JP4978221B2 - 回路基板の製造装置及び製造方法、その製造方法に用いられるクッションシート - Google Patents

回路基板の製造装置及び製造方法、その製造方法に用いられるクッションシート Download PDF

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Description

本発明は、パワーモジュールに使用される回路基板の製造装置及びその製造方法並びにその製造方法に用いられるクッションシートに関する。
パワーモジュール用回路基板は、セラミックス基板の一方の面に回路層用金属板が形成されるとともに、他方の面に放熱層用金属板が形成されたものがあり、回路層用金属板の上に半導体チップがハンダ付けされ、放熱層用金属板にヒートシンクが接合される。
このような回路基板を製造する場合のセラミックス基板と金属板との接合方法には、大別してろう材を用いたろう付け法と、ろう材を用いない方法がある。後者の代表的な例としては、タフピッチ銅板とアルミナをCu−Oの共晶点を利用して接合するDBC法がある。いずれの場合も、セラミックス基板と金属板とが十分に高い接合力で接合される必要がある。
従来、回路基板を製造する場合、特許文献1、2に示すように、セラミックス基板の両面に金属板を積層した回路基板ユニットを複数積み重ねるとともに、各回路基板ユニットの間に、加圧時の圧力がセラミックス基板と金属板との接合面に均等に作用するようにクッション性を有するシートを介在させておき、その積み重ね状態で加圧、加熱することにより、セラミックス基板に金属板を接合するようにしている。そのシートとしては、セラミックス基板のそりやうねりに対して十分に追従できる柔軟性を有するものが使用され、2枚の窒化ケイ素板の間に黒鉛シートを挟んだもの(特許文献1)、カーボン(グラファイト)薄膜を複数積層したもの(特許文献2)等がある。
特開2003−55059号公報 特開2004−288829号公報
しかしながら、特許文献1記載のシートでは、剛性を有する窒化ケイ素板の間に黒鉛シートが挟まれているため、セラミックス基板の局所的な厚みムラや表面凹凸に追従できずに、不均一な圧力分布となる傾向がある。
一方、特許文献2記載のものは、セラミックス基板の局所的な厚みムラや表面凹凸に追従し得る程度の柔軟性を有しているが、加圧後の回路基板ユニットの解体時にカーボン(グラファイト)薄膜が回路基板ユニットの金属板に付着しないように離型剤を塗布しておく必要がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、回路基板ユニットを均一に加圧して、十分な接合力の回路基板を容易かつ安価に製造することを目的とする。
本発明の回路基板の製造装置は、セラミックス基板と金属板とをろう材を介してまたは介さずに接触させてなる回路基板ユニットを複数ユニット積み重ねて、高温下で加圧接合して回路基板を製造するための装置であって、前記複数の回路基板ユニットを加圧する加圧手段と、加圧時に少なくとも一部の回路基板ユニットの間に介在されるクッションシートとを具備してなるとともに、前記クッションシートは、グラファイト製クッション層の両面に、カーボン板からなるカーボン製緻密層が形成されており、前記両面のカーボン製緻密層の厚みが0.5mm以上5.0mm以上とされていることを特徴とする。
一方、本発明の回路基板の製造方法は、セラミックス基板と金属板とをろう材を介してまたは介さずに接触させてなる回路基板ユニットを複数ユニット積み重ねて、高温下で加圧接合して回路基板を製造する方法であって、グラファイト製クッション層の両面にカーボン板からなるカーボン製緻密層が形成されてなり、前記両面のカーボン製緻密層の厚みが0.5mm以上5.0mm以上とされたクッションシートを少なくとも一部の回路基板ユニットの間に介在して加圧接合することを特徴とする。
また、本発明のクッションシートは、セラミックス基板と金属板とをろう材を介してまたは介さずに接触させてなる回路基板ユニットを複数ユニット積み重ねて、高温下で加圧接合して回路基板を製造する際に、回路基板ユニットの間に介在されるクッションシートであって、グラファイト製クッション層の両面にカーボン板からなるカーボン製緻密層が形成されてなり、前記両面のカーボン製緻密層の厚みが0.5mm以上5.0mm以上とされていることを特徴とする。
このようにグラファイト製クッション層の両面にカーボン製緻密層が形成されたクッションシートとすることにより、回路基板ユニットに接触する表面はカーボン製緻密層により比較的硬質な表面となるため、回路基板ユニットからの離脱が容易になるとともに、内部はグラファイト製クッション層で比較的軟質となるので、このようなシートを介在させることによってセラミックス基板の局所的な厚みムラや表面凹凸に追従して、均一に加圧することができる。
この場合、前記グラファイト製クッション層は複数層の積層構造とすると、よりクッション性が発揮されるので好ましい
本発明によれば、複数の回路基板ユニットの間に、グラファイト製クッション層の両面にカーボン製緻密層が形成されたクッションシートを介在させた状態として、これら回路基板ユニットを積み重ねて加圧接合するので、カーボン製緻密層による比較的硬質な表面が回路基板ユニットに接触することになって、回路基板ユニットからの離脱が容易になるとともに、内部はグラファイト製クッション層で比較的軟質となるので、このようなクッションシートを介在させることによってセラミックス基板の局所的な厚みムラや表面凹凸に追従して、均一に加圧することができる。
以下、本発明に係る回路基板の製造方法及び製造装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、本発明が適用される回路基板として、パワーモジュール用基板について説明すると、このパワーモジュール用基板1は、図3に示すように、セラミックス基板2の表面側に回路層用金属板3が設けられるとともに、裏面側に放熱層用金属板4が設けられた構成である。
また、セラミックス基板2は、例えばAlN、Si等の窒化物系セラミックス、若しくはAl等の酸化物系セラミックスにより形成され、回路層用金属板3は、純Al若しくはAl合金により形成され、放熱層用金属板4は、純度99.0wt%以上の純Alにより形成されている。この場合、セラミックス基板2は平面視四角形状に形成され、両金属板3,4は、セラミックス基板2よりも若干小さいが、同様に平面視四角形状に形成されている。
また、これらセラミックス基板2、回路層用金属板3、放熱層用金属板4の相互間は、Al−Si系、Al−Ge系、Al−Cu系、Al−Mg系またはAl−Mn系等のろう材によって接合される。
なお、このパワーモジュール用基板1の回路層用金属板3の上には、半導体チップ等の電子部品5が、Sn−Ag−Cu系、Zn−Al系若しくはPb−Sn系等のはんだ材によって接合され、放熱層用金属板4には、ヒートシンク6がAl−Si系、Al−Ge系、Al−Cu系、Al−Mg系またはAl−Mn系等のろう材、又はSn−Ag−Cu系、Zn−Al系若しくはPb−Sn系等のはんだ材によって接合される。
このパワーモジュール用基板1を製造する場合は、図4に示すように、セラミックス基板2の表面にろう材7を介して回路層用金属板3を配置するとともに、セラミックス基板2の裏面にろう材7を介して放熱層用金属板4を配置することにより、回路基板ユニットWの積層体とし、この回路基板ユニットWの積層体を不活性雰囲気、還元雰囲気又は真空雰囲気において積層方向に加圧した状態で加熱して、ろう材7を溶融させることによってセラミックス基板2の表面に回路層用金属板3、裏面に放熱層用金属板4を接合して、パワーモジュール用基板1を製造する。
次に、このパワーモジュール用基板1を製造する際に用いられる製造装置11について説明する。
この製造装置11は、図1に示すように、ベース板12の上面の例えば四隅にそれぞれガイドポスト13が垂直に固定されるとともに、これらガイドポスト13にベース板12と平行な加圧板14が上下移動自在に支持され、ガイドポスト13の上端部に加圧板14に平行に固定板15が固定され、この固定板15と加圧板14との間に、加圧板14に対して下向きに付勢するための加圧手段としてのばね16が設けられている。
また、ベース板12と加圧板14との間に配置される回路基板ユニットWの間には、以下のようなクッションシート21が介在される。
このクッションシート21は、図2に示すように、グラファイト薄膜を複数積層したクッション層22と、その両面に配置されたカーボン製の緻密層23とから構成されている。クッション層22は、鱗片状のグラファイトの薄膜が複数枚、雲母のように貼り付いて構成されたものであり、天然黒鉛を酸処理した後にシート状に成形してロール圧延してなるものである。緻密層23は、薄膜のカーボン板によって構成されており、3000℃程度の高温で焼成したものである。つまり、前記クッションシート21は、未焼成のクッション層22の両面に、焼成してなる緻密層23が配置された構成であり、内部(クッション層22)は密度が0.5Mg/m以上1.3Mg/m以下で軟質であるが、表面(緻密層23)は密度が1.6Mg/m以上1.9Mg/m以下の比較的硬質で平滑な平面に形成される。
この場合、クッション層22の厚みは0.5mm以上5.0mm以下とされ、両緻密層23の厚みは0.5mm以上5.0mm以下とされ、これらクッション層22と緻密層23との接合にはカーボンセメント等の接着剤が使用される。このカーボンセメントは、フェノール系樹脂にカーボンが混練されてなるものであり、600℃以上、2000℃程度までの耐熱性を有している。
そして、前記ベース板12と加圧板14との間にこれらの間隔を広げた状態に保持する図示略の間隔保持手段を介在させた状態として、その間に、回路基板ユニットWを前記クッションシート21とともに複数ユニット積み重ね状態に配置し、間隔保持手段を撤去することにより、ばね16の付勢力を加圧板14に作用させて、回路基板ユニットWの積層体を加圧するのである。
例えば、回路基板ユニットWとして、板厚0.635mmの窒化アルミからなるセラミックス基板2の両側にろう材7としてのAl−Si合金の薄板とその外側にアルミニウム板(金属板)3,4とを配置したものとされ、これをクッションシート21を介して15ユニット積層状態とされる。
また、ばね16の付勢力によるセラミックス基板2に対する垂直方向の押圧力は0.5×10Pa〜5×10Paとされる。
このように回路基板ユニットWとクッションシート21とを交互に複数重ねて配置し、加圧板14により加圧した際、クッションシート21がクッション性を有していることにより、セラミックス基板2に反り、うねり、局所的な厚みムラ、または表面凹凸があった場合でも、加圧時の圧力をクッションシート21に沿って均等にすることができる。これにより、回路基板ユニットWにおいてセラミックス基板2とろう材7、および、ろう材7と金属板3,4とを面内方向均一に圧接することが可能となる。
さらに、セラミックス基板2の厚みがテーパ状に変化している場合、つまり面内方向に厚みの傾きが生じている場合でも、セラミックス基板2、金属板3,4と、ろう材7とを面内方向均一に加圧することができる。
前記加圧力は、上記の範囲より小さい場合には、充分な接合を得ることができないため好ましくなく、また、加圧力が上記の範囲より大きい場合には、セラミックス基板2に割れや破損等が生じる可能性があるため好ましくない。
次いで、回路基板ユニットWへの加圧状態を維持した製造装置11を600〜650℃程度の温度条件とした熱処理炉等に入れて加熱接合を行うが、このとき、クッションシート21が耐熱性を有していることから熱によってクッションシート21のクッション性が失われることはないため、上記の加圧状態を維持して熱処理をおこなうことが可能であり、同時に、クッションシート21から回路基板ユニットWに不要な影響が及ばない状態で、回路基板ユニットWにおいて必要な接合をおこなうことが可能である。
所定の熱処理が終了した後、回路基板ユニットWを取り出し、必要ならば研磨等の表面処理を行ってパワーモジュール用基板1とする。
このパワーモジュール用基板1の回路層用金属板3にはんだ材を介在させて電子部品5を接合するとともに、放熱層用金属板4にはんだ材又はろう材を介在させてヒートシンク6を接合することにより、パワーモジュールが製造される。
以上のようなパワーモジュール用基板1の製造工程において、前記クッションシート21は、その外層を構成しているカーボン製緻密層23のカーボンも、内層を構成しているグラファイト製クッション層22のグラファイトも、同じ炭素を成分として構成されたものであるから、接合時の熱によってガス等を生じることなく、優れた耐熱性を有しているとともに、熱伝導性、特に面方向の熱伝導性に優れ、加熱炉の熱を回路基板ユニットWの中心部まで速やかに伝えることができる。
その他、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、回路基板に使用される金属板は単層でもよく、また二種または三種以上のクラッド等の積層体であってもよい。積層体の例をあげれば、Al−Ni、Al−Ni−Cu、Al−Mo、Al−W、Al−Cu等である。これらは、使用目的や接合方法により適宜選択される。セラミックス基板の材質については、特に制限はなく、通常のアルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素が用いられる。パワーモジュール用回路基板の作製には絶縁性の良好な窒化ケイ素基板又は窒化アルミニウム基板が望ましい。
ろう材についても、セラミックス基板及び金属板として窒化アルミニウム基板とアルミニウム板との接合には、Al−Si系合金箔が最も一般的に用いられるが、箔でなくても、それを粉末化したもの又はその組成を有する金属混合粉末を、有機バインダーや溶剤でペースト化したものが使用できる。また、ろう材は、セラミックス側、金属板側のどちらに配置しても良く、また合金箔からなるろう材の場合は、あらかじめ金属板と積層化しておいてもよい。
なお、接合温度は、金属板として銅を接合する場合には1000℃程度とされ、Ag−Cu−Ti系ろう材ペーストを用いて無酸素銅板を接合する場合は800〜850℃とされる。金属板として銅を接合する場合には、5×10Pa〜10×10Paの圧力においてセラミックス基板の反りやうねりに十分追随することができる。
以下、本発明の実施例を説明する。
回路基板ユニットとしては、板厚0.635mmの窒化アルミニウムからなるセラミックス基板の両側にろう材としてのAl−Si合金の薄板、及びその外側に金属板としてアルミニウム板を配置したものとした。また、クッションシートとしては、グラファイトの薄膜を雲母のように複数積層した厚さ1mmのクッション層の両面に、厚さ1mmのカーボン板からなる緻密層をカーボンセメントによって接着した構成とした。
そして、回路基板ユニットの間にクッションシートを挟んで15ユニットをベース板と加圧板との間に配置し、一度の加熱処理を施した。
また、比較例のクッションシートとして、厚さ1mmの黒鉛シートを厚さ0.2mmの窒化ケイ素板で挟んでなるものを使用した。
このようにして回路基板Wをそれぞれ200枚作成した後、超音波探傷(SAT)で接合状態を観察し、1mmφ以上の未接合部又は5%以上の未接合面積が認められた場合を接合不良とした。また、セラミックス基板のワレの有無を測定した。
それらの結果を表1に示す。
Figure 0004978221
この結果から明らかなように、ほぼ全ての加圧力で本実施例のクッションシートを挟んだものが最も接合率が高いとともに、1×10Pa〜4×10Paの加圧力の範囲で、本実施例のクッションシートの場合は少なくとも90%以上の接合率を維持し、かつセラミックス基板の割れも発生しないことが確認された。
本発明に係る回路基板の製造装置の一実施形態を示す縦断面図である。 本発明に係るクッションシートの一実施形態を示す縦断面図である。 本発明が適用される回路基板の例を示す縦断面図である。 接合前の回路基板ユニットを示す縦断面図である。
符号の説明
1…回路基板、2…セラミックス基板、3…回路層用金属板、4…放熱層用金属板、5…電子部品、6…ヒートシンク、7…ろう材、11…製造装置、12…ベース板、13…ガイドポスト、14…加圧板、15…固定板、16…ばね(加圧手段)、21…クッションシート、22…クッション層、23…緻密層、W…回路基板ユニット

Claims (4)

  1. セラミックス基板と金属板とをろう材を介してまたは介さずに接触させてなる回路基板ユニットを複数ユニット積み重ねて、高温下で加圧接合して回路基板を製造するための装置であって、
    前記複数の回路基板ユニットを加圧する加圧手段と、加圧時に少なくとも一部の回路基板ユニットの間に介在されるクッションシートとを具備してなるとともに、
    前記クッションシートは、グラファイト製クッション層の両面に、カーボン板からなるカーボン製緻密層が形成されており、
    前記両面のカーボン製緻密層の厚みが0.5mm以上5.0mm以上とされていることを特徴とする回路基板の製造装置。
  2. セラミックス基板と金属板とをろう材を介してまたは介さずに接触させてなる回路基板ユニットを複数ユニット積み重ねて、高温下で加圧接合して回路基板を製造する方法であって、
    グラファイト製クッション層の両面にカーボン板からなるカーボン製緻密層が形成されてなり、前記両面のカーボン製緻密層の厚みが0.5mm以上5.0mm以上とされたクッションシートを少なくとも一部の回路基板ユニットの間に介在して加圧接合することを特徴とする回路基板の製造方法。
  3. セラミックス基板と金属板とをろう材を介してまたは介さずに接触させてなる回路基板ユニットを複数ユニット積み重ねて、高温下で加圧接合して回路基板を製造する際に、回路基板ユニットの間に介在されるクッションシートであって、
    グラファイト製クッション層の両面にカーボン板からなるカーボン製緻密層が形成されてなり、
    前記両面のカーボン製緻密層の厚みが0.5mm以上5.0mm以上とされていることを特徴とする回路基板製造用クッションシート。
  4. 前記グラファイト製クッション層は複数層の積層構造であることを特徴とする請求項3記載の回路基板製造用クッションシート。
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