JP6649818B2 - 密封部材 - Google Patents
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Description
このような密封部材100においては、補助リップ部102による異物の侵入を防止する効果を高めるために、補助リップ部102に締め代を持たせて軸105と接触させることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このとき、補助リップ部102が締め代を持って軸105と接触する密封部材100では、軸105を挿入した際に、補助リップ部102が密封空間内Aの側に反転してしまうことがあった。
そして、補助リップ部102が反転した状態で密封部材100を使用すると、補助リップ部102に異常摩耗が発生し、この異常摩耗が補助リップ部102の破損の原因となることがあった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、組み付け時に補助リップ部が反転したとしても、その反転状態を解消することができる密封部材を提供することを目的とする。
上記補助リップ部は、上記軸に対して締め代を有し、
上記補助リップ部の外周面に、上記潤滑剤を保持し得る梨地状の粗面部が設けられていることを特徴とする。
このとき、上記補助リップ部は、軸に対して締め代を有しているため、軸を挿入した際に反転してしまうことがある。また、上記密封部材の組み付けは、上記空間部にグリース等の潤滑剤が封入された状態で行うため、軸の挿入によって補助リップ部の変形や、場合によっては上述したような反転が生じ、その結果、上記空間部に封入されていたグリース等は、不回避的の上記補助リップ部の外周面にも付着する。
そのため、本発明の密封部材では、上記補助リップ部が組み付け時に反転したとしても、上記補助リップ部は、自己の弾性復元力によって反転状態を解消することができる。これは、組み付け時に補助リップ部が反転すると、反転した補助リップ部は外周面が軸と接触することとなるが、上記外周面は、上述したように粗面部によってグリース等を保持しており、軸との摩擦係数が低くなっているからである。
上記範囲の算術平均粗さRaを有する粗面部では、グリース等の潤滑剤を充分に保持することができる。また、上記算術平均粗さRaが大きくなると、上記粗面部には外部から侵入した異物が付着しやすくなるが、上記算術平均粗さRaの上限を10.0μmとすることにより、グリース等の保持性を確保しつつ、外部から侵入した異物が付着しやすくなることを抑制することができる。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る密封部材の要部を示す断面説明図である。図2は、図1に示した密封部材における外部側の部分側面図である。
本実施形態に係る密封部材1は、自動車のデフサイドに用いられるものであり、互いに相対回転する軸29とケーシング30との間に構成される環状空間に装着されて、密封空間内Aの密封流体が外部側Bへ漏洩するのを防止している。なお、図1に示している密封部材1は、軸29の外周面29aとケーシング30の内周面30aとの間に装着される前である変形前の自然状態を示している。
芯金2は、金属(例えば、SPCC)製の環状部材であり、円筒部6と、この円筒部6の外部側端部から径方向内向きに屈曲した環状板部7とで構成されている。
本体部10は、芯金2の円筒部6の外側に設けられ、且つケーシング30の内周面30a側に固定される軸方向外周部10aと、環状板部7の外側に設けられている径方向外周部10bと、環状板部7の内側に設けられている径方向内周部10cとを有している。
補助リップ部12は、本体部10の径方向内周部10cの内周側から軸29側で且つ外部側Bへ延伸している。
なお、サイドリップ部13の先端部13aは、サイドリップ部13より外部側Bに設けられた、金属製の環状部材であるディフレクター(図示せず)と接触することなく対向している。これにより泥水等の異物が密封空間内Aに近づき難い構成としている。
粗面部28は、図示しないが微細突起によるもの、微細凹部によるもの、微細線状溝によるもの、又は、これらが混在するものからなる。
密封部材1は、図3(a)に示すように、外部側Bから軸29の挿入を行うことによって、軸29に組み付けられる。
このとき、補助リップ部12は、図3(b)に示すように、軸29の端面29c側の外周面に設けられた面取り部29bに接触した際に変形し、主リップ部側に反転することがある。この場合、補助リップ部12は粗面部28が設けられた外周面27や第2傾斜面25が軸29の面取り部29bと接触することになる。このとき、外周面27や第2傾斜面25には、組み付け前の空間部23に封入されていたグリースが付着し、付着したグリースは粗面部28によって保持されている。そのため、補助リップ部12の外周面27や第2傾斜面25は、軸29との摩擦係数が低くなっており、補助リップ部12は、自己の弾性復元力によって、反転状態を解消し、図3(c)に示すように正常な組み付け状態で軸29の外周面29aと締め代を持って接触することができる。
このように、本実施形態の密封部材によれば、組み付け時に補助リップ部12が反転したとしても、自己の弾性復元力と粗面部28が保持するグリースの作用によって、その反転状態を解消することができる。
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、適宜変更することができる。
第1実施形態において、粗面部は、補助リップ部の外周面及び第2傾斜面に設けられているが、本発明の実施形態に係る密封部材において、上記粗面部は、少なくとも補助リップ部の外周面に設けられていれば、必ずしも第2傾斜面には設けられていなくてもよい。
また、第1実施形態では、粗面部が補助リップ部の外周面及び第2傾斜面において周方向全体に設けられているが、上記粗面部は、必ずしも周方向全体に形成されている必要はなく、補助リップ部の反転状態を解消するのに充分なグリースを保持することができれば、周方向において断続的に設けられていても良い。
Claims (2)
- 互いに相対回転する軸とケーシングとの間に構成される環状空間に装着され、前記軸の外周面に接触して密封空間内の密封流体が外部側へ漏れるのを防止する主リップ部と、この主リップ部よりも前記外部側に空間部を介して設けられ、前記軸の外周面に接触して前記外部側から前記密封空間内への異物の侵入を防止する補助リップ部と、を備え、前記空間部に潤滑剤を封入して前記環状空間に装着される密封部材であって、
前記補助リップ部は、前記軸に対して締め代を有し、
前記補助リップ部の外周面に、前記潤滑剤を保持し得る梨地状の粗面部が設けられていることを特徴とする密封部材。 - 前記粗面部の表面粗さは、算術平均粗さRaが2.0〜10.0μmである請求項1に記載の密封部材。
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