JP6656857B2 - 柱梁接合構造 - Google Patents

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Description

この発明は、鉄骨造等の建物における柱梁接合構造に関し、特にその梁端部の補強構造に関する。
従来技術では、梁端部の変形能力を高める構造として、梁の断面性能を連続的に変化させてその部分を中心に損傷させるタイプ(タイプ1)と、梁のフランジに補強プレートを取り付けて損傷領域を広げ、かつ断面性能を増加させることができるタイプ(タイプ2)との2種の方法がある。
タイプ1の例では、具体的には次の構成がある。
(1) 梁フランジを一部円弧形状に切欠くことで断面性能を連続的に減らす構成。
(2) 梁端部に組立H形鋼を用いてフランジにR形状(円弧形状)やテーパ形状を用いて断面性能を連続的に増やす構成。
タイプ2の例では、次の構成がある。
(1) フランジの幅を部分的に広げるように、長方形状あるいは台形状、あるいは長方形とR形状を組み合わせた形状のプレートで補強する構成。
(2) 耐震補強などで使われるが、梁フランジ下にH形鋼あるいは組立てプレートを設置することで断面性能を増加させる構成。
特開2014−031703号公報 特開2013−204306号公報 特開2013−181292号公報
前記タイプ1の梁の断面性能を連続的に変化させる構成(1) (2)の場合、次の課題がある。
(1) の梁フランジを一部円弧形状に切欠く構成では、その切欠のために、本来H形鋼が有している断面性能を発揮することができない。
(2) の梁端部に組立H形鋼を用いてフランジにR形状やテーパ形状を用いる構成では、端部だけプレートを組立ててH形状にした鋼材を使用するため、加工費用が増加するという点や、接続するH形鋼と強度が異なるため、設計の手間が増えるといったデメリットがある。
前記タイプ2の梁のフランジに補強プレートを溶接して取り付ける構成の場合、補強プレートとH形鋼が一体となった断面と、補強される前のH形鋼の断面の間で、断面性能が不連続となり、梁端部の変形能力を十分に発揮することができない。また、損傷させる位置が不連続の位置となりやすく、溶接部を含むため、溶接品質の影響が出易い。特許文献2では、断面急変位置の付近で、補強用の水平ハンチに孔を設けて断面性能の不連続性の改善を図っているが、十分には改善されない。
この発明の目的は、力が最もかかる梁の端部のみの補強することで、梁断面サイズを上げた場合と同様の効果が得られ、かつ端部のみの補強でありながら、断面性能を連続的に変化させることを簡単な構成で実現できる柱梁接合構造を提供することである。
この発明の柱梁接合構造は、鋼製の柱に鋼製の梁の端部が接合される柱梁接合構造であって、前記梁の側面に、前記柱の近傍に位置して鋼製の側面補強板が溶接で接合され、この側面補強板は、前記柱から離れるに従って鉛直断面の断面積が小さくなる形状である。
この構成によると、力が最もかかる端部を側面補強板で補強したため、梁断面サイズを上げた場合と同様の効果が得られ、その結果、全長に渡って断面サイズを上げるよりも鋼材重量が落とせる。地震時のモーメントで決定する鉄骨造建物の梁の断面については、端部のみを効率的に補強することで、梁を構成する部材のサイズを低減できる。
また、柱から離れるに従って鉛直断面の断面積が小さくなる形状の側面補強板を梁の側面に溶接して補強するため、側面補強板が一体となった梁の断面性能を連続的に変化させることができる。すなわち、側面補強板の断面性能は梁せい方向の大きさの2乗に比例するため、柱から離れるに従って鉛直断面の断面積が小さくなる形状の側面補強板とすることで、補強した部分の断面性能は、側面補強板の上下辺が直線状であっても放物線形状となる。この性質を利用することで、梁のフランジにプレート補強する構成ではこれまで課題であった、梁の断面性能が急激に変化する状態を解決することができる。このため、損傷する領域を広げることができる。
従来技術のフランジにR形状付きのプレートで補強する構成や、フランジの一部をR形状に切欠く構成では、製作上の理由で曲率が限られ易いが、この発明であれば前記側面補強板の上下辺の勾配で断面性能のR形状(放物線)を調整でき、加工し易い。フランジにR形状をつけて、かつ断面性能を落とさないために、従来はR加工された拡幅フランジを有する組立式のH形鋼としていたが、この発明であれば単独の鋼材からなるH形の梁への前記側面補強板による補強で同等の効果が得られる。
このように、この発明によると、断面性能を連続的に変化させることを、側面補強板を溶接するだけの簡単な構成で実現できる。
さらに、この発明は梁の側面に側面補強板を溶接して、例えばH形鋼の梁ではウェブに側面補強板を溶接して梁の端部付近の断面性能を上げる構成であるため、大地震時等に、側面補強板よりも先に梁母材で損傷させることができ、破壊性状が安定し易い。従来のようなフランジを補強するプレートを中心として損傷させる構成では、溶接部が損傷する部分に含まれるが、この発明では溶接部を回避して損傷させるような設計が可能である。
記側面補強板は、上下辺が上下に傾斜した辺となり、柱側端の辺である残り1辺が上下方向に延びる三角形、またはこの三角形の前記柱から離れた先端が欠如された形状の台形である。
前述のように、側面補強板の断面性能は梁せい方向の大きさの2乗に比例するため、三角形の側面補強板を用いた場合、補強した部分の断面性能は放物線形状となる。そのため、加工し易い直線形状で形成される三角形のプレートを用いることで、力学的には適度なR形状を実現することができる。この性質を利用することで、従来の梁のフランジにプレート補強する構成ではこれまで課題であった、梁の断面性能が急激に変化する状態を、簡易な構成で解決することができる。
上記の作用は側面補強板が三角形である場合につき説明したが、三角形状の先端部分は補強効果が小さいため、条件にもよるが、台形状とすることで、梁を補強する長さを小さくすることによって、より省スペースで補強することができる。
記梁H形鋼であって、ウェブが上下方向に沿う姿勢であり、前記側面補強板は前記ウェブの側面に重なりこのウェブの側面のみに接合された構成とされている。なお、側面補強板は、前記梁のウェブの片面だけに設けても、両面に設けても良い。
この発明の柱梁接合構造は、種々の断面形状の梁に適用できるが、H形鋼の梁であると、前記側面補強板をウェブに接合することにより、梁の端部のみの補強することで、梁断面サイズを上げた場合と同様の効果が得られ、かつ端部のみの補強でありながら、断面性能を連続的に変化させることを簡単な構成で実現できる。そのため、前記梁に、例えばロール成形したH形鋼を用いても、従来のR加工された拡幅フランジを有する組立式のH形鋼と同等の効果が期待できる。
従来の鉄骨造ラーメン工法の建物では、大地震時の安全性は、特に梁端部の変形性能で決定することが多い。この発明では、従来は組立式のH形鋼断面などでしか実現できていない断面性能を、ロール成形のH形鋼に側面補強板の溶接を行うことで簡易に実現し、同等の効果が期待できる。
この発明の柱梁接合構造において、前記梁の端部の上面または下面に、鋼製の上・下面補強板が溶接で接合され、前記上・下面補強板は前記柱にも溶接で接合されていても良い。
梁端部では、柱にボルト接合用部材を側面に突出させ、高力ボルトなどで梁の側面、例えばH形鋼の梁ではウェブと柱とを接合するなど、納まり上、三角形状等の側面補強板を柱の至近位置まで延長させることは困難であり、側面補強板と柱との間に間隔が生じて、断面性能の補強効果が無くなる場合がある。このような場合、前記側面補強板の溶接に加えて前記上・下面補強板を溶接することで、梁の断面性能を先端まで向上させることができる。これにより、損傷箇所は梁の側面、例えばH形鋼の梁ではウェブを、前記側面補強板で補強した部分を中心とし、損傷箇所を変形能力が発揮できる位置に調整することができる。
この発明の柱梁接合構造において、前記側面補強板は、前記梁の中立軸に対して上下対称になっていても良い。前記「中立軸」は、曲げモーメントあるいは曲げモーメントと軸方向力を受ける部材の断面において、材軸方向に生じる引張領域と圧縮領域との境界線を言う。
大地震等により建物躯体に変形が生じる場合、繰り返して生じる揺れにより、梁には上向きの荷重と下向きの荷重が交互に作用する。そのため、前記側面補強板は、前記梁の中立軸に対して上下対称となるようにすることで、側面補強板で梁を最も効果的に補強することができる。
この発明の柱梁接合構造は、鋼製の柱に、ウェブが上下方向に沿う姿勢のH形鋼製の梁の端部が接合される柱梁接合構造であって、前記梁の前記ウェブの側面に重なり、前記柱の近傍に位置して鋼製の側面補強板が溶接で接合され、この側面補強板は、前記柱から離れるに従って鉛直断面の断面積が小さくなる形状であって、かつ上下辺が上下に傾斜した辺となり、柱側端の辺である残り1辺が上下方向に延びる三角形、またはこの三角形の前記柱から離れた先端が欠如された形状の台形であり、前記側面補強板は前記梁の前記ウェブの側面のみに接合されているため、力が最もかかる梁の端部のみの補強することで、梁断面サイズを上げた場合と同様の効果が得られ、かつ端部のみの補強でありながら、断面性能を連続的に変化させることを簡単な構成で実現することができる。
この発明の第1の実施形態に係る柱梁接合構造の斜視図である。 同柱梁接合構造の正面図ある。 同実施形態に係る柱梁接合構造における梁端部からの距離と降伏モーメントとの関係を示すグラフである。 図3のグラフの端部を横軸方向に拡大したグラフである。 この発明の第2の実施形態に係る柱梁接合構造の斜視図である。 この発明の第3の実施形態に係る柱梁接合構造の斜視図である。 前記第3の実施形態に係る柱梁接合構造に作用する梁端部からの距離と降伏モーメントとの関係を示すグラフである。 図のグラフの端部を横軸方向に拡大したグラフである。
この発明の第1の実施形態を図1ないし図4と共に説明する。この柱梁接合構造は、鋼製の柱1に鋼製の梁2の端部を接合する接合構造である。柱1は、各種の形鋼など鉄骨柱であれば良いが、この例では角形鋼管とされている。柱1は、梁2を接合する高さ位置で、上柱材1aと下柱材1bとに分割され、上柱材1aと下柱材1bとの間に、柱1と同一の外径のパネルゾーンと称される接合筒1cが設けられている。接合筒1cは、上柱材1aおよび下柱材1bと同じ材質であっても、また鋳造品等であっても良い。接合筒1cの上端は、上側のダイヤフラム3を挟んで上柱材1aと接合され、接合筒1cの下端は、下側のダイヤフラム4を挟んで下柱材1bと接合されている。各ダイヤフラム3,4は鋼板からなり、柱1の外周面から若干突出している。各ダイヤフラム3,4と上下の柱材1a,1bとの接合は、全周に連続した溶接接合とされている。
梁2は、H形鋼とされて、ウェブ2aが上下方向に沿う姿勢とされている。なお、参考提案例として示すと、梁2は各種の形鋼など鉄骨梁であってもよく、溝形鋼や角形鋼管などであっても良い。
柱1と梁2との接合は、梁2のウェブ2aでのボルト接合と、梁2の上フランジ2bおよび下フランジ2cの溶接による接合とが併用されている。前記ボルト接合については、柱2aの側面に、この側面から突出するように接合プレート5を基端で溶接により接合し、この接合プレート5に梁2のウェブ2aを重ね、これら接合プレート5と梁2のウェブ2aとに設けられたボルト孔に渡りボルト6を挿通してナット(図示せず)により締め付ける構成としている。前記ボルト6は、高力ボルトであるが、場合によっては中ボルトを用いることも可能である。前記溶接よる接合は、梁2の上下のフランジ2b,2cの先端面を、柱1の上下のダイヤフラム3,4の外周の端面に接合する構成としている。この接合は、完全溶け込み溶接とされ、裏当て金7が用いられている。梁2のウェブ2aにおける柱1側の端部には、上下のフランジ2b,2cに隣接する上下縁に、図2に示すように上下方向の中間が深くなる切欠形状のスカラップが形成されている。
このような柱梁接合構造における補強構造として、この実施形態では、次のように側面補強板8を梁2のウェブ2aに重ねて溶接する補強を行い、またフランジ補強板9を併用している。
側面補強板8は、前記接合プレート5に干渉しない距離だけ柱1から離れた位置で、出来るだけ柱1に近づくように、柱1の近傍に配置し、外周の所定箇所(全周または一部)を隅肉溶接している。側面補強板8は、柱1から離れるに従って鉛直断面の断面積が小さくなる形状とされている。具体的には、側面補強板8は、上下幅が狭くなる形状の鋼板等の金属板であり、上下辺8a,8bが上下に傾斜した斜辺となり、残り1辺である底辺8cが上下方向に延びる形状とされている。側面補強板8は、上下幅の中心、図示の例では斜辺である上下辺8a,8b間の角部が、梁2の中立軸H0の高さ位置に位置している。より具体的には、側面補強板8は、中立軸H0を中心とした上下対称の2等辺三角形とされている。なお、参考提案例として示すと、前記側面補強板8は、柱1から離れるに従って上下幅が狭くなる形状に限らず、柱1から離れるに従って鉛直断面の断面積が小さくなる形状であれば良い。また、接合プレート5は、この実施形態では梁2のウェブ2aの片面だけに設けられている。
フランジ補強板9は、梁2の上のフランジ2bの両側、および下フランジ2cの両側に、このフランジ補強板9の追加でフランジ2b、2cの幅を広げるように配置され、完全溶け込み溶接でフランジ2b、2cに接合されている。フランジ補強板9の梁長さ方向の範囲は、梁2の柱1側の端から側面補強板8に若干重なる箇所までの範囲とされている。
上記構成の作用、効果を説明する。この構成によると、梁2のウェブ2aに側面補強板8を重ねて溶接したため、この重なり部分で梁2の断面性能が向上する。
梁2の側面補強板8による補強範囲は梁2の長さ方向の一部であるが、力が最もかかる梁端部を補強するため、梁断面サイズを上げた場合と同様の効果が得られる。その結果、全長に渡って断面サイズを上げるよりも鋼材重量が落とせる。鉄骨造建物の梁の断面は、地震時のモーメントで決定するが、端部のみを効率的に補強することで、必要な強度を確保しながら、梁2を構成する部材のサイズを低減できる。
また、三角形状の側面補強板8を用いるため、断面性能を連続的に変化させることを、従来よりも簡単な方法で実現できる。具体的には、梁2の中立軸H0(H形鋼の中心)を起点とした三角形状の側面補強板8を梁2のウェブ2aに溶接したことで、一体となった梁2の断面性能を連続的に変化させることができる。三角形の側面補強板8による断面性能は、梁せい方向の大きさの2乗に比例するため、補強した部分の断面性能の向上は放物線形状となる。つまり、加工し易い直線形状の板である側面補強板8を用いることで、力学的には適度なR形状を実現することができる。この性質を利用することで、梁2に側面補強板8でプレート補強する構成で、これまで課題であった、梁の断面性能が急激に変化する状態を解決することができる。
すなわち、従来技術のフランジにR形状付きのプレートで補強する構成や、フランジの一部をR形状に切欠く構成では、その形状が直接に断面性能に反映されるため、R形状の取り方(曲率)に限界があるが、この実施形態であれば三角形状の側面補強板8における上下の辺8a,8bの勾配で断面性能のR形状(放物線)を制御でき、加工が容易である。
従来はフランジにR形状をつけて、かつ断面性能を落とさないために、R加工された拡幅フランジを有する組立式のH形鋼としていたが、この実施形態であれば、ロール成形したH形鋼への前記側面補強板8による補強で同等の効果が得られる。
梁2は、ウェブ2aを側面補強板8で補強することで断面性能を上げることができ、かつ、後に図3、図4と共に説明するように、側面補強板8よりも先に梁2の母材で損傷させることができ、そのため破壊性状が安定し易い。従来のようなフランジを補強するプレートを中心として損傷させる構成では、溶接部が損傷する部分に含まれるが、この実施形態では、溶接部を回避して損傷させるような設計が可能である。
なお、側面補強板8における三角形状の先端部分は補強効果が小さいため、梁2の設置上の条件等によっては、例えば側面補強板8における図2に破線fを付した個所よりも先端側の部分を省いた台形状とすることにより、梁2を補強する長さを小さくすることで、より省スペースで補強することができる。
梁2のウェブ2aの側面補強板8は、降伏しない設計であればよいため、梁2の母材となるH形鋼に使用する材料以下の強度でも設計可能である。側面補強板8は、ウェブ2aの片側での設計でも可能である。
また、この実施形態ではフランジ補強板9を設けたため、次の利点が得られる。梁2の端部では、接合プレート5が存在し、また前記ボルト6等に高力ボルトが使用されることなどで、納まり上、三角形状の側面補強板8を柱1の至近位置まで延長することは困難である。そのため、側面補強板8よりも柱1側の個所では断面性能の補強効果が無くなる。しかし、この実施形態では、梁2のフランジ2b,2cにフランジ補強板9を溶接している。そのため、前述の従来タイプ2と同様に、損傷箇所はウェブ2aを、三角形状の側面補強板8で補強した部分を中心としており、損傷箇所を変形能力が発揮できる位置に調整している。この補強は従来タイプ2と補強方法が同じであるが、損傷させる位置が異なる。具体的には、従来タイプ2ではフランジを拡幅した位置を中心に損傷させるが、本実施形態の場合、側面補強された範囲に損傷位置を有する。つまり、断面急変部でない所で損傷させることができる。
次に、図3,4により、この実施形態の柱梁接合構造における梁2の降伏モーメントと地震時に梁2に作用するモーメントとの関係、および塑性化位置につき説明する。図4は、図3の左端付近の部分を、横軸を拡大して示した図である。各部材の降伏モーメントは部材の断面形状と材質とで定まる値である。
前記側面補強板8およびフランジ補強板9で補強された梁2(ここでは「補強梁材」と称す)の降伏モーメントaは、補強梁の母材となるH形鋼(同図では「梁材」と称す)の降伏モーメントbに、側面補強板8であるウェブ補強材の降伏モーメントcと、フランジ補強板9の降伏モーメントdとを加算した値となる。梁材の降伏モーメントbは全長に渡って一定である。ウェブ補強材(側面補強板8)の降伏モーメントcは、側面補強板8が梁2の端部から少し離れて設けられ、また柱中央側に上下幅が次第に狭まっているため、梁端部から少し離れた個所で階段状に生じ、梁中央側に近づくに従って次第に小さくなり、側面補強板8の先端で0となる。フランジ補強板9は、梁端部からウェブ補強材(側面補強板8)に少し重なる位置まで設けられていて、また一定の断面形状であるため、フランジ補強板9の降伏モーメントは、梁端部からフランジ補強板9の梁中央側の端部まで、一定の値で生じる。したがって、梁2の全体(「補強梁材」)の降伏モーメントaは、同図に示すような形状となる。
一方、地震時モーメントeは、梁2の中央を通る傾斜した線と想定される。傾斜の勾配は、想定した地震の強さによって変わる。この地震時モーメントeが梁2の全体(「補強梁材」)の降伏モーメントaに交差する個所が、梁2の最も弱く塑性化し易い位置、つまり塑性化位置Pとなる。同図の例では、前記交差個所である塑性化位置Pは、側面補強板8の梁中央側の端となる。
このように設計することで、この柱梁接合構造は、大地震の発生時等に、フランジ補強板9で補強された個所では塑性化せず、梁2の母材であるH形鋼と側面補強板8とで構成されている箇所で塑性化することになる。したがって、より広い範囲で損傷させる設計が可能となる。
図5は、この発明における他の実施形態を示す。同図の例は、図1ないし部4と共に説明した第1の実施形態において、図1のフランジ補強板9をフランジ2b,2cから張り出すように設ける代わりに、梁2の上フランジの2bの上面、および下フランジ2cの下面に鋼製の上・下面補強板10を溶接により接合し、カバープレート型の補強形式としている。各ダイヤフラム3,4(図5には図示せず)と上下の柱材1a,1bとの接合は、全周に連続した溶接接合とされ、上・下面補強板10は全周が隅肉溶接や完全溶け込み溶接で接合されている。
このように上・下面補強板10を設けると、第1の実施形態におけるフランジ補強板9と同様に、側面補強板8により補強できない個所の補強が行える。すなわち、梁端部では、柱にボルト接合用部材を側面に突出させ、高力ボルトなどで梁の側面、例えばH形鋼の梁ではウェブと柱とを接合するなど、納まり上、三角形状等の側面補強板を柱の至近位置まで延長させることは困難であり、側面補強板と柱との間に間隔が生じて、断面性能の補強効果が無くなる場合がある。このような場合、前記側面補強板の溶接に加えて前記上・下面補強板10を溶接することで、梁2の断面性能を先端まで向上させることができる。これにより、損傷箇所は梁2の側面、例えばH形鋼の梁2ではウェブ2aを、前記側面補強板8で補強した部分を中心とし、損傷箇所を変形能力が発揮できる位置に調整することができる。本実施形態の場合、側面補強された範囲に損傷位置を有する。つまり、断面急変部でない所で損傷させることができる。
その他の構成、効果は、第1の実施形態と同様である。
図6は、この発明におけるさらに他の実施形態を示す。この実施形態では、柱1がH形鋼からなる。柱1は、図1の例のような上下に分割し構成とせずに、梁2の上下のフランジ2b,2cと同じ高さ位置で、H形鋼からなる柱1の両側のフランジ1d,1d間に水平スチフナ11を設けている。梁2は、柱1のフランジ1d,1dの外面に対して上下のフランジ2b,2cの端部を完全溶け込み溶接で接合し、かつウェブ2aの端部を溶接で接合している。梁2のウェブ2aと柱1との接合箇所Aは隅肉溶接とし、側面補強板8の周囲Bは、前記各実施形態と同様に所定箇所(全周または一部)を隅肉溶接としている。側面補強板8は、この実施形態の場合、干渉する個所がないため、柱1の至近距離に位置させている。前記フランジ1dと側面補強板8の上下方向に延びる辺とは溶接されている。
この実施形態の場合、側面補強板8を柱1の至近位置まで近づけているため、梁2のフランジ2b,2cでの補強は不要であり、構成が簡素となる。その他の構成,効果は、第1の実施形態と同様である。
図7、図8は、この実施形態における降伏モーメントと塑性化位置との関係を示す図である。図3、図4と共に同様な説明を前述しているため、各曲線に図3、図4と同一符号を付して詳細な説明は省略するが、この実施形態においても、梁2の母材であるH形鋼だけで構成されている側面補強板8の範囲で塑性化する。したがって、広範囲に渡って損傷させる設計が可能となる。
なお、前記各実施形態において、梁2は、1本の部材で構成されていても、継手により複数本の部材が繋がっていても良い。また、梁2の継手を柱1からさらに離れた位置に設けても良い。
以上、実施例に基づいて本発明を実施するための形態を説明したが、ここで開示した実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1…柱
1a…上柱材
1b…下柱材
1c…接合筒
2…梁
2a…ウェブ
2b,2c…フランジ
3,4…ダイヤフラム
5…接合プレート
8…側面補強板
9…フランジ補強板
10…上・下面補強板
H0…中立軸

Claims (3)

  1. 鋼製の柱に、ウェブが上下方向に沿う姿勢のH形鋼製の梁の端部が接合される柱梁接合構造であって、
    前記梁の前記ウェブの側面に重なり、前記柱の近傍に位置して鋼製の側面補強板が溶接で接合され、この側面補強板は、前記柱から離れるに従って鉛直断面の断面積が小さくなる形状であって、かつ上下辺が上下に傾斜した辺となり、柱側端の辺である残り1辺が上下方向に延びる三角形、またはこの三角形の前記柱から離れた先端が欠如された形状の台形であり、前記側面補強板は前記梁の前記ウェブの側面のみに接合されている柱梁接合構造。
  2. 請求項1に記載の柱梁接合構造において、前記梁の端部の上面または下面に鋼製の上・下面補強板が溶接で接合され、前記上・下面補強板は前記柱にも溶接で接合されている柱梁接合構造。
  3. 請求項1または請求項2に記載の柱梁接合構造において、前記側面補強板は、前記梁の中立軸に対して上下対称になっている柱梁接合構造。
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