JP6661277B2 - プレス装置およびプレス装置の制御方法 - Google Patents
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Description
CFRPを加工する際には、RTM(Resin Transfer Molding)工法、SMC(Sheet Molding Compound)工法、およびSS(Stampable Sheet)工法などが用いられる。
これらの樹脂をプレス成形する際には、金型に対して成形荷重を所定時間付与し続けなければならないため油圧を用いてプレス成形が行われている。このため、油圧シリンダによってスライドを上下方向に移動させてプレス加工を行うプレス装置が用いられる(例えば、特許文献1参照。)。
本発明は、上記従来のプレス装置の課題を考慮して、プレス加工に要する時間を短縮可能なプレス装置およびプレス装置の制御方法を提供することを目的とする。
これにより、所定の高さまでは電動モータによってスライドを下方に移動させ、その高さから油圧を用いて上金型を下方に移動させることにより、材料に成形荷重を付与してプレス成形を行うことが出来る。そのため、所定の高さまでのスライドの移動を油圧で行う場合と比較してスライドのストロークに要する時間が短くでき、プレス成形にかかる時間を短縮できる。
また、保持部によってスライドを保持している状態では、電動モータを停止可能なため、必要に応じて電動モータを停止することによって電動モータにかかる負荷を軽減できる。
なお、所定の高さは、例えば成形領域であり、成形荷重を付与することによって上金型および下金型によってプレス成形が行われる領域のことである。
保持部によってスライドを保持している状態では、このように電動モータを停止できるため、電度モータにかかる負荷を減少できる。
成形荷重の反力に対してもスライドを保持でき、精度良く加工を行うことができる。また、保持部によってスライドを保持している状態では、電動モータを停止できるため、電度モータにかかる負担を減少できる。
このように第1伝達機構のギヤの歯の間に嵌合部を移動することによって、成形荷重を受け止めることができる。
このように、スライド本体を所定の高さに固定し、金型取付部によって材料に成形荷重を付与することによって、成形荷重を受け止めることができる。
このように、スライド本体をアプライトを利用して固定することによって、金型取付板によって材料に成形荷重を付与することによって、成形荷重を受け止めることが出来る。
これによって、電動モータの駆動力を用いてスライドを所定の高さまで下降できる。
このように、ボールネジ部を保持部によって固定することによって、成形荷重の反力を受け止めることができる。
このようにスライドに成形荷重を付与する油圧シリンダを設けることによって、上金型を所定の作動圧で下方に向かって移動し材料に成形荷重を付与できる。
また、第2伝達機構が倍力機構を有しているため、油圧シリンダを小型化でき、使用する作動油の量も減らすことができる。
このように第1部材、第2部材および第3部材が設けられることによって、倍力機構の一例としてのトグルリンク機構を構成できる。
このように第1部材と第2部材の間の連結部と、第1部材と第3部材の間の連結部を同じ箇所にすることで省スペース化を図れる。
CFRP等の液状若しくは柔らかい軟性の材料をプレスする際には、金型に形成されている加工品の形状によっては荷重に偏りが生じ、上金型が傾斜する場合がある。上述のように、傾き補正部を設けることによって上金型の傾斜を低減でき、加工精度を向上できる。
これにより、CFRP等の液状若しくは柔らかい軟性の材料をプレスする際に、上金型の傾きを低減できる。
更に、スライドを保持する保持部が設けられ、成形荷重の反力を受け止めるようにスライドを保持でき、精度良く加工を行うことができる。
保持工程によってスライドを保持している状態では、このように電動モータを停止できるため、電度モータにかかる負担を減少できる。
(実施の形態1)
<1.構成>
(1−1.プレス装置の概要)
図1は、本発明にかかる実施の形態のプレス装置1の構成を示す模式図である。
プレス装置1は、主に、ベッド2と、アプライト3と、クラウン4と、スライド5と、スライド駆動部6と、荷重付与部7と、スライド保持部8と、傾き補正部9と、ボルスタ10と、制御部11(図2参照)と、を備える。
クラウン4は、4本のアプライト3によって上方に支持されている。スライド5は、クラウン4の下側に昇降自在に吊下されている。スライド5の下面5sには、図示しないダイクランパによって上金型12aが着脱自在に取り付けられている。ボルスタ10は、スライド5の下方であってベッド2上に配置されている。ボルスタ10の上側には下金型12bが載置される。
荷重付与部7は、成形領域に達したスライド5に対して油圧を用いて所定の作動圧を加えながら、スライド5を下降させることによって、上金型12aと下金型12bの間の材料に成形荷重を付与する。この成形荷重の付与によってプレス成形が行われる。
傾き補正部9は、プリフォーム材301と熱硬化性樹脂に成形荷重を付与している間、スライド5を水平に保つためにスライド5の傾きを補正する。
制御部11は、詳しくは後述するが、スライド駆動部6、荷重付与部7、スライド保持部8、および傾き補正部9等の制御を行ってプレス成形を実行する。
スライド駆動部6は、クラウン4に設けられており、スライド5を昇降動作させる。スライド駆動部6は、4点でスライド5を支持している。スライド駆動部6は、駆動源である4つのサーボモータ60と、それぞれのサーボモータ60の駆動をスライドに伝達する4つの伝達機構66とを有する。
第1減速機61は、等速減速機であって、サーボモータ60の駆動軸60aに連結されている。第1減速機61は、大プーリ61aと、第1ギヤ61bと、第1ピニオン61cと、第2ギヤ61dと、第2ピニオン61eと、第3ピニオン61fとを有している。大プーリ61aは、サーボモータ60の駆動軸60aに固定された小プーリ68の回転がベルト67によって伝達される。第1ギヤ61bは、大プーリ61aに一体的に設けられた第1ピニオン61cに噛み合う。第2ギヤ61dは、第1ギヤ61bに一体的に設けられた第2ピニオン61eと噛み合う。第3ピニオン61fは、第2ギヤ61dと一体的に設けられており、第2減速機62の外周に配置された大径のヘリカルギヤ62aに噛み合っている。
以上の構成の昇降部63のエキセンドラム63bが偏心回転することによってコンロッド63cが揺動してプランジャ64が上下方向に移動し、スライド5が上下方向に移動する。
図3(a)、(b)は、スライド保持部8による伝達機構66の固定を説明するための図である。スライド保持部8は、4つのサーボモータ60の駆動が伝達されるそれぞれのヘリカルギヤ62aを固定することによってスライド5を成形領域の上限位置の高さに保持する。
保持用油圧回路87は、主に、方向切換バルブ82と、第1接続路84aと、第2接続路84bと、第3接続路84cと、排油路84dと、を含む。
方向切換バルブ82およびポンプ83は、制御部11によって制御される。
サーボモータ60によって駆動しているため、後述する制御部11は、嵌合部80に対向する位置に歯621の間が位置するようにヘリカルギヤ62aを停止できる。
その後、第1接続路84aと排油路84dを接続し第2接続路84bと第3接続路84cを接続するように方向切換バルブ82を切り替えてポンプ83を動作させる。これにより、作動油が第2空間81eに供給され第1空間81dから作動油が排出されて、ピストンロッドが81c伸びるようにピストン81bが押される。これによってピストンロッド81cの先端に配置されている嵌合部80が、ヘリカルギヤ62aに向かって移動し、図3(b)に示すように歯621の間に嵌る。
なお、伝達機構66の固定を解除する場合には、第1接続路84aと第3接続路84cを接続し第2接続路84bと排油路84dを接続するように方向切換バルブ82を切り替えてポンプ83を動作させることにより作動油が第1空間81dに供給され第2空間81eから作動油が排出される。これによって、ピストンロッド81cがシリンダチューブ81aに引き込まれ、嵌合部80が歯621の間から離間する。
なお、図3では、1つの油圧シリンダ81の保持用油圧回路87のみを示しているが、4つの油圧シリンダ81のそれぞれに保持用油圧回路87が設けられている。また、ポンプ83および作動油タンク85などは4つの保持用油圧回路87に対して共通で用いられても良い。また、油圧シリンダ81は複動式に限らず単動式であってもよい。
荷重付与部7は、所定の圧力でスライド5を下方に移動させることによりプリフォーム材301と熱硬化性樹脂に成形荷重を付与してプレス成形を行う。所定の圧力とは、プリフォーム材301と熱硬化性樹脂に対して所望の成形荷重を付加できる圧力である。図4は、荷重付与部7の構成を示す図である。荷重付与部7は、主に、スライド5内に設けられている4つの油圧シリンダ71と、それぞれの油圧シリンダ71に接続された荷重用油圧回路78と、作動油を供給するポンプ75と、作動油タンク77とを有する。
油圧シリンダ71は、鉛直方向に配置されたシリンダチューブ71aと、シリンダチューブ71a内を鉛直方向に移動可能なピストン71bを有する。ピストン71bは、プランジャ64の下端と接続されている。ピストン71bによってシリンダチューブ71a内の空間は、下方空間71cと上方空間71dに分けられる。
方向切換バルブ72は、第1接続路76aと第3接続路76cを接続し第2接続路76bと排油路76dを接続する状態と、第1接続路76aと排油路76dを接続し第2接続路76bと第3接続路76cを接続する状態と、全ての流路が閉じられた閉状態に切り替えられる。
なお、図4では、1つの油圧シリンダ71の荷重用油圧回路78のみを示しているが、4つの油圧シリンダ71のそれぞれに荷重用油圧回路78が設けられている。また、ポンプ75および作動油タンク77などは4つの荷重用油圧回路78に対して共通で用いられても良い。
傾き補正部9は、プリフォーム材301と熱硬化性樹脂に成形荷重を付与する際に、スライド5の傾きを補正する。
図5は、傾き補正部9の構成を示す図である。傾き補正部9は、主に、4組の当接部90、油圧シリンダ91、リニアセンサ92および補正用油圧回路98と、4つの油圧シリンダ91に作動油を供給するポンプ95と、作動油タンク97を有する。
4つの油圧シリンダ91には、それぞれ補正用油圧回路98が接続されており、1つのポンプ95から補正用油圧回路98を介して油圧シリンダ91に作動油が供給される。尚、4つの油圧シリンダ91の補正用油圧回路98の構成は同じであるため、1つの油圧シリンダ91についてのみ説明する。
ピストンロッド91cの上端には、当接部90が設けられている。当接部90は、成形荷重を付与している間は、スライド5に当接している。
リニアセンサ92は、当接部90の位置を監視し、位置に関する情報を制御部11へと送信する。
次に、補正用油圧回路98について説明する。補正用油圧回路98は、第1サーボバルブ93、第2サーボバルブ94と、第1接続路96aと、第2接続路96bと、第3接続路96cと、排油路96dとを有している。第1接続路96aは、作動油が流通し、下方空間91dと第1サーボバルブ93の間を接続する。第2接続路96bは、作動油が流通し、上方空間91eと第2サーボバルブ94の間を接続する。第3接続路96cは、作動油タンク97と第1サーボバルブ93および第2サーボバルブ94との間を接続する。第3接続路96cにはポンプ95が配置されている。排油路96dは、第1サーボバルブ93と作動油タンク97の間を接続する。第1サーボバルブ93は、流量を制御しながら、第1接続路96aを第3接続路96cまたは排油路96dと接続できる。また、第2サーボバルブ94は、流量を調整しながら第2接続路96bを第3接続路96cまたは排油路96dと接続できる。
制御部11は、4軸の油圧シリンダ91の独立制御を行う。制御部11は、成形荷重を付加する際に、4軸の油圧シリンダ91の位置、すなわちスライド5の下面5sに当接している当接部90の位置が同一となるように第1サーボバルブ93および第2サーボバルブ94を制御する。すなわち、リニアセンサ92の位置情報を制御部11にフィードバックしつつ、第1サーボバルブ93と第2サーボバルブ94を制御して下方空間91dまたは上方空間91eに作動油を供給してピストンロッド91cのストロークを制御することにより、4つの当接部90の高さ位置が同じ位置になるように制御される。
図6は、本実施の形態のプレス装置1の制御構成を示すブロック図である。制御部11は、スライド駆動部6のサーボモータ60を駆動制御しスライド5を昇降動作させる。制御部11は、スライド保持部8のポンプ83および方向切換バルブ82を制御することによって油圧シリンダ81を動作させて嵌合部80を制御する。
制御部11は、リニアセンサ92の検出結果に基づいて傾き補正部9のポンプ95および4組の第1サーボバルブ93並びに第2サーボバルブ94を制御することによって成形荷重付与時のスライド5の傾きを補正する。
次に、本実施の形態のプレス装置1の制御方法について説明する。
なお、以下の説明では、いわゆるRTM工法におけるプレス加工について説明する。すなわち、炭素繊維で形作られたプリフォーム材301と溶融している熱硬化性樹脂が本実施の形態のプレス装置1によってプレス加工される。なお、熱硬化性樹脂としては、エポキシ、不飽和ポリエステル等が用いられる。
図7は、本実施の形態のプレス装置1の制御方法を示すフロー図である。図8は、プレス加工の際の上金型12aの高さの時間変化のグラフを示す図である。図8では、上金型12aの位置がG1のグラフで示され、下金型12bの位置がG2のグラフで示されている。
次に、制御部11は、ステップS10において、4つのサーボモータ60を駆動し、スライド5を成形領域(成形領域の上限位置ともいえる)まで下降させる(図8の時刻t1〜t2参照)。
伝達機構66の固定によってスライド5の駆動が一時的に固定されると、ステップS30において、制御部11は、サーボモータ60への通電を停止する。
次に、ステップS40において、制御部11は、荷重付与部7のポンプ75、方向切換バルブ72、流量調整バルブ73および圧力制御バルブ74を制御し、スライド5内の4つの油圧シリンダ71を駆動してスライド5を所望の作動圧で下方に移動させる。このようにスライド5に所望の作動圧で下方に移動することによって上金型12aおよび下金型12bの間のプリフォーム材301と熱硬化性樹脂に成形荷重が付与され、プリフォーム材301と熱硬化性樹脂が上金型12aと下金型12bの間で加圧される。この加圧によってプリフォーム材301と熱硬化性樹脂の成形が行われる。なお、図8に示す距離d3が荷重成形時のスライド5の下方への移動を示す。また、図8では、距離d3は誇張して記載している。
上記ステップS40とステップS50の間、制御部11は、傾き補正部9のポンプ95および4組の第1サーボバルブ93並びに第2サーボバルブ94を制御することによって油圧シリンダ91を駆動し、スライド5を所定以下の傾きに保つように制御が行われる。
次に、ステップS60において、制御部11は、サーボモータ60への通電を行う。
次に、ステップS70において、制御部11は、スライド保持部8のポンプ83および方向切換バルブ82を制御することによって油圧シリンダ81を駆動し、嵌合部80をヘリカルギヤ62aの歯621の間から離間させる。これによって、伝達機構66の固定が解除される。
次に、ステップS80において、制御部11は、サーボモータ60を制御し、スライド5を元の位置まで上昇させる(図8の時刻t4〜t5参照)。
そして、プレス加工が終了した加工済品が取り出され、次のプレス加工が行われる。
以下に、本発明に係る実施の形態2におけるプレス装置100について説明する。本実施の形態2のプレス装置100は、実施の形態1のプレス装置1と比較して、荷重付与部およびスライド保持部の構成が異なっている。尚、本実施の形態2に説明において、実施の形態1と同様の構成については実施の形態1と同一の符号を付し適宜説明を省略する。
図9は、本発明にかかる実施の形態のプレス装置100の構成を示す模式図である。
本実施の形態のプレス装置100は、ベッド2と、アプライト3と、クラウン4と、スライド105と、スライド駆動部6と、荷重付与部107と、スライド保持部108と、傾き補正部9と、ボルスタ10と、制御部11(図10(a)参照)と、を備える。
図10(a)および図10(b)は、本実施の形態のスライド保持部108の構成を示す図である。
プレス装置100のスライド保持部108は、被嵌合部181と、被嵌合部181に嵌合する嵌合部182と、嵌合部182を被嵌合部181に向かって移動する移動部86を有している。被嵌合部181と嵌合部182と移動部86は、4組設けられている。移動部86の構成は、実施の形態1と同様であり、油圧シリンダ81と、油圧シリンダ81を駆動する保持用油圧回路87と、を有する。
本実施の形態では、スライド本体105aと、スライド本体105aの下側に配置された金型取付板105bとを有している。この金型取付板105bの下面105s(図11参照)に上金型12aが取り付けられている。
図11は、本実施の形態の荷重付与部107の構成を示す図である。
本実施の形態の荷重付与部107は、スライド105内に設けられている4つの油圧シリンダ171と、それぞれの油圧シリンダ171を駆動するための4つの荷重用油圧回路78と、を有する。荷重用油圧回路78は、実施の形態1と同様である。
成形荷重を付与する際には、第2接続路76bと第3接続路76cを接続し第1接続路76aと排油路76dを接続するように方向切換バルブ72が切り替えられる。この状態で、ポンプ75を駆動することによって、上方空間171eに作動油が供給されてピストン171bおよびピストンロッド171cが下方に押され、金型取付板105bに成形荷重が付与される。
次に、本実施の形態のプレス装置100の制御方法について説明する。図12は、本実施の形態のプレス装置100の制御方法を示すフロー図である。
予め炭素繊維が成形品の形状に形作られたプリフォーム材301が下金型12b上に載置された後、制御部11は、ステップS110において、4つのサーボモータ60を駆動してスライド105を成形領域まで下降させる。また、スライド105が成形領域に達すると、スライド105の下面105sに傾き補正部9の当接部90が当接する。
そして、スライド105が成形領域に達すると、ステップS120において、制御部11は、保持用油圧回路87の方向切換バルブ82およびポンプ83を制御して、油圧シリンダ81を駆動する。すなわち、ピストンロッド81cをシリンダチューブ81aから伸ばして、嵌合部182を被嵌合部181の凹部181aに嵌合させる。これによってスライド本体105aの位置が固定される。なお、サーボモータ60を用いてスライド105を下降させるため、嵌合部182が凹部181aに対向する位置で精度良くスライド105を停止させることができる。
次に、ステップS135において、スライド5が停止した状態で、熱硬化性樹脂が注入路400を通して上金型12aと下金型12bの間に注入される。
次に、ステップS140において、制御部11は、荷重付与部107の方向切換バルブ72、流量調整バルブ73および圧力制御バルブ74を制御し、スライド5内の4つの油圧シリンダ71を駆動して金型取付板105bを所定の圧力で下方に移動させる。この金型取付板105bの所定の圧力での移動によって、上金型12aおよび下金型12bの間のプリフォーム材301および熱硬化性樹脂に成形荷重が付加され、プリフォーム材301および熱硬化性樹脂が上金型12aと下金型12bの間で加圧される。この加圧によってプリフォーム材301と熱硬化性樹脂の成形が行われる。
上記ステップS140とステップS150の間、制御部11は、リニアセンサ92からの情報に基づいて傾き補正部9のポンプ95および4組の第1サーボバルブ93並びに第2サーボバルブ94を制御することによって油圧シリンダ91を駆動し、スライド5を所定以下の傾きに保つ。
次に、ステップS160において、制御部11は、サーボモータ60への通電を行う。
次に、ステップS170において、制御部11は、スライド保持部108のポンプ83および方向切換バルブ82を制御することによって油圧シリンダ81を駆動し、嵌合部182を凹部181aから離間させる。これによって、スライド本体105aの固定が解除される。
そして、プレス加工が終了した加工済品が取り出され、次のプレス加工が行われる。
以下に、本発明に係る実施の形態3におけるプレス装置200について説明する。なお、本実施の形態3に説明において、実施の形態1と同様の構成については、実施の形態1と同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
<1.構成>
図13は、本実施の形態のプレス装置200の構成を示す正面図である。
本実施の形態のプレス装置200は、ベッド2と、クラウン4と、スライド5と、スライド駆動部206と、荷重付与部207と、スライド保持部208と、傾き補正部9と、ボルスタ10と、制御部11と、を備える。
スライド駆動部206は、サーボモータ260と、サーボモータ260の駆動をスライド5に伝達する伝達機構266を4組有する。それぞれの伝達機構266は、ボールネジ部261および支持部262を有する。4本のボールネジ部261は、ベッド2に鉛直方向に向かって回転可能に配置されており、クラウン4の4隅を挿通している。クラウン4の上下であって、ボールネジ部261の周囲には軸受263が設けられている。本実施の形態のプレス装置200では、実施の形態1のプレス装置1と異なり、アプライト3が設けられておらず、スライド駆動部206によってクラウン4が支持されている。
サーボモータ260を回転することによってボールネジ部261も回転し、ボールネジ部261と螺合している支持部262およびクラウン4が上下方向に移動する。
このように、サーボモータ260の駆動によってクラウン4が上下方向に移動するため、クラウン4に吊下されているスライド5も上下方向に移動する。
上記のように本実施の形態3では、実施の形態1のサーボモータ60の代わりにサーボモータ260が配置されているため、制御部11は、サーボモータ260を制御する。
図14(a)、(b)は、スライド保持部208の構成を示す図である。
スライド保持部208は、ボールネジ部261の上端に設けられた被嵌合部281と、被嵌合部281に嵌合する嵌合部282と、嵌合部282を被嵌合部281に向かって移動する移動部86と、を有する。
被嵌合部281は、ボールネジ部261の上端にボールネジ部261と同軸で設けられた円柱部281aと、上下方向に一定の間隔を開けて形成された円環状突起部281bと、を有する。円環状突起部281bは、円柱部281aの径方向外側に向かって突出している。円環状突起部281bは、円柱部281aの一周にわたって形成されている。円環状突起部281bは、水平方向と平行に形成されている。上下方向に隣り合う円環状突起部281bの間には、凹部281cが形成されている。
嵌合部282は、移動部86の油圧シリンダ81のピストンロッド81cの先端に固定されている。嵌合部282は、図14(a)に示すように、その内側に凹凸形状を有している、すなわち、嵌合部282は、円環の径方向内側に向かって突出した2つの凸部282aを有している、2つの凸部282aの間には、凹部282bが形成されている。
一方、嵌合部182を被嵌合部181から離間させる際には、第1接続路84aと第3接続路84cを接続し第2接続路84bと排油路84dを接続するように方向切換バルブ82が切り替えられてポンプ83が駆動制御される。これによって第1空間81dに作動油が供給されてピストンロッド81cが縮み嵌合部182が被嵌合部181から離間する。
図16は、本実施の形態の荷重付与部の構成を示す図である。
荷重付与部207は、4つの油圧シリンダ271と、各々の油圧シリンダ271を駆動する荷重用油圧回路78と、各々の油圧シリンダ271の圧力をスライド5に伝達する荷重伝達機構272と、を有する。
油圧シリンダ271は、クラウン4に4つ配置されている。図16では、クラウン4の手前側の2つの油圧シリンダ271が示されており、奥側にも2つ油圧シリンダ271が配置されている。
各々の油圧シリンダ271は、水平方向に配置されたシリンダチューブ271aと、シリンダチューブ271a内を水平方向に移動可能なピストン271bと、ピストン271bに接続されたピストンロッド271cと、を有する。ピストンロッド271cは、シリンダチューブ271aからプレス装置200の内側に向かって伸張する。
制御部11は、第2接続路76bと第3接続路76cを接続し、第1接続路76aと排油路76dを接続するように方向切換バルブ72を切換することによって外側空間271eに作動油が供給されるとともに内側空間271dから作動油が排出される。これにより、ピストンロッド271cが内側へと伸張する。
荷重伝達機構272は、ピストンロッド271cの水平方向の移動を上下方向の移動に変換してスライド5に伝達する。荷重伝達機構272は、プランジャ64と、第1連結部材273と、第2連結部材278と、第3連結部材274とを有する。第1連結部材273と第2連結部材278と第3連結部材274は、細長い形状の部材である。
第1連結部材273は、その一端においてピン500を介してピストンロッド271cの先端271fに回動可能に連結されている。第1連結部材273は、その他端に設けられた第1連結部277aにおいて、第2連結部材278の一端と回動可能に連結されている。
第2連結部材278は、第2A連結部材275と第2B連結部材276が連結して構成されている。第2A連結部材275は、その一端に設けられた第1連結部277aにおいて第1連結部材273および第3連結部材274と連結している。第2A連結部材275は、その他端に設けられた中間連結部277dにおいて、第2B連結部材276と連結されている。第2B連結部材276は、その他端が第2連結部277bにおいてプランジャ64の上端部に回動可能に連結されている。
また、第3連結部277cは、第2連結部277bの鉛直上方に配置されている。また、第1連結部277aの鉛直方向における位置は、第2連結部277bと第3連結部277cの間に位置している。
図17(a)および図17(b)は、油圧シリンダ271を駆動させた際の荷重伝達機構の動きを説明するための図である。
第2接続路76bと第3接続路76cを接続して第1接続路76aと排油路76dを接続するように方向切換バルブ72を制御しポンプ75を駆動すると、外側空間271eに作動油が供給されピストン271bが内側方向に移動し、ピストンロッド271cが内側に向かって移動する。図17(b)は、ピストンロッド271cが伸張した状態を示す図である。
このように、油圧シリンダ271のピストンロッド271cが内側に移動する力が荷重伝達機構272によってスライド5に伝達され、上金型12aが下方に移動し上金型12aと下金型12bの間のプリフォーム材301と熱硬化性樹脂に対して成形荷重を付与できる。
上述した第1連結部材273、第2連結部材278および第3連結部材274によって、いわゆるトグルリンク機構が構成されている。トグルリンク機構は、倍力機構であるため、油圧シリンダ271で発生する力を増幅してスライド5に伝達する。そのため、小さい油圧シリンダ271を使用することができ、使用する作動油の量も少なくなる。
次に、本実施の形態のプレス装置200の制御方法について説明する。図18は、本実施の形態のプレス装置200の制御方法を示すフロー図である。
予め炭素繊維が成形品の形状に形作られたプリフォーム材301が下金型12b上に載置された後、制御部11は、ステップS210において、4つのサーボモータ260を駆動してボールネジ部261を回転させることによってクラウン4ごとスライド5を成形領域に達する高さまで下降させる。また、スライド5が成形領域に達すると、スライド105の下面105sに傾き補正部9の当接部90が当接する。
次に、ステップS235において、スライド5が停止した状態で、熱硬化性樹脂が注入路400を通して上金型12aと下金型12bの間に注入される。
次に、ステップS240において、制御部11は、荷重付与部207の荷重用油圧回路78を制御し、スライド5内の4つの油圧シリンダ71を駆動してスライド5を所定の圧力で下方に移動する。このようにスライド5を所定の圧力で下方に移動することによって上金型12aおよび下金型12bの間のプリフォーム材301および熱硬化性樹脂に成形荷重が付加され、プリフォーム材301および熱硬化性樹脂が上金型12aと下金型12bの間で加圧される。この加圧によってプリフォーム材301および熱硬化性樹脂の成形が行われる。
上記ステップS240とステップS250の間、制御部11は、傾き補正部9のポンプ95および4組の第1サーボバルブ93並びに第2サーボバルブ94を制御することによって油圧シリンダ91を駆動し、スライド5を所定以下の傾きに保つ。
所定時間が経過すると、制御部11は、荷重付与部107の荷重用油圧回路78を制御し、スライド5への荷重の付与を停止する。
次に、ステップS270において、制御部11は、スライド保持部208の保持用油圧回路87を制御することによって油圧シリンダ81を駆動し、嵌合部282を被嵌合部281から離間させる。これによって、クラウン4およびスライド5の固定が解除される。
次に、ステップS280において、制御部11は、サーボモータ260を制御し、スライド5およびクラウン4を元の位置まで上昇させる。
そして、プレス加工が終了した加工済品が取り出され、次のプレス加工が行われる。
(1)
本実施の形態のプレス装置1、100、200は、上金型12aと下金型12bを用いてプリフォーム材301および熱硬化性樹脂(材料の一例)に対してプレス成形を行うプレス装置であって、スライド5と、スライド駆動部6、206(駆動部の一例)と、荷重付与部7、107、207と、スライド保持部8、108、208(保持部の一例)と、制御部11と、を備えている。スライド5、105は、下面5s、105sに上金型12aが取り付けられる。スライド駆動部6は、サーボモータ60、260(電動モータの一例)と、伝達機構66、266(第1伝達機構の一例)と、を有し、スライド5を昇降させる。伝達機構66、266は、サーボモータ60、260の駆動をスライド5、105に伝達する。荷重付与部7、107、207は、油圧によって所定の圧力で上金型12aを下方に移動しプリフォーム材301および熱硬化性樹脂に対して成形荷重を付与できる。スライド保持部8、108、208は、成形荷重の反力を受け止めるようにスライド5、105を機械的に保持する。制御部11は、スライド駆動部6、206によりスライド5を成形領域(所定の高さの一例)まで移動し、スライド保持部8、108、208によりスライド5を保持した後に、荷重付与部7、107、207により上金型12aを所定の圧力で下方に移動し上金型12aと下金型12bの間のプリフォーム材301および熱硬化性樹脂に成形荷重を付与する。
これにより、成形領域まではサーボモータ60、260によってスライド5、105を下方に移動させ、その高さから油圧を用いて成形荷重を付与してプレス成形を行うことが出来る。そのため、成形領域に達するまでのスライド5、105の移動を油圧で行う場合と比較してスライド5、105のストロークに要する時間が短くでき、プレス成形にかかる時間を短縮できる。
更に、スライド5、105を保持するスライド保持部8、108、208が設けられているため、成形荷重の反力に対してもスライド5、105を保持でき、精度良く加工を行うことができる。
また、スライド保持部8、108、208によってスライド5、105を保持している状態では、サーボモータ60、260を停止可能なため、必要に応じてサーボモータ60、260を停止することによってサーボモータ60、260にかかる負荷を軽減できる。
本実施の形態のプレス装置1、100、200では、制御部11は、スライド保持部8、108、208によりスライド5、105を保持した後に、サーボモータ60、260の駆動を停止する。
スライド保持部8、108、208によってスライド5、105を保持している状態では、このようにサーボモータ60、260を停止できるため、サーボモータ60、260にかかる負荷を減少できる。
本実施の形態のプレス装置1、200では、スライド保持部8、208は、伝達機構66、266を機械的に固定することによって、成形荷重の反力を受け止めるようにスライド5を機械的に保持する。
成形荷重の反力に対してもスライド5を保持でき、精度良く加工を行うことができる。また、スライド保持部8、208によってスライド5を保持している状態では、サーボモータ60、260を停止できるため、サーボモータ60、260にかかる負担を減少できる。
本実施の形態のプレス装置1では、伝達機構66は、ヘリカルギヤ62a(ギヤの一例)を有する。スライド保持部8は、嵌合部80と、移動部86と、を有する。嵌合部80は、ヘリカルギヤ62aの歯621の間に嵌合可能である。移動部86は、ヘリカルギヤ62aの歯621の間の位置に嵌合部80を移動させる。荷重付与部7は、スライド5を下方に移動することにより、プリフォーム材301と熱硬化性樹脂に成形荷重を付与する。スライド保持部8は、移動部86を制御して嵌合部80をヘリカルギヤ62aの歯621の間に移動させて伝達機構66を機械的に固定することによって、成形荷重の反力を受け止めるようにスライド5を機械的に保持する。
このように伝達機構66のヘリカルギヤ62aの歯621の間に嵌合部80を移動することによって、成形荷重を受けとめることが可能となる。
本実施の形態のプレス装置100では、スライド105は、スライド本体105aと、金型取付板105b(金型取付部の一例)と、を有する。金型取付板105bは、スライド本体105aの下側に配置され上金型12aが取り付けられる。荷重付与部107は、金型取付板105bを下方に移動することにより、プリフォーム材301と熱硬化性樹脂に成形荷重を付与する。スライド保持部108は、スライド本体105aを機械的に固定することによって、成形荷重の反力を受け止めるようにスライド105を機械的に保持する。
このように、スライド本体105aを所定の高さに固定し、金型取付板105bによって成形荷重を付与することによって、成形荷重を受け止めることが出来る。
本実施の形態のプレス装置100は、クラウン4と、アプライト3を更に備える。クラウン4は、スライド105の上方に配置されスライド105を移動可能に支持する。アプライト3は、クラウン4をスライド105の上方に支持する。スライド保持部108は、嵌合部182と、被嵌合部181と、移動部86と、を有する。嵌合部182は、スライド本体105aに設けられアプライト3に向かって移動可能である。被嵌合部181は、アプライト3のスライド105側の側面3aに設けられている。移動部86は、嵌合部182を移動させて被嵌合部181に嵌合させる。スライド保持部108は、移動部86を制御して嵌合部182を被嵌合部181に嵌合させることによって、成形荷重の反力を受け止めるようにスライド105を機械的に保持する。
このように、スライド本体105aをアプライト3を利用して固定することによって、金型取付板105bによって成形荷重を付与することによって、成形荷重を受け止めることが出来る。
本実施の形態のプレス装置200は、クラウン4を備えている。クラウン4は、スライド5の上方に配置され、スライド5を移動可能に支持する。伝達機構266は、ボールネジ部261と支持部262とを有する。ボールネジ部261は、鉛直方向に配置され、クラウン4をスライド5の上方に支持する。支持部262は、ボールネジ部261と螺合する。ボールネジ部261は、サーボモータ260の駆動によって回転する。スライド駆動部206は、ボールネジ部261を回転させてクラウン4を下方に移動させることによってスライド5を所定の高さまで下降させる。
これによって、サーボモータ260の駆動力を用いてスライド5を所定の高さまで下降できる。
本実施の形態のプレス装置200では、スライド保持部208は、被嵌合部281と、嵌合部282と、移動部86と、を有する。被嵌合部281は、ボールネジ部261に固定されている。嵌合部282は、被嵌合部281に嵌合可能である。移動部86は、嵌合部282を移動させて被嵌合部281に嵌合させる。スライド保持部208は、移動部86を制御して嵌合部282を被嵌合部281に嵌合させることによって、ボールネジ部261を固定し成形荷重の反力を受け止めるようにスライド5を機械的に保持する。
このように、ボールネジ部261をスライド保持部208によって固定することによって、成形荷重の反力を受け止めることができる。
本実施の形態のプレス装置1、100では、荷重付与部7、107は、スライド5、105に配置された油圧シリンダ71、171を有し、油圧シリンダ71、171の油圧によって、プリフォーム材301と熱硬化性樹脂に成形荷重を付与する。
このようにスライド5、105に成形荷重を付与する油圧シリンダ71、171を設けることによって、プリフォーム材301と熱硬化性樹脂に対して成形荷重を付与できる。
本実施の形態のプレス装置200は、クラウン4を更に備えている。クラウン4は、スライド5の上方に配置されスライド5を昇降可能に支持する。荷重付与部207は、油圧シリンダ271と、荷重伝達機構272(第2伝達機構の一例)と、を有する。油圧シリンダ271は、水平方向に移動可能なピストンロッド271cを持ち、クラウン4に配置されている。荷重伝達機構272は、油圧シリンダ271の力を増幅してスライドに伝達する倍力機構を持つ。荷重伝達機構272は、ピストンロッド271cの水平方向の移動を上下方向の移動に変換してスライド5に伝達する。
また、荷重伝達機構272が倍力機構を有しているため、油圧シリンダ271を小型化でき、使用する作動油の量も減らすことができる。
本実施の形態のプレス装置200では、荷重伝達機構272は、スライド5の上側に固定され上下方向にガイドされるプランジャ64を有する。倍力機構は、第1連結部材273(第1部材の一例)と、第2連結部材278(第2部材の一例)と、第3連結部材274(第3部材の一例)と、を有する。第1連結部材273は、ピストンロッド271cに対して回動可能に連結されている。第2連結部材278は、第1連結部材273とスライド5の上側に配置されたプランジャ64との間を連結する。第3連結部材274は、第1連結部材273とクラウン4の間を連結する。第2連結部材278は、第1連結部材273およびプランジャ64の上端部のそれぞれに対して回動可能である。第3連結部材274は、第1連結部材273およびクラウン4のそれぞれに対してと回動可能である。
このように第1連結部材273、第2連結部材278および第3連結部材274が設けられることによって、倍力機構の一例としてのトグルリンク機構を構成できる。
本実施の形態のプレス装置200では、第1連結部材273と第2連結部材278の連結部において、第3連結部材274は第1連結部材273と連結されている。
このように第1連結部材273と第2連結部材278の間の連結部と、第1連結部材273と第3連結部材274の間の連結部を同じ第1連結部277aにすることで省スペース化を図れる。
本実施の形態のプレス装置1、100、200は、傾き補正部9を更に備える。傾き補正部9は、上金型12aが水平に保たれるようにスライド5、105の傾斜を補正する。制御部11は、荷重付与部7、107、207によってプリフォーム材301と熱硬化性樹脂に成形荷重を付与する際に、傾き補正部9によりスライド5、105の傾斜を補正する。
CFRP等の液状若しくは柔らかい軟性の材料をプレスする際には、金型に形成されている加工品の形状によっては荷重に偏りが生じ、上金型12aが傾斜する場合がある。上述のように、傾き補正部9を設けることによって上金型12aの傾斜を低減でき、加工精度を向上できる。
本実施の形態のプレス装置1は、傾き補正部9は、複数の油圧シリンダ91と、ポンプ95と、油圧シリンダ91ごとに設けられた第1サーボバルブ93および第2サーボバルブ94(バルブの一例)と、を有する。ポンプ95は、作動油を複数の油圧シリンダ91に供給する。第1サーボバルブ93および第2サーボバルブ94は、油圧シリンダ91ごとに設けられ、油圧シリンダ91に供給される作動油の量を調整する。油圧シリンダ91のピストンロッド91cは、成形荷重が付与される際にスライド5、105に下方から当接する。制御部11は、荷重付与部7によって成形荷重を付与する際に、複数の油圧シリンダ91のピストンロッド91cのストロークが同じ長さになるように第1サーボバルブ93および第2サーボバルブ94を制御する。
これにより、CFRP等の液状若しくは柔らかい軟性の材料をプレスする際に、上金型12aの傾きを低減できる。
上記実施の形態のプレス装置の制御方法は、上金型12aと下金型12bを用いてプリフォーム材301および熱硬化性樹脂に対してプレス成形を行うプレス装置1、100、200の制御方法であって、ステップS10、110、210(移動工程の一例)と、ステップS20、120、220(保持工程の一例)と、ステップS50、S150、S250(荷重付与工程の一例)と、を備える。ステップS10、110、210は、サーボモータ60、260の駆動を上金型12aが取り付けられているスライド5、105に伝達してスライド5、105を成形領域の高さまで移動させる。ステップS20、120、220は、成形荷重の反力を受け止めるようにスライド5、105を機械的に保持する。ステップS50、S150、S250は、成形領域の高さから油圧によって上金型12aを下方に移動しプリフォーム材301および熱硬化性樹脂に対して成形荷重を付与する。
更に、成形荷重の反力を受け止めるようにスライド5、105を保持できるため、精度良く加工を行うことができる。
上記実施の形態のプレス装置1、100、200の成形方法は、ステップS30、S130、S230(停止工程の一例)を更に備える。ステップS30、S130、S230は、ステップS20、120、220の後にサーボモータ60、260の駆動を停止する。
ステップS20、120、220によってスライド5、105を保持している状態では、サーボモータ60、260を停止できるため、サーボモータ60、260にかかる負担を減少できる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
上記実施の形態では、RTM工法におけるプレス装置の動作について説明したが、この工法にかぎられるものではない。例えば、SS工法においても同様に実施できる。
図19は、プレス装置1´の構成を示す模式図である。プレス装置1´では、上金型12a´に熱硬化性樹脂を注入するための注入路400が形成されている。図20は、図19に示すプレス装置1´の制御方法を示すフロー図である。なお、SS工法では熱可塑性樹脂を使用するが、熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリプロピレンなどが用いられる。
次に、荷重付与部7によってスライド5に成形荷重が付与され、上金型10a´と下金型10b´の間で加圧成形が行われる(ステップS40)。
以降の制御は、上記実施の形態と同様である。
なお、プレス装置100、200についてもSS工法に利用してもよい。
また、上記実施の形態及び上記(A)では、材料の一例として連続炭素繊維を用いたCFRP用いて説明したが、これに限られるものではない。不連続炭素繊維を用いたCFRPをプレス加工する際に上記実施の形態及び上記(A)のプレス装置1、100、200、1´を用いても良いし、更にCFRPに限らなくても良い。すなわち、炭素繊維を含まない樹脂などを成形する際にプレス装置1、100、200、1´が用いられても良い。なお、上記実施の形態で説明したプレス装置を板金加工などの際に用いても良いが、軟性の柔らかい素材や液状の素材をプレス加工する際のほうが、より効果を発揮する。
上記実施の形態のプレス装置1、100、200では、電動モータの一例としてサーボモータ60、260が用いられているが、サーボモータに限らなくても良く、例えばインバータモータが用いられてもよい。
(D)
上記実施の形態では、サーボモータ60、260の駆動によってスライド5、105を成形領域に達するまで下降させて、成形領域に達してからは油圧によって成形を行っているが、サーボモータ60、260でスライド5、105を下降させる位置は成形領域よりも上方の位置であってもよく、その位置からは油圧でスライド5、105を下降させてもよい。
このような場合であっても、スライドの全てのストロークを油圧で行う場合と比較すると、スライドの往復に要する時間は短縮できるため、本発明の効果を発揮できる。
上記実施の形態では、成形領域に達する高さでスライド5、105の下面5s、105sに傾き補正部9の当接部90が当接しているが、成形領域に達するより前に当接部90がスライド5、105に当接してもよい。
上記実施の形態では、サーボモータ260はボールネジ部261と同軸上に配置されており、サーボモータ260の駆動軸260aとボールネジ部261が直接接続されていたが、これに限られない。例えば、サーボモータ260がボールネジ部261と平行に配置されており、歯車等で減速されて駆動軸260aの回転がボールネジ部261に伝達されてもよい。
また、サーボモータ60、260、伝達機構66、266、油圧シリンダ71、81、171、271、の数は、上記実施の形態に限られるものでなく適宜変更できる。
(H)
また、上記実施の形態では、第2連結部材278は、第2A連結部材275と第2B連結部材276の2つの部材が連結されて構成されているが、1つの部材のみで構成されていてもよい。
また、上記実施の形態では、第2連結部材278と第3連結部材274は第1連結部277aで第1連結部材273と連結されているが、第1連結部材273と第2連結部材278の連結部と、第1連結部材273と第3連結部材274の連結部が別々に設けられていてもよい。
図21に示すように、第1連結部材273´として3軸リンク部材が配置されてもよい。この場合、第1連結部材273´と第2連結部材278(詳細には第2A連結部材25)は、第1A連結部277eで連結され、第1連結部材273´と第3連結部材274は、第1B連結部材277fで連結されている。
また、上記実施の形態では、倍力機構としてトグルリンク機構が用いられたが、トグルリンクに限られるものでない。
1´ プレス装置
2 ベッド
3 アプライト
3a 側面
4 クラウン
5 スライド
5s 下面
6 スライド駆動部(駆動部の一例)
7 荷重付与部
8 スライド保持部(保持部の一例)
9 傾き補正部
10 ボルスタ
11 制御部
12a 上金型
12a´ 上金型
12b 下金型
12b´ 下金型
60 サーボモータ(電動モータの一例)
60a 駆動軸
61 第1減速機
61a 大プーリ
61b 第1ギヤ
61c 第1ピニオン
61d 第2ギヤ
61e 第2ピニオン
61f 第3ピニオン
62 第2減速機
62a ヘリカルギヤ
62b レバー
62c 連結部材
63 昇降部
63a エキセン軸
63b エキセンドラム
63c コンロッド
64 プランジャ
64a 上端部
65 プランジャホルダ
66 伝達機構
67 ベルト
68 小プーリ
71 油圧シリンダ
71a シリンダチューブ
71b ピストン
71c 下方空間
71d 上方空間
72 方向切換バルブ
73 流量調整バルブ
74 圧力制御バルブ
75 ポンプ
76a 第1接続路
76b 第2接続路
76c 第3接続路
76d 排油路
77 作動油タンク
78 荷重用油圧回路
80 嵌合部
81 油圧シリンダ
81a シリンダチューブ
81b ピストン
81c ピストンロッド
81d 第1空間
81e 第2空間
82 方向切換バルブ
83 ポンプ
84a 第1接続路
84b 第2接続路
84c 第3接続路
84d 排油路
85 作動油タンク
86 移動部
87 保持用油圧回路
90 当接部
91 油圧シリンダ
91a シリンダチューブ
91b ピストン
91c ピストンロッド
91d 下方空間
91e 上方空間
92 リニアセンサ
93 第1サーボバルブ
94 第2サーボバルブ
95 ポンプ
96a 第1接続路
96b 第2接続路
96c 第3接続路
96d 排油路
97 作動油タンク
100 プレス装置
102 スライド
102a スライド本体
102b 金型取付板
105 スライド
105a スライド本体
105b 金型取付板
105s 下面
107 荷重付与部
108 スライド保持部
171 油圧シリンダ
171a シリンダチューブ
171b ピストン
171c ピストンロッド
171d 下方空間
171e 上方空間
181 被嵌合部
181a 凹部
181b 凸部
182 嵌合部
200 プレス装置
206 スライド駆動部
207 荷重付与部
208 スライド保持部
211 制御部
260 サーボモータ(電動モータの一例)
260a 駆動軸
261 ボールネジ部
261a ネジ形状
262 支持部
262a 貫通孔
263 軸受
266 伝達機構
271 油圧シリンダ
271a シリンダチューブ
271b ピストン
271c ピストンロッド
271d 内側空間
271e 外側空間
271f 先端
272 荷重伝達機構
273 第1連結部材
274 第3連結部材
275 第2A連結部材
276 第2B連結部材
277a 第1連結部
277b 第2連結部
277c 第3連結部
277d 中間連結部
278 第2連結部材
281 被嵌合部
281a 円柱部
281b 円環状突起部
281c 凹部
282 嵌合部
282a 凸部
282b 凹部
300 スタンパブルシート
301 プリフォーム材
400 注入路
621 歯
Claims (7)
- 上金型と下金型を用いて、炭素繊維が混ぜ込まれた熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂を含む材料に対してプレス成形を行うプレス装置であって、
下面に前記上金型が取り付けられるスライドと、
電動モータと、前記電動モータの駆動を前記スライドに伝達する第1伝達機構と、を有し、前記スライドを昇降させる駆動部と、
油圧によって前記上金型を下向きに移動して前記材料に成形荷重を付与する荷重付与部と、
前記成形荷重の反力を受け止めるように前記スライドを機械的に保持する保持部と、
前記駆動部により前記スライドを所定の高さまで移動して前記保持部により前記スライドを保持した後に、前記電動モータの駆動を停止し、その後、前記荷重付与部により前記材料に前記成形荷重を付与することで前記材料を成形し、加圧状態を所定時間保持することで冷却に伴う前記材料の体積減少を前記上金型の下降で吸収する制御を行う制御部と、を備え、
前記第1伝達機構は、
前記電動モータの回転を減速する等速減速機と、
ギヤを含み、一回転中の回転速度が不等速となるように減速して動力を伝達するウィットウォース減速機と、有し、
前記保持部は、
前記ギヤの歯の間に嵌合可能な嵌合部と、
前記ギヤの歯の間の位置に前記嵌合部を移動させる移動部と、を有し、
前記荷重付与部は、前記スライドを下方に移動することにより、前記材料に前記成形荷重を付与し、
前記保持部は、前記嵌合部を前記ギヤの歯の間に移動させて前記第1伝達機構を機械的に固定することによって、前記成形荷重の反力を受け止めるように前記スライドを機械的に保持する、
プレス装置。 - 前記保持部は、前記第1伝達機構を機械的に固定することによって、前記スライドを機械的に保持する、
請求項1に記載のプレス装置。 - 前記第1伝達機構は、
減速された回転運動を上下方向への往復運動に変換する昇降部と、
前記昇降部の下方に接続され、下端が前記スライドに固定されて前記スライドを上下方向に移動させるプランジャと、
前記プランジャを上下方向にガイドするプランジャホルダと、を有する、
請求項1に記載のプレス装置。 - 前記荷重付与部は、前記スライドに配置された油圧シリンダを有し、前記油圧シリンダの油圧によって、前記材料に前記成形荷重を付与する、
請求項1に記載のプレス装置。 - 前記上金型が水平に保たれるように前記上金型の傾斜を補正する傾き補正部を更に備え、
前記制御部は、前記荷重付与部によって前記材料に前記成形荷重を付与する際に、前記傾き補正部により前記上金型の傾斜を補正する、
請求項1〜4のいずれかに記載のプレス装置。 - 前記傾き補正部は、
複数の油圧シリンダと、
作動油を複数の前記油圧シリンダに供給するポンプと、
前記油圧シリンダごとに設けられ、前記油圧シリンダに供給される作動油の量を調整するバルブと、を有し、
前記油圧シリンダのピストンロッドは、前記成形荷重が付与される際に前記スライドに下方から当接し、
前記制御部は、前記荷重付与部によって前記成形荷重を付与する際に、複数の前記油圧シリンダの前記ピストンロッドのストロークが同じ長さになるように前記バルブを制御する、
請求項5に記載のプレス装置。 - 上金型と下金型を用いて、炭素繊維が混ぜ込まれた熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂を含む材料に対してプレス成形を行うプレス装置の制御方法であって、
電動モータの回転を減速する等速減速機と、ギヤを含み、一回転中の回転速度が不等速となるように減速して動力を伝達するウィットウォース減速機とを有する第1伝達機構を介して、前記電動モータの駆動を前記上金型が取り付けられているスライドに伝達して前記スライドを所定の高さまで移動させる移動工程と、
前記ギヤの歯の間に嵌合部を移動させて前記第1伝達機構を機械的に固定することによって、成形荷重の反力を受け止めるように前記スライドを機械的に保持する保持工程と、
前記保持工程の後に前記電動モータの駆動を停止する停止工程と、
前記所定の高さから油圧によって前記上金型を下方に移動し前記材料に成形荷重を付与することで前記材料を成形し、加圧状態を所定時間保持することで冷却に伴う前記材料の体積減少を前記上金型の下降で吸収する荷重付与工程と、
を備えた、プレス装置の制御方法。
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