JP2015170826A - 放熱板付パワーモジュール用基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】各パワーモジュール用基板10を放熱板20に重ねて配置した積層体を、その積層方向に加圧しながら加熱することにより、パワーモジュール用基板10と放熱板20とをろう付けするろう付け工程を有し、ろう付け工程において、回路層12の表面を押圧する凸面110aが複数のパワーモジュール用基板10の各回路層12にわたって連続して形成された上側加圧板110Aと、放熱板20の背面を押圧する凹面110bを有する下側加圧板110Bとからなる一対の加圧板110A,110Bの間に積層体を挟むことにより、その積層体に回路層12側を上側とする凹状の反りを生じさせた状態で加圧する。
【選択図】 図3
Description
まず、セラミックス基板表面に、セラミックス基板とアルミニウム板との接合に適するろう材を介して、セラミックス基板の一方の面及び他方の面にアルミニウム板を積層し、所定の圧力で加圧しながら、ろう材が溶融する温度以上まで加熱し冷却することにより、セラミックス基板と両面のアルミニウム板とを接合してパワーモジュール用基板を製造する。
また、このように構成される放熱板付パワーモジュール用基板の一方の面側に接合されたアルミニウム板は、回路層として形成され、この回路層上にはんだ材を介してパワー素子等の電子部品が搭載される。
この反り対策として、特許文献1では、セラミックス基板をたわませながら回路用金属板と金属放熱板とを接合し、回路用金属板が凹面となる反りを有する回路基板を製造することとしている。
一般的に、回路用基板を用いてモジュールを形成する際には、モジュールを平面的になるように放熱板に接合し、固定部品に固定して用いられる。そこで、特許文献1には、回路基板の回路用金属板側に凹面となる反りを形成しておくことで、回路基板を平坦に固定した際に回路基板に圧縮応力が残留し、モジュールへの組立時やその実使用下においてクラックの発生、成長を低減することができることが記載されている。
ところが、複数のパワーモジュール用基板を1枚の放熱板に接合した場合には、パワーモジュール用基板と放熱板との熱膨張差により、各々のパワーモジュール用基板を中心に反りが生じるとともに、放熱板全体の反りも生じ、放熱板付パワーモジュール用基板に複雑な反りを生じさせる。このため、このような複雑な反りを有する放熱板付パワーモジュール用基板においては、その反りによって冷却器等との密着性が阻害され、さらに放熱性能が低下することが懸念される。
ところが、このようにして製造される放熱板付パワーモジュール用基板においては、放熱板の表面が治具に設けられた複数のR面で加圧されることにより、波打ちを生じた状態に変形する。このため、放熱板付パワーモジュール用基板を他部材に締結した際に、放熱板の波打ち面と他部材との間で隙間を生じさせることとなり、放熱性能を低下させることが懸念される。また、個々のパワーモジュール用基板の配置に合わせて複数のR面を形成した治具を製作することは作業が煩雑となるため、作業性の観点からも望ましいものではない。
本発明の放熱板付パワーモジュール用基板においては、放熱板とパワーモジュール用基板との接合時において、これらの積層体を、積層方向の回路層側を上側とする凹状の反りを生じさせた状態とし、ろう材が溶融する温度以上で所定時間保持した後に冷却することで、凹状に沿った形状でろう材を固めて、積層方向の加圧状態を解放した後も、回路層を上側として凹状に反る、あるいは凸状でも反り量が小さい接合体が得られる。
そして、このようにして製造された放熱板付パワーモジュール用基板においては、複数のパワーモジュール用基板を1枚の放熱板に接合する構成とされているにもかかわらず、複雑な反りを生じさせることなく、また、回路層を上側として凹状に反る、あるいは凸状の反りでも、その反り量を低減させることができるので、冷却器等との密着性を良好に維持することができる。
したがって、放熱板付パワーモジュール用基板と冷却器等との間の熱抵抗を低減させることができ、熱サイクル負荷による基板信頼性を向上させることができる。
本発明に係る放熱板付パワーモジュール用基板の製造方法により製造される放熱板付パワーモジュール用基板1は、図1に示すように、複数(2個)のパワーモジュール用基板10と、これらパワーモジュール用基板10が接合された1枚の放熱板20とを備え、この放熱板付パワーモジュール用基板1の表面に半導体チップ等の電子部品30が搭載されることにより、パワーモジュール100が製造される。
金属層13は、純度99質量%以上のアルミニウム又はアルミニウム合金が用いられ、JIS規格では1000番台のアルミニウム、特に1N99(純度99.99質量%以上:いわゆる4Nアルミニウム)を用いることができる。
本実施形態においては、回路層12及び金属層13は、純度が99.99%以上のアルミニウム(いわゆる4Nアルミニウム)の圧延板からなるアルミニウム板とされ、その厚さは0.2mm〜3.0mmに設定されており、回路層12が0.6mm、金属層13が2.1mmの厚さとされている。
また、ここで放熱板20としては、板状の放熱板、フィンが形成された板状の放熱板などが含まれる。
まず、回路層12及び金属層13として、それぞれ99.99質量%以上の純アルミニウム圧延板を準備し、これらの純アルミニウム圧延板を、セラミックス基板11の一方の面及び他方の面にそれぞれろう材を介して積層し、加圧・加熱することによって、セラミックス基板11の一方の面及び他方の面に純アルミニウム圧延板が接合されたパワーモジュール用基板10を製造する。なお、このろう付け温度は、600℃〜655℃に設定される。
治具112の一対の加圧板110A,110Bは、ステンレス鋼材の表面にカーボン板が積層されたものであり、パワーモジュール用基板10の回路層12表面を押圧する凸面110aが複数のパワーモジュール用基板10の各回路層12にわたって連続して形成された上側加圧板110Aと、放熱板20の背面を押圧する凹面110bを有する下側加圧板110Bとからなり、これら加圧板110A,110Bの対向する面110a,110bが、放熱板20のパワーモジュール用基板10との接合面20aを凹状とするような曲面に形成されている。
なお、本実施形態では、ろう付けは、Al‐10%Si系ろう材を用いてろう付けが行われ、真空雰囲気中で、荷重0.1MPa〜3MPa、加熱温度580℃〜620℃の条件で行われる。
この場合、放熱板20とパワーモジュール用基板10との接合体は、治具112によって厚み方向に加圧され、放熱板20の接合面20aを凹状の反りとする変形を生じさせた状態で拘束されている。このため、冷却に伴う放熱板20とパワーモジュール用基板10との接合体の形状は見かけ上は変化がないように見えるが、応力に抗して加圧され、冷却時に反りとしての変形が出来ない状態に拘束されている結果、塑性変形が生じることとなる。
このように、本実施形態の製造方法により製造される放熱板付パワーモジュール用基板においては、複数のパワーモジュール用基板10を1枚の放熱板20に接合する構成とされているにもかかわらず、複雑な反りを生じさせることなく、また、回路層12を上側として凹状に反る、あるいは凸状の反りでも、その反り量を低減させることができるので、冷却器等との密着性を良好に維持することができる。
したがって、放熱板付パワーモジュール用基板1と冷却器等との間の熱抵抗を低減させることができ、熱サイクル負荷による基板信頼性を向上させることができる。
実施例として、図3に示すように、回路層12の表面を押圧する凸面110aを有する上側加圧板110Aと、放熱板20の背面を押圧する凹面110bを有する下側加圧板110Bとからなる一対の加圧板110A,110Bの間にパワーモジュール用基板10と放熱板20との積層体を挟んだ状態とし、これらを接合した放熱板付パワーモジュール用基板1の試料を製造した。なお、上側加圧板110Aの凸面110aの曲率半径R1と、下側加圧板110Bの凹面110bの曲率半径R2は、表1記載の通りとした。
また、比較例として、図4に示すように、回路層12の表面を押圧する上側加圧板120Aの下面120aと、放熱板20の背面を押圧する下側加圧板120Bの上面120bとを平坦面で形成し、これら一対の加圧板120A,120Bの間にパワーモジュール用基板10と放熱板20との積層体を挟んだ状態として、これらを接合した放熱板付パワーモジュール用基板1の試料を製造した。
A:回路層(40mm×40mm×0.4mmt,4N‐Al)
金属層(40mm×40mm×0.4mmt,4N‐Al)
セラミックス基板(43mm×43mm×0.635mmt,AlN)
緩衝層(40mm×40mm×1.6mmt,4N‐Al)
B:回路層(25mm×25mm×0.4mmt,4N‐Al)
金属層(25mm×25mm×0.4mmt,4N‐Al)
セラミックス基板(43mm×43mm×0.635mmt,AlN)
緩衝層(25mm×25mm×1.6mmt,4N‐Al)
なお、セラミックス基板と回路層及び金属層との接合は、Al‐Si系ろう材を用いて接合した。
表1に結果を示す。
例えば、銅製の回路層とセラミックス基板とのろう付けには、活性金属ろう材を用いて接合する方法を採用することもできる。例えば、活性金属であるTiを含む活性金属ろう材(例えば、Ag‐27.4質量%Cu‐2.0質量%Ti)を用い、銅製の回路層とセラミックス基板との積層体を加圧した状態のまま真空中で加熱し、活性金属であるTiをセラミックス基板に優先的に拡散させて、Ag‐Cu合金を介して回路層とセラミックス基板とを接合できる。
また、上記実施例では、緩衝層を構成するアルミニウムとして4Nアルミニウムを用いたが、これに限らず、純度99%以上のアルミニウムを用いることもできる。しかしながら、上述した変形の緩和効果を実現するためには、純度99.99%以上のアルミニウムを用いることが好ましい。
例えば、凸面110a及び凹面110bを、曲率半径を可変とした滑らかな曲面で形成することも可能であるし、凸面110aと凹面110bの曲率半径についても、同一の曲率半径に限定されるものではなく、凸面110aと凹面110bとが異なる曲率半径を有する構成とすることも可能である。そして、このような構成の加圧板を用いた場合においても、放熱板付パワーモジュール用基板について、回路層を上側として凹状に反る、あるいは凸状の反りでも、その反り量を低減させることが可能であり、冷却器等との密着性を良好に維持することができる。
10 パワーモジュール用基板
11 セラミックス基板
12 回路層
13 金属層
20 放熱板
30 電子部品
31 はんだ接合層
100 パワーモジュール
110A,110B,120A,120B 加圧板
111 支柱
112 治具
113 ナット
114 天板
115 付勢手段
Claims (1)
- セラミックス基板の一方の面に回路層が配設され、前記セラミックス基板の他方の面にアルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属層が配設されてなるパワーモジュール用基板を、1枚の放熱板に面方向に間隔をあけて複数接合する放熱板付パワーモジュール用基板の製造方法であって、
各パワーモジュール用基板を前記放熱板に重ねて配置した積層体を、その積層方向に加圧しながら加熱することにより、前記パワーモジュール用基板と前記放熱板とをろう付けするろう付け工程を有し、
前記ろう付け工程において、前記回路層表面を押圧する凸面が複数の前記パワーモジュール用基板の各回路層にわたって連続して形成された上側加圧板と、前記放熱板背面を押圧する凹面を有する下側加圧板とからなる一対の加圧板の間に前記積層体を挟むことにより、該積層体に前記回路層側を上側とする凹状の反りを生じさせた状態で加圧することを特徴とする放熱板付パワーモジュール用基板の製造方法。
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