JP5713745B2 - 熱転写印刷用ポリビニルアルコールフィルムの製造方法、及び片面に梨地模様を有する熱転写印刷用ポリビニルアルコールフィルム - Google Patents

熱転写印刷用ポリビニルアルコールフィルムの製造方法、及び片面に梨地模様を有する熱転写印刷用ポリビニルアルコールフィルム Download PDF

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Description

本発明は、片面に梨地模様を有する熱転写印刷用ポリビニルアルコールフィルムの製造方法及びかかるポリビニルアルコールフィルムに関し、さらに詳しくは、フィルム強度や透明性、離型性の良好な熱転写印刷用ポリビニルアルコールフィルムの製造方法及びポリビニルアルコールフィルムに関するものである。
一般に、ポリビニルアルコール系フィルムは、親水性、耐有機溶剤性、透湿性、離型性等の特性を有し、広範囲に使用されている。
また、ポリビニルアルコール系フィルムの風合いを出したり、滑り性向上や耐ブロッキング性を向上させる目的で、フィルムに梨地模様やエンボス模様などと言った凹凸模様を設けることがある。凹凸模様を設けるに当たっては、通常、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液中にフィラーを含有させておきこれを製膜する方法や、エンボスロールを用いて直接フィルム面に凹凸模様を設ける方法などが挙げられる(例えば、特許文献1及び2参照。)。
特開昭54−150208号公報 特開2002−273791号公報
しかしながら、上記特許文献1の開示技術では、フィラーを含有させるがために、フィルム強度の低下を招いたり透明性の低下を招いたりするものであった。また、特許文献2の開示技術では、エンボスロールを用いるため、フィルム両面に対して凹凸模様が形成されてしまうものであった。
近年では、両面に凹凸模様が形成されるよりも、片面に凹凸模様が形成されるフィルムが平滑面と凹凸形成面の両面を使い分けて使用できる点で優れているため、片面凹凸模様を有するポリビニルアルコール系フィルムに対する要求が高まっている。
そこで、本発明においてはこのような背景において、片面凹凸模様を有する熱転写印刷用ポリビニルアルコールフィルムを製造するにあたり、フィラーによる明らかなフィルム強度低下や透明性低下を極力少なくし、離型性を損なわず良好でありながら、生産性にも優れたポリビニルアルコールフィルムの製造を提供することを目的とするものであり、更に、片面凹凸模様を有する熱転写印刷用ポリビニルアルコールフィルムを提供するものである。
しかるに、本発明者等はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、ポリビニルアルコール樹脂に、通常ポリビニルアルコールフィルムの製膜には使用しづらいような、油溶性の高い界面活性剤を比較的多めに用いることにより、フィルム強度低下や透明性低下を極力少なくし、離型性を損なわず良好でありながら、生産性にも優れた片面に梨地模様等の凹凸模様を有する熱転写印刷用ポリビニルアルコールフィルムを得ることができることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、片面に凹凸模様を有する熱転写印刷用ポリビニルアルコールフィルムを製造するにあたり、平均ケン化度が90モル%以上であるポリビニルアルコール樹脂(A)100重量部に対して、HLBが12以下のノニオン系界面活性剤(B)を〜10重量部含有してなるポリビニルアルコール樹脂水溶液[I]を流延し製膜する熱転写印刷用ポリビニルアルコールフィルムの製造方法に関するものである。
ここで、ポリビニルアルコール系フィルムの製膜においては、一般的に種々の界面活性剤が用いられるが、その中でも通常、比較的水溶性の高い(HLBの高い)界面活性剤が用いられるものであるのに対して、本発明においては、従来とは逆で、通常は使用しがたいような、HLBが12以下といった油溶性の高いノニオン系界面活性剤を敢えて用いたものであり、これにより本発明の目的を達成することができたものである。
また、本発明では、ポリビニルアルコール樹脂(A)100重量部に対して、HLBが12以下のノニオン系界面活性剤(B)を〜10重量部含有してなる片面に梨地模様を有する熱転写印刷用ポリビニルアルコールフィルムも提供するものである。
本発明においては、フィルム強度低下や透明性低下を極力少なくし、離型性を損なわず良好でありながら、生産性にも優れた片面に梨地模様等の凹凸模様を有するポリビニルアルコールフィルムを製造することができる。得られたポリビニルアルコールフィルムは、熱転写印刷等の離型性に加え、表面形状を製品に転写させて付加価値を上げる用途に非常に有用である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明においては、ポリビニルアルコール樹脂(A)を用いて、以下のようにして片面に凹凸模様を有するポリビニルアルコールフィルムが製造される。
本発明で用いられるポリビニルアルコール樹脂(A)は、常法に従って、ビニルエステル系化合物を重合し、次いでこれをケン化することにより得られるものである。本発明では、ポリビニルアルコール樹脂(A)は単独のみならず必要に応じて2種以上混合して用いてもよい。
上記ビニルエステル系化合物としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、バーサティック酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられるが、実用上、酢酸ビニルが好適に用いられる。
そして、上記ビニルエステル系化合物を用いて重合(あるいは共重合)を行うに際しては、特に制限はなく公知の重合方法が用いられるが、通常は、メタノール、エタノールあるいはイソプロピルアルコール等のアルコールを溶媒とする溶液重合が行なわれる。また、溶液重合以外に、乳化重合、懸濁重合も可能である。
また、重合反応は、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの公知のラジカル重合触媒を用いて行われ、反応温度は通常35℃〜沸点、より好ましくは50〜80℃程度の範囲から選択される。
つぎに、得られたビニルエステル系重合体をケン化するにあたっては、上記ビニルエステル系重合体をアルコールに溶解してアルカリ触媒の存在下にて行なわれる。上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、ブタノール等があげられ、上記アルコール中のビニルエステル系共重合体の濃度は、20〜50重量%の範囲内にて適宜選択される。
上記ケン化時のアルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートのようなアルカリ触媒を用いることができる。上記アルカリ触媒の使用量は、ビニルエステル系重合体に対して1〜100ミリモル当量の範囲内にて適宜選択すればよい。なお、場合によっては、酸触媒によりケン化することも可能である。
このようにしてポリビニルアルコール樹脂(A)が得られる。
本発明において、上記ポリビニルアルコール樹脂(A)の平均ケン化度は、凹凸模様の形成性の点で90モル%以上であ、特には93〜99.9モル%、更には95〜99.9モル%、殊には96〜99.9モル%であることが好ましい。ポリビニルアルコール樹脂(A)の平均ケン化度が低すぎると目的とする凹凸模様を形成しにくい傾向がある。
なお、上記平均ケン化度は、JIS K 6726に準じて測定される。
さらに、ポリビニルアルコール樹脂(A)の20℃における4重量%水溶液粘度は、5〜70mPa・sの範囲であることが好ましく、より好ましくは15〜60mPa・sの範囲である。4重量%水溶液粘度が低すぎるとフィルムの強度が低下する傾向がある。一方、4重量%水溶液粘度が高すぎると粘度が高く製膜するのに困難となる傾向がある。なお、上記20℃における4重量%水溶液粘度は、JIS K 6726に準じて測定される。
本発明で用いられるノニオン系界面活性剤(B)としては、油溶性の高いものであり、HLBが12以下のノニオン系界面活性剤である。凹凸模様の形成安定性の点で、特にはHLBが1〜11が好ましく、更には2〜10が好ましい。HLBが上記範囲を超える場合凹凸模様の形成性が不十分となる。
なお、上記のHLBには算出方法がいくつかあるが、本発明においては、以下のグリフィン法で算出した値を用いるものとする。
HLB=(100×親水部の分子量/全体の分子量)÷5
上記HLBが12以下のノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンアルキルアミン類、ポリオキシアルキレンアルキルアミド類、ポリプロピレングリコールエーテル類、アセチレングリコール類、アリルフェニルエーテル類等が挙げられ、これらは1種または2種以上併用して用いられる。中でも、凹凸模様の形成安定性の点で、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類が好適である。
本発明において、上記ノニオン系界面活性剤(B)の含有量は、ポリビニルアルコール樹脂(A)100重量部に対して、〜10重量部であ、更には2〜8重量部が好ましい。かかる含有量が少なすぎると凹凸模様の形成が不十分となる傾向があり、多すぎると表面のベタつきが強くなりブロッキングを起こす傾向となる。
本発明においては、上記ポリビニルアルコール樹脂(A)及びノニオン系界面活性剤(B)を用いて製膜することによりポリビニルアルコールフィルムが製造されるが、かかるポリビニルアルコール樹脂(A)及びノニオン系界面活性剤(B)のみからなる場合以外にも、上記ノニオン系界面活性剤(B)以外の界面活性剤(B′)や可塑剤などを適宜配合して製膜することにより製造することも好ましい。また、本発明の目的を損なわない範囲内で、フィラーを配合することもできる。
上記ノニオン系界面活性剤(B)以外の界面活性剤(B′)は、ポリビニルアルコールフィルムの製膜装置であるドラムやベルト等の金属表面と製膜したフィルムとの剥離性の向上を目的として配合される。
上記界面活性剤(B′)としては、例えば、ノニオン系界面活性剤として、前述のHLBが12より高い界面活性剤が挙げられる。また、アニオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸カリウム等のカルボン酸型、オクチルサルフェート等の硫酸エステル型、ドデシルベンゼンスルホネート等のスルホン酸型のアニオン系界面活性剤が好適である。カチオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミン塩酸塩等のアミン類、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩類、ラウリルビリジニウムクロライド等のピリジウム塩、等が挙げられる。更に、両性界面活性剤としては、例えば、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン等が挙げられる。これら界面活性剤は1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記界面活性剤(B′)の含有量については、ポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して0.01〜5重量部であることが好ましく、0.03〜3重量部であることがより好ましい。上記界面活性剤(B′)の含有量が少なすぎると、製膜装置のドラムやベルト等の金属表面と製膜したフィルムとの剥離性が低下して製造困難となる傾向があり、逆に多すぎるとブリードアウトし、例えば表面が白化するなどの表面性が低下する原因となる傾向がある。
また、上記のノニオン系界面活性剤(B)と剥離性向上のための界面活性剤(B′)を併用する場合には、その合計量が、ポリビニルアルコール樹脂(A)100重量部に対して1〜13重量部であることが好ましく、特には3〜10重量部、更には4〜8重量部であることが好ましい。かかる合計量が少なすぎるとキャスティングベルト若しくはドラムからの剥離が困難になる傾向があり、多すぎると表面のベタつきが強くなりブロッキングしやすくなる傾向がある。
上記可塑剤としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン等のグリセリン類、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジプロピリングリコール等のアルキレングリコール類やトリメチロールプロパン等があげられる。これらは単独であるいは2種以上併せて用いられる。
上記ポリビニルアルコール樹脂(A)に配合される可塑剤の配合量は、ポリビニルアルコール樹脂(A)100重量部に対して、30重量部以下であることが好ましく、特に好ましくは20重量部以下である。上記可塑剤の配合量が多すぎると、フィルムの腰がなくなり扱いにくくなる傾向がある。なお、可塑剤の下限値は通常0.5重量部である。
上記フィラーとしては、例えば、澱粉(各種未加工品だけでなく、エーテル化、酸化、変性品でも良い)やポリメチルメタクリレート等の有機粉末、タルク、雲母、シリカ等の無機粉末等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、澱粉が好適に用いられる。
さらに、本発明の効果を妨げない範囲で、抗酸化剤(フェノール系、アミン系等)、安定剤(リン酸エステル類等)、着色料、香料、増量剤、消泡剤、防錆剤、紫外線吸収剤、さらには他の水溶性高分子化合物(ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、デキストリン、キトサン、キチン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)等の他の添加剤を適宜配合してもよい。
本発明のポリビニルアルコールフィルムの製造方法について、更に以下の通り詳述する。
まず、上記ポリビニルアルコール樹脂(A)、ノニオン系界面活性剤(B)、必要に応じて界面活性剤(B′)、可塑剤、その他の添加剤等を所定の配合量にて配合し、水に溶解して、ポリビニルアルコール樹脂水溶液[I]を調製する。
ポリビニルアルコール樹脂水溶液[I]の濃度としては、通常10〜30重量%であることが好ましく、特には12〜20重量%であることが好ましい。かかる濃度が低すぎると塗工溶液がレベリングされてキャスティング面上で凹凸模様の形成が不十分となる傾向があり、高すぎると高粘度により凹凸模様の形成が不十分となる傾向がある。
つぎに、Tダイからポリビニルアルコール樹脂水溶液[I]を製膜ベルト上または製膜ドラム上に流延させ、乾燥させることによりフィルム状化させ、必要に応じてさらに熱処理することにより製造される。
ここで、上記製膜ベルトとは、一対のロール間に架け渡されて走行する無端ベルトを有し、Tダイから流れ出たポリビニルアルコール樹脂水溶液[I]を無端ベルト上に流延させるとともに乾燥させるものである。上記無端ベルトは、例えば、ステンレススチールからなり、その外周表面は鏡面仕上げが施されているものが好ましい。
また、上記製膜ドラムとは、回転するドラム型ロールのことであり、Tダイから流れ出たポリビニルアルコール樹脂水溶液[I]を1個以上の回転ドラム型ロール上に流延し乾燥させるものである。
乾燥温度について、製膜ベルトを用いる場合は、通常、80〜160℃であることが好ましく、特には90〜150℃が好ましい。乾燥温度が低すぎると乾燥不足となりベルトからの剥離が重くなる傾向があり、高すぎると水分率が低くなりすぎ、フィルムが脆くなる傾向がある。
また、製膜ドラムを用いる場合は、製膜第一ドラムが通常、80〜100℃であることが好ましく、特には82〜99℃であることが好ましい。乾燥温度が低すぎると乾燥不足となりドラムからの剥離が重くなる傾向があり、高すぎると水分率が低くなりすぎ、フィルムが脆くなる傾向がある。ここで、上記製膜第一ドラムとは、Tダイから流れ出たポリビニルアルコール樹脂水溶液[I]が流延される最上流側に位置するドラム型ロールのことである。
上記乾燥の後、必要に応じて熱処理が行われるが、かかる熱処理の方法としては、例えば、熱ロール(カレンダーロールを含む)、熱風、遠赤外線、誘電加熱等の方法があげられる。また、熱処理される面は、製膜ベルトまたは製膜ドラムに接する面と反対側となる面が好ましいが、ニップしても問題はない。また、熱処理を施すフィルムの水分含有量は、通常、4〜8重量%程度であることが好ましい。さらに、熱処理された後のフィルムの水分含有量は通常、2〜6重量%であることが好ましい。
なお、ポリビニルアルコールフィルムの水分率は、例えば、カールフィッシャー水分計(京都電子工業社製、「MKS−210」)を用いて測定することができる。
上記熱処理機による熱処理は、通常50〜130℃で行うことが好ましく、より好ましくは60〜120℃である。すなわち、上記熱処理の温度が低すぎると、製膜ベルトあるいは製膜第一ドラムに接する面のカールが生じる傾向があり扱いづらくなり、熱処理の温度が高すぎるとフィルムが柔らかくなるため、皺が入らぬように巻き取ろうと引っ張ると長手方向への配向が強まり、幅が縮まる傾向がみられる。さらに、上記熱処理に要する時間は、熱処理ロールの場合、その表面温度にもよるが、通常0.2〜15秒間、好ましくは0.5〜12秒間とすることが好ましい。上記熱処理は、通常、フィルム乾燥のための乾燥ロール処理に引き続き、別体の熱処理ロールやフローティングドライヤー等により通常行われる。
上記方法によりポリビニルアルコールフィルムが得られるが、本発明においては、片面に凹凸模様を有するポリビニルアルコールフィルムとして得られる。
かかる片面に凹凸模様を有するポリビニルアルコールフィルムの膜厚は、見かけ膜厚として風合いの点で20〜100μmであることが好ましく、特には30〜80μmであることが好ましい。
なお、見かけ膜厚は、接触式膜厚計で測定される。具体的には、TECLOCK社製の「定圧厚さ測定器PG−11」で、測定子の直径:35.7mm、測定力:3.7gf/cm2で測定される。
また、凹凸模様としては、通常のエンボスロールなどによる凹凸形成では、梨地模様やエンボス模様、絹目模様等が周期的で機械的な模様となるが、本発明においては、フィルムの片面は平滑であり、その反対面に不規則ではあるが自然な梨地模様等の凹凸模様が形成される点で有効なフィルム製造方法となる。
上記で得られたポリビニルアルコールフィルムの水分率としては、2〜6重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは2.3〜5.5重量%である。水分率が低すぎると脆くなる傾向があり、水分率が高すぎるとブロッキングする傾向がある。
上記ポリビニルアルコールフィルムの水分率の調整方法としては、例えば、下記に示す方法があげられる。すなわち、下記に示す水分率の調整方法に従い、上記範囲内のポリビニルアルコールフィルムの水分率に設定することが可能となる。
(1)ポリビニルアルコール樹脂水溶液[I]を乾燥して製膜する際の乾燥機温度を上下させてポリビニルアルコールフィルムの加湿・除湿を行う方法により水分率の調整を行う。樹脂水溶液[I]の温度は、その温度により乾燥効率に対して影響を及ぼすため、70〜98℃の範囲内にて調整する。また、乾燥に際しては、好ましくは150〜50℃の間で、より好ましくは145〜60℃の間で温度勾配を有する少なくとも2つ以上の熱風乾燥機中にて行うことが好ましく、さらに1〜12分間、より好ましくは1〜11分間乾燥を行うことが水分調整という観点から好ましい。
上記乾燥温度の勾配範囲が大きすぎたり、乾燥時間が長すぎたりすると、乾燥過多となる傾向があり、逆に乾燥温度の勾配範囲が小さすぎたり、乾燥時間が短すぎたりすると、乾燥不足となる傾向がある。
上記温度勾配は、150〜50℃の間で段階的に乾燥温度を変えていくものであり、通常は、乾燥開始時から温度を徐々に上げていき、所定の含水率になるまで一旦設定した乾燥温度範囲の、最高の乾燥温度に至らせ、つぎに徐々に乾燥温度を低くすることにより最終的に目的とする含水率とすることが効果的である。これは結晶性や剥離性、生産性等を制御するために行われるものであり、例えば、120℃−130℃−115℃−100℃、130℃−120℃−110℃、115℃−120℃−110℃−90℃等の温度勾配設定があげられ、適宜選択され実施される。
(2)ポリビニルアルコールフィルムの巻き取り前に調湿槽に通過させることによりポリビニルアルコールフィルムの加湿・除湿を行い、水分率の調整を行う。
(3)ポリビニルアルコールフィルムの巻き取り前、もしくは巻き取り後に、熱処理を行うことによりポリビニルアルコールフィルムの除湿を行い、水分率の調整を行う。
かくして本発明においては、片面凹凸模様を有するポリビニルアルコールフィルムを良好に製造することができ、フィラーによる明らかなフィルム強度低下や透明性低下を極力少なくし、離型性を損なわず良好でありながら、生産性にも優れた方法となるものである。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
実施例1
平均ケン化度99モル%、4%水溶液の平均粘度(20℃)28mPa・sのポリビニルアルコール(A)100部、ノニオン系界面活性剤(B)としてソルビタンセスキオレート(B−1)(HLB:3.7)8部、可塑剤としてグリセリンを1部を含有する14%(固形分濃度)のポリビニルアルコール系樹脂水溶液(ドープ)をTダイより、表面温度が90℃に調整された回転するステンレス製エンドレスベルトに吐出して流延製膜し、見かけ膜厚60μmのポリビニルアルコールフィルムを得た。
得られたポリビニルアルコールフィルムについて、梨地模様の形成性及び離型性を評価した。
(梨地模様の形成性)
得られたフィルムについて、KEYENCE社製「レーザー顕微鏡VK−9710」を用いて、対物レンズ10倍で梨地面側を測定し、同社の解析ソフト「VK Analyzer」にてJIS B 0601−2001に準拠した方法で表面粗さを測定し、算術平均高さ(Ra)の値を求めた。なお、測定した範囲は150μm×150μmで10回の平均値とした。
○・・・8μm以上
△・・・3μm以上8μm未満
×・・・3μm未満
(離型性)
得られたフィルムを100mm×100mmに切り出し、異なる面同士(平滑面と凹凸模様形成面)を二枚重ね合わせ、23℃×60%RHに24時間調湿した後、この状態で23℃×60%RH環境下で上部より500gの錘を載せた状態でさらに24時間放置した。その後フィルムを手で剥がす時の状況により、下記の基準で離型性を評価した。
○・・・密着間は殆ど無く、フィルムを剥がそうとすると全体が離れてしまうもので あった。
△・・・多少密着しているものの、一方のフィルムを持ち上げると他方のフィルムが
落下するものであった。
×・・・密着が強く二枚を剥離するときの抵抗感があった。
実施例2
実施例1において、ノニオン系界面活性剤(B)としてソルビタンセスキオレート(B−1)(HLB:3.7)を2部配合した以外は同様に行い、見かけ膜厚50μmのポリビニルアルコールフィルムを得た。
得られたポリビニルアルコールフィルムについて、実施例1と同様に評価を行った。
実施例3
実施例1において、ノニオン系界面活性剤(B)としてポリオキシエチレンラウリルエーテル(B−2)(HLB:5)を5部配合した以外は同様に行い、見かけ膜厚45μmのポリビニルアルコールフィルムを得た。
得られたポリビニルアルコールフィルムについて、実施例1と同様に評価を行った。
実施例4
実施例1において、ノニオン系界面活性剤(B)としてポリオキシエチレンオレイン酸エステル(B−3)(HLB:7.7)を5部配合した以外は同様に行い、見かけ膜厚50μmのポリビニルアルコールフィルムを得た。
得られたポリビニルアルコールフィルムについて、実施例1と同様に評価を行った。
参考例1
実施例1において、ケン化度88モル%、4%水溶液の粘度(20℃)30mPa・sのポリビニルアルコールを用いた以外は同様に行い、見かけ膜厚50μmのポリビニルアルコールフィルムを得た。
得られたポリビニルアルコールフィルムについて、実施例1と同様に評価を行った。
比較例1
実施例1において、ノニオン系界面活性剤(B′−1)としてポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB:18.2)を5部配合した以外は同様に行い、見かけ膜厚45μmのポリビニルアルコールフィルムを得た。
得られたポリビニルアルコールフィルムについて、実施例1と同様に評価を行った。
比較例2
実施例1において、ノニオン系界面活性剤(B)としてソルビタンセスキオレート(B−1)(HLB:3.7)を0.2部配合した以外は同様に行い、見かけ膜厚40μmのポリビニルアルコールフィルムを得た。
得られたポリビニルアルコールフィルムについて、実施例1と同様に評価を行った。
実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
Figure 0005713745
上記の結果から、HLBが12以下の界面活性剤を部以上配合したポリビニルアルコール樹脂水溶液でポリビニルアルコールフィルムを製造した実施例1〜4の製造方法では、フィルム強度低下や透明性低下を極力起こすことなく、フィルム片面に良好な梨地模様を形成することができ、更に離型性に優れ、生産性にも優れたポリビニルアルコール系フィルムを得ることができるのに対して、HLBの高いノニオン系界面活性剤を用いたり、HLBが12以下のノニオン系界面活性剤であっても配合量が少なすぎたりした比較例の製造方法では、良好な梨地模様を形成することができず、また離型性にも劣ったフィルムとなるものであった。
本発明の製造方法により得られるポリビニルアルコールフィルムは、フィルム強度や透明性の低下を抑制し、良好な梨地模様の形成するものであり、離型性にも優れたものであり、熱転写印刷等の離型性に加え、さらには表面形状を製品に転写させて付加価値を上げる用途に非常に有用である。

Claims (5)

  1. 片面に凹凸模様を有する熱転写印刷用ポリビニルアルコールフィルムを製造するにあたり、平均ケン化度が90モル%以上であるポリビニルアルコール樹脂(A)100重量部に対して、HLBが12以下のノニオン系界面活性剤(B)を〜10重量部含有してなるポリビニルアルコール樹脂水溶液[I]を流延し製膜することを特徴とする熱転写印刷用ポリビニルアルコールフィルムの製造方法。
  2. HLBが12以下のノニオン系界面活性剤(B)が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンアルキルアミン類、ポリオキシアルキレンアルキルアミド類、ポリプロピレングリコールエーテル類、アセチレングリコール類、アリルフェニルエーテル類から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の熱転写印刷用ポリビニルアルコールフィルムの製造方法。
  3. ポリビニルアルコール樹脂(A)の20℃における4重量%水溶液粘度が5〜70mPa・sであることを特徴とする請求項1または2記載の熱転写印刷用ポリビニルアルコールフィルムの製造方法。
  4. ポリビニルアルコール樹脂水溶液[I]の濃度が10〜30重量%であることを特徴とする請求項1〜いずれか記載の熱転写印刷用ポリビニルアルコールフィルムの製造方法。
  5. 平均ケン化度が90モル%以上であるポリビニルアルコール樹脂(A)100重量部に対して、HLBが12以下のノニオン系界面活性剤(B)を〜10重量部含有してなることを特徴とする片面に梨地模様を有する熱転写印刷用ポリビニルアルコールフィルム。
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