JP4935648B2 - フィルム状光導波路 - Google Patents
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これらの問題を改善するため、光導波路の工程数の削減、製造時間の短縮化、歩留まりの増大等の生産性の向上を目的に、コア部分とクラッド層の材料として液状の硬化性組成物を用いるポリマー系光導波路が、近年提案されている。
一例として、テトラカルボン酸二無水物とジアミンから得られるポリイミドを構成要素とするポリイミド系光導波路において、該ポリイミドが特定の構造式で表されるフッ素化ジアミン若しくはそれを含むジアミンからのポリイミド、又はその混合物であることを特徴とするポリイミド系光導波路が提案されている(特許文献1)。
このポリイミド系光導波路は、良好な伝送特性(低導波路損失)を有し、優れた耐熱性を有するものである。
また他の例として、(A)ウレタン結合を介在させて結合された、ラジカル重合性反応基を含む側鎖部分を有する構成単位と、重合性を有しない側鎖を有する構成単位とを含む共重合体、(B)分子内に1個以上のエチレン性不飽和基を有し、分子量が1,000未満であり、0.1MPaにおける沸点が130℃以上である化合物、及び(C)光ラジカル重合開始剤を含有する光導波路用感光性樹脂組成物が提案されている(特許文献2)。
この感光性樹脂組成物によると、形状の精度が高くかつ高温高湿下における伝送特性の低下を抑えた光導波路を形成することができる。
一方、フィルム状光導波路の下面に、発光素子等の他の部材を固着させる際に、フィルム状光導波路を上方から透視して位置合わせをすることから、フィルム状光導波路は、高い透明性を有することが望まれている。
そこで、本発明は、屈曲耐久性及び透明性に優れたフィルム状光導波路を提供することを目的とする。
[1] 下部クラッド層とコア部分と上部クラッド層との積層体のみからなるフィルム状光導波路であって、少なくとも前記下部クラッド層及び上部クラッド層が、下記成分(A)〜(C)を含む光硬化性樹脂組成物(ただし、下記の配合量は、光硬化性樹脂組成物の固形分の全量を100質量部とした場合の値である。)の硬化物からなり、
前記光硬化性樹脂組成物は、不飽和基含有ポリマーを含まないか、または、光硬化性樹脂組成物の固形分の全量を100質量部とした場合に10質量部以下の配合量で不飽和基含有ポリマーを含むことを特徴とするフィルム状光導波路。
(A)(a)ポリカーボネートポリオール、(b)ポリイソシアネート化合物、及び(c)水酸基含有(メタ)アクリレートの反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー 35〜80質量部
(B)不飽和基含有モノマー 10〜60質量部
(C)光重合開始剤 0.1〜10質量部
[2] 前記コア部分が、前記下部クラッド層及び上部クラッド層を形成する光硬化性樹脂組成物の前記の各条件をすべて満たす光硬化性樹脂組成物の硬化物からなる上記[1]に記載のフィルム状光導波路。
また、本発明のフィルム状光導波路は、特定の成分組成を有する光硬化性樹脂組成物からなるクラッド層が高い透明性を有するため、フィルム状光導波路と発光素子等の他の部材とを固着させる際に、フィルム状光導波路を透視して、容易かつ正確に位置合わせを行なうことができる。
上記光硬化性樹脂組成物を構成する、成分(A)〜(C)、及び必要に応じて配合される他の成分について、以下に説明する。
成分(A)は、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーである。
成分(A)として用いられるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、(a)ポリオール化合物、(b)ポリイソシアネート化合物、及び(c)水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させることにより製造される。具体的には、以下の製法1〜製法4のいずれかの方法で製造される。
製法1:ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物及び水酸基含有(メタ)アクリレートを一括して仕込んで反応させる方法。
製法2:ポリオール化合物及びポリイソシアネート化合物を反応させ、次いで水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法。
製法3:ポリイソシアネート化合物及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いでポリオール化合物を反応させる方法。
製法4:ポリイソシアネート化合物及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いでポリオール化合物を反応させ、最後にまた水酸基含有(メタ)アクリレート化合物を反応させる方法。
[(a)ポリオール化合物]
(a)ポリオール化合物としては、ポリカーボネートポリオールが用いられる。
(a)ポリオール化合物は、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
(b)ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等のポリイソシアネート化合物が挙げられる。中でも、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が好ましい。
(b)ポリイソシアネート化合物は、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
(c)水酸基含有(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルホスフェート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。さらにアルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物が挙げられる。中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等は、好ましく用いられる。
(c)水酸基含有(メタ)アクリレートは、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
成分(A)の数平均分子量は、好ましくは100〜15,000、より好ましくは300〜12,000である。該値が100未満では、組成物の粘度が小さくなり過ぎて、塗布性が劣ることがある。一方、該値が15,000を超えると、粘度が高くなり、取り扱いが難しくなる。
光硬化性樹脂組成物中、成分(A)の配合量は、光硬化性樹脂組成物の固形分の全量を100質量部として、35〜80質量部である。該配合量は、好ましくは35〜75質量部、特に好ましくは40〜70質量部である。該配合量が30質量部未満では、組成物を硬化させてなるクラッド層のヤング率が上昇し、十分な屈曲耐久性を有するフィルム状光導波路を形成することが困難となる。一方、該配合量が80質量部を超えると、組成物の粘度が大きくなり、均一な厚みを有するクラッド層を形成することが困難となる。
成分(B)は、不飽和基含有モノマーである。
不飽和基含有モノマーとしては、分子内にエチレン性不飽和基を1つ有するモノマー(以下、単官能モノマーともいう。)、及び分子内にエチレン性不飽和基を2つ以上有するモノマー(以下、多官能モノマーともいう。)が挙げられる。上記エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等が挙げられるが、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
上記単官能モノマーとしては、例えば、アクリロイルモルフォリン、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ジイソプロピルアクリルアミド、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジアセトンアクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、3−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルシクロヘキシルコハク酸、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェノールエトキシ(メタ)アクリレート、フェノールのエチレンオキサイドの付加体であるアルコールの(メタ)アクリレート、p−クミルフェノールのエチレンオキサイドの付加体であるアルコールの(メタ)アクリレート、4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのエチレンオキサイドの付加体であるアルコールの(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル化o−フェニルフェノールアクリレート、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
これらの中でも、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルピロリドン及びN−ビニルカプロラクタム等のN−ビニル化合物、及び炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を有する単官能性(メタ)アクリレートが好ましい。
ここで炭素数10以上の脂肪族炭化水素基としては、直鎖、分岐鎖および脂環式のいずれも含まれる。炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を有する単官能性(メタ)アクリレートの好適な例としては、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートが挙げられる。
単官能モノマーの市販品としてはACMO、DMAA(以上、興人社製);ニューフロンティアIBA(第一工業製薬社製);IBXA、IBXMA、ADMA(大阪有機化学社製);FA511A、FA512A、FA513A(以上、日立化成社製);ライトエステルM、E、BH、IB−X、HO−MS、HO−HH、L、PO、S、TD、ライトアクリレートL−A、S−A、EC−A、MTG−A、130A、PO−A、P−200A、NP−4EA、THF−A、IB−XA、HOA−MS、HOA−MPL、HOA−MPE、(以上、共栄社化学社製);アロニックス M150、M156、M5300、TO1315、TO1316(以上、東亞合成社製);FA544A、512M、512MT、513M(以上、日立化成社製)、NKエステル A−CMP−1E、A−LEN−10、M−450G、S、S−1800M、S−1800A、PHE−1G、NPA−8E、NPA−5P、NPA−10G、M−90G、LMA、LA、IB、CB−26、CB−23、CB−1、AMP−60G、AM−30G、A−SA、A−IB、702A(新中村化学工業社製)等が挙げられる。
中でも、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス−4(2−ヒドロキシ−3−アクリロキシプロピルフェニル)プロパン、エチレンオキサイド付加ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加テトラブロモビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応で得られるビスフェノールA型エポキシジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールA型エポキシジ(メタ)アクリレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン等は特に好ましく用いられる。
R−551、R−712(以上、日本化薬社製);BPE−4、BPE−10、BR−42M(以上、第一工業製薬社製);リポキシVR−77、VR−60、VR−90、SP−1506、SP−1506、SP−1507、SP−1509、SP−1563(以上、昭和高分子社製);ネオポールV779、ネオポールV779MA(日本ユピカ社製)等が挙げられる。
中でも、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシ)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが好ましい。
また、主鎖にポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネートを有するポリエーテルアクリルオリゴマー、ポリエステルアクリルオリゴマー、ポリカーボネートアクリルオリゴマー、あるいはポリエポキシアクリルオリゴマーも使用することができる。
光硬化性樹脂組成物中、成分(B)の配合量は、光硬化性樹脂組成物の固形分の全量を100質量部として、10〜60質量部である。該配合量の下限値は、好ましくは20質量部、より好ましくは25質量部である。成分(B)の配合量が10質量部未満では、硬化物の耐湿熱性が低下し、フィルム状光導波路を高温高湿雰囲気中で使用した場合に、伝送特性、屈曲耐久性を良好に維持することが困難となる。一方、成分(B)の配合量が、69質量部を超えると、組成物の光硬化性が低下し、十分な機械的特性を有する硬化物(クラッド層)を形成することが困難となる。
成分(C)は、成分(A)及び成分(B)を重合しうる活性種(ラジカル)を光によって発生することのできる光重合開始剤である。
ここで光とは、例えば赤外線、可視光線、紫外線、及びX線、電子線、α線、β線、γ線のような電離放射線を意味する。
光重合開始剤としては、例えばアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられる。中でも1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等は、重合速度、溶液安定性の観点から好ましく用いられる。
光ラジカル重合開始剤は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
本発明においては、光重合開始剤と共に光増感剤を用いることができる。光増感剤としては、例えば、トリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等が挙げられる。光増感剤の市販品としては、例えば、ユベクリルP102、103、104、105(以上、UCB社製)等が挙げられる。
[成分(D)]
光硬化性樹脂組成物には、必要に応じて有機溶媒(成分(D))を配合することができる。有機溶媒を配合することにより、適当な粘度を付与して、均一な厚さを有するコア部分及び/又はクラッド層を形成することができる。
有機溶媒の種類は、本発明の目的、効果を損なわない範囲で適宜選択することができるが、大気圧下での沸点が50〜200℃の範囲内の値を有し、かつ、各構成成分を均一に溶解させるものが好ましい。
有機溶媒の好ましい例としては、アルコール類、エーテル類、エステル類、及びケトン類が挙げられる。有機溶媒の好ましい化合物名としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、トルエン、キシレン、及びメタノールからなる群より選択される少なくとも1つの溶剤が挙げられる。
有機溶媒の配合量は、光硬化性樹脂組成物の固形分の全量を100質量部として、好ましくは5〜500質量部、より好ましくは10〜300質量部、特に好ましくは20〜200質量部である。該量が5質量部未満では、光硬化性樹脂組成物の粘度の調整が困難となることがある。該量が500質量部を超えると、十分な厚さを有するコア部分及び/又はクラッド層を形成することが困難なことがある。
光硬化性樹脂組成物は、不飽和基含有ポリマー(成分(E))を含まないか、または、含むとしても少量である。
また、不飽和基含有ポリマー(成分(E))を含む場合、成分(E)の配合量は、成分(A)の配合量よりも少ない。
光硬化性樹脂組成物中、不飽和基含有ポリマーの配合割合は、光硬化性樹脂組成物の固形分を100質量部として、10質量部以下である。上記配合割合が40質量部を超えると、屈曲耐久性が低下する場合がある。
なお、不飽和基含有ポリマーの例として、不飽和基含有(メタ)アクリレート系ポリマーが挙げられる。
ここで、不飽和基含有(メタ)アクリレート系ポリマーにおける「不飽和基」としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等のエチレン性不飽和基等が挙げられる。
また、不飽和基含有(メタ)アクリレート系ポリマーにおける「(メタ)アクリレート系」とは、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートを、当該ポリマーを構成する単量体の全量中に50質量%以上の含有率で使用していることを意味する。
上記水酸基を有するラジカル重合性化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記一般式(2)に対応するラジカル重合性化合物としては、例えば、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、スチレン、4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノキシエチルアクリレート、α−メチルスチレン等が挙げられる。
上記(メタ)アクリロイルオキシ基を有するイソシアネートとしては、例えば、2−メタクリロキシエチルイソシアネート等が挙げられる。
上記不飽和基含有ポリマーのポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは5,000〜100,000、より好ましくは8,000〜70,000、特に好ましくは10,000〜50,000である。
光硬化性樹脂組成物を調製するには、常法にしたがって前記の各成分を混合撹拌すればよい。
図1は、本発明のフィルム状光導波路の一例を模式的に示す断面図である。
図2は、本発明のフィルム状光導波路の製造方法の一例を示すフロー図である。
図1中、フィルム状光導波路24は、コア部分20と、クラッド層(下部クラッド層12、及び上部クラッド層22)とから構成されている。下部クラッド層12は、基板10の上面に積層して形成されており、この下部クラッド層12の上面には、特定の幅を有するコア部分20が形成されている。コア部分20及び下部クラッド層12の上面には、上部クラッド層22が積層して形成されている。なお、コア部分20は、光導波路24の外形を形成する下部クラッド層12及び上部クラッド層22の中に埋設されている。
本発明において、少なくとも下部クラッド層12及び上部クラッド層22は、上述の光硬化性樹脂組成物の硬化物からなる。本発明において、コア部分20、下部クラッド層12及び上部クラッド層22のすべてが、上述のコア形成用光硬化性樹脂組成物の硬化物からなることが好ましい。
下部クラッド層12、及び上部クラッド層22の各々の厚さは、特に限定されないが、例えば1〜200μmであり、好ましくは1〜50μm、より好ましくは1〜25μm、特に好ましくは1〜15μmである。コア部分20の厚さは、特に限定されないが、例えば1〜200μmであり、好ましくは1〜150μm、より好ましくは1〜100μm、特に好ましくは1〜70μmである。コア部分20の幅は、特に限定されないが、例えば、1〜200μmである。
コア部分20の屈折率は、下部クラッド層12及び上部クラッド層22のいずれの屈折率よりも大きいものであることが必要である。例えば、波長400〜1,600nmの光に対して、コア部分20の屈折率が1.420〜1.650、下部クラッド層12及び上部クラッド層22の屈折率が1.400〜1.648であり、かつ、コア部分20の屈折率が、2つのクラッド層のいずれの屈折率よりも少なくとも0.1%大きな値であることが好ましい。
コア部分及びクラッド層が高い透明性を有することによって、フィルム状光導波路の下面に、面発光レーザ等の発光素子や、フォトダイオード等の受光素子を接合して、電気/光信号を変換するインターフェースを形成するときに、フィルム状光導波路を上方から透視して、発光素子や受光素子の位置と、フィルム状光導波路中のコア部分の位置とを正確に合わせることができる。
また、コア部分及びクラッド層が高い透明性を有することによって、光信号に使用される波長領域の光に対して高い透過率を発現することができ、発光素子からの光信号がクラッド層を通過してコア部分に到達する際の、光の損失、及び、コア部分からの光信号がクラッド層を通過して受光素子に到達する際の、光の損失を極めて小さくすることができる。
本発明のフィルム状光導波路24の製造方法は、下部クラッド層12を形成する工程と、コア部分20を形成する工程と、上部クラッド層22を形成する工程を含む。
なお、光導波路を構成する下部クラッド層12、コア部分20、及び上部クラッド層22の各部を形成するための光硬化性樹脂組成物は、各々、便宜上、下層用組成物、コア用組成物及び上層用組成物と称する。
(1)光硬化性樹脂組成物の調製
下層用組成物及び上層用組成物の各々の成分組成は、特に限定されるものではないが、経済上及び製造管理上、同一の光硬化性樹脂組成物であることが好ましい。
下層用組成物及び上層用組成物の粘度は、好ましくは1〜10,000cps(25℃)、より好ましくは5〜8,000cps(25℃)、特に好ましくは10〜5,000cps(25℃)である。粘度がこの範囲外であると、光硬化性樹脂組成物の取り扱いが困難になったり、均一な塗膜を形成することが困難なことがある。なお、粘度は、有機溶媒等の配合量を変えることによって、適宜調整することができる。
また、下層用組成物、コア用組成物及び上層用組成物の各々の成分組成は、下部クラッド層12、コア部分20、及び上部クラッド層22の各部の屈折率の関係が、光導波路に要求される条件を満足するように定められる。具体的には、屈折率の差が適宜の大きさとなるような二種または三種の光硬化性樹脂組成物を調製し、このうち、最も高い屈折率の硬化膜を与える光硬化性樹脂組成物をコア用組成物とし、他の光硬化性樹脂組成物を下層用組成物及び上層用組成物として用いる。
図2中の(a)に示すように、平坦な表面を有する基板10を用意する。この基板10の種類としては、特に限定されないが、例えば、シリコン基板、ガラス基板、PETフィルム、ポリイミドフィルム等を用いることができる。
基板10の上面に、下部クラッド層12を形成する工程である。具体的には、基板10の表面に下層用組成物を塗布し、乾燥またはプリベークして下層用薄膜を形成する。この下層用薄膜に光を照射して硬化させ、硬化体である下部クラッド層12を形成する(図2中の(b)参照)。なお、下部クラッド層12の形成工程においては、薄膜の全面に光を照射し、その全体を硬化することが好ましい。
下層用組成物の塗布方法としては、スピンコート法、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、カーテンコート法、グラビア印刷法、シルクスクリーン法、インクジェット法等のいずれかの方法を用いることができる。このうち、均一な厚さの下層用薄膜が得られることから、スピンコート法を採用することが好ましい。
また、下層用組成物のレオロジー特性を塗布方法に応じた適切なものとするために、下層用組成物には、各種レベリング剤、チクソ付与剤、フィラー、有機溶媒、界面活性剤等を必要に応じて配合することが好ましい。下層用組成物からなる下層用薄膜は、塗布後、有機溶剤等を除去する目的で必要に応じて50〜150℃の温度でプリベークすることが好ましい。
照射する光の種類としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線等を用いることができるが、特に紫外線が好ましい。光の照射装置としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマランプ等を用いることが好ましい。
また露光の際、必要に応じて露光雰囲気を窒素気流下にすることで、硬化性を向上させることができる。
また、露光後に、さらに加熱処理(ポストベーク)を行うこともできる。この加熱条件は、光硬化性樹脂組成物の成分組成等により異なるが、通常、30〜250℃、好ましくは50〜200℃、より好ましくは100〜150℃で、例えば5分間〜72時間の加熱時間とすればよい。加熱処理(ポストベーク)を行なうことによって、塗膜全面を十分に硬化させることができる。
なお、下部クラッド層12の形成工程における組成物の塗布方法、光の照射量、種類、及び光(紫外線)の照射装置、プリベーク及びポストベークの条件等は、後述する上部クラッド層22の形成工程においても同様である。
次に、下部クラッド層12の上面に、図2中の(c)に示すように、コア用組成物を塗布し、乾燥またはプリベークしてコア用薄膜14を形成する。その後、図2中の(d)に示すように、コア用薄膜10の上面に対して、所定のパターンに従って、例えば所定のラインパターンを有するフォトマスク18を介して光16の照射(露光)を行う。これにより、コア用薄膜14のうち、光が照射された箇所のみが硬化するので、それ以外の未硬化の部分を現像処理して除去することにより、図2中の(e)に示すように、下部クラッド層12上に、パターニングされた硬化膜からなるコア部分20を形成することができる。
本工程における現像処理の詳細は、次のとおりである。
現像処理は、所定のパターンに従ってパターン露光し、選択的に硬化させた薄膜に対して、硬化部分と未硬化部分との溶解性の差異を利用して、現像液を用いて未硬化部分のみの除去を行なうものである。つまり、パターン露光後、未硬化部分を除去し、かつ、硬化部分を残存させて、結果的にコア部分を形成させるものである。
現像時間は、通常30〜600秒間である。現像方法としては、液盛り法、ディッピング法、シャワー現像法等の公知の方法を採用することができる。現像後、そのまま風乾することによって、有機溶媒が除去されて、パターン状の薄膜が形成される。
パターン状の薄膜(パターニング部)の形成後、このパターニング部を加熱処理(ポストベーク)する。この加熱条件は、光硬化性樹脂組成物の成分組成等により異なるが、通常、30〜250℃、好ましくは50〜200℃、より好ましくは100〜150℃の加熱温度で、例えば5分間〜10時間の加熱時間とすればよい。加熱処理(ポストベーク)を行なうことによって、塗膜全面を十分に硬化させることができる。
a.液晶表示装置と同様の原理を利用して、所定のパターンに従って光透過領域と光不透過領域とからなるマスク像を電気光学的に形成する手段を利用する方法。
b.多数の光ファイバーを束ねてなる導光部材を用い、この導光部材における所定のパターンに対応する光ファイバーを介して光を照射する方法。
c.レーザー光、あるいはレンズ、ミラー等の集光性光学系により得られる収束性の光を、走査させながら光硬化性樹脂組成物に照射する方法。
コア部分20及び下部クラッド層12の上面に、上部クラッド層22を形成する工程である。具体的には、コア部分20及び下部クラッド層12の上面に上層用組成物を塗布し、乾燥またはプリベークして上層用薄膜を形成し、この上層用薄膜に光を照射して硬化させることによって、硬化体である上部クラッド層22を形成する(図2(f)参照)。なお、上部クラッド層22の形成工程においては、薄膜の全面に光を照射し、その全体を硬化することが好ましい。露光後に、さらに、加熱処理(ポストベーク)を行ってもよい。
なお、上述のように、上部クラッド層22を形成する際の、上層用組成物の塗布方法、プリベークの条件、光の照射量及び種類、光の照射装置、ポストベークの条件等は、上述の下部クラッド層12の形成工程と同様である。
その後、基板10を剥離せずにそのまま(図2中の(f))とするか、あるいは基板10を剥離すると(図示しない)、フィルム状光導波路24が得られる。
[1.コア部分用光硬化性樹脂組成物及びクラッド層用光硬化性樹脂組成物の用意]
成分(A)〜(E)として、以下の材料を用意した。
[成分(A)]
攪拌機を備えた反応容器に、イソホロンジイソシアネート16.6質量部、数平均分子量が2,000のポリプロピレングリコール74.7質量部、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.01質量部を仕込み、5〜10℃に冷却した。撹拌しながらジラウリル酸ジ−n−ブチル錫0.05質量部を加え、温度が30℃以下に保たれるように調整しながら2時間撹拌した後、50℃まで昇温しさらに2時間撹拌した。続いて、2−ヒドロキシエチルアクリレート8.7質量部(以上の合計量100質量部)を滴下し、滴下終了後、50℃で1時間反応させ、さらに65℃まで昇温し2時間反応させた。残留イソシアネートが0.1質量%以下になった時を反応終了とし、化合物A−1を得た。
同様の方法にて化合物A−2〜A−8を得た。
化合物A−1〜A−8の製造に用いた原料名及び配合量を、表1に示す。
(1)N−ビニルカプロラクタム;ISP社製、V−CAP(商品名)
(2)N−ビニル−2−ピロリドン;ISP社製、V−PYROL(商品名)
(3)イソボルニルアクリレート;大阪有機化学工業社製、IBXA(商品名)
(4)ビスフェノールA EO付加物ジアクリレート;大阪有機化学工業社製、ビスコート700(商品名)
(5)2,2−ビス‐4(2‐ヒドロキシ‐3‐アクリロキシプロピルフェニル)プロパン;昭和高分子社製、VR−77(商品名)
(6)1,6−ヘキサンジオールジアクリレート;共栄社化学社製、ライトアクリレート1,6−HX−A(商品名)
(7)1,9−ノナンジオールジアクリレート;大阪有機化学工業社製、ビスコート260(商品名)
(8)EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート;大阪有機化学工業社製、ビスコート360(商品名)
(9)トリス(アクリロキシ)イソシアヌレート;東亞合成社製、アロニックスM−315(商品名)
(10)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート;日本化薬社製、KAYARAD DPHA(商品名)
(11)9,9−ビス[4−(2−アクリロキシエトキシ)フェニル]フルオレン;新中村化学工業製、 NKエステル A−BPEF(商品名)
(1)Irgacure369;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製
(2)Irgacure184;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製
(1)メチルイソブチルケトン;ダイアケミカル社製
(2)メトキシプロピルアセテート;ダイセル化学工業社製、MMPGAC(商品名)
調製例1
ドライアイス/メタノール還流器の付いたフラスコを窒素置換した後、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.5g、有機溶剤としてメチルイソブチルケトン90gを仕込み、重合開始剤が溶解するまで攪拌した。引き続いて、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20g、ジシクロペンタニルアクリレート25g、メチルメタクリレート40g、及びn−ブチルアクリレート15gを仕込んだ後、緩やかに攪拌を始めた。その後、溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度で6時間重合を行った。その後、得られた溶液にジラウリル酸ジ−n−ブチル錫0.12g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.05gを仕込み、攪拌しながら2−メタクリロキシエチルイソシアネート23.7gを温度が60℃以下に保たれるように滴下した。滴下終了後、60℃で5時間反応させ、側鎖にメタクリル基を有するポリマー溶液を得た。その後、反応生成物を多量のヘキサンに滴下して反応生成物を凝固させた。さらに、この凝固物と同質量のテトラヒドロフランに再溶解し、多量のヘキサンで再度凝固させた。この再溶解−凝固操作を計3回行った後、得られた凝固物を40℃で48時間真空乾燥して、目的とする共重合体E−1を得た。
ドライアイス/メタノール還流器の付いたフラスコを窒素置換した後、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3g、有機溶剤としてメチルイソブチルケトン100gを仕込み、重合開始剤が溶解するまで攪拌した。引き続いて、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20g、メタクリル酸10g、ジシクロペンタニルアクリレート10g、スチレン25g、及びn−ブチルアクリレート35gを仕込んだ後、緩やかに攪拌を始めた。その後、溶液の温度を80℃に上昇させ、この温度で6時間重合を行った。その後、得られた溶液にジラウリル酸ジ−n−ブチル錫0.13g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.05gを仕込み、攪拌しながら2−メタクリロキシエチルイソシアネート23.7gを温度が60℃以下に保たれるように滴下した。滴下終了後、60℃で5時間反応させ、側鎖にメタクリル基を有するポリマー溶液を得た。その後、反応生成物を多量のヘキサンに滴下して反応生成物を凝固させた。さらに、この凝固物と同質量のテトラヒドロフランに再溶解し、多量のヘキサンで再度凝固させた。この再溶解−凝固操作を計3回行った後、得られた凝固物を40℃で48時間真空乾燥して、目的とする共重合体E−2を得た。
ドライアイス/メタノール還流器の付いたフラスコを窒素置換した後、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3g、有機溶剤としてメチルイソブチルケトン100gを仕込み、重合開始剤が溶解するまで攪拌した。引き続いて、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20g、スチレン25g、n−ブチルアクリレート5g、4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノキシエチルアクリレート35g、メタクリル酸15gを、仕込んだ後、緩やかに攪拌を始めた。その後、溶液の温度を80℃に上昇させ、この温度で6時間重合を行い、室温まで冷却した後、得られた溶液に2−ヒドロキシエチルメタクリレートと当量の2−メタクリロキシエチルイソシアネート23.7g、ジラウリル酸ジ−n−ブチル錫0.13g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.05gを仕込み、溶液の温度を60℃に上昇させ、この温度で6時間重合を行い、側鎖にメタクリロイル基を有するポリマー溶液を得た。その後、反応生成物を多量のヘキサンに滴下して反応生成物を凝固させた。さらに、この凝固物と同質量のテトラヒドロフランに再溶解し、多量のヘキサンで再度凝固させた。この再溶解−凝固操作を計3回行った後、得られた凝固物を40℃で48時間真空乾燥して、目的とする共重合体E−3を得た。
共重合体E−1、E−2、E−3の製造に用いた前記の原料名及び配合量を表2に示す。
[参考例1]
(1)下部クラッド層の形成
下層用光硬化性樹脂組成物J−1をシリコン基板の上面に、スピンコータで塗布し、次いで、光硬化性樹脂組成物J−1からなる塗膜に、波長365nm、照度20mW/cm2の紫外線を100秒間照射して、光硬化させ、厚さ10μmの下部クラッド層を形成した。
(2)コア部分の形成
コア部分用光硬化性樹脂組成物J−11を下部クラッド層上に、スピンコータで塗布し、100℃、10分間の条件でプリベークした。次いで、コア部分用光硬化性樹脂組成物からなる厚さ50μmの塗膜に、幅50μmのライン状パターンを有するフォトマスクを介して、波長365nm、照度20mW/cm2の紫外線を75秒間照射して、光硬化させた。そして、硬化させた塗膜を有する基板をアセトンからなる現像液中に浸漬して、塗膜の未露光部を溶解させた。その後、150℃、1時間の条件で、ポストベークをすることにより、幅50μmのライン状パターンを有するコア部分を形成した。
上層用光硬化性樹脂組成物J−1を、コア部分を有する下部クラッド層の上面に、スピンコータで塗布し、次いで、光硬化性樹脂組成物J−1からなる塗膜に、波長365nm、照度20mW/cm2の紫外線を100秒間照射して光硬化させ、コア部分の上面からの厚さが10μmである上部クラッド層を形成した。
(4)基板の剥離
上記(1)〜(3)の工程で形成した硬化物を、基板から剥離し、下部クラッド層、コア部分、及び、上部クラッド層をこの順に積層してなるフィルム状光導波路を得た。
コア部分、クラッド層(下部クラッド層及び上部クラッド層)を形成するための光硬化性樹脂組成物を表4のように変えた以外は、参考例1と同様にしてフィルム状光導波路を形成した。
フィルム状光導波路(実施例1〜4、参考例1〜6、比較例1〜2)を次のようにして評価した。
[1.屈曲耐久性]
作製したフィルム状光導波路(幅5mm、長さ10cm、厚み70μm)に対して、温度23℃、湿度50%の環境下で屈曲試験を行った。試験条件は、屈曲角度±135°、屈曲速度100回/分、荷重100gで、屈曲半径を0.5mmおよび1mmとした。なお、屈曲回数は、はじめの0度の位置(フィルム状光導波路が水平の状態)から、+135度の位置へ屈曲し、さらに再度0度の位置を経由して−135度の位置へ屈曲した後、0度の位置へ戻ってくる動作を1回とする。フィルム状光導波路に破断が生じるまでの回数を測定し、屈曲回数が10万回を超えても破断やクラックが発生しない場合を「○」、屈曲回数が5万回を超え10万回以内で破断やクラックが発生する場合を「△」、5万回以内で破断やクラックが発生する場合を「×」とした。
[2.透明性]
コア部分及びクラッド層(厚さ:10μm)の透明性を分光光度計で測定した。405nmの波長での光の透過率が80%以上の場合を「○」、80%未満の場合を「×」とした。
以上の結果を表4に示す。
12 下部クラッド層
14 コア用薄膜
16 光
18 フォトマスク
20 コア部分
22 上部クラッド層
24 フィルム状光導波路
Claims (2)
- 下部クラッド層とコア部分と上部クラッド層との積層体のみからなるフィルム状光導波路であって、少なくとも前記下部クラッド層及び上部クラッド層が、下記成分(A)〜(C)を含む光硬化性樹脂組成物(ただし、下記の配合量は、光硬化性樹脂組成物の固形分の全量を100質量部とした場合の値である。)の硬化物からなり、
前記光硬化性樹脂組成物は、不飽和基含有ポリマーを含まないか、または、光硬化性樹脂組成物の固形分の全量を100質量部とした場合に10質量部以下の配合量で不飽和基含有ポリマーを含むことを特徴とするフィルム状光導波路。
(A)(a)ポリカーボネートポリオール、(b)ポリイソシアネート化合物、及び(c)水酸基含有(メタ)アクリレートの反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー 35〜80質量部
(B)不飽和基含有モノマー 10〜60質量部
(C)光重合開始剤 0.1〜10質量部 - 前記コア部分が、前記下部クラッド層及び上部クラッド層を形成する光硬化性樹脂組成物の前記の各条件をすべて満たす光硬化性樹脂組成物の硬化物からなる請求項1に記載のフィルム状光導波路。
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