以下、本発明の実施形態の内容を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様を含み、以下に例示される実施形態の内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、それはあくまで一例であって、本発明の内容を限定するものではない。また、本明細書において、ある図面に記載されたある要素と、他の図面に記載されたある要素とが同一又は対応する関係にあるときは、同一の符号(又は符号として記載された数字の後にa、b等を付した符号)を付して、繰り返しの説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有さない。
1.第1の実施形態
本発明の一実施形態に係る柱梁接合構造は、鋼管柱に鉄骨梁が嵌め入れられた構造を有する。以下、本実施形態に係る柱梁接合構造の詳細を、図面を参照して説明する。
1-1.柱梁接合構造
図1は、本実施形態に係る柱梁接合構造100aの斜視図を示す。柱梁接合構造100aは、鋼管柱102に鉄骨梁104が嵌め入れられ、溶接により接合された構造を有する。本実施形態において、鋼管柱102は材軸方向(上側部分と下側部分)に分割されたものが用いられ、鉄骨梁104との接合部において接合された構造を有する。鉄骨梁104は4方向から鋼管柱102に挿入された構造を有する。
ここで便宜上、鋼管柱102は分割された状態において、下側の鋼管柱を第1の鋼管柱102aと呼び、上側の鋼管柱を第2の鋼管柱102bと呼ぶこととする。また、鉄骨梁104は、それぞれの梁を時計回りに第1の鉄骨梁104a、第2の鉄骨梁104b、第3の鉄骨梁104c、第4の鉄骨梁104dと呼ぶこととする。
第1の鋼管柱102aは、上端部に第1の切欠き部106aを有する。第1の切欠き部106aは、鉄骨梁104の十字型に配置された各梁(第1の鉄骨梁104a、第2の鉄骨梁104b、第3の鉄骨梁104c、第4の鉄骨梁104d)が嵌め合わされるように、第1の鋼管柱102aの上端部の4箇所に設けられる。第2の鋼管柱102bは、下端部に第2の切欠き部106bを有する。第2の切欠き部106bは、第1の切欠き部106aと同様に、第2の鋼管柱102bの下端部の4箇所に設けられる。第1の鋼管柱102aと第2の鋼管柱102bとは、両者の端部(上端部と下端部)が突き合わされ、第1の切欠き部106aと第2の切欠き部106bとで鉄骨梁104を挟むように配置される。換言すれば、柱梁接合構造100aは、第1の鉄骨梁104a、第2の鉄骨梁104b、第3の鉄骨梁104c、第4の鉄骨梁104dが、第1の鋼管柱102aと第2の鋼管柱102bとが接合された状態において、第1の切欠き部106aと第2の切欠き部106bとで形成される開口部に嵌め入れられた構造を有する。
なお、図1は、鋼管柱102が角形鋼管柱であり、鉄骨梁104は、H形鋼が用いられる場合を示す。しかしながら、本発明はこのような形状の鋼材に限定されず、鋼管柱102として丸形鋼管柱、異形鋼管柱等を用いることができ、鉄骨梁104として、L形鋼、I形鋼、T形鋼、溝型鋼等の各種の形鋼を用いることができる。
鉄骨梁104がH型鋼で形成される場合、上側フランジと下側フランジとの間にスチフナ108が設けられていてもよい。スチフナ108は、鉄骨梁104を鋼管柱102に挿入したとき、第1の切欠き部106a及び第2の切欠き部106bによって形成される開口部を塞ぐ位置に設けられていることが好ましい。スチフナ108は、H型鋼においてウェブの座屈を防ぐために設けられる補強部材の一種であるが、鉄骨梁104が鋼管柱102に嵌め合わされる位置に設けることで、第1の切欠き部106a及び第2の切欠き部106bによって形成される開口部を塞ぐことができる。また、鋼管柱102との接合部における鋼管柱102の強度を高めることができる。
第1の鋼管柱102aと第2の鋼管柱102bとは溶接により接合される。第1の鋼管柱102aの上端部と第2の鋼管柱102bの下端部とが突き合わされる部分に、第1の接合部110aとして溶接による接合が形成される。また、鉄骨梁104は、上側のフランジと鋼管柱102とが第2の接合部110bとして溶接により接合される。また、図1には図示されないが、鉄骨梁104の下側フランジも鋼管柱102と溶接により接合される。例えば、第1の鉄骨梁104a、第2の鉄骨梁104b、第3の鉄骨梁104c、及び第4の鉄骨梁104dのそれぞれは、上側フランジ部分が第2の鋼管柱102bであった部分と溶接により接合され、下側のフランジ部分が第1の鉄骨梁102aであった部分と溶接により接合される。
図2は、柱梁接合構造100aにおいて、鉄骨梁104が鋼管柱102に挿入される部分の側面模式図を示す。図2は、鋼管柱102に対し、第1の鉄骨梁104aが正面から挿入され、第2の鉄骨梁104bが左方向から、第4の鉄骨梁104dが右方向から挿入された状態を示す。
第1の鋼管柱102aと第2の鋼管柱102bは、第1の接合部110aにおいて接合される。第1の鋼管柱102aと第2の鋼管柱102bとを繋ぐ第1の接合部110aは、溶接により形成される。そのため、第1の接合部110aは、第1の鋼管柱102a及び第2の鋼管柱102bのそれぞれの端部が突き合わされた部位に位置する。第1の鉄骨梁104aは、第1の切欠き部106a及び第2の切欠き部106bとで形成される開口部に挿入され(別言すれば、第1の切欠き部106aと第2の切欠き部106bとで挟まれて)、第2の接合部110b、110cにおいて接合される。第2の接合部110bは、第1の鉄骨梁104aの上側フランジと鋼管柱102(第2の鋼管柱102bであった部分)とが隣接する部位に位置し、第2の接合部110cは、第1の鉄骨梁104aの下側フランジと鋼管柱102(第1の鋼管柱102aであった部分)とが隣接する部位に位置している。
上述のように、第1の鉄骨梁104aの上側フランジと下側フランジとの間にスチフナ108が設けられている場合、第1の切欠き部106aと第2の切欠き部106bとで形成される開口部を塞ぐことができる。スチフナ108は、第1の鉄骨梁104aの上下のフランジ及びウェブと溶接接合されており、鋼管柱102の開口部を塞ぐために十分な厚さと強度を有していることが好ましい。鋼管柱102に設けられる第1の切欠き部106a及び第2の切欠き部106bの形状は、第1の鉄骨梁104aが挿入できるように、その断面形状と略同一形状を有していればよい。例えば、第1の鉄骨梁104aが形鋼である場合、第1の切欠き部106a及び第2の切欠き部106bによってその形鋼の断面形状と略同一の形状が形成されていればよい。しかし、第1の切欠き部106a及び第2の切欠き部106bの形状を形鋼の断面形状に合わせようとすると、鋼管柱102に複雑に屈曲した切欠き形状を形成する必要がある。一方、スチフナ108を用いることで、第1の切欠き部106aと第2の切欠き部106の形状を矩形とすることが可能であり、鋼管柱102における切欠き部の加工を容易とすることができる。
図2に示すように、第1の鋼管柱102aは、スチフナ108と境界a1を形成し、第1の鉄骨梁104aと境界b1を形成する。また、第2の鋼管柱102bは、スチフナ108と境界a2を形成し、第1の鉄骨梁104aと境界b2を形成する。境界b1は第2の接合部100cを形成し、境界b2は第2の接合部110bを形成するが、境界a1、a2は必ずしも溶接されている必要はない。柱梁接合構造100aは、第1の接合部110a及び第2の接合部110b、110cを有することで十分な接合強度を有することができる。なお、さらに接合部の強度を高めるために、境界a1、a2においても適宜溶接接合が形成されていてもよい。
上記は、第1の鉄骨梁104aと鋼管柱102との接合構造についての説明であるが、
第2の鉄骨梁104b、第3の鉄骨梁104c、第4の鉄骨梁104dについても、第1の鉄骨梁104aと同様に鋼管柱102と接合された構造を有する。
図3は、本実施形態に係る柱梁接合構造100aの接合部分の平面模式部を示す。図3において、(A)は鉄骨梁104が十字型である場合を示し、第1の鉄骨梁104aと第3の鉄骨梁104cが一方向に連通し、第2の鉄骨梁104b及び第4の鉄骨梁104dが十字に交差するように配置された構造を示す。なお、第1の鉄骨梁104aと第3の鉄骨梁104cは1本の鉄骨梁によって構成されていてもよい。十字型の鉄骨梁104は、各梁(第1の鉄骨梁104a、第2の鉄骨梁104b、第3の鉄骨梁104c、第4の鉄骨梁104d)が鋼管柱102を貫通するように設けられる。十字型の鉄骨梁104と鋼管柱102とは切欠き部で嵌合されたのち、溶接により接合される。
図3において、(B)は鋼管柱102に対し4方向から鉄骨梁104(第1の鉄骨梁104a、第2の鉄骨梁104b、第3の鉄骨梁104c、第4の鉄骨梁104d)が挿入された構造を示す。鉄骨梁104(第1の鉄骨梁104a、第2の鉄骨梁104b、第3の鉄骨梁104c、第4の鉄骨梁104d)は、フランジ部分が鋼管柱102と溶接により接合(第2の接合部110b)された構造を有する。
図3(A)及び(B)に示すように、鉄骨梁104が鋼管柱102を貫通する構造とすることで、梁の曲げモーメントが大きくかかる部分で鉄骨梁と鋼管柱とを突合わせ溶接する必要が無くなり、柱梁構造の強度を高めることができる。特に、(A)に示す構造では、鋼管柱102の内側で梁同士が繋がる構造を有するため、鋼管柱102を介さずに連通する梁に外力を分散させることができる。
このように、本実施形態によれば、第1の鋼管柱102aに第1の切欠き部106aを設け、第2の鋼管柱102bに第2の切欠き部106bを設け、第1の切欠き部106aと第2の切欠き部106bとで鉄骨梁104が挟み込まれるように配置し、溶接により接合部を形成することで、梁にかかる曲げモーメントに対し耐性の高い柱梁接合構造100aを形成することができる。別言すれば、第1の鋼管柱102aに第1の切欠き部106aを設け、第2の鋼管柱102bに第2の切欠き部106bを設け、第1の切欠き部106a及び第2の切欠き部106bにより形成される開口部に鉄骨梁104を挿入し、溶接により第1の鋼管柱102a、第2の鋼管柱102b、及び鉄骨梁104を溶接接合することで、梁にかかる曲げモーメントに対し耐性の高い柱梁接合構造100aを形成することができる。
本実施形態に係る柱梁接合構造100aは、鋼管柱と鉄骨梁とをダイアフラム等を用いて突合わせ溶接するのではなく、鉄骨梁が鋼管柱に挿入される構造を有するので、鉄骨梁の曲げモーメントが最大となる部分を溶接接合によってのみ強度を保つ必要がなく、溶接の品質に影響を受けにくい構造とすることができる。さらに、本実施形態に係る柱梁接合構造100aによれば、鋼管柱と鉄骨梁とを接合するときに、ダイアフラム等の部材を用いる必要がなく、接合構造を簡略化し、接合部の数を減らし、接合部の合計長さを短くすることができる。これにより、柱梁接合構造の品質ばらつきを小さくすることができる。
本実施形態に係る柱梁接合構造100aは、材軸方向に分断された鋼管柱において材軸方向に切欠き部が設けられ、該切欠き部において鉄骨梁104が嵌合されるように配置されていると共に、2つの鋼管柱の端部が断面方向において溶接されており、鋼管柱の溶接長さがより小さい柱梁接合構造100aを形成することができる。このため、施工工程における作業時間の短縮が可能である。また、溶接ひずみに起因する鋼管柱の変形を抑制することが可能である。
1-2.柱梁接合構造の施工方法
図4乃至図6を参照して本実施形態に係る柱梁接合構造の施工方法について説明する。
図4は、鋼管柱102が、第1の鋼管柱102aと第2の鋼管柱102bに分割された状態にあり、第1の鋼管柱102aの上から鉄骨梁104が設置され、その上から第2の鋼管柱102bが設置される工程を示す。第1の鋼管柱102aは第1の切欠き部106aがあらかじめ形成され、第2の鋼管柱102bには第2の切欠き部106bがあらかじめ形成されており、鉄骨梁104は、第1の切欠き部106aに嵌め入れられるように設置される。第1の鋼管柱102aの第1の切欠き部106aは、鉄骨梁104の形態に合わせて形成され、第2の鋼管柱102bにおいて第2の切欠き部106bは第1の切欠き部106aに対応する位置に形成される。
図4は、鋼管柱102が角形であり、鉄骨梁104が十字型の形状を有する場合を示す。第1の鋼管柱102aには、鉄骨梁104の梁の形態に合わせて第1の切欠き部106aが形成される。具体的には、鉄骨梁104において十字型に配置された各梁に対応するように、第1の鋼管柱102aの4面に第1の切欠き部106aが形成される。鉄骨梁104は、十字型に配置された各梁が、第1の切欠き部106aに嵌め込まれるように配置される。その後、第2の鋼管柱102bが、鉄骨梁104の上に配置される。第2の鋼管柱102bは、第2の切欠き部106bが鉄骨梁104の十字型に配置された各梁に嵌まるように配置される。
第1の鋼管柱102aは、建造物の所定の位置に設置される。例えば、第1の鋼管柱102aは、建造物の基礎の上に立設される。第1の切欠き部106aは、第1の鋼管柱102aを建造物に設置する前に形成されていてもよいし、建造物に設置後に形成されてもよい。鉄骨梁104は、第1の鋼管柱102aの第1の切欠き部106aに嵌め合わされるように設置される。
図4に示すように、第1の鋼管柱102a及び第2の鋼管柱102bは、第1の切欠き部106aの深さをd1(第1の鋼管柱102aの端部から切り込む深さ)とし第2の切欠き部106bの深さをd2(同前)としたとき、深さd1とd2の合計が、鉄骨梁104の高さHと略同一となるように切欠き部が形成される。また、第1の鋼管柱102a及び第2の鋼管柱102bは、第1の切欠き部106aの幅をs1とし第2の切欠き部106bの幅をs2としたとき、幅s1とs2の合計が、鉄骨梁104のフランジの幅Wと略同一となるように切欠き部が形成される。
第1の切欠き部106aの深さd1と第2の切欠き部106bの深さd2は同一である必要はないが、両者の合計が鉄骨梁104の高さHより小さいと、鉄骨梁104を鋼管柱102に挿入した構造を形成することができず、大きすぎると上側フランジと鋼管柱102との溶接接合を形成することが困難となる。また、第1の切欠き部106aの幅s1と第2の切欠き部106bの幅s2とが鉄骨梁104のフランジの幅Wよりも小さいと、鉄骨梁104を鋼管柱102に挿入した構造を形成することができず、大きすぎると鉄骨梁104の位置精度を高めることができなくなる。
鉄骨梁104は、第1の鋼管柱102aの第1の切欠き部106aに嵌め合わされるように設置されることで、梁の位置を正確に定めることができる。また、鉄骨梁104は第1の切欠き部106aに嵌められることにより、施工途中においても第1の鋼管柱102aの上に安定的に保持される。これにより、施工途中における鉄骨梁104の位置ズレや傾きを防止することができる。
図5(A)は、第1の鋼管柱102aと第2の鋼管柱102bを溶接し、鋼管柱102と鉄骨梁104とを溶接する段階を示す。第1の鋼管柱102aと第2の鋼管柱102bとは、両者を材軸方向に縦に配置し、突き合わされる端部(第1の鋼管柱102aの上端部と第2の鋼管柱102bの下端部)を溶接により接合する。これにより、第1の接合部110aが形成される。
図5(B)は、図5(A)において示すA1-A2間に対応する領域の断面模式図を示す。図5(B)には、第1の鋼管柱102aと第2の鋼管柱102bとが接合される第1の接合部110aと、第2の鉄骨梁104b及び第4の鉄骨梁104dと鋼管柱102(第1の鋼管柱102a、第2の鋼管柱102b)と接合される第2の接合部110b、110cを示す。第1の接合部110aにおいて、第1の鋼管柱102aの上端部の裏側面には、当て金112が設けられていてもよい。この当て金112は、第1の鋼管柱102aの上端部に複数箇所設けられていることが好ましい。第1の鋼管柱102aの上端部に当て金112を設けることで、第2の鋼管柱102bの位置ずれを防止することができ、溶接の作業を容易化し、位置合わせの精度を高めることができる。
鉄骨梁104は、少なくともフランジ部分が鋼管柱102と溶接により接合される。例えば、図5(B)に示すように、第2の鉄骨梁104b及び第4の鉄骨梁104dの上側のフランジ部分が鋼管柱102(第2の鋼管柱102b)と溶接により接合される。また、第2の鉄骨梁104b及び第4の鉄骨梁104dの下側のフランジ部分が鋼管柱102(第1の鋼管柱102a)と溶接により接合される。本実施形態で示すように、鉄骨梁104が十字型である場合、各梁の上側フランジ及び下側フランジの部分が鋼管柱102と溶接により接合される。なお、本実施形態において、第2の接合部110bに相当する部位(鉄骨梁と鋼管柱を接合する部位)は、図5(B)に示す態様に限定されない。例えば、前述のスチフナ108と鋼管柱102との境界部a1、a2の一部又は全部が溶接により接合されていてもよい。
なお、工場において、図5(A)に示すように、鋼管柱102及び鉄骨梁104を組み立てた後、施工現場に搬入することができる。この結果、施工現場での施工期間を短縮することが可能である。
図6は、鉄骨梁104に、第11の鉄骨梁104aa、第21の鉄骨梁104bb、第31の鉄骨梁104cc、第41の鉄骨梁104ddをボルト接合により連結する段階を示す。ボルト接合に当たっては、各鉄骨梁のフランジを挟む添え板114、及び各ウェブを挟む添え板115が適宜用いられる。鉄骨梁104のウェブと、第11の鉄骨梁104aa、第21の鉄骨梁104bb、第31の鉄骨梁104cc、第41の鉄骨梁104ddそれぞれのウェブとを一対の添え板115で挟む。次に、各ウェブ及び添え板115のボルト孔にボルト122を挿入し、各ウェブ及び添え板をボルト122及びナット124で締結する。また、鉄骨梁104の上下フランジと、第11の鉄骨梁104aa、第21の鉄骨梁104bb、第31の鉄骨梁104cc、第41の鉄骨梁104ddそれぞれの上下フランジとを、添え板114で挟み同様にボルト締めする。この段階では、十字型の鉄骨梁104が鋼管柱102に溶接されているため、第11の鉄骨梁104aa、第21の鉄骨梁104bb、第31の鉄骨梁104cc、第41の鉄骨梁104ddを、安定した状態で鉄骨梁104に接続することができる。なお、鉄骨梁104と接合される第11の鉄骨梁104aa、第21の鉄骨梁104bb、第31の鉄骨梁104cc、第41の鉄骨梁104ddは、任意の長さとすことができる。
このような工程を経て、図1に示す柱梁接合構造100aを得ることができる。本実施形態によれば、鋼管柱102を材軸方向に分割し、切欠き部106を設けておくことで、鉄骨梁104が鋼管柱102に嵌め合わされる構造を形成することができる。さらに、鋼管柱102に鉄骨梁104を嵌め合わせ、溶接により接合することで、接合部110の強度を向上させることができ、溶接品質のばらつきによる影響を低減することができる。さらに、溶接による接合部110は、材軸方向に分割した鋼管柱102の突き合わせ部分と、鋼管柱102と鉄骨梁104のフランジ部分とで済むため、溶接にかかる時間と労力を削減することができ、施工性を高めることができる。
なお、図6においては、一対の添え板114、115を図示しているが、添え板114、115は一方のみでもよい。また、ボルトで各ウェブ及び添え板を接続しているが、各ウェブ及び添え板を溶接してもよい。
2.第2の実施形態
本実施形態は、第1の実施形態に示す柱梁接合構造に対し、鋼管柱に形成される切欠き部の構成が異なる態様について示す。以下の説明では、第1の実施形態を相違する部分を中心に説明する。
2-1.柱梁接合構造
図7は、本実施形態に係る柱梁接合構造100bを示す。鋼管柱102は、第1の実施形態と同様に、第1の鋼管柱102aと第2の鋼管柱102bとに分割された構成を有する。本実施形態においては、第1の鋼管柱102aには切欠き部106が設けられるが、第2の鋼管柱102bには切欠き部が設けられていない点で第1の実施形態と相違する。図7は、鉄骨梁104が十字型である場合を示す。この鉄骨梁104は、第1の鋼管柱102aに形成された切欠き部106に嵌め入れられるように配置される。第1の鋼管柱102aの上端部と第2の鋼管柱102bの下端部とは溶接により接合される(第1の接合部110a)。また、鉄骨梁104は、少なくとも上側フランジの部分が第2の鋼管柱102bと溶接により接合される(第2の接合部110b)。
図7に示すように、第1の鋼管柱102aにのみ切欠き部106を設けるようにしても、第1の実施形態と同様に鉄骨梁104が鋼管柱102に挿入された構造を形成することができる。それにより、梁にかかる曲げモーメントに対し、耐性の高い柱梁接合構造100bを得ることができる。本実施形態においては、材軸方向に分割した鋼管柱の一方のみに切欠き部106を設ければ良いので、鋼管柱102を加工する工程を簡略化することができる。
2-2.柱梁接合構造の施工方法
図8は、第1の鋼管柱102aに鉄骨梁104を嵌め合わせる段階を示す。第1の鋼管柱102aには切欠き部106が形成される。切欠き部106の深さd1(第1の鋼管柱102aの端部から切り込む深さ)は、鉄骨梁104の高さHと略同一とし、切欠き部106の幅s1は鉄骨梁104のフランジの幅Wと略同一とすることが好ましい。切欠き部106の深さd1が鉄骨梁104の高さHより小さいと、鉄骨梁104を鋼管柱102に挿入した構造を形成することができず、大きすぎると溶接部を確保することが困難となる。また、切欠き部106が鉄骨梁104のフランジの幅Wよりも小さいと、鉄骨梁104を鋼管柱102に挿入した構造を形成することができず、大きすぎると鉄骨梁104の位置精度を高めることができなくなる。
第1の実施形態と同様に、鉄骨梁104は、第1の鋼管柱102aの切欠き部106に嵌め合わされて設置されることで位置を正確に定めることができる。このような構成により、施工途中における鉄骨梁104と鋼管柱102の位置ズレや傾きを防止することができる。
図9は、第1の鋼管柱102aと第2の鋼管柱102bを溶接し、さら鋼管柱102に鉄骨梁104を溶接する段階を示す。第2の鋼管柱102bは、第1の鋼管柱102a及び鉄骨梁104の上に設置される。第2の鋼管柱102bの下端部は、第1の鋼管柱102aの上端部と溶接され第1の接合部110aが形成される。鉄骨梁104は、各梁の上側フランジと鋼管柱102(第2の鋼管柱102b)と溶接されて第2の接合部110bが形成され、各梁の下側フランジと鋼管柱102(第1の鋼管柱102a)とが溶接されて第2の接合部110c(図9では図示せず)が形成される。
第1の接合部110aと第2の接合部110bとは、略同じ高さで連続するように形成される。このため、第1の鋼管柱102aと第2の鋼管柱102bとが隣接する部分、及び第2の鋼管柱102bと鉄骨梁104の上側フランジ部分とを連続して溶接することができる。なお、本実施形態においても、第1の鋼管柱102aと第2の鋼管柱102bを接合するに当たっては、第1の鋼管柱102aの内側に当て金を設けておいてもよい。
図10は、鉄骨梁104に、第11の鉄骨梁104aa、第21の鉄骨梁104bb、第31の鉄骨梁104cc、及び第41の鉄骨梁104ddをボルト接合する段階を示す。十字型の鉄骨梁104に各梁をボルト接合する工程は第1の実施形態と同様である。この段階では、十字型の鉄骨梁104が鋼管柱102に溶接されているため、第11の鉄骨梁104aa、第21の鉄骨梁104bb、第31の鉄骨梁104cc、及び第41の鉄骨梁104ddを、安定した状態で鉄骨梁104に接続することができる。
なお、本実施形態では、第1の鋼管柱102aに切欠き部106が設けられ、第2の鋼管柱102bには切欠き部が設けられない構成を示すが、本実施形態はこの構成のみに限定されない。第1の鋼管柱102aには切欠き部が設けられず、第2の鋼管柱102bのみに切欠き部106が設けられる構成としてもよい。
また、第2の鋼管柱102bは、切欠き部が設けられない構成に代えて、突起部が設けられる構成を適用してもよい。例えば、図11に示すように、第1の鋼管柱102aの切欠き部106の深さd1を、鉄骨梁104の高さHよりも大きくし、第2の鋼管柱102bの下端部に切欠き部106と嵌合する突起部116を設けてもよい。すなわち、材軸方向に立設される鋼管柱の一方に切欠き部を設け、他方にその切欠き部と嵌合する突起部を設けるようにしてもよい。
ここで、突起部116の高さをt2とすると、切欠き部106の深さd1は、鉄骨梁104の高さHと突起部の高さt2の合計と略同じとなるようにすればよい。図11に示す構成によれば、第1の鋼管柱102aと鉄骨梁104が嵌め合う構造となり、さらに第2の鋼管柱102bが第1の鋼管柱102aと嵌め合う構造となるので、それぞれの部材の位置を正確に決めることができる。
本実施形態に係る柱梁接合構造100bにおいても、鉄骨梁104が鋼管柱102を貫通する構造を有するので、鉄骨梁104の曲げモーメントが最大となる部位に溶接部が重なることを防止することができる。また、この構造によれば、鋼管柱102と鉄骨梁104とを接合するときに、ダイアフラム等の部材を用いる必要がなく、接合構造を簡略化することができる。
3.第3の実施形態
本実施形態は、第1の実施形態に示す柱梁接合構造に対し、鉄骨梁の構成が異なる態様を示す。以下の説明では、第1の実施形態を相違する部分について説明する。
図12(A)は、本実施形態に係る柱梁接合構造100cの斜視図を示す。柱梁接合構造100cは、鋼管柱102に2方向から鉄骨梁104が嵌め入れられ、溶接により接合された構造を有する。ここで、鋼管柱102は、第1の実施形態と同様の構成を有するものとする。すなわち、第1の鋼管柱102aには第1の切欠き部106aが設けられ、第2の鋼管柱102bには第2の切欠き部106bが設けられた構成を有する。柱梁接合構造100cは、第1の切欠き部106aと第2の切欠き部106bとによって形成される開口部に、第1の鉄骨梁104a及び第2の鉄骨梁104bが異なる方向から嵌め合わされた構成を有する。
第1の鋼管柱102a及び第2の鋼管柱102bは、第1の実施形態と同様に4箇所に切欠き部が設けられている。図12に示すように、鋼管柱102において第2の鉄骨梁104bが嵌め込まれた面と反対側の面は、第2の鉄骨梁104bの端部が突出しスチフナ108で開口部が塞がれた構造を有する。第2の鉄骨梁104bは、この端部が突出する部分においても鋼管柱102と第2の接合部110b(及び第2の接合部110c:図示せず)を形成する。
図12(B)は、図12(A)に示すA3-A4線に対応する部位の断面模式図を示す。第1の鋼管柱102aと第2の鋼管柱102bとは、第1の接合部110aにおいて溶接により接合される。第2の鉄骨梁104bは、鋼管柱102と第2の接合部110b、110cにおいて溶接により接合される。第2の鉄骨梁104bは、鋼管柱102の一方の面から他方の面に貫通し、当該他方の面から一端部が突出するように設けられる。第2の鉄骨梁104bと鋼管柱102を接合する第2の接合部110b、110cは、第2の鉄骨梁104bが鋼管柱102に挿入される側の面と、第2の鉄骨梁104cが鋼管柱102から突き出る側の面の両方の面に形成される。図12(B)では図示されないが、第1の鉄骨梁104aについても同様に鋼管柱102と接合される。
本実施形態に係る柱梁接合構造は、第1の実施形態で示される十字型の鉄骨梁の構成を、L字型に置き換えたものに相当する。したがって、本実施形態においても、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることできる。さらに、L字型に鉄骨梁を設ける場合においても、鉄骨梁104を鋼管柱102に貫通するように設け、少なくとも4箇所で溶接接合することで、梁にかかる曲げモーメントに対し耐性の高い柱梁接合構造を構成することができる。また、本実施形態においては、第1の鋼管柱102a及び第2の鋼管柱102bの構成を、第2の実施形態におけるものに置き換えることができる。さらに、第1の鋼管柱102a及び第2の鋼管柱102bに形成される切欠き部106(第1の切欠き部106a、第2の切欠き部106b)の配置をL字型の鉄骨梁104の配置に合わせて形成することで、封止板118を省略することもできる。
4.第4の実施形態
本実施形態は、第1乃至第3の実施形態で示す柱梁接合構造を、コンクリート充填鋼管構造(Concrete Filled Steel Tube,CFTともいう。)に応用した一例を示す。
図13は、本実施形態に係る柱梁接合構造100dを示す。図13において、(A)は本実施形態に係る柱梁接合構造100dの斜視図を示し、(B)は(A)に示すA5-A6線に対応する、鋼管柱102と鉄骨梁104の接合部の断面模式構造を示す。図13(A)に示すように、鉄骨梁104が鋼管柱102に接合された状態において、鋼管柱102の内側にはコンクリート120が充填される。図13(B)に示すように、コンクリート120は、鉄骨梁104が鋼管柱102に挿入された部分においても充填される。
このように、鋼管柱102の中にコンクリート120を充填することで、鋼管柱102の断面積を小さくしても強靱な構造を形成することができる。また、コンクリート120を鋼管柱102と鉄骨梁104との接合部においても充填されるようにすることで、鉄骨梁104の曲げモーメントに対する耐性を高めることができる。
なお、図13は、一例として、鋼管柱及び鉄骨梁の構成が第1の実施形態におけるものと同様の構成を示すが、本実施形態はこれに限定されない。鋼管柱へのコンクリート充填構造は、第2の実施形態及び第3の実施形態に係る柱梁接合構造に対しても同様に適用することができる。
5.第5の実施形態
第1の実施形態乃至第4の実施形態に示す柱梁接合構造において、鋼管柱に接合される複数の鉄骨梁のうち、少なくとも一つの鉄骨梁のフランジの幅、フランジの厚さ、高さが異なっていてもよい。本実施形態では、フランジの高さ(せい)が異なる場合を説明する。
図14は、本実施形態に係る柱梁接合構造100eを示す。本実施形態に係る柱梁接合構造100eは、鋼管柱102に嵌め込まれる複数の鉄骨梁104の内、少なくとも一つの鉄骨梁の断面の寸法(サイズ)が異なっている点で、第1の実施形態に係る柱梁接合構造100aと相違する。図14は、鋼管柱102に4本の鉄骨梁が嵌め入れられた構造を示すが、第1の鉄骨梁104eのフランジの幅W2と高さH2が、第2の鉄骨梁104b、第3の鉄骨梁104c、及び第4の鉄骨梁104dと異なる態様を示す。具体的には、第1の鉄骨梁104eのフランジの幅W2と高さH2は、第2~第4の鉄骨梁104b~104dのフランジの幅W1と高さH1に比べて小さい値を有する。
第1の鋼管柱102a及び第2の鋼管柱102bに設けられる切欠き部は、嵌め入れられる鉄骨梁104の断面の寸法(サイズ)に応じて寸法が異なるように設けられる。第1の鉄骨梁104eが嵌め入れられる部分においては、フランジの幅W2と高さH2に合わせて第1の鋼管柱102aに第3の切欠き部106cが設けられ、第2の鋼管柱102bに第4の切欠き部106dが設けられる。第2~第4の鉄骨梁104c~104dに対しては、フランジの幅W1と高さH1に合わせて第1の鋼管柱102aに第1の切欠き部106aが設けられ、第2の鋼管柱102bに第2の切欠き部106bが設けられる。
図14では詳細に示されないが、第1の鉄骨梁104eと第3の鉄骨梁104cとは材軸方向に直列に配列され、接合された構造を有する。第1の鉄骨梁104eと第3の鉄骨梁104cとが接合されることで、鋼管柱102を実質的に貫通する梁構造を形成することができ、曲げモーメントの耐性が高い構造を得ることができる。本実施形態では、断面の大きさが異なる2つの鉄骨梁を接合して、柱梁接合構造を形成したときに十分な強度を得るためにリブが用いられる。図14は、第1の鉄骨梁104eの下側部分から、第3の鉄骨梁104cと接合される第1のリブ126が突出する形態を示す。
図15(A)は、図14に示す柱梁接合構造100eの接合部の平面模式図を示す。図15(A)に示すように、鉄骨梁は、第1の鉄骨梁104eと第3の鉄骨梁104cが材軸方向に連通し、第2の鉄骨梁104b及び第4の鉄骨梁104dがこれと十字に交差するように配置される。第1の鉄骨梁104eと第3の鉄骨梁104cとは両者の端部の少なくとも一部の部位が溶接により接合される。第1の鉄骨梁104eと第3の鉄骨梁104cとの接合部111は、鋼管柱102の内側に設けられる。第3の鉄骨梁104cは鋼管柱102の中心を超えて第1の鉄骨梁104eの側に延びるように配置され、第2の鉄骨梁104b及び第4の鉄骨梁104dは、第3の鉄骨梁104cと接合を形成するように配置される。第1の鉄骨梁104e、第2の鉄骨梁104b、第3の鉄骨梁104c、及び第3の鉄骨梁104dは、鋼管柱102との交差部において溶接により接合(第2の接合部110b)される。
図15(B)は、図15(A)に示すA7-A8線に沿った断面構造を模式的に示す。第1の鉄骨梁104eは、上側のフランジが第3の鉄骨梁104cの上側のフランジと接合部111において溶接により接合される。第1の鉄骨梁104eの高さH2は、第3の鉄骨梁104cの高さH1より小さいため、第1の鉄骨梁104eの下側のフランジは第3の鉄骨梁104cの下側のフランジよりも高い位置に配置される。第1の鉄骨梁104eの下側フランジに対して第2のリブ128が接合される。第2のリブ128は、第3の鉄骨梁104c側に延び、端部が鋼管柱102から突出するように設けられる。第2のリブ128はフランジと同様に板状の形状を有する。
第3の鉄骨梁104cは、鋼管柱102に挿入された端部に第1のリブ126が設けられる。第1のリブ126は、第3の鉄骨梁104cの下側フランジとリブの形状に対応するように、逆T字型の形状を有する。第1のリブ126は、第1の鉄骨梁104eの下側フランジの下側に配置され、第3の鉄骨梁104cと溶接により接合される。第1のリブ126と第3の鉄骨梁104cとの接合部(第3の接合部113)は、鋼管柱102の内側に設けられる。第1のリブ126は、第3の鉄骨梁104cの端部から、第1の鉄骨梁104eの方向に延び、鋼管柱102の外側へ突出するように設けられる。
図16(A)は、図15(A)に示すA9-A10線に沿った断面構造を模式的に示す。図16(A)は、第1の鉄骨梁104eの断面を正面から見た構造を示し、鋼管柱102の左側に第2の鉄骨梁104bが配置され、右側に第4の鉄骨梁104dが配置された態様を示す。第1の鉄骨梁104eが嵌め入れられる位置には、鋼管柱102に第3の切欠き部106c(第1の鋼管柱102aの位置に形成される)と第4の切欠き部106d(第2の鋼管柱102bの位置に形成される)が形成され開口部が形成される。
第3の切欠き部106c及び第4の切欠き部106dの幅は、第1の鉄骨梁104eのフランジの幅W2と略同一の幅を有する。一方、第3の切欠き部106c及び第4の切欠き部106dの深さの合計(第3の切欠き部106c及び第4の切欠き部106dによって形成される開口部の高さ)は、第3の鉄骨梁104cの高さH1と略同一の大きさを有する。第1の鉄骨梁104eは、上側のフランジの高さが第3の鉄骨梁104cの上側のフランジの高さと略同一となるように設けられる。第1の鉄骨梁104eは、鋼管柱102の内部で第3の鉄骨梁104cと接合されると共に、上側のフランジが鋼管柱102(第2の鋼管柱102b)と接合される。第1の鉄骨梁104eと鋼管柱102とが接合される部分には第2の接合部110bが形成される。
第1の鉄骨梁104eの高さH2は、第3の鉄骨梁104cの高さH1より小さいので、下側部分は鋼管柱102(第1の鋼管柱102a)と接する構造とはならず、空間が形成される。第1の鉄骨梁104eの下側部分には第1のリブ126が設けられる。第1のリブ126は、前述のように第3の鉄骨梁106cと接合され、さらにリブの部分が第1の鉄骨梁104eの下側のフランジと接合される。第1のリブ126と第1の鉄骨梁104eとの間には接合部117が形成される。また、逆T字型を有する第1のリブ126のフランジ部分が鋼管柱102(第1の鋼管柱102a)と接合される。第1のリブ126と鋼管柱102(第1の鋼管柱102a)とが接合される部分には第2の接合部110dが形成される。
なお、第1の鉄骨梁104eが鋼管柱102に嵌め入れられる部分には、第3の切欠き部106c及び第4の切欠き部106dによって形成される開口部を埋めるようにスチフナ108が設けられていてもよい。
図16(B)は、図15(A)に示すA11-A12線に沿った断面構造を模式的に示す。図16(B)は、第3の鉄骨梁104cの断面を正面から見た構造を示し、鋼管柱102の左側に第4の鉄骨梁104dが配置され、右側に第2の鉄骨梁104bが配置された態様を示す。第3の鉄骨梁104cが嵌め入れられる位置には、鋼管柱102に第1の切欠き部106a(第1の鋼管柱102aの位置に形成される)と第2の切欠き部106b(第2の鋼管柱102bの位置に形成される)が形成され開口部が形成される。
第3の鉄骨梁104cは、第2の接合部110b、110cにおいて鋼管柱102と接合される。第3の鉄骨梁104cが鋼管柱102に嵌め入れられる部分には、第1の切欠き部106a及び第2の切欠き部106bによって形成される開口部を埋めるようにスチフナ108bが設けられる。スチフナ108bは開口部を有し、当該開口部から第2のリブ128が突出するように設けられる。第2のリブ128は、スチフナ108bと溶接により接合される。別言すれば、第2のリブ128とスチフナ108bとの接合部には接合部119が形成される。スチフナ108bは第3の鉄骨梁104cと接合されているので、この構造により第2のリブ128は実質的に鋼管柱102に接合される場合と同等の強度で固定される。
本実施形態によれば、第1の鉄骨梁104eは、第2のリブ128が設けられスチフナ108bに接合されることで、下側のフランジが鋼管柱102を貫通する構造と実質的に同じ構造を有する。すなわち、第1の鉄骨梁104eは、上側のフランジが第3の鉄骨梁104cと接合され、下側フランジに鋼管柱102から突出する第2のリブ128が接合され、鋼管柱102を貫通する構造と同等の構造を形成することができる。第3の鉄骨梁104cは、上側のフランジが第1の鉄骨梁104eと接合され、第1のリブ126が第1の鉄骨梁104e及び鋼管柱102と接合されることで、鋼管柱102を貫通する構造と実質的に同じ構造を有することとなる。すなわち、第3の鉄骨梁104cは、上側のフランジが第1の鉄骨梁104eと接合され、下側フランジが延長されて第1の鉄骨梁104e及び鋼管柱102と接合されることで、鋼管柱102を貫通する構造と同等の構造を形成することができる。
このように、本実施形態によれば、断面の寸法(サイズ)が異なる鉄骨梁を向き合わせて柱梁接合構造を形成する場合においても、第1の実施形態と同様に、梁の曲げモーメントに対する耐性が高くすることができ、溶接品質のばらつきによる影響を低減することができる。なお、本実施形態は第2乃至第4の実施形態と適宜組み合わせて実施することができる。