JP6163293B2 - 密封装置 - Google Patents
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Description
図5(a)は、上記従来の密封装置を示す断面図である。密封装置100は、クランク室のハウジング101と、このハウジング101から突出したクランクシャフトのフロント側の端部102(以下、単に「軸端部102」ともいう)との間の環状空間に取り付けられており、ハウジング101と、軸端部102との間からクランク室内の潤滑油が外部に漏洩しないように密封している。
補助リップ104は、外部の泥水や塵埃から主リップ103を保護するために設けられており、その内周側の先端104aが基端部104bよりもクランク室の外側方向に位置するように傾斜して延びている。
従って、密封装置100内には、主リップ103側から軸端部102が導入されることとなる。このとき、補助リップ104は、上述のように傾斜しているため、軸端部102の挿入によって、軸端部102の外周面102aに対して補助リップ104の先端104aが軸方向に摺動したとしても、補助リップ104に無理な変形が生じることはない。
このような場合、補助リップ104は、その先端104aが基端部104bよりもクランク室の外側方向に位置するように傾斜して延びているので、例えば、補助リップ104の先端104aが軸端部102の端面や面取部に突き当たったり、ひっかかったりすると、当該先端104aが軸端部102により軸方向に押圧され、図5(b)に示すように、補助リップ104が折れ曲がるように変形する、いわゆる反転が生じる。
しかし、近年、オフロード等の過酷な環境下で用いられることを想定して、補助リップ104に適度なしめしろを設定することがあり、上記反転の発生を助長していた。
回転軸としての前記クランクシャフトは、ケーシングとしての前記クランク室に包囲されるとともに前記クランク室内で回転自在に支持されている。
密封装置1は、金属製の芯金2と、芯金2に加硫接着により形成されたフッ素ゴム等の弾性体からなるシール部3とを備えている。
シール部3は、円筒部2aの外周面から環状部2bの外側面に沿って接着形成された本体部4と、環状部2bの先端から延びるリップ部5とを有している。
芯金2は、本体部4を介してハウジングHに圧入嵌合されており、これによって、密封装置1は、ハウジングHに固定されている。
主リップ6の外周面側には、当該主リップ6を径方向内側に押圧して密封性を高めるためのガータスプリング8が装着されている。
補助リップ7の先端7aには、軸端部Sの外周面S1に摺接する環状の摺接部7cが形成されており、補助リップ7は、外部と、主リップ6との間を密封している。これによって、補助リップ7は、外部の泥水や塵埃から主リップ6を保護し、主リップ6の密封性能が早期に低下するのを抑制している。
密封装置1は、上記のように、主リップ6、及び補助リップ7をクランクシャフトの軸端部Sに摺接させることで、クランクシャフトとクランク室との間を密封している。
補助リップ7の先端7aには、複数の突出部10が形成されている。この突出部10は、補助リップ7の軸方向一方側に向く外側面9、及び補助リップ7の先端7aの端縁面11から突出して形成されている。
これによって、突出部10は、自由状態にある補助リップ7の先端7aから、軸方向一方側に突出している。
本実施形態の密封装置1の摺接部6a,7cの内径が約40mm、補助リップ7の厚みが約0.6〜0.7mmに設定されているとすると、突出部10の内周端から補助リップ7の摺接部7cまでの径方向幅寸法H1は、約0.03mmに設定される。また、自由状態にある補助リップ7の先端7aに対して軸方向一方側に突出する突出部10の突出寸法H2は、約0.05mmに設定されている。
本実施形態の場合、上述のように摺接部7cの内径が約40mmに設定されているので、突出部10は、全周に対して、約23%の割合で形成されている。
これに対して、本実施形態では、補助リップ7の先端7aに突出部10が円周方向に沿って等間隔に複数形成されているので、複数の突出部10が面取部S2に接触することで、補助リップ7の先端7aの全周が面取部S2に接触する場合と比較して、軸端部Sに対する補助リップ7側の接触面積を減少させることができる。
その後、補助リップ7の先端7aは、図3(b)に示すように、摺接部7cが外周面S1に接触するまで拡径される。
したがって、補助リップ7は、図3(b)のように、突出部10に妨げられることなく摺接部7cを外周面S1に摺接させることができ、外周面S1との間を密封することができる。
このため、突出部10の全周に対する割合は、20%以上の値に設定することが好ましい。
前記サイドシールは、デファレンシャルギヤのケーシングと、前記ケーシングの左右両側に差し込まれているドライブシャフトとの間を密封するための密封装置である。回転部材としてのドライブシャフトは、前記ケーシングの外側から挿入される。サイドシールは、補助リップがケーシングの外側となるように装着されるので、ドライブシャフトは、ケーシングに挿入される際、補助リップ側から挿入されることになる。よって、サイドシールにおいても、補助リップに反転が生じるおそれがある。
これに対して、上記サイドシールに本発明の密封装置を適用すれば、補助リップに反転が生じるのを抑制することができる。
試験には、実施例品として、上記実施形態にて説明した密封装置1を用い、比較例品としては、補助リップ7に突出部10が形成されていない点以外、上記実施形態の密封装置1と同一仕様とされた密封装置を用いた。
より具体的には、図4(a)に示すように、クランクシャフトの軸端部Sを、密封装置1の補助リップ7側から挿入した。また、補助リップ7のしめしろとして、0.3mm、0.45mm、0.6mmに設定された3種類の密封装置1を用意した。
また、反転の生じ難さを評価するために、軸端部Sを密封装置1に挿入する際の密封装置1の軸心と、軸端部Sの軸心との間の偏心量Eを変化させ、反転が生じた最小の偏心量である偏心限界量を求めた。
図に示すように、比較例品では、いずれのしめしろの場合であっても、偏心限界量が0mmであり、偏心させなくても反転が発生した。
7b:基端部 9:外側面 10:突出部 S:軸端部
S1:外周面
Claims (2)
- 回転軸と、この回転軸を包囲しているケーシングとの間を密封する密封装置であって、
前記ケーシング側に固定され、前記回転軸の外周面に摺接する主リップと、
前記主リップの軸方向一方側に設けられ、その内周側の先端が前記外周面に摺接する補助リップと、を備え、
前記補助リップは、前記先端が当該補助リップの基端部よりも軸方向一方側に位置するように軸方向に対して傾斜して延びており、
前記補助リップの内周側の先端には、前記回転軸の軸端部が前記補助リップ側から挿入されるときに、当該補助リップの先端よりも先に前記回転軸の軸端部に接触する突出部が複数形成され、前記突出部の表面形状は、球面に形成されていることを特徴とする密封装置。 - 前記突出部は、円周方向に沿って等間隔に形成されている請求項1に記載の密封装置。
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JP2012152186A JP6163293B2 (ja) | 2012-07-06 | 2012-07-06 | 密封装置 |
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Family
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Family Applications (1)
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