JP2009299873A - 密封装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転部材の回転数が低速であっても密封性を確保することができ、さらに、回転部材の回転数が大きくなった場合に、シールリップとシール面との間の焼き付きや摩耗を抑えることができる密封装置を提供する。
【解決手段】内輪12に取り付けられるシール本体1を備えている。シール本体1は、内輪12が低速で回転している状態で、ケーシング20のシール面9に摺動可能なシールリップ8と、弾性変形部とを有している。弾性変形部は、内輪12と共に高速回転することで作用する遠心力によって、シールリップ8をシール面9から離すように弾性変形可能である。また、重量部3がシール本体1に周方向に間隔を有して設けられており、当該重量部3は、作用する前記遠心力を増大させる。
【選択図】図1
【解決手段】内輪12に取り付けられるシール本体1を備えている。シール本体1は、内輪12が低速で回転している状態で、ケーシング20のシール面9に摺動可能なシールリップ8と、弾性変形部とを有している。弾性変形部は、内輪12と共に高速回転することで作用する遠心力によって、シールリップ8をシール面9から離すように弾性変形可能である。また、重量部3がシール本体1に周方向に間隔を有して設けられており、当該重量部3は、作用する前記遠心力を増大させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、密封装置に関する。
内輪と、外輪と、これら内外輪の間に転動自在に設けられた転動体とを備えている軸受に、密封装置(シール部材)が設けられているものがある。この密封装置は、回転する内輪に取り付けられており、外輪又は外輪が取り付けられているケーシングに設けられたシール面との間で、内外輪間の空間内の潤滑剤の漏れを防止したり、外部にある少量の液体や塵埃が内外輪間の軸受空間内に入り込もうとすることを抑制するシールリップを有している。工作機械や自動車、鉄鋼設備等に用いられる軸受の外部には液体や塵埃が存在していることから、これらが軸受空間内に入り込むことを抑制する必要がある。
また、このような密封装置には、接触シールと非接触シールとがある。接触シールは、シールリップがシール面に摺動可能であり、両者の間に隙間は生じていないのでシール性(密封性)は優れている。軸受空間の外部(接触シールよりも外部)にある液体は、軸や内輪の回転が停止している時には遠心力が作用せず、軸や内輪を伝わって軸受空間に入り込もうとするが、接触シールを用いると、外部からの液体の浸入を抑制できる。しかし、回転時、シールリップがシール面に摺動するため、特に高速回転時では、摺動部の発熱による焼き付きや摩耗が発生するおそれがある。
一方、非接触シールは、シールリップとシール面との間に隙間があるため、高速回転で使用される環境であっても焼き付きや摩耗が発生しない点で有利である。軸受空間の外部(非接触シールよりも外部)にある液体や塵埃は、軸や内輪が回転している時には遠心力が作用することで、軸や内輪から振り切られ、回転停止時よりも軸受空間に入り込みにくい。この非接触シールは、いわゆるラビリンスシール機能を発揮させることで密封性を確保しているが、回転数が低くなると接触シールと比べて密封性能は劣る。
また、このような密封装置には、接触シールと非接触シールとがある。接触シールは、シールリップがシール面に摺動可能であり、両者の間に隙間は生じていないのでシール性(密封性)は優れている。軸受空間の外部(接触シールよりも外部)にある液体は、軸や内輪の回転が停止している時には遠心力が作用せず、軸や内輪を伝わって軸受空間に入り込もうとするが、接触シールを用いると、外部からの液体の浸入を抑制できる。しかし、回転時、シールリップがシール面に摺動するため、特に高速回転時では、摺動部の発熱による焼き付きや摩耗が発生するおそれがある。
一方、非接触シールは、シールリップとシール面との間に隙間があるため、高速回転で使用される環境であっても焼き付きや摩耗が発生しない点で有利である。軸受空間の外部(非接触シールよりも外部)にある液体や塵埃は、軸や内輪が回転している時には遠心力が作用することで、軸や内輪から振り切られ、回転停止時よりも軸受空間に入り込みにくい。この非接触シールは、いわゆるラビリンスシール機能を発揮させることで密封性を確保しているが、回転数が低くなると接触シールと比べて密封性能は劣る。
そこで、従来、回転に伴って発生する遠心力によりシールリップを変形させる密封装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この密封装置が有しているシールリップは、内輪と外輪との相対回転が生じた時に、その回転速度に応じた遠心力を受け、弾性変形するように構成されている。
前記特許文献1に記載の密封装置の場合、内輪と外輪との相対回転が生じていない状態で、シールリップをシール面に密着させる必要があることから、シールリップがシール面を押圧するための弾性力をシールリップに与えた状態として、密封装置を軸受に取り付けている。したがって、遠心力によってシールリップをシール面から離すためには、前記弾性力に抗する遠心力が必要である。このため、前記特許文献1に記載の密封装置の場合、内輪と外輪との相対回転が生じても、実際では、シールリップがシール面から離れる程の変形を生じさせるのは困難であり、シールリップとシール面との間の焼き付きや摩耗が発生することがある。
そこで、本発明は、回転部材の回転数が低速であっても密封性を確保することができ、さらに、回転部材の回転数が高速となった場合に、シールリップとシール面との間の焼き付きや摩耗を抑えることができる密封装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するための本発明の密封装置は、回転部材に取り付けられる環状のシール本体を備え、このシール本体は、前記回転部材が停止している状態又は低速で回転している状態で、前記回転部材と同軸状に設けられる固定部材のシール面に摺動可能なシールリップを有している密封装置であって、前記シール本体が、前記回転部材と共に高速回転することで作用する遠心力によって前記シールリップを前記シール面から離す方向に弾性変形する弾性変形部を有し、前記シール本体に一体又は別体として周方向に間隔を有して複数設けられ、前記遠心力を増大させる重量部を備えている。
この密封装置によれば、回転部材が停止又は低速で回転している場合、遠心力は作用せず又は遠心力は小さく、シールリップはシール面に接触しシール性能を有することができる。この場合、回転部材は停止又は低速であるため、シールリップとシール面との間の焼き付きや摩耗を抑えることができる。
一方、回転部材が高速回転している場合、作用する遠心力が重量部によって増大し、この遠心力によってシールリップをシール面から離すように弾性変形部が弾性変形する。これにより、シールリップとシール面との接触力を弱めることができる。このように、回転部材が高速回転しても、シールリップとシール面との間の焼き付きや摩耗を抑えることができる。
また、重量部は、シール本体に複数設けられ周方向に間隔を有していることから、重量部自身の剛性によって前記弾性変形部が弾性変形しにくくなることを防止している。つまり、重量部を全周に連続して設けると、その重量部の剛性によって弾性変形部は変形しにくくなってしまう。
一方、回転部材が高速回転している場合、作用する遠心力が重量部によって増大し、この遠心力によってシールリップをシール面から離すように弾性変形部が弾性変形する。これにより、シールリップとシール面との接触力を弱めることができる。このように、回転部材が高速回転しても、シールリップとシール面との間の焼き付きや摩耗を抑えることができる。
また、重量部は、シール本体に複数設けられ周方向に間隔を有していることから、重量部自身の剛性によって前記弾性変形部が弾性変形しにくくなることを防止している。つまり、重量部を全周に連続して設けると、その重量部の剛性によって弾性変形部は変形しにくくなってしまう。
また、前記密封装置は、前記シールリップを付勢して前記シール面に接触させる環状のばね部材を更に備え、前記重量部は、前記ばね部材を介して前記シール本体に取り付けられているのが好ましい。
この密封装置によれば、回転部材が停止又は低速で回転している場合、ばね部材によってシールリップをシール面に接触させることができ、シール性能を確保することができる。一方、回転部材が高速で回転している場合、重量部によって遠心力を増大させ、ばね部材によってシールリップをシール面に接触させる力を、弱めることができ、シールリップとシール面との間の焼き付きや摩耗を抑えることができる。
この密封装置によれば、回転部材が停止又は低速で回転している場合、ばね部材によってシールリップをシール面に接触させることができ、シール性能を確保することができる。一方、回転部材が高速で回転している場合、重量部によって遠心力を増大させ、ばね部材によってシールリップをシール面に接触させる力を、弱めることができ、シールリップとシール面との間の焼き付きや摩耗を抑えることができる。
また、前記密封装置において、前記重量部は前記弾性変形部に周方向に間隔を有して複数設けられ、前記弾性変形部は、前記重量部が設けられた第一変形部と、周方向で隣り合う前記第一変形部の相互間に設けられた第二変形部とを有し、前記第二変形部は前記第一変形部よりも剛性が低いのが好ましい。
この密封装置によれば、重量部によって増大させた遠心力により、当該重量部が設けられた第一変形部が弾性変形すると、この第一変形部に追従して第二変形部が容易に弾性変形することができる。このため、重量部が周方向に間欠的に設けられているにもかかわらず、シールリップが全周にわたってシール面から離れ易くなり、シールリップとシール面との接触力を弱めることができる。
この密封装置によれば、重量部によって増大させた遠心力により、当該重量部が設けられた第一変形部が弾性変形すると、この第一変形部に追従して第二変形部が容易に弾性変形することができる。このため、重量部が周方向に間欠的に設けられているにもかかわらず、シールリップが全周にわたってシール面から離れ易くなり、シールリップとシール面との接触力を弱めることができる。
また、前記密封装置において、前記重量部は前記弾性変形部に周方向に間隔を有して複数設けられ、前記弾性変形部は、前記重量部が設けられた第一変形部と、周方向で隣り合う前記第一変形部の相互間に設けられた第二変形部とを有し、前記第二変形部は前記第一変形部よりも薄肉であるのが好ましい。
この密封装置によれば、重量部によって増大させた遠心力により、当該重量部が設けられた第一変形部が弾性変形すると、この第一変形部に追従して第二変形部が容易に弾性変形することができる。このため、重量部が周方向に間欠的に設けられているにもかかわらず、シールリップが全周にわたってシール面から離れ易くなり、シールリップとシール面との接触力を弱めることができる。
この密封装置によれば、重量部によって増大させた遠心力により、当該重量部が設けられた第一変形部が弾性変形すると、この第一変形部に追従して第二変形部が容易に弾性変形することができる。このため、重量部が周方向に間欠的に設けられているにもかかわらず、シールリップが全周にわたってシール面から離れ易くなり、シールリップとシール面との接触力を弱めることができる。
本発明の密封装置によれば、回転部材が停止又は低速で回転している場合、シールリップはシール面に接触しシール性能を有することができる。この際、回転部材が停止又は低速で回転しているため、シールリップとシール面との間の焼き付きや摩耗を抑えることができる。一方、回転部材が高速回転している場合、重量部によって増大させた遠心力により、弾性変形部が弾性変形し、シールリップをシール面から離すので、シールリップとシール面との接触力が弱まり、シールリップとシール面との間の焼き付きや摩耗を抑えることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の密封装置及びこの密封装置が取り付けられた軸受装置の実施の一形態を示す縦断面図である。軸受装置10は、ケーシング20に対して回転軸15を回転自在に支持しており、外輪11と、この外輪11と同心上に設けられた内輪12と、外輪11と内輪12との間に設けられた転動体としての複数の玉13と、これら複数の玉13を等間隔で保持している保持器14とを備えている。外輪11の内周面に外輪軌道面11aが形成されており、内輪12の外周面に内輪軌道面12aが形成されており、複数の玉13は、外輪軌道面11a及び内輪軌道面12aを転動する。
図1は本発明の密封装置及びこの密封装置が取り付けられた軸受装置の実施の一形態を示す縦断面図である。軸受装置10は、ケーシング20に対して回転軸15を回転自在に支持しており、外輪11と、この外輪11と同心上に設けられた内輪12と、外輪11と内輪12との間に設けられた転動体としての複数の玉13と、これら複数の玉13を等間隔で保持している保持器14とを備えている。外輪11の内周面に外輪軌道面11aが形成されており、内輪12の外周面に内輪軌道面12aが形成されており、複数の玉13は、外輪軌道面11a及び内輪軌道面12aを転動する。
外輪11は、ケーシング20に形成された環状の凹溝21に嵌合し固定されている。内輪12は回転軸15に外嵌し固定されている。以上より、外輪11及びケーシング20が固定部材であり、内輪12及び回転軸15が回転部材である。そして、回転部材は固定部材と同軸状に設けられており、回転部材が固定部材に対して回転軸15の軸線回りに回転自在となっている。
密封装置Sは内輪12に取り付けられており、玉13を挟んで軸方向の両側に設けられている。密封装置Sは、内輪12の外周面に取り付けられた環状のシール本体1を備えている。シール本体1は弾性部材からなり、例えばゴム製や樹脂製である。
図2は密封装置Sの断面図である。密封装置Sのシール本体1は、内輪12に取り付けられる取付部5と、取付部5から径方向外側へ延びている本体部6と、この本体部6の径方向外側部に設けられている弾性変形部7と、突出部41とを有している。そして、弾性変形部7の先端部がシールリップ(リップ先端部)8である。また、図1と図2とにおいて、外輪11の内周面には環状のスリンガ42が嵌め合わされ、スリンガ42の内側面(軸方向の玉13側の面)が、前記シールリップ8が接触可能であるシール面9となっている。
図2は密封装置Sの断面図である。密封装置Sのシール本体1は、内輪12に取り付けられる取付部5と、取付部5から径方向外側へ延びている本体部6と、この本体部6の径方向外側部に設けられている弾性変形部7と、突出部41とを有している。そして、弾性変形部7の先端部がシールリップ(リップ先端部)8である。また、図1と図2とにおいて、外輪11の内周面には環状のスリンガ42が嵌め合わされ、スリンガ42の内側面(軸方向の玉13側の面)が、前記シールリップ8が接触可能であるシール面9となっている。
前記取付部5は、内輪12の外周面の軸方向端部に形成された周溝12bに嵌め込まれている。取付部5が周溝12bに嵌め込まれることによって、密封装置Sは軸受装置10に装着される。これにより、回転軸15が内輪12と共に回転すると、密封装置Sも内輪12と一体となって回転軸15の軸線回りに回転する。
前記本体部6は、取付部5から径方向の外方へ向かって延びており、本体部6の先端部は、前記シール面9に対向する位置まで達している。
前記突出部41は、本体部6から径方向の外方側かつ軸方向の玉13とは反対側(軸方向外側)へ向かって延びており、前記突出部41の先端は、スリンガ42の軸方向の玉13とは反対側かつ前記スリンガ42の径方向の内方側の先端よりも径方向の外方側にまで達してスリンガ42と非接触かつ軸方向に対向している。すなわち、突出部41の先端は、スリンガ42の内径側端部に対して、軸方向で玉13とは反対側(軸方向外側)において対向している。
前記本体部6は、取付部5から径方向の外方へ向かって延びており、本体部6の先端部は、前記シール面9に対向する位置まで達している。
前記突出部41は、本体部6から径方向の外方側かつ軸方向の玉13とは反対側(軸方向外側)へ向かって延びており、前記突出部41の先端は、スリンガ42の軸方向の玉13とは反対側かつ前記スリンガ42の径方向の内方側の先端よりも径方向の外方側にまで達してスリンガ42と非接触かつ軸方向に対向している。すなわち、突出部41の先端は、スリンガ42の内径側端部に対して、軸方向で玉13とは反対側(軸方向外側)において対向している。
図2において、前記弾性変形部7は、本体部6と連続しており当該本体部6よりも薄肉となっている首部17と、この首部17から回転軸15の軸線に平行な方向へ折れ曲がりシール面9へ向かって延びている変形本体部18とからなる。この変形本体部18の先端部側がシールリップ8である。変形本体部18は、基部側である首部17を基点として全体が径方向外側へ反るように弾性変形可能となっている。また、首部17は本体部6よりも薄肉であり断面が小さいことから、図4に示しているように、首部17がシール面9から離反する方向(軸線に平行な方向)へ容易に弾性変形可能であり、シールリップ8をシール面9から離反させることができる。なお、本体部6のうち突出部41との結合部分よりも径方向の外方側の部分についても(首部17側の一部も)弾性変形可能であってもよい。
このように構成した密封装置Sが軸受装置10に取り付けられており、回転部材が停止している状態又は低速で回転している状態(図1及び図2)では、シールリップ(リップ先端部)8はシール面9に接触した状態であり摺動可能である。そして、回転部材が高速(例えばdmn値が100万)で回転している状態(図3及び図4)では、弾性変形部7は回転部材と共に高速回転し、この高速回転によって弾性変形部7に作用する遠心力f1によって、シールリップ8をシール面9から離そうとするように(又は離すように)、弾性変形部7は弾性変形可能となっている。つまり、弾性変形部7は、シールリップ8をシール面9から離す方向に弾性変形する。
そして、本発明の密封装置Sは、弾性変形部7に作用する遠心力を増大させる重量部3を複数備えている。重量部3は、シール本体1の周方向の少なくとも三箇所に間隔を有して設けられている。つまり、密封装置Sが回転部材と共に回転すると、重量部3には、遠心力f2が作用する(図4参照)。この重量部3は弾性変形部7に取り付けられていることから、弾性変形部7に作用する遠心力Fは、前記遠心力f1に、重量部3に作用している遠心力f2が加算され(F=f1+f2)、全体としての遠心力Fを増大させることができる。
図5は重量部3が取り付けられたシール本体1を側面から見た模式図である。図6は図5の断面図である(VI矢視の断面図)。この密封装置S(第一実施形態)は、シールリップ8をシール面9(図2参照)に接触させるように付勢する環状のばね部材(ガータスプリング)4を更に備えている。このばね部材4は、弾性変形部7の内の変形本体部18の外周面に形成された凹溝に嵌め込まれて取り付けられている。
この実施形態の重量部3は、シール本体1とは別部材であって金属製の錘部材であり、ばね部材4に固定されている。重量部3のばね部材4への固定は、ばね部材4の一部に当該重量部3をかしめることによって行なうことができる。重量部3は弾性変形部7の周方向に、シール本体1とは別体として、複数個(少なくとも三個)設けられており、これら重量部3は周方向に等間隔で設けられている。
この実施形態の重量部3は、シール本体1とは別部材であって金属製の錘部材であり、ばね部材4に固定されている。重量部3のばね部材4への固定は、ばね部材4の一部に当該重量部3をかしめることによって行なうことができる。重量部3は弾性変形部7の周方向に、シール本体1とは別体として、複数個(少なくとも三個)設けられており、これら重量部3は周方向に等間隔で設けられている。
この実施形態によれば、重量部3は、ばね部材4を介してシール本体1に取り付けられている構成となり、この密封装置Sによれば、回転部材が停止している又は低速で回転している場合(図1及び図2)では、弾性変形部7に遠心力は作用せず又は作用する遠心力は小さく、ばね部材4の付勢力によってシールリップ8をシール面9に接触させる(押し付ける)ことができ、シール性能を確保することができる。この場合、回転部材は停止している又は低速で回転しているため、シールリップ8とシール面9との間の発熱、焼き付き、摩耗を抑えることができる。
一方、回転部材が高速で回転している場合(図3及び図4)では、重量部3に大きな遠心力f2が作用し(図4参照)、この重量部3によってばね部材4及び弾性変形部7に作用させる遠心力Fを増大させることができる。このため、ばね部材4によってシールリップ8をシール面9に接触させる力を弱めることができ、さらには、シールリップ8をシール面9から離反させることができ、シールリップ8とシール面9との間の発熱、焼き付き、摩耗を抑えることができる。このため密封装置Sの寿命を長くすることができる。また、このとき、突出部41では、密封装置Sよりも軸方向に玉13とは反対側(密封装置Sよりも軸方向外側)にある液体や塵埃が付着したときに、遠心力で振り切ることができる。
なお、図6に示しているように、重量部3は、軸線に平行な方向について、変形本体部18の内の中央部よりもシールリップ8の先端(リップ先端部)寄りの位置に設けられているのが好ましい。これにより、重量部3に作用する大きな遠心力f2よって、首部17側を基点として弾性変形部7は径方向外側へ大きく変形することができる。
なお、図6に示しているように、重量部3は、軸線に平行な方向について、変形本体部18の内の中央部よりもシールリップ8の先端(リップ先端部)寄りの位置に設けられているのが好ましい。これにより、重量部3に作用する大きな遠心力f2よって、首部17側を基点として弾性変形部7は径方向外側へ大きく変形することができる。
図7は、重量部3が取り付けられたシール本体1を側面から見た模式図である。図8と図9とは図7の断面図である(VIII矢視の断面図とIX矢視の断面図)。図10は重量部3及びこの重量部3が取り付けられたシール本体1を軸線に平行な方向から見た部分断面図である。
この密封装置S(第二実施形態)では、重量部3は弾性変形部7に直接的に取り付けられている。重量部3は、シール本体1と同じ材質のものであってもよいが、シール本体1よりも比重が大きい部材とするのが好ましい。例えば、重量部3を金属製部材とするのが、遠心力を増大させることができる点で好ましい。
この実施形態の重量部3は、弾性変形部7の変形本体部18に固定されており、重量部3の変形本体部18への固定は、加硫接着により行なうことができる。これにより、重量部3はシール本体1とは別部材(別材料)であるが、当該シール部材1と一体として設けられている。そして、重量部3は、変形本体部18の周方向に複数個(少なくとも三個)設けられており、これら重量部3は周方向に等間隔で設けられている。
この密封装置S(第二実施形態)では、重量部3は弾性変形部7に直接的に取り付けられている。重量部3は、シール本体1と同じ材質のものであってもよいが、シール本体1よりも比重が大きい部材とするのが好ましい。例えば、重量部3を金属製部材とするのが、遠心力を増大させることができる点で好ましい。
この実施形態の重量部3は、弾性変形部7の変形本体部18に固定されており、重量部3の変形本体部18への固定は、加硫接着により行なうことができる。これにより、重量部3はシール本体1とは別部材(別材料)であるが、当該シール部材1と一体として設けられている。そして、重量部3は、変形本体部18の周方向に複数個(少なくとも三個)設けられており、これら重量部3は周方向に等間隔で設けられている。
複数の重量部3は、周方向に間隔を有して変形本体部18に固定されていることから、この変形本体部18の内、重量部3を固定している周方向の部分が第一変形部31であり、この第一変形部31以外の部分が第二変形部32である。つまり、周方向で隣り合う第一変形部31の相互間に設けられている部分が第二変形部32である。そして、第二変形部32は、第一変形部31よりも剛性が低く構成されている。
この構成を具体的に説明すると、変形本体部18は軸線方向に短い円筒形状となっており、図8、図9及び図10に示しているように、変形本体部18の外周面が周方向に連続した凹凸形状となっている。そして、凸形状となっている部分が前記第一変形部31であり、凹形状となっている部分が前記第二変形部32である。つまり、第二変形部32の厚さ寸法t2は、第一変形部31の厚さ寸法t1よりも小さく(図8と図9参照)、第二変形部32は、第一変形部31よりも薄肉となっている(t2<t1)。以上より、第二変形部32は、第一変形部31よりも弾性変形し易くなっている。
この構成を具体的に説明すると、変形本体部18は軸線方向に短い円筒形状となっており、図8、図9及び図10に示しているように、変形本体部18の外周面が周方向に連続した凹凸形状となっている。そして、凸形状となっている部分が前記第一変形部31であり、凹形状となっている部分が前記第二変形部32である。つまり、第二変形部32の厚さ寸法t2は、第一変形部31の厚さ寸法t1よりも小さく(図8と図9参照)、第二変形部32は、第一変形部31よりも薄肉となっている(t2<t1)。以上より、第二変形部32は、第一変形部31よりも弾性変形し易くなっている。
この実施形態によれば、前記回転部材が高速回転している場合、重量部3に大きな遠心力f2が作用し(図4参照)、この重量部3によって弾性変形部7の第一変形部31に作用する遠心力Fを増大させることができ、この遠心力Fによって第一変形部31が大きく弾性変形することができる。第一変形部31が大きく弾性変形すると、当該第一変形部31の先端部側にあるシールリップ8はシール面9から離れることができる。さらに、前記遠心力Fによって第一変形部31が大きく弾性変形すると、第二変形部32は弾性変形し易い構成となっていることから、この第一変形部31の変形に追従するようにして第二変形部32も弾性変形することができる。
したがって、重量部3は周方向に間欠的に設けられているが、弾性変形部7は、シールリップ8をその全周にわたってシール面9から離すように、弾性変形することができ、シールリップ8とシール面9との接触力を全周にわたって弱めることができる。さらには、シールリップ8をシール面9から離反させることができる。以上より、シールリップ8とシール面9との間の発熱、焼き付き、摩耗を抑えることができ、密封装置Sの寿命を長くすることができる。
したがって、重量部3は周方向に間欠的に設けられているが、弾性変形部7は、シールリップ8をその全周にわたってシール面9から離すように、弾性変形することができ、シールリップ8とシール面9との接触力を全周にわたって弱めることができる。さらには、シールリップ8をシール面9から離反させることができる。以上より、シールリップ8とシール面9との間の発熱、焼き付き、摩耗を抑えることができ、密封装置Sの寿命を長くすることができる。
また、図9に示しているように、重量部3は、軸線に平行な方向に沿って変形本体部18の全長にわたって設けられているのではなく、重量部3は、変形本体部18に部分的に設けられているのが好ましい。これにより、変形本体部18は首部17側を基点として径方向外側へ反るようにして変形し易くなる。
特に、重量部3は、軸線に平行な方向について、変形本体部18の内の、中央部よりもシールリップ8の先端寄りの位置に設けられているのが好ましい。これにより、重量部3に作用する大きな遠心力f2よって、首部17側を基点として弾性変形部7は径方向外側へ大きく変形することができる。
特に、重量部3は、軸線に平行な方向について、変形本体部18の内の、中央部よりもシールリップ8の先端寄りの位置に設けられているのが好ましい。これにより、重量部3に作用する大きな遠心力f2よって、首部17側を基点として弾性変形部7は径方向外側へ大きく変形することができる。
一方、前記回転部材が停止している又は低速で回転している場合では、弾性変形部7に遠心力は作用せず又は作用する遠心力は小さく、シールリップ8はシール面9に接触したままであり、シール性能を有することが可能である。この場合、回転部材は停止している又は低速で回転しているため、シールリップ8とシール面9との間の発熱、焼き付き、摩耗を抑えることができる。
また、前記各実施形態において、重量部3は、シール本体1の周方向に等間隔で設けられていることから、重量部3自身の剛性によって弾性変形部7が弾性変形しにくくなることを防止している。つまり、図示しないが、重量部を全周に連続するように(環状に)設けると、この重量部が弾性変形部7の剛性を高めるリブとしての機能を有してしまい、この剛性によって弾性変形部7は変形しにくくなってしまう。しかし、本発明によれば、重量部3は周方向に連続しておらず間欠的に設けられていることから、重量部3は弾性変形部7の弾性変形を阻害しない。
また、本発明の密封装置Sは、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであっても良い。重量部3の数は任意であり、密封装置Sの直径に応じて、その数を増減設定することができる。また、重量部3の周方向の長さも変更可能であり、図10に示しているように帯状に形成してもよく、又は、複数の重量部3を周方向に点状に配置してもよい。
また、図9と図10の形態では、重量部3をシール本体1と別部材で一体として説明したが、重量部3をシール本体1と同じ部材(同じ材質)として当該シール本体と一体に形成してもよい。
また、図9と図10の形態では、重量部3をシール本体1と別部材で一体として説明したが、重量部3をシール本体1と同じ部材(同じ材質)として当該シール本体と一体に形成してもよい。
また、図10では、重量部3と第一変形部31との周方向の長さを同一としているが、これ以外として、図示しないが、重量部3の周方向の長さを第一変形部31の周方向の長さよりも長くしてもよく、又は、重量部3の周方向の長さを第一変形部31の周方向の長さよりも短くしてもよい。
さらに、前記実施形態では、重量部3を変形本体部18の外周面側に設けた場合を説明したが、内周面側に設けてもよい。
また、前記実施形態でシール本体1は、突出部41を備えていたが、この突出部41は無くてもよい。特に、シールリップをシール面の軸方向の外側から接触させる場合には、当該シールリップが突出部の作用を奏することができる。
また、前記実施形態で、シールリップ8はスリンガ42のシール面9に摺接するように形成されていたが、シール面は、少なくとも径方向に延在するように形成され(軸方向に傾いていてもよい)、かつ、シールリップが摺接可能な環状の面であって、シールリップが遠心力でシール面から離れることができるように形成されていればよく、シール面はいかなる面であってもよい。
また、本発明の密封装置Sは、軸受装置10以外に、回転軸が低速回転から高速回転まで変化するような装置に適用することができ、この場合、回転軸に密封装置Sを直接取り付ければよい。
さらに、前記実施形態では、重量部3を変形本体部18の外周面側に設けた場合を説明したが、内周面側に設けてもよい。
また、前記実施形態でシール本体1は、突出部41を備えていたが、この突出部41は無くてもよい。特に、シールリップをシール面の軸方向の外側から接触させる場合には、当該シールリップが突出部の作用を奏することができる。
また、前記実施形態で、シールリップ8はスリンガ42のシール面9に摺接するように形成されていたが、シール面は、少なくとも径方向に延在するように形成され(軸方向に傾いていてもよい)、かつ、シールリップが摺接可能な環状の面であって、シールリップが遠心力でシール面から離れることができるように形成されていればよく、シール面はいかなる面であってもよい。
また、本発明の密封装置Sは、軸受装置10以外に、回転軸が低速回転から高速回転まで変化するような装置に適用することができ、この場合、回転軸に密封装置Sを直接取り付ければよい。
1 シール本体
3 重量部
4 ばね部材
7 弾性変形部
8 シールリップ
9 シール面
11 外輪
12 内輪
15 回転軸
20 ケーシング
31 第一変形部
32 第二変形部
F,f1,f2 遠心力
S 密封装置
3 重量部
4 ばね部材
7 弾性変形部
8 シールリップ
9 シール面
11 外輪
12 内輪
15 回転軸
20 ケーシング
31 第一変形部
32 第二変形部
F,f1,f2 遠心力
S 密封装置
Claims (4)
- 回転部材に取り付けられる環状のシール本体を備え、このシール本体は、前記回転部材が停止している状態又は低速で回転している状態で、前記回転部材と同軸状に設けられる固定部材のシール面に摺動可能なシールリップを有している密封装置であって、
前記シール本体が、前記回転部材と共に高速回転することで作用する遠心力によって前記シールリップを前記シール面から離す方向に弾性変形する弾性変形部を有し、
前記シール本体に一体又は別体として周方向に間隔を有して複数設けられ、前記遠心力を増大させる重量部を備えていることを特徴とする密封装置。 - 前記シールリップを付勢して前記シール面に接触させる環状のばね部材を更に備え、
前記重量部は、前記ばね部材を介して前記シール本体に取り付けられている請求項1に記載の密封装置。 - 前記重量部は前記弾性変形部に周方向に間隔を有して複数設けられ、
前記弾性変形部は、前記重量部が設けられた第一変形部と、周方向で隣り合う前記第一変形部の相互間に設けられた第二変形部とを有し、
前記第二変形部は前記第一変形部よりも剛性が低い請求項1に記載の密封装置。 - 前記重量部は前記弾性変形部に周方向に間隔を有して複数設けられ、
前記弾性変形部は、前記重量部が設けられた第一変形部と、周方向で隣り合う前記第一変形部の相互間に設けられた第二変形部とを有し、
前記第二変形部は前記第一変形部よりも薄肉である請求項1に記載の密封装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008158076A JP2009299873A (ja) | 2008-06-17 | 2008-06-17 | 密封装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008158076A JP2009299873A (ja) | 2008-06-17 | 2008-06-17 | 密封装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009299873A true JP2009299873A (ja) | 2009-12-24 |
Family
ID=41546969
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008158076A Pending JP2009299873A (ja) | 2008-06-17 | 2008-06-17 | 密封装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2009299873A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016183691A (ja) * | 2015-03-25 | 2016-10-20 | 光洋シーリングテクノ株式会社 | 密封装置、及びこれを備えた転がり軸受装置 |
KR20190070562A (ko) * | 2017-12-13 | 2019-06-21 | 현대자동차주식회사 | 휠 베어링 및 이의 씰링부재 변형방법 |
-
2008
- 2008-06-17 JP JP2008158076A patent/JP2009299873A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2016183691A (ja) * | 2015-03-25 | 2016-10-20 | 光洋シーリングテクノ株式会社 | 密封装置、及びこれを備えた転がり軸受装置 |
KR20190070562A (ko) * | 2017-12-13 | 2019-06-21 | 현대자동차주식회사 | 휠 베어링 및 이의 씰링부재 변형방법 |
KR102452698B1 (ko) * | 2017-12-13 | 2022-10-11 | 현대자동차주식회사 | 휠 베어링 및 이의 씰링부재 변형방법 |
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