JP2015217422A - レーザ溶接方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】上板、積層箔、下板の電極板をレーザ溶接した際、溶接部内にブローホール(空隙)の発生を抑制しながら溶接するレーザ溶接方法を提供する。【解決手段】第1及び第2の部材と両部材間の第3の部材とからなる被溶接部材をレーザビームで溶接するレーザ溶接方法であって、第1から第3のレーザビームを有し、第2及び第3のレーザビームが、第1のレーザビームの内側に存在し、第1のレーザビームよりも高いレーザパワー密度を有するレーザビームを用いて、第1の部材に第1のレーザビームを照射して溶融部を形成する第1溶融工程と、溶融部に第2のレーザビームを照射し、第2のレーザビームに沿ってより高温の第1のキーホールを発生させる第2溶融工程と、溶融部に第3のレーザビームを照射し、第3のレーザビームに沿ってより高温の第2のキーホールを発生させる第3溶融工程と、を含み、第1から第3の部材を溶融させて被溶接部材を溶接する。【選択図】図2(e)

Description

本開示は、密閉電池などで電極として用いられる積層箔の積層体を含む集電部などをレーザビームで溶接する方法に関し、特に、レーザを用いた場合に溶接部に発生する空隙などの品質不良を防止するレーザ溶接方法に関する。
近年、環境保護運動の高まりを背景として二酸化炭素ガス等の排出規制が強化されており、自動車業界ではガソリン、ディーゼル油、天然ガス等の化石燃料を使用する自動車だけでなく、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の開発が活発に行われている。加えて、近年の化石燃料の価格の急激な高騰はこれらのEVやHEVの開発を進める追い風となっている。
このようなEV、HEV用電池としては、一般にニッケル−水素二次電池やリチウムイオン二次電池が使用されている。また、EV、HEVは、環境対応だけでなく、自動車としての基本性能、すなわち、走行性能の高度化も要求されるようになってきている。そのため、これらのEV、HEV用に使用される電池は、単に電池容量を大きくすることのみならず、自動車の加速性能や登坂性能を大きく改善するために、電池出力を大きくすることも必要である。ところが、高出力の放電を行うと電池に大電流が流れるため、発電要素の芯体と集電体との間の接触抵抗による発熱が大きくなる。従って、EV、HEV用電池は、大型、大容量であるだけでなく、大電流を取り出せるようにするために、電池内部の電力損失を抑制して発熱を低下させることを目的として、これらの発電要素の芯体と集電体との間の溶接不良を抑制して内部抵抗を低下させることについても種々の改良が行われてきている。
発電要素の芯体と呼ばれる金属積層箔と集電体を電気的に接合して集電する方法としては、機械的なカシメ、溶接等の方法があるが、高出力が要求される電池の集電体の接合方法としては溶接が適している。また、リチウムイオン二次電池においては、低抵抗化を実現するために、正極側の積層箔及び集電体材料としてはアルミニウム又はアルミニウム合金が使用され、負極側の積層箔及び集電体材料としては銅又は銅合金が使用されている。しかし、アルミニウム、アルミニウム合金、銅及び銅合金は、その特性として電気抵抗が小さく、熱伝導率が大きいため、溶接するためには非常に大きなエネルギーが必要となる。
このような発電要素の芯体と集電体との間の溶接方法としては、従来から以下の方法が知られている。
(1)レーザ溶接法(例えば、特許文献1参照。)
(2)超音波溶接法(例えば、特許文献2参照。)
(3)抵抗溶接法(例えば、特許文献3参照。)
従来のレーザ溶接法においては、被溶接材料であるアルミニウム、アルミニウム合金、銅及び銅合金は、金属溶接用に広く使用されているYAGレーザ光に対する反射率が約90%と高いため、高エネルギーのレーザ光が必要である。また、アルミニウム、アルミニウム合金、銅及び銅合金をレーザ溶接すると、表面状態の影響により溶接性が大きく変わること、及び、他材質のレーザ溶接の場合と同様に、スパッタの発生や溶融部の空隙発生が不可避であるという問題点が存在する。
また、超音波溶接においても、被溶接材料であるアルミニウム、アルミニウム合金、銅及び銅合金の熱伝導率が大きいことから、大きなエネルギーが必要となる。また、溶接時の超音波振動によって正極活物質及び負極活物質の脱落が生じるおそれがある。そのため、特許文献2に開示されている発明では、超音波溶接時に発電要素である電極体を圧縮し、脱落した負極活物質が発電要素である電極体内に浸入しないようにするなど、接合条件の最適化だけでは対策が困難な場合がある。
更に、抵抗溶接においては、被溶接材料であるアルミニウム、アルミニウム合金、銅及び銅合金の電気抵抗が小さいこと及び熱伝導率が大きいことから、短時間に大電流の投入が必要であること、溶接時に抵抗溶接用電極棒と集電体との融接が発生することがあること、溶接部以外での融解やスパークの発生が生じるという問題点が存在している。
特開2001−160387号公報 特開2007−053002号公報 特開2006−310254号公報
前記従来の構成では、上述のように3種類の溶接方法には一長一短があり、生産性及び設備投資額の面から、従来から金属間の溶接法として広く使用されている抵抗溶接法が用いられていた。しかしながら、図4を用いて説明すると、EV、HEV用の密閉電池の電極体は、積層箔52の露出部の積層枚数が多いため、積層箔52に対してアルミニウム又はアルミニウム合金製の集電体53,54を、また、積層箔52に対して銅又は銅合金製の集電体を、それぞれ確実に抵抗溶接するには多大な溶接エネルギーを必要とし、ナゲット55と呼ばれる溶接部を形成する。しかも、抵抗溶接に際して溶接エネルギーを大きくすると、スパッタされたチリ56の発生が増加し、このチリが電極体内部に移動することによって内部短絡の原因となる可能性が増加するなどの課題がいまだに存在する。
また、レーザ溶接方法を用いた場合、そのスパッタ対策として、レーザピークパワーの低い熱伝導溶接を用いることが一般的であるが、その場合、ピークパワーが低い為、集電部全体を溶融接合させようと思うと、通常10kW以上のパワーが必要であり現実性が低い。また、スパッタ発生よりも接合を優先させた場合、レーザピークパワーの大きなキーホール溶接を用いることになるが、その場合、溶融深さは稼げても、高エネルギーが積層箔からなる集電部に照射される為、溶融部に空隙が発生するという問題がある。
図5(a)〜(c)を用いて、従来のレーザ溶接方法における問題点について説明する。まず、被溶接物が第1の部材(上板:集電体)61と第2の部材(下板:集電体受け部品)62に挟まれた第3の部材(積層箔)63の構成で形成されている場合について説明する。この被溶接物をレーザで溶接する場合に、従来のレーザ溶接方法では空隙の発生する原因としては、積層箔63への強パワーのレーザ64の照射にある。積層箔63は、積層されているとはいえ薄箔の集合体であり厚みのある金属一枚板とは異なり、箔自体の熱容量が小さく、また熱逃げの場所がない。そして、積層された箔間にはいくら強く押さえて固定したとしても隙間が存在する。この状態で、図5(b)に示すように通常の強パワーのレーザ64を照射した場合には、積層箔63にレーザが照射された時点で図5(c)に示すように、積層箔63の溶融時に金属蒸気や有機蒸気66などが多量に発生する、または隙間に存在したエアーや水分が気化することがあり、その成分が溶融部65内に留まり、ブローホールと呼ばれる空隙66が発生するという課題がある。
また、この時発生する蒸気は、レーザを金属に照射する場合の妨げになり、レーザ加工の偏りなどが発生する。これによりレーザ照射が不均一になり、さらに正常な溶融が起こりにくくなり、空隙の発生がさらに増加するという悪循環が生じる原因になる。
本開示は、積層箔により構成された集電体部の溶融部に発生する空隙の発生を抑制しながら溶接するレーザ溶接方法及びレーザ溶接装置を提供することを目的とする。
本開示のレーザ溶接方法は、第1の部材と、第2の部材と、前記第1の部材と前記第2の部材との間に設けられた第3の部材と、からなる被溶接部材をレーザビームで溶接するレーザ溶接方法であって
前記レーザビームが、第1のレーザビーム、第2のレーザビーム、及び、第3のレーザビームを有するレーザビームであり、前記第2及び第3のレーザビームが、前記第1のレーザビームの内側に存在し、かつ前記第1のレーザビームの第1のレーザパワー密度よりも高い第2及び第3のレーザパワー密度をそれぞれ有するレーザビームを用いて、前記第1の部材に前記第1のレーザビームを照射して、前記第1の部材の表面を溶融させて溶融部を形成する第1溶融工程と、
前記第1溶融工程で溶融している前記溶融部に前記第2のレーザビームを照射し、前記第2のレーザビームに沿って、前記溶融部より高温の溶融部からなる第1のキーホールを発生させる第2溶融工程と、
前記第1溶融工程で溶融している前記溶融部に前記第3のレーザビームを照射し、前記第3のレーザビームに沿って、前記溶融部より高温の溶融部からなる第2のキーホールを発生させる第3溶融工程と、
を含み、前記第1の部材と、前記第2の部材と、前記第3の部材と、を溶融させて前記被溶接部材を溶接することを特徴とする。
以上のように、本開示に係るレーザ溶接方法によれば、上板と下板とその間に積層箔を挟んだ構成の集電体の接合時に溶融部に空隙などのブローホールの発生を抑制することが出来る。
(a)は、本開示のレーザ溶接方法を用いて製造された実施例1の角形非水電解質二次電池の内部構造を示す正面図であり、(b)は、(a)のIb−Ib線に沿った断面図であり、(c)は、(b)の点線部分の拡大断面図である。 実施の形態1に係るレーザ溶接方法において、レーザ溶接前の被溶接部材の構成を示す概略断面図である。 実施の形態1に係るレーザ溶接方法の第1溶融工程の概略断面図である。 実施の形態1に係るレーザ溶接方法の第2溶融工程の概略断面図である。 実施の形態1に係るレーザ溶接方法の第2溶融工程において、溶融部が深くなってきている様子を示す概略断面図である。 実施の形態1に係るレーザ溶接方法の第3溶融工程の概略断面図である。 実施の形態1に係るレーザ溶接装置の構成を示すブロック図である。 従来の抵抗溶接方法を用いた場合の集電体溶接部の断面図である。 従来のレーザ溶接方法を用いた場合の集電体溶接部の断面図である。
第1の態様に係るレーザ溶接方法は、第1の部材と、第2の部材と、前記第1の部材と前記第2の部材との間に設けられた第3の部材と、からなる被溶接部材をレーザビームで溶接するレーザ溶接方法であって
前記レーザビームが、第1のレーザビーム、第2のレーザビーム、及び、第3のレーザビームを有するレーザビームであり、前記第2及び第3のレーザビームが、前記第1のレーザビームの内側に存在し、かつ前記第1のレーザビームの第1のレーザパワー密度よりも高い第2及び第3のレーザパワー密度をそれぞれ有するレーザビームを用いて、前記第1の部材に前記第1のレーザビームを照射して、前記第1の部材の表面を溶融させて溶融部を形成する第1溶融工程と、
前記第1溶融工程で溶融している前記溶融部に前記第2のレーザビームを照射し、前記第2のレーザビームに沿って、前記溶融部より高温の溶融部からなる第1のキーホールを発生させる第2溶融工程と、
前記第1溶融工程で溶融している前記溶融部に前記第3のレーザビームを照射し、前記第3のレーザビームに沿って、前記溶融部より高温の溶融部からなる第2のキーホールを発生させる第3溶融工程と、
を含み、前記第1の部材と、前記第2の部材と、前記第3の部材と、を溶融させて前記被溶接部材を溶接することを特徴とする。
第2の態様に係るレーザ溶接方法は、上記第1の態様において、前記第3のレーザビームの前記第3のレーザパワー密度は、前記第2のレーザビームの前記第2のレーザパワー密度より高くてもよい。
第3の態様に係るレーザ溶接方法は、上記第1又は第2の態様において、前記第2溶融工程及び前記第3溶融工程において、前記第2のレーザビーム及び前記第3のレーザビームを、前記被溶接部材に対して走査してもよい。
第4の態様に係るレーザ溶接方法は、上記第1から第3のいずれかの態様において、前記第2のキーホールによる前記溶融部の深さは、前記第1のキーホールによる前記溶融部の深さよりも深くてもよい。
第5の態様に係るレーザ溶接方法は、上記第1から第4のいずれかの態様において、前記被溶接部材は、前記第1の部材よりも前記第2の部材の厚みが薄くてもよい。
第6の態様に係るレーザ溶接方法は、上記第1から第5のいずれかの態様において、前記第1の部材から前記第3の部材までを溶接するにあたり、前記第1溶融工程において、前記第1の部材の両端部から間隔を空けて前記第1のレーザビームを照射して、前記第1の部材の両端部にレーザ加工無し部分を形成してもよい。
第7の態様に係るレーザ溶接装置は、第1の部材と、第2の部材と、前記第1の部材と前記第2の部材との間に設けられた第3の部材と、からなる被溶接部材についてレーザビームを照射して溶接するレーザ溶接装置であって、
前記第1の部材の表面を溶融させるが、前記第1の部材を貫通しない第1のレーザパワー密度を有する第1のレーザビームを前記第1の部材に照射する第1のレーザ部と、
前記第1のレーザビームの内側に、前記第1のレーザビームの第1のレーザパワー密度より高い第2のレーザパワー密度を有する第2のレーザビームを照射する第2のレーザ部と、
前記第1のレーザビームの内側に、前記第2のレーザビームと並んで、前記第1のレーザビームの第1のレーザパワー密度より高い第3のレーザパワー密度を有する第3のレーザビームを照射する第3のレーザ部と、
前記第2のレーザビーム、及び、前記第3のレーザビームを前記第1の部材について走査する走査部と、
を備える。
第8の態様に係るレーザ溶接装置は、上記第7の態様において、前記第3のレーザビームの前記第3のレーザパワー密度は、前記第2のレーザビームの第2のレーザパワー密度より高くてもよい。
第9の態様に係るレーザ溶接装置は、上記第7又は第8の態様において、前記走査部は、前記第2のレーザビーム及び前記第3のレーザビームを、同一の走査方向に沿って順に走査してもよい。
以下、本開示の実施の形態に係るレーザ溶接装置及びレーザ溶接方法について、添付図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
<レーザ溶接装置>
図3は、実施の形態1に係るレーザ溶接装置40の構成を示すブロック図である。このレーザ溶接装置40は、第1の部材18と、第2の部材19と、第1の部材18と第2の部材19との間に設けられた第3の部材15と、からなる被溶接部材についてレーザビームを照射しながら走査して溶接するレーザ溶接装置であって、第1のレーザ部41と、第2のレーザ部42と、第3のレーザ部43と、走査部44と、を備える。第1のレーザ部41は、第1の部材18の表面を溶融させるが、第1の部材18を貫通しない第1のレーザパワー密度を有する第1のレーザビーム30を第1の部材18に照射する。第2のレーザ部42は、第1のレーザビーム30の内側に、第1のレーザビーム30の第1のレーザパワー密度より高い第2のレーザパワー密度を有する第2のレーザビーム31を照射する。第3のレーザ部43は、第1のレーザビーム30の内側に、第2のレーザビーム31と並んで、第1のレーザビーム30の第1のレーザパワー密度より高い第3のレーザパワー密度を有する第3のレーザビーム32を照射する。走査部44は、第2のレーザビーム31、及び、第3のレーザビーム32を第1の部材18について走査する。
実施の形態1に係るレーザ溶接装置40によれば、第1のレーザ部41から照射される第1のレーザビーム30は、比較的広い範囲にわたって照射されるが、その第1のレーザパワー密度は弱いので、被溶接部材である第1の部材18の表面について熱伝導溶融させる。
また、第2のレーザ部42から照射する第2のレーザビーム31は、第1のレーザビーム30の内側に照射される。この第2のレーザビーム31は、第1のレーザビーム30の第1のレーザパワー密度より高い第2のレーザパワー密度を有するので、第1のレーザビーム30によって溶融している第1の部材18の溶融部30aの中で、第2のレーザビーム31に沿って、より高温の溶融部31aからなる第1のキーホールを生じさせる。その結果、より高温の第1のキーホール31aの下部の溶融部30aは、熱伝導溶融によってさらに第3の部材15を溶融し始める。この場合、通常のキーホール溶接の場合とは異なり、第1の部材18から第3の部材15にわたる溶融部30aの生成において、すでに溶融状態にある溶融部30aの深さの変化として生じるのでスパッタや空隙の発生を抑制できる。
さらに、第3のレーザビーム32は、第2のレーザビーム31と同様に、第1のレーザパワー密度より高い第3のレーザパワー密度を有するので、溶融部30aの中で、第3のレーザビーム32に沿って、より高温の溶融部32aからなる第2のキーホールを生じさせる。その結果、より高温の第2のキーホール32aの下部の溶融部30aは、熱伝導溶融によってさらに第2の部材19を溶融し始める。この場合にも通常のキーホール溶接の場合とは異なり、第1の部材18、第3の部材15、及び、第2の部材にわたる溶融部30aの生成において、すでに溶融状態にある溶融部30aの深さの変化として生じるのでスパッタや空隙の発生を抑制できる。なお、第3のレーザビーム32の第3のレーザパワー密度を、第2のレーザビーム31の第2のレーザパワー密度よりも大きくすることによって、第2のキーホールの溶融部32aの深さを第1のキーホールの溶融部31aの深さより深くすることができる。
具体的には、各レーザ部41、42、43の種類としては、例えば、基本波である波長1070nm程度のものを用いることができる。なお、レーザの波長は上記に限られない。また、レーザとしては、例えば、Nd:YAGレーザ(発振波長:1064nm)、炭酸ガスレーザ(発振波長:9.6μm、10.6μm)、Arレーザ(発振波長:480.0nm、514.5nm)、アレキサンドライトレーザ、エキシマレーザ等を使用できる。なお、上記レーザの種類に限られるものではなく、その他のレーザも使用できる。レーザパワーとしては、被溶接部材である上板(第1の部材)18、下板(第2の部材)19、積層箔(第3の部材)15の特性に依存するところが大きい。一例として、各部材18、19、15の材質をアルミニウム、厚みをそれぞれ順に上板18の厚さ0.4mm、下板19の厚さ0.8mm、積層箔の総厚0.5mmとした場合、加工速度150mm/sの場合には、第1のレーザビーム30は、300W、第2のレーザビーム31は、600W、第3のレーザビーム32は、1000Wとビーム強度を変えてもよい。また、照射の範囲も第1のレーザビーム30は、スポット径で、例えば約1000μmと比較的広く設定し、第2のレーザビーム31、及び、第3のレーザビーム32は、それぞれ約100μm程度になるようにビームプロファイルを設定してもよい。これによって空隙の発生を抑制したレーザ溶接が実現出来る。
また、第1から第3のレーザ部41、42、43としては、上記のレーザ溶接装置40では、互いに異なるビーム強度を有する3つのレーザ部41、42、43を独立に設け、同時に照射して溶接しているが、このような構成に限られない。このレーザプロファイルの作り方としては、3つの独立したレーザから同一スポットに向けてそれぞれ照射することで実現してもよく、あるいは回折格子などを用いて1つのレーザビームを3つに分けた後、同一スポットに向けて照射してもよい。この場合、第1のレーザビーム30は、広い範囲にわたって第1の部材18を照射すると共に、レーザパワー密度が相対的に低い。一方、第2のレーザビーム31及び第3のレーザビーム32は、狭い範囲について照射すると共に、レーザパワー密度が第1のレーザビームに比べて相対的に高い。そこで、1つのレーザビームを3つに分岐させる場合には、レーザビームの照射範囲の広狭を制御して、照射範囲の広狭とレーザパワー密度の強弱とを同時に制御してもよい。具体的には、第1のレーザビーム30の照射範囲を広くしてレーザパワー密度を相対的に低くすればよい。また、第2のレーザビーム31及び第3のレーザビーム32の照射範囲を狭い範囲に集中することによってレーザパワー密度を相対的に高くすればよい。さらに、第2のレーザビーム31及び第3のレーザビーム32の照射範囲を第1のレーザビームの内側とすることによって上記構成を実現できる。
走査部44は、第2のレーザビーム31と、第3のレーザビーム32とを第1の部材18について走査できればよい。この場合、第2のレーザビーム31と、第3のレーザビーム32とを、第1のレーザビーム30の照射範囲の内側で走査する。さらに、走査部44は、第1のレーザビーム30についても第1の部材18に対して走査してもよい。なお、第1のレーザビーム30の照射範囲は、第2及び第3のレーザビーム31、32の照射範囲と対比して広いので、第1のレーザビーム30は、第2及び第3のレーザビーム31、32の走査と同時に走査する必要はないが、第1のレーザビーム30、第2のレーザビーム31、第3のレーザビーム32を一体的に走査してもよい。
<レーザ溶接方法>
次に、実施の形態1に係るレーザ溶接方法に関して、同じく図2(a)〜図2(e)を用いて説明する。図2(a)〜図2(e)は、本実施の形態1における集電体部のレーザ溶接方法の各工程を経時的に示す断面図である。図2(a)から図2(e)の順に時間経過を示している。
(a)まず、図2(a)は、レーザ溶接前の被溶接部材の構成を表している。図2(a)に示すように、本実施の形態1における溶接方法では、被溶接部材は、例えば、下板(第2の部材)19、積層箔(第3の部材)15、上板(第1の部材)18の順に重ね合わせている。積層箔15は、薄い金属箔が重ねられたもので、電池の場合、アルミニウムまたは銅を用いる場合が多いが、これに限られない。また厚みは5〜100μm程度と幅広いが、主に5〜20μm程度の場合が多く、箔厚みが薄い程、本発明の効果が大きい。積層箔15内の箔枚数は10〜100枚程度のものがあり、枚数が多い程、本発明の効果が大きい。上板18の厚みは0.2〜2mm程度であり、材質は電池の場合、アルミニウムまたは銅を用いる場合が多いが、その限りではない。下板19も上板18と同様であるが、上板厚みが下板厚みより薄い方が本発明の効果が大きい。なお、上板18、下板19、積層箔15は、いずれも同一金属であっても、あるいは、それぞれ異なる金属からなる場合であってもよい。ここでは主に10枚〜100枚の金属箔が重ねられている積層箔15の部分に着目し、説明を行う。
なお、本開示のレーザ溶接方法を電池の集電体、積層箔、集電体受け部品のレーザ溶接に用いる場合、積層箔としては正極箔又は負極箔のいずれであってもよい。さらに、積層箔は、巻回形のものであっても積層形のものであってもよい。またさらに、電池としては、一次電池、非水電解質二次電池、又は、水性電解質二次電池であってもよい。
(b)図2(b)は、第1のレーザビームを照射する第1溶融工程の概略断面図である。図2(b)では、弱いビームである第1のレーザビーム30の照射によって熱伝導溶融のために上板(第1の部材)18の上部30aに金属溶融が発生していることを示している。第1のレーザビーム30の第1のレーザパワー密度が相対的に低い為、このレーザビーム30のみでは上板18を貫通するだけの溶融は出来ない。つまり表面のみ溶融した状態になる。
なお、第1のレーザビーム30は、相対的に弱いビームであるので、熱伝導溶融が生じる。この熱伝導溶融とは、ビームが弱い場合にビームの熱が低速に伝わりながら溶融が起こる状態を示している。
(c)続いて、図2(c)は、第2のレーザビームを照射する第2溶融工程の概略断面図である。図2(c)では、弱い第1のレーザビーム30が通過し、その後、第2のレーザビーム31である強いビーム31が到着し、溶融部30aの中に第2のレーザビーム31に沿って深い溶融部(第1のキーホール)31aが形成されることが示されている。第2のレーザビーム31の第2のレーザパワー密度は、第1のレーザパワー密度より高い。この工程によって、溶融深さが全体的に深くなる。溶融部30aの深さが深くなるのは、第2のレーザビーム31に沿って、高パワーで溶融している溶融部(第1のキーホール)31aの熱の影響により、通常以上に溶融部30aが熱伝導溶融するパワーを有するからである。
第2のレーザビーム31は、相対的に強いビームであるのでキーホール溶融が生じる。ここで、ビームが強い、弱いとは、例えば、単位面積当たりのビーム強度(レーザパワー密度)のことを示しており、4kW/mm以上のものを強いビーム、それ以下のものを弱いビームと位置づけている。なお、材料、加工条件などによって上記条件は変化するため、4kW/mmとの指標に限られるものではない。
また、「キーホール」とは、ビームが強い場合にレーザビームが溶融部を掘りながら溶融していく状態を示している。具体的には、「キーホール」とは、溶接用語の一つであって、溶融池の先端部分で熱源が母材(被溶接部材、ここでは、第1の部材、積層箔、及び第2の部材)の裏側へ貫通してできる円孔と定義されている(JIS Z3001 2676)。
なお、ここでは第1のレーザビームによって熱伝導溶融している溶融部30aの中でさらに第2のレーザビーム31に沿って生じる、より高温の溶融部の箇所を第1のキーホール31aと呼んでいる。この第1のキーホール31aは、溶融部30aと比べて、レーザパワー密度の差に起因して溶融池の温度が高いと考えられる。その結果、第1のキーホール31aの下部の溶融部30aにおける熱伝導溶融も進行して、溶融部30a自体の深さが深くなっていくと考えられる。
但し、第2のレーザビーム31には、上板18を貫通して第3の部材である積層箔15に達する程のレーザパワー密度は持たず、第2のレーザビーム31だけでは積層箔15へ到達することはない。つまり、第1のレーザビーム30の内側の溶融部30aに第2のレーザビーム31を照射することによって、溶融部30aの内部により高温の第1のキーホール31aを生じさせ、熱伝導溶融による溶融部30aをさらに深くできる。
なお、通常のキーホール溶接では、急激な溶融加工である為、スパッタや空隙の発生が考えられるが、本開示ではすでに溶融中である溶融部30a上へのレーザ照射である為、スパッタや空隙の発生を抑制できる。
(d)次に、図2(d)では、第2溶融工程において、さらに第1のレーザビーム30及び第2のレーザビーム31が進行することにより、弱い第1のレーザビーム30による溶融部30aの深さが増加し、積層箔15の部分で溶融が開始されることが示されている。
なお、従来の強いレーザビームであれば、レーザビームが積層箔15に到達した時点で金属蒸気や有機蒸気などが急激に発生し、溶融部の内部に空隙を形成する。一方、本開示では相対的に弱い第1のレーザビーム30を使用しており、キーホール溶接ではなく、熱伝導溶融による溶融速度の遅い溶接の為、溶融状態を維持しながら溶融部30aの深さが変化する。このため、溶融部30aにおける空隙の発生を抑制できる。
(e)図2(e)は、第3のレーザビームを照射する第3溶融工程の概略断面図である。図2(d)の後、図2(e)に示すように、さらに第3の強いレーザビーム32が到着し、溶融部30aはさらに深くまで溶け込み、下板19までも溶け込みが発生し、集電体全体が接合される。この時、強い第3のレーザビーム32は、積層箔15内を通過することになるが、その時点では、積層箔15自体は溶融部32aとして多層の積層箔ではなく一体化されていることもあり、熱逃げの場所もあれば、また箔内にあったエアーなどもすでに熱伝導溶融時に抜けている為、空隙が発生することはほとんどない。
なお、ここでは第1のレーザビームによって熱伝導溶融している溶融部30aの中でさらに第3のレーザビーム32に沿って、第2のキーホール32aが生じている。この第2のキーホール32aは、溶融部30aと比べて、レーザパワー密度の差に起因して溶融池の温度が高いと考えられる。その結果、第2のキーホール32aの下部の溶融部30aにおける熱伝導溶融も進行して、溶融部30a自体の深さがさらに深くなっていくと考えられる。
以上によって、上板18、積層箔15、及び、下板19が溶融され、被溶接部材が溶接される。
なお、上記第1溶融工程において、第1の部材18の両端部から間隔を空けて第1のレーザビーム30を照射して、第1の部材18の両端部にレーザ加工無し部分を形成してもよい。
(実施例1)
以下に示す実施例において、本開示に係るレーザ溶接方法を具体的に実用化検討している密閉電池としての角形非水電解質二次電池の製造方法を例示する。なお、本実施例は、本開示をこの角形非水電解質二次電池の製造方法に特定することを意図するものではない。例えば、本開示は、ニッケル−水素二次電池、ニッケル−カドミウム二次電池等の水性電解質を使用した密閉電池等、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適応し得るものである。また、電池に限らず、金属積層箔をレーザ接合する場合全般に適応し得るものであると考える。
<一つの使用例としての角形非水電解質二次電池>
図1(a)は、本開示のレーザ溶接方法を用いて製造された実施例1の角形非水電解質二次電池の内部構造を示す正面図である。図1(b)は、図1(a)のIb−Ib線に沿った断面図である。図1(c)は、図1(b)の集電体部をさらに拡大した拡大断面図である。なお、図2(a)〜(e)は、実施の形態1で説明したように、図1(c)の集電体部についてレーザ溶接した場合の各工程の断面図である。
最初にこのレーザ溶接が主に用いられる密閉電池としての角形非水電解質二次電池を図1(a)及び図1(b)を用いて説明する。この角形非水電解質二次電池10は、正極板(図示せず)と負極板(図示せず)とがセパレータ(図示せず)を介して巻回された偏平状の巻回電極体11を、角形の電池外装缶12の内部に収容し、封口板13によって電池外装缶12を密閉したものである。
この偏平状の巻回電極体11は、巻回軸方向の両端部に正極合剤、負極合剤を塗布しない正極芯体露出部、負極芯体露出部からなるが、正極芯体露出部を以降、積層箔14と記載し、負極芯体露出部を以降、積層箔15と記載する。積層箔14は、正極集電体16(以降、上板と記載)を介して正極端子17に接続され、負極芯体露出部(以降、積層箔と記載)15は、負極集電体(以降、上板と記載)18を介して負極端子20に接続されている。正極端子17、負極端子20はそれぞれ絶縁部材21、22を介して封口板13に固定されている。
この角形非水電解質二次電池10は、偏平状の巻回電極体11を電池外装缶12内に挿入した後、封口板13を電池外装缶12の開口部にレーザ溶接し、その後電解液注液孔(図示せず)から非水電解液を注液して、この電解液注液孔を封孔することにより作製される。なお、電解液としては、例えばエチレンカーボネートとジエチルカーボネートを体積比で3:7となるように混合した溶媒に対し、LiPFを1モル/Lとなるように溶解した非水電解液を使用することができる。
<偏平状の巻回電極体11の製造方法>
次に、偏平状の巻回電極体11の具体的な製造方法について説明する。
[正極板の作製]
正極板は、次のようにして作製した。まず、正極活物質としてのコバルト酸リチウム(LiCoO)粉末94質量%と、導電剤としてのアセチレンブラックあるいはグラファイト等の炭素系粉末3質量%と、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)よりなる結着剤3質量%とを混合し、得られた混合物にN−メチル−2−ピロリドン(NMP)からなる有機溶剤を加えて混練して正極活物質合剤スラリーを調製した。次いで、アルミニウム箔(例えば、厚さが20μmのもの)からなる正極芯体を用意し、上述のようにして作製した正極活物質合剤スラリーを正極芯体の両面に、均一に塗布して正極活物質合剤層を塗布した。この際、正極活物質合剤層の一方側には、正極活物質合剤スラリーの塗布されていない所定幅(ここでは12mmとした)の非塗布部(正極芯体露出部)が正極芯体の端縁に沿って形成されるように塗布した。この後、正極活物質合剤層を形成した正極芯体を、乾燥機中を通過させて、スラリー作製時に必要であったNMPを除去して乾燥させた。乾燥後に、ロールプレス機により厚みが0.06mmとなるまで圧延して正極板を作製した。このようにして作製した正極板を幅が100mmとなる短冊状に切り出し、幅が10mmの帯状のアルミニウムからなる正極芯体露出部を設けた正極板を得た。
[負極板の作製]
負極板は、次のようにして作製した。まず、負極活物質としての天然黒鉛粉末98質量%と、結着剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)及びスチレン−ブタジエンゴム(SBR)をそれぞれ1質量%ずつ混合し、水を加えて混練して負極活物質合剤スラリーを調製した。次いで、銅箔(例えば、厚みが12μmのもの)からなる負極芯体を用意し、上述のようにして作製した負極活物質合剤スラリーを負極芯体の両面に均一に塗布して、負極活物質合剤層を形成した。この場合、負極活物質合剤層の一方の側には、負極活物質合剤スラリーの塗布されていない所定幅(ここでは10mmとした)の非塗布部(負極芯体露出部)が負極芯体の端縁に沿って形成されるように塗布した。この後、負極活物質合剤層を形成した負極芯体を、乾燥機中を通過させて乾燥させた。乾燥後に、ロールプレス機により厚みが0.05mmとなるまで圧延して負極板を作製した。このようにして作製した負極板を幅が110mmとなる短冊状に切り出し、幅が8mmの帯状の負極芯体露出部を設けた負極板を得た。
[巻回電極体の作製]
上述のようにして得られた正極板の正極の積層箔と負極板の積層箔とがそれぞれ対向する電極の活物質合剤層と重ならないようにずらして、ポリエチレン製の多孔質セパレータ(厚みが0.022mmで、幅が100mmのもの)を間に介在させて巻回し、両側にそれぞれ複数のアルミニウム箔からなる積層箔14と、銅箔からなる積層箔15が形成された実施例及び比較例で使用する偏平状の巻回電極体11を作製した。
[集電体のレーザ溶接]
このようにして作製された偏平状の巻回電極体11の積層箔14にアルミニウム製の上板16及び正極集電体受け部品(図示せず)を本開示のレーザ溶接方法によって取り付け、同じく積層箔15に銅製の上板18及び下板19を本開示のレーザ溶接方法によって取り付ける。以下においては、積層箔15に銅製の上板18及び下板19を本開示のレーザ溶接方法によって取り付ける場合について説明する。
積層箔15に銅製の上板18及び下板19をレーザ溶接によって取り付ける場合、上板と18と下板19を図2に示したように、下側の固定されているレーザ溶接用押さえ(図示せず)上に上板18を載置し、更に積層箔15が間に介在されるように下板19を載置する。次いで、上板18側よりレーザを照射して、上板18、積層箔15、下板19を接合する。
このようにして本開示のレーザ溶接方法によって取り付けた後、別途、正極集電体露出部に正極集電体及び正極集電体受け部品を取付け、上述のようにして密閉電池としての角形非水電解質二次電池を組み立てる。
なお、上述した実施例においては、角形の非水電解質二次電池用の電極体を用いた例について説明したが、電極体の形状は特に限定されず、円筒形の巻回電極体を用いた場合についても適用可能である。また、上述した実施例の形態においては、偏平状の巻回電極体を用いる例について説明したが、例えば、平板状の正・負極板を、セパレータを介して積層した電極体などを適用できることは明らかである。
今回、被溶接部材として、上板18、下板19を用いて積層箔15をはさんだ状態でレーザ加工を行ったが、片側だけの場合、積層箔15自体に剛性が無い為、上下板で挟んだ場合と同程度に強固に押さえることが難しく、本発明の効果を実現することは難しかった。これにより、上板18と下板19とで積層箔15を挟みこむことが必須であると考えられる。
また実験結果より、上板18の厚さと下板19の厚さとを比較した場合、上板18の厚さ<下板19の厚さの場合、つまり上板18の厚さを下板19の厚さより薄くした方が溶融部における空隙の発生が少ないことを本発明者は確認している。この理由としては上板18を厚くすると上板18を積層箔15の近くまで溶融する為には大きなパワーが必要であり、その場合、積層箔15には大きなパワーのレーザが照射されてしまう可能性があり、そのリスクを避ける為にも下板19よりも上板18が薄いことが望ましい。
本開示のレーザ溶接方法は、上下板で積層箔を挟んだ構成を取る集電体部のレーザ接合部の空隙の発生を抑制するという品質向上を実現する効果を有し、電池などばかりでなく、積層箔を溶接する他の分野にも適用が出来る。
10 非水電解質二次電池
11 偏平状の巻回電極体
12 電池外装缶
13 封口板
14 積層箔
15 積層箔(第3の部材)
16 正極集電体
17 正極端子
18 負極集電体(第1の部材)
19 負極集電体受け部品(第2の部材)
20 負極端子
21、22 絶縁部材
30 第1のレーザビーム
30a 溶融部
31 第2のレーザビーム
31a 溶融部(第1のキーホール)
32 第3のレーザビーム
32a 溶融部(第2のキーホール)
40 レーザ溶接装置
41 第1のレーザ部
42 第2のレーザ部
43 第3のレーザ部
44 走査部
52 積層箔(第3の部材)
53 集電体(第1の部材)
54 集電体受け部品(第2の部材)
55、56 抵抗溶接棒

Claims (9)

  1. 第1の部材と、第2の部材と、前記第1の部材と前記第2の部材との間に設けられた第3の部材と、からなる被溶接部材をレーザビームで溶接するレーザ溶接方法であって
    前記レーザビームが、第1のレーザビーム、第2のレーザビーム、及び、第3のレーザビームを有するレーザビームであり、前記第2及び第3のレーザビームが、前記第1のレーザビームの内側に存在し、かつ前記第1のレーザビームの第1のレーザパワー密度よりも高い第2及び第3のレーザパワー密度をそれぞれ有するレーザビームを用いて、前記第1の部材に前記第1のレーザビームを照射して、前記第1の部材の表面を溶融させて溶融部を形成する第1溶融工程と、
    前記第1溶融工程で溶融している前記溶融部に前記第2のレーザビームを照射し、前記第2のレーザビームに沿って、前記溶融部より高温の溶融部からなる第1のキーホールを発生させる第2溶融工程と、
    前記第1溶融工程で溶融している前記溶融部に前記第3のレーザビームを照射し、前記第3のレーザビームに沿って、前記溶融部より高温の溶融部からなる第2のキーホールを発生させる第3溶融工程と、
    を含み、前記第1の部材と、前記第2の部材と、前記第3の部材と、を溶融させて前記被溶接部材を溶接することを特徴とするレーザ溶接方法。
  2. 前記第3のレーザビームの前記第3のレーザパワー密度は、前記第2のレーザビームの前記第2のレーザパワー密度より高い、請求項1に記載のレーザ溶接方法。
  3. 前記第2溶融工程及び前記第3溶融工程において、前記第2のレーザビーム及び前記第3のレーザビームを、前記被溶接部材に対して走査する、請求項1又は2に記載のレーザ溶接方法。
  4. 前記第2のキーホールによる前記溶融部の深さは、前記第1のキーホールによる前記溶融部の深さよりも深いことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のレーザ溶接方法。
  5. 前記被溶接部材は、前記第1の部材よりも前記第2の部材の厚みが薄いことを特徴とする請求項1に記載のレーザ溶接方法。
  6. 前記第1の部材から前記第3の部材までを溶接するにあたり、前記第1溶融工程において、前記第1の部材の両端部から間隔を空けて前記第1のレーザビームを照射して、前記第1の部材の両端部にレーザ加工無し部分を形成する、請求項1に記載のレーザ溶接方法。
  7. 第1の部材と、第2の部材と、前記第1の部材と前記第2の部材との間に設けられた第3の部材と、からなる被溶接部材についてレーザビームを照射して溶接するレーザ溶接装置であって、
    前記第1の部材の表面を溶融させるが、前記第1の部材を貫通しない第1のレーザパワー密度を有する第1のレーザビームを前記第1の部材に照射する第1のレーザ部と、
    前記第1のレーザビームの内側に、前記第1のレーザビームの第1のレーザパワー密度より高い第2のレーザパワー密度を有する第2のレーザビームを照射する第2のレーザ部と、
    前記第1のレーザビームの内側に、前記第2のレーザビームと並んで、前記第1のレーザビームの第1のレーザパワー密度より高い第3のレーザパワー密度を有する第3のレーザビームを照射する第3のレーザ部と、
    前記第2のレーザビーム、及び、前記第3のレーザビームを前記第1の部材について走査する走査部と、
    を備えた、レーザ溶接装置。
  8. 前記第3のレーザビームの前記第3のレーザパワー密度は、前記第2のレーザビームの第2のレーザパワー密度より高い、請求項7に記載のレーザ溶接装置。
  9. 前記走査部は、前記第2のレーザビーム及び前記第3のレーザビームを、同一の走査方向に沿って順に走査する、請求項7又は8に記載のレーザ溶接装置。
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