JP2007092041A - ポリビニルアルコール系フィルムおよびポリビニルアルコール系フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリビニルアルコール系フィルムの湿潤時等においてもフィルムの収縮がなく、機械強度にも優れたポリビニルアルコール系フィルムを提供すること。
【解決手段】 延伸を施したポリビニルアルコール系フィルムであって、20℃の水に10時間浸漬した後、30℃で30分間乾燥したフィルムの処理前後での収縮率が、縦方向で3%以下、横方向で3%以下であることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルム。

Description

本発明は、延伸を施したポリビニルアルコール系フィルム、および該フィルムの製造方法に関し、さらに詳しくは、延伸を施したポリビニルアルコール系フィルムの湿潤時等におけるフィルムの収縮を防止し、作業性、機械強度に優れたフィルム、および該フィルムの製造方法に関する。
従来より二軸延伸されたポリビニルアルコールフィルムはその遠赤外線吸収性、親水性あるいは耐候性などの特質から農業資材用途、特に温室内の保温性あるいは遮温性のために用いられる内展張される特殊カーテン被覆材の素材として好んで用いられている(例えば、特許文献1および2参照)。
特開2003−311893号公報 特開2004−195816号公報
しかしながら、上記のような用途においては、ポリビニルアルコール系フィルムが、水分と接触することが常であり、この水分の影響により一旦膨潤し、その後フィルムの製造時に受けた歪みによる非可逆的な収縮が発生することがあり、この非可逆的な収縮は、特に、延伸したポリビニルアルコール系フィルムでは顕著で、最終商品の品位を著しく低下させるものである。
農業資材用途において、このポリビニルアルコール系フィルムに収縮が生じると、カーテン被覆材において出荷時のサイズが数パーセント失われると、本来被覆すべき面積がすべて被覆できない問題が発生することが考えられ、このポリビニルアルコール系フィルムの収縮を防止することが望まれている。
そこで、本発明者は、かかる現況に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、延伸を施したポリビニルアルコール系フィルムであって、20℃の水に10時間浸漬した後、30℃で30分間乾燥したフィルムの処理前後での収縮率が、縦方向で3%以下、横方向で3%以下であるポリビニルアルコール系フィルムが、上記の目的に合致することを見出して、本発明を完成するに至った。
また、本発明では、延伸を施したポリビニルアルコール系フィルムを水と接触させた後、乾燥することが好ましい。
また、本発明においては、接触させる水の温度が5〜60℃であること、水と接触させる時間が5〜180秒であること、40〜150℃の熱風により乾燥すること、乾燥時間が5秒〜5分であること、延伸を施したポリビニルアルコール系フィルムが、縦方向に3〜5倍、横方向に3〜5倍延伸してなる二軸延伸ポリビニルアルコール系フィルムであること、等が好ましい実施態様である。
本発明のポリビニルアルコール系フィルム及び該フィルムの製造方法は、水分による収縮を防止することができ、特に、延伸されたポリビニルアルコール系フィルムに有用であり、また、優れた作業性や機械強度も有するものである。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、延伸を施したポリビニルアルコール系フィルムであって、20℃の水に10時間浸漬した後、30℃で30分間乾燥したフィルムの処理前後での収縮率が、縦方向で3%以下、横方向で3%以下である。
なお、フィルムの収縮率を測定する方法としては、100mm×100mmの試験片を20℃の水に10時間浸漬した後、フィルムを引き上げ表面付着水分をふき取り、その後30℃の雰囲気下で30分間乾燥した後、寸法を測定して、かかる処理前後でのフィルムの収縮率を求める。
本発明で用いるポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂を原料とするもので、かかるポリビニルアルコール系樹脂としては、特に限定されず、公知の方法で製造することができる。
すなわち、ビニルエステル系化合物を重合して得られたビニルエステル系重合体をケン化して得られるものである。
かかるビニルエステル系化合物としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、バーサティック酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等が単独または併用で用いられるが、実用上は酢酸ビニルが好適である。
また、本発明においては、本発明の目的を阻害しない範囲において、他の単量体を0.5〜10モル%程度共重合させることも可能で、かかる単量体としては、例えばプロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノまたはジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、ビニルエチルカーボネート、酢酸イソプロペニル等をあげることができる。
重合(あるいは共重合)方法は、特に制限はなく、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等の公知の重合方法が任意に用いられるが、メタノール、エタノールあるいはイソプロピルアルコール等のアルコールを溶媒とする溶液重合が好ましい。
また、重合反応は、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの公知のラジカル重合触媒を用いて行われ、反応温度は35〜200℃であることが好ましく、50〜80℃であることがより好ましい。
得られたビニルエステル系重合体をケン化するにあたっては、該重合体をアルコールまたはアルコール/脂肪酸エステル系混合溶媒に溶解してアルカリ触媒の存在下に行なわれる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、ブタノール等があげられる。かかる脂肪酸エステル系溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等をあげることができ、他にベンゼンやヘキサン等を併用してもよい。アルコール中の共重合体の濃度は、20〜50重量%であることが好ましい。
ケン化触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラート等のアルカリ触媒を用いることができる。かかる触媒の使用量はビニルエステル系共重合体に対して1〜100ミリモル当量にすることが好ましい。なお、場合によっては、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸等の酸触媒によりケン化することも可能である。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましく、99モル%以上であることがさらに好ましい。かかるケン化度が下限値未満では、耐水性が低下する傾向がある。
また、ポリビニルアルコール系樹脂の4重量%水溶液の20℃における粘度は、2.5〜100mPa・sであることが好ましく、2.5〜70mPa・sであることがより好ましく、2.5〜60mPa・sであることが特に好ましい。かかる粘度が下限値未満では、フィルムの機械的強度が低下する傾向があり、逆に上限値を超えるとフィルムへの製膜性が低下する傾向がある。なお、上記粘度はJIS K6726に準じて測定されるものである。
さらに、本発明に用いるポリビニルアルコール系樹脂は、耐熱性や着色防止能の向上のために、含有される酢酸ナトリウムの量が0.8重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以下であることがより好ましい。
上記のポリビニルアルコール系樹脂を用いて、ポリビニルアルコール系フィルムを得る方法は、特に制限はなく、公知の方法により製造することができ、以下に製造例をあげるが、これに限定されるものではない。
ポリビニルアルコール系フィルムの製造(製膜)に用いるポリビニルアルコール系樹脂溶液としては、ポリビニルアルコール系樹脂含有量(濃度)が5〜70重量%のポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調製することが好ましく、10〜60重量%のポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調製することがより好ましい。
また、かかる水溶液には、必要に応じて、エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の多価アルコール類、フェノール系、アミン系等の抗酸化剤、リン酸エステル類等の安定剤、着色料、香料、増量剤、消包剤、剥離剤、紫外線吸収剤、無機粉体、界面活性剤等の通常の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲内において適宜配合しても差し支えない。さらに、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のポリビニルアルコール以外の水溶性樹脂を混合してもよい。
次いで、上記で調製したポリビニルアルコール系樹脂水溶液は、製膜機(押出機)により、製膜されるが、かかる水溶液を一旦乾燥させて、ペレット化あるいはフレーク化してから製膜機に供給して押出製膜することも可能である。
なお、ポリビニルアルコール系樹脂−水の組成物の調製と製膜操作を同一の押出機を用いて行うこともできるが、L/Dを大きくしたり、多軸押出機を使用したり、ギアポンプを利用する等均一な混和と製膜安定性に留意する必要がある。
押出機での溶融混練温度は、55〜160℃であることが好ましい。かかる温度が下限値未満ではフィルム肌の不良を招く傾向があり、上限値を超えると発泡現象を招く傾向があり、好ましくない。押出製膜されたフィルムは、次いで乾燥されるのであるが、このときの乾燥温度は、70〜120℃であることが好ましく、80〜100℃がより好ましい。かかる温度が下限値未満ではフィルムの乾燥時間が不必要に長くなったり、水分が残りすぎてしまって後工程に悪影響を及ぼす傾向があり、逆に上限値を超えるとフィルムの水分が失われすぎて硬くなってしまい、延伸工程で充分延伸ができなくなってしまう傾向がある。
かくして、ポリビニルアルコール系フィルムが得られるのであるが、本発明においては、耐水性、可撓性、機械的強度や酸素遮断性等の物性を安定付与できる点で、かかるフィルムが延伸されていることが必要で、かかる延伸方法について以下に説明する。
延伸するにあたっては、縦(機械)方向に一軸延伸してもよいが、縦・横両方向に二軸延伸することが、上記の物性をより改善することができる点で好ましい。
かかる二軸延伸は、逐次二軸延伸あるいは同時二軸延伸のどちらでもよく、二軸延伸するにあたっては、上記で得られたポリビニルアルコール系フィルムの含水率を5〜30重量%に調整しておくことが好ましく、20〜30重量%に調整しておくことがより好ましい。かかる含水率が上記範囲外では、延伸倍率を充分に高めることができない傾向があり、好ましくない。かかる含水率の調整にあたっては特に制限はなく、上記のポリビニルアルコール系フィルムの乾燥時に含水率を調整したり、含水率5重量%未満のポリビニルアルコール系フィルムを水浸漬、水噴霧あるいは調湿等を施して含水率を調整する方法等をあげることができる。
二軸延伸を施した後は、熱固定を行うことが好ましく、かかる熱固定の温度は、ポリビニルアルコール系樹脂の融点より低い温度を選択することが好ましい。ただし、融点より80℃以上低い温度より低い場合は寸法安定性が悪く、収縮率が大きくなり、一方融点より高い場合はフィルムの厚み変動が大きくなる傾向がある。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂が酢酸ビニル単独重合体のケン化物である場合の熱固定温度は、140〜250℃が好ましく、また、熱固定時間は1〜30秒間であることが好ましく、より好ましくは5〜10秒間である。
延伸倍率については、特に制限はないが、縦方向の延伸倍率が3〜5倍であることが好ましく、3〜4.5倍であることがより好ましく、横方向の延伸倍率が3〜5倍であることが好ましく、3〜4倍であることがより好ましい。該縦方向の延伸倍率が下限値未満では延伸による物性向上が得難い傾向があり、上限値を超えるとフィルムが縦方向へ裂けやすくなる傾向がある。また、横方向の延伸倍率が下限値未満では延伸による物性向上が得難い傾向があり、上限値を超えるとフィルムが破断する傾向がある。
また、延伸を施したポリビニルアルコール系フィルムの厚みは、5〜50μmであることが好ましく、さらには10〜40μmが工業的な生産性では有利である。
かくして、延伸を施したポリビニルアルコール系フィルムが得られるのであるが、本発明においては、20℃の水に10時間浸漬した後、30℃で30分間乾燥したフィルムの処理前後での収縮率が、縦方向で3%以下、横方向で3%以下であり、縦方向の収縮率が2.5%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましく、横方向の収縮率が2.5%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましい。かかる収縮率が上限値を超えるとフィルムの寸法変化が大きくなり商品価値が低下する傾向がある。
上記の特定収縮率を有するポリビニルアルコール系フィルムを得るに当たっては、特に限定されないが、延伸を施したポリビニルアルコール系フィルムを水と接触させた後、乾燥することが最も好ましく、かかる製造方法について以下に説明する。
延伸を施したポリビニルアルコール系フィルムに水接触および乾燥の処理を施すのであるが、かかる水接触では、5〜60℃の水と接触させることが好ましく、10〜50℃の水と接触させることがより好ましい。かかる温度が下限値未満では充分な膨潤や緩和が発生せず寸法変化が所定時間内に安定しない傾向があり、逆に上限値を超えるとフィルムの一部が溶融して樹脂分そのものが減量してしまう傾向がある。また、接触時間としては、温度に応じて適宜選択することができるが、5〜180秒であることが好ましく、10〜120秒であることがより好ましい。かかる浸漬時間が下限値未満では充分な歪み緩和効果が得難い傾向があり、逆に上限値を超えると工業的に乾燥時間が長くなりすぎて経済的でなく好ましくない。
水との接触については、特に限定されないが、例えば、水への浸漬や水の噴霧、スチーム処理、水の塗布などがあげられ、これらを併用することもできる。浸漬処理後には、清浄性を得るなどの目的で表面にシャワーリングによる洗浄処理を施しても良い。
水との接触の後、工業的にはエアーシャワー等で非接触的に表面の付着水を取り除くことが好ましく、さらには、ニップロール等で接触的な水分除去を次に行うことが好ましい。
表面の水分を除去した後に乾燥を行うのであるが、この時の乾燥温度は40〜150℃であることが好ましく、60〜120℃であることがより好ましい。かかる乾燥温度が下限値未満では乾燥不足でフィルムが柔軟になりすぎて次の加工に不利益を生じる傾向があり、逆に上限値を超えるとフィルムが過乾燥のため、硬くなり過ぎて次の加工に不利益を生じる傾向がある。
かかる乾燥を行うときの具体的な方法としては、金属ロールやセラミックロール等に直接フィルムを接触させて乾燥する方法も採用できるが、結晶性が高くなり、フィルムの透湿性やヒートシール性を著しく低下させる可能性が高いため、非接触型の乾燥機を用いることが好ましく、さらにはヒーターが直接フィルムに向き合う形状より、暖められた空気がフィルムに吹き付けられるような熱風乾燥機が好適に用いられる。
また、乾燥の処理時間は、5秒〜5分であることが好ましく、10秒〜3分であることがより好ましい。かかる処理時間が下限値未満では、乾燥不足でフィルムが柔軟になりすぎて次の加工に不利益を生じる傾向があり、逆に上限値を超えると工業的に乾燥時間が長すぎて工程を設計することが難しくなる傾向がある。
水との接触と乾燥の処理の後に、延伸ポリビニルアルコール系フィルムを再度巻き取ってロール状とする場合は、かかるフィルムの水分量を3重量%以下にすることが好ましく、0.5〜3重量%にすることがより好ましい。かかる水分量が上限値より高いとフィルムロールの中でフィルム同士が密着してしまい、再度加工のための巻き出し時に、フィルムが破損するなどの問題を発生するおそれがある。
なお、本発明の処理を施した後に、連続的に延伸ポリビニルアルコール系フィルムをヒートシール等の接着あるいは裁断等の次の加工を行う場合には、フィルム中の水分量を0.5〜20重量%に保持していることが、ヒートシールに利用できる温度帯が下がり、またその温度幅も広がることとなり、次加工でのシール不良の発生を抑制できる点から好ましい。かかる水分量が下限値未満では上記の効果が得がたく、逆に上限値を超えるとフィルムの表面に水分が浮き上がり、逆にシール不良等が発生する傾向があり好ましくない。
また、本発明の方法で処理された延伸ポリビニルアルコール系フィルムを熱や超音波などで貼り合わせ加工を行う。
貼り合わせるに当たっては、フィルムの含水率を0.5〜20重量%にすることが好ましく、0.8〜10重量%にすることがより好ましい。かかる含水率が下限値未満ではフィルムにクラックが入る傾向があり、逆に上限値を超えると水分による柔軟化が進みすぎてシール強度が低下する傾向があり好ましくない。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
実施例1
ジャケット温度を60〜150℃に設定した二軸押出機型混練機(スクリューL/D=40)のホッパーから、ポリビニルアルコール(4重量%水溶液の20℃における粘度40mPa・s、ケン化度99.7モル%、酢酸ナトリウム含有量0.3重量%)40部を水60部に溶解させたポリビニルアルコール水溶液を定量ポンプにより供給し、混練し吐出量500kg/hrの条件で吐出した。
この吐出物を直ちに一軸押出機(スクリューL/D=30)に圧送し、温度85〜140℃にて混練後、Tダイより5℃のキャストロールに押出し、90℃の熱風乾燥機で30秒間乾燥し、含水率25重量%のポリビニルアルコール系フィルム(A)(厚み150μm)を作製した。引き続き、かかるフィルム(A)を縦方向に3.8倍延伸した後、テンターで横方向に3.8倍延伸し、次いで180℃で8秒間熱固定し、二軸延伸ポリビニルアルコール系フィルム(B)(厚み14μm)を得た。
上記で得られた二軸延伸ポリビニルアルコール系フィルム(B)を、30℃の水中に30秒間浸漬した後、表面を100ml/秒の水量のシャワーリングで洗浄して、その後50℃の空気をスリット幅3mmのスリットから風速30m/分で吹き出すエアーシャワーで表面水を吹き飛ばした。
このフィルムをさらにニップロールで水切りした後に、100℃に設定された熱風循環式乾燥機内で2分間乾燥することで、含水率2.8重量%の二軸延伸ポリビニルアルコール系フィルム(C)(厚み14μm)を得た。
得られた二軸延伸ポリビニルアルコール系フィルム(C)から、100mm×100mmの試験片を切り出して、これを20℃の水に10時間浸漬した後、フィルムを引き上げ表面付着水分をふき取り、その後熱風循環式乾燥機(アドバンテック製、「熱風循環型乾燥機 FC−610」)を用いて、30℃の雰囲気下で30分間乾燥した後、寸法を測定して、その収縮率を求めたところ、縦方向が1.5%、横方向が0.5%であった。
また、別途上記の試験片を市販のカッターナイフの刃面に対し、フィルム面が90度の角度をなすようにして切り裂き、その裁断面を電子顕微鏡にて300倍に拡大して観察したが、クラックは認められなかった。さらに、幅15mm、長さ150mmのサンプル片を作製して、(株)島津製作所製オートグラフAG−100で測定した(破断)機械強度は172MPaであった。
実施例2
実施例1において、最後の熱風循環式乾燥機での乾燥時間を1分とした以外は同様に処理を行って、含水率8.0重量%の二軸延伸ポリビニルアルコール系フィルム(C)を得て、同様にその収縮率を調べたところ、縦方向が1.6%、横方向が0.4%であった。また、同様に試験片の裁断を行ったが、クラックは認められず、さらに機械強度は169MPaであった。
実施例3
実施例1において、水浸漬時の水温を45℃とした以外は、同様に処理を行って、含水率3.4重量%の二軸延伸ポリビニルアルコール系フィルム(C)を得て、同様にその収縮率を調べたところ、縦方向が1.1%、横方向が0.3%であった。また、同様に試験片の裁断を行ったが、クラックは認められず、さらに機械強度は178Mpaであった。
実施例4
実施例1において、水浸漬時の浸漬時間を2分とした以外は、同様に処理を行って、含水率3.2重量%の二軸延伸ポリビニルアルコール系フィルム(C)を得て、同様にその収縮率を調べたところ、縦方向が1.0%、横方向が0.9%であった。また、同様に試験片の裁断を行ったが、クラックは認められず、さらに機械強度は181MPaであった。
実施例5
実施例1において、熱風循環式乾燥機の温度を70℃とした以外は、同様に処理を行って、含水率3.4重量%の二軸延伸ポリビニルアルコール系フィルム(C)を得て、同様にその収縮率を調べたところ、縦方向が1.2%、横方向が0.8%であった。また、同様に試験片の裁断を行ったが、クラックは認められず、さらに機械強度は175MPaであった。
実施例6
実施例1において、ポリビニルアルコール系フィルム(B)の延伸倍率を、縦方向4.3倍、横方向3.9倍とした以外は、同様に処理を行って、含水率2.6重量%の二軸延伸ポリビニルアルコール系フィルム(C)を得て、同様にその収縮率を調べたところ、縦方向が1.3%、横方向が0.8%であった。また、同様に試験片の裁断を行ったが、クラックは認められず、さらに機械強度は185MPaであった。
比較例1
実施例1の水処理および乾燥処理を施していない二軸延伸ポリビニルアルコール系フィルム(B)の収縮率を同様に調べたところ、縦方向が6.5%、横方向が7.0%であった。また、製造後のフィルムの含水率は0.2重量%で、上記同様に試験片の裁断を行ったが、裁断面の観察をおこなったところクラックが認められ、その機械強度は82MPaであった。
本発明の延伸を施したポリビニルアルコール系フィルムは、水と接触しても収縮せず、作業性や機械強度にも優れているため、食品用包材、工業用包材、工業用被覆材、農業用資材、建築資材等に用いられるポリビニルアルコール系フィルムに有用で、特に、工業加工工程中の製品表面保護被覆資材、農業用資材において温室内のカーテンや圃場におけるベタ掛けシートに用いられるポリビニルアルコール系フィルムとして有用である。また、本発明のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法は、水分による収縮を防止することができ、特に、延伸されたポリビニルアルコール系フィルムに有効であり、優れた機械強度も有するポリビニルアルコール系フィルムを提供することができる。


Claims (11)

  1. 延伸を施したポリビニルアルコール系フィルムであって、20℃の水に10時間浸漬した後、30℃で30分間乾燥したフィルムの処理前後での収縮率が、縦方向で3%以下、横方向で3%以下であることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルム。
  2. 延伸を施したポリビニルアルコール系フィルムを水と接触させた後、乾燥してなることを特徴とする請求の範囲第1項記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  3. 延伸を施したポリビニルアルコール系フィルムを水と接触させた後、乾燥する工程を含むことを特徴とするポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  4. 接触させる水の温度が5〜60℃であることを特徴とする請求項3記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  5. 水に接触させる時間が5〜180秒であることを特徴とする請求項3または4記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  6. 水との接触が、水への浸漬、水の噴霧、スチーム処理、水の塗布から選ばれる少なくとも1種の方法であることを特徴とする請求項3〜5いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  7. 40〜150℃の熱風により乾燥することを特徴とする請求項3〜6いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  8. 乾燥時間が5秒〜5分であることを特徴とする請求項3〜7いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  9. 延伸を施したポリビニルアルコール系フィルムが、縦方向に3〜5倍、横方向に3〜5倍延伸してなる二軸延伸ポリビニルアルコール系フィルムであることを特徴とする請求項3〜8いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  10. 請求項3〜9いずれか記載の方法により得られるポリビニルアルコール系フィルム。
  11. 請求項1、2または10記載のポリビニルアルコール系フィルムを含水率0.5〜20重量%の状態で貼り合わせることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。

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