JP2011076776A - 電極体の芯体露出部と集電用部材との溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】傾斜面を有する積層された芯体露出部と集電用部材とをレーザ光等の高エネルギー線を用いて溶接する際に、安定した溶接品質を確保することができ、良好に芯体露出部と集電用部材との間を溶接できる電極体の芯体露出部と集電用部材との溶接方法を提供する。
【解決手段】電極体の芯体露出部11と集電用部材12とをレーザ光LBにより溶接する際、集電用部材12として表面に凸部13が形成されたものを用い、凸部13の下側角部の一方に傾斜面を有する積層された芯体露出部11の端部11aの傾斜面の端11bを合わせ、レーザ光LBを走査しながら、傾斜面において隣接する各芯体露出部11の端部11aを溶融させて互いに接続すると共に、集電用部材12の凸部13をも溶融させて溶融部15aを形成し、この溶融部15aを芯体露出部の溶融部分15に接続する。
【選択図】図1
【解決手段】電極体の芯体露出部11と集電用部材12とをレーザ光LBにより溶接する際、集電用部材12として表面に凸部13が形成されたものを用い、凸部13の下側角部の一方に傾斜面を有する積層された芯体露出部11の端部11aの傾斜面の端11bを合わせ、レーザ光LBを走査しながら、傾斜面において隣接する各芯体露出部11の端部11aを溶融させて互いに接続すると共に、集電用部材12の凸部13をも溶融させて溶融部15aを形成し、この溶融部15aを芯体露出部の溶融部分15に接続する。
【選択図】図1
Description
本発明は、レーザ光等の高エネルギー線を用いた密閉電池の電極体の芯体露出部と集電用部材との溶接方法に関する。更に詳しくは、本発明は、傾斜面を有する積層された芯体露出部と集電用部材とをレーザ光等の高エネルギー線を用いて溶接する際に、安定した溶接品質を確保することができ、良好に芯体露出部と集電用部材との間を溶接できる電極体の芯体露出部と集電用部材との溶接方法に関する。
近年、環境保護運動が高まり、二酸化炭素ガス等の温暖化の原因となる排ガスの排出規制が強化されている。そのため、自動車業界では、ガソリン、ディーゼル油、天然ガス等の化石燃料を使用する自動車に換えて、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の開発が活発に行われている。このようなEV、HEV用電池としては、ニッケル−水素二次電池やリチウムイオン二次電池が使用されているが、近年は軽量で、かつ高容量の電池が得られるということから、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池の開発が進められている。
EV、HEV用途においては、環境対応だけでなく、自動車としての基本性能、すなわち、加速性能や登坂性能等の走行能力の高度化も必要とされる。このような要求を満たすためには、単に電池容量を大きくすることのみならず、高出力の電池が必要である。一般に、EV、HEV用の非水電解質二次電池は、発電要素をアルミニウム系金属製の角形外装缶内に収容した角形密閉電池の開発が進められているが、高出力の放電を行うと電池に大電流が流れるため、電池の低抵抗化が必要であり、内部抵抗を極力低減させる必要がある。そのため、端子部における低抵抗化を実現することについても種々の改良が行われてきている。そのため、これらの発電要素における電極体の芯体と集電用部材との間の溶接不良を防止して内部抵抗を低下させることについても種々の改良が行われてきている。
発電要素における電極体と集電用部材を電気的に接合する方法としては、機械的なカシメ、溶接等の方法がある。しかしながら、高出力が要求される電池における接合方法としては抵抗溶接やレーザ光ないし電子線等の高エネルギー線を用いた溶接が適している。
ところで、リチウムイオン二次電池においては、正極側芯体材料としてはアルミニウムないしアルミニウム合金が、また、負極側芯体材料としては銅ないし銅合金が使用されている。アルミニウムないしアルミニウム合金及び銅ないし銅合金は、その特性として、電気抵抗が小さく、熱伝導率が大きいため、溶接するためには非常に大きなエネルギーが必要となる。
抵抗溶接法においては、被溶接材料である銅ないし銅合金の電気抵抗が小さいこと及び熱伝導率が大きいことから、短時間に大電流の投入が必要であること、溶接時に集電用部材と同材質である電極棒と集電用部材との融接が発生することがあること、溶接部以外での融解やスパークの発生が生じるという問題点が存在している。加えて、大出力の抵抗溶接機が必要となり、抵抗溶接装置の価格が高額となるという問題点も存在している。
また、レーザ溶接法においては、被溶接材料であるアルミニウムないしアルミニウム合金及び銅ないし銅合金は、金属溶接用に広く使用されているYAG(イットリウム−アルミニウム−ガーネット)レーザ光に対する反射率が高いため、高エネルギーのレーザ光が必要である。しかも、アルミニウムないしアルミニウム合金及び銅ないし銅合金をレーザ溶接すると、表面状態の影響により溶接性が大きく変わること、及び、他材質のレーザ溶接の場合と同様に、スパッタの発生が不可避であるという問題点が存在する。加えて、大出力のレーザ光源が必要となり、レーザ溶接装置の価格が高額となるという問題点も存在している。また、スパッタ発生の問題点については、電子線を用いて溶接する方法においても同様に存在する。
リチウムイオン二次電池等の発電要素は、正極極板と負極極板とがセパレータを介して巻回ないし積層された構成を備えている。そして、正極極板又は負極極板の芯体露出部は、それぞれ互いに異なる側に位置するように配置され、正極極板の芯体露出部は積層されて正極集電用部材に溶接され、負極極板の芯体露出部も積層されて負極集電用部材に溶接される。これらの正極芯体露出部及び負極芯体露出部の積層枚数は、リチウムイオン二次電池等の容量が大きい場合には、非常に多くなる。
ここで、下記特許文献1に従来例として示されている発電要素における電極体の芯体と集電用部材とをレーザ溶接する方法について、図3を用いて説明する。なお、図3Aは従来の電極体の芯体露出部と集電用部材とをレーザ溶接する前の断面図であり、図3Bはレーザ溶接後の断面図である。
電極体50の芯体露出部51は積層されて集電用部材52の表面上に載置され、図3Aに示されているように、積層された芯体露出部51aの上方からレーザ光LBが照射されてレーザ溶接が行われる。このようなレーザ溶接法では、図3Bに示したように、溶融部分53が積層された芯体露出部51aを貫通すると共に、更に集電用部材52の一部分も溶融させる必要がある。そのため、レーザ光源としては、積層された芯体露出部51aの全ての溶接部及び集電用部材52を同時に溶融させるだけのパワーが必要であり、しかも、積層された芯体露出部51aの溶融部分53が激しく溶融してスパッタされた粒子54が飛散しやすくなっていた。
さらに、レーザ溶接時の溶接状態を安定化させ、溶接部材の酸化を防ぐ等を目的として、溶接部の表面にアルゴンガスや窒素ガス等の雰囲気ガスを吹き付けることも行われているが、これらの雰囲気ガスが届くのは溶接部の表面のみであり、積層された芯体露出部51a間には雰囲気ガスが届かないために、溶接状態が不安定となる。
そこで、下記特許文献1には、積層された芯体露出部の端部が傾斜面を有するようにして、レーザ照射する方法が提案されている。この下記特許文献1に開示されているレーザ溶接方法を図4を用いて説明する。なお、図4Aは下記特許文献1に開示されている電極体の芯体露出部と集電用部材とをレーザ溶接する前の断面図であり、図4Bはレーザ溶接後の断面図であり、図4Cは図4Bの集電用部材と芯体の間に隙間があった場合のレーザ溶接後の断面図である。
電極体60の芯体露出部61は、図4Aに示されているように、芯体露出部61の端部61aが傾斜面となるように積層されて集電用部材62の表面上に載置され、上方からレーザ光LBが照射されてレーザ溶接が行われる。このレーザ光LBの照射は、積層された芯体露出部61の端部61aの傾斜面の上方となる側(図4Aにおける左側)から下方となる側(図4Aにおける右側)に向けて走査するように行われ、レーザ光LBが照射される位置には同時にアルゴンガスや窒素ガス等の雰囲気ガス63が吹き付けられている。
このようなレーザ溶接方法によれば、図4Bに示すように、積層された芯体露出部61の端部61a側の溶融部分64は、積層された芯体露出部61の端部61aの傾斜面に沿って、集電用部材62の溶融部分64aまで連続的に形成される。この傾斜面に沿って形成された溶融部分64は、薄くても全ての芯体露出部61と電気的に接続され、しかも集電用部材62の溶融部分64aとも電気的に接続されているので、芯体露出部61と集電用部材62との間の電気抵抗を低い状態に保つことができる。加えて、レーザ溶接時には溶接部分に雰囲気ガス63が届くため、溶接状態が安定化し、しかも、溶融深度は浅くてもすむので、出力が小さなレーザ溶接装置を使用して溶接することができるという利点も存在している。
しかしながら、上記特許文献1に開示されている発明のように、積層された芯体露出部が傾斜面を有するようにしてレーザ溶接することによって隣接する各芯体の端部を溶融させて接合させた場合、更に芯体露出部と集電用部材を溶接、接合する必要があるが、芯体露出部の溶接端の厚さは芯体露出部の1枚の厚さと同程度となるため、集電用部材の厚さと比べて著しく薄い。したがって、芯体露出部は熱容量が小さくて溶融され易いが、集電用部材は熱容量が大きくて溶融し難いため、芯体露出部側と集電用部材とが共に適正な溶融状態となる溶接条件を得ることが困難である。例えば、集電用部材と芯体の間に僅かでも隙間があると、図4Cに示したように、集電用部材は表面に僅かに痕が付く程度しか溶けないが、芯体は著しく溶けて飛散してしまい、接合できなくなってしまうことがある。
本発明は上記従来技術の問題点を解決すべくなされたものであり、傾斜面を有する積層された芯体露出部と集電用部材とをレーザ光等の高エネルギー線を用いて溶接する際に、集電用部材に凸部を設け、凸部の一方の下側角部に積層された芯体露出部の傾斜面の端を合わせ、この合わせ目及び凸部にもレーザ光等の高エネルギー線を照射することによって集電用部材の凸部をも溶融させ、芯体露出部の傾斜面と集電用部材との間を良好に溶接できる溶接方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の電極体の芯体露出部と集電用部材との溶接方法は、
正極極板と負極極板とをセパレータを介して巻回又は積層することにより両端部にそれぞれ複数枚の正極芯体露出部及び負極芯体露出部が形成され、前記正極芯体露出部及び負極芯体露出部の少なくとも一方は積層されて端部に傾斜面が形成され、前記積層されて端部に傾斜面が形成された正極芯体露出部又は前記負極芯体露出部をそれぞれ集電用部材に高エネルギー線を用いて溶接する、電極体の芯体露出部と集電用部材との溶接方法において、
前記集電用部材として表面に凸部が形成されたものを用い、前記凸部の下側角部の一方に前記傾斜面を有する積層された正極芯体露出部又は負極芯体露出部の傾斜面の端を合わせ、前記高エネルギー線を走査しながら前記積層された正極芯体露出部又は負極芯体露出部の傾斜面及び前記集電用部材の凸部に照射し、前記傾斜面において隣接する各芯体露出部の端部を溶融させて互いに接続すると共に、前記集電用部材の凸部をも溶融させて前記芯体露出部の溶融部分に接続したことを特徴とする。
正極極板と負極極板とをセパレータを介して巻回又は積層することにより両端部にそれぞれ複数枚の正極芯体露出部及び負極芯体露出部が形成され、前記正極芯体露出部及び負極芯体露出部の少なくとも一方は積層されて端部に傾斜面が形成され、前記積層されて端部に傾斜面が形成された正極芯体露出部又は前記負極芯体露出部をそれぞれ集電用部材に高エネルギー線を用いて溶接する、電極体の芯体露出部と集電用部材との溶接方法において、
前記集電用部材として表面に凸部が形成されたものを用い、前記凸部の下側角部の一方に前記傾斜面を有する積層された正極芯体露出部又は負極芯体露出部の傾斜面の端を合わせ、前記高エネルギー線を走査しながら前記積層された正極芯体露出部又は負極芯体露出部の傾斜面及び前記集電用部材の凸部に照射し、前記傾斜面において隣接する各芯体露出部の端部を溶融させて互いに接続すると共に、前記集電用部材の凸部をも溶融させて前記芯体露出部の溶融部分に接続したことを特徴とする。
本発明の電極体の芯体露出部と集電用部材との溶接方法では、集電用部材として表面に凸部が形成されたものを用い、凸部の下側角部の一方に傾斜面を有する積層された正極芯体露出部又は負極芯体露出部の傾斜面の端を合わせ、高エネルギー線を走査しながら積層された正極芯体露出部又は負極芯体露出部の傾斜面及び集電用部材の凸部に照射して溶接している。これにより、本発明によれば、傾斜面において隣接する各芯体露出部の端部を溶融させて互いに接続することができると共に、集電用部材の凸部も容易に溶融させることができるので、芯体露出部の溶融部分と溶融した集電用部材の凸部とを良好に接続することができ、芯体露出部と集電用部材との間の電気抵抗を極めて低くすることができるようになる。
更に、本発明によれば、集電用部材の凸部が溶融し易いので、許容される溶接条件が広くなり、安定した溶接品質を確保することが容易となると共に、積層された芯体露出部と集電用部材との溶接部に多少隙間があっても接合されるので、製造歩留まりが向上する。なお、本発明の電極体の芯体露出部と集電用部材との溶接方法では、溶接箇所は線状に形成されるが、この溶接箇所を複数個形成してもよい。また、本発明の芯体露出部に形成する傾斜面は、電極体の構造に応じて、正極芯体露出部及び負極芯体露出部の両者に形成してもよく、あるいは正極芯体露出部及び負極芯体露出部の一方のみに形成してもよい。
また、本発明の電極体の芯体露出部と集電用部材との溶接方法においては、前記凸部は平面視で線状又は複数のスポット状に形成されていることが好ましい。
本発明においては、集電用部材に形成される凸部は平面視で線状又は複数のスポット状に形成される。凸部がこのような形状となっていると、集電用部材の表面に芯体露出部を載置した際に、芯体露出部の端部の位置決めとして利用することができるため、芯体露出部と集電用部材との間の寸法精度が向上する。
また、本発明の電極体の芯体露出部と集電用部材との溶接方法においては、前記積層された正極芯体露出部及び負極芯体露出部の少なくとも一方を、折り曲げて前記端部をずらすことによって傾斜面を形成することが好ましい。
本発明の電極体の芯体露出部と集電用部材との溶接方法においては、発電要素は正極極板と負極極板とをセパレータを介して巻回又は積層することにより作成されているため、複数枚の正極芯体露出部及び負極芯体露出部ともに端部の長さは揃っている。この状態で、積層された正極芯体露出部及び負極芯体露出部を折り曲げると、簡単に端部をずらすことができる。そのため、本発明によれば、容易に積層された正極芯体露出部及び負極芯体露出部に傾斜面を形成することができる。加えて、本発明によれば、折り曲げられている積層された正極芯体露出部及び負極芯体露出部は、積層された正極芯体露出部又は負極芯体露出部の傾斜面に高エネルギー線を照射した際に、高エネルギー線が散乱されてもそれぞれの芯体露出部の間からセパレータにまで達することがなくなるので、発電要素の信頼性が低下することがなくなる。なお、積層された芯体露出部の折り曲げ位置は、芯体露出部の根本(芯体の活物質層が形成されていなくなった部分)と溶接部との間であれば任意であり、電極体の構成や芯体露出部の長さ等を勘案の上で、当業者が適宜に決めることができる。
また、本発明の電極体の芯体露出部と集電用部材との溶接方法においては、前記高エネルギー線は、レーザ光又は電子線であることが好ましい。
本発明の電極体の芯体露出部と集電用部材との溶接方法によれば、レーザ光及び電子線ともに溶接用高エネルギー線として慣用的に用いられているから、信頼性及び品質が良好な電極体の芯体露出部と集電用部材との間の溶接部が得られる。
以下、本発明の各実施形態を図面を用いて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するために、高エネルギー線としてのレーザ光を使用して積層された集電体露出部と集電用部材とを溶接する方法を例示するものであって、本発明をこの実施形態に特定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも均しく適用し得るものである。なお、各実施形態で使用する発電要素は、正極極板と負極極板とをセパレータを介して巻回又は積層することにより両端部にそれぞれ複数枚の正極芯体露出部及び負極芯体露出部が形成されたものである。本発明の電極体の芯体露出部と集電用部材との溶接方法は、正極芯体露出部及び負極芯体露出部の何れに対しても適用可能なものであるので、以下においては電極極板の極性を省略して説明することとする。
[第1実施形態]
第1実施形態で用いる電極体10Aは、一方の端部側に複数枚の芯体露出部11が形成されている。この芯体露出部11は、図1Aに示されているように、積層されて端部11aに傾斜面が形成されるように成形されている。この端部11aの傾斜面は、電極体10Aが巻回電極体の場合には、複数枚の芯体露出部11を積層した後、切り落とすことにより成形できる。また、電極体10Aが積層電極体の場合には、全て同じ長さの芯体露出部11を用いて切り落とすことにより、或いは、積層したときに芯体露出部11の端部11aが傾斜面となるように、最初から異なる長さの芯体露出部11を備えた正極極板ないし負極極板を積層することにより、形成することができる。
第1実施形態で用いる電極体10Aは、一方の端部側に複数枚の芯体露出部11が形成されている。この芯体露出部11は、図1Aに示されているように、積層されて端部11aに傾斜面が形成されるように成形されている。この端部11aの傾斜面は、電極体10Aが巻回電極体の場合には、複数枚の芯体露出部11を積層した後、切り落とすことにより成形できる。また、電極体10Aが積層電極体の場合には、全て同じ長さの芯体露出部11を用いて切り落とすことにより、或いは、積層したときに芯体露出部11の端部11aが傾斜面となるように、最初から異なる長さの芯体露出部11を備えた正極極板ないし負極極板を積層することにより、形成することができる。
また、第1実施形態で用いられる集電用部材12は、図1Aに示されているように、表面に凸部13が形成されているものが用いられる。この凸部13は、集電用部材12と同じ材質のものが用いられ、集電用部材12を成形することにより、或いは、平坦な集電用部材の表面に接着することにより形成することができる。この凸部13の高さ及び幅は、芯体露出部11にレーザ光を照射した時、芯体露出部11が充分に溶融し、かつ芯体露出部11が激しく溶融して飛び散るほど強くはないレベルのレーザ光を凸部13の上側角部に照射した際、上側角部から下側角部までが溶融する幅及び高さを有しているものであればよい。凸部13が大きすぎると、熱伝導によって集電用部材12に逃げる熱が大きくなるので凸部13を形成する効果が少なくなる。また、凸部13が小さすぎると、溶融する量が少ないために凸部13を形成する効果が少なくなる。好ましい凸部13の高さ及び幅は、集電用部材12の材質によっても変化するが、高さは0.1〜0.5mm、幅は0.2〜3mm程度である。
また、この凸部13は、平面視で線状又はスポット状に形成されるが、断面形状は、必ずしも図1Aに示したような方形状でなくてもよく、半球状ないし台形状であってもよい。ただし、この凸部13は、芯体露出部11の端部11aの傾斜面の端11bの位置決めも兼ねているため、スポット状に形成する場合には、溶接箇所に対応して少なくとも2箇所形成することが望ましい。
このようにして端部11aが傾斜面となるように積層された芯体露出部11を、凸部13が形成されている集電用部材12の表面上に載置し、芯体露出部11の端部11aの傾斜面の端11bを凸部13の下側角部の一方に当接させる。この状態で、芯体露出部11の上方から、芯体露出部11の最上端側の端部(図1Aにおける左側)から最下端部側の端部(図1Aにおける右側)まで一定速度で走査しながら、レーザ光LBを照射してレーザ溶接を行う。これにより、図1Bに示したように、傾斜面には溶融部分15が形成され、傾斜面において隣接する各芯体露出部の端部11aを溶融させて互いに接続することができる。なお、傾斜面のレーザ光LBが照射される位置には、図示省略した雰囲気ガス供給装置からアルゴンガスや窒素ガス等の雰囲気ガス14を吹き付けながら、レーザ溶接を行う。これにより、レーザ溶接位置の雰囲気は一定状態に維持されるので、安定した品質の溶接部を得ることができる。
レーザ光LBの照射は、照射部分が集電用部材12の凸部13上に達して、凸部13の上部角部が溶けて、溶融した部分が芯体露出部の端と接合したら終了する。集電用部材12は熱容量が大きいために溶融し難いが、凸部13は容易に溶融するので、凸部13が形成されていた位置の集電用部材12の表面には容易に溶融部分が形成される。そのため、積層された芯体露出部11の端部11a側の溶融部分15は積層された芯体露出部11の端部11aの傾斜面に沿って集電用部材12の溶融部分15aまで連続的に形成される。
この傾斜面に沿って形成された溶融部分15は、薄くても全ての芯体露出部11と電気的に接続され、しかも集電用部材12の溶融部分15aとも電気的に接続されているので、芯体露出部11と集電用部材12との間の電気抵抗を低い状態に保つことができる。しかも、溶融深度は浅くてもすむので、出力が小さなレーザ溶接装置を使用して溶接することができる。また、芯体露出部11の最下端部側の端部と集電用部材12の表面との間にわずかな隙間があっても、1枚の芯体露出部11の厚さよりも凸部13の高さが高いため、凸部13の溶融した部分が芯体露出部11の端部11aの表面上に流動するので、芯体露出部11の端部11aと集電用部材12との間に良好な溶接部が形成される。
「第2実施形態]
第1実施形態の芯体露出部11の端部11aの傾斜面は、複数枚の芯体露出部11を積層した後に切り落とすことにより、或いは、積層したときに芯体露出部11の端部11aが傾斜面となるように、最初から異なる長さの芯体露出部11を備えた正極極板ないし負極極板を積層することにより、形成したものを用いた例を示した。このような構成のものでは、正極極板及び負極極板を積層した後、或いは、正極極板及び負極極板を積層する前に、それぞれの芯体露出部を加工する必要があるので、手間がかかる。
第1実施形態の芯体露出部11の端部11aの傾斜面は、複数枚の芯体露出部11を積層した後に切り落とすことにより、或いは、積層したときに芯体露出部11の端部11aが傾斜面となるように、最初から異なる長さの芯体露出部11を備えた正極極板ないし負極極板を積層することにより、形成したものを用いた例を示した。このような構成のものでは、正極極板及び負極極板を積層した後、或いは、正極極板及び負極極板を積層する前に、それぞれの芯体露出部を加工する必要があるので、手間がかかる。
そこで、第2実施形態では、第1実施形態の場合のような特別の芯体露出部の加工を必要せず、簡単に芯体露出部11の端部11aの傾斜面を形成できる方法を採用した。この第2実施形態の電極体10Bとしては、図2Aに示したように、全て同じ長さの芯体露出部11を有する巻回電極体又は積層電極体を用いる。この状態で、破線で囲んだ部分で例えばθ=90°となるように曲げると、図2Bに示したように、それぞれの芯体露出部11の端部11aは折り曲げ部の曲率半径の差異に基いてずれるので、自動的に芯体露出部11の端部11aに傾斜面が形成される。この状態で、第1実施形態の場合と同様にしてレーザ溶接を行えばよい。なお、折り曲げる角度θは電池の構造に応じて任意に設定できるが、45°〜90°の範囲が好ましい。
この第2実施形態の芯体露出部と集電用部材との溶接方法によれば、容易に積層された芯体露出部11に傾斜面を形成することができる。加えて、積層された芯体露出部11は、それぞれ折り曲げられているため、傾斜面にレーザ光を照射した際に、レーザ光が散乱されて芯体露出部11間を電極体10B側に浸入しても、散乱されたレーザ光は折り曲げ部の芯体露出部11部分に衝突して吸収されるので、電極体10Bのセパレータ側にまで到達することがない。そのため、第2実施形態の芯体露出部と集電用部材との溶接方法によれば、散乱されたレーザ光によって電極体10Bの信頼性が低下することがなくなるという付加的な効果も奏するようになる。なお、積層された芯体露出部11の折り曲げ位置は、芯体露出部11の根本(芯体の活物質層が形成されていなくなった部分)と溶接部との間であれば任意であり、電極体10の構成や芯体露出部11の長さ等を勘案の上で、当業者が適宜に決めることができる。
なお、上記各実施形態の電極体の芯体露出部と集電用部材との溶接方法では、高エネルギー線としてレーザ光を用いた例を示したが、電子線を用いても同様の効果を奏することができる。また、上記各実施形態では、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池で使用される芯体及び集電用部材に基いて説明したが、本発明は、正極極板及び負極極板の芯体露出部と集電用部材とを高エネルギー線により溶接するものであれば、水性電解質二次電池においても等しく適用可能である。
10A、10B…電極体 11…芯体露出部 11a…端部 11b…傾斜面の端 12…集電用部材 13…凸部 14…雰囲気ガス 15、15a…溶融部分 50…電極体 51…芯体露出部 51a…積層された芯体露出部 52…集電用部材 53…溶融部分 54…スパッタされた粒子 60…電極体 61…芯体露出部 61a…端部 62…集電用部材 63…雰囲気ガス 64、64a…溶融部分 LB…レーザ光
Claims (4)
- 正極極板と負極極板とをセパレータを介して巻回又は積層することにより両端部にそれぞれ複数枚の正極芯体露出部及び負極芯体露出部が形成され、前記正極芯体露出部及び負極芯体露出部の少なくとも一方は積層されて端部に傾斜面が形成され、前記積層されて端部に傾斜面が形成された正極芯体露出部又は前記負極芯体露出部をそれぞれ集電用部材に高エネルギー線を用いて溶接する、電極体の芯体露出部と集電用部材との溶接方法において、
前記集電用部材として表面に凸部が形成されたものを用い、前記凸部の下側角部の一方に前記傾斜面を有する積層された正極芯体露出部又は負極芯体露出部の傾斜面の端を合わせ、前記高エネルギー線を走査しながら前記積層された正極芯体露出部又は負極芯体露出部の傾斜面及び前記集電用部材の凸部に照射し、前記傾斜面において隣接する各芯体露出部の端部を溶融させて互いに接続すると共に、前記集電用部材の凸部をも溶融させて前記芯体露出部の溶融部分に接続したことを特徴とする、電極体の芯体露出部と集電用部材との溶接方法。 - 前記凸部は平面視で線状又は複数のスポット状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電極体の芯体露出部と集電用部材との溶接方法。
- 前記積層された正極芯体露出部及び負極芯体露出部の少なくとも一方を、折り曲げて前記端部をずらすことによって傾斜面を形成したことを特徴とする請求項1に記載の電極体の芯体露出部と集電用部材との溶接方法。
- 前記高エネルギー線は、レーザ光又は電子線であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電極体の芯体露出部と集電用部材との溶接方法。
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