JP3721639B2 - パラアラミド系多孔質フィルムおよびそれを使用した電池用セパレーター - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はパラ配向芳香族ポリアミド(以下、パラアラミドということがある。)の多孔質の樹脂層と、昇温時に加熱溶融する熱可塑性ポリマーとからなるパラアラミド系多孔質フィルムに関する。また、かかる多孔質フィルムの用途であるシャットダウン機能を備えた、安全性、耐熱性と機械的特性に優れた電池用セパレーターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
非水系の電解液を用いるリチウム電池あるいはリチウム二次電池は、その高電圧、高エネルギー密度が得られるといった特性から大いに期待されているが、同時に内在する問題点、例えば電池内外での短絡による電池温度の上昇に伴う内容物の噴出の為に種々の安全策を講じる必要がある。これらの電池は、正・負極間に多孔質フィルムからなるセパレーターを介在させ、フィルムの空隙内にリチウム塩を溶解した電解液を含浸した構造が主であり、かかる問題点を解決する為に、セパレーターに種々の工夫を加える試みがなされている。
【0003】
特に、二次電池においてセパレーターが寄与できる安全対策としては、シャットダウンとショート特性が注目されている。ここにシャットダウン(ヒューズともいう。)とは、過充電、外部短絡などのトラブルにより電池温度が上がり、多孔質のフィルムが溶融して穴がふさがり、電流が遮断されることをいい、さらに温度が上がり、フィルムに大きく穴があき、再び短絡することをショート、その温度をショ−ト温度という。シャットダウン温度を低くし、ショ−ト温度を高くすることが電池用セパレーターに求められている。
【0004】
かかる電池用セパレーター素材として耐熱性、耐薬品性等にすぐれた全芳香族ポリアミド重合体を使用することが検討されている。例えば、特公昭59−36939号公報、特公昭59−14494号公報に多孔質フィルムの製造方法が記載されており、電池用セパレーターとして使用できることが示唆されている。また、特開平5−335005号公報にはアラミド繊維からなる不織布、具体的には、du Pont社製のノーメックス(登録商標)紙(メタアラミド紙)をリチウム二次電池のセパレーターとして使用することが記載されている。同じく、特開平7−78608号公報と特開平7−37571号公報にもメタアラミドからなる不織布または紙状シートを電池用セパレーターに使用することが提案されている。
【0005】
しかし、上記アラミドフィルムや不織布または紙状シートのみではシャットダウン機能を有せず、また特公昭59−36939号公報等の方法では工業的にパラアラミド多孔質フィルムを得ることができず、特開平7−78608号公報等に開示されているメタアラミドからなる不織布や紙状シートでは、実質的に50μm以下の薄い厚みでかつ十分な強度を有するものを工業的に製造することは困難であり、電気的特性に優れたセパレーターを得ることができていない。そこで従来、リチウム二次電池のセパレーターとしては薄い膜厚の可能な多孔質フィルムが使用されており、例えば、ヘキスト社製のCelgard(登録商標)がリチウム二次電池のセパレーターとして好適に用いられている。しかし、ポリエチレン製やポリプロピレン製のCelgard(登録商標)は耐熱性に乏しく、耐熱性が良好で機械的特性の優れた多孔質フィルムが望まれていた。
【0006】
一方、電池内外での短絡を防止する安全性の問題解決の点では、特開平3−291848号公報、特公平4−1692号公報に熱可塑性樹脂の多孔質フィルムに、加熱溶融可能な閉塞材を付設し、この閉塞材が加熱溶融されることにより微多孔膜表面を覆うことにより、電池用セパレーターにシャットダウン機能を持たせることが提案されている。また、特開昭60−52号公報、特開昭60−136161号公報にはポリプロピレン不織布にポリエチレン系樹脂粉末を付着させ、該粉末を加熱溶融させて不織布の穴を塞いで、電池用セパレーターにシャットダウン機能を持たせることが提案されている。しかし、これらはいずれも熱可塑性樹脂を基材に用いており、ヒュ−ズ温度が低く安全性の面で用途が限定されるという問題点を有していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高耐熱、高剛性、高強度、さらに電気絶縁性というパラアラミド本来の特長を生かし、かつ微細孔を有する多孔質のパラアラミドと、昇温時に加熱溶融する熱可塑性ポリマーとの、少なくとも2つ以上の材料からなるパラアラミド系多孔質フィルムを提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかるパラアラミド系多孔質フィルムを使用するシャットダウン機能を備えた、安全性、耐熱性と機械的特性に優れた電池用セパレーター、特に二次電池用セパレーターを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、パラ配向芳香族ポリアミドからなる空隙を有する樹脂層と、熱可塑性ポリマーからなる空隙を構成する樹脂との少なくとも2種以上の樹脂材料からなる多孔質フィルムであって、温度上昇時に、該熱可塑性ポリマーからなる樹脂が溶融し、パラ配向芳香族ポリアミドからなる樹脂層の空隙中に入り込んで、該空隙を閉塞し、しかもパラ配向芳香族ポリアミドからなる樹脂層がフィルム形状を保つパラアラミド系多孔質フィルムに係るものである。
また、本発明は、パラ配向芳香族ポリアミドからなる空隙を有する樹脂層と、熱可塑性ポリマーからなる空隙を有する樹脂層との少なくとも2層以上からなる多孔質フィルムであって、温度上昇時に、該熱可塑性ポリマーからなる樹脂層の樹脂が溶融し、パラ配向芳香族ポリアミドからなる樹脂層の空隙中に入り込んで、該空隙を閉塞し、しかもパラ配向芳香族ポリアミドからなる樹脂層がフィルム形状を保つパラアラミド系多孔質フィルムに係るものである。
【0009】
更に、本発明は、上記パラアラミド系多孔質フィルムが、熱可塑性ポリマーを溶媒中に分散させた熱可塑性ポリマー溶液からなる層と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を溶解した極性アミド系溶媒または極性尿素系溶媒中で、パラ配向芳香族ジアミンとパラ配向芳香族ジカルボン酸ハライドを縮合重合して製造されるパラ配向芳香族ポリアミド重合液のドープからなる層との、少なくとも2層を製膜し、ついで乾燥して得られる多孔質フィルムに係るものである。また、上記パラアラミド系多孔質フィルムが、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を溶解した極性アミド系溶媒または極性尿素系溶媒中で、パラ配向芳香族ジアミンとパラ配向芳香族ジカルボン酸ハライドを縮合重合して製造されるパラ配向芳香族ポリアミド重合液中に、熱可塑性ポリマー粒子を分散させたド−プを製膜し、ついで乾燥して得られる多孔質フィルムに係るものである。
【0010】
また、本発明は、上記のパラアラミド系多孔質フィルムを使用してなる電池用セパレーターに係るものである。以下、本発明について詳しく説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において基本的構成材料の一つであるパラ配向芳香族ポリアミド(パラアラミド)からなる空隙を有する樹脂層とは、網目状、粒子状または多孔状の空隙を有する、いわゆる多孔質のパラアラミド樹脂からなる層をいう。
ここに、パラアラミドとは、パラ配向芳香族ジアミンとパラ配向芳香族ジカルボン酸ハライドの縮合重合により得られるものであり、アミド結合が芳香族環のパラ位またはそれに準じた配向位(例えば、4、4’−ビフェニレン、1、5−ナフタレン、2、6−ナフタレン等のような反対方向に同軸または平行に延びる配向位)で結合される繰り返し単位から実質的になるものである。
【0012】
具体的には、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)、ポリ(パラベンズアミド、ポリ(4、4’−ベンズアニリドテレフタルアミド)、ポリ(パラフェニレン−4、4’−ビフェニレンジカルボン酸アミド)、ポリ(パラフェニレン−2、6−ナフタレンジカルボン酸アミド)、ポリ(2−クロロ−パラフェニレンテレフタルアミド)、パラフェニレンジアミン/2、6−ジクロロパラフェニレンジアミン/テレフタル酸ジクロライド共重合体等のパラ配向型またはパラ配向型に準じた構造を有するパラアラミドが例示される。
【0013】
本発明において、空隙を構成する熱可塑性ポリマーからなる樹脂とは、網目状、粒子状または多孔状の空隙、いわゆる多孔質を構成する樹脂をいう。熱可塑性ポリマーとしては、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂等が例示される。特に、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状ポリエチレン等のポリエチレン、ホモ、ランダムおよびブロックポリプロピレン、4−メチル−1−ペンテン樹脂等のポリオレフィン樹脂が好適に用いられる。熱可塑性ポリマーからなる樹脂としては、本発明の用途である電池用セパレーターに使用する場合に、昇温時に溶融するものであれば良い。リチウム電池のセパレーターとして使用する場合、250℃以下で溶融するポリマーであることがシャットダウン機能の点からより好ましい。これらは単体、又は2種類以上混合して使用することができる。そして、これらの熱可塑性ポリマーは後述の粒径を有する粉末を使用することにより容易に多孔質とすることができる。
【0014】
本発明に用いる熱可塑性ポリマー粒子は、平均粒径は20μm以下、好ましくは10μm以下、更に好ましくは6μm以下である。粒子の形状は特に限定はなく球状でもランダムな形状でも使用することができる。ポリマー粒子は、多孔質フィルム内で均一に分散しておりパラアラミドのフィブリルに絡まって捕捉・固定された状態で空隙を形成している。
【0015】
本発明において、パラ配向芳香族ポリアミドからなる空隙を有する樹脂層と、熱可塑性ポリマーからなる空隙を構成する樹脂との少なくとも2種以上の樹脂材料からなる多孔質フィルムとは、例えば、フィブリル状の多孔質パラアミドの樹脂層の少なくとも片面に、熱可塑性ポリマーからなる樹脂が当該フィブリル状のパラアラミドと絡まって捕捉され、パラアラミド樹脂層の全体に粒子状に配置して空隙を形成しているものをいう。
【0016】
また、本発明において、熱可塑性ポリマーは、多孔質の層を構成していてもよい。即ち、パラ配向芳香族ポリアミドからなる空隙を有する樹脂層と、熱可塑性ポリマーからなる空隙を有する樹脂層との少なくとも2層以上からなる多孔質フィルムとは、例えば、フィブリル状の多孔質パラアミドの樹脂層の少なくとも片面に、熱可塑性ポリマーからなる樹脂層が当該フィブリル状のパラアラミドと絡まって捕捉され空隙を形成していて、パラアラミド樹脂層の全体に層状に配置しているものをいう。
【0017】
そして、本発明にいう多孔質フィルムは、温度上昇時に、該熱可塑性ポリマーからなる樹脂または樹脂層が溶融し、パラ配向芳香族ポリアミドからなる樹脂層の空隙中に入り込んで、該空隙を閉塞し、しかもパラ配向芳香族ポリアミドからなる樹脂層が溶融することなくフィルム形状を保つ特徴を有し、本発明のパラアラミド系多孔質フィルムを構成する。
【0018】
以下に、本発明のパラアラミド系多孔質フィルムおよびそれを使用する電池用セパレーター、特に二次電池用セパレーターについてより具体的に説明する。前述のように二次電池においては、シャットダウンとショート特性が重要であり、シャットダウン温度を低くし、ショ−ト温度を高くすることが電池用セパレーターに求められている。
【0019】
本発明に使用するパラアラミドは、常用温度200℃程度まで強度劣化が殆ど無く、耐熱性に優れていることが知られている。また自己消火性で、500℃程度まで熱溶融せずに形態を保ち、それ以上の温度で熱分解する。従って、アラミドの熱分解温度は、電池に使用されている他の部材の熱分解温度より高いので、電池のショート温度は、他の部材の熱分解温度又は熱溶融温度で決まる。
【0020】
本発明のパラアラミド系多孔質フィルムのセパレ−タ−において熱可塑性ポリマーの粒子は、パラアラミドのフィブリル状ポリマーと絡まって捕捉され、フィルムの少なくとも片面に層状に、またはフィルムの全体に粒子状に分散して配置している。電池が局部的に、または全体的に温度上昇した時に、該熱可塑性ポリマーが溶融し、毛細管現象でパラアラミド多孔層の微細孔の中に入り込んで微細孔を封じ、電流が流れないようにする。さらに温度が上昇した時にも、表面ではなく微細孔の中に入り込んでいるので流れ出ない。このようにして、電池のシャットダウンが行なわれる。さらに融点の異なる2種類以上の熱可塑性ポリマーの粒子を用いると、電池のシャットダウンが行なわれる温度範囲を広くすることができる。
【0021】
電池用セパレーター、特にリチウム二次電池用セパレーターでは、空隙率が高く、孔径が小さいことが好ましい。例えば、正極の主成分であるリチウムと遷移金属の酸化物小片が脱落しても、セパレーター孔径(空隙)が十分に小さければ内部ショートなどの問題を回避できる。本発明の多孔質セパレーターでは孔径が5μm〜0.01μm程度、平均的には1〜0.01μm程度であり、リチウム二次電池用に特に好ましい。孔径が5μmを越える場合には、不織布、紙状シートなどの形態でも代替できるので、多孔質フィルムとしての重要性が薄れる。
【0022】
本発明のパラアラミド系多孔質フィルムは、厚みが5〜200μmである。厚みが5μm未満ではフィルムとして強度が不足し取り扱いが難しい。フィルムとしては、厚いほど取り扱いが容易であるが、ニッケル・カドニウム電池ではあまり制約はないが、リチウム二次電池では内部抵抗をできるだけ小さくするために、短絡しない範囲で厚みが小さいセパレ−タ−が望ましい。即ち、リチウム二次電池用セパレーターでは厚みとしては5〜50μm、さらに好ましくは5〜30μmである。
【0023】
本発明のパラアラミド系多孔質フィルムは、電解液の浸透性、保液性、およびイオン透過性の面より、空隙率は20〜90%が好ましい。さらに好ましくは、30〜90%である。20%未満では、イオンの移動が不十分となり電池としての性能が低下する。一方、90%を越えるとフィルムとしての強度が不足し取り扱いが困難となる。
【0024】
本発明のパラアラミド系多孔質フィルムでは、熱溶融しないパラアラミド多孔質フィルムの層が、強度を負担する。この多孔質フィルムの少なくとも1方向の引張強度は10〜20kg/mm2 程度であり、通常のアラミド系不織布と同等以上の性能を有する。因に、メタアラミド紙の強度は5〜12kg/mm2 程度であるが、パラアラミドの場合にはメタアラミドの様にフィブリル間での膠着が得られないので、市販のパラアラミド紙の強度は約0.1〜3kg/mm2 程度であり、セパレーターとしては実用的ではない。
一方、本発明のセパレーターの主な部材はパラアラミドからなり、パラアラミドの粒子状、フィブリル状のポリマ−からなる微視的には不織布状であるにもかかわらず、メタアラミド紙同等以上の強度を有するという優れた特長を有する。これにより、空隙率が高くてもセパレーターとして実用的な引張強度、引裂き強度を維持することができている。
【0025】
本発明のパラアラミド系多孔質フィルムは、例えば、下記の(a)〜(e)の工程から製造することができる。即ち、熱可塑性ポリマーを分散させた溶液と、アラミド単体の重合液を多層に製膜して製造することができる。
【0026】
(a)熱可塑性ポリマーを溶媒中に分散させ、この熱可塑性ポリマー溶液を製膜する。溶媒は特に限定されないが、水または水系溶液、あるいはアラミド重合液が工業的に使用できる。
【0027】
(b)アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を2〜10重量%溶解した極性アミド系溶媒または極性尿素系溶媒中で、パラ配向芳香族ジアミン1.00モルに対してパラ配向芳香族ジカルボン酸ハライド0.94〜0.99モルを添加して、温度―20℃〜50℃で縮合重合して製造されるパラ配向芳香族ポリアミド濃度が1〜10%で、固有粘度が1.0〜2.8dl/gであるパラ配向芳香族ポリアミド重合液のドープを、前述の熱可塑性膜上に製膜し膜状物を形成する。
上記の工程(a)、(b)は、順序が逆でも製造可能である。また(a)、(b)、(a)の3層としても、または(b)、(a)、(b)の3層とすることもできる。
【0028】
(c)この膜状物を20℃以上の温度、一定湿度に保持し、パラアラミドを析出させ、その後凝固液中に浸漬させる。または、凝固液中に浸漬し、パラアラミドの析出・凝固を同時に行ない、湿潤膜状物を得る。凝固液は、水系溶液またはアルコール系溶液などで特に限定されないが、アラミド重合溶液に使用される溶媒からなる、水系溶液またはアルコール系溶液を使用する方が、工業的には溶媒回収工程が簡素化されるので有利である。具体的には、極性アミド系溶媒または極性尿素系溶媒の水溶液である。これらの溶媒として、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略すことがある。)、もしくはテトラメチルウレアが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
(d)パラアラミドが析出した湿潤膜状物から、溶媒とアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を洗浄、除去する。除去方法には、膜状物を溶液に浸漬して溶媒と塩化物を溶出させる方法、膜状物から溶媒を蒸発により留去してから塩化物を溶出させる方法などが採用される。溶媒または塩化物を溶出させるときの溶液としては、水、水系溶液、またはアルコール系溶液が溶媒と塩化物を共に溶解できるので好ましい。
【0030】
(e)溶媒と塩化物が除去された膜状物は、加熱溶融するポリマ−の溶融温度以下で定長乾燥し、目的とする多孔質フィルムが製造できる。乾燥時には、フィルムが収縮しようとするので、均一に加圧して収縮を制御して乾燥すると、平滑できれいなフィルムが得られる。
【0031】
工程(b)でのパラアラミド溶液中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物量は、後述のようにパラアラミド量(さらに正確には、パラアラミド中のアミド基)に対して範囲が決められる。一般には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物が2重量%未満では、パラアラミドの溶解性が不十分であり、10重量%を越えてはアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物は極性アミド系溶媒または極性尿素系溶媒に溶解しない。パラアラミド濃度が1重量%未満では、生産性が著しく低下し工業的に不利となる。パラアラミドが10重量%を越えるとパラアラミドが析出し安定なパラアラミド溶液とならない。
【0032】
工程(b)でのパラアラミドは、固有粘度(本発明において固有粘度とは、後に定義するものをいう。)で表して、1.0〜2.8dl/g、好ましくは1.7〜2.5dl/gの値を示すパラアラミドを言う。固有粘度が1.0dl/g以下では十分なフィルム強度が得られない。固有粘度が2.8dl/gを越えると安定なパラアラミド溶液となりにくく、パラアラミドが析出しフィルム化が困難となる。
【0033】
工程(b)においてパラアラミドの縮合重合に用いられるパラ配向芳香族ジアミンを例示すると、パラフェニレンジアミン、4、4’−ジアミノビフェニル、2−メチル−パラフェニレンジアミン、2-クロロ−パラフェニレンジアミン、2、6−ジクロロ−パラフェニレンジアミン、2、6−ナフタレンジアミン、1、5−ナフタレンジアミン、4、4’−ジアミノベンズアニリド、3、4’−ジアミノジフェニルエーテル等を挙げることができる。パラ配向芳香族ジアミンは1種または2種を混合して縮合重合に供することができる。
【0034】
工程(b)においてパラアラミドの縮合重合に用いられるパラ配向芳香族ジカルボン酸ハライドを例示すると、テレフタル酸ジクロライド、ビフェニル−4、4’−ジカルボン酸クロライド、2-クロロテレフタル酸ジクロライド、2、5−ジクロロテレフタル酸ジクロライド、2-メチルテレフタル酸ジクロライド、2、6−ナフタレンジカルボン酸クロライド、1、5−ナフタレンジカルボン酸クロライド等を挙げることができる。パラ配向芳香族ジアミンは1種または2種を混合して縮合重合に供することができる。
【0035】
工程(b)においてパラアラミドの縮合重合は、極性アミド系溶媒または極性尿素系溶媒において行われる。これらの溶媒として、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、もしくはテトラメチルウレアが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
工程(b)において、パラアラミドの溶媒への溶解性を改善する目的で、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物が好適に使用される。具体例としては、塩化リチウムまたは塩化カルシウムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
上記塩化物の重合系への添加量は縮合重合で生成するアミド基1.0モル当たり0.5〜6.0モルの範囲が好ましく、1.0〜4.0モルの範囲がより好ましい。塩化物が0.5モル未満では生成するパラアラミドの溶解性が不十分となる。6.0モルを越えると実質的に塩化物の溶媒への溶解量を越えるので好ましくない。
【0038】
また、本発明の多孔質フィルムは、熱可塑性ポリマー分散液とアラミドの重合液のドープを別々に製膜するのではなく、上記(b)のアラミド重合液中に、熱可塑性ポリマ−を分散させたド−プを製膜して、上記(c)〜(e)の工程を同様に行うことによっても製造することができる。
この場合シャットダウン機能を有効に作用させる為には、アラミドポリマーに対して、30〜300重量部の熱可塑性ポリマーを分散させることが好ましい。30重量部未満であるとシャットダウン機能十分に働かないことがあり、300重量部を超えるとフィルムの強度が低くなり取扱が困難になる。
【0039】
このようにして得られる本発明のアラミド系多孔質フィルムは、高耐熱、高剛性、高強度、さらに電気絶縁性というパラアラミドの特長を有し、かつ微細孔を有する為に電池用セパレターに好適であり、また昇温時に加熱溶融する熱可塑性ポリマーからなる複合材料であることからシャットダウン機能を備え、かつショート温度が高いことから安全性にすぐれた電池用セパレーターとして使用できる。
【0040】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例における試験・評価方法または判定基準は次に示すとおりである。
【0041】
(1)固有粘度
本発明において固有粘度は、次の測定方法によった。即ち、96〜98%硫酸100mlにパラアラミド重合体0.5gを溶解した溶液及び96〜98%硫酸について、それぞれ毛細管粘度計により30℃にて流動時間を測定し、求められた流動時間の比から次式により固有粘度を求めた。
固有粘度=In(T/T0 )/C 〔単位:dl/g〕
ここでTおよびT0 はそれぞれパラアラミド硫酸溶液及び硫酸の流動時間であり、Cはパラアラミド硫酸溶液中のパラアラミド濃度(dl/g)を示す。
【0042】
(2)引張試験
フィルムからダンベル社製ダンベルカッターにて試験片を打ち抜き、インストロンジャパン社製インストロン万能引張試験機モデル4301を用い、JIS K-7127に準じて引張強度を求めた。
【0043】
(3)空隙率
フィルムを正方形状に切り取り(一辺の長さLcm)、重量(Wg)、厚み(Dcm)を測定した。パラアラミドの真比重を1.45g/cm3と仮定して、次式より空隙率(体積%)を求めた。
100−(W/1.45)×100/(L2×D)
【0044】
(4)透気度
流体がフィルムを透過する度合いを、多孔質材料自動細孔測定システム、Perm-Porometer(製造元、米国、Porous Materials Inc. )を用いて、以下の様に測定した。ステンレス製のメッシュ・サポ−ト板の間に、測定するフィルムを鋏み、流体が通過する直径20mmの測定部分に固定する。空気圧を0気圧からゆっくりに6気圧まで上げ、3気圧の時の空気の透過量をcc/secで表示した。
【0045】
(5)内部抵抗
フィルムを、セパレーター用に20mm×30mmの大きさに切り取り、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートの1対1の混合溶媒に、LiBF4 を溶解(1モル/L濃度)させた電解液を含浸した。厚さ0.2mm、直径17.3mmの白金円盤2枚を各々正、負極とし、セパレーターを電極間に鋏み、周波数1kHzにおける、白金円盤の電極間の内部電気抵抗を測定した。
【0046】
実施例1
1.ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)の重合
撹拌翼、温度計、窒素流入管および粉体添加口を有する、5リットル(l)のセパラブルフラスコを使用して、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)(以後PPTAと略す。)の重合を行った。フラスコを十分乾燥し,N−メチル−2−ピロリドン(以後NMPと略す。)4200gを仕込み、200℃で2時間乾燥した塩化カルシウム粉末272.7gを添加して100℃に昇温し、完全に溶解させた。室温に戻して、パラフェニレンジアミン、132.9gを添加し完全に溶解させた。この溶液を20℃±2℃に保ったまま、テレフタル酸ジクロライド243.3gを10分割して約5分おきに添加した。その後も撹拌しながら、溶液を20℃±2℃に保ったまま1時間熟成した。得られた重合液(以後PPTAドープと略す。)は、PPTA濃度6%の液晶相で、光学的異方性を示した。一部をサンプリングして水で再沈してポリマーとして取り出し、得られたPPTAの固有粘度を測定したところ2.01dl/gであった。
【0047】
2. 塗工用PPTAドープの調製
上記のPPTAドープ100gを、撹拌翼、温度計、窒素流入管および液体添加口を有する、500mlのセパラブルフラスコに秤取し、150mlのNMPを徐々に添加した。最終的に、PPTA濃度が2.4重量%の等方相の溶液に調製し、減圧下で脱泡し塗工用ドープとした。
【0048】
3.塗工用熱可塑性ポリマー溶液の調製
平均粒径6μmの低密度ポリオレフィン40wt%の水性ディスパージョン(三井石油化学(株)製、ケミパール、M−200)100gを500mlのセパラブルフラスコに入れ、攪拌しながら、アルギン酸ナトリウム(和光純薬(株)製)1.5wt%の水溶液を100g添加し、さらにイソプロピルアルコールを5g添加し、塗工用熱可塑性ポリマー溶液とした。
【0049】
4.多孔質フィルムの作製
上記3の塗工用熱可塑性ポリマー溶液を、テスター産業株式会社製バーコーターにより、塗工速度0.2m/minで厚み0.1mmのPETフィルム上に、膜厚0.07mmで塗工した。次に、上記2.の塗工用ドープを、上記の熱可塑性ポリマー膜の上に、膜厚0.35mmで塗工し膜状物を形成した。次いで40℃の加熱オーブンに約20分間保持した。この間に、PPTAが析出して膜状物は白化した。これをイオン交換水に浸漬し、凝固させた後に、イオン交換水の流水で、4時間洗浄した。洗浄後の湿潤した膜状物を、両面からメタ・アラミド製のフェルトに挟んで、厚さ3mmのアルミ板の上に置き、真空バッグに包んでその回りをシーリング剤でシールし、真空に引きながら、70℃で4時間乾燥しフィルムを得た。
【0050】
5.多孔質フィルムの物性
得られたフィルムは厚みが30μmであった。走査型電子顕微鏡でフィルムを観察したところ、片側は厚みが約15μmで約0.1μm以下のフィブリル状、層状のPPTA樹脂からなる、孔径0.01〜0.2μmの空隙を有する多孔質層と、もう一方の片側は、厚みが約15μmの低密度ポリオレフィンの粒子(ケミパールMー200)が多孔質のPPTA樹脂で捕捉、固定された層の2層になっていた。このフィルムは、PPTA樹脂が約60重量%、低密度ポリオレフィンが約40重量%からなっていた。そして、得られたフィルムの透気度は5.3cc/sec、内部抵抗は11Ωであった。次に得られたフィルムを熱風オーブン中で150℃で5分間加熱した後の透気度は0cc/sec、内部抵抗は100Ω以上であった。
【0051】
6.電池用セパレーターとしての評価
正極は、ニッケル酸リチウム粉末と炭素質導電材粉末、およびポリフッ化ビニリデンを重量比87:10:3で混合したペースト(NMP溶媒)を、20μmのアルミニウム箔に塗布し、乾燥、プレスして厚さ92μmのシート(充填密度は3.0g/cc)を用いた。
負極は、黒鉛粉末とポリフッ化ビニリデンを重量比90:10で混合したペースト(Nメチルピロリドン溶媒)を、10μmの銅箔に塗布し、乾燥、プレスして厚さ110μmのシートを用いた。
電解液は、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネートの混合溶媒に、6フッ化リン酸リチウムを溶解(1モル/L濃度)した液を用いた。セパレーターは前項4で作製した多孔質フィルムを用いた。
電池は、正極面積が2.34平方cmの平板型構造とし、上記で準備したものをアルゴン雰囲気ボックス内で、負極シート、セパレーター、正極シートの順に重ねた後、セパレーターに電解液を充分に含浸させた。作製した電池を充電電圧4.2V、放電電圧2.75Vで8サイクル繰り返したところ、8サイクル目の放電容量は7.3mAH(放電電流1.5mA)でありサイクル劣化もなく正常に動作した。次に得られたフィルムを熱風オーブン中で150℃で5分間加熱した後、上記の方法で電池用セパレーターとしての評価を行ったが、電池として作動しなかった。即ちシャットダウン機能を有するものであった。
【0052】
実施例2
1.塗工用PPTAドープの調製
実施例1の1.のPPTAドープ100gを、撹拌翼、温度計、窒素流入管、および液体添加口を有する500mlのセパラブルフラスコに秤取し、20mlのNMPを徐々に添加した。最終的に、PPTA濃度が5.0重量%の液晶相の溶液に調製し、減圧下で脱泡し塗工用ドープとした。
【0053】
2.塗工用熱可塑性ポリマー溶液の調製
平均粒径6μmの低密度ポリオレフィン40wt%の水性ディスパージョン(三井石油化学(株)製、ケミパール、M−200)100gを、500mlのセパラブルフラスコに入れ、攪拌しながら、アルギン酸ナトリウム(和光純薬(株)製)の1.5wt%水溶液を100g添加し、さらにイソプロピルアルコールを5g添加し、塗工用熱可塑性ポリマー溶液とした。
【0054】
3.多孔質フィルムの作製
上記2.の塗工用熱可塑性ポリマー溶液を、テスター産業株式会社製バーコーターにより、塗工速度0.2m/minで厚み0.1mmのPETフィルム上に膜厚0.07mmで塗工した。上記1.の塗工用ドープを、上記の熱可塑性ポリマー膜の上に、膜厚0.15mmで塗工し膜状物を形成した。次いで、40℃の加熱オーブンに約20分間保持した。この間に、PPTAが析出して膜状物は白化した。これをイオン交換水に浸漬し、凝固させた後に、イオン交換水を流しながら、4時間洗浄した。洗浄後の湿潤状態の膜状物を、両面からメタ・アラミド製のフェルトに挟んで、厚さ3mmのアルミ板の上に置き、真空バッグに包んでその回りをシーリング剤でシールし、真空に引きながら、70℃で4時間乾燥し多孔質フィルムを得た。
【0055】
4.多孔質フィルムの物性
得られたフィルムは厚みが30μmであった。走査型電子顕微鏡でフィルムを観察したところ、片側は厚みが約15μmで約0.1μm以下のフィブリル状、層状のPPTA樹脂からなり、孔径0.05〜0.2μmの空隙を有する多孔質層と、もう一方の片側は厚みが約15μmの低密度ポリオレフィンの粒子(ケミパール、M−200)が多孔質のPPTA樹脂で捕捉、固定された層の2層になっていた。得られたフィルムの透気度は4.7cc/sec、内部抵抗は10Ωであった。次に得られたフィルムを、熱風オーブン中で150℃、5分間加熱した後の透気度は、0cc/sec、内部抵抗は100Ω以上であった。
【0056】
実施例3
1. 塗工用PPTAドープの調製
実施例1の1.のPPTAドープ100gを、撹拌翼、温度計、窒素流入管、および液体添加口を有する500mlのセパラブルフラスコに秤取し、150mlのNMPを徐々に添加した。最終的に、PPTA濃度が2.4重量%の等方相の溶液に調製し、減圧下で脱泡し塗工用ドープとした。
【0057】
2.塗工用熱可塑性ポリマー溶液の調製
平均粒径6μmの低密度ポリオレフィン40wt%の水性ディスパージョン(三井石油化学(株)製、ケミパール、M−200)を100gを、500mlのセパラブルフラスコに入れ、攪拌しながら、アルギン酸ナトリウム(和光純薬(株)製)の1.5wt%の水溶液を100g添加し、さらにイソプロピルアルコールを5g添加し、塗工用熱可塑性ポリマー溶液とした。
【0058】
3.多孔質フィルムの作製
上記2.の塗工用熱可塑性ポリマー溶液を、テスター産業株式会社製バーコーターにより、塗工速度0.2m/minで、厚み0.1mmのPETフィルム上に、膜厚0.07mmで塗工した後、50℃のオーブンに120分間入れて乾燥した。上記1.の塗工用ドープを、上記の乾燥した熱可塑性ポリマ−膜の上に、膜厚0.35mmで塗工し膜状物とした。次いで40℃の加熱オーブンに約20分間保持した。この間に、PPTAが析出して膜状物は白化した。これをイオン交換水に浸漬し、凝固させた後に、イオン交換水を流しながら、4時間洗浄した。洗浄後の湿潤した膜状物を、両面からメタ・アラミド製のフェルトに挟んで、厚さ3mmのアルミ板の上に置き、真空バッグに包んでその回りをシーリング剤でシールし、真空に引きながら、70℃で4時間乾燥し多孔質フィルムを得た。
【0059】
4.多孔質フィルムの物性
得られたフィルムは厚みが30μmであった。走査型電子顕微鏡でフィルムを観察したところ、片側は厚みが約15μmで約0.1μm以下のフィブリル状、層状のPPTA樹脂からなり、孔径0.05〜0.2μmの空隙を有する多孔質層であった。もう一方の片側は厚みが約15μmの低密度ポリオレフィンの粒子(ケミパール、M−200)が多孔質のPPTA樹脂で捕捉、固定された層の2層になっていた。
得られたフィルムの透気度は4.3cc/sec、内部抵抗は10Ωであった。次に得られたフィルムを熱風オーブン中で150℃で5分間加熱した後の透気度は0cc/sec、内部抵抗は100Ω以上であった。
【0060】
実施例4
1.塗工用PPTAドープの調製
実施例1の1.のPPTAドープ100gを、撹拌翼、温度計、窒素流入管、および液体添加口を有する500mlのセパラブルフラスコに秤取し、150mlのNMPを徐々に添加した。最終的に、PPTA濃度が2.4重量%の等方相の溶液に調製し、減圧下で脱泡し、塗工用ドープとした。
【0061】
2.塗工用熱可塑性ポリマ−粒子分散液の調製
平均粒径2.5μmの低分子量ポリオレフィン40wt%の水性ディスパージョン(三井石油化学(株)製、ケミパール、W−500)100mlをポリエチレン製のバットに入れ、50℃のオーブンに4時間乾燥した後、電動コーヒーミルで粉末にする。得られた低分子量ポリオレフィンの粉末を500mlのセパラブルフラスコに15g入れ、攪拌しながら、NMPを100g添加し、さらに実施例1の1.のPPTAドープを、50g添加し、塗工用熱可塑性ポリマ−粒子分散液とした。
【0062】
3.多孔質フィルムの作製
上記2.の塗工用熱可塑性ポリマ−粒子分散液を、テスター産業株式会社製バーコーターにより、塗工速度0.2m/minで、厚み0.1mmのPETフィルム上に、膜厚0.1mmで塗工した。上記1.の塗工用ド−プを、上記の熱可塑性ポリマ−粒子分散膜の上に、膜厚0.35mmで塗工した。40℃の加熱オーブンに約20分間保持した。この間に、PPTAが析出して膜状物は白化した。このフィルムをイオン交換水に浸漬し、凝固させた後に、イオン交換水を流しながら、4時間洗浄した。洗浄後の湿潤した膜状物を、両面からメタ・アラミド製のフェルトに挟んで、厚さ3mmのアルミ板の上に置き、真空バッグに包んでその回りをシーリング剤でシールし、真空に引きながら、50℃で7時間乾燥し多孔質フィルムを得た。
【0063】
4.多孔質フィルムの物性
得られたフィルムは厚みが30μmであった。走査型電子顕微鏡でフィルムを観察したところ、片側は厚みが約15μmで約0.1μm以下のフィブリル状、層状のPPTA樹脂からなり、孔径0.05m〜0.2μmの空隙を有する多孔質層と、もう一方の片側は厚みが約15μmで低分子量ポリオレフィンの粒子(ケミパール、W−500)が多孔質のPPTA樹脂で捕捉、固定された層の2層になっていた。得られたフィルムの透気度は4.7cc/sec、内部抵抗は10Ωであった。次に得られたフィルムを熱風オーブン中で150℃で5分間加熱した後の透気度は0cc/sec、内部抵抗は100Ω以上であった。
【0064】
実施例5
1.塗工用PPTAド−プの調製
実施例1の1.のPPTAドープ100gを、撹拌翼、温度計、窒素流入管、および液体添加口を有する500mlのセパラブルフラスコに秤取し、150mlのNMPを徐々に添加した。最終的に、PPTA濃度が2.4重量%の等方相の溶液に調製し、減圧下で脱泡し塗工用ド−プとした。
【0065】
2.塗工用熱可塑性ポリマ−溶液の調製
平均粒径1μmの低分子量ポリオレフィン40wt%の水性ディスパ−ジョン(三井石油化学(株)製、ケミパ−ル、WPー100)100gを、500mlのセパラブルフラスコに入れ、攪拌しながら、アルギン酸ナトリウム(和光純薬(株)製)1.5wt%の水溶液を100g添加し、さらにイソプロピルアルコールを5g添加し、塗工用熱可塑性ポリマ−溶液とした。
【0066】
3.多孔質フィルムの作製
上記2.の塗工用熱可塑性ポリマ−粒子分散液を、テスター産業株式会社製バーコーターにより、塗工速度0.2m/minで、厚み0.1mmのPETフィルム上に、膜厚0.07mmで塗工した。上記1.の塗工用ド−プを、上記の熱可塑性ポリマ−粒子分散膜の上に、膜厚0.35mmで塗工し膜状物を形成した。次いで40℃の加熱オーブンに約20分間保持した。この間に、PPTAが析出して膜状物は白化した。イオン交換水に浸漬し、凝固させ、その後に、イオン交換水を流しながら、4時間洗浄した。洗浄後の湿潤した膜状物を、両面からメタ・アラミド製のフェルトに挟んで、厚さ3mmのアルミ板の上に置き、真空バッグに包んでその回りをシーリング剤でシールし、真空に引きながら、70℃で4時間乾燥し多孔質フィルムを得た。
【0067】
4.多孔質フィルムの物性
得られたフィルムは厚みが30μmであった。走査型電子顕微鏡でフィルムを観察したところ、片側は厚みが約15μmで約0.1μm以下のフィブリル状、層状のPPTA樹脂からなり、孔径0.05〜0.2μmの空隙を有する多孔質層と、もう一方の片側は厚みが約15μmの低分子量ポリオレフィンの粒子(ケミパール、W−100)が多孔質のPPTA樹脂で捕捉、固定された層の2層になっていた。
得られたフィルムの透気度は4.7cc/sec、内部抵抗は10Ωであった。次に得られたフィルムを熱風オーブン中で190℃、5分間加熱した後の透気度は、0 cc/sec、内部抵抗は100Ω以上であった。
【0068】
5.電池用セパレーターとしての評価
正極、負極および電解液として実施例1の6.と同じものを使用し、またセパレーターは前項3.で作製した多孔質フィルムを用いた。
電池は、正極面積を2.34平方cmとした平板型構造とし、アルゴン雰囲気ボックス内で、負極シート、セパレーター、正極シートの順に重ねた後、セパレーターに電解液を充分に含浸させた。作製した電池を充電電圧4.2V、放電電圧2.75Vで8サイクル繰り返したところ、8サイクル目の放電容量は7.3mAH(放電電流1.5mA)でありサイクル劣化もなく正常に動作した。
【0069】
実施例6
1.塗工用熱可塑性ポリマ−粒子混合PPTAド−プの調製
平均粒径2.5μmの低分子量ポリオレフィン40wt%の水性ディスパージョン(三井石油化学(株)製、ケミパール、W−500)100mlをポリエチレン製のバットに入れ、50℃のオーブンに4時間乾燥した後、電動コーヒーミルで粉末にする。得られた低分子量ポリオレフィンの粉末4.5gを撹拌翼、温度計、窒素流入管および液体添加口を有する500mlのセパラブルフラスコに秤取し、225mlのNMPを徐々に添加し、さらに撹拌しながら実施例1の1.のPPTAドープを、75g添加し、熱可塑性ポリマ−粒子混合PPTAド−プの調製、減圧下で脱泡し塗工用ド−プとした。本塗工用ドープのPPTA樹脂と熱可塑性ポリマ−の割合は等量(重量比)であった。
【0070】
2.多孔質フィルムの作製
上記1.の塗工用熱可塑性ポリマ−粒子混合PPTAド−プを、テスター産業株式会社製バーコーターにより、塗工速度0.2m/minで、厚み0.1mmのPETフィルム上に、膜厚0.30mmで塗工し膜状物を形成した。40℃の加熱オーブンに約20分間保持した。この間に、PPTAが析出して膜状物は白化した。この膜状物をイオン交換水に浸漬し、凝固させた後に、イオン交換水を流しながら、4時間洗浄した。洗浄後の湿潤した膜状物を、両面からメタ・アラミド製のフェルトに挟んで、厚さ3mmのアルミ板の上に置き、真空バッグに包んでその回りをシーリング剤でシールし、真空に引きながら、50℃で7時間乾燥し多孔質フィルムを得た。
【0071】
3.多孔質フィルムの物性
得られたフィルムは厚みが30μmであった。走査型電子顕微鏡でフィルムを観察したところ、約0.1μm以下のフィブリル状、層状のPPTA樹脂からなり、孔径0.05〜0.2μmの空隙を有する多孔質層の中に、低分子量ポリオレフィンの粒子(ケミパール、W−500)が分散していた。得られたフィルムの透気度は4.7cc/sec、内部抵抗は10Ωであった。次に得られたフィルムを熱風オーブン中で150℃で5分間加熱した後の透気度は0cc/sec、内部抵抗は100Ω以上であった。
【0072】
4.電池用セパレーターとしての評価
正極、負極および電解液として実施例1の6.と同じものを使用し、またセパレーターは前項3.で作製した多孔質フィルムを用いた。
電池は、正極面積を2.34平方cmとした平板型構造とし、アルゴン雰囲気ボックス内で、負極シート、セパレーター、正極シートの順に重ねた後、セパレーターに電解液を充分に含浸させた。作製した電池を充電電圧4.2V、放電電圧2.75Vで8サイクル繰り返したところ、8サイクル目の放電容量は7.3mAH(放電電流1.5mA)でありサイクル劣化もなく正常に動作した。
次に得られたフィルムを熱風オーブン中で150℃で5分間加熱した後、上記の方法で電池用セパレーターとしての評価を行ったが、電池として作動しなかった。
【0073】
実施例7
1.塗工用熱可塑性ポリマ−粒子混合PPTAド−プの調製
平均粒径1μmの低分子量ポリオレフィン40wt%の水性ディスパージョン(三井石油化学(株)製、ケミパール、W−700)を、100mlのポリエチレン製バットに入れ、50℃のオーブンに4時間乾燥した後、電動コーヒーミルで粉末にした。得られた低分子量ポリオレフィンの粉末4.5gを撹拌翼、温度計、窒素流入管および液体添加口を有する500mlのセパラブルフラスコに秤取し、225mlのNMPを徐々に添加し、さらに撹拌しながら実施例1の1.のPPTAドープを、75g添加し、熱可塑性ポリマ−粒子混合PPTAド−プを調製し、減圧下で脱泡し塗工用ド−プとした。本塗工用ドープのPPTA樹脂と熱可塑性ポリマ−の割合は等量(重量比)であった。
【0074】
2.多孔質フィルムの作製
上記1.の塗工用熱可塑性ポリマ−粒子混合PPTAド−プを、テスター産業株式会社製バーコーターにより、塗工速度0.2m/minで、厚み0.1mmのPETフィルム上に、膜厚0.30mmで塗工し膜状物を形成した。40℃の加熱オーブンに約20分間保持した。この間に、PPTAが析出して膜状物は白化した。この膜状物をイオン交換水に浸漬し、凝固させた後に、イオン交換水を流しながら、4時間洗浄した。洗浄後の湿潤した膜状物を、両面からメタ・アラミド製のフェルトに挟んで、厚さ3mmのアルミ板の上に置き、真空バッグに包んでその回りをシーリング剤でシールし、真空に引きながら、50℃で7時間乾燥し多孔質フィルムを得た。
【0075】
3.多孔質フィルムの物性
得られたフィルムは厚みが30μmであった。走査型電子顕微鏡でフィルムを観察したところ、約0.1μm以下のフィブリル状、層状のPPTA樹脂からなり、孔径0.05〜0.2μmの空隙を有する多孔質層の中に、低分子量ポリオレフィンの粒子(ケミパール、W−700)が分散していた。得られたフィルムの透気度は4.7cc/sec、内部抵抗は10Ωであった。次に得られたフィルムを熱風オーブン中で190℃で5分間加熱した後の透気度は0cc/sec、内部抵抗は100Ω以上であった。
【0076】
比較例1
1. 塗工用ド−プの調製
実施例1の1.のPPTAドープ100gを、撹拌翼、温度計、窒素流入管、および液体添加口を有する500mlのセパラブルフラスコに秤取し、150mlのNMP液を徐々に添加した。最終的に、PPTA濃度が2.4重量%に調製し、減圧下で脱泡し塗工用ド−プとした。
【0077】
2.多孔質フィルムの作製
上記1.の塗工用ド−プを、テスター産業株式会社製バーコーターにより、塗工速度0.2m/minでガラス板上に膜厚0.30mmで塗工し膜状物を形成した。次いで40℃の加熱オーブンに約20分間保持した。この間に、PPTAが析出して膜状物は白化した。このフィルムをイオン交換水に浸漬し凝固させ、その後、イオン交換水を流しながら約4時間洗浄した。洗浄後の湿潤フィルムを、両面からメタ・アラミド製のフェルトに挟んで、厚さ3mmのアルミ板の上に置き、真空バッグに包んでその回りをシーリング剤でシールし、真空に引きながら、120℃で2時間乾燥した。
【0078】
3.多孔質フィルムの物性
得られたフィルムは厚みが11.4μnで空隙率は45%であった。走査型電子顕微鏡でフィルムを観察したところ、約0.1μm以下のフィブリル状、層状のPPTA樹脂からなり、孔径0.05〜0.2μmの空隙を有する多孔質フィルムであった。得られたフィルムの透気度を測定したところ、6.7cc/secであった。次にフィルムを熱風オーブン中で170℃で5分間加熱した後、透気度を測定したところ、6.7cc/secで透気性には変化が無かった。
【0079】
4.電池用セパレーターとしての評価
正極、負極および電解液として実施例1の6.と同じものを使用し、またセパレーターは前項3.で作製した多孔質フィルムを用いた。
電池は、正極面積を2.34平方cmとした平板型構造とし、アルゴン雰囲気ボックス内で、負極シート、セパレーター、正極シートの順に重ねた後、セパレーターに電解液を充分に含浸させた。作製した電池を充電電圧4.2V、放電電圧2.75Vで8サイクル繰り返したところ、8サイクル目の放電容量は7.3mAH(放電電流1.5mA)でありサイクル劣化もなく正常に動作した。次に、本多孔質フィルムを熱風オーブン中で、190℃、5分間加熱した後、上記と同じ方法で平板電池に本セパレーターを組み込み、電池として充放電サイクルテストを行なった所、正常に作動した。即ちシャットダウン機構が働かなかった。
【0080】
実施例8
1.多孔質フィルムの作製
実施例1と同じ塗工用ドープを用いて熱可塑性ポリマー(ケミパール、M−200)ドープを0.01mm、PPTAドープを0.35mmの厚さに塗工し、実施例1と同じ手順でフィルムを得た。
【0081】
2.多孔質フィルムの物性
得られたフィルムは厚みが21μmであった。走査型電子顕微鏡でフィルムを観察したところ、片側は厚みが約15μmで約0.1μm以下のフィブリル状、層状のPPTA樹脂からなる、孔径0.01〜0.2μmの空隙を有する多孔質層と、もう一方の片側は、厚みが約6μmの低密度ポリオレフィンの粒子がPPTAのフィブリルで捕捉、固定された層の2層になっていた。本フィルムは、PPTA樹脂が約80重量%、低密度ポリオレフィンが約20重量%からなっていた。得られたフィルムの透気度は5.3cc/sec、内部抵抗は11Ωであった。次に得られたフィルムを、熱風オーブン中で150℃、5分間加熱した後の透気度は2cc/sec、内部抵抗は15Ωであった。即ちシャットダウン機能が不十分であった。
【0082】
実施例9
1.塗工用熱可塑性ポリマ−粒子混合PPTAド−プの調製
平均粒径2.5μmの低分子量ポリオレフィン40wt%の水性ディスパージョン(三井石油化学(株)製、ケミパール、W−500)100mlを、ポリエチレン製バットに入れ、50℃のオーブンで、4時間乾燥した後、電動コーヒーミルで粉末にした。得られた低分子量ポリオレフィンの粉末1gを撹拌翼、温度計、窒素流入管および液体添加口を有する500mlのセパラブルフラスコに秤取し、225mlのNMPを徐々に添加し、さらに撹拌しながら実施例1の1.のPPTAドープを、75g添加し、熱可塑性ポリマ−粒子混合PPTAド−プを調製し、減圧下で脱泡して塗工用ド−プとした。本ドープのPPTA樹脂と低密度ポリオレフィンの割合はPPTA樹脂が約80重量%、低密度ポリオレフィンが約20重量%であった。
【0083】
2.多孔質フィルムの作製
上記1の塗工用熱可塑性ポリマー粒子混合PPTAド−プを、テスター産業株式会社製バーコーターにより、塗工速度0.2m/minで、厚み.1mmのPETフィルム上に、膜厚0.30mmで塗工し膜状物を形成した。次いで40℃の加熱オーブンに約20分間保持した。この間に、PPTAが析出して膜状物は白化した。この膜状物をイオン交換水に浸漬し、凝固させた後に、イオン交換水を流しながら、4時間洗浄した。洗浄後の湿潤した膜状物を、両面からメタ・アラミド製のフェルトに挟んで、厚さ3mmのアルミ板の上に置き、真空バッグに包んでその回りをシーリング剤でシールし、真空に引きながら、50℃で7時間乾燥した。
【0084】
3.多孔質フィルムの物性
得られたフィルムは厚みが30μmであった。走査型電子顕微鏡でフィルムを観察したところ、約0.1μm以下のフィブリル状、層状のPPTA樹脂からなり、孔径0.05〜0.2μmの空隙を有する多孔質層の中に、低分子量ポリオレフィンの粒子(ケミパール、W−500)が分散していた。得られたフィルムの透気度は4.7cc/sec、内部抵抗は10Ωであった。次に得られたフィルムを、熱風オーブン中で150℃、5分間加熱した後の透気度は2cc/sec、内部抵抗は20Ωであった。即ちシャットダウン機能が不十分であった。
【発明の効果】
本発明により高耐熱、高剛性、高強度、さらに電気絶縁性というパラアラミドの特長を生かし且つ微細孔を有する多孔質のパラアラミドと、昇温時に加熱溶融する熱可塑性ポリマーとの、少なくとも2つ以上の材料からなるパラアラミド系多孔質フィルムが提供される。かかるパラアラミド系多孔質フィルムはシャットダウン機能を備えた、安全性、耐熱性と機械的特性に優れた電池用セパレーター、特に二次電池用セパレーターとして好適に使用できる。
Claims (10)
- パラ配向芳香族ポリアミドからなる空隙を有する樹脂層と、熱可塑性ポリマーからなる空隙を構成する樹脂との少なくとも2種以上の樹脂材料からなる多孔質フィルムであって、温度上昇時に、該熱可塑性ポリマーからなる樹脂が溶融し、パラ配向芳香族ポリアミドからなる樹脂層の空隙を閉塞し、しかもパラ配向芳香族ポリアミドからなる樹脂層がフィルム形状を保つことを特徴とするパラアラミド系多孔質フィルム。
- パラ配向芳香族ポリアミドからなる空隙を有する樹脂層と、熱可塑性ポリマーからなる空隙を有する樹脂層との少なくとも2層以上からなる多孔質フィルムであって、温度上昇時に、該熱可塑性ポリマーからなる樹脂層の樹脂が溶融し、パラ配向芳香族ポリアミドからなる樹脂層の空隙を閉塞し、しかもパラ配向芳香族ポリアミドからなる樹脂層がフィルム形状を保つことを特徴とするパラアラミド系多孔質フィルム。
- 熱可塑性ポリマーからなる樹脂が、250℃以下で溶融するポリマーであることを特徴とする請求項1または2記載のパラアラミド系多孔質フィルム。
- 熱可塑性ポリマーを溶媒中に分散させた熱可塑性ポリマー溶液からなる層と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を溶解した極性アミド系溶媒または極性尿素系溶媒中で、パラ配向芳香族ジアミンとパラ配向芳香族ジカルボン酸ハライドを縮合重合して製造されるパラ配向芳香族ポリアミド重合液のドープからなる層との、少なくとも2層を製膜し、ついで乾燥して得られることを特徴とする請求項2に記載のパラアラミド系多孔質フィルム。
- アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を溶解した極性アミド系溶媒または極性尿素系溶媒中で、パラ配向芳香族ジアミンとパラ配向芳香族ジカルボン酸ハライドを縮合重合して製造されるパラ配向芳香族ポリアミド重合液中に、熱可塑性ポリマー粒子を分散させたド−プを製膜し、ついで乾燥して得られることを特徴とする請求項1記載のパラアラミド系多孔質フィルム。
- パラ配向芳香族ポリアミド重合液が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を2〜10重量%溶解した極性アミド系溶媒または極性尿素系溶媒中で、パラ配向芳香族ジアミン1.00モルに対してパラ配向芳香族ジカルボン酸ハライド0.94〜0.99モルを添加して、温度−20℃〜50℃で縮合重合して製造されるパラ配向芳香族ポリアミド濃度が1〜10%であるパラ配向芳香族ポリアミド重合液であることを特徴とする請求項4または5記載のパラアラミド系多孔質フィルム。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の多孔質フィルムを使用してなることを特徴とする電池用セパレーター。
- 熱可塑性ポリマーを溶媒中に分散させた熱可塑性ポリマー溶液からなる層と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を溶解した極性アミド系溶媒または極性尿素系溶媒中で、パラ配向芳香族ジアミンとパラ配向芳香族ジカルボン酸ハライドを縮合重合して製造されるパラ配向芳香族ポリアミド重合液のドープからなる層とを製膜し、ついで乾燥することを特徴とするパラアラミド系多孔質フィルムの製造方法。
- アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を溶解した極性アミド系溶媒または極性尿素系溶媒中で、パラ配向芳香族ジアミンとパラ配向芳香族ジカルボン酸ハライドを縮合重合して製造されるパラ配向芳香族ポリアミド重合液中に、熱可塑性ポリマー粒子を分散させたド−プを製膜し、ついで乾燥することを特徴とするパラアラミド系多孔質フィルムの製造方法。
- パラ配向芳香族ポリアミド重合液が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を2〜10重量%溶解した極性アミド系溶媒または極性尿素系溶媒中で、パラ配向芳香族ジアミン1.00モルに対してパラ配向芳香族ジカルボン酸ハライド0.94〜0.99モルを添加して、温度−20℃〜50℃で縮合重合して製造されるパラ配向芳香族ポリアミド濃度が1〜10%であるパラ配向芳香族ポリアミド重合液であることを特徴とする請求項8または9記載のパラアラミド系多孔質フィルムの製造方法。
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