JP6152626B2 - パワーモジュール用基板の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1から特許文献3記載のパワーモジュール用基板においては、金属層の表面に無電解ニッケルメッキ又は電解ニッケルメッキを施している。また、特許文献4記載のパワーモジュール用基板では、回路層となるアルミニウム金属層上に、そのアルミニウム金属層と密着性の高い無電解ニッケルメッキを施し、その上にさらに電解ニッケルメッキを重ねてメッキ層を形成している。
しかしながら、回路層へのボンディングワイヤの接合部において、ニッケルメッキ膜が母材から剥がれるという不具合が生じており、その対策が望まれていた。
そこで、ブラスト処理前に、エッチング処理を行う第1エッチング処理工程を設け、回路層表面からカーボン等を除去した後にブラスト処理を行うことで、カーボン等が回路層の表面に入り込む現象を回避することができる。そして、再度行われるエッチング処理は(第2エッチング処理工程)、ブラスト処理に使用した投射材の除去を目的としており、回路層表面の凹凸を残して回路層とニッケルメッキ膜との密着性を向上させることができる。
また、この製造方法によれば、回路層表面のカーボン量を2.0at%以下、シリコン量を0.5at%以下とするパワーモジュール用基板を製造することができる。これにより、回路層とニッケルメッキ膜との密着性を向上させることができ、パワーモジュール用基板のニッケルメッキ膜の剥がれを防止することができる。
図1は、この発明により製造されるパワーモジュール用基板3を適用したパワーモジュール1を示している。この図1のパワーモジュール1は、セラミックス基板2を有するパワーモジュール用基板3と、パワーモジュール用基板3の表面に搭載された半導体チップ等の電子部品4と、パワーモジュール用基板3の裏面に接合されたヒートシンク5とから構成される。
パワーモジュール用基板3は、セラミックス基板2の一方の面に回路層6が接合されており、その表面に電子部品4が接合される。また、他方の面に放熱層7が接合されており、その表面にヒートシンク5が取り付けられる。
回路層6及び放熱層7は、いずれも純度99.90質量%以上のアルミニウムが用いられ、JIS規格では、1N90(純度99.90質量%以上:いわゆる3Nアルミニウム)又は1N99(純度99.99質量%以上:いわゆる4Nアルミニウム)を用いることができる。なお、回路層6及び放熱層7には、アルミニウムの他、アルミニウム合金、銅又は銅合金を用いることもできる。
また、回路層6には、その表面にはんだの濡れ性を向上させるために、ニッケルメッキ処理によってニッケルメッキ膜9が形成されている。
なお、回路層6と電子部品4との接合には、Sn‐Cu系、Sn‐Ag‐Cu系,Zn‐Al系もしくはPb‐Sn系等のはんだ材が用いられる。図中符号8がそのはんだ接合層を示す。また、電子部品4と回路層6の端子部との間は、アルミニウム等からなるワイヤ及びリボンボンディング等により接続されるが、図1のパワーモジュール1では、ボンディングワイヤ15により接続されている。
放熱層7とヒートシンク5との間の接合法としては、Al‐Si系、Al‐Ge系、Al‐Cu系、Al‐Mg系またはAl‐Mn系等の合金のろう材によるろう付け法や、Al‐Si系のろう材にフラックスを用いたノコロックろう付け法、放熱層7およびヒートシンク5にNiめっきを施し、Sn‐Ag‐Cu系、Zn‐AlもしくはPb‐Sn系等のはんだ材によりはんだ付けする方法が用いられ、あるいは、シリコングリースによって密着させた状態でねじによって機械的に固定される。
耐熱シート40としては、耐熱性を有するカーボン板又グラファイト板、あるいはこれらの積層板を用いることができる。図2に示す例では、耐熱シート40として、2枚のカーボン板の間にグラファイト板を挟んだ構成のものを用いている。そして、これら積層体30と耐熱シート40とを積み重ねたものを、加圧装置100に設置する。
そして、固定板113及び押圧板114との間に、積層体30と耐熱シート40とを積み重ねたものが配置される。なお、積層体30の両面に、加圧を均一にするために耐熱シート40が配設される。
そして、ろう付け接合後に、例えば50℃、2質量%NaOH溶液に浸すことにより、回路層6の表面をエッチング処理する(第1エッチンング処理工程)。この第1エッチング処理工程は、回路層6を形成するアルミニウム材料とともにカーボン及びろう材等の付着物をエッチングして、回路層6の表面から、カーボン及びろう材を除去するものである。
次に、回路層6の表面に投射材(SiCの微粒子)を投射することによりブラスト処理を施し、回路層6の表面を算術平均粗さ(Ra)を0.1μm以上0.7μm以下に仕上げる(ブラスト処理工程)。
最後に、この回路層6の表面に無電解めっきによりニッケルメッキ膜9を形成して(めっき形成工程)、パワーモジュール用基板3とする。
このようにして製造したパワーモジュール用基板3には、その回路層6の上面に電子部品4がはんだ付けされるとともに、放熱層7がヒートシンク5にはんだ付けされる。そして、電子部品4と回路層6との間がボンディワイヤ15で接続され、パワーモジュール1が完成する。
また、ブラスト処理工程は、第1エッチング処理工程後の全ての試験片について同じ条件で行い、SiC(炭化珪素)の投射材を回路層表面に投射することにより行った。ブラスト処理条件を以下に示す。
(ブラスト処理条件)
投射材:SiC、平均粒径30±2μm(昭和電工株式会社製のデンシックC#400J)
投射速度:加工圧力として0.15MPa〜0.20MPa
ブラスト処理後の回路層の表面粗さ:≦0.7μm
表1に示す「カーボン量」及び「シリコン量」は、各試験片の回路層6の表面のニッケルメッキ膜9を硝酸(HNO3)で溶解して、回路層6表面をX線光電子分光装置(XPS)により測定したものである。
(測定条件)
X線源:Standard AlKα 350W
パスエネルギー:187.85eV(Survey)、23.5eV(Depth)
測定間隔:0.8eV/step、0.05eV(Depth)
測定面に対する光電子取出角:45deg
分光エリア:約800μmφ
「メッキ密着性」は、基盤目付着試験(一辺1mmの10×10の升目状の切り目をカッターナイフで膜につけ、18mm幅の粘着テープを貼り付けて剥がしたとき、剥がれずに残った升目の数で表す)で評価した。粘着テープで升目が剥がされることなく、残った升目の数が100であったものを「○」、残った升目の数が99以下で、升目の1つでも剥がれが発生したものを「×」として評価した。
また、第2エッチング量が0.5μmとした比較例では、カーボン量が2.0at%超、及びシリコン量が0.5at%超となり、メッキ密着性が劣化した。さらに、第2エッチング処理を施さなかった従来例でも、カーボン量が2.0at%超、及びシリコン量が0.5at%超となり、メッキ密着性が劣化した。
このことから、回路層表面のカーボン量が2.0at%以下、シリコン量が0.5at%以下となると、ニッケルメッキ膜の剥がれを防止することができることがわかった。
2 セラミックス基板
3 パワーモジュール用基板
4 電子部品
5 ヒートシンク
6,7 金属層
8 はんだ接合層
9 ニッケルメッキ膜
15 ボンディングワイヤ
30 積層体
40 耐熱シート
100 加圧装置
111 ベース板
112 ガイドポスト
113 固定板
114 押圧板
115 付勢手段
Claims (1)
- セラミックス基板の表面にろう材を介在させて回路層をろう付け接合し、ろう付け接合後の前記回路層上にニッケルメッキ膜を形成するパワーモジュール用基板の製造方法であって、前記セラミックス基板に前記ろう材を介在させて積層した前記回路層にカーボン板を重ねて、これらを加圧した状態で加熱することにより、前記セラミックス基板に前記回路層をろう付け接合するろう付け工程と、ろう付け接合後に前記回路層表面をエッチング処理する第1エッチング処理工程と、該第1エッチング処理工程後の前記回路層表面にブラスト処理を施すブラスト処理工程と、ブラスト処理後の前記回路層表面を再度エッチング処理する第2エッチング処理工程と、該第2エッチング処理工程後の回路層上にニッケルメッキ膜を形成するメッキ形成工程とを有し、前記第2エッチング処理工程において、前記回路層表面を0.8μm以上除去することを特徴とするパワーモジュール用基板の製造方法。
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