JP6651924B2 - 接合体の製造方法、及び、パワーモジュール用基板の製造方法 - Google Patents
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Description
風力発電、電気自動車、ハイブリッド自動車等を制御するために用いられる大電力制御用のパワー半導体素子においては、発熱量が多いことから、これを搭載する基板としては、例えばAlN(窒化アルミ)、Al2O3(アルミナ)などからなるセラミックス基板と、このセラミックス基板の一方の面に導電性の優れた金属板を接合して形成した回路層と、を備えたパワーモジュール用基板が、従来から広く用いられている。なお、パワージュール用基板としては、セラミックス基板の他方の面に金属板を接合して金属層が形成したものも提供されている。
例えば、特許文献1には、セラミックス基板の一方の面に、アルミニウム板からなる回路層が接合されたパワーモジュール用基板が提案されている。
また、特許文献2には、セラミックス基板の一方の面に銅板からなる回路層が接合されたパワーモジュール用基板が提案されている。
回路層又は金属層を、アルミニウム層と銅層との2層構造とすることにより、ヒートサイクル負荷時に発生する熱歪をアルミニウム層で吸収してセラミックス基板の割れを抑制できるとともに、銅層によって熱を面方向に広げることにより放熱特性を向上させることが可能となる。
加圧荷重を接合面に均一に負荷させるためには、ばね材等を有する加圧治具を用いる必要があった。特許文献3に記載された方法では、上述の加圧治具を加熱炉に装入することになるため、加熱炉内へ装入できるセラミックス基板、アルミニウム板及び銅板の積層体の個数が制限され、パワーモジュール用基板の生産性が低下するといった問題があった。また、加圧治具に配設されたセラミックス基板、アルミニウム板及び銅板のそれぞれの接合面の加熱温度が均一となるように、加熱炉内で長時間保持する必要があった。
よって、加圧治具を使用する必要がなくなり、加熱炉内への装入個数を多くすることができ、接合体を効率良く製造することが可能となる。
本実施形態において製造対象となる接合体は、セラミックス部材としてセラミックス基板11、アルミニウム部材としてアルミニウム板22A及び銅部材として銅板22Bが接合されてなる回路層12、アルミニウム部材としてアルミニウム板23A及び銅部材として銅板23Bが接合されてなる金属層13を備えたパワーモジュール用基板10とされている。
このパワーモジュール1は、回路層12及び金属層13が配設されたパワーモジュール用基板10と、回路層12の一方の面(図1において上面)にはんだ層2を介して接合された半導体素子3と、金属層13の他方の面(図1において下面)に接合されたヒートシンク40と、を備えている。
ここで、はんだ層2は、例えばSn−Ag系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系のはんだ材とされている。なお、本実施形態では、回路層12とはんだ層2との間、Niめっき層(図示なし)が設けられている。
セラミックス基板11は、回路層12と金属層13との間の電気的接続を防止するものであって、本実施形態では、絶縁性の高いAlN(窒化アルミ)で構成されている。また、セラミックス基板11の厚さは、0.2〜1.5mmの範囲内に設定されており、本実施形態では、0.635mmに設定されている。
この回路層12には、回路パターンが形成されており、その一方の面(図1において上面)が、半導体素子3が搭載される搭載面されている。
本実施形態においては、アルミニウム層12Aは、純度が99.99mass%以上のアルミニウム(いわゆる4Nアルミニウム)の圧延板からなるアルミニウム板22Aがセラミックス基板11に接合されることにより形成されている。ここで、接合されるアルミニウム板22Aの厚さは0.1mm以上1mm以下の範囲内に設定されていることが好ましい。
本実施形態においては、銅層12Bは、無酸素銅の圧延板からなる銅板22Bが、アルミニウム層12Aの一方側に固相拡散接合されることにより形成されている。ここで、接合される銅板22Bの厚さは0.1mm以上1mm以下の範囲内に設定されていることが好ましい。
本実施形態では、Ti材22Cは、純度が99mass%以上のTiからなり、その厚さが3μm以上40μm以下とされている。
本実施形態においては、アルミニウム層13Aは、純度が99.99mass%以上のアルミニウム(いわゆる4Nアルミニウム)の圧延板からなるアルミニウム板23Aがセラミックス基板11に接合されることにより形成されている。ここで、接合されるアルミニウム板23Aの厚さは0.1mm以上1mm以下の範囲内に設定されていることが好ましい。
本実施形態においては、銅層13Bは、無酸素銅の圧延板からなる銅板23Bが、アルミニウム層13Aの他方側に固相拡散接合されることにより形成されている。ここで、接合される銅板23Bの厚さは0.1mm以上1mm以下の範囲内に設定されていることが好ましい。
本実施形態では、Ti材23Cは、純度が99mass%以上のTiからなり、その厚さが3μm以上40μm以下とされている。
本実施形態においては、ヒートシンク40と金属層13の銅層13Bとが、はんだ層32を介して接合されている。このはんだ層32は、例えばSn−Sb系、Sn−Ag系、Sn−Cu系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系のはんだ材(いわゆる鉛フリーはんだ材)とされている。
まず、図3に示すように、セラミックス基板11の一方の面に、ろう材26を介してアルミニウム層12Aとなるアルミニウム板22Aを積層するとともに、セラミックス基板11の他方の面に、ろう材27を介してアルミニウム層13Aとなるアルミニウム板23Aを積層する。
ここで、ろう材26,27としては、Al−Si系ろう材を用いることができる。なお、ろう材箔26,27の厚さは、5μm以上30μm以下の範囲内とすることが好ましい。また、接合時の加熱温度は、640℃〜650℃とすることが好ましい。
次に、アルミニウム層12Aの一方の面に、Ti材22Cを介して、Cu層12Bとなる銅板22Bを積層する。
なお、アルミニウム層12AとTi材22Cと銅板22Bの接合されるそれぞれの面は、予め当該面の傷が除去されて平滑にされている。
次に、アルミニウム層12AとTi材22Cと銅板22Bに対して超音波を付与して、これらを超音波接合する。
本実施形態では、積層方向の荷重を4kgf/cm2以上6kgf/cm2以下(0.39MPa以上0.59MPa以下)の範囲内、付与する超音波の周波数を15kHz以上40kHz以下の範囲内、出力を80W/cm2以上120W/cm2以下の範囲内、接合時間を20sec以上40sec以下の範囲内に設定している。
次に、アルミニウム層13Aの他方の面に、Ti材23Cを介して、Cu層13Bとなる銅板23Bを積層する。
なお、アルミニウム層13AとTi材23Cと銅板23Bの接合されるそれぞれの面は、予め当該面の傷が除去されて平滑にされている。
次に、アルミニウム層13AとTi材23Cと銅板23Bに対して超音波を付与して、これらを超音波接合する。
本実施形態では、積層方向の荷重を4kgf/cm2以上6kgf/cm2以下(0.39MPa以上0.59MPa以下)の範囲内、付与する超音波の周波数を15kHz以上40kHz以下の範囲内、出力を80W/cm2以上120W/cm2以下の範囲内、接合時間を20sec以上40sec以下の範囲内に設定している。
次に、図4に示すように、超音波接合された銅板22B、Ti材22C、アルミニウム層12A、セラミックス基板11、アルミニウム層13A、Ti材23C、銅板23Bを、真空加熱炉(真空度10−5Pa以上10−3Pa以下)内に配置して加熱し、アルミニウム層12AとTi材22C、Ti材22Cと銅板22B、及び、アルミニウム層13AとTi材23C、Ti材23Cと銅板23Bを、それぞれ固相拡散接合する。
また、固相拡散接合工程S04における保持温度は、530℃以上650℃以下の範囲内に設定している。なお、上述の保持温度での保持時間は30min以上240min以下の範囲内とすることが好ましい。
次に、図5に示すように、パワーモジュール用基板10の他方側(図4において下側)に、はんだ材32を介してヒートシンク40を積層し、還元炉内において、パワーモジュール用基板10とヒートシンク40とを接合する。
次に、図5に示すように、パワーモジュール用基板10の回路層12(銅層12B)の一方の面に、はんだ材2を介して半導体素子3を積層し、還元炉内において、パワーモジュール用基板10の回路層12(銅層12B)と半導体素子3とを接合する。
以上のようにして、図1に示すパワーモジュール1が製造される。
よって、加圧治具を使用する必要がなくなり、加熱炉内への装入個数を多くすることができ、パワーモジュール用基板10の生産性を大幅に向上させることができる。
例えば、本実施形態では、パワーモジュール用基板を例に挙げて説明したが、これに限定されることはなく、セラミックス部材と、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム部材と、銅又は銅合金からなる銅部材とを接合した構造の接合体であればよい。
また、ヒートシンクは、本実施形態で例示してものに限定されることはなく、ヒートシンクの構造に特に限定はない。
表1に示すセラミックス基板(50mm×60mm×厚さ0.635mm)と、表1に示す組成のアルミニウムの圧延板(46mm×56mm×厚さ0.4mm)、表1に示す組成の銅の圧延板(46mm×56mm×厚さ0.4mm)、純度99mass%以上のTi材(50mm×60mm×厚さ20μm)を準備した。
得られた評価用試料を用いて、アルミニウム層とTi材、Ti材と銅板との接合率をそれぞれ評価した。なお、接合率は、セラミックス基板の一方の面側と他方の面側の両方で行い、その平均値を算出した。
具体的には、超音波探傷装置(日立パワーソリューションズ社製FINESAT)を用いて評価し、以下の式から算出した。ここで、初期接合面積とは、接合前における接合すべき面積、すなわち回路層(金属層)の面積(46mm×56mm)とした。超音波探傷像を二値化処理した画像において剥離は接合部内の白色部で示されることから、この白色部の面積を剥離面積とした。評価結果を表1に示す。
(接合率)={(初期接合面積)−(非接合部面積)}/(初期接合面積)×100
一方、超音波接合をせず、低荷重で接合した従来例では接合率が低かった。
11 セラミックス基板(セラミックス部材)
12 回路層
13 金属層
22A アルミニウム板(アルミニウム部材)
23A アルミニウム板(アルミニウム部材)
22B 銅板(銅部材)
23B 銅板(銅部材)
22C Ti材
23C Ti材
Claims (4)
- 表面にAl又はAl合金からなるアルミニウム層が形成されたセラミックス部材と、このアルミニウム層に接合されたCu又はCu合金からなる銅部材と、を備えた接合体の製造方法であって、
前記セラミックス部材の表面に前記アルミニウム層形成するアルミニウム層形成工程と、
前記アルミニウム層の表面に、Ti材を介して、前記銅部材を積層するTi材及び銅部材積層工程と、
積層されたアルミニウム層、Ti材及び銅部材に対して、積層方向に0.39MPa以上0.59MPa以下の荷重をかけて超音波を付与し、前記アルミニウム層と前記Ti材、前記Ti材と前記銅部材をそれぞれ接合する超音波接合工程と、
超音波接合されたアルミニウム層、Ti材及び銅部材に対して、積層方向への加圧荷重を無荷重(自重)、あるいは、0.09MPa以下の低荷重として、加熱処理を行い、前記アルミニウム層と前記Ti材、前記Ti材と前記銅部材をそれぞれ固相拡散接合する固相拡散接合工程と、
を備えていることを特徴とする接合体の製造方法。 - セラミックス基板の一方の面に、Al又はAl合金からなるアルミニウム層とCu又はCu合金からなる銅層とが積層されてなる回路層が形成されたパワーモジュール用基板の製造方法であって、
前記回路層を、請求項1に記載の接合体の製造方法によって形成することを特徴とするパワーモジュール用基板の製造方法。 - セラミックス基板の一方の面に回路層が配設され、前記セラミックス基板の他方の面に、Al又はAl合金からなるアルミニウム層とCu又はCu合金からなる銅層とが積層されてなる金属層が形成されたパワーモジュール用基板の製造方法であって、
前記金属層を、請求項1に記載の接合体の製造方法によって形成することを特徴とするパワーモジュール用基板の製造方法。 - セラミックス基板の一方の面に、Al又はAl合金からなるアルミニウム層とCu又はCu合金からなる銅層とが積層されてなる回路層、前記セラミックス基板の他方の面に、Al又はAl合金からなるアルミニウム層とCu又はCu合金からなる銅層とが積層されてなる金属層が形成されたパワーモジュール用基板の製造方法であって、
前記回路層及び前記金属層を、請求項1に記載の接合体の製造方法によって形成することを特徴とするパワーモジュール用基板の製造方法。
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