JP2017222738A - 光硬化性樹脂組成物、画像表示用装置及び画像表示用装置の製造方法 - Google Patents

光硬化性樹脂組成物、画像表示用装置及び画像表示用装置の製造方法 Download PDF

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直己 高原
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Abstract

【課題】光硬化後の液浮きを抑制することが可能な光硬化性樹脂組成物を提供する。また、それを用いた画像表示用装置及び画像表示用装置の製造方法を提供する。
【解決手段】(A)(メタ)アクリル酸系重合体、及び、(メタ)アクリロイル基を有する重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、(B)光重合開始剤と、(C)(メタ)アクリロイル基を有する単量体と、を含有し、前記(B)成分がフェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、(A)(メタ)アクリル酸系重合体、及び、(メタ)アクリロイル基を有する重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種の重量平均分子量が50万以上光硬化性樹脂組成物。
【選択図】図2

Description

本発明は、光硬化性樹脂組成物、これを用いた画像表示用装置及び画像表示用装置の製造方法に関する。
スマートフォーン等の情報端末に用いられている液晶表示パネルなどの画像表示用装置は、画像表示部材(液晶表示パネル、有機ELパネル等)と光透過性カバー部材との間に配した光硬化性樹脂組成物に紫外線を照射し硬化させることにより形成される光透過性硬化樹脂層によって画像表示部材と光透過性カバー部材とを接着及び積層することにより製造されている(下記特許文献1参照)。
ところで、光透過性カバー部材における画像表示部材側の表面の周縁部には、表示画像の輝度又はコントラストの向上のために遮光層が設けられている場合がある。この場合、遮光層と画像表示部材との間に挟まれた光硬化性樹脂組成物の硬化が充分に進行しないことにより充分な接着力が得られず、光透過性カバー部材と画像表示部材との間の剥離、又は、その間隙への湿気の侵入による画像品質の低下等が生ずることが懸念されている。
そこで、光硬化性樹脂組成物に熱重合開始剤を配合して熱硬化性且つ光硬化性を有する樹脂組成物を用いることが提案されている。光透過性カバー部材における遮光層が形成された表面にこの樹脂組成物を塗布し、この塗布面を画像表示部材に重ね、紫外線を照射して光硬化させた後、全体を加熱することにより、遮光層と画像表示部材との間に挟まれた樹脂組成物を熱硬化させることが提案されている(下記特許文献2参照)。
また、熱重合開始剤を含有していない液状の光硬化性樹脂組成物を、遮光層を含む光透過性カバー部材の表面、又は、画像表示部材の表面に塗布した状態で紫外線を照射して、仮硬化させた仮硬化樹脂層を形成する仮硬化工程と、仮硬化樹脂層を介して画像表示部材と光透過性カバー部材とを積層する工程と、紫外線を照射し仮硬化樹脂層を本硬化させて光透過性硬化樹脂層を形成する光硬化工程と、を備える方法が提案されている(下記特許文献3参照)。
しかしながら、遮光層と画像表示部材との間に挟まれた光硬化性樹脂組成物が、半硬化状態の仮硬化樹脂層を貼り合わせてから光硬化工程を行うまでの間において、液浮きに起因する光透過性カバーと仮硬化樹脂層との位置ずれが懸念されるため、液状の光硬化性樹脂組成物を、遮光層を含む光透過性カバー部材の表面、又は、画像表示部材の表面に塗布した状態で紫外線を照射して、本硬化させた硬化樹脂層を形成する硬化工程と、硬化樹脂層を介して画像表示部材と光透過性カバー部材とを積層する工程を形成する光硬化工程と、を備える方法が提案されている(下記特許文献4参照)。
国際公開第2010/027041号 国際公開第2008/126860号 特許第5138820号公報 特願2014−265718号
上記特許文献2の技術によれば、上記特許文献1で懸念された問題の解消は期待できる。しかしながら、上記特許文献2の技術においては、光重合開始剤と熱重合開始剤とを同時に併用し、光重合プロセスに加えて熱重合プロセスを実施しなければならないため、熱重合プロセスのための設備投資の負担が大きくなるという問題がある。
また、上記特許文献3の技術によれば、上記特許文献2で懸念された問題の解消は期待できる。しかしながら、上記特許文献3の技術においては、遮光層と画像表示部材との間に挟まれた光硬化性樹脂組成物は、半硬化状態の仮硬化樹脂層を貼り合わせてから光硬化工程を行うまでの間において、液浮きに起因する光透過性カバーと仮硬化樹脂層との位置ずれが懸念される。また、上記特許文献3の技術においては、光透過性カバー部材と画像表示部材とを貼り合わせた後、更なる紫外線照射による光硬化を行い接着させるため、本硬化プロセスのための設備投資の負担が大きくなるという問題がある。
また、上記特許文献4の技術によれば、上記特許文献3で懸念された問題の解消は期待できる。しかしながら、本硬化樹脂層を介して画像表示部材と光透過性カバー部材とを積層するため、貼合時に異物を巻き込んだ場合、異物に対する樹脂の追従性が低く、耐候性試験において凝集力が不足して異物を核とした気泡やクラックの発生が懸念される。
本発明は、以上の従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、光硬化後の液浮きを抑制し、かつ、貼合時に異物を巻き込んでも信頼性の高い光硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、このような光硬化性樹脂組成物を用いた画像表示用装置及び画像表示用装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る光硬化性樹脂組成物の第1実施形態は、(A)(メタ)アクリル酸系重合体、及び、(メタ)アクリロイル基を有する重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、(B)光重合開始剤と、(C)(メタ)アクリロイル基を有する単量体と、を含有し、前記(B)成分がフェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、(A)(メタ)アクリル酸系重合体、及び、(メタ)アクリロイル基を有する重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種の重量平均分子量が50万以上である。
第1実施形態に係る光硬化性樹脂組成物によれば、光硬化後の液浮きを抑制することが可能であり、画像表示用装置を好適に得ることができる。第1実施形態に係る光硬化性樹脂組成物によれば、熱硬化プロセス及び仮硬化プロセスを経ることなく簡便な工程により画像表示用装置を得ることができる。第1実施形態に係る光硬化性樹脂組成物によれば、液浮きを抑制することができることから充分な接着力を得ることができるため、気泡の発生及び層間剥離を抑制することができる。
第1実施形態に係る光硬化性樹脂組成物において、前記フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステルの含有量は、当該樹脂組成物の全質量を基準として0質量%を超え3質量%未満であることが好ましい。
第1実施形態に係る光硬化性樹脂組成物において、前記フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステルの含有量は、前記(B)成分の全質量を基準として80質量%以上であることが好ましい。
本発明に係る光硬化性樹脂組成物の第2実施形態は、(A)(メタ)アクリル酸系重合体、及び、(メタ)アクリロイル基を有する重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、(B)光重合開始剤と、(C)(メタ)アクリロイル基を有する単量体と、を含有し、前記(B)成分の含有量が、当該樹脂組成物の全質量を基準として1質量%以上、4質量%未満である。
第2実施形態に係る光硬化性樹脂組成物によれば、光硬化後の液浮きを抑制することが可能であり、画像表示用装置を好適に得ることができる。第2実施形態に係る光硬化性樹脂組成物によれば、熱硬化プロセス及び仮硬化プロセスを経ることなく簡便な工程により画像表示用装置を得ることができる。第2実施形態に係る光硬化性樹脂組成物によれば、液浮きを抑制することができることから充分な接着力を得ることができるため、気泡の発生及び層間剥離を抑制することができる。
第2実施形態に係る光硬化性樹脂組成物において、前記(B)成分の含有量は、当該樹脂組成物の全質量を基準として2質量%以上、4質量%未満であることが好ましく、3質量%以上、4質量%未満であることがより好ましい。
本発明に係る光硬化性樹脂組成物の25℃における粘度は、0.01〜200Pa・sであることが好ましい。
また、(C)(メタ)アクリロイル基を有する単量体が、イソステアリルアクリレ−トであることが好ましい。
本発明に係る画像表示用装置の製造方法の第1実施形態は、画像表示部材と、遮光層を有する光透過性カバー部材と、前記画像表示部材及び前記光透過性カバー部材の間に配置された光透過性硬化樹脂層と、を備える画像表示用装置の製造方法であって、本発明に係る光硬化性樹脂組成物を用いて、前記画像表示部材又は前記光透過性カバー部材に接する樹脂組成物層を形成する工程と、活性エネルギー線を照射して前記樹脂組成物層を硬化させることにより光透過性硬化樹脂層を形成する硬化工程と、前記遮光層と前記光透過性硬化樹脂層とが前記画像表示部材と前記光透過性カバー部材との間に介在するように前記画像表示部材と前記光透過性カバー部材とを貼り合わせる工程と、を備える。
本発明に係る画像表示用装置の製造方法の第2実施形態は、画像表示部材と、遮光層を有する光透過性カバー部材と、前記画像表示部材及び前記光透過性カバー部材の間に配置された光透過性硬化樹脂層と、を備える画像表示用装置の製造方法であって、本発明に係る光硬化性樹脂組成物を用いて、前記画像表示部材又は前記光透過性カバー部材に接する樹脂組成物層を形成する工程と、前記遮光層と前記樹脂組成物層とが前記画像表示部材と前記光透過性カバー部材との間に介在するように前記画像表示部材と前記光透過性カバー部材とを貼り合わせる工程と、活性エネルギー線を照射して前記樹脂組成物層を硬化させることにより光透過性硬化樹脂層を形成する硬化工程と、を備える。
前記硬化工程において前記光透過性硬化樹脂層の硬化率は、80%以上であることが好ましい。
前記樹脂組成物層は、前記画像表示部材の一方面又は前記光透過性カバー部材の一方面に形成されてもよく、前記遮光層を埋め込むように形成されてもよい。
前記画像表示用装置における前記光透過性硬化樹脂層の厚さは、6〜1.5×10μmであることが好ましい。
前記画像表示部材は、偏光板、液晶表示パネル、有機EL表示パネル、プラズマ表示パネル、タッチパネル又は視差バリアパネルであってもよい。
本発明に係る画像表示用装置の第1実施形態は、本発明に係る光硬化性樹脂組成物の硬化物を備える。本発明に係る画像表示用装置の第2実施形態は、本発明に係る画像表示用装置の製造方法により得られる。
本発明によれば、光硬化後の液浮き(表面が大気に触れている状態の塗膜を光硬化した後、硬化樹脂層に接触した被着体を引き上げた際に、被着体が硬化樹脂層から脱離すると共に硬化樹脂層の成分が被着体に付着する現象)を抑制することが可能で貼合時に異物を巻き込んでも信頼性の高い光硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、このような光硬化性樹脂組成物用いた画像表示用装置及び画像表示用装置の製造方法を提供することができる。
本発明に係る光硬化性樹脂組成物は、画像表示用装置における光透過性カバー部材と画像表示部材との間の空間を充填するために好適に用いることができる。本発明によれば、光硬化性樹脂組成物の画像表示用装置及びその製造方法への使用を提供することができる。
画像表示用装置の製造方法を説明するための図である。 画像表示用装置の製造方法を説明するための図である。 画像表示用装置の製造方法を説明するための図である。 画像表示用装置の製造方法を説明するための図である。 画像表示用装置の製造方法を説明するための図である。 接着力の評価方法を説明するための図である。 液浮きの評価方法を説明するための図である。
以下、本発明に係る光硬化性樹脂組成物、並びに、これを用いた画像表示用装置及び画像表示用装置の製造方法の実施形態を詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」又はそれに対応する「メタクリレート」を意味する。「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」又はそれに対応する「メタクリル」を意味する。「(メタ)アクリロイル」とは、「アクリロイル」又はそれに対応する「メタクリロイル」を意味する。
本明細書において、「A又はB」とは、AとBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。以下で例示する材料は、特に断らない限り、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本明細書において、分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算した値であり、具体的には下記の条件により測定した値である。なお、検量線の作成には、標準ポリスチレンとして5サンプルセット(PStQuickMP−H,PStQuick B[東ソー株式会社製、商品名])を用いることができる。
装置:高速GPC装置 HCL−8320GPC(検出器:示差屈折計又はUV)(東ソー株式会社製、商品名)
使用溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
カラム:カラムTSKGEL SuperMultipore HZ−H(東ソー株式会社製、商品名)
カラムサイズ:カラム長が15cm、カラム内径が4.6mm
測定温度:40℃
流量:0.35ml/分
試料濃度:10mg/THF5ml
注入量:20μl
数平均分子量及び重量平均分子量は、以下のように定義される。
(a)数平均分子量(Mn)
Mn=Σ(N)/ΣN=ΣX(X=分子量Mの分子のモル分率=N/ΣN
(b)重量平均分子量(Mw)
Mw=Σ(N )/ΣN=ΣW(W=分子量Mの分子の重量分率=N/ΣN
<光硬化性樹脂組成物>
本実施形態に係る光硬化性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ともいう)は、(A)(メタ)アクリル酸系重合体、及び、(メタ)アクリロイル基を有する重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種(以下、「(A)成分」ともいう)と、(B)光重合開始剤(以下、「(B)成分」ともいう)と、(C)(メタ)アクリロイル基を有する単量体(モノマー。以下、「(C)成分」ともいう)と、を含有する。第1実施形態に係る樹脂組成物における(B)成分は、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステルを含み、(A)成分の重量平均分子量が50万以上であることを含む。第2実施形態に係る樹脂組成物において(B)成分の含有量は、当該樹脂組成物の全質量を基準として1質量%以上、4質量%未満である。本実施形態に係る樹脂組成物は、ペースト状であってもよく、フィルム状(フィルム状樹脂組成物)であってもよい。
((A)成分:(メタ)アクリル酸系重合体及び(メタ)アクリロイル基を有する重合体)
「(メタ)アクリル酸系重合体」は、(メタ)アクリロイル基を有する単量体を重合させて得られる重合体を意味し、(メタ)アクリル酸由来の構造単位を主鎖に有する重合体である。(メタ)アクリル酸系重合体としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する単量体を1種単独で重合させて得られる単独重合体、(メタ)アクリロイル基を有する少なくとも1種の単量体を共重合させて得られる共重合体等が挙げられる。(メタ)アクリロイル基を有する単量体としては、分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する単量体等が挙げられる。共重合体は、(メタ)アクリロイル基を有する2種以上の単量体を共重合させて得られる共重合体であってもよく、(メタ)アクリロイル基を有する単量体と、(メタ)アクリロイル基を有していない単量体とを共重合させて得られる共重合体であってもよい。(メタ)アクリロイル基を有していない単量体としては、重合性不飽和結合を分子内に1個有する化合物(アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン等)、重合性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物(ジビニルベンゼン等)などが挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を有する単量体として、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アミド、アルキル(メタ)アクリレート、芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル、アルコキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、脂環式基を有する(メタ)アクリル酸エステル、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールエチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、アルキル基の炭素数1〜32のアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。アルコキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、ブトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。脂環式基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレートとしては、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オクタエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレートとしては、ヘプタプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ポリエチレングリコールエチルエーテル(メタ)アクリレートとしては、テトラエチレングリコールエチルエーテル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を有する単量体の中でも、炭素数4〜32のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。炭素数4〜32のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの共重合割合は、(メタ)アクリル酸系重合体を与える単量体の全質量を基準として、粘着シートを形成した後の加工性において、光透過性カバー部材に対する接着性が更に向上する観点から、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。炭素数4〜32のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの共重合割合は、(メタ)アクリル酸系重合体を与える単量体の全質量を基準として、粘着シートを形成した後の加工性において、光透過性カバー部材に対する接着性が更に向上する観点から、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。このような共重合割合の重合体は、一般に、各単量体を上記共重合割合と同じ割合で配合し、共重合させることで得ることができる。重合率を実質的に100質量%に近づくように調整することが好ましい。
炭素数4〜32のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートと共重合する単量体としては、上記したものに限定されないが、水酸基、モルホリノ基、アミノ基、カルボキシル基、シアノ基、カルボニル基、ニトロ基等の極性基を有する単量体が好ましく、これらの極性基を有する(メタ)アクリレートがより好ましい。これら極性基を有する単量体(例えば(メタ)アクリレート)は、光透過性カバー部材に対する接着性を更に向上させることができる。
(メタ)アクリロイル基を有する重合体としては、(メタ)アクリロイル基を有するポリエステルオリゴマー、(メタ)アクリロイル基を有するウレタン重合体、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル基を有するブタジエン重合体、(メタ)アクリロイル基を有するイソプレン重合体等が挙げられる。(メタ)アクリル酸系重合体に該当する成分は、(メタ)アクリロイル基を有する重合体からは除外する。
(A)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)成分の重合方法としては、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等の既知の重合方法を用いることができる。
(A)成分を得るための重合開始剤としては、熱によりラジカルを発生する化合物を用いることができる。熱によりラジカルを発生する化合物としては、有機過酸化物、アゾ系化合物等が挙げられる。有機過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキシド、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド、ジドデシルパーオキシド等が挙げられる。アゾ系化合物としては、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1´−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4´−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2´−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2´−アゾビス[2−(イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。
(A)成分の重量平均分子量は、高湿(例えば90%以上)の環境下で光透過性カバー部材等に対して剥がれの発生しない接着力を容易に得ることができる観点、及び、塗膜の特性に優れる観点から、5×10以上が好ましく、5.5×10以上がより好ましく、6×10以上が更に好ましい。(A)成分の重量平均分子量は、高湿(例えば90%RH以上)の環境下で光透過性カバー部材等に対して剥がれの発生しない接着力を容易に得ることができる観点、及び、塗膜の特性に優れる観点から、1×10以下が好ましく、7×10以下がより好ましく、6.5×10以下が更に好ましい。
(A)成分の含有量は、樹脂組成物の粘度が接着層を作製する際の適正粘度範囲に入り、加工性が良好となる観点、及び、光透過性カバー部材に対する接着性が更に良好となる観点から、下記の範囲が好ましい。(A)成分の含有量は、樹脂組成物の全質量を基準として、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましい。(A)成分の含有量は、樹脂組成物の全質量を基準として、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましい。
((B)成分:光重合開始剤)
光重合開始剤は、紫外線、電子線、α線、β線等の活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生させ、樹脂組成物の硬化反応を促進させる重合開始剤の一種である。
光重合開始剤としては、芳香族ケトン化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾインエーテル化合物、ベンジル化合物、エステル化合物、アクリジン化合物、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、アルキルフェノン系化合物、α−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物、フォスフィンオキサイド系化合物等が挙げられる。(B)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。但し、本発明では、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステルの含有量が、前記(B)成分の全質量を基準として80質量%以上であるとよい。
芳香族ケトン化合物、としては、ベンゾフェノン、N,N´−テトラメチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N−テトラエチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4,4´−ジメチルアミノベンゾフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2−エチルアントラキノン、tert−ブチルアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロロ−2−メチルアントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,2−ジエトキシアセトフェノン等が挙げられる。ベンゾイン化合物としては、ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等が挙げられる。ベンゾインエーテル化合物としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等が挙げられる。ベンジル化合物としては、ベンジル、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。エステル化合物としては、β−(アクリジン−9−イル)(メタ)アクリル酸等が挙げられる。アクリジン化合物としては、9−フェニルアクリジン、9−ピリジルアクリジン、1,7−ジアクリジノヘプタン等が挙げられる。2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体としては、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メチルメルカプトフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等が挙げられる。アルキルフェノン系化合物としては、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン等が挙げられる。α−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}等が挙げられる。フォスフィンオキサイド系化合物としては、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
(B)成分の中でも、膜全体の硬化性、反応性及び表面硬化性に優れる観点から、芳香族ケトン化合物、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、α−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物が好ましく、表面硬化性に更に優れる観点から、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステルがより好ましく用いられる。
第1実施形態に係る樹脂組成物において(B)成分の含有量は、硬化反応が容易に促進される観点から、樹脂組成物の全質量を基準として、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、2.5質量%以上が更に好ましい。(B)成分の含有量は、硬化反応が容易に促進される観点、及び、更に優れた接着性を得る観点から、樹脂組成物の全質量を基準として、10質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、4質量%未満が更に好ましい。
第2実施形態に係る樹脂組成物において(B)成分の含有量は、樹脂組成物の全質量を基準として1質量%以上、4質量%未満である。(B)成分の含有量が1質量%以上であることにより、液浮きを抑制することができる。(B)成分の含有量が4質量%未満であることにより、良好な接着性を得ることができる。(B)成分の含有量は、硬化反応が容易に促進される観点から、樹脂組成物の全質量を基準として、2質量%以上が好ましく、2.5質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましく、3.5質量%以上が特に好ましい。(B)成分の含有量は、硬化反応が容易に促進される観点、及び、更に優れた接着性を得る観点から、樹脂組成物の全質量を基準として、10質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましい。(B)成分の含有量は、液浮きを更に抑制する観点から、樹脂組成物の全質量を基準として、2質量%以上、4質量%未満が好ましく、3質量%以上、4質量%未満がより好ましい。
フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル含有量は、硬化反応が容易に促進される観点から、樹脂組成物の全質量を基準として、0質量%を超えることが好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上が更に好ましく、1.25質量%以上が特に好ましく、1.5質量%以上が極めて好ましい。フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル含有量は、更に良好な接着性を得ることができる観点から、樹脂組成物の全質量を基準として、4質量%以下が好ましく、4質量%未満がより好ましく、3質量%以下が更に好ましく、3質量%未満が特に好ましく、3質量%以下が極めて好ましく、2質量%以下が非常に好ましい。
フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル含有量は、硬化反応が容易に促進され、更に良好な接着性が得られる観点から、(B)成分の全質量を基準として、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましい。フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル含有量の上限は、例えば、(B)成分の全質量を基準として100質量%である。
((C)成分:(メタ)アクリロイル基を有する単量体)
(C)成分としては、アルキル(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、水酸基を有する(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、モルホリン基を有する(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル基を有する(メタ)アクリレ−ト、ジシクロペンテニル基を有する(メタ)アクリレ−ト、イソボルニル基を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。(C)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリルアクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。(メタ)アクリルアミドとしては、ジメチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。水酸基を有する(メタ)アクリルアミドとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等が挙げられる。ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートとしては、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等が挙げられる。ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとしては、ジブチレングリコール、トリブチレングリコール等が挙げられる。モルホリン基を有する(メタ)アクリレートとしては、アクリロイルモルホリン等が挙げられる。ジシクロペンタニル基を有する(メタ)アクリレ−トとしては、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレ−ト等が挙げられる。ジシクロペンテニル基を有する(メタ)アクリレ−トとしては、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレ−ト等が挙げられる。イソボルニル基を有する(メタ)アクリレートとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(C)成分の中でも、誘電率、光学特性、液浮き抑制効果、接着力、耐湿熱信頼性及び硬化後の接着性に更に優れる観点から、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基及びイソボルニル基からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する(メタ)アクリレートが好ましく、ジシクロペンテニル基及びイソボルニル基からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する(メタ)アクリレートがより好ましく、ジシクロペンテニル基を有する(メタ)アクリレートが更に好ましい。これらの化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)成分としては、常温(25℃)で液状である単量体が好ましく、下記一般式(1)で表される化合物がより好ましく、式(1)におけるR12が、アルキル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基及びイソボルニル基からなる群より選ばれる少なくとも一種である化合物が更に好ましく、式(1)におけるR12が、アルキル基、ジシクロペンテニル基及びイソボルニル基からなる群より選ばれる少なくとも一種である化合物が特に好ましく、式(1)におけるR12がイソステアリル基である化合物が極めて好ましい。これらの化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2017222738
[式(1)中、R11は水素原子又はメチル基を示し、R12はアルキル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、ジシクロペンテニルオキシエチル基、イソボルニル基又はオキシアルキレン基を示す。R12は、柔軟性を付与する観点から、炭素数4〜32のアルキル基が好ましく、炭素数6〜24のアルキル基がより好ましく、炭素数8〜18のアルキル基が更に好ましい。]
上記一般式(1)で表される(メタ)アクリレートとしては、上述したアルキル(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレ−ト、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレ−ト、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(C)成分の含有量は、適度な粘度を有する樹脂組成物を得る観点、更に良好な接着性を得る観点、及び、硬化物の透明性を向上させる観点から、樹脂組成物の全質量を基準として、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましい。(C)成分の含有量は、優れた硬化収縮率及び硬化物の弾性率を得る観点から、樹脂組成物の全質量を基準として、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下が更に好ましい。適度な粘度を有する樹脂組成物を用いることにより、塗布等の作業性が向上する。優れた硬化収縮率を得ることにより、画像表示用装置に用いた場合に、表示ムラ及びモジュールの反りの発生を抑制することができる。
((D)成分:酸化防止剤)
本実施形態に係る樹脂組成物は、液浮きを更に抑制できる観点、及び、黄変を抑制できる観点から、酸化防止剤(以下「(D)成分ともいう」)を含有することができる。(D)成分としては、ヒンダードフェノール構造を有する化合物(以下「(D1)成分」ともいう)、アミン系化合物、リン系化合物(リンを含有する化合物)、イオウ系化合物(硫黄を含有する化合物)、ヒドラジン系化合物、アミド系化合物が好ましい。これらの中でも、ブリードアウトを抑制できる観点から、(D1)成分がより好ましい。また、(D1)成分とイオウ系化合物とを併用することが好ましい。イオウ系化合物としては、後述する、チオエーテル構造を有する化合物(以下、「(D2)成分」ともいう)が好ましい。ヒンダードフェノール構造を有するアミン系化合物、リン系化合物、イオウ系化合物、ヒドラジン系化合物又はアミド系化合物は、ヒンダードフェノール構造を有する化合物に帰属するものとする。
[(D1)成分:ヒンダードフェノール構造を有する化合物]
(D1)成分としては、下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。(D1)成分の中でも、黄変を更に抑制できる観点から、チオエーテル構造を有するヒンダードフェノール系化合物(ヒンダードフェノール−チオエーテル系化合物)が好ましく、下記一般式(3)で表される化合物(ヒンダードフェノール−チオエーテル系化合物)がより好ましい。
Figure 2017222738
[一般式(2)中、R21は炭素数1〜5のアルキル基又は−CH−S−Rを示し、R21はそれぞれ独立の置換基として複数個存在してもよく、R22はtert−ブチル基又は−CH−S−Rを示し、nは1〜4の整数を示す。Aはn価の有機基を示す。前記Rは炭素数1〜20のアルキル基を示す。]
Figure 2017222738
[一般式(3)中、R31は炭素数1〜5のアルキル基を示し、R32及びR33は、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基を示す。]
(D1)成分としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASFジャパン株式会社製IRGANOX1010)、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASFジャパン株式会社製IRGANOX1035)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASFジャパン株式会社製IRGANOX1076)、N,N´−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド](BASFジャパン株式会社製IRGANOX1098)、ベンゼンプロパン酸,3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ,C7−C9側鎖アルキルエステル(BASFジャパン株式会社製IRGANOX1135)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール(BASFジャパン株式会社製IRGANOX1141)、ジエチル[{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル]ホスフォネート(BASFジャパン株式会社製IRGANOX1222)、3,3´,3″,5,5´,5″−ヘキサ−tert−ブチル−a,a´,a″−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール(BASFジャパン株式会社製IRGANOX1330)、カルシウムジエチルビス[[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォネート]とポリエチレンワックスの混合物(BASFジャパン株式会社製IRGANOX1425WL)、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール(BASFジャパン株式会社製IRGANOX1520L)、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート](BASFジャパン株式会社製IRGANOX245)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASFジャパン株式会社製IRGANOX259)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌル酸(BASFジャパン株式会社製IRGANOX3114)、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H、5H)−トリオン(BASFジャパン株式会社製IRGANOX3790)、N−フェニルベンゼンアミンと2,4,4−トリメチルペンテンとの反応生成物(BASFジャパン株式会社製IRGANOX5057)、6−(4−ヒドロキシ−3−5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン(BASFジャパン株式会社製IRGANOX565)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌル酸(株式会社ADEKA製アデカスタブAO−20)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン(株式会社ADEKA製アデカスタブAO−30)、4,4´−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)(株式会社ADEKA製アデカスタブAO−40)、3−(4´−ヒドロキシ−3´,5´−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオン酸−n−オクタデシル(株式会社ADEKA製アデカスタブAO−50)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3´,5´−ジ−tert−ブチル−4´−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](株式会社ADEKA製アデカスタブAO−60)、トリエチレングリコールビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート](株式会社ADEKA製アデカスタブAO−70)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルプロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]−ウンデカン(株式会社ADEKA製アデカスタブAO−80)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(株式会社ADEKA製アデカスタブAO−330)、2,2−オキサミドビス−[エチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](Chemtura社製ナウガードXL−1)、1,1,3−トリス{2−メチル−4−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−5−tert−ブチルフェニル}ブタン(株式会社エーピーアイ コーポレーション製GSY−242)等が挙げられる。
(D1)成分の中でも、ブリードアウトを抑制できる観点から、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]及び4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールが好ましく、ブリードアウト及び黄変を容易に抑制できると共に扱い易い観点から、分子内にチオエーテル構造を有する4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールがより好ましい。また、(D1)成分の中でも、広面積に塗布する用途に使用し、臭気が問題となる場合等は、ブリードアウトを更に容易に抑制でき、低臭気であり、操作性に優れる観点から、液状であるベンゼンプロパン酸,3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ,C7−C9側鎖アルキルエステルが好ましい。
[(D2)成分:チオエーテル構造を有する化合物]
(D2)チオエーテル構造を有する化合物は、下記一般式(4)で表される化合物が好ましい。
Figure 2017222738
[一般式(4)中、Rは炭素数1〜32のアルキル基を示す。]
(D2)成分としては、ジドデシルチオジプロピオネート(シプロ化成株式会社製SEENOX DL、BASFジャパン株式会社製IRGANOX PS 800 FL、住友化学株式会社製Sumilizer TPL−R)、ジトリデシル3,3´−チオジプロピオネート(株式会社ADEKA製AO−503)、ジテトラデシルチオジプロピオネート(住友化学株式会社製Sumilizer TPM)、ジステアリルチオジプロピオネート(住友化学株式会社製Sumilizer TPD)等が挙げられる。
(D)成分の含有量は、樹脂組成物の黄変及びブリードアウトを更に抑制できる観点から、樹脂組成物の全質量を基準として、0.5質量%以上が好ましく、0.6質量%以上がより好ましく、0.7質量%以上が更に好ましい。(D)成分の含有量は、硬化性及び感度の低下を抑制できる観点から、樹脂組成物の全質量を基準として、3.0質量%以下が好ましく、2.7質量%以下がより好ましく、2.5質量%以下が更に好ましい。
(D1)成分と(D2)成分とを併用する場合、(D2)成分に対する(D1)成分の質量比(D1)/(D2)は、0.25以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.5以上が更に好ましい。質量比(D1)/(D2)は、4以下が好ましく、3以下がより好ましく、2以下が更に好ましい。
((E)成分:可塑剤)
本実施形態に係る樹脂組成物は、粘度を調整する観点から、可塑剤(以下、「(E)成分」ともいう)を含有することができる。
(E)成分として用いる可塑剤は、実質的に(メタ)アクリロイル基を有さない。(E)成分としては、樹脂組成物の作製時の作業性に優れる観点、及び、再結晶化等による可塑剤の析出を抑制する観点から、25℃で液状の成分であることが好ましい。
(E)成分としては、例えば、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、シリコンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、クロルスルホン化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム、水素化ニトリルゴム、エピクロルヒドリンゴム等の液状物;ポリブテン等のポリα−オレフィン;水添ポリブテン等の水添α−オレフィンオリゴマー;アタクチックポリプロピレン等のポリビニル系オリゴマー;ビフェニル、トリフェニル等の芳香族系オリゴマー;水添液状ポリブタジエン等の水添ポリエン系オリゴマー;パラフィン油、塩化パラフィン油等のパラフィン系オリゴマー;ナフテン油等のシクロパラフィン系オリゴマー;ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジフェニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジ(ヘプチル,ノニル,ウンデシル)フタレート、ベンジルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジノニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等のフタル酸誘導体;ジメチルイソフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)イソフタレート、ジイソオクチルイソフタレート等のイソフタル酸誘導体;ジ−(2−エチルヘキシル)テトラヒドロフタレート、ジ−n−オクチルテトラヒドロフタレート、ジイソデシルテトラヒドロフタレート等のテトラヒドロフタル酸誘導体;ジ−n−ブチルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ジイソノニルアジペート等のアジピン酸誘導体;ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート、ジ−n−ヘキシルアゼレート等のアゼライン酸誘導体;ジ−n−ブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケート等のセバシン酸誘導体;ジ−n−ブチルマレート、ジメチルマレート、ジエチルマレート、ジ−(2−エチルヘキシル)マレート等のマレイン酸誘導体;ジ−n−ブチルフマレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フマレート等のフマル酸誘導体;トリ−(2−エチルヘキシル)トリメリテート、トリ−n−オクチルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテート、トリイソオクチルトリメリテート、トリ−n−ヘキシルトリメリテート、トリイソノニルトリメリテート等のトリメリット酸誘導体;テトラ−(2−エチルヘキシル)ピロメリテート、テトラ−n−オクチルピロメリテート等のピロメリット酸誘導体;トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−(2−エチルヘキシル)シトレート等のクエン酸誘導体;モノメチルイタコネート、モノブチルイタコネート、ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、ジ−(2−エチルヘキシル)イタコネート等のイタコン酸誘導体;ブチルオレート、グリセリルモノオレート、ジエチレングリコールモノオレート等のオレイン酸誘導体;メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、グリセリルモノリシノレート、ジエチレングリコールモノリシノレート等のリシノール酸誘導体;n−ブチルステアレート、グリセリンモノステアレート、ジエチレングリコールジステアレート等のステアリン酸誘導体;ジエチレングリコールモノラウレート、ジエチレングリコールジペラルゴネート、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル等のその他の脂肪酸誘導体;トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート等のリン酸誘導体;ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−(2−エチルブチレート)、トリエチレングリコールジ−(2−エチルヘキソエート)、ジブチルメチレンビスチオグリコレート等のグリコール誘導体;グリセロールモノアセテート、グリセロールトリアセテート、グリセロールトリブチレート等のグリセリン誘導体;エポキシ化大豆油、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジイソデシル、エポキシトリグリセライド、エポキシ化オレイン酸オクチル、エポキシ化オレイン酸デシル等のエポキシ誘導体などが挙げられる。
(E)成分の数平均分子量は、可塑剤の揮発を抑制する観点、可塑剤の光学特性に優れる観点、及び、樹脂組成物の粘度を調整し易い観点から、3.5×10以上が好ましく、4.0×10以上がより好ましく、5.0×10以上が更に好ましく、8.0×10以上が特に好ましい。(E)成分の数平均分子量は、樹脂組成物の粘度を調整し易い観点、及び、可塑剤の白濁を抑制する観点から、3.0×10以下が好ましく、1.0×10以下がより好ましく、5.0×10以下が更に好ましく、3.5×10以下が特に好ましい。(E)成分の数平均分子量が3.5×10以上であれば、可塑剤の揮発を抑制することができる。そして、(E)成分の数平均分子量が3.0×10以下であれば、可塑剤の粘度が高くなりすぎること、又は、可塑剤が白濁することを抑制することができる。
(E)成分の含有量は、硬化物の粘度を適度な範囲に調整し、ブリードアウトを抑制する観点から、樹脂組成物の全質量を基準として、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましく、10質量%以下が特に好ましい。(E)成分の含有量が10質量%以上であれば、粘度が高くなりすぎることによる作業性の低下を抑制することができる。
(連鎖移動剤)
本実施形態に係る樹脂組成物は、分子量の調整、及び、光硬化時の酸素阻害防止のために連鎖移動剤を含有することができる。
連鎖移動剤としては、2−メルカプトエタノール、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメチルカプト−1−プロパノール、α−メチルスチレンダイマー、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)等のチオール化合物などが挙げられる。
(安定剤)
本実施形態に係る樹脂組成物は、分子量の調整、及び、光硬化時の酸素阻害防止のために安定剤を含有することができる。安定剤としては、亜燐酸トリフェニル等が挙げられる。
(その他の添加剤)
本実施形態に係る樹脂組成物は、その他の添加剤を更に含有することができる。その他の添加剤としては、接着改善剤(シランカップリング剤等)、熱重合開始剤、湿気硬化剤、チキソトロピック剤、光増感剤などの一般的な添加剤が挙げられる。
(有機溶媒)
本実施形態に係る樹脂組成物は、耐湿熱信頼性に優れる観点、及び、硬化物中の気泡発生を抑制し易い観点から、実質的に有機溶媒(溶剤)を含有しないことが好ましい。なお、「有機溶媒」とは、(メタ)アクリロイル基を有さず、25℃において液状であり、且つ、大気圧における沸点が250℃以下の有機化合物を意味する。
ここで「実質的に有機溶媒を含有しない」とは、意図的に有機溶媒を添加しないという意味であり、本実施形態に係る樹脂組成物の光硬化後の特性を著しく低下させない程度であれば、微量の有機溶媒が存在していてもよい。具体的には、樹脂組成物中の有機溶媒の含有量は、樹脂組成物の全質量を基準として、1.0×10ppm以下が好ましく、5.0×10ppm以下がより好ましく、1.0×10ppm以下が更に好ましい。本実施形態に係る樹脂組成物は、有機溶媒を全く含有しない(有機溶媒の含有量が0ppmである)ことが好ましい。
(樹脂組成物の粘度)
本実施形態に係る樹脂組成物の25℃における粘度は、作業性に優れる観点から、0.01Pa・s以上が好ましく、0.4Pa・s以上がより好ましく、0.5Pa・s以上が更に好ましく、1.0Pa・s以上が特に好ましく、2.0Pa・s以上が極めて好ましく、3.0Pa・s以上が非常に好ましい。本実施形態に係る樹脂組成物の25℃における粘度は、塗膜形成時の作業性に優れる観点から、200Pa・s以下が好ましく、50Pa・s以下がより好ましく、20Pa・s以下が更に好ましく、15Pa・s以下が特に好ましく、12.5Pa・s以下が極めて好ましく、10Pa・s以下が非常に好ましい。なお、25℃における粘度は、例えば、JIS Z 8803に基づいて測定した値である。粘度は、具体的には、B型粘度計(東機産業株式会社製、BL2)により測定することができる。なお、粘度計の校正は、JIS Z 8809−JS14000に基づいて行うことができる。
<画像表示用装置及びその製造方法>
本実施形態に係る樹脂組成物を用いる画像表示用装置及びその製造方法について説明する。本実施形態に係る画像表示用装置は、画像表示部材と、遮光層を有する光透過性カバー部材(保護パネル等)と、画像表示部材及び光透過性カバー部材の間に配置された光透過性硬化樹脂層と、を備える。本実施形態に係る画像表示用装置は、本実施形態に係る樹脂組成物の硬化物を備えており、例えば、硬化物として光透過性硬化樹脂層を備えている。光透過性カバー部材は、例えば、遮光層が配置された面を有している。遮光層は、例えば、光透過性カバー部材の一方面の周縁部に配置されている。光透過性カバー部材及び画像表示部材は、光透過性カバー部材と画像表示部材との間に遮光層が配置されるように積層されている。
画像表示部材としては、偏光板、液晶表示パネル、有機EL表示パネル、プラズマ表示パネル、タッチパネル、視差バリアパネル等が挙げられる。ここで、タッチパネルとは、液晶表示パネルのような表示素子と、タッチパッドのような位置入力装置とを組み合わせた、画像表示及び入力のためのパネルを意味する。
光透過性カバー部材としては、画像表示部材に形成された画像が視認可能である光透過性を有していればよく、ガラス、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート等から構成される板状部材及びシート状部材が挙げられる。これらの部材には、片面又は両面にハードコート処理、反射防止処理等を施すことができる。光透過性カバー部材の厚さ、弾性等の物性は、使用目的に応じて適宜決定することができる。また、光透過性カバー部材は、タッチセンサー層、裸眼3D用視差バリア層等を有していてもよい。
本発明の光透過性硬化樹脂は、光透過性カバー部材と光透過性カバー部材との貼り合わせにも使用できる。特に、ガラスとガラスの間に光透過性硬化樹脂を挟んだ、合わせガラスを好適に得ることができる。
遮光層は、画像のコントラストを上げるため等に設けられる。遮光層は、黒色等に着色された塗料をスクリーン印刷法等で塗布し、乾燥及び硬化させて得ることができる。遮光層の厚さは、例えば5〜1.0×10μmである。
画像表示用装置における光透過性硬化樹脂層の厚さは、耐衝撃性又は視認性に優れる観点から、6μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましく、20μm以上が更に好ましく、50μm以上が特に好ましく、1.0×10μm以上が極めて好ましい。光透過性硬化樹脂層の厚さは、塗膜形成時の作業性又は深部硬化性に優れる観点から、1.5×10μm以下が好ましく、1.0×10μm以下がより好ましく、5.0×10μm以下が更に好ましい。光透過性硬化樹脂層の光透過性のレベルは、画像表示部材に形成された画像が視認可能となるような光透過性であればよい。
第1実施形態に係る画像表示用装置の製造方法は、例えば、(A1)樹脂層形成工程、(A2)硬化工程、及び、(A3)貼り合わせ工程をこの順に備えている。樹脂層形成工程は、本実施形態に係る樹脂組成物を用いて、画像表示部材又は光透過性カバー部材に接する樹脂組成物層を形成する工程である。樹脂組成物層は、光透過性カバー部材における遮光層形成側の面、又は、画像表示部材における遮光層に対向する面に形成することができる。硬化工程は、活性エネルギー線を照射して樹脂組成物層を硬化させることにより光透過性硬化樹脂層を形成する工程である。貼り合わせ工程は、遮光層と光透過性硬化樹脂層とが画像表示部材と光透過性カバー部材との間に介在するように画像表示部材と光透過性カバー部材とを貼り合わせることにより画像表示用装置を得る工程である。
硬化工程において光透過性硬化樹脂層の硬化率は、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上が更に好ましい。この場合、硬化物の信頼性が高く、光透過性カバー部材の遮光層と透過部の硬化率のギャップが小さいため、応力による気泡発生又は画像表示部の色ムラを防止できる。硬化率は、ゲル分率として求めることができる。ゲル分率は、FT−IRにより測定することが可能であり、具体的には、後述する実施例に示す方法により測定することができる。例えば、ゲル分率は、エネルギー線照射前の樹脂組成物中の(メタ)アクリロイル基の存在量に対する、エネルギー線照射後の(メタ)アクリロイル基の存在量の割合(消費量割合)と定義することができる。当該割合が大きいほど、硬化が進行していることを示す。
樹脂層形成工程において樹脂組成物層は、画像表示部材の一方面(遮光層に対向する面。例えば、一方面の全体)又は光透過性カバー部材の一方面(遮光層形成側の面。例えば、一方面の全体)に形成されてもよく、これらの一方面に平坦に形成されてもよい。樹脂層形成工程において樹脂組成物層は、遮光層を埋め込むように形成されてもよい。
以下、第1実施形態に係る画像表示用装置の製造方法の好適例を、図面を参照しながら工程毎に詳細に説明する。
(樹脂層形成工程)
まず、図1(a)に示すように、光透過性カバー部材10を用意する。光透過性カバー部材10は、支持部材12と、支持部材12の一方の主面の周縁部に形成された遮光層14とを有する。
次に、図1(b)に示すように、光透過性カバー部材10の表面(遮光層形成側の面)10aに、樹脂組成物を用いて樹脂組成物層20を形成する。遮光層14と支持部材12の主面とで形成される段差(遮光層14の厚さ)16を埋め込むように、光透過性カバー部材10の表面10aの全体に樹脂組成物層20を平坦に形成する。樹脂組成物層20の厚さを遮光層14の厚さより厚く調整し、遮光層14を埋め込むように樹脂組成物層20を形成する。なお、樹脂組成物層20は必ずしも平坦になるように形成される必要はなく、平坦でないものの遮光層14を埋め込むように樹脂組成物層20が形成されてもよい。
樹脂組成物層20の形成方法としては、スクリーン印刷、メタルマスク印刷、スリットコーター、バーコーター等による一般的なコーティング、マルチノズル(ディスペンサーのノズルを横に無数に並べたもの)でのディスペンスなどが挙げられる。これらの少なくとも1種の方法を用いて、必要な厚さが得られるように樹脂組成物層20を形成することができる。必要な厚さが得られるように樹脂組成物を複数回塗布して樹脂組成物層を形成してもよい。
(硬化工程)
図2(a)に示すように、樹脂層形成工程で形成された樹脂組成物層20に対し紫外線(UV)等の活性エネルギー線Lを照射して硬化させることにより光透過性硬化樹脂層20aを形成する。
活性エネルギー線の照射に関し、光源の種類、出力、累積光量等は特に制限はなく、公知の活性エネルギー線(紫外線等)の照射による(メタ)アクリレートの光ラジカル重合プロセス条件を採用することができる。
樹脂層形成工程から硬化工程に移行する待機時間として、樹脂層形成(塗布)完了から露光までの間隔は、60秒以内が好ましく、30秒以内がより好ましく、10秒以内が更に好ましく、5秒以内が特に好ましい。このような間隔であれば、樹脂組成物層20の端部が表面張力により厚膜化して平滑性が得られなくなることを防止できる。
(貼り合わせ工程)
図2(b)に示すように、画像表示部材30と、光透過性カバー部材10及び光透過性硬化樹脂層20aの積層体における光透過性硬化樹脂層20aとを貼り合わせることにより、画像表示用装置1を得ることができる。貼り合わせは、公知の圧着装置を用いて、10〜80℃の温度にて加圧することにより行うことができる。
貼り合わせ工程の後、活性エネルギー線(紫外線等)を更に照射してもよい。これにより、貼り合わせ工程時よりも硬化率が上がり、光透過性硬化樹脂層20aが更に硬くなることにより接着力を更に向上させることができる。
以上、図1及び図2では、光透過性カバー部材10の一方面(遮光層形成側の面)に樹脂組成物層を形成した例を説明したが、以下の図3では、画像表示部材の一方面に樹脂組成物層を形成した例を説明する。なお、図1、2と図3とにおいて同じ図番は同一の構成要素を表している。
まず、図3(a)に示すように、画像表示部材30の一方面に樹脂組成物層20を形成する(樹脂層形成工程)。次に、図3(b)に示すように、樹脂組成物層20に対し活性エネルギー線Lを照射して樹脂組成物層20を硬化させることにより光透過性硬化樹脂層20aを形成する(硬化工程)。そして、図3(c)に示すように、画像表示部材30上に積層された光透過性硬化樹脂層20aと、光透過性カバー部材10とを貼り合わせることにより、画像表示用装置1aを得ることができる(貼り合わせ工程)。
第2実施形態に係る画像表示用装置の製造方法は、例えば(B1)樹脂層形成工程、(B2)貼り合わせ工程、及び、(B3)硬化工程をこの順に備えている。
(B1)樹脂層形成工程は、(A1)樹脂層形成工程と同様である。(B2)貼り合わせ工程は、遮光層と樹脂組成物層とが画像表示部材と光透過性カバー部材との間に介在するように画像表示部材と光透過性カバー部材とを貼り合わせる工程である。(B2)貼り合わせ工程は、(A3)貼り合わせ工程における光透過性硬化樹脂層20aを未硬化の樹脂組成物層20に代えた構成を有している。(B3)硬化工程は、活性エネルギー線を照射して樹脂組成物層を硬化させることにより光透過性硬化樹脂層を形成して画像表示用装置を得る工程である。(B3)硬化工程は、図4に示すように、光透過性カバー部材10を介して、(A2)硬化工程と同様に活性エネルギー線Lを照射して樹脂組成物層20を硬化させることにより光透過性硬化樹脂層20aを形成する工程である。
樹脂組成物層20は、光透過性カバー部材の一方面(遮光層形成側の面)の一部に形成されてもよい。例えば、図5に示すように、遮光層14に接することなく樹脂組成物層20を形成してもよい。この場合、貼り合わせ工程において光透過性カバー部材10及び画像表示部材30を加圧することにより、樹脂組成物層20を光透過性カバー部材10及び画像表示部材30の間の全体に充填することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限られるものではない。
<光硬化性樹脂組成物の調製>
表1に示す配合比で(A)〜(C)成分を30分間加熱攪拌混合して光硬化性樹脂組成物を調製した。なお、表1の(A)〜(C)成分の含有量は、光硬化性樹脂組成物の全質量を基準とした含有量(単位:質量%)である。表1中の各成分の詳細は下記のとおりである。
((A)成分)
下記手順により合成したアクリルポリマーを用いた。
<ポリマーの合成>
(1)Mw25万ポリマー
2−エチルヘキシルアクリレート90.0g、2−ヒドロキシエチルアクリレート10.0g、メチルエチルケトン60.0g、酢酸エチル140.0gをとり100ml/minの流量で窒素置換しながら、常温(25℃)〜65℃まで加熱した。65℃到達後、アゾビスイソブチロニトリル0.1gを添加し、この温度を保ちながら8時間保温した。
続いてイソステアリルアクリレート43.0gを添加し、溶媒のメチルエチルケトンを溜去することにより2−エチルヘキシルアクリレートと2−ヒドロキシエチルアクリレートのコポリマー(重量平均分子量250,000)のイソステアリルアクリレート溶液(加熱残分70質量%)を得た。
(2)Mw35万ポリマー
2−エチルヘキシルアクリレート90.0g、2−ヒドロキシエチルアクリレート10.0g、メチルエチルケトン35.0g、酢酸エチル165.0gをとり100ml/minの流量で窒素置換しながら、常温(25℃)〜65℃まで加熱した。65℃到達後、アゾビスイソブチロニトリル0.1gを添加し、この温度を保ちながら8時間保温した。
続いてイソステアリルアクリレート43.0gを添加し、溶媒のメチルエチルケトンおよび酢酸エチルを溜去することにより2−エチルヘキシルアクリレートと2−ヒドロキシエチルアクリレートのコポリマー(重量平均分子量350,000)のイソステアリルアクリレート溶液(加熱残分70質量%)を得た。
(3)Mw50万ポリマー
2−エチルヘキシルアクリレート90.0g、2−ヒドロキシエチルアクリレート10.0g、酢酸エチル200.0gをとり100ml/minの流量で窒素置換しながら、常温(25℃)〜65℃まで加熱した。65℃到達後、アゾビスイソブチロニトリル0.1gを添加し、この温度を保ちながら8時間保温した。
続いてイソステアリルアクリレート100.0gを添加し、溶媒のメチルエチルケトンおよび酢酸エチルを溜去することにより2−エチルヘキシルアクリレートと2−ヒドロキシエチルアクリレートのコポリマー(重量平均分子量500,000)のイソステアリルアクリレート溶液(加熱残分50質量%)を得た。
(4)Mw60万ポリマー
2−エチルヘキシルアクリレート90.0g、2−ヒドロキシエチルアクリレート10.0g、酢酸エチル150.0gをとり100ml/minの流量で窒素置換しながら、常温(25℃)〜65℃まで加熱した。65℃到達後、アゾビスイソブチロニトリル0.1gを添加し、この温度を保ちながら8時間保温した。
続いてイソステアリルアクリレート100.0gを添加し、溶媒のメチルエチルケトンおよび酢酸エチルを溜去することにより2−エチルヘキシルアクリレートと2−ヒドロキシエチルアクリレートのコポリマー(重量平均分子量600,000)のイソステアリルアクリレート溶液(加熱残分50質量%)を得た。
(5)Mw70万ポリマー
2−エチルヘキシルアクリレート90.0g、2−ヒドロキシエチルアクリレート10.0g、酢酸エチル120.0gをとり100ml/minの流量で窒素置換しながら、常温(25℃)〜65℃まで加熱した。65℃到達後、アゾビスイソブチロニトリル0.1gを添加し、この温度を保ちながら8時間保温した。
続いてイソステアリルアクリレート100.0gを添加し、溶媒の酢酸エチルを溜去することにより2−エチルヘキシルアクリレートと2−ヒドロキシエチルアクリレートのコポリマー(重量平均分子量700,000)のイソステアリルアクリレート溶液(加熱残分50質量%)を得た。
((B)成分)
「IRGACURE MBF」:BASFジャパン株式会社製、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル
「IRGACURE 184」:BASFジャパン株式会社製、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
「IRGACURE 1173」:BASFジャパン株式会社製、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン
「IRGACURE TPO」:BASFジャパン株式会社製、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド
「IRGACURE 819」:BASFジャパン株式会社製、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド
((C)成分)
「FA−117A」:日立化成株式会社製、イソステアリルアクリレ−ト
「ACMO」:KJケミカルズ株式会社製、アクリロイルモルホリン
「4−HBA」:大阪有機化学工業株式会社製、ヒドロキシブチルアクリレ−ト
「EHA」:株式会社日本触媒製、エチルヘキシルアクリレート
<評価方法>
光硬化性樹脂組成物及びその硬化物の各性状等については、以下に示す方法により測定し評価した。
(光硬化性樹脂組成物の粘度)
25℃における粘度をJIS Z 8803に基づいて測定した。具体的には、B型粘度計(東機産業株式会社製、BL2)により粘度を測定した。なお、粘度計の校正は、JISZ 8809−JS14000に基づいて行った。結果を表1に示す。
(光硬化性樹脂組成物の硬化率)
紫外線照射前の樹脂組成物層のFT−IR測定チャートにおけるベースラインからの800〜820cm−1の吸収ピーク高さ(X)と、2.0×10mJ/cmで紫外線照射後の樹脂組成物層のFT−IR測定チャートにおけるベースラインからの800〜820cm−1の吸収ピーク高さ(Y)と、照射量2.0×10mJ/cmで紫外線を照射後の樹脂組成物層のFT−IR測定チャートにおけるベースラインからの800〜820cm−1の吸収ピーク高さ(Z)とを、以下の数式(1)に代入することにより硬化率(ゲル分率)を算出した。硬化率が80%以上である場合を「A」と評価し、硬化率が80%未満である場合を「F」と評価した。結果を表1に示す。
硬化率(%)={(X−Y)/(X−Z)}×100 (1)
(光学特性評価)
膜厚700μmの表面研磨ガラス(旭硝子株式会社製、AN100)上に膜厚200μm(乾燥時)となるように光硬化性樹脂組成物を塗布し、紫外線照射装置(アイグラフィックス株式会社製、US5−X0401、使用光源:アイグラフィックス株式会社製、メタルハライドランプM04−L41)を用いて紫外線を2.0×10mJ/cm照射して、光透過性硬化樹脂層(硬化率100%)を備える光学特性評価用サンプルを作製した。色相計(日本電色工業株式会社製、Σ90)を用いて前記光学特性評価用サンプルの波長400nmにおける透過率及びbを測定した。表面研磨ガラスAN100をリファレンスとして用いた。光学特性評価は下記の基準で評価した。結果を表1に示す。
A:波長400nmの透過率が98%以上かつbの値が1.0以下
F:波長400nmの透過率が98%未満、又は、bの値が1.0超
(接着力評価(ガラス塗布))
図6に示すように、26mm(W)×76mm(L)×0.2mm(T)のサイズのガラスベース40a上に偏光板40bをラミネートしたガラス/偏光板積層体40を用意した。次に、26mm(W)×76mm(L)×0.2mm(T)のサイズのガラスベース50上に光硬化性樹脂組成物を塗布して樹脂組成物層を形成した。続いて、紫外線照射装置を用いて樹脂組成物層に紫外線を2.0×10mJ/cm照射して樹脂組成物層を硬化させることにより、光透過性硬化樹脂層20aをガラスベース50上に形成した。そして、ガラスベース40a及びガラスベース50の短辺同士が平行となるように、光透過性硬化樹脂層20aとガラス/偏光板積層体40の偏光板40bとを貼り合わせることによりガラス接合体を得た。接着部分の面積は26mm×20mm(520mm)であり、接着層(光透過性硬化樹脂層20a)の厚さは0.2mmであった。貼り合わせ前に光照射を行った際の光透過性硬化樹脂層20aの硬化率は100%であった。そして、ガラスベース40aを地面に対して垂直に固定し、ガラスベース50に500gの加重を鉛直方向下向きにかけ、24時間後の形状変化を観察した。接着力を下記の基準で評価した。結果を表1に示す。
A:変化なし。
F:ガラス/偏光板積層体40とガラスベース50との位置ずれが確認された。
(接着力評価(偏光板塗布))
図6に示すように、26mm(W)×76mm(L)×0.2mm(T)のサイズのガラスベース40a上に偏光板40bをラミネートしたガラス/偏光板積層体40を用意した。次に、ガラス/偏光板積層体40の偏光板40bに光硬化性樹脂組成物を塗布して樹脂組成物層を形成した。続いて、紫外線照射装置を用いて樹脂組成物層に紫外線を2.0×10mJ/cm照射して樹脂組成物層を硬化させることにより、光透過性硬化樹脂層20aをガラス/偏光板積層体40上に形成した。そして、26mm(W)×76mm(L)×0.2mm(T)のサイズのガラスベース50を用意した後、ガラスベース40a及びガラスベース50の短辺同士が平行となるように、光透過性硬化樹脂層20aとガラスベース50とを貼り合わせることによりガラス接合体を得た。接着部分の面積は26mm×20mm(520mm)であり、接着層(光透過性硬化樹脂層20a)の厚さは0.2mmであった。貼り合わせ前に光照射を行った際の光透過性硬化樹脂層20aの硬化率は100%であった。そして、ガラスベース40aを地面に対して垂直に固定し、ガラスベース50に500gの加重を鉛直方向下向きにかけ、24時間後の形状変化を観察した。接着力を下記の基準で評価した。結果を表1に示す。
A:変化なし。
F:ガラス/偏光板積層体40とガラスベース50との位置ずれが確認された。
(液浮き評価)
図7に示すように、光学特性評価用サンプルと同様のサンプルを指触し、液浮きを下記の基準で評価した。図7中、符号62はガラスベースであり、符号64は光透過性硬化樹脂層であり、符号66は指である。評価を行う際の温度は25±5℃であった。結果を表1に示す。
A:粘着質であり、指にサンプル全体が付着して持ち上げられた。
F:サンプル全体が指に付着せず、サンプル表面の液のみが指に付着した。
(耐候性評価)
膜厚700μmの表面研磨ガラス(旭硝子株式会社製、AN100)上に膜厚200μm(乾燥時)となるように光硬化性樹脂組成物を塗布し、紫外線照射装置(アイグラフィックス株式会社製、US5−X0401、使用光源:アイグラフィックス株式会社製、メタルハライドランプM04−L41)を用いて紫外線を2.0×10mJ/cm照射して、光透過性硬化樹脂層(硬化率100%)を備えるガラスを作製した。液晶モジュールに異物としてAEROSIL200(エボニック社製)を肉眼で確認できる量をまぶし、光透過性硬化樹脂層(硬化率100%)を備えるガラスを光透過性硬化樹脂層側からAEROSIL200を巻き込むように液晶モジュールと貼合し、異物を巻き込んだ耐候性評価用サンプルを得た。
得られた耐候性評価用サンプルを、SX75(スガ試験機株式会社製)内でキセノンアークランプ、照度:0.35±0.02W(m・nm)at340nm、温度:63±2℃(BPT)条件下で300h静置した後、肉眼でガラス越しに光硬化性樹脂組成物を確認し、クラックや気泡の有無を確認した結果を表1に示す。
A:300h後にクラックや気泡が肉眼で確認されない
F:300h後に肉眼で確認できるクラックや気泡が発生
Figure 2017222738
表1の対比によれば、(A)成分の重量平均分子量が50万以上の重合体を用い、(B)成分にフェニルグリオキシリックアシッドメチルエステルを用い、更に(C)成分と組み合わせた実施例の光硬化性樹脂組成物を用いることにより、優れた光学特性及び接着力が得られると共に、液浮きを抑制することができ、かつ、貼合時に異物を巻き込んでも信頼性が高いことがわかる。
本発明によれば、画像表示部材と、遮光層を有する光透過性カバー部材とを光硬化性樹脂組成物の硬化樹脂層を介して積層して画像表示用装置を製造する際に、遮光層と画像表示部材との間の光硬化性樹脂組成物を光透過性カバー部材及び画像表示部材の接合面の段差に追従させつつ充分に硬化させ、優れた画像表示用装置を製造できる。また、光透過性カバー部材と画像表示部材とを貼り合わせる前工程における光硬化後の液浮きを抑制することが可能であり、充分な接着力を発揮できることから、製造工程の簡便化を図ることができる。このような本発明は、タッチパネル、裸眼3D用視差バリア等を備えたスマートフォーン、タッチパッド、パーソナルコンピュータ、テレビ、車載用パネル等の情報端末などの工業的製造に有用である。
1、1a…画像表示用装置、10…光透過性カバー部材、10a…表面、12…支持部材、14…遮光層、16…段差、20…樹脂組成物層、20a、64…光透過性硬化樹脂層、30…画像表示部材、40…ガラス/偏光板積層体、40a、50、62…ガラスベース、40b…偏光板、66…指、L…活性エネルギー線。

Claims (16)

  1. (A)(メタ)アクリル酸系重合体、及び、(メタ)アクリロイル基を有する重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、(B)光重合開始剤と、(C)(メタ)アクリロイル基を有する単量体と、を含有し、前記(B)成分がフェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、(A)(メタ)アクリル酸系重合体、及び、(メタ)アクリロイル基を有する重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種の重量平均分子量が50万以上である光硬化性樹脂組成物。
  2. 前記フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステルの含有量が、当該樹脂組成物の全質量を基準として0質量%を超え3質量%未満である、請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
  3. 前記フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステルの含有量が、前記(B)成分の全質量を基準として80質量%以上である、請求項1又は2に記載の光硬化性樹脂組成物。
  4. (A)(メタ)アクリル酸系重合体、及び、(メタ)アクリロイル基を有する重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、(B)光重合開始剤と、(C)(メタ)アクリロイル基を有する単量体と、を含有し、 前記(B)成分の含有量が、当該樹脂組成物の全質量を基準として1質量%以上、4質量%未満である、光硬化性樹脂組成物。
  5. 前記(B)成分の含有量が、当該樹脂組成物の全質量を基準として2質量%以上、4質量%未満である、請求項4に記載の光硬化性樹脂組成物。
  6. 前記(B)成分の含有量が、当該樹脂組成物の全質量を基準として3質量%以上、4質量%未満である、請求項4に記載の光硬化性樹脂組成物。
  7. 25℃における粘度が0.01〜200Pa・sである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  8. (C)(メタ)アクリロイル基を有する単量体が、イソステアリルアクリレ−トである請求項1〜7のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  9. 画像表示部材と、遮光層を有する光透過性カバー部材と、前記画像表示部材及び前記光透過性カバー部材の間に配置された光透過性硬化樹脂層と、を備える画像表示用装置の製造方法であって、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物を用いて、前記画像表示部材又は前記光透過性カバー部材に接する樹脂組成物層を形成する工程と、活性エネルギー線を照射して前記樹脂組成物層を硬化させることにより光透過性硬化樹脂層を形成する硬化工程と、前記遮光層と前記光透過性硬化樹脂層とが前記画像表示部材と前記光透過性カバー部材との間に介在するように前記画像表示部材と前記光透過性カバー部材とを貼り合わせる工程と、を備える、画像表示用装置の製造方法。
  10. 画像表示部材と、遮光層を有する光透過性カバー部材と、前記画像表示部材及び前記光透過性カバー部材の間に配置された光透過性硬化樹脂層と、を備える画像表示用装置の製造方法であって、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物を用いて、前記画像表示部材又は前記光透過性カバー部材に接する樹脂組成物層を形成する工程と、前記遮光層と前記樹脂組成物層とが前記画像表示部材と前記光透過性カバー部材との間に介在するように前記画像表示部材と前記光透過性カバー部材とを貼り合わせる工程と、活性エネルギー線を照射して前記樹脂組成物層を硬化させることにより光透過性硬化樹脂層を形成する硬化工程と、を備える、画像表示用装置の製造方法。
  11. 前記硬化工程において前記光透過性硬化樹脂層の硬化率が80%以上である、請求項9又は10に記載の画像表示用装置の製造方法。
  12. 前記樹脂組成物層が前記画像表示部材の一方面又は前記光透過性カバー部材の一方面に形成される、請求項9〜11のいずれか一項に記載の画像表示用装置の製造方法。
  13. 前記樹脂組成物層が前記遮光層を埋め込むように形成される、請求項9〜12のいずれか一項に記載の画像表示用装置の製造方法。
  14. 前記画像表示用装置における前記光透過性硬化樹脂層の厚さが6〜1.5×10μmである、請求項9〜13のいずれか一項に記載の画像表示用装置の製造方法。
  15. 前記画像表示部材が、偏光板、液晶表示パネル、有機EL表示パネル、プラズマ表示パネル、タッチパネル又は視差バリアパネルである、請求項9〜14のいずれか一項に記載の画像表示用装置の製造方法。
  16. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物の硬化物を備える、画像表示用装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019151509A1 (ja) * 2018-02-02 2019-08-08 東亞合成株式会社 活性エネルギー線硬化性組成物及びその利用

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