JP6662271B2 - 車両用サスペンションアーム - Google Patents

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本発明は、車両用サスペンションアームに関する。
下記特許文献1には、上方側に開口してサスペンションスプリングの一端を収容して支持するアーム本体を主体とするサスペンションアームが記載されている。また、その下記特許文献1に記載のサスペンションアームは、アーム本体を補強するために、そのアーム本体の上端に補強部材が溶接によって接合されている。一般的に、車両のサスペンション装置に用いられるサスペンションアームは、車体と車輪とを連結して、車体に対して車輪とともに揺動する。そのため、サスペンションアームは軽量であって、かつ、大きな外力にも耐える強度が必要となる。
特開2015−74292号公報
しかしながら、上記特許文献1のようなアーム本体と補強部材とを接合したサスペンションアームは、それらアーム本体と補強部材との接合部において、疲労強度が他の部分より低い部分が存在すると、サスペンションアームの耐久性が損なわれてしまう可能性がある。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、アーム本体と補強部材とを接合したサスペンションアームの耐久性を向上させることを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の車両用サスペンションアームは、
(A)底面部と(B)その底面部の長手方向に延びる2つの辺から立設するように設けられた1対の側壁部とを有して上方側に開口する形状とされ、長手方向における中間部においてサスペンションスプリングの一端側を収容して支持するアーム本体と、
板状の部材であって、前記サスペンションスプリングを挿通させる開口孔を有し、自身の長手方向に延びる2つの辺の各々が前記1対の側壁部の各々の上端に接合されて前記アーム本体を補強する補強部材と
を備え、
前記補強部材が、
長手方向における両端に切欠を有し、それら両端の各々に形成された切欠の少なくとも一方が、上方側からの視点において
(a)長手方向における一端から他端に向かって直線的に延びる1対の直線部と、
(b)中間において前記1対の直線部に直交する方向に直線的に延びる直交部と、その直交部の両端の各々を前記1対の直線部の各々の他端側の端と曲線で繋ぐ1対の湾曲部とで構成され、前記1対の直線部の各々の他端側の端を繋ぐ接続部と
からなる形状のものとされ、
前記補強部材と前記アーム本体との2本の接合部の端が、前記切欠の前記1対の直線部の長手方向における中間に位置することを特徴とする。
本発明の車両用サスペンションアームは、補強部材の切欠が1対の直線部を有する形状とされるとともに、アーム本体と補強部材との2本の接合部の端が、それら1対の直線部の長手方向における中間に位置している。ちなみに、それら接合部の端は、1対の直線部の長手方向における中央に位置している必要はなく、1対の直線部と長手方向に直交する方向に並んでいればよい。そのため、アーム本体と補強部材との2本の接合部の端の間において、長手方向に交差する方向の剛性が比較的小さくされ、2本の接合部の端に作用する応力が低減される。したがって、本発明の車両用サスペンションアームによれば、アーム本体と補強部材との接合部の疲労強度を向上させることができ、耐久性の高いサスペンションアームを実現することができる。
本発明の実施例である車両用サスペンションアームの斜視図である。 本発明の実施例である車両用サスペンションアームの平面図である。 本発明の実施例である車両用サスペンションアームの側面図である 本発明の実施例である車両用サスペンションアームのアーム本体と補強部材との接合端を拡大して示す図である。 比較例の車両用サスペンションアームのアーム本体と補強部材との接合端を拡大して示す図である。
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の一実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
図1ないし図3に、本発明の実施例である車両用サスペンションアーム10を示す。その車両用サスペンションアーム10(以下、単に「サスペンションアーム」と呼ぶ場合がある。)は、後輪に対して設けられたサスペンション装置のロアアームとして用いられるものである。本サスペンションアーム10は、車体側軸受部12において、車体に保持され、車輪側軸受部14において、アクスルキャリアを保持している。そして、本サスペンションアーム10は、車体側軸受部12において、車体に対して回動可能となっており、また、車輪側軸受部14において、アクスルキャリアに対して回動可能となっている。つまり、本サスペンションアーム10は、アクスルキャリアおよび車輪を、車体に対して揺動させるのである。
本サスペンションアーム10は、サスペンションスプリングの一端を支持するものである。そのサスペンションスプリングの一端を取り付け可能とするために、本サスペンションアーム10の主体となるアーム本体20は、底面部22と、その底面22の長手方向における2つの辺から立設するように設けられた1対の側壁部24a,24bとからなり、長手方向に直交する断面形状が、概してコの字形状のものとなっている。なお、底面部20は、長手方向における中間部が両端部よりも幅広な形状とされ、そのアーム本体20の幅広とされた部分が、サスペンションスプリングの下端を収容して支持するスプリング収容部26となっている。また、アーム本体20は、その1対の側壁部24a,24bの上端に、フランジ28a,28bが成形されている。ちなみに、アーム本体20は、鉄鋼板がプレス加工されて成形されたものである。
本サスペンションアーム10は、アーム本体20を補強する補強部材としてのリインフォース30を備えている。そのリインフォース30は、アーム本体20の上方側の開口を覆うような外形形状とされた板状の部材である。そのリインフォース30には、アーム本体20のスプリング収容部26に対応する位置に、サスペンションスプリングを挿通させる開口孔32が設けられている。そして、そのリインフォース30は、外縁に沿ってアーム本体20に溶接されている。詳しく言えば、リインフォース30は、長手方向に延びる2つの辺の各々が1対のフランジ28a,28bの各々の上面に溶接によって接合されている。
上述したように、本サスペンションアーム10は、アーム本体20とリインフォース30とが溶接されているため、その溶接部40a,40bの疲労強度の向上が、従来から望まれている。特に、本サスペンションアーム10の長手方向に延びる2本の溶接部40の端には、応力が集中してしまう虞があり、本サスペンションアーム10は、それら接部40a,40bの端に作用する応力を低減することで、自身の耐久性の向上を図るものとなっている。
具体的には、上記の問題に対処するために、本サスペンションアーム10は、補強部材であるリインフォース30の形状に特徴を有するものとなっている。リインフォース30には、長手方向における両端の各々に、切欠50a,50bが形成されている。それら2つの切欠50a,50bは、同じ特徴を有するものであるため、車体側の切欠50aについてのみ説明することとする。
図4に示すように、リインフォース30の切欠50aは、その切り口が上方側からの視点において、概してコの字状のものとなっている。詳しく言えば、切欠50aの切り口は、リインフォース30の車体側の端から車輪側の端に向かって直線的に延びる1対の直線部60a,60bと、それら1対の直線部60a,60bの各々の車輪側の端同士を繋ぐ接続部62とからなる形状となっている。さらに言えば、接続部62は、中間が1対の直線部60a,60bに直交する方向に直線的に延びる直交部64と、その直交部64の両端の各々を1対の直線部60a,60bの各々の車輪側の端と曲線で、詳しくは円弧で繋ぐ1対の湾曲部66a,66bとで構成されている。
そして、そのリインフォース30がアーム本体20に溶接によって接合された状態においては、それらリインフォース30とアーム本体20との2本の溶接部40a,40bの車体側の端が、長手方向において、切欠50aの1対の直線部60a,60bの中間に位置している。換言すれば、リインフォース30の切欠き50aは、1対の直線部60a,60bの車輪側の端が、2本の溶接部40a,40bの車体側の端よりも車輪側まで延びているのである。
図5は、比較例のサスペンションアーム100を示す図である。比較例のサスペンションアーム100は、本実施例のサスペンションアーム10と同じアーム本体20を有しているが、補強部材としてのリインフォース102の形状が、本実施例のサスペンションアーム10のリインフォース30と異なる。図5に示すように、比較例のサスペンションアーム100のリインフォース102には、長手方向における端部に、切欠104が形成されているものの、その切り口の形状が、円弧状のものとなっている。なお、本実施例のサスペンションアームにおいて、直交部64の長さは、1対の直線部60a,60bの間隔の約60%とされているが、1対の直線部60a,60bの間隔の少なくとも10%以上とされることが望ましい。
ちなみに、比較例のサスペンションアーム100におけるアーム本体20とリインフォース102との溶接部106は、本実施例のサスペンションアーム10におけるアーム本体20とリインフォース30との溶接部40a,40bと、同じ長さとなっている。
本実施例のサスペンションアーム10は、リインフォース30の切欠50が1対の直線部60a,60bを有する形状とされるとともに、2本の溶接部40a,40bの端が、それら直線部60a,60bの長手方向にける中間に位置しているため、それら2本の溶接部40a,40bの端の間において、長手方向に交差する方向の剛性が小さくされ、2本の溶接部40a,40bの端に作用する応力が、従来のサスペンションアーム100に比較して低減される。また、本サスペンションアーム10は、リインフォース30の切欠き50a,50bが、従来のサスペンションアーム100のリインフォース102の切欠き104より大きくされているため、リインフォース30の質量が低減させられており、サスペンションアーム10は、従来のサスペンションアーム100に比較して軽量化が図られているのである。
また、切欠き50は、1対の直線部60a,60bを繋ぐ接続部62の一部が1対の直線部60a,60bに直交する直線状とされていることで、2本の溶接部40a,40bの端に作用する応力をより低減するととともに、1対の直線部60a,60bの内側の端同士を曲線で繋ぐ場合に比較して、サスペンションアーム10の軽量化が図られているのである。なお、1対の直線部60a,60bと直交部64とが1対の湾曲部66a,66bによって接続されることで、それら1対の直線部60a,60bと直交部64とを直接接続する場合に比較して、それら1対の直線部60a,60bと直交部64とが接続された箇所に応力が集中することが回避されるようになっている。
10:車両用サスペンションアーム 20:アーム本体 22:底面部 24a,24b:1対の側壁部 26:スプリング収容部 30:リインフォース〔補強部材〕 32:開口孔 40a,40b:2本の溶接部〔接合部〕 50a,50b:切欠 60a,60b:1対の直線部 62:接続部 64:直交部 66a,66b:1対の湾曲部

Claims (1)

  1. (A)底面部と(B)その底面部の長手方向に延びる2つの辺から立設するように設けられた1対の側壁部とを有して上方側に開口する形状とされ、長手方向における中間部においてサスペンションスプリングの一端側を収容して支持するアーム本体と、
    板状の部材であって、前記サスペンションスプリングを挿通させる開口孔を有し、自身の長手方向に延びる2つの辺の各々が前記1対の側壁部の各々の上端に接合されて前記アーム本体を補強する補強部材と
    を備え、
    前記補強部材が、
    長手方向における両端に切欠を有し、それら両端の各々に形成された切欠の少なくとも一方が、上方側からの視点において
    (a)長手方向における一端から他端に向かって直線的に延びる1対の直線部と、
    (b)中間において前記1対の直線部に直交する方向に直線的に延びる直交部と、その直交部の両端の各々を前記1対の直線部の各々の他端側の端と曲線で繋ぐ1対の湾曲部とで構成され、前記1対の直線部の各々の他端側の端を繋ぐ接続部と
    からなる形状のものとされ、
    前記補強部材と前記アーム本体との2本の接合部の端が、前記切欠の前記1対の直線部の長手方向における中間に位置することを特徴とする車両用サスペンションアーム。
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