JP4978221B2 - 回路基板の製造装置及び製造方法、その製造方法に用いられるクッションシート - Google Patents
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Description
このような回路基板を製造する場合のセラミックス基板と金属板との接合方法には、大別してろう材を用いたろう付け法と、ろう材を用いない方法がある。後者の代表的な例としては、タフピッチ銅板とアルミナをCu−Oの共晶点を利用して接合するDBC法がある。いずれの場合も、セラミックス基板と金属板とが十分に高い接合力で接合される必要がある。
一方、特許文献2記載のものは、セラミックス基板の局所的な厚みムラや表面凹凸に追従し得る程度の柔軟性を有しているが、加圧後の回路基板ユニットの解体時にカーボン(グラファイト)薄膜が回路基板ユニットの金属板に付着しないように離型剤を塗布しておく必要がある。
まず、本発明が適用される回路基板として、パワーモジュール用基板について説明すると、このパワーモジュール用基板1は、図3に示すように、セラミックス基板2の表面側に回路層用金属板3が設けられるとともに、裏面側に放熱層用金属板4が設けられた構成である。
また、セラミックス基板2は、例えばAlN、Si3N4等の窒化物系セラミックス、若しくはAl2O3等の酸化物系セラミックスにより形成され、回路層用金属板3は、純Al若しくはAl合金により形成され、放熱層用金属板4は、純度99.0wt%以上の純Alにより形成されている。この場合、セラミックス基板2は平面視四角形状に形成され、両金属板3,4は、セラミックス基板2よりも若干小さいが、同様に平面視四角形状に形成されている。
なお、このパワーモジュール用基板1の回路層用金属板3の上には、半導体チップ等の電子部品5が、Sn−Ag−Cu系、Zn−Al系若しくはPb−Sn系等のはんだ材によって接合され、放熱層用金属板4には、ヒートシンク6がAl−Si系、Al−Ge系、Al−Cu系、Al−Mg系またはAl−Mn系等のろう材、又はSn−Ag−Cu系、Zn−Al系若しくはPb−Sn系等のはんだ材によって接合される。
この製造装置11は、図1に示すように、ベース板12の上面の例えば四隅にそれぞれガイドポスト13が垂直に固定されるとともに、これらガイドポスト13にベース板12と平行な加圧板14が上下移動自在に支持され、ガイドポスト13の上端部に加圧板14に平行に固定板15が固定され、この固定板15と加圧板14との間に、加圧板14に対して下向きに付勢するための加圧手段としてのばね16が設けられている。
このクッションシート21は、図2に示すように、グラファイト薄膜を複数積層したクッション層22と、その両面に配置されたカーボン製の緻密層23とから構成されている。クッション層22は、鱗片状のグラファイトの薄膜が複数枚、雲母のように貼り付いて構成されたものであり、天然黒鉛を酸処理した後にシート状に成形してロール圧延してなるものである。緻密層23は、薄膜のカーボン板によって構成されており、3000℃程度の高温で焼成したものである。つまり、前記クッションシート21は、未焼成のクッション層22の両面に、焼成してなる緻密層23が配置された構成であり、内部(クッション層22)は密度が0.5Mg/m3以上1.3Mg/m3以下で軟質であるが、表面(緻密層23)は密度が1.6Mg/m3以上1.9Mg/m3以下の比較的硬質で平滑な平面に形成される。
例えば、回路基板ユニットWとして、板厚0.635mmの窒化アルミからなるセラミックス基板2の両側にろう材7としてのAl−Si合金の薄板とその外側にアルミニウム板(金属板)3,4とを配置したものとされ、これをクッションシート21を介して15ユニット積層状態とされる。
また、ばね16の付勢力によるセラミックス基板2に対する垂直方向の押圧力は0.5×105Pa〜5×105Paとされる。
前記加圧力は、上記の範囲より小さい場合には、充分な接合を得ることができないため好ましくなく、また、加圧力が上記の範囲より大きい場合には、セラミックス基板2に割れや破損等が生じる可能性があるため好ましくない。
所定の熱処理が終了した後、回路基板ユニットWを取り出し、必要ならば研磨等の表面処理を行ってパワーモジュール用基板1とする。
このパワーモジュール用基板1の回路層用金属板3にはんだ材を介在させて電子部品5を接合するとともに、放熱層用金属板4にはんだ材又はろう材を介在させてヒートシンク6を接合することにより、パワーモジュールが製造される。
例えば、回路基板に使用される金属板は単層でもよく、また二種または三種以上のクラッド等の積層体であってもよい。積層体の例をあげれば、Al−Ni、Al−Ni−Cu、Al−Mo、Al−W、Al−Cu等である。これらは、使用目的や接合方法により適宜選択される。セラミックス基板の材質については、特に制限はなく、通常のアルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素が用いられる。パワーモジュール用回路基板の作製には絶縁性の良好な窒化ケイ素基板又は窒化アルミニウム基板が望ましい。
なお、接合温度は、金属板として銅を接合する場合には1000℃程度とされ、Ag−Cu−Ti系ろう材ペーストを用いて無酸素銅板を接合する場合は800〜850℃とされる。金属板として銅を接合する場合には、5×104Pa〜10×104Paの圧力においてセラミックス基板の反りやうねりに十分追随することができる。
回路基板ユニットとしては、板厚0.635mmの窒化アルミニウムからなるセラミックス基板の両側にろう材としてのAl−Si合金の薄板、及びその外側に金属板としてアルミニウム板を配置したものとした。また、クッションシートとしては、グラファイトの薄膜を雲母のように複数積層した厚さ1mmのクッション層の両面に、厚さ1mmのカーボン板からなる緻密層をカーボンセメントによって接着した構成とした。
そして、回路基板ユニットの間にクッションシートを挟んで15ユニットをベース板と加圧板との間に配置し、一度の加熱処理を施した。
また、比較例のクッションシートとして、厚さ1mmの黒鉛シートを厚さ0.2mmの窒化ケイ素板で挟んでなるものを使用した。
このようにして回路基板Wをそれぞれ200枚作成した後、超音波探傷(SAT)で接合状態を観察し、1mmφ以上の未接合部又は5%以上の未接合面積が認められた場合を接合不良とした。また、セラミックス基板のワレの有無を測定した。
それらの結果を表1に示す。
Claims (4)
- セラミックス基板と金属板とをろう材を介してまたは介さずに接触させてなる回路基板ユニットを複数ユニット積み重ねて、高温下で加圧接合して回路基板を製造するための装置であって、
前記複数の回路基板ユニットを加圧する加圧手段と、加圧時に少なくとも一部の回路基板ユニットの間に介在されるクッションシートとを具備してなるとともに、
前記クッションシートは、グラファイト製クッション層の両面に、カーボン板からなるカーボン製緻密層が形成されており、
前記両面のカーボン製緻密層の厚みが0.5mm以上5.0mm以上とされていることを特徴とする回路基板の製造装置。 - セラミックス基板と金属板とをろう材を介してまたは介さずに接触させてなる回路基板ユニットを複数ユニット積み重ねて、高温下で加圧接合して回路基板を製造する方法であって、
グラファイト製クッション層の両面にカーボン板からなるカーボン製緻密層が形成されてなり、前記両面のカーボン製緻密層の厚みが0.5mm以上5.0mm以上とされたクッションシートを少なくとも一部の回路基板ユニットの間に介在して加圧接合することを特徴とする回路基板の製造方法。 - セラミックス基板と金属板とをろう材を介してまたは介さずに接触させてなる回路基板ユニットを複数ユニット積み重ねて、高温下で加圧接合して回路基板を製造する際に、回路基板ユニットの間に介在されるクッションシートであって、
グラファイト製クッション層の両面にカーボン板からなるカーボン製緻密層が形成されてなり、
前記両面のカーボン製緻密層の厚みが0.5mm以上5.0mm以上とされていることを特徴とする回路基板製造用クッションシート。 - 前記グラファイト製クッション層は複数層の積層構造であることを特徴とする請求項3記載の回路基板製造用クッションシート。
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