JP6643646B2 - 密閉型電池及びその製造方法 - Google Patents
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Description
前記巻取体のそれぞれの極板に、それぞれの集電タブの一端を接続する工程と、
前記巻取体を電池外装缶内に収容する工程と、
前記それぞれの集電タブのうちの片方の他端を前記電池外装缶の内面底面部に当接させるように配置する工程と、
前記電池外装缶の板厚より小さいスポット径を有するレーザビームを前記電池外装缶の外側底面の照射位置に、前記外側底面と直交する方向に対して照射角度を付けて照射し、かつ、前記照射位置での照射点を中心に前記電池外装缶に対して前記照射角度を保ったまま相対的に一回転照射させて、前記電池外装缶と前記電池外装缶の前記内面底面部に当接された前記集電タブとを円環形状にレーザ接合する円環形成工程と、
を有する。
前記巻取体のいずれか一方の極板から導出された集電タブと前記電池外装缶の外側底面とが溶接された溶融部を有し、
前記電池外装缶の前記外側底面における前記溶融部の占める面積が、前記電池外装缶と前記集電タブとの接合面における前記溶融部の占める面積より小さく、
前記電池外装缶の前記外側底面における前記溶融部の形状がポイント状であり、かつ、前記電池外装缶と前記集電タブとの前記接合面における前記溶融部の形状が円環形状又は円板形状である。
図1は、本発明の実施形態における密閉型電池の構成を模式的に示した断面図である。図1に示すように、正極板1と負極板2とがセパレータ3を介して巻き取られた巻取体4が、複数個、電池外装缶5内に絶縁板7,8で挟み込まれた状態で電解液とともに収容されている。電池外装缶5の開口部は、ガスケット6を介して封口板10で封口されている。巻取体4のいずれか一方の極板(例えば、正極板1)から導出された正極集電タブ11は、封口板10に溶融部9を介してレーザ溶接されている。また、他方の極板(例えば、負極板2)から導出された負極集電タブ12は、電池外装缶5の底部で溶融部(レーザ溶融部)13を介してレーザ接合されている。
(密閉型電池の構成)
図2は、本発明の第1実施形態における、電池外装缶5と負極集電タブ12との溶融部13の拡大図である。図2に示すように、電池外装缶5と負極集電タブ12との溶融部13において、溶融部13の表面溶融幅14は、電池外装缶5の板厚15より小さくなっている。一方、電池外装缶5と負極集電タブ12との接合幅16は、表面溶融幅14、及び、電池外装缶5の板厚15より大きくなっている。また、溶融部13は、負極集電タブ12を貫通しておらず、負極集電タブ12の内部で左右斜め下方向に断面逆V字形状に溶融している。すなわち、電池外装缶5の外側底面と直交する方向における、電池外装缶5と集電タブ12との溶融部13の溶融深さTが、電池外装缶5の底厚(板厚)15と集電タブ12の板厚15tとの加算和未満となっている。なお、溶融部13の表面溶融幅14は、レーザビーム25のスポット径よりも少し大きくなっている。レーザビーム25のスポット径は、電池外装缶5の板厚より小さくなっている。
次に、図2で示した溶融部13を形成して、電池外装缶5と負極集電タブ12とを接合する接合装置を図4に示す。図4の接合装置は、レーザ発振器19と、レーザ発振器制御部20と、レーザ加工ヘッド21と、レーザ加工ヘッド21を回転運動させる回転機構部22と、回転制御部23と、及び、全体制御部24とを備えて構成される接合装置である。
図5は、電池外装缶5に対して従来のパルスYAGレーザを使用する場合における接合方法を示す図である。
そのため、熱伝導型のレーザ溶接ではなく、深溶け込み型のレーザ溶接(キーホール溶接)ができれば、表面溶融面積が微小になるため、ワイヤボンドの接合信頼性が確保でき、また、貫通溶接及び穴あき28の防止が可能になる。例えば、ファイバーレーザは従来のパルスYAGレーザよりはるかにレーザビーム品質に優れているため、スポット径を例えばφ0.02mm程度に非常に小さくすることができる。そのため、集光点のパワー密度を非常に強くすることができる。
図6は、本発明の第1実施形態におけるファイバーレーザによる接合方法を示す図である。
図7は、キーホール溶接の原理を説明するための概念図である。図7は、厚みhの板状部材201に、レーザビーム202を照射することによって、直径Xのキーホール203が生成された状態を示している。キーホール203は、溶融した板状部材201の金属蒸気の蒸発反発力Paと、溶融した板状部材201の表面張力Psとが均衡することによって維持される。
ここで、Gは、板状部材201の液体金属の表面エネルギで、Dは溶融領域204の直径である。
式(2)から、X>hの場合、dE/dX<0となり、キーホール203の直径Xの増大(dX)により、表面エネルギEは減少(dE)するため、キーホール203は穴あきとなる。一方、X<hの場合、dE/dX>0となり、キーホール203の直径Xの増大(dX)により、表面エネルギEは増大(dE)するため、キーホール203の直径Xは収縮して、蒸発反発力Paと均衡する。
次に、表面溶融サイズが小さいけれども接合サイズを大きくすることができるように、図4で示された接合装置で、レーザ発振器19としてファイバーレーザを用いて、電池外装缶5と負極集電タブ12とを接合する方法について図8A〜図8Eを用いて詳細に説明する。
一方、前記した第1実施形態による製造方法だけでは、図9の(a)にA’−A断面図として示すように、溶接開始時に電池外装缶5にレーザビーム25が急激に照射されることがあるため、キーホール29が形成されると同時に、スパッタ30と呼ばれる金属溶融物が飛び出す場合が考えられる。もしスパッタ30が発生すると、発生したスパッタ30が電池に付着したり、周囲の接合装置に付着したりする。また、溶融部13がスパッタ30として飛散するため、図9の(b)にA’−A断面図として示すように電池外装缶5の溶融部13に陥没部31が生じて製品不良となる。また、逆に、もし溶接終了時にレーザビーム25が急激に停止すると、溶融終了直前に存在していたキーホール29が、電池外装缶5の溶融部13の内部にブローホール32として残存する場合がある(図9(c)のA’−A断面図参照)。また、そのキーホール29が溶融部13で埋まらず、電池外装缶5の溶融部13の表面に陥没部31が発生して製品不良となる場合がある(図9(d)のA’−A断面図参照)。
次に、これらの製品不良を防止するための製造方法について説明する。
一方、図11A〜図11Cは、キーホール29の起因のブローホール32を防止する方法を説明するための図である。言わば、レーザ接合工程の終了後(溶接終了後)の一定時間において、レーザ照射終了準備工程を備えるものである。本製造法は、以前、図8A〜図8Eにて説明した製造方法において、レーザ照射終了準備工程として、図8Eでの溶接終了後にもレーザ出力を所定の接合用出力から徐々に下げながら接合していく方法である。なお、図11Aの左側の図としてレーザ照射側(電池外装缶5の底面側)から見た円形領域の上面図(a)と、右側の図として上面図(a)のA’−A断面図(b)とをそれぞれ示している。なお、図11AのA’−A断面図(b)は、図10Aなどと比較しやすくするため、図11Aの(a)のA’−A断面図を90度反時計方向に回転した状態で図示している。図11Bの左側の図としてレーザ照射側(電池外装缶5の底面側)から見た円形領域の上面図(a)と、右側の図として上面図(a)のC’−C断面図(b)とをそれぞれ示している。図11Cの左側の図としてレーザ照射側(電池外装缶5の底面側)から見た円形領域の上面図(a)と、右側の図として上面図(a)のB’−B断面図(b)とをそれぞれ示している。
これまでの第1実施形態の説明において、本溶接時の1回転中のレーザ出力は同じ接合用出力としているが、1回転中でレーザ溶接が進んでいくと、電池外装缶5と負極集電タブ12との全体温度が徐々に上昇し、同じレーザ出力でも溶融深さが深くなってくる場合があり、負極集電タブ12を貫通してしまう可能性がでてくる。その場合には、1回転中のレーザ溶接時のレーザ出力を接合用出力から徐々に下げて、溶融深さが均一に且つ貫通しないように制御するのが望ましい。
以上のように、本発明の第1実施形態にかかる密閉型電池及びその製造方法によれば、電池外装缶5の板厚15より小さいスポット径を有するレーザビーム25を電池外装缶5の外側底面の照射位置(例えば概略中央)に、外側底面と直交する方向に対して一定の照射角度θを付けて照射し、かつ、その照射点を中心に電池外装缶5に対して照射角度θを保ったまま相対的に回転照射させて、電池外装缶5とその内部にある集電タブ12とを円形、例えば円環形状にレーザ接合するようにしている。この結果、電池外装缶5の外側底面のレーザ溶融部13の表面溶融面積を小さくさせることで、組電池での接続信頼性を確保することができるようになり、且つ、電池外装缶5と集電タブ12との実接合面積を拡大させることで、電池外装缶5と集電タブ11,12との接合強度を確保することができる。
(密閉型電池の構成)
図12は、本発明の第2実施形態における、電池外装缶5と負極集電タブ12との溶融部13の拡大図である。図12に示すように、電池外装缶5と負極集電タブ12との溶融部13において、溶融部13の表面溶融幅14は、電池外装缶5の板厚15より小さくなっている。一方、電池外装缶5と負極集電タブ12との接合幅16は、表面溶融幅14、及び、電池外装缶5の板厚15より大きくなっている。また、溶融部13は、負極集電タブ12を貫通しておらず、負極集電タブ12の内部で断面扇形状に溶融している。
次に、図12で示した溶融部13を形成して、電池外装缶5と負極集電タブ12とを接合する接合装置を図14に示す。図14の接合装置構成は、第1実施形態で示した図4の接合装置とほぼ同じ構成であり、異なっている所は、回転機構部22の代わりに備えられた、レーザ加工ヘッド21を動かす機構部33の機能である。この機構部33には、機構部制御部23Bの制御の下に、電池外装缶5のほぼ中心軸を中心としてレーザ加工ヘッド21を矢印A方向に正逆回転運動させる回転運動機構33Aと、電池外装缶5のほぼ中心軸に対してレーザ加工ヘッド21の照射角度θを矢印B方向に変える照射角度調整機構33Bを有している。
次に、この図14で示した接合装置を用いて、電池外装缶5と負極集電タブ12とを接合する方法について、図15で詳細に説明する。なお、基本的な接合方法は、第1実施形態で示した図4とほぼ同じであり、その同じ部分は省略し、異なる部分のみ説明する。図15の(a)〜(d)は、1回転レーザ照射毎の電池外装缶5と負極集電タブ12との断面図における溶融部13を示している。
一方、本第2実施形態による製造方法では、図12に示すように負極集電タブ12への溶融部13の断面形状は、下端縁が下向き凸の円弧形状を有する下向きの扇形状であり、溶融部13の溶融深さは中央部で深く周辺部で浅くなっている。負極集電タブ12の板厚が厚いときには問題がないが、板厚が薄くなると、負極集電タブ12の中央部で溶融部13が貫通してしまい、製品不良となる場合がある。そこで、図16で示すように、溶融部13の断面形状が下向きの扇形状ではなく、負極集電タブ12に対して、溶融部13の断面形状の下端が均一な溶融深さにして、貫通しないように改善する必要がある。そのためには、図14において、溶接開始時のレーザビーム25の照射角度θが小さいときにレーザ出力を接合用出力から下げ、その後、レーザ照射角度θが大きくなるにつれて(θ=θ1→θ3)、レーザ出力を接合用出力に向けて増加させるように、全体制御部24でレーザ発振器制御部20と機構部制御部23Bとを介してレーザ発振器19と機構部33とを制御する。このように構成すれば、溶融部13が、負極集電タブ12に対して均一な溶融深さとなり、且つ、負極集電タブ12の貫通を防止することができる。
また、更に、電池外装缶5と負極集電タブ12との接合強度を上げる為には、電池外装缶5と負極集電タブ12との接合面積を増加させる必要がある。レーザ照射角度θを更に大きくして接合面積を広げる方策があるが、レーザ照射角度θが大きくなるとレーザビーム25の電池外装缶5に対する反射率が上がり(逆に、吸収率は低下する)、更に、斜めに深く溶接しなければいけないので、レーザの投入パワーも増大させる必要がある。このため、一般的には得策ではない。
(密閉型電池の構成)
先の第1及び第2実施形態では、溶融部13及び界面接合部18が回転対称であったが、本発明での溶融部13及び界面接合部18は、回転対称に限られるものではない。回転対称ではない例について、以下に説明する。
次に、図19で示した溶融部13と、表面溶融部17と、界面接合部18とを形成し、電池外装缶5と負極集電タブ12とを、例えば図14の接合装置で接合する接合する方法について説明する。
なお、本第3実施形態では、表面溶融部17の形状は、小さな円形のポイント状であるが、図20(a)〜(d)で示すように、1本線形状、2本線形状、四角枠形状、四角形状などでも良い。これは、レーザビーム25の照射角度を順次変えて接合していくことで実現することができる。また、本第3実施形態では、界面接合部18の形状は、3本線形状であるが、図21(a)〜(d)で示すように、1本線形状、2本線形状、四角枠形状、四角形状などでも良い。これも、レーザビーム25の照射角度を順次変えて接合していくことで実現することができる。
以上説明してきたように、前記第1〜第3実施形態にかかる前記製造方法によれば、電池外装缶5の板厚15より小さいスポット径を有するレーザビーム25を電池外装缶5の外側底面の照射位置(例えば概略中央)に、外側底面と直交する方向に対して一定の照射角度θを付けて照射し、かつ、その照射点を中心に電池外装缶5に対して照射角度θを保ったまま相対的に回転照射させて電池外装缶5とその内部にある集電タブ12とを円形(円環形状又は円板形状)にレーザ接合するか、又は、電池外装缶5に対して照射角度θを変化させながら直線移動させて、電池外装缶5とその内部に配置された集電タブ12とを少なくとも1本の直線形状にレーザ接合するようにしている。この結果、電池外装缶5の底面の表面溶融部17の溶融面積を小さくし、且つ、電池外装缶5と負極集電タブ12との界面接合部18の接合面積を拡大して、接合強度を確保することができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、前記実施形態では、電池外装缶5及び負極集電タブ12に対してレーザビーム25を回転させるように構成しているが、これに限られるものではなく、レーザビーム25に対して電池外装缶5及び負極集電タブ12を回転させるようにしてもよい。
2 負極板
3 セパレータ
4 巻取体
5 電池外装缶
6 ガスケット
7 上部絶縁板
8 下部絶縁板
9 溶融部
10 封口板
11 正極集電タブ
12 負極集電タブ
13,13B 溶融部
14 表面溶融幅
15 板厚
16 接合幅
17 表面溶融部
18 界面接合部
19 レーザ発振器
20 レーザ発振器制御部
21 レーザ加工ヘッド
22 回転機構部
23 回転制御部
23B 機構部制御部
24 全体制御部
25,25A,25B,25C,25D レーザビーム
26 回転機構部の回転軸(電池外装缶の底面の中心軸)
27 レーザビームの照射位置
28 穴あき
29 キーホール
30 スパッタ
31 陥没部
32 ブローホール
33 機構部
33A 回転運動機構
33B 照射角度調整機構
θ 照射角度
Claims (7)
- 正極板及び負極板がセパレータを介して捲回されてなる巻取体を形成する工程と、
前記巻取体のそれぞれの極板に、それぞれの集電タブの一端を接続する工程と、
前記巻取体を電池外装缶内に収容する工程と、
前記それぞれの集電タブのうち片方の他端を前記電池外装缶の内面底面部に当接させるように配置する工程と、
前記電池外装缶の板厚より小さいスポット径を有するレーザビームを前記電池外装缶の外側底面の照射位置に、前記外側底面と直交する方向に対して照射角度を付けて照射し、かつ、前記照射位置での照射点を中心に前記電池外装缶に対して前記照射角度を保ったまま相対的に一回転照射させて、前記電池外装缶と前記電池外装缶の前記内面底面部に当接された前記集電タブとを円環形状にレーザ接合する円環形成工程と、
を有する密閉型電池の製造方法。 - 前記円環形成工程の開始前に、前記レーザビームを、前記照射位置での照射点を中心に前記電池外装缶に対して前記照射角度を保ったまま相対的に回転照射させ、かつ前記レーザビームのレーザ出力を前記円環形成工程における出力まで増加させながら、レーザ照射を行うレーザ照射開始準備工程をさらに備える、請求項1に記載の密閉型電池の製造方法。
- 前記円環形成工程の終了後に、前記電池外装缶の前記外側底面に前記レーザビームを、前記照射角度を変化させながら、かつ前記照射位置を通るように相対的に回転照射させて、前記電池外装缶と前記電池外装缶の前記内面底面部に当接された前記集電タブとを円板形状にレーザ接合する円板形成工程をさらに備える、請求項1に記載の密閉型電池の製造方法。
- 前記円板形成工程における前記照射角度は、前記円環形成工程における前記照射角度より小さく、
前記円板形成工程において、前記照射角度が小さくなるほど、前記レーザビームのレーザ出力を前記円環形成工程における出力から下げる、請求項3に記載の密閉型電池の製造方法。 - 前記円板形成工程の終了後に、前記レーザビームを、前記照射位置での照射点を中心に前記電池外装缶に対して前記照射角度を保ったまま相対的に回転照射させ、かつ前記レーザビームのレーザ出力をさらに減少させながら、レーザ照射を行うレーザ照射終了準備工程をさらに備える、請求項3に記載の密閉型電池の製造方法。
- 正極板及び負極板がセパレータを介して捲回されてなる巻取体を電池外装缶内に収容し、この電池外装缶の開口部を封口板で封口した密閉型電池であって、
前記巻取体のいずれか一方の極板から導出された集電タブと前記電池外装缶の外側底面とが溶接された溶融部を有し、
前記電池外装缶の前記外側底面における前記溶融部の占める面積が、前記電池外装缶と前記集電タブとの接合面における前記溶融部の占める面積より小さく、
前記電池外装缶の前記外側底面における前記溶融部の形状がポイント状であり、かつ、前記電池外装缶と前記集電タブとの前記接合面における前記溶融部の形状が円環形状又は円板形状である密閉型電池。 - 前記溶融部の、前記電池外装缶の前記外側底面と直交する方向における溶融深さが、前記電池外装缶の底厚と前記集電タブの板厚との加算和未満である請求項6に記載の密閉型電池。
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