JP6645770B2 - 耐震補強構造 - Google Patents

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本発明は、骨組部材に斜材を取り付けて建造物を補強する耐震補強構造に関する。
以前より、骨組部材に斜材を取り付けて既存の建造物を耐震補強することが一般に行われている。例えば、柱と梁との間に斜材を取り付けることで水平力に対する建造物の耐力が向上する。
従来、柱等に溶接を行わずに斜材を取り付けて耐震補強を行う幾つかの提案がなされている(特許文献1〜特許文献4を参照)。特許文献1〜特許文献4では、建造物の設置された現場で溶接を行うには、大規模な養生が必要となりコストが高騰するという課題、或いは、現場の環境によっては溶接の品質が低下するという課題が指摘されている。
特開2013−032689号公報 特開2013−083040号公報 特開2013−177797号公報 特開2014−101655号公報
鉄道の施設には、古レールを骨組部材に使用した建造物がある。例えば2本の古レールの互いの底面部同士が接合されて、1本の骨組部材として用いられている。古レールは含有炭素量が多く、溶接を施すと、粘りが小さくなるといった特性がある。このため、溶接が施された古レールを利用した骨組部材に、曲げモーメントを加えていくと、骨組部材が降伏して塑性化する前に、溶接個所の近傍が損傷する可能性がある。
このような特性から、骨組部材への斜材の取り付け方法に溶接を用いないことが望ましい。また、斜材あるいは骨組部材と斜材の接合部に粘りが大きい材料を用いて、粘りが小さい古レールを利用した骨組部材よりも先にいずれかが塑性化することが望ましいと考えられる。
本発明は、一般的な骨組部材を用いた建造物の耐震補強はもとより、古レールのように粘りの少ない特性を有する骨組部材を用いた建造物に対しても効果的な耐震補強を行うことのできる耐震補強構造を提供することを目的としている。
本発明は、上記目的を達成するため、鋼製の骨組部材に金属製の斜材が取り付けられて補強される耐震補強構造であって、
前記骨組部材の一範囲を四方から囲い、且つ、前記斜材が直接または介在部材を介して接合される金属製の囲い板を備え、
前記囲い板は、板を曲げた形状を有し、前記骨組部材の外周の複数の角部に平らな板面が対向かつ近接する態様が含まれるように前記骨組部材の外周の複数個所に板面を対向かつ近接させ、前記骨組部材と剛接合されずに前記骨組部材を囲っていることを特徴としている。
この構成によれば、囲い板が骨組部材と剛接合されずに骨組部材を囲っている。よって、骨組部材と斜材とに水平方向の力が加わって、骨組部材と斜材との接合部位に比較的に大きな力が生じた場合、先ず、囲い板が変位または弾性変形しつつ骨組部材の一部を支える。これにより、骨組部材の斜材との接合部位に曲げ応力を過度に集中させることなく、骨組部材の剛性を向上させることができる。よって、粘りの少ない骨組部材であっても、接合部位に応力が集中して損傷するといった事態を防ぐことができ、斜材と囲い板とによって建造物の効果的な耐震補強を行うことができる。
好ましくは、前記囲い板は、板の曲り部分の内側に空間を開けて前記骨組部材を囲っているとよい。
この構成によれば、板の曲り部分の変形により、骨組部材の斜材との接合部位に曲げ応力が過度に集中することを、より確実に回避することができる。
好ましくは、前記囲い板の耐力は、前記骨組部材の降伏曲げ耐力よりも小さくなるように構成されるとよい。具体的には、前記骨組部材の所定の角度変化量に対する前記囲い板の降伏曲げモーメントが前記骨組部材の降伏曲げモーメントよりも小さくなるように設定されるとよい。
この構成によれば、骨組部材が降伏して曲がる以前に、前記斜材および囲い板が降伏して力を吸収する。よって、建造物の一部が降伏するような非常に大きな振動に対しても建造物の効果的な補強を図ることができる。
また好ましくは、前記囲い板は、
前記骨組部材の一側方を囲い、且つ、一端部と他端部とに一対のフランジ部を有する第1部分と、
前記骨組部材の他側方を囲い、且つ、一端部と他端部とに一対のフランジ部を有する第2部分とを有し、
前記第1部分の前記一対のフランジ部と前記第2部分の前記一対のフランジ部とが互いに接合されて前記囲い板が前記骨組部材を囲い、
前記第1部分のフランジ部と前記第2部分のフランジ部に前記介在部材の一部が接合され、
前記斜材が前記介在部材の他の部位に接合されるように構成するとよい。
このような構成によれば、既存の建造物に囲い板と斜材とを設ける場合に、施工を容易に行うことができる。
また好ましくは、前記骨組部材は、鉄道用の2本のレールを互いの底面部同士を接合して構成され、
前記囲い板は、骨組部材の長手方向に垂直な断面の内周が六角形状であり、前記六角形状の第1頂点を挟む2辺に対応する2つの面が、前記2本のレールのうち一方のレールの頭頂部の両縁部分にそれぞれ近接且つ対向し、前記六角形状の前記第1頂点の反対側の第2頂点を挟む2辺に対応する2つの面が、前記2本のレールのうち他方のレールの頭頂部の両縁部分にそれぞれ近接且つ対向しているとよい。
2本のレールを前記レールの底面部同士を接合して骨組部材とした場合、骨組部材の断面の寸法は、縦寸(一方のレールの頭頂部から他方のレールの頭頂部までの寸法)が横寸(レールの横方の寸法)よりも2倍程度長くなる。よって、骨組部材の囲い方によっては、囲い板が安定的に固定され難くなったり、或いは、囲い板の曲げ成形が行いにくくなったりする。しかしながら、上記構成によれば、囲い板を骨組部材へ安定的に固定でき、且つ、囲い板の曲げ成形も容易に行うことができる。
本発明の耐震補強構造によれば、一般的な骨組部材を使用した建造物の耐震補強はもとより、古レールのように粘りの少ない特性を有する骨組部材を用いた建造物に対しても効果的な耐震補強を行うことかできるという効果が得られる。
本発明の実施の形態に係る耐震補強構造を示す斜視図である。 本発明の実施の形態に係る耐震補強構造を示す正面図である。 実施の形態の柱と斜材の接合部の横断面を示すもので、(a)は図2の矢印A−A線断面図、(b)は第1変形例の断面図、(c)は第2変形例の断面図である。 囲い板の耐力を説明するグラフである。 柱と斜材とを囲い板を用いて接合した場合と剛接合した場合とを比較したグラフである。 本発明の実施の形態に係る耐震補強構造の耐震実験の結果の一例を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る耐震補強構造を示す斜視図である。図2は、本発明の実施の形態に係る耐震補強構造を示す正面図である。図3は、実施の形態の柱と斜材の接合部の横断面を示すもので、(a)は図2の矢印A−A線断面図、(b)は第1変形例の断面図、(c)は第2変形例の断面図である。
本発明の実施の形態に係る耐震補強構造は、骨組部材としての柱100および梁200の間に斜材30を設けて建造物の耐震性を向上する構造である。この耐震補強構造は、既存の建造物に対して後から付加できるものである。
本実施の形態の耐震補強構造を有する建造物は、柱100と、梁200と、囲い板10と、斜材30と、接合板21、22とを備えている。一対の接合板21、21は、本発明に係る介在部材の一例に相当する。
柱100は、鉄道の古レールを利用した構成であり、鉄道の2本のレール101、101の底面部b、b同士を接合して構成される。2本のレール101、101の頭頂部h、hは、互いに逆向きに配置される。レール101の底面部bおよび頭頂部hは、レールが鉄道路線に敷設されているときの底面部および頭頂部を意味する。
囲い板10は、柱100と斜材30とを結び付ける部材であり、鋼板を折り曲げ加工して構成される。囲い板10は、柱100の外周の複数の箇所に板面を対向かつ近接させ、柱100と剛接合されずに柱100の高さ方向の一範囲を四方から囲う。
また、囲い板10は、特に制限されないが、板の曲り部分の内側に空間を設けて、柱100の一範囲を囲うようにしてもよい。
ここで、剛接合とは、骨組に外力が加わり骨組が変形しても接合部が変形しない接合を意味し、溶接又はボルトによる剛接合、強固に引き締められた金属バンドによる接合などが含まれる。
以下、本実施の形態の柱100に適した囲い板10の具体的な一例について説明する。図3(a)に示すように、本実施の形態の囲い板10の横断面の内周形状は六角形であり、六角形の第1頂点P1を挟む2つの面S1、S2が一方のレール101の頭頂部hの両縁部分E1、E2にそれぞれ近接且つ対向するように配置されている。また、第1頂点P1と反対の第2頂点P4を挟む2つの面S4、S5が他方のレール101の頭頂部hの両縁部分E3、E4にそれぞれ近接且つ対向するように配置されている。さらに、横断面内周の六角形の6つの頂点P1〜P6と柱100の外周面とは離間しており、頂点P1〜P6の内側には空間が設けられている。また、残りの2つの面S3、S6(接合板21の端面を含んでいてもよい)が、2つのレール101の底面部b、bの両端部分E5、E6に対向かつ近接している。囲い板10は、柱100に対して溶接等の接合はなされておらず、斜材30の接合、および、柱100との接触により固定されている。
なお、2つのレール101と囲い板10の内周面S1〜S6との近接は、わずかな隙間が設けられる近接であってもよいし、隙間のない接触した近接であってもよい。
なお、囲い板10の横断面形状は、様々に変更可能である。例えば、図3(b)に示すように、囲い板10の横断面形状を片側台形形状としてもよい。図3(b)の囲い板10では、一方の台形の2つの斜辺に対応する2つの面S11、S12が、一方のレール101の頭頂部hの両縁部分E1、E2にそれぞれ近接且つ対向する。同様に他方の台形の2つの斜辺に対応する2つの面S13、S14が、他方のレール101の頭頂部hの両縁部分E3、E4にそれぞれ近接且つ対向する。このような形状でも、囲い板10が柱100を保持しつつ、囲い板10の折れ曲がり部分P11〜P14の内側に空間が設けられる。
また、図3(c)に示すように、囲い板10の曲がり部分を、屈曲でなく、湾曲状に曲げた構成としてもよい。図3(c)の囲い板10では、一方の湾曲した面S21が一方のレール101の頭頂部hの両縁部分E1、E2にそれぞれ近接且つ対向する。同様に他方の湾曲した面S22が、他方のレール101の頭頂部hの両縁部分E3、E4にそれぞれ近接且つ対向する。このような形状でも、囲い板10が柱100を保持しつつ、囲い板10の曲がり部分P21、P22の内側に空間が設けられる
囲い板10は、2つに分離可能な第1部分11と第2部分12とをボルト等により接合して構成される。第1部分11は、柱100の一側方を囲い、且つ、柱100の周方向の一端部と他端部とに一対のフランジ13、14を有する。第2部分12は、柱100の他側方を囲い、且つ、柱100の周方向の一端部と他端部とに一対のフランジ15、16を有する。第1部分11の一方のフランジ13と、第2部分12の一方のフランジ15とは、1つの接合板21を挟んでボルト等により接合されている。同様に、第1部分11の他方のフランジ14と、第2部分12の他方のフランジ16とは、1つの接合板21を挟んでボルト等により共に接合されている。
接合板21は、囲い板10と斜材30とを接合するための板状の部材である。2つの接合板21は、各々の一部が囲い板10に剛接合され、柱100の鉛直方向の中心線を挟んで左右対称に配置されている。2つの接合板21には、2本の斜材30、30の各端部がボルト等によりそれぞれ接合されている。
梁200側の接合板22は、梁200と斜材30とを接合するための板状の部材である。2つの接合板22には2本の斜材30、30の各端部がボルト等によりそれぞれ剛接合されている。梁200と斜材30との接合方法は、特に制限されないが、例えば梁200が古レールを利用した構成であれば、囲い板10を用いた柱100と斜材30との接合方法と同様の接合方法を適用してもよい。或いは、梁200が十分な耐性を有する場合には、梁200と接合板22とを剛接合してもよい。
<囲い板の耐力>
次に、囲い板10の耐力について説明する。
図4は、囲い板10の耐力を説明するグラフである。図4のグラフは、耐震補強構造に水平方向の力を付加したときの柱100の角度変化量θと囲い板10に生じる曲げモーメントMとの関係を模式的に示している。図2に示すように、角度変化量θは、梁200を固定して柱100の一部に水平力を与えたときに、梁200との接合点Oを中心とする柱100の初期位置からの角度の変化量を示す。
図4のグラフにおいて、Muは耐震上の必要最小の水平力を建造物に加えたときの囲い板10に生じる曲げモーメントを示している。cMyは柱100が降伏するときの柱100の曲げモーメントを示している。以下、これらを、必要最小曲げモーメントMu、および、降伏曲げモーメントcMyと呼ぶ。
必要最小曲げモーメントMuは、建造物の構造特性係数Dsおよび形状特性係数Fesと、層せん断力係数Co=1.0のときの地震層せん断力Qiと、耐震性能を割り増す係数αと、柱100の下端から斜材30の接合部までの長さh1とから、例えば、次式(1)に示すように求めることができる。
Mu=Ds×Fes×Qi×α×h1/2 ・・・ (1)
降伏曲げモーメントcMyは、柱100の降伏応力度σyと、柱100の断面係数Zとから、例えば、次式(2)に示すように求めることができる。
cMy=σy×Z ・・・ (2)
また、図4のグラフにおいて、jM1/50は柱100の角度変化量が1/50のときの囲い板10に生じる曲げモーメントを示し、以下ではθ1/50時の囲い板曲げ耐力と呼ぶ。角度変化量「1/50」は、建物の骨組に倒壊の危険があり建物の使用停止の判断基準となる値を示している。このため、曲げモーメントの特性線と、1/50radの角度変化量θのラインとの交点により、θ1/50時の囲い板曲げ耐力jM1/50が表わされる。
囲い板10は、柱100が降伏する曲げモーメントより小さい曲げモーメントが柱100に生じた段階で降伏変形するよう、耐力が設定されている。加えて、囲い板10は、耐震上の必要最小の水平力が建造物に加わった場合でも降伏変形しないよう、耐力が設定されるとよい。このような条件は、次式(3)に示すように、各曲げモーメントとの関係式により表わすことができる。
Mu < jM1/50 < cMy ・・・ (3)
このような条件を満たす場合、図4のグラフに示すように、曲げモーメントの特性線は目標性能ラインL1とクロスすることになる。目標性能ラインL1は、角度変化量θが1/50radで、且つ、曲げモーメントが必要最小曲げモーメントMuから降伏曲げモーメントcMyまでの範囲を示す。
囲い板10は、高さ、厚さ、柱100との隙間、材質、斜材30の断面積など、によって耐力が変化する。よって、これらのパラメータの値を適宜選定することで、θ1/50時の囲い板曲げ耐力jM1/50が式(3)の条件を満たすように、囲い板10を構成することができる。
図5は、柱と斜材とを囲い板を用いて接合した場合と剛接合した場合とを比較したグラフである。
図5の剛接合の特性線に示すように、柱100と斜材30とを剛接合した場合、柱100の曲げモーメントと角度変化量θとの関係は、目標性能ラインL1から大きく外れてしまう。このため、粘りの少ない特性を有する柱100を用いた場合、柱100の降伏曲げ耐力と比較して、接合部の耐力が非常に大きくなる。よって、このような構造の建造物に非常に大きな水平力が生じた場合、接合部が降伏するより前に、柱100が降伏してしまう。図5の剛接合の特性線では、大きな曲げモーメントの範囲まで特性線が延びているが、このような大きな曲げモーメントが生じる前に、柱100が降伏すると考えられる。
一方、図5の囲い板接合の特性線に示すように、囲い板10を用いた接合では、柱100と斜材30との接合部に適宜な剛性が得られるので、特性線を目標性能のラインL1にクロスさせることができる。
図5には、囲い板10と柱100の頭頂部hの両縁部分E1〜E4とが接触している場合の特性線と、これらの部分に少しの隙間を有する場合の特性線とを示している。隙間を有する場合、隙間の分だけ、特性線がシフトするが、柱100の変位により隙間がなくなると、柱100に初めから接触している場合と同様の特性が得られることが分かる。
図6は、本発明の実施の形態に係る耐震補強構造の耐震実験の結果の一例を示すグラフである。
本実施の形態に係る耐震補強構造について、本発明者らが耐震実験を行ったところ、図6に示すような耐震挙動を示すことが明らかになった。この耐震実験は、梁200または柱100に大きな水平力を繰り返し加えて、梁200に対する柱100の相対変位を観察したものである。
図6に示すように、大きな水平力により柱100と梁200とが相対的に大きく揺れ動くと、先ず、囲い板10の面外曲げと圧縮される側の斜材30の曲がりとが進展する(図6の区間T1、T2を参照)。これにより、力の吸収が行われて、柱100の降伏が避けられる。さらに、大きな水平力が繰り返されると、斜材30が座屈し、その後、柱100の変位が一方に大きくなって耐震実験の限界点に達する(図6の区間T3を参照)。このように、本実施の形態の耐震補強構造によれば、柱100が降伏するより前に、囲い板10と斜材30とが降伏変形することにより振動の力が吸収され、これにより柱100が先に降伏して塑性化したり、柱100における囲い板10の近傍が損傷するといった課題を回避できると考えられる。
以上のように、本実施の形態の耐震補強構造によれば、囲い板10と柱100とが剛接合されずに、囲い板10が柱100を囲っている。よって、建造物に揺れが生じて、柱100と梁200との間に相対的な水平力が生じた場合、先ず、囲い板10が弾性変形しつつ、柱100と斜材30とを結び付ける。これにより、柱100と斜材30との接合部に過度に曲げ応力が集中することなく、柱100と梁200との剛性を向上させることができる。よって、粘りの少ない特性を有する柱100を用いた建造物であっても、耐震性能を向上できる。
さらに、建造物の各要素が降伏するような非常に大きな揺れが生じた場合でも、柱100が降伏するより先に、囲い板10の変位又は変形と斜材30の降伏とが生じ、これにより揺れの力を吸収することができる。よって、このような大きな揺れに対しても、効果的な耐震補強が実現される。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限られるものではない。例えば、上記実施の形態では、骨組部材としてレールを利用した建造物に耐震補強を行う構成を示しているが、骨組部材は一般的な断面H型の鋼材を用いていてもよい。
また、上記実施の形態では、囲い板の横断面の内周形状について幾つかの例を示したが、囲い板の内周形状はこれらに限定されるものではない。例えば、骨組部材が、囲い板に対して、骨組部材の長手方向以外の方向に相対的に変位したとき、骨組部材が囲い板に接触して骨組部材から囲い板に力が伝わり、且つ、囲い板の内側の空間により囲い板が面外変形可能になっていれば、囲い板の断面の内周形状はどのような形状であってもよい。
また、上記実施の形態では、囲い板10の横断面の内周形状の全ての頂点P1〜P6と柱100の外周面との間に、空間が設けられている構成例を示したが、一部の頂点のみ、その内側に空間が設けられていればよい。また、上記実施の形態では、囲い板は折り曲げ加工により形成されると説明したが、予め曲げられた形状に成形してもよい。また、折り曲げ部分は湾曲状に曲がった形状としてもよい。
さらに、上記の実施の形態では、囲い板10の曲り部分の内側に空間を設けた構成とした。しかしながら、このような空間を設けずに、囲い板10と柱100とを剛接合せずに、囲い板10により柱100を囲う構成にしてもよい。例えば、断面矩形の柱であれば、囲い板10の内周面と柱の外面との間を離間させずに、囲い板10が柱の高さ方向の一範囲を囲っている構成としてもよい。このような構成でも、実施の形態と同様の作用を得ることができる。
また、上記実施の形態では、斜材と囲い板とが接合板を介して接合された構成を示したが、直接に接合される構成を採用してもよい。
また、上記実施の形態では、建物の使用停止の判断基準となる柱の角度変化量を1/50として、囲い板の耐力の設定値を計算する例を示した。しかしながら、この角度変化量1/50は一例であり、建物の使用停止の判断基準となる値が別に定められる場合には、その値に基づいて同様に囲い板の耐力の設定値を計算すればよい。
また、上記実施の形態では、柱と斜材との接合に囲い板を用いた構成を一例として示したが、梁と斜材との接合、その他の骨組部材と斜材との接合に、本発明に係る構造を適用することができる。
10 囲い板
13〜16 フランジ
21、22 接合板
30 斜材
100 柱
101 レール
200 梁
P1〜P6 頂点
h 頭頂部
E1、E2、E3、E4 頭頂部の両縁部分
b 底面部

Claims (4)

  1. 鋼製の骨組部材に金属製の斜材が取り付けられて補強される耐震補強構造であって、
    前記骨組部材の一範囲を四方から囲い、且つ、前記斜材が直接または介在部材を介して接合される金属製の囲い板を有し、
    前記囲い板は、板を曲げた形状を有し、前記骨組部材の外周の複数の角部に平らな板面が対向かつ近接するように、前記骨組部材と剛接合されずに前記骨組部材を囲っており、
    前記骨組部材の所定の角度変化量に対する前記囲い板の降伏曲げモーメントが前記骨組部材の降伏曲げモーメントよりも小さくなるように設定されていることを特徴とする耐震補強構造。
  2. 前記囲い板は、板の曲り部分の内側に空間を開けて前記骨組部材を囲っていることを特徴とする請求項1記載の耐震補強構造。
  3. 前記囲い板は、
    前記骨組部材の一側方を囲い、且つ、一端部と他端部とに一対のフランジ部を有する第1部分と、
    前記骨組部材の他側方を囲い、且つ、一端部と他端部とに一対のフランジ部を有する第2部分とを有し、
    前記第1部分の前記一対のフランジ部と前記第2部分の前記一対のフランジ部とが互いに接合されて前記囲い板が前記骨組部材を囲い、
    前記第1部分のフランジ部と前記第2部分のフランジ部に前記介在部材の一部が接合され、
    前記斜材が前記介在部材の他の部位に接合されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の耐震補強構造。
  4. 前記骨組部材は、鉄道用の2本のレールを互いの底面部同士を接合して構成され、
    前記囲い板は、骨組部材の長手方向に垂直な断面の内周が六角形状であり、前記六角形状の第1頂点を挟む2辺に対応する2つの面が、前記2本のレールのうち一方のレールの頭頂部の両縁部分にそれぞれ近接且つ対向し、前記六角形状の前記第1頂点の反対側の第2頂点を挟む2辺に対応する2つの面が、前記2本のレールのうち他方のレールの頭頂部の両縁部分にそれぞれ近接且つ対向していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の耐震補強構造。
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