JP6652888B2 - 多孔フィルム、電池用セパレータおよび多孔フィルムの製造方法 - Google Patents

多孔フィルム、電池用セパレータおよび多孔フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池などの電池に用いられるセパレータなどとして利用することができる多孔フィルム、この多孔フィルムからなる電池用セパレータおよびこの多孔フィルムの製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池のセパレータとしては、一般に、オレフィン樹脂からなる多孔質のフィルムが使用されている。セパレータは、原料として使用されているオレフィン樹脂の融点が120℃付近であるので、電池が異常反応により加熱して120℃を超えると、セパレータが溶融して孔が塞がりイオンの透過を遮断することで反応を停止させる機能(シャットダウン機能)を備えている。かかる多孔質のオレフィンフィルムの作成方法としては、無機成分や液体成分を混合したオレフィンフィルムを延伸することで多孔質とする方法が挙げられる。しかしこの方法で作成された多孔質フィルムをセパレータに用いた場合、温度の上昇に伴い、フィルムが収縮したり、溶融により変形したりすることで、イオンの通り道ができてしまいシャットダウン機能が発揮できないことがあった。また、一度、熱暴走が始まると反応を停止させたとしても温度上昇が続くことがあり、セパレータが溶融してシャットダウン機能が発現されないことがあった。
したがって、セパレータの耐熱温度とシャットダウン温度の差がより大きいセパレータが望まれていた。
その対策として、例えば特許文献1には、多孔質のオレフィンフィルムと高耐熱性の多孔質のポリイミドフィルムとを積層することによって、耐熱性の高いポリイミドフィルムで形状を保持しつつ、加熱時にはオレフィンフィルムが溶融して孔を塞ぐことでシャットダウン機能を発現させる提案がされている。
しかし、このようなセパレータの多層化は、多層化自体にコストがかかることや、セバレータの厚みが増すことで、電池の小型化、高容量化の妨げとなるので、単層のフィルムであって、耐熱温度が高く、シャットダウン温度の低いセパレータが望まれている。
また、例えば特許文献2には、オレフィンフィルムをクレージング処理したのち、延伸することで、突刺強度の高いセパレータを製造することができることが記載されている。しかし、このフィルムの原料もポリオレフィンであり、融点が低く、温度上昇が続くと溶融し、フィルムが変形する懸念がある。
特開平10−6453号公報 特開2011−256258号公報
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、セパレータの耐熱温度とシャットダウン温度の差がより大きい単層のセパレータを作成することができる多孔フィルム、この多孔フィルムからなる電池用セパレータおよびこの多孔フィルムの製造方法を提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者等はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とするフィルムをクレージング処理して得られた多孔質フィルムが、100℃に加熱すると気体透過度が低く、低温でのシャットダウン機能を発揮できることを見出し、またポリビニルアルコール系樹脂の融点が高いので、仮に温度上昇が続いたとしても溶融し難く、フィルムの変形が生じ難いことをも見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち本発明の要旨は、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする多孔フィルムであって、気体透過係数が1×10−7cm/cm・sec・cmHg以上であり、100℃で30分間の熱処理後の気体透過係数が1×10−9cm・cm/cm・sec・cmHg以下であり、前記ポリビニルアルコール系樹脂は、平均重合度が1500以上のポリビニルアルコール系樹脂と平均重合度が500以下のポリビニルアルコール系樹脂との混合物であることを特徴する多孔フィルムである。
また他の局面における本発明の要旨は、本発明の多孔フィルムからなる電池用セパレータである。
さらに他の局面における本発明の要旨は、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分するフィルムにクレージング処理を施すことを特徴とする本発明の多孔フィルムを製造する方法である。
本発明の多孔フィルムは、100℃での気体透過度が低く、低温でのシャットダウン機能を発揮できると共に、 融点が高く、仮に温度上昇が続いたとしても溶融し難く、フィルムの変形が生じ難いことから、セパレータとして用いた場合に、セパレータの耐熱温度とシャットダウン温度の差が従来のものよりも大きく、安全性が高い。また、単層構造の多孔フィルムからセパレータを形成することができるので、コスト削減、電池の小型化、高容量化が可能となる。
また本発明の多孔フィルムの製造方法は、本発明の多孔フィルムを生産性よく製造できるという効果を奏する。
図1は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにクレーズを形成するための装置を模式的に示す概略断面図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
〔多孔フィルム〕
本発明の多孔フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂ともいう。)を主成分とする多孔フィルムである。
(PVA系樹脂)
本発明で用いられるPVA系樹脂としては、公知のPVA系樹脂が適用可能である。
かかるPVA系樹脂は、例えば、ビニルエステル系モノマーを重合して得られたビニルエステル系樹脂をケン化することにより得られる。
上記ビニルエステル系モノマーとしては、酢酸ビニルが挙げられる。また酢酸ビニルの代わりに、例えば、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、ピパリン酸ビニル、オクチル酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、アジピン酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル、トリフロロ酢酸ビニル等を用いることができるが、価格や入手の容易さの観点で、酢酸ビニルが好ましく用いられる。
ビニルエステル系モノマーの重合は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合などにより行うことができる。なかでも、反応熱を効率的に除去できる溶液重合を還流下で行うことが好ましい。溶液重合の溶媒としては、通常はアルコールが用いられ、好ましくは炭素数1〜3の低級アルコールが用いられる。
ケン化方法としては、公知のケン化方法を採用することができる。すなわち、重合体をアルコール又は水/アルコール溶媒に溶解させた状態で、アルカリ触媒又は酸触媒を用いてケン化を行うことができる。
前記アルカリ触媒としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、リチウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートを用いることができる。
通常、無水アルコール系溶媒下、アルカリ触媒を用いたエステル交換反応が反応速度の点や脂肪酸塩等の不純物を低減できるなどの点で好適に用いられる。
ケン化反応の反応温度は、通常20〜60℃である。反応温度が低すぎると、反応速度が小さくなり反応効率が低下する傾向があり、高すぎると反応溶媒の沸点以上となる場合があり、これにより製造面における安全性が低下する傾向がある。なお、耐圧性の高い塔式連続ケン化塔などを用いて高圧下でケン化する場合には、より高温、例えば、80〜150℃でケン化することが可能であり、少量のケン化触媒でも短時間、高ケン化度のものを得ることが可能である。
本発明で用いられるPVA系樹脂の平均重合度(JIS K6726に準拠して測定)は、通常、4000以下であり、好ましくは2000以下である。
かかる平均重合度が大きすぎると、PVA系樹脂を主成分とする多孔フィルムに安定したクレーズが発生しにくくなる傾向がある。また、平均重合度の下限としては通常200以上、特には1000以上、さらには1500以上が好ましい。平均重合度が小さすぎると、PVA系樹脂を主成分とする多孔フィルムの強度が低下する傾向がある。
また、本発明で用いられるPVA系樹脂のケン化度(JIS K6726に準拠して測定)は、通常、80モル%以上であり、好ましくは80〜100モル%、特に好ましくは90〜99.8モル%、さらに好ましくは95〜99.5モル%である。
かかるケン化度が低すぎると、完全ケン化のPVA系樹脂の融点が240℃付近であるのに対して、融点がより低くなり、電池セパレータとして使用し、電池が熱暴走した場合にセパレータの形状の安定性が保ちにくくなる傾向がある。
本発明では、PVA系樹脂として、ビニルエステル系樹脂の製造時にビニルエステル系モノマーを重合させ、またはビニルエステル系モノマーと各種の単量体とを共重合させ、これをケン化して得られた未変性または変性PVA系樹脂や、未変性PVA系樹脂に後変性によって各種官能基を導入した各種の変性PVA系樹脂を用いることができる。
ビニルエステル系モノマーとの共重合に用いられる各種の単量体としては、例えば、エチレンやプロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類;3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、3,4−ジヒドロキシ−1−ブテン等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類およびそのアシル化物などの誘導体;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類、その塩、モノエステル、あるいはジアルキルエステル;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類;ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸類あるいはその塩;アルキルビニルエーテル類、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、ビニルエチレンカーボネート、2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン、グリセリンモノアリルエーテル、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン等のビニル化合物;酢酸イソプロペニル、1−メトキシビニルアセテート等の置換酢酸ビニル類;塩化ビニリデン、1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、ビニレンカーボネート等が挙げられる。これらの単量体のうち1種を単独で使用し、または2種以上を併用することができる。
また、変性基を有する単量体を共重合した重合体をケン化して得られる変性PVA系樹脂としては、例えば、側鎖に一級水酸基を有するPVA系樹脂が挙げられる。かかるPVA系樹脂としては、例えば、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、ビニルエチレンカーボネート、グリセリンモノアリルエーテル等を共重合して得られる側鎖1,2ジオール変性PVA系樹脂;1,3−ジアセトキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジプロピオニルオキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジブチロニルオキシ−2−メチレンプロパン等のヒドロキシメチルビニリデンジアセテート等を共重合して得られ、側鎖にヒドロキシメチル基を有するPVA系樹脂が挙げられる。
さらに、後反応によって変性基が導入された変性PVA系樹脂としては、ジケテンとの反応によるアセトアセチル基を有するもの、エチレンオキサイドとの反応によるポリアルキレンオキサイド基を有するもの、エポキシ化合物等との反応によるヒドロキシアルキル基が有するもの、あるいは各種官能基を有するアルデヒド化合物をPVA系樹脂と反応させて得られたものなどを挙げることができる。
かかる変性PVA系樹脂中の変性種、すなわち共重合体中の各種単量体に由来する構成単位、あるいは後反応によって導入された官能基の含有量は、変性種によって特性が大きく異なるため一概には規定されないが、通常、0.1〜20モル%であり、好ましくは0.5〜12モル%である。
PVA系樹脂として、2種または3種以上のPVA系樹脂を混合したものも用いることができる。なかでも、平均重合度が1500以上のPVA系樹脂と平均重合度が500以下のPVA系樹脂とが混合されたものが、PVA系樹脂を主成分とするフィルムに安定してクレーズを発生させやすくなる傾向があり好ましい。本発明においては、平均重合度が1500以上のPVA系樹脂と平均重合度が500以下のPVA系樹脂との混合物をPVA系樹脂として用いる。
2種または3種以上のPVA系樹脂を混合する場合、混合後のPVA系樹脂の平均重合度は、好ましくは200以上、4000以下であり、特に好ましくは1000以上、2000以下、さらに好ましくは1500以上、2000以下である。2種または3種以上のPVA系樹脂の混合比については、混合後のPVA系樹脂の平均重合度が上記の好ましい範囲となるように適宜調整することが好ましく、例えば、平均重合度が500以下のPVA系樹脂(a)と平均重合度が1500以上のPVA系樹脂(b)とを混合する場合の混合比〔(a)/(b)〕は、10/90〜40/60の範囲から選ばれる。
(PVA系樹脂フィルム)
本発明におけるPVA系樹脂を主成分とするフィルム(PVA系樹脂フィルム)を作製する方法については、例えば、PVA系樹脂の水溶液を型に流し込み静置乾燥する方法や、流延法等の方法を採用することができる。
流延法にて製膜する際のPVA系樹脂水溶液の固形分濃度は、通常5〜30重量%、好ましくは8〜20重量%、特に好ましくは10〜15重量%である。かかるPVA系樹脂水溶液の固形分濃度が低すぎると生産性が低下する傾向があり、高すぎると高粘度となって水溶液の脱泡に時間を要したり、フィルム製膜時にダイラインが発生しやすくなる傾向がある。
アプリケーターを用いて、上記PVA系樹脂水溶液をポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンフィルム等のプラスチック基材あるいは金属基材上にキャストして、乾燥させてフィルムを得ることができる。
乾燥温度としては、通常50〜140℃、好ましくは60〜120℃である。かかる温度が低すぎると乾燥に時間を要してしまう傾向があり、高すぎると製膜時に発泡してしまう傾向がある。
また、乾燥には常圧の乾燥機を用いても良いし、真空乾燥機を用いてもよい。
乾燥時間は、乾燥方法により異なるが、通常0.1時間〜10日間であり、乾燥後の揮発成分の含有量は1重量%以下とすることが好ましい。
上記の方法で得られたPVA系樹脂フィルムの厚みは、用途等により異なるが、好ましくは10〜100μm、特に好ましくは10〜50μmであり、かかる厚みが薄すぎると、クレーズ処理を行う際、破断応力を超えて破断しやすくなり、安定してクレーズが発生し難くなる傾向があり、逆に厚すぎると、フィルムの曲げに用いる鋭角な稜状の先端部を有する刃がフィルムと接する面を切削する可能性が高くなる傾向がある。
本発明におけるPVA系樹脂フィルムはPVA系樹脂を主成分とし、必要に応じて、種々の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤(グリセリン、ジグリセリン、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、剥離剤(ソルビタンエステルエーテル等)、ハジキ防止剤(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等)、抗酸化剤(フェノール系、アミン系等)、安定剤(リン酸エステル類等)、着色料、香料、増量剤、消包剤、防錆剤、紫外線吸収剤、無機粉体、界面活性剤、さらには他の水溶性高分子(ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、デキストリン、キトサン、キチン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、澱粉等)などが挙げられる。
本発明においてPVA系樹脂を主成分とするとは、PVA系樹脂フィルム中、PVA系樹脂を80重量%以上、好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上含有することをいう。
本発明の多孔フィルムは、上記のPVA系樹脂フィルムにクレーズが形成された多孔フィルムである。
なお、本明細書において「クレーズ」とは、PVA系樹脂フィルムに形成される直線状または略直線状のひび、あるいは割れ目を表し、PVA系樹脂フィルムの断面にフィブリルが残存している狭義の「クレーズ」のみならず、フィブリルが残存していない「クラック」をも包括する概念である。
かかるクレーズが形成された本発明の多孔フィルムは、気体透過係数が1×10−7cm・cm/cm・sec・cmHg以上であり、好ましくは5×10−7cm・cm/cm以上、特に好ましくは10×10−7cm・cm/cm以上、さらに好ましくは20×10−7cm・cm/cm以上である。
また、100℃で30分間の熱処理後の気体透過係数は、1×10−9cm・cm/cm・sec・cmHg以下であり、好ましくは0.5×10−9cm・cm/cm・sec・cmHg以下、特に好ましくは0.3×10−9cm・cm/cm・sec・cmHg以下、さらに好ましくは0.1×10−9cm・cm/cm・sec・cmHg以下である。
なお、気体透過係数は、直径13mmに切り出した多孔フィルムに窒素ガスを透過し、デジタルフローメーター(ジーエルサイエンス社製、GLF−1000)により測定した値であり、24℃において0.2MPaの圧力で5回行なった値の平均値である。
〔多孔フィルムの製造方法:クレージング処理〕
本発明の多孔フィルムにクレーズを形成するためのクレージング処理については特に限定されないが、例えば、図1に示すような、鋭角な稜状の先端部を有する刃2を備える装置を用いる方法が挙げられる。図1は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにクレーズを形成するための装置を模式的に示す概略断面図である。
図1に示すように、原反フィルムとしてのPVA系樹脂フィルム1を緊張状態に保持し、このPVA系樹脂フィルム1の表面に、鋭角な稜状の先端部を有する刃2の先端部をPVA系樹脂フィルム1の移動方向3に対して直交又は略直交する方向に当接して、PVA系樹脂フィルム1を刃2の先端部に当接する部分で局部的に折り曲げる。その折り曲げ角度θ1が30〜160°、好ましくは90〜150°となるような屈曲変形域を形成する。折り曲げ角度θ1が小さすぎる場合、刃先がフィルムを切断する可能性が高くなる傾向があり、折り曲げ角度θ1が大きすぎる場合、安定的にクレーズが発生しにくくなる傾向がある。
刃2の先端部の角度θ2としては15〜110°が好ましく、15〜35°が特に好ましい。刃2の先端部の角度θ2が小さすぎる場合、刃先がフィルムを切断する可能性が高くなる傾向があり、角度θ2が大きすぎる場合、刃先によるフィルム折り曲げ角度θ1を120°より大きくする必要があるため、フィルムの曲げが小さくなりクレーズの発生を起こし難くする傾向がある。
刃2の先端部をPVA系樹脂フィルム1の表面に当接した状態で、PVA系樹脂フィルムを徐々に移動させることによって、移動方向と直交または略直交する方向に、連続的な縞状のクレーズを形成させることができる。フィルムの移動速度としては5〜500mm/minが好ましく、20〜200mm/minが特に好ましい。移動速度が低すぎる場合、破断する可能性が高くなる傾向があり、移動速度が高すぎる場合、クレーズの密度が減少する傾向がある。
上記のクレージング処理は常温下(15〜25℃)で行っても良いが、より安定的にクレーズを発生させるために低温下で行うことが好ましく、その温度は−50〜5℃が好ましく、特には−20〜3℃、さらには−10〜0℃が好ましい。温度が低すぎる場合、フィルムが破断する可能性が高くなる傾向があり、温度が高すぎる場合、安定的にクレーズが発生し難くなる傾向がある。
本発明の多孔フィルムの製造方法は、PVA系樹脂フィルムにクレージング処理を施すことを特徴とするものであり、本発明の多孔フィルムを生産性よく製造できるという効果を奏する。
〔電池用セパレータ〕
本発明の多孔フィルムは、上記のクレージング処理などによってクレーズが形成された部分に微細な貫通孔を有する。微細な貫通孔はクレーズの部分に対応する縞状の部分に特に高密度に形成されるので、本発明の微多孔性フィルムをリチウムイオン二次電池のセパレータとして用いた場合、正負極間が通電され、電池の安全性の低下を抑制することが可能となる。
本発明の多孔フィルムからなる電池用セパレータは、100℃での気体透過度が低く、低温でのシャットダウン機能を発揮できると共に、 融点が高く、仮に温度上昇が続いたとしても溶融し難く、フィルムの変形が生じ難いことから、セパレータの耐熱温度とシャットダウン温度の差が従来のものよりも大きく、安全性が高い。また、単層構造の多孔フィルムからセパレータを形成することができるので、コスト削減、電池の小型化、高容量化が可能となる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
<PVA系樹脂フィルムの作成>
平均重合度2000のPVA系樹脂88重量部と、平均重合度238のPVA系樹脂12重量部とを混合し、90℃で水に溶解させ、濃度4重量%の水溶液を得た。かかる水溶液を室温まで冷却し、5cm×30cmのPETフィルムの型に流し込み、23℃、50%RHの条件下で3日間風乾した後、80℃の真空乾燥機内で7日間乾燥させて、厚さ20μmの乾燥フィルムを得た。
<クレージング処理工程>
図1に示した刃2(先端角度θ2:30°)を、上記の絶乾フィルムに折り曲げ角度θ1が110°になるように当接し、−5℃の雰囲気下で、14〜21MPaの張力をかけながら、40mm/minの速度でフィルムを移動させることで、フィルムにクレーズを発生させて、多孔フィルムを得た。
上記クレーズ処理を行った多孔フィルムの気体透過係数を本明細書に記載の方法にて測定した。さらに、多孔フィルムを100℃で30分間、乾燥機内で熱処理を行った後の気体透過係数を測定した。
また、比較例として、市販の電池セパレータ用ポリオレフィン系フィルムについても同様に、24℃での気体透過係数、および100℃で30分間、乾燥機内で熱処理を行った後の気体透過係数を測定した。
これらの結果を表1に示す
Figure 0006652888
表1に示すとおり、実施例の多孔フィルムは、100℃で30分間の熱処理を行なうことによって、気体透過係数が0cm・cm/cm・sec・cmHgであるので、低温でのシャットダウン機能を発揮できることが分かる。また、実施例の多孔フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とするフィルムをクレージング処理して得られた多孔質フィルムであるので、融点が高く、仮に温度上昇が続いたとしても溶融し難く、フィルムの変形が生じ難い。
したがって、実施例の多孔フィルムは、リチウムイオン二次電池などの電池に用いられるセパレータとして好適に利用できることが分かる。
1:PVA系樹脂フィルム
2:刃
θ1(°):PVA系樹脂フィルム1の折り曲げ角度
θ2(°):刃2の先端部の角度
3:PVA系樹脂フィルム1の移動方向

Claims (6)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする多孔フィルムであって、気体透過係数が1×10−7cm・cm/cm・sec・cmHg以上であり、100℃で30分間の熱処理後の気体透過係数が1×10−9cm・cm/cm・sec・cmHg以下であり、前記ポリビニルアルコール系樹脂は、平均重合度が1500以上のポリビニルアルコール系樹脂と平均重合度が500以下のポリビニルアルコール系樹脂との混合物であることを特徴する多孔フィルム。
  2. 前記ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度が4000以下であること特徴とする請求項1に記載の多孔フィルム。
  3. 前記ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度が200以上であること特徴とする請求項1または2に記載の多孔フィルム。
  4. 前記ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度が80モル%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多孔フィルム。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の多孔フィルムからなる電池用セパレータ。
  6. ポリビニルアルコール系樹脂を主成分するフィルムにクレージング処理を施すことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の多孔フィルムの製造方法。
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