
低級アルコキシ基を有する種々のシリル化剤〔IV〕を同
時に反応させることができる。
反応(1)に用いるシリル化剤〔IV〕の好ましい例と
しては、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、ト
リプロポキシシラン、ジメトキシメチルシラン、ジエト
キシメチルシラン、ジプロポキシメチルシラン、ジメチ
ルメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、トリクロ
ロシラン及びジクロロメチルシラン等がある。
かくして得られた化合物〔I〕は、精製せずともその
まま湿気硬化性材料等に利用できるが、必要に応じて減
圧蒸留等の手段により精製を行ってもよい。
次に、R1がメチル基である化合物〔I〕の製造方法の
一例を説明する。
下記反応(2)及び反応(3)の如く、メタリル化合
物〔V〕とシリル化剤〔VI〕とを、塩化白金酸6水和物
の存在下で反応させることにより、化合物〔II〕を合成
し、さらに化合物〔II〕を塩基存在下でアルコール〔VI
I〕と反応させることにより、化合物〔I〕を容易に製
造することができる。
〔式中p′及びq′は何れも0〜3の整数であり、
p′又はq′のうちの少なくとも一方は1以上であり、
R1、R3、X、p、q及びmの意味、は前記と同じであ
る。〕 このR1がメチル基であるシラン化合物〔I〕の製造方
法についてさらに詳しく説明すると、出発物質であるメ
タリル化合物〔V〕をトルエン、ベンゼン等の有機溶媒
に溶かし、塩化白金酸6水和物の存在下にシリル化剤
〔VI〕を滴加することにより反応せしめると、容易に化
合物〔II〕を製造することができる。シリル化剤〔VI〕
の好ましい反応比率は、メタリル化合物〔V〕の1モル
当たり2〜4モルである。上記ラジカル反応開始剤の好
ましい使用量は、触媒として作用する量であればよく、
例えば塩化白金酸6水和物の場合には、メタリル化合物
〔V〕の1モル当たり、0.05〜0.2ミリモルとすればよ
い。
反応(2)の好ましい反応温度は−90〜110℃、より
好ましくは0〜60℃である。反応(2)は6時間程度で
ほとんど完結するが、ガスクロマトグラフィー、1H−核
磁気共鳴スペクトル、13C−核磁気共鳴スペクトル等で
反応の終結を確認するのが望ましい。
反応(2)に用いるメタリル化合物〔V〕の好ましい
例としては、N,N,N′,N′−テトラ(2−メチル−2−
プロペニル)ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、
N,N,N′,N′−テトラ(2−メチル−2−プロペニル)
ビス(4−アミノフェニル)スルホン、N,N,N′,N′−
テトラ(2−メチル−2−プロペニル)ビス(4−アミ
ノフェニル)エーテル、4,4′−ビス〔N,N,N′,N′−テ
トラ(2−メチル−2−プロペニル)〕アミノベンズア
ニリド、N,N,N′,N′−テトラ(2−メチル−2−プロ
ペニル)−1,2−ビス(2−メチル−4−アミノフェニ
ル)エチレン、N,N,N′,N′−テトラ(2−メチル−2
−プロペニル)−1,2−ビス(4−アミノフェニル)エ
タン、N,N,N′,N′−テトラ(2−メチル−2−プロペ
ニル)−2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル〕プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−
〔N,N,N′,N′−テトラ(2−メチル−2−プロペニ
ル)〕−2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル〕プロパン、N,N,N′,N′−テトラ(2−メチル
−2−プロペニル)ビス(4−アミノフェニル)メタ
ン、N,N,N′,N′−テトラ(2−メチル−2−プロペニ
ル)ビス(4−アミノフェニル)−ジフルオロメタン、
N,N,N′,N′−テトラ(2−メチル−2−プロペニル)
−1,1−ビス(4−アミノフェニル)プロパン及びN,N,
N′,N′−テトラ(2−メチル−2−プロペニル)−3,3
−ビス(4−アミノフェニル)ペンタン等がある。
反応(2)により得られる化合物〔II〕は、分子両末
端に少なくとも1個の塩素原子を有しておればよく、こ
の条件を満足すれば、メタリル化合物〔V〕の1モル当
たり4モル反応させるシリル化剤〔VI〕として、1分子
当たり0〜3個の塩素原子を有する種々のシリル化剤
〔VI〕を同時に反応させることができる。
反応(2)に用いるシリル化剤〔VI〕の好ましい例と
しては、トリクロロシラン、ジクロロシラン、ジクロロ
メチルシラン、ジクロロエチルシラン、ジクロロプロピ
ルシラン、ジメチルクロロシラン、ジエチルクロロシラ
ン及びジプロピルクロロシラン等がある。
かくして得られた化合物〔II〕は、精製せずともその
まま次の反応(3)に用いることができるが、必要に応
じて減圧蒸留等の手段により精製を行ってもよい。
上記のようにして得られた化合物〔II〕にアルコール
〔VII〕を加え、さらに塩基を滴加した後、副生する塩
を除去することにより、容易に化合物〔I〕を製造する
ことができる。
該反応(3)は発熱反応であるため、反応温度は−20
℃〜60℃が好ましい。反応(3)は2時間程度で完結す
るが、ガスクロマトグラフィー、1H−核磁気共鳴スペク
トル又は13C−核磁気共鳴スペクトル等で反応の終結を
確認するのが望ましい。
反応(3)に用いるアルコール〔VII〕の好ましい例
としては、メタノール、エタノール、n−プロパノー
ル、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノ
ール及びtert−ブタノール等があり、これらの単独もし
くは混合物として用いることができる。
また、反応(3)に用いるアルコール〔VII〕の量
は、化合物〔II〕の塩素原子と当量でもよいが、反応の
進行を早めるために過剰量(1.5〜5倍当量)用いるの
が好ましい。
反応(3)に用いる塩基の好ましい例としては、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム及び
水酸化マグネシウム等の固体塩基のアルコール溶液又は
ピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ジエ
チルアミン及びジメチルアミン等がある。
反応(3)により得られた化合物〔I〕をエーテル等
の溶媒で抽出する工程において、塩基が過剰に存在する
と化合物〔I〕と共に塩基が溶媒中に混入するため、高
純度の化合物〔I〕を得るには、反応(3)に用いる塩
基の量は、化合物〔II〕の塩基原子と当量程度とするこ
とが好ましい。
かくして得られた化合物〔I〕は、抽出又はロ過以外
の精製をせずとも、そのまま湿気硬化性材料等に利用で
きるが、必要に応じて減圧蒸留等の手段により精製を行
ってもよい。
本発明の化合物〔I〕を重合反応により硬化させるに
は、化合物〔I〕と水を反応させることにより、Siに結
合したアルコキシ基を加水分解させ、続いて脱水縮合さ
せることにより高分子化すればよい。
硬化反応に必要な水は微量でよく、空気中の水分でも
充分であるが、水を適宜加えても良い。
上記の硬化反応を促進させるために、一般的な縮重合
促進剤を添加することが好ましく、例えばシーリング剤
の硬化触媒として一般に使用されている化合物、例えば
ジブチルスズラウレート等の化合物と塩基、例えばトリ
エチルアミン又はピリジンを併用することが好ましい。
上記硬化反応は、上記促進剤を使用すれば、室温にお
いて充分進行するが、加熱して硬化反応を行うことは、
硬化反応を更に促進させることができること及び加水分
解により生じるアルコールを揮散させることにより、高
硬度の硬化物を得ることができる点で好ましい。
加熱温度としては、室温以上でかつ化合物〔I〕の熱
分解温度以下の温度であればよく、一般に40〜200℃の
温度範囲で加熱すれば充分である。
加熱時間は、化合物〔I〕の特性に応じて適宜調整す
ればよい。
本発明の化合物〔I〕は、それ自体を単独で湿気硬化
させるか又は各種の湿気硬化可能な化合物と混合して硬
化させることにより、種々の有用な重合体となり、熱的
安定性及び化学的安定性等に優れ、かつ高強度及び高硬
度な高分子材料として種々の分野での応用が期待でき、
特にシーリング剤又はコーティング剤等に有用である。
〔実施例及び比較例〕
以下実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に
説明する。
実施例1 〔N,N,N′,N′−テトラ(3−トリメトキシシリルプロ
ピル)ビス(4−アミノフェニル)メタンの合成〕 温度計、滴下漏斗及び還流管を取り付けた300ml三ツ
口フラスコに、N,N,N′,N′−テトラ(2−プロペニ
ル)ビス(4−アミノフェニル)メタン20g(0.056mo
l)、トルエン50ml及び塩化白金酸0.002gを入れ、溶解
するまで撹拌を続けた。その後トリメトキシシラン35g
(0.29mol)とトルエン50mlとを混合した溶液をゆっく
りと滴下し、滴下終了後更に60℃で10時間反応を続け
た。1H‐NMRスペクトルにより分析したところ、原料の
N,N,N′,N′−テトラ(2−プロペニル)ビス(4−ア
ミノフェニル)メタンのオレフィンの吸収は完全に消失
していた。
反応終了後、反応溶液を室温まで冷却し、トルエン及
び過剰のトリメトキシシランを濃縮することにより、N,
N,N′,N′−テトラ(3−トリメトキシシリルプロピ
ル)ビス(4−アミノフェニル)メタン44.1gを得た
(収率93%) 目的物が得られたことの確認を、質量スペクトル及び
赤外吸収スペクトル等によって行った。
〔質量スペクトル〕
実測値 m/e=847(計算値 m/e=847) 〔赤外吸収スペクトル〕 ν=3040cm-1 芳香族C−H伸縮 ν=2950cm-1 CH伸縮 ν=2900cm-1 CH伸縮 ν=2850cm-1 CH伸縮 ν=1362cm-1 アミン伸縮 ν=1190cm-1 Si-OCH3のSi-O伸縮 ν=1090cm-1 Si-OCH3のSi-O伸縮 実施例2 〔N,N,N′,N′−テトラ(3−トリクロロシリル−2−
メチルプロピル)ビス(4−アミノフェニル)メタンの
合成〕 温度計、滴下漏斗及び還流管を取り付けた300ml三ツ
口フラスコに、N,N,N′,N′−テトラ(2−メチル−2
−プロペニル)ビス(4−アミノフェニル)メタン20.0
g(0.048mol)、トルエン50ml及び塩化白金酸0.002gを
入れ、溶解するまで撹拌を続けた。その後トリクロロシ
ラン33.9g(0.25mol)とトルエン50mlとを混合した溶液
を0℃でゆっくりと滴下し、滴下終了後更に60℃で6時
間反応を続けた。1H‐NMRスペクトルにより分析したと
ころ、原料のN,N,N′,N′−テトラ(2−メチル−2−
プロペニル)ビス(4−アミノフェニル)メタンのオレ
フィンの吸収は完全に消失していた。
反応終了後、反応溶液を室温まで冷却し、トルエン及
び過剰のトリクロロシランを濃縮することにより、N,N,
N′,N′−テトラ(3−トリクロロシリル−2−メチル
プロピル)ビス(4−アミノフェニル)メタンを43.6g
得た(収率95%)。
目的物が得られたことの確認を、質量スペクトル等に
よって行った。
〔質量スペクトル〕
実測値 m/e=956(計算値 m/e=956) 実施例3 〔N,N,N′,N′−テトラ(3−トリメトキシシリル−2
−メチルプロピル)ビス(4−アミノフェニル)メタン
の合成〕 温度計、滴下漏斗及び還流管を取り付けた300ml三ツ
口フラスコに、実施例2で合成したN,N,N′,N′−テト
ラ(3−トリクロロシリル−2−メチルプロピル)ビス
(4−アミノフェニル)メタン20g(0.021mol)、メタ
ノール20.4mlを加え、0℃に保った。その後トリエチル
アミン25.5g(0.252mol)をゆっくりと滴下し、滴下終
了後、更に室温で2時間反応を続けた。
反応終了後、過剰のメタノールを減圧留去後、トリエ
チルアミン塩酸塩を除くために無水ジエチルエーテルを
加え、ろ過後ジエチルエーテルを減圧留去することによ
り、N,N,N′,N′−テトラ(3−トリメトキシシリル−
2−メチルプロピル)ビス(4−アミノフェニル)メタ
ンを18.2g得た(収率96%)。
目的物が得られたことの確認を、質量スペクトル及び
赤外吸収スペクトル等によって行った。
〔質量スペクトル〕
実測値 m/e=903(計算値 m/e=903) 〔赤外吸収スペクトル〕 ν=3045cm-1 芳香族C−H伸縮 ν=2960cm-1 CH伸縮 ν=1900cm-1 CH伸縮 ν=2850cm-1 CH伸縮 ν=1360cm-1 アミン伸縮 ν=1190cm-1 Si-OCH3のSi-O伸縮 ν=1090cm-1 Si-OCH3のSi-O伸縮 実施例4 〔N,N,N′,N′−テトラ(3−ジメトキシメチルシリル
プロピル)ビス(4−アミノフェニル)メタンの合成〕 実施例1のトリメトキシシランのかわりに、ジメトキ
シメチルシランを用いた以外は、実施例1と同様の方法
で合成した。
目的物が得られたことの確認を、質量スペクトル等に
よって行った。
〔質量スペクトル〕
測定値 m/e=783(計算値 m/e=783) 〔赤外吸収スペクトル〕 ν=3040cm-1 芳香族C−H伸縮 ν=2970cm-1 CH伸縮 ν=2950cm-1 CH伸縮 ν=2900cm-1 CH伸縮 ν=2850cm-1 CH伸縮 ν=1360cm-1 アミン伸縮 ν=1190cm-1 Si-OCH3のSi-O伸縮 ν=1090cm-1 Si-OCH3のSi-O伸縮 実施例5 〔N,N,N′,N′−テトラ(3−ジクロロメチルシリル−
2−メチルプロピル)ビス(4−アミノフェニル)メタ
ンの合成〕 実施例2のトリクロロシランのかわりに、ジクロロメ
チルシランを用いた以外は、実施例2と同様の方法で合
成した。
目的物が得られたことの確認を質量スペクトル等で行
った。
〔質量スペクトル〕
測定値 m/e=875(計算値 m/e=875) 実施例6 〔N,N,N′,N′−テトラ(3−ジメトキシメチルシリル
−2−メチルプロピル)ビス(4−アミノフェニル)メ
タンの合成〕 実施例3のN,N,N′,N′−テトラ(3−トリクロロシ
リル−2−メチルプロピル)ビス(4−アミノフェニ
ル)メタンのかわりに、実施例5で合成したN,N,N′,
N′−テトラ(3−ジクロロメチルシリル−2−メチル
プロピル(ビス(4−アミノフェニル)メタンを用いた
以外は実施例3と同様の方法で合成した。
目的物が得られたことの確認を質量スペクトル及び赤
外吸収スペクトル等で行った。
〔質量スペクトル〕
測定値 m/e=839(計算値 m/e=839) 〔赤外吸収スペクトル〕 ν=3050cm-1 芳香族C−H伸縮 ν=2950cm-1 C−H伸縮 ν=2900cm-1 C−H伸縮 ν=2850cm-1 C−H伸縮 ν=1361cm-1 アミン伸縮 ν=1190cm-1 Si-OCH3のSi-O伸縮 ν=1090cm-1 Si-OCH3のSi-O伸縮 比較例1 原料として、実施例1のN,N,N′,N′−テトラ(2−
プロペニル)ビス(4−アミノフェニル)メタンのかわ
りに、N,N,N′,N′−テトラ(2−メチル−2−プロペ
ニル)ビス(4−アミノフェニル)メタンを用いた以外
は、実施例1と同様の方法によって、前記一般式〔I〕
においてR1がメチル基である化合物〔I〕の合成を試み
たが、実施例1とは異なり、反応は進行しなかった。
参考例1 実施例1のN,N,N′,N′−テトラ(3−トリメトキシ
シリルプロピル)ビス(4−アミノフェニル)メタン1
2.5重量部(以下、単に部と表す)、分子中にベンゼン
環を有せず、ジメトキシモノメチルシリル基及びポリプ
ロピレンオキサイド骨格を有する、分子量8000の市販の
オリゴマーであるMS-20A〔鐘淵化学工業(株)製〕25部
及びジブチルスズラウレート0.70部を混合し、室温で3
日硬化させた後さらに50℃で4日硬化させた。
硬化物の引張強度は8.2kg f/cm2であり、ショア硬度
は56.8であった。また熱重量分析(昇温速度20℃/分)
の結果、空気中で10%重量減少する温度は350℃であっ
た。
比較参考例1 MS-20Aを25部及びジブチルスズラウレート0.5部を混
合し、室温で3日硬化させた後さらに50℃で4日硬化さ
せた。
硬化物の引張強度は3.9kg f/cm2であり、ショア硬度
は8.5であった。また熱重量分析(昇温速度20℃/分)
の結果、空気中で10%重量減少する温度は250℃であっ
た。
以上の結果より、参考例1の硬化物は、比較例1の硬
化物に比較して、高い耐熱性、高機械的強度及び高い硬
度を示すことがわかる。
(ハ)発明の効果 本発明の化合物〔I〕は、湿気硬化させることによ
り、従来の湿気硬化性樹脂に比較して、高い耐熱性、高
い機械的強度及び高硬度を有する樹脂を提供することを
可能とし、本発明の化合物〔II〕は、一般式〔I〕にお
いてR1がメチル基である化合物を得るための中間体とし
て極めて有用である。
フロントページの続き (72)発明者 木村 馨 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東亞合成化学工業株式会社名古屋総合研 究所内 審査官 大久保 元浩

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式〔I〕で示される化合物。 〔式中R1は水素原子又はメチル基であり、R2は低級アル
    コキシ基であり、R3は低級アルキル基又は水素原子であ
    り、Xは−S−、−SO2−、−O−、−CONH−、−CH=C
    H−、−CH2CH2−、 又は (R4及びR5は水素原子、フッ素原子、メチル基、エチル
    基、トリフルオロメチル基又はトリクロロメチル基であ
    り、互いに同じであっても違ってもよい)であり、p及
    びqはいずれも0〜3の整数であり、p又はqのうち少
    なくとも一つは1以上であり、mは0又は1である。〕
  2. 【請求項2】一般式〔II〕で示される化合物。 〔式中R1、R3、X、p、q及びmの意味は、特許請求の
    範囲第1項に記載されたものと同じである。〕
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