JP6644434B2 - 硬化性樹脂組成物、硬化物、および積層体 - Google Patents
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Description
一方、IT関連製品の製造において、近年、生産性向上が大きな課題とされている。
通常、部材の貼り合わせや表面被覆に用いる組成物には、高分子量体を含むことが必要であり、溶剤や水等の溶媒を含むものである。
従って、該組成物を基材表面等に塗布した後、該組成物中に含まれる溶媒を除去する工程に多くの時間を要し、製品の生産性を低下させる一因となっていた。
生産性を向上させる組成物としては、例えば活性エネルギー線硬化型粘着剤が知られている。
活性エネルギー線硬化型粘着剤は、通常、溶剤や水等の溶媒を含まないため、粘着剤層を形成する際に、それら溶媒を除去する工程を要しないという特徴がある。
前記IT製品等の製造に使用可能なレベルの密着性を有し、かつ、従来と比較して最終製品の生産性を向上させる粘着剤としては、例えば2個以上のアクリレート基を有するポリマー20〜80質量%と、可塑剤20〜80質量%と、アクリレート系モノマー0〜30質量%と更に光重合開始剤を含むことを特徴とする粘着剤組成物が知られている(特許文献1参照)。
本発明の目的は、無溶剤であって活性エネルギー線照射および又は加熱により硬化し、初期硬化性に優れ、その硬化物が柔軟性に優れ、耐熱黄変性に優れ、基材に対して経時的な剥離を起こさないレベルの密着性を示す特徴を有する硬化性樹脂組成物を提供することにある。
[1](A)数平均分子量が400以上10000以下であり、繰り返し単位−CH2C(CH3)2−O−を有するポリエーテルポリオールにイソシアナート基を有する(メタ)アクリレート、及び/又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られるポリエーテル系ポリマー、(B)繰り返し単位−CH 2 C(CH 3 ) 2 −O−を有するポリエーテルポリオール、および(C)共役ジエン系化合物を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
[2]好ましい実施形態として、前記(A) 数平均分子量が400以上10000以下であり、繰り返し単位−CH2C(CH3)2−O−を有するポリエーテルポリオールにイソシアナート基を有する(メタ)アクリレート、及び/又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られるポリエーテル系ポリマーの含有量が硬化性樹脂組成物の全質量部に対して10質量%以上80質量%以下である硬化性樹脂組成物。
[3]好ましい実施形態として、前記(A) 数平均分子量が400以上10000以下であり、繰り返し単位−CH2C(CH3)2−O−を有するポリエーテルポリオールにイソシアナート基を有する(メタ)アクリレート、及び/又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られるポリエーテル系ポリマー、及び(B)繰り返し単位:−CH2C(CH3)2−O−を有するポリエーテルポリオールの含有量が硬化性樹脂組成物の全質量部に対して10質量%以上98質量%以下であり、(A)と(B)の含有比率(質量比)は、(A)/(B)=1/99〜80/20である硬化性樹脂組成物。
[4]好ましい実施形態として、前記(C)共役ジエン系化合物の含有量が、硬化性樹脂組成物の全質量部に対して1質量%以上80質量%以下である硬化性樹脂組成物。
[5]好ましい実施形態として、(D)(メタ)アクリル酸エステル化合物を含有する硬化性樹脂組成物。
[6]好ましい実施形態として、前記(D)(メタ)アクリル酸エステル化合物の含有量が、硬化性樹脂組成物の全質量部に対して0質量%超70質量%以下である硬化性樹脂組成物。
[7]好ましい実施形態として、更に(E)可塑剤を含有する硬化性樹脂組成物。
[8]好ましい実施形態として、前記(E)可塑剤の含有量が、硬化性樹脂組成物の全質量部に対して0質量%超60質量%以下である硬化性樹脂組成物。
[9]上記硬化性樹脂組成物を硬化して得られることを特徴とする硬化物。
[10]上記硬化物を有することを特徴とする積層体。
前記イソシアナート基を有する(メタ)アクリレートは、特に限定されないが具体的には2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアナートが挙げられる。これらは単独で使用することも複数併用することもできる。
上記ウレタン化反応は、公知の方法で行うことが可能である。例えば、所定量のポリエーテルポリオールを投入し、イソシアナート基を有する(メタ)アクリレートを一括で仕込み、70〜80℃で遊離イソシアネートが無くなるまで加温・攪拌することで合成可能である。この時、反応を促進させるために、ジブチルチンジラウレート等のスズ系触媒を添加することもできる。
他の繰り返し単位としては、一般にポリエーテルポリオールの繰り返し単位として公知の構造が挙げられ、特に制限されないが具体的には、−CH2O−、−CH2CH2O−、−CH2CH(CH3)O−等が挙げられる。
400未満であれば硬化物の硬度が高くなりすぎる、また反応中に揮発する恐れがあり、10000を超える場合は合成が困難である。
触媒としては、例えば、アルカリ金属の水酸化物、アミン等の塩基性触媒、または、硫酸、リン酸、塩酸のような鉱酸もしくはその金属塩からなる酸触媒、第4級アンモニウム塩、複合金属シアン化物錯体等があるが、これに限定されない。
活性水素化合物として、例えば、メタノール、エタノールなどのモノオール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール、ソルビトール、シュークロース等の4価以上の多価アルコール、ビスフェノールAなどのフェノール性水酸基やメチロール基を有する化合物、エタノールアミン、ジエタノールアミンなどの水酸基と他の活性水素を有する化合物、モノアミンやポリアミンなどのアミン類があるが、これに限定されない。
他のアルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリンなどの炭素数2個〜4個のアルキレンオキシドがある。これらの他のアルキレンオキシドは、一種類単独で用いても良く、二種類以上を併用してもよい。
10質量%未満の場合では、硬化物の柔軟性が失われ、80質量%超の場合は、耐熱黄変性が悪くなるという不具合が生じる。
10質量%未満の場合では、硬化物の柔軟性が失われ、98質量%超の場合は、耐熱黄変性が悪くなるという不具合が生じる。
また、(A)と(B)の含有比率(質量比)は、(A)/(B)=1/99〜80/20であることが好ましく、(A)/(B)=2/98〜80/20がより好ましい。
含有比率(質量比)が、(A)/(B)=1/99〜80/20の範囲を外れた場合、耐熱黄変性が悪くなる。
500未満であれば粘度が低すぎるため硬化物から流動し、20000を超える場合は硬化性樹脂組成物が高粘度になりすぎる。
上記(D)(メタ)アクリル酸エステル化合物は、特に限定されないが具体的には、3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンスピロ−2−(1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−オキセタニルメチルアクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いても、複数種を併用してもよい。
特に、低粘度および低臭気性の観点からラウリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
70質量%超の場合は硬化物の柔軟性が失われるという不具合が生じる。
ここでいう活性エネルギー線による重合開始剤は、光重合開始剤と紫外線等の活性エネルギー線による重合開始剤との双方を含むものとする。
なお、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させるエネルギー線源は特に限定されないが、例としては、高圧水銀灯、電子線、γ線、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯等が挙げられる。
これらの有機化酸化物は、1種類または2種類以上を使用でき、その量は、紫外線硬化型樹脂組成物100質量部に対して0.1〜10質量部、好ましくは1〜5質量部である。
添加剤の例としては、光安定剤、紫外線吸収剤、触媒、消泡剤、重合促進剤、酸化防止剤、難燃剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、可塑剤、分散剤等が挙げられる。
[合成例1]
フラスコに2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート27g(0.2モル)、ポリエーテルポリオールとして数平均分子量Mnが3000であるポリブチレングリコール3000g(1モル)を仕込み、80℃にて遊離イソシアネートが0.1%以下になるまで反応を行い、ポリエーテル系ポリマーA−2を得た。
フラスコに2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート282g(2モル)、ポリエーテルポリオールとして数平均分子量Mnが3000であるポリブチレングリコール3000g(1モル)を仕込み、80℃にて遊離イソシアネートが0.1%以下になるまで反応を行い、ポリエーテル系ポリマーA−3を得た。
フラスコに2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート282g(2モル)、ポリエーテルポリオールとして数平均分子量Mnが300であるポリブチレングリコール300g(1モル)を仕込み、80℃にて遊離イソシアネートが0.1%以下になるまで反応を行い、ポリエーテル系ポリマーA−4を得た。
フラスコに2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート282g(2モル)、ポリエーテルポリオールとして数平均分子量Mnが10000であるポリプロピレングリコール10000g(1モル)を仕込み、80℃にて遊離イソシアネートが0.1%以下になるまで反応を行い、ポリエーテル系ポリマーE−1を得た。
下記表1記載の各成分と配合量に従って一括で配合し、ディスパーサーで混合攪拌し、硬化型樹脂組成物を得た。
表1に記載した化合物の記号は、以下の化合物を表す。
(A−1)ポリブチレンポリオール[商品名「PBG−3000」第一工業製薬(株)製]
(B−1)共役ジエン系化合物[商品名「NISSO−PB B−3000」日本曹達(株)製]
(B−2)共役ジエン系化合物[商品名「NISSO−PB G−1000」日本曹達(株)製]
(C−1)(メタ)アクリル酸エステル化合物[商品名「ニューフロンティア NDDA」第一工業製薬(株)製]
(C−2)(メタ)アクリル酸エステル化合物[商品名「ラウリルアクリレート」大阪有機化学工業(株)製]
(D−1)ロジンエステル樹脂[商品名「パインクリスタル KE−311」荒川化学工業(株)製]
(F−1)2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド[商品名「LUCIRIN TPO」BASF社製]
硬化型樹脂組成物を300μmのスペーサーを4辺に配置した所定寸法のガラス上に滴下し、ガラス板に充填させ、その上から同寸法のガラス板を被せた。次に、高圧水銀ランプ80W/cmを用いて、積算照度5000mJ/cm2にて、空気雰囲気下にて照射し硬化し硬化物を得た。
前記硬化性樹脂組成物の透明性、及び前記硬化物の耐熱性、耐熱試験後の黄変性を以下の評価基準に基づいて評価を行った。
硬化型樹脂組成物を目視にて観察し、透明なものを○、白くかすみが生じているものを×として評価した。
前記硬化物(硬化フィルム)を110℃オーブン中に500時間加熱し、硬化物が流れていないものを○、硬化物が流れているものを×とした。
前記硬化物(硬化フィルム)を110℃オーブン中に500時間加熱し、加熱後の変色を日本電色工業(株)製 Spectrophotometer SD6000を用いてYI値を測定した。
測定したYIが4未満のものを○、4以上のものを×とした。
PETフィルム上に5mmバッカーを用いて四角形の仕切りを作り、硬化型樹脂組成物を流し入れ、PETフィルムを上にかぶせて空気を遮断した。次に、高圧水銀ランプ80W/cmを用いて、積算照度2500mJ/cm2×両面にて、空気雰囲気下にて照射し硬化し硬化物を得た。
得た硬化物を恒温恒湿室にて約1時間静置した後、高分子機器(株)製ASKER Durometer TypeAにて硬度を測定した。
測定値が30以下のものを○、30以上のものを×とした。
Claims (10)
- (A)数平均分子量が400以上10000以下であり、繰り返し単位−CH2C(CH3)2−O−を有するポリエーテルポリオールにイソシアナート基を有する(メタ)アクリレート、及び/又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られるポリエーテル系ポリマー、(B)繰り返し単位−CH2C(CH3)2−O−を有するポリエーテルポリオール、および(C)共役ジエン系化合物を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
- 前記(A) 数平均分子量が400以上10000以下であり、繰り返し単位−CH2C(CH3)2−O−を有するポリエーテルポリオールにイソシアナート基を有する(メタ)アクリレート、及び/又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られるポリエーテル系ポリマーの含有量が硬化性樹脂組成物の全質量部に対して10質量%以上80質量%以下であることを特徴とする請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記(A) 数平均分子量が400以上10000以下であり、繰り返し単位−CH2C(CH3)2−O−を有するポリエーテルポリオールにイソシアナート基を有する(メタ)アクリレート、及び/又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られるポリエーテル系ポリマー、及び(B)繰り返し単位:−CH2C(CH3)2−O−を有するポリエーテルポリオールの含有量が硬化性樹脂組成物の全質量部に対して10質量%以上98質量%以下であり、(A)と(B)の含有比率(質量比)は、(A)/(B)=1/99〜80/20であることを特徴とする請求項1または2記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記(C)共役ジエン系化合物の含有量が、硬化性樹脂組成物の全質量部に対して1質量%以上80質量%以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- (D)(メタ)アクリル酸エステル化合物を含有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記(D)(メタ)アクリル酸エステル化合物の含有量が、硬化性樹脂組成物の全質量部に対して0質量%超70質量%以下であることを特徴とする請求項5に記載の硬化性樹脂組成物。
- (E)可塑剤を含有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記(E)可塑剤の含有量が、硬化性樹脂組成物の全質量部に対して0質量%超60質量%以下であることを特徴とする請求項7に記載の硬化性樹脂組成物。
- 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化して得られることを特徴とする硬化物。
- 請求項9に記載の硬化物を有することを特徴とする積層体。
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