JP6663378B2 - トンネルインバート施工方法 - Google Patents
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Description
このため、インバート工の施工区間を跨いで工事車両を通行させるため、架台と昇降用の斜路を備え、トンネルの幅方向へ移動可能なインバート桟橋が採用されている。
この桟橋を坑内の第一側に寄せた位置で、第二側がわの地盤を桟橋の全長に渡って掘削し、続いて桟橋を坑内の第二側へ移動し、第一側がわの地盤を桟橋の全長に渡って掘削し、最後に桟橋を坑内中央に移動し、桟橋上から掘削した地盤上にインバートコンクリートを打設する。打設したインバートコンクリートが硬化したら、インバート桟橋を1スパン分前進させる。
以上の作業を1サイクルとしてこれを繰り返すことで施工を進捗させる。
<1>全スパンのインバート掘削が完了するまで、インバートコンクリートの打設に着工できないため、手待ちが多く施工効率が低い。
<2>桟橋全体を坑内の幅方向に移動させる構造上、架台の幅が狭い。よって、コンクリートの打設時、コンクリートミキサー車の側方を工事車両が通過できないので、切羽の施工を中断させる。
<3>切羽の施工速度に対してインバートの施工速度が低いため、全体工期に遅延を生じさせるおそれがある。
<1>前部斜路が作業架台に対して左右へ移動可能であるため、作業架台の前方における先行掘削が可能である。このため、インバート掘削と、インバートコンクリートの打設を同時併行することができるので、施工効率が著しく高い。
<2>作業架台の幅が広いため、打設作業中のコンクリートミキサー車の側方を工事車両が通過することができる。このため、切羽の作業を中断させることなく、連続してトンネルインバートの施工を行うことができる。
<1>施工区間を前後に二分割し、インバート掘削とインバートコンクリートの打設を併行することで、施工時間を圧縮し施工効率を著しく高めることができる。
<2>インバート工の施工効率が上がることによって、切羽−インバート間の悪路区間が短くなる。このため、切羽の施工に係る工事車両の走行性が高まり、工事全体の施工性や安全性が向上する。
本明細書等において、「前」「後」はそれぞれトンネルの延長方向における切羽側と坑口側を、「上」「下」「左」「右」はインバート桟橋を切羽側に向けて設置した状態における各方位を、意味する。
<1>全体の構成(図1)。
本発明のインバート桟橋1は、トンネル工事においてインバートの施工に用いる装置である。
インバート桟橋1は、作業架台10と、作業架台10の前後から地盤に掛け渡される前部斜路20及び後部斜路30と、作業架台10の下部に付設され、作業架台10を地盤より高い位置に支持する複数の支持脚40と、を少なくとも備える。前部斜路20は、作業架台10に対して幅方向に移動可能に接続する。
インバート桟橋1の全長、すなわち前部斜路20の前端から後部斜路30の後端に至る水平投影長さを、インバート工の施工区間の1スパンより長く構成する。
作業架台10の下部と地盤と複数の支持脚40との間に、インバートコンクリート打設作業用の打設空間S1が形成される。
前部斜路20の側辺とトンネルの側壁の間に、インバート掘削作業用の掘削空間S2が形成される。掘削空間S2は、前部斜路20の左右への切り替えに従って左右入れ替わる。
インバート桟橋1を、インバート工の施工区間を跨いで設置することで、上部に工事車両の走行経路を確保しつつ、下部でインバート工を施工することができる。
作業架台10は、インバートコンクリート打設用の作業台の機能と、工事車両の通行路の機能を兼備する部材である。
本例では、作業架台10として、鋼桁を組んでなる枠体に面材を敷設してなる矩形の構造を採用する。作業架台10の上面両側には、落下防止用の側壁を設ける。
作業架台10の幅は、トンネルの断面幅より小さく、かつ工事車両の通行に十分な幅とする。
工事車両の通行に十分な幅とは、インバートコンクリートの打設時、コンクリートミキサー車が作業架台10の上部から地盤へ生コンクリートを投入するが、この際切羽のズリを運搬するダンプトラックなどがコンクリートミキサー車の側方を通過可能な程度の幅である。すなわち、工事車両における二車線以上を確保するのが望ましい。
これによって、切羽の施工を止めずにインバート工を施工することができる。
本例では、作業架台10の後部に、後部斜路30の後端を上方に吊り上げるための吊りアーム11を設ける。
このほか、作業架台10の床板に、資材を下部に吊り下ろしたり、生コンクリートを投入するための資材投入口を設けてもよい。資材投入口は油圧機構で開閉可能に構成することができる。
前部斜路20は、作業架台10の前端と地盤の間に掛け渡す、工事車両の昇降路である。
本例では、前部斜路20として鋼製の面材を採用する。
前部斜路20は、作業架台10に対して、作業架台10の幅方向における任意の位置に接続可能に接続する。
本例では、前部斜路20は、前方の支持脚40から反力を得て、油圧ジャッキにて先端を地盤から持ち上げ可能に構成する(不図示)。これによって、インバート桟橋1の移動時、前部斜路20の先端が地盤に接触するのを避ける。
前部斜路20は、作業架台10に対して、作業架台10の幅方向における任意の位置に接続可能に接続される。
本例では、前部斜路20を、作業架台10の前部に設けたレールと、前部斜路20に設けた滑車との組み合わせによって、前部斜路20を幅方向にスライド自在なスライド機構とする。
この場合、前部斜路20の先端に、前部斜路20のスライド移動を補助するスライド台車を付設してもよい。
ただし、前部斜路20の構造はこれに限られず、例えば作業架台10に対して着脱自在に構成し、工程に応じて前部斜路20を作業架台10から取り外して、左右に付け替えてもよい。要は、工程に応じて前部斜路20の作業架台10に対する位置を左右入れ替えできればよい。
前部斜路20の幅は、作業架台10の幅の半分以下とする。望ましくは作業架台10の幅の半分とする。
これによって、前部斜路20を左右両端へスライドした際、平面視において前部斜路20が重複する面積がなくなるため、掘削区間の全幅が掘削可能となる。
後部斜路30は、作業架台10の後端と地盤の間に掛け渡す、工事車両の昇降路である。
本例では、後部斜路30として鋼製の面材を採用する。後部斜路30の幅は、作業架台10の幅に対応させるのが望ましい。
本例では、後部斜路30の前端を作業架台10の後端にヒンジ接合し、後部斜路30の後端を作業架台10の吊りアーム11によって上方へ吊り上げ可能な構造とする。
後部斜路30を吊りアーム11で上方に吊り上げることで、インバート桟橋1の移動時、後部斜路30の後端が地盤に接触するのを避ける。
支持脚40は、作業架台10を下部から支持し、地盤から離間させる部材である。
本例では、作業架台10の下部四隅に各1基ずつ、計4基の支持脚40を設ける。
各支持脚40の下端部には支持台車41を設ける。
各支持脚40には油圧ジャッキなどの昇降装置42を設け、昇降自在とする。
なお、支持台車41と昇降装置42は、支持脚40の必須の構成要素ではなく、公知の各種の支持構造を採用することができる。要は作業架台10を地盤から離間して支持し、インバート桟橋1を切羽方向に前進可能であればよい。
打設空間S1は、インバートコンクリートの打設工程において、型枠の設置、配筋、生コンクリートの投入、養生等の各工程を行うための空間である。
本例では、打設空間S1は、作業架台10の下方であって、4基の支持脚40の間に構成される。これによって、前後に広いスパンの打設空間S1を確保できるため、コンクリート打設に係る各工程の作業性が高まる。
引き続き、本発明のトンネルインバート施工方法について図を参照しながら詳細に説明する。図1〜図3は各工程を模式的に表した説明図である。
インバート桟橋1は、前部斜路20の先端を施工前の地盤上に、後部斜路30の先端を施工後の地盤上に、それぞれ掛け渡し、前部斜路20をトンネルの横断方向における第一側に位置させる。
作業架台10より切羽側の地盤を先行掘削する。
トンネル幅方向の中央より前部斜路20の第二側がわの掘削空間S2を所定深さまで掘削する。
第二側がわの掘削空間S2を掘削後、前部斜路20を第二側へスライド移動する。
引き続き、前部斜路20の第一側がわの掘削空間S2を所定深さまで掘削する。
前サイクルで先行掘削した作業架台10下方の地盤上に、配筋と型枠の設置を行い、作業架台10の上部に配置したコンクリートミキサー車から下方の地盤へ生コンクリートを投入する。
この際、作業架台10の底面から型枠の浮き上がり防止の反力を取ることができる。
続いて、コンクリートの硬化を待ち、脱型、養生を行う。
説明の便宜上、先行掘削をインバートコンクリート打設の前に記載したが、実際は、先行掘削とインバートコンクリート打設は、施工区間を前後にずらした状態で同時に行う。
必要に応じて、インバートコンクリートの埋め戻しを行う。
前部斜路20の先端を油圧ジャッキで押し上げて地盤の上方へ持ち上げる。
後部斜路30の後端を吊りアーム11で地盤の上方へ吊り上げる。
インバート桟橋1をバックホウ等の工事車両で牽引して、1スパン分切羽側に前進させる。ここで、1スパンとは先行掘削による掘削距離と実質的に同一の距離である。
これによって作業架台10が、先行掘削による掘削区間の上方に位置決めされる。
なお、インバート桟橋1の前進方法は牽引に限らず、油圧モータで自走する方法や、支持脚40を油圧ジャッキで短縮してから切羽側へ前進させた後に伸長し、前後の支持脚40でこれを繰り返すことで前進する方法などを採用してもよい。これらは公知技術であるのでここでは詳述しない。
自走式であっても牽引式であっても、要はトンネルの延長方向に沿って前進できればよい。
以上<2>から<5>の工程を1サイクルとして、これを繰り返しながらインバート桟橋1を切羽側へ移動させることで、インバート工を進捗させる。
なお、<2><3>工程における第一側と第二側は、施工上の便宜に併せて適宜入れ替えて行う。
本発明のトンネルインバートの施工方法は、インバート工の施工区間を掘削区間と打設区間に前後に分割し、インバートコンクリートの打設と、インバート掘削とを前後で併行しながら進行することができる。従って、インバート工の施工効率が著しく高い。
以下に、本発明のトンネルインバートの施工方法と従来技術の施工効率の対比表を示す。
本発明のトンネルインバートの施工方法は、従来技術の1スパンを前後2サイクルに分割して施工し、2サイクル目の掘削を1サイクル目のインバート打設と同時に行うことによって、施工時間を圧縮することができる。本例では、従来技術に対して作業時間が35単位から28単位へ20%削減されている。
施工長が1スパン10.5mのインバート施工において、従来は、1週間に3サイクルの施工が限界であった。よって、[10.5m×3回/週×4週間=126m(月進)]となる。
これに対し、本発明のトンネルインバートの施工方法は、1週間に5サイクルの施工が可能であるため、[10.5m×5回/週×4週間=210m(月進)]となる。
本工事の進捗が発破により月進150mとすると、従来技術では、施工の進捗に伴い切羽とインバート部の距離が広がり(毎月24m)全体工期に悪影響を及ぼす。これに対し、本発明のトンネルインバートの施工方法は、切羽との距離を一定以内に確保でき、工事全体の急速施工を可能とする。
10 作業架台
11 吊りアーム
20 前部斜路
30 後部斜路
40 支持脚
41 支持台車
42 昇降装置
S1 打設空間
S2 掘削空間
C インバートコンクリート
Claims (2)
- 直下にインバートコンクリート打設作業用の打設空間を有する作業架台と、
前記作業架台の前端と地盤との間に掛け渡す前部斜路と、
前記作業架台の後端と地盤との間に掛け渡す後部斜路と、
前記作業架台の下部に付設し、前記作業架台を地盤から離間支持する複数の支持脚と、を備え、
前記複数の支持脚は、前記作業架台の前方に付設する前部支持脚と、前記作業架台の後方に付設する後部支持脚と、を有し、
前記打設空間は、前記前部支持脚と前記後部支持脚との間に構成され、
前記前部斜路の幅は、前記作業架台の幅の半分以下であり、
前記前部斜路が、前記作業架台の幅方向における任意の位置に接続可能であるインバート桟橋を用いる、トンネルインバート施工方法であって、
前記インバート桟橋の、前部斜路の先端を施工前の地盤上に、後部斜路の先端を施工後の地盤上に、それぞれ掛け渡した状態において、
1)前記作業架台より切羽側の地盤を先行掘削する工程と、
2)前記作業架台の上部から、前記打設空間内の地盤にインバートコンクリートを打設する工程と、
3)前記インバート桟橋を切羽側へ前進させ、前記作業架台を、前記1)工程実施後の掘削区間の上方に位置決めする工程と、を備え、
前記1)工程と、前記2)工程とを併行した後に、前記3)工程を行って、これを1施工サイクルとし、
前記1)工程は、
1a)前記前部斜路がトンネル横断方向の第一側に位置した状態で、前記前部斜路の第二側がわの地盤を掘削する工程と、
1b)前記前部斜路がトンネル横断方向の第二側に位置した状態で、前記前部斜路の第一側がわの地盤を掘削する工程と、を備え、
前記前部斜路をトンネル横断方向の左右に移動させることで、前記1a)工程と前記1b)工程とを、適宜入れ替えて行うことを特徴とする、
トンネルインバート施工方法。 - 前記前部斜路が、前記作業架台の幅方向に沿って摺動自在であることを特徴とする、請求項1に記載のトンネルインバート施工方法。
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