JP6642070B2 - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

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本発明は、光沢度が低く、かつ光沢度の斑が小さい二軸配向ポリエステルフィルムに関するものである。
二軸配向ポリエステルフィルムは、優れた強靭性、耐久性、耐熱性、および耐薬品性を有することから、転写箔用、建材用、表示板用、ラベル用等の広い用途に使用されている。近年はスマートフォン等のデジタル機器を中心にデザイン性に対する要求が高まっており、マット調(低光沢)を有する二軸配向ポリエステルフィルムが求められている。マット調(低光沢)を有する二軸配向ポリエステルフィルムは、特に艶消し処理により手触りや質感が優れるほか、木目調をはじめ高級感を持たせることが可能となる。マット調フィルムを得るにはフィルムを構成するポリエステル樹脂組成物に不活性な粒子を添加し二軸延伸する方法が有効である。高度なマット調(低光沢)を有するポリエステルフィルムとして、無機粒子または、有機粒子を高濃度に含有するポリエステルフィルムが提案されている(例えば特許文献1、2)。
特開2006−312263号公報 特開2010−215822号公報
マット調の指標としては一般的に光沢度が用いられており、光沢度が低い方がマット調に優れるとされている。特許文献1、2に記載されたフィルムは、光沢度が低くマット調には優れるものの、光沢度に斑があるという課題を有していた。本発明者らが鋭意検討した結果、この課題は以下の理由により発生していることがわかった。特許文献1、2に記載されたフィルムは、優れたマット調(低光沢)を達成するために積層ポリエステルフィルムの少なくとも一方の表層に高濃度の粒子を含有させて、フィルム表面に高度の凹凸形状を持たせている。マット調を高める(低光沢とする)ためには、表層に含有する粒子の粒子径を大きくする必要があるが、粒子が含有する層の厚みに対して粒子径が大きすぎると、光沢度に斑が発生することがわかった(粒子が含有する層の厚みに対して粒子径が大きすぎると、光沢度に斑が発生する理由については後述する)。近年、デバイスの小型化・集積化が進んでおり、ポリエステルフィルムをはじめとする構成部材へも薄膜化の要求が高まってきている。50μm以下の薄膜フィルムにおいては、上記光沢度の斑の問題は特に顕著に表れる。そして、光沢度に斑を有するフィルムは、意匠性に劣るため、実用に耐えないという問題があった。
本発明の課題は上記した従来技術の問題点を解消することにある。すなわち、光沢度が低く、かつ、光沢度斑の小さい二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
かかる課題を解決するための本発明は以下の構成をとる。
[I]少なくとも2層を有する積層ポリエステルフィルムであって、少なくとも一方の最外層(A層)を構成するポリエステル樹脂組成物が、平均粒子径が2〜10μmである粒子を含有しており、その含有量がA層を構成するポリエステル樹脂組成物全体に対して1質量%以上10質量%以下であり、以下(1)〜(3)を満たす二軸配向ポリエステルフィルム。
(1)A層側から測定した光沢度が30%以下であること。
(2)A層側から測定した光沢度の斑が3%以下であること。
(3)A層の厚みとA層に含有する粒子の平均粒子径との比(A層厚み/平均粒子径)が1.35〜1.85であること。
[II]前記A層よりも粒子の含有量が少ないポリエステル層(B層)がA層に隣接しており、A層を構成するポリエステル樹脂の固有粘度が0.6〜0.7dl/g、B層を構成するポリエステル樹脂の固有粘度が0.6〜0.8dl/gである[I]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[III]A層/B層/A層の3層からなる[II]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[IV]前記A層とB層の厚み比(A層の厚みの和/B層の厚み)が0.1以上1以下である[III]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[V]180℃における長手方向の熱収縮率が1.7%以下であり、180℃における長手方向の熱収縮率に対する180℃における幅方向の熱収縮率の比(180℃における幅方向の熱収縮率/180℃における長手方向の熱収縮率)が−0.60以上0.45以下である[I]〜[IV]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[VI]下記(4)〜(5)を満たす[I]〜[V]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
(4)ポリエステルフィルムを、延伸温度70〜100℃で延伸する工程を含むこと。
(5)前記(4)における延伸が、延伸ロールおよび延伸ニップロールを用いて実施されるものであり、前記延伸ロールの延伸ロールと、延伸ニップロールの間のニップ圧が0.1〜0.5MPaであること。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、光沢度が低く、また光沢度斑が小さいため、マット調が必要な用途に好適に用いることができる。また、光沢度斑が小さいため、離型用途に好適に用いることができる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステルとは、主鎖における主要な結合をエステル結合とする高分子化合物の総称である。そして、ポリエステル樹脂は、通常ジカルボン酸あるいはその誘導体とグリコールあるいはその誘導体を重縮合反応させることによって得ることができる。
本発明では、外観、耐熱性、寸法安定性、経済性の点から、ポリエステルを構成するグリコール単位の60モル%以上がエチレングリコール由来の構造単位であり、ジカルボン酸単位の60モル%以上がテレフタル酸由来の構造単位であることが好ましい。なお、ここで、ジカルボン酸単位(構造単位)あるいはジオール単位(構造単位)とは、重縮合によって除去される部分が除かれた2価の有機基を意味し、要すれば、以下の一般式で表される。
ジカルボン酸単位(構造単位): −CO−R−CO−
ジオール単位(構造単位): −O−R’―O−
(ここで、R、R’は二価の有機基)
なお、トリメリット酸単位やグリセリン単位など3価以上のカルボン酸あるいはアルコール並びにそれらの誘導体が含まれる場合は、3価以上のカルボン酸あるいはアルコール単位(構造単位)についても、同様に、重縮合によって除去される部分が除かれた3価以上の有機基を意味する。
本発明に用いるポリエステルを与える、グリコールあるいはその誘導体としては、エチレングリコール以外に、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどの脂環族ジヒドロキシ化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジヒドロキシ化合物、並びに、それらの誘導体が挙げられる。中でも、成型性、取り扱い性の点で、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましく用いられる。
また、本発明に用いるポリエステルを与えるジカルボン酸あるいはその誘導体としては、テレフタル酸以外には、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸、並びに、それらの誘導体を挙げることができる。ジカルボン酸の誘導体としてはたとえばテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸2−ヒドロキシエチルメチルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、ダイマー酸ジメチルなどのエステル化物を挙げることができる。中でも、成型性、取り扱い性の点で、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、および、それらのエステル化物が好ましく用いられる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、少なくとも2層を有する積層ポリエステルフィルムであって、少なくとも一方の最外層(A層)を構成するポリエステル樹脂組成物が、平均粒子径が2〜10μmである粒子を含有しており、その含有量がA層を構成するポリエステル樹脂組成物全体に対して1質量%以上10質量%以下である必要がある。少なくとも一方の最外層を構成するポリエステル樹脂組成物が、上記粒子を含有することにより、フィルムの光沢度を低くし、マット調外観を達成することができる。また、2層以上の積層構成とすることにより、上記A層の他に粒子の含有量を少なくした層を持つ構成とすることが可能となり、フィルムの機械的強度を維持し、製膜性、加工性を高めることができる。積層構成は、より好ましくは、両表層がA層である3層以上の積層構成であり、特に好ましくは両表層がA層である3層構成である。なお、このとき、両表層にあるA層は、同じポリエステル樹脂組成物からなるA層である必要はなく、A層/B層/A’層も好ましい態様として挙げられる(A’層は、A層とは異なるポリエステル樹脂組成物からなり、平均粒子径が2〜10μmである粒子を含有し、その含有量がA層を構成するポリエステル樹脂組成物全体に対して1質量%以上10質量%以下である層を表す)。
また、本発明で用いられる粒子は、特に限定されるものではなく、無機粒子、有機粒子を用いることができる。無機粒子としては、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化アルミなどが挙げられる。有機粒子としては、スチレン、シリコーン、アクリル酸類、メタクリル酸類、ポリエステル類、ジビニル化合物などを構成成分とする粒子を使用することができる。なかでも、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミなどの無機粒子、スチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエステル、ジビニルベンゼンなどを構成成分とする有機粒子が好ましい。マット外観、経済性の観点からは、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミが特に好ましく用いられる。なお、これらの粒子は二種以上を併用してもよい。
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、マット調外観(低光沢度)を達成するために、A層を構成するポリエステル樹脂組成物全体に対して粒子を1質量%以上10質量%以下含有することが必要である。マット調外観(低光沢度)、製膜性、加工性の観点から、1.5質量%以上8質量%以下含有することが好ましく、2質量%以上6質量%以下含有することがさらに好ましい。
また、本発明に用いられる粒子は、光沢度斑の抑制の観点から、平均粒子径が、2μm以上10μm以下であることが必要である。2.5μm以上8μm以下であればさらに好ましく、3.5μm以上7μm以下であれば最も好ましい。なお、本発明における平均粒子径とは、後述する測定方法で求められるD=ΣDi/N(Di:粒子の円相当径、N:粒子の個数)で表される数平均粒子径Dのことを指す。平均粒子径が2μm以上10μm以下の粒子を用いると光沢度斑を抑制できる理由については後述する。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、A層側から測定した光沢度が30%以下であることが必要である。本発明でいう光沢度とは、後述する測定方法により求められるものである。A層側から測定した光沢度を30%以下とすることで、優れたマット調外観を達成することができる。光沢度が30%より大きい場合、マット調が不十分となり、意匠性に劣る。より好ましくは25%以下、さらに好ましくは20%以下である。少なくとも片面の光沢度を30%以下とする方法としては特に限定されないが、例えば、フィルムの少なくとも一方の表面に凹凸を形成させる方法が挙げられる。フィルムの表面に凹凸を形成させる方法としては、(i)フィルムの表層を構成するポリエステル樹脂組成物に粒子を含有させること、(ii)インプリントでフィルムの表面に突起を成形すること、(iii)フィルムを構成する樹脂に空隙を形成させ、その空隙によりフィルム表面に形状を付与することなどが挙げられる。中でも、フィルムの表層を構成するポリエステル樹脂組成物に、粒子径が2μm以上10μm以下の粒子を、フィルムの表層を構成するポリエステル樹脂組成物全体に対して1質量%以上10質量%以下含有させる方法が好ましく挙げられる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、A層側から測定した光沢度の斑が3%以下であることが必要である。
本発明でいうA層側から測定した光沢度斑とは、A層側からフィルム幅方向に50mmおきに9点、後述する測定方法により光沢度を測定し、得られた光沢度の最大値、最小値より、下記式により求められるものである。
光沢度斑(%)=(光沢度の最大値−光沢度の最小値)
なお、フィルムの幅方向が分からない場合は、フィルムにおいて最大の屈折率を有する方向を幅方向とみなす。また、フィルムにおける最大の屈折率の方向は、フィルムの全ての方向の屈折率をアッベ屈折率計で測定して求めてもよく、例えば、位相差測定装置(複屈折測定装置)などにより遅相軸方向を決定することで求めてもよい。光沢度斑が3%を超えるとマット調外観の不均一さから、優れた意匠性が求められる用途、例えば転写箔用、建材用、表示板用、ラベル用等で特に広幅製品での外観不良や、打ち抜きや断裁での加工品同士での外観差異が生じる原因となり好ましくない。光沢度斑を3%以下とすることで意匠性に優れるため好ましい。光沢度斑は2%以下がより好ましく、1%以下がさらに好ましい。
本発明者らは、光沢度の斑が発生する原因、および、光沢度の斑が物性に影響を与える理由について、以下のとおり推定している。
A層側から測定した光沢度は、A層に含有する粒子の粒子径、含有量に大きく影響を受けるが、同一の粒子を用いて、同一の粒子含有量にて製膜したとしても、光沢度の斑が大きく発生する場合がある。A層に含有する粒子は、A層に完全に埋没している粒子も存在するが、A層の最外層表面に凸状に剥き出しの状態で存在する粒子も存在する。二軸配向ポリエステルフィルムは、延伸時に延伸ロールや延伸ニップロールによってフィルム表面に圧力が加わる。そのような場合、A層の表面に凸状に剥き出した粒子が、押し込まれる現象が発生する。一般的に延伸工程においては、延伸時のフィルム破れを防止するため、延伸前フィルムの幅方向端部の厚みをフィルムの幅方向中央部よりも厚くなるよう調整する。そのため、延伸ニップロールによるフィルム表面に加わる圧力(押え込み)は、フィルムの幅方向端部で最も強く加わり、フィルムの幅方向中央部においてもっとも弱くなる。その結果、製膜フィルムの中央部とフィルムの幅方向においてフィルム表面に存在する粒子の押し込まれ方に差が生じ、光沢度斑が発生しているものと考えている。
光沢度の斑を3%以下とする方法としては、(あ)A層の厚みとA層に含有する粒子の平均粒子径との比(A層厚み/平均粒子径)を1.35〜1.85の範囲とした上で、さらに以下の1)〜4)の方法を採用する方法、(い)二軸配向ポリエステルフィルムを延伸する工程において、延伸ロールと延伸ニップロールを用いて延伸を行う際に、フィルム幅方向端部に加わる圧力とフィルム幅方向中央部に加わる圧力の差を0.1MPa以内とする方法、(う)延伸工程に供給される未延伸フィルムの、フィルム幅方向端部とフィルム幅方向中央部のフィルム厚みの差を、延伸工程に供給される未延伸フィルムのフィルム幅方向中央部の厚みに対して50%以下とするようにする方法などが挙げられる。中でも(あ)の方法は、製膜性、加工性に優れるため好ましい。なお、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは上記に例示される方法により得られたフィルムに限定して解釈されるものではない。
1)A層を構成するポリエステル樹脂の固有粘度を0.6〜0.7dl/gとする方法
2)前記A層よりも粒子の含有量が少ないポリエステル層(B層)がA層に隣接しており、かつ、B層を構成するポリエステル樹脂の固有粘度を0.6〜0.8dl/gとする方法
3)二軸配向ポリエステルフィルムを延伸する工程において、延伸ロールと延伸ニップロールを用い、延伸温70〜100℃で延伸を行い、さらにそのニップ圧を0.1〜0.5MPaとする方法
4)上記方法を組合せる方法。
以下、(あ)の方法について、説明する。
まず、本発明のポリエステルフィルムは、A層の厚みと、A層に含有する粒子の平均粒子径の比(A層厚み/平均粒子径)が1.35〜1.85であることが必要である。A層の厚みとA層に含有する粒子の平均粒子径の比が1.35より小さいと、A層を構成するポリエステルによるA層に含有する粒子の被覆が十分でないため、粒子の脱落による工程の汚染が発生したり、粒子の脱落による光学濃度斑が発生する。一方、A層の厚みとA層に含有する粒子の平均粒子径の比が1.85を超えると、A層を構成するポリエステル樹脂組成物中に存在する粒子の厚み方向の位置が十分に固定されず、前述した延伸時の幅方向のニップロールによる粒子の押し込みによる幅方向の光沢度斑が大きくなってしまう。より好ましくは1.45〜1.75であり、さらに好ましくは1.55〜1.65である。A層厚みとA層に含有する粒子の平均粒子径の比を上記の範囲とすることで、50μm以下の薄膜フィルムにおいて、製膜性を下げることなく、かつ、光沢度斑の低減が可能となる点で有用である。
次に、1)の方法について、説明する。
本発明のポリエステルフィルムは、前記A層よりも粒子の含有量が少ないポリエステル層(B層)がA層に隣接しており、A層を構成するポリエステル樹脂の固有粘度が0.6〜0.7dl/g、B層を構成するポリエステル樹脂の固有粘度が0.6〜0.8dl/gとすることが好ましい。A層を構成するポリエステル樹脂の固有粘度を0.6dl/g以上とすることで、A層の樹脂の硬さを高くすることが可能となり、延伸時にニップロールによってフィルムに加わる圧力によって、A層表面に存在する粒子がA層内に押し込まれるのを抑制することができ、光沢度斑を小さくすることができる。一方、A層を構成するポリエステル樹脂の固有粘度が0.7dl/gを超えると、A層を構成するポリエステル樹脂の硬さが高くなりすぎ、A層に存在する粒子がポリエステル樹脂を突出しにくくなり光沢度が上がってしまう場合がある。A層を構成するポリエステル樹脂の固有粘度は、0.65〜0.7dl/gであることがより好ましい。
次に、2)の方法について説明する。
本発明のポリエステルフィルムは、前記A層よりも粒子の含有量が少ないポリエステル層(B層)がA層に隣接しており、かつ、B層を構成するポリエステル樹脂の固有粘度を0.6〜0.8dl/gとすることが好ましい。ポリエステルフィルムの光沢度の斑は、A層とB層の層界面付近の粒子の状態においても影響を受ける。そのため、B層を構成するポリエステル樹脂の固有粘度は、0.6〜0.8dl/gであることが好ましい。B層を構成するポリエステル樹脂の固有粘度を0.6dl/g以上とすることで、B層の樹脂の硬さを高くすることが可能となり、延伸時にフィルムに加わる圧力によって、A層に含有する、A層とB層の層界面付近の粒子がB層に押し込まれるのを抑制することができ、光沢度斑を小さくすることができる。一方、B層を構成するポリエステル樹脂の固有粘度が0.8dl/gを超えると、A層と共押出しで製膜することが困難であったり、製膜性に劣る場合がある。また、B層に含有する粒子の量をA層よりも少なくすることで、B層の層界面付近の粒子がA層に押し込まれるのを抑制することができ、光沢度斑を小さくすることができる。B層に含有する粒子の量は、1質量%未満であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましい。
次に、3)の方法について、説明する。
本発明の二軸配向フィルムは、未延伸フィルムを長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法により、または、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方法などにより延伸を行うことで得ることができるが、前記いずれかの延伸を延伸ロールおよび延伸ニップロールを用いて行う場合、延伸ロールと延伸ニップロールの間のニップ圧が0.1〜0.5MPaであることが好ましい。延伸ロールと延伸ニップロールの間のニップ圧を上記の範囲とすることにより、A層表面に存在する粒子がA層内に押し込まれるのを抑制することができ、また、A層表面に存在する粒子が剥離・滑落するのを抑制することができる。その結果、A層表面の光沢度斑を小さくすることができる。また、延伸ロールと延伸ニップロールを用いて延伸する工程においては、その延伸温度は70〜100℃であることが好ましい。延伸温度を当該範囲とすることで、A層表面に存在する粒子がA層内に押し込まれるのを効果的に抑制しつつ、膜破れすることなく製膜することが可能となる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを得るには、上記いずれの方法を用いても良いが、1)〜3)をすべて満たす方法で得ると、最も光沢度斑を小さくできるため好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、光沢度の斑が小さいため、工程紙として離型用途に好ましく用いることができる。二軸配向ポリエステルフィルムが離型用途に用いられるとき、二軸配向ポリエステルフィルムの上に離型対象物が載っている状態で欠点(ピンホールや凹みなど)の目視検査などが行われる。その際、二軸配向ポリエステルフィルムの光沢度に斑があると、検査性が悪くなる。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、光沢度の斑が小さいため、検査性が良好である。また、本発明の光沢度の斑が小さいフィルムは、離型性の斑も小さいため、離型対象物を剥離する時にフィルム片が付着したり、作業性が悪化することを抑制できる。従来、離型性を表す指標の一つとしてフィルム表面の算術中心面平均粗さ(SRa)が用いられているが、SRaは測定に時間がかかり、また測定範囲が狭いため、SRaによって離型性の斑を管理することは不向きであった。測定が簡便であり、また測定範囲が広い光沢度を指標とすることで、離型性の斑を抑制した離型用二軸配向ポリエステルフィルムが得られる。
更に、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、A層側から測定した表面自由エネルギーの極性力成分が、4.0mN/mより大きく9.0mN/m以下であると好ましい。本発明でいう極性力とは、後述する測定方法によって算出される値をいう。フィルム表面の極性力が4.0mN/mより小さい場合、対象基材との密着力が十分でなく、ロール搬送や打ち抜き工程にて、端部に剥がれが生じる場合がある。また、フィルム表面の極性力が9.0mN/mより大きい場合には、対象基材との密着が過剰となり、プレス加工後の剥離工程でフィルムが剥がれない、もしくはフィルム破れや付着などが生じ、例えば回路作製工程等での工程安定性を保つことが難しい場合がある。フィルム表面の極性力は4.5mN/m以上8mN/m以下であるとより好ましく、5mN/m以上7mN/m以下であれば最も好ましい。フィルム表面の極性力を上記特定の範囲とする方法としては、横延伸時の最大温度をA層を構成するポリエステル樹脂の結晶化温度Tcc以上とし、かつA層を構成するポリエステル樹脂に、ブチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルを2質量%以上30質量%以下含有せしめる方法、横延伸時の最大温度をA層を構成するポリエステル樹脂の結晶化温度Tcc以上とし、かつA層を構成するポリエステル樹脂に、融点が70℃〜140℃のワックスを0.1質量%以上2質量%以下含有せしめる方法が挙げられる。Tcc以上の高温延伸により微結晶形成が促進され、結晶構造中から排斥されたブチレングリコールユニット、もしくはワックスが極性力を低下させると考えられる。ブチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルは5質量%以上25質量%以下であるとより好ましく、10質量%以上20質量%以下であると最も好ましい。また、本発明において用いるワックス組成物とは、市販の各種のワックス、例えば石油系ワックス、植物性ワックス、動物系ワックス、低分子量ポリオレフィン類などを使用することができ、特に制限されるものではないが、石油系ワックス、植物系ワックスの使用が好ましい。石油系ワックスとしてはパラフィンワックス、マイクロクリステリンワックス、酸化ワックスなどが挙げられるが、酸化ワックスが特に好ましい。また、植物性ワックスとしてはキャンデリラワックス、カルナウバワックス、木ロウ、オリーキューリーワックス、サトウキビワックス、ロジン変性ワックスなどが挙げられる。また、ロジン、不均化ロジン、水添ロジンおよびα,β置換エチレン(α置換基:カルボキシル基、β置換基:水素又はメチルまたはカルボキシル)付加物からなる群より選ばれた1以上および炭素数1〜8のアルキルまたはアルケニルアルコールポリマー(繰り返し単位1〜6)のエステル付加物との組成物も好ましく用いられる。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを離型用途に用いる場合は、高温の工程への適合性の観点から、極性力を制御する処方構成として、ブチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルを使用することが好ましい。横延伸温度はTccよりも高ければ特に限定されないが、クリップへの粘着や厚み斑等の影響から、Tccよりも40℃以上高い温度設定は不適である。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、A層を構成するポリエステル樹脂に、ポリブチレンテレフタレートとポリオキシアルキレングリコールのブロック共重合体を2質量%以上30質量%以下含むと、工程紙としての離型性を良好にできる。より好ましい範囲は5質量%以上25質量%であり、10質量%以上18質量%以下であると最も好ましい。柔軟なポリオキシアルキレングリコールが特定量含まれることにより、結晶化速度が増加しTccが低下するため、本発明の表面形状を達成することが可能であるとともに、低極性成分の微分散化により表面エネルギーの極性力成分を好ましい範囲に制御することが容易である。本発明のフィルムに用いることができるポリオキシアルキレングリコールの構造は特に限定されないが、耐熱性と結晶性の観点からポリテトラメチレングリコールが好ましく、また、ポリエステルのグリコール成分として共重合されていることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、加熱プレス等が用いられる用途には、フィルムの劣化を抑制する観点から、A層のカルボキシル末端基量を30eq/t以下とすることがより好ましい。A層のカルボキシル末端基量を30eq/t以下とする方法は特に限定されないが、A層を構成させる樹脂のカルボキシル末端基量を30eq/t以下とし、さらに溶融押出時の押出機内を流通窒素雰囲気下で、酸素濃度を0.7体積%以下とし、樹脂温度は265℃〜285℃に制御することが好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、A層よりも粒子の含有量が少ないB層を有することで、A層にて光沢度を30%以下と低くすることができ、なおかつB層にて引裂強度を高く保つことが可能となる。引裂強度を高く保つことで、ラベル等に使用される際の打ち抜き、断裁加工時のフィルム破れや、低光沢の転写フィルムとして使用される際も剥離時のフィルム破れを抑制することができ好ましい。本発明において、A層よりも粒子の含有量が少ないB層中の粒子の含有量は、A層よりも低くければ特に限定されないが、好ましくは1質量%未満であれば好ましく、0.5質量%以下であればさらに好ましく、0.1質量%以下であれば最も好ましい。
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、最外層のポリエステルA層側から測定した光沢度が30%以下である必要があるため、ポリエステルB層を有する場合は、A層/B層、A層/B層/A層など、少なくとも片面の表層がA層となることが好ましい。より好ましくは、A層/B層/A層からなる3層構成である。A層/B層などの非対称な構成では、転写フィルムとして用いる際、A層とB層の熱収縮率の度合いが異なりカールが発生する場合がある。また、A層とB層の厚みの比(A層の厚みの和/B層厚み)は、0.1以上1以下が好ましく、0.1以上0.5以下であればさらに好ましく、0.15以上0.4以下であれば最も好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、耐熱性、取扱性、経済性の観点から、フィルム厚みは、15μm以上150μm以下であることが好ましく、25μm以上100μm以下であればさらに好ましく、30μm以上75μm以下であれば最も好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、180℃における長手方向の熱収縮率が1.7%以下であることが好ましく、1.4%以下がさらに好ましい。180℃における熱収縮率が高すぎると、転写フィルムとして使用される際にかかる熱でカールが発生する場合がある。180℃における長手方向の熱収縮率の下限は特に限定されないが、長手方向の熱収縮率を下げるには長手方向の分子配向を緩和する必要があり、これに伴ってフィルムの平面性が悪化し、転写フィルムとして用いるのに十分な平面性が得られなくなる場合がある。そのため、180℃における長手方向の熱収縮率は0.0%以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.2%以上である。180℃における長手方向の熱収縮率を上記の範囲とすることで、カールの発生を抑制し、かつ、平面性が良好なフィルムとすることができる。
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、180℃における長手方向の熱収縮率に対する180℃における幅方向の熱収縮率の比(180℃における幅方向の熱収縮率/180℃における長手方向の熱収縮率)が−0.60以上0.45以下であることが好ましく、−0.35以上0.30以下がさらに好ましい。180℃における長手方向の熱収縮率に対する幅方向の熱収縮率の比が小さすぎると、転写フィルムとして用いる際、長手方向の縮み量に対する幅方向の伸び量の割合が大きくなりシワが発生する場合がある。また、180℃における長手方向の熱収縮率に対する幅方向の熱収縮率の比が大きすぎる場合、転写フィルムとして用いる際、フィルム全体として収縮が大きくなりシワが発生する場合がある。180℃における長手方向の熱収縮率に対する幅方向の熱収縮率の比を上記の範囲とすることで、転写フィルムとして用いる際にシワの発生を抑制することができる。
次に本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの具体的な製造方法の例について記載するが、本発明はかかる例に限定して解釈されるものではない。
A層とB層とを有する積層ポリエステルフィルムとする場合、まず、A層に使用するポリエステルAとして、ポリエチレンテレフタレート樹脂(a)とポリエチレンテレフタレート樹脂(a)に平均粒子径3.8μmのシリカ粒子を含有させた粒子含有ポリエチレンテレフタレート樹脂(a‘)を所定の割合で計量する。また、B層に使用するポリエステルBとして、ポリエチレンテレフタレート樹脂(a)を使用する。
ポリエステルAとポリエステルBは共押出し法により積層しポリエステルフィルムを製造するのが好ましい。
まず、押出機にてポリエステルAを溶融状態にしてさらにそのままフィルターにて濾過する。また、別の押出機にてポリエステルBを溶融状態にして別のフィルターで濾過したのち、フィードブロックにそれぞれ導き、溶融状態にて複合積層せしめる。ポリエステルAとポリエステルBとの積層厚みの比は、各層の押出機の押出量を調整することにより、所望の積層厚み比にすることができる。この際、樹脂温度は265℃〜295℃に制御することが好ましい。ついで、フィルターやギヤポンプを通じて、異物の除去、押出量の均整化を各々行い、Tダイより冷却ドラム上にシート状に吐出する。その際、高電圧を掛けた電極を使用して静電気で冷却ドラムと樹脂を密着させる静電印加法、キャスティングドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けるキャスト法、キャスティングドラム温度をポリエステル樹脂のガラス転移点〜(ガラス転移点−20℃)にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくは、これらの方法を複数組み合わせた方法により、シート状ポリマーをキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、ポリエステルを使用する場合は、生産性や平面性の観点から、静電印加する方法が好ましく使用される。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、耐熱性、寸法安定性の観点から二軸配向フィルムとすることが必要である。二軸配向フィルムは、未延伸フィルムを長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法により、または、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方法などにより延伸を行うことで得ることができる。
かかる延伸方法における延伸倍率としては、長手方向に2.8倍以上3.4倍以下、さらに好ましくは2.9倍以上3.3倍以下が採用される。また、延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。また長手方向の延伸温度は、70℃以上100℃以下とすることが好ましい。また、長手方向の延伸を延伸ロールおよび延伸ニップロールを用いて行い、延伸ロールと延伸ニップロールの間のニップ圧が0.1〜0.5MPaであることが好ましい。また、幅方向の延伸倍率としては、好ましくは2.8倍以上3.8倍以下、さらに好ましくは、3倍以上3.6倍以下が採用される。幅方向の延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。また、高い引裂強度を達成するために、幅方向の延伸温度は、延伸前半温度を90℃以上120℃以下、延伸中盤温度を100℃以上130℃以下、さらに延伸後半温度を110℃以上150℃以下と延伸前半温度、延伸中盤温度、延伸後半温度の順に温度を高くしていく方法が好ましく採用される。
さらに、二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行う。熱処理はオーブン中、加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行うことができる。この熱処理は120℃以上ポリエステルの結晶融解ピーク温度以下の温度で行われるが、高い引裂強度を達成するためには、熱処理前半温度は、180℃以上220℃未満、熱処理中盤温度は、220℃以上240℃以下、熱処理後半温度は、210℃以上220℃以下とすることが好ましい。さらに熱収縮率を低減させるために、熱処理後に、140℃以上180℃未満で徐冷を行うことも好ましい。
熱処理時間は特性を悪化させない範囲において任意とすることができ、好ましくは5秒以上60秒以下、より好ましくは10秒以上40秒以下、最も好ましくは15秒以上30秒以下で行うのがよい。さらに、離型性が必要な用途に用いる場合には、安定した離型性を確保するため、離型層をインラインにてコーティングさせることもできる。コーティング層をフィルム製造工程内のインラインで設ける方法としては、少なくとも一軸延伸を行ったフィルム上にコーティング層組成物を水に分散させたものをメタリングリングバーやグラビアロールなどを用いて均一に塗布し、延伸を施しながら塗剤を乾燥させる方法が好ましく、その際、離型層の厚みとしては0.02μm以上0.1μm以下とすることが好ましい。また、離型層中に各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、顔料、染料、有機または無機粒子、帯電防止剤、核剤などを添加してもよい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、光沢度が低く、光沢度斑が小さいため、マット調が必要な用途に用いられるフィルムとして好適に用いることができる。
(1)ポリエステルの組成
ポリエステル樹脂およびフィルムをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解し、H−NMRおよび13C−NMRを用いて各モノマー残基成分や副生ジエチレングリコールについて含有量を定量することができる。積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体を構成する成分を採取し、評価することができる。なお、本発明のフィルムについては、フィルム製造時の混合比率から計算により、組成を算出した。
(2)ポリエステルの固有粘度
ポリエステル樹脂の極限粘度は、ポリエステル樹脂をオルトクロロフェノールに溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃にて測定した。積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体の固有粘度を評価した。
(3)フィルム厚み、各層厚み
フィルムをエポキシ樹脂に包埋し、フィルム断面をミクロトームで切り出した。該断面を透過型電子顕微鏡(日立製作所製TEM H7100)で5000倍の倍率で観察し、フィルム厚みおよびポリエステル各層の厚みを求めた。
(4)粒子の平均粒子径
ポリエステルフィルムから、ポリエステルをプラズマ低温灰化処理法(ヤマト科学製PR−503型)で除去し粒子を露出させる。これを透過型電子顕微鏡(日立製作所製TEM H7100)で観察し、粒子の画像(粒子によってできる光の濃淡)をイメージアナライザー(ケンブリッジインストルメント製QTM900)に結び付け、観察箇所を変えて粒子数5000個以上で次の数値処理を行ない、それによって求めた数平均径Dを平均粒子径とした。
D=ΣDi /N
ここでDi は粒子の円相当径、Nは粒子の個数である。
(5)粒子の含有量
ポリマー1gを1N−KOHメタノール溶液200mlに投入して加熱還流し、ポリマーを溶解した。溶解が終了した該溶液に200mlの水を加え、ついで該液体を遠心分離器にかけて粒子を沈降させ、上澄み液を取り除いた。粒子にはさらに水を加えて洗浄、遠心分離を2回繰り返した。このようにして得られた粒子を乾燥させ、その質量を量ることで粒子の含有量を算出した。
(6)A層厚みとA層に含有する粒子の平均粒子径の比
(3)で測定したA層の厚みを(4)で求めた粒子の平均粒子径で除することで算出した。
(7)光沢度、光沢度斑
JIS−Z−8741(1997年)に規定された方法に従って、スガ試験機製デジタル変角光沢度計UGV−5Dを用いて、フィルム両面(I面/II面)について60°鏡面光沢度を、フィルム幅方向に50mmおきに9点測定した。その平均値を光沢度とした。また、得られた9点の光沢度の最大値、最小値より、下記式から光沢度斑を求めた。
光沢度斑(%)=(光沢度の最大値−光沢度の最小値) ×100
(8)表面自由エネルギー中の極性力成分の算出方法
フィルムの表面自由エネルギー中の極性力成分は、次にようにして求めた。まず、拡張Fowkes式とYoungの式から、下記式(α)を導く。
〔拡張Fowkes式〕
γSL=γS +γL −2(γsd ・γLd )1/2−2(γsD ・γLD )1/2 −2(γsh ・γLh )1/2
〔Youngの式〕
γS =γSL+γL cosθ
γS :固体の表面自由エネルギー
γL :液体の表面張力
γSL:固体と液体の界面の張力
θ :液体との接触角
γsd ,γLd :γS ,γL の分散力成分
γsD,γLD :γS ,γL の極性力成分
γsh ,γhL :γS ,γL の水素結合成分
(γsd ・γLd )1/2 +(γsD ・γLD )1/2+(γsh ・γLh )1/2=γL (1+cosθ)/2 (α)
次に、表面張力の各成分が既知である4種類の液体についてフィルムとの接触角を測定し、式(α)に代入、各液体についての3元1次連立方程式を解くことでフィルムの表面自由エネルギー中の極性力成分を求めた。連立方程式の解法には数値計算ソフト“Mathematica”を用いた。また、接触角の測定には、水、エチレングリコール、ホルムアミド、ヨウ化メチレンの測定液を用い、測定機は協和界面化学(株)製接触角計CA−D型を使用した。
(9)熱収縮率
二軸配向ポリエステルフィルムから、幅10mm、長さ100mmの試験片を採取し、試験片それぞれに3gの荷重をかけた状態で、180℃の熱風オーブン中で30分間加熱した。放冷後の試験片の長さを測定し、次式にて熱収縮率を求めた。
熱収縮率(%)=(元の長さ−加熱後の長さ)/元の長さ×100
フィルム長手方向、幅方向それぞれについて5回の測定を行い、それぞれの平均値を熱収縮率とした。
(10)離型性
二軸配向ポリエステルフィルムに、アプリケーターを用いて、ハードコート層(共栄社化学製UF−TCI−1)を乾燥後厚み40μmとなるように塗工し、80℃で10分間乾燥した。その後、幅10mm、長さ150mmの矩形に切り出しサンプルとした。該積層体を用いて、上金型温度、下金型温度ともに温度160℃に加熱したプレス機を使用し、厚さ0.2mmのアルミニウム板/厚さ0.125mmのポリイミドフィルム(東レデュポン製カプトン500H/V)/二軸配向ポリエステルフィルム/HC積層体/厚さ0.125mmのポリイミドフィルム(東レデュポン製カプトン500H/V)/厚さ0.2mmのアルミニウム板の構成体を1.5MPaの条件下で1時間加熱プレスを行った。加熱プレス後に、二軸配向ポリエステルフィルム/HC積層体を取り出し、2000mJ/cmの照度の紫外線を照射し、二軸配向ポリエステルフィルムとHC層との離型性について、下記の基準で評価しB以上を合格とした。
A:10回離型テストを行い、10回ともフィルム破れおよび付着が発生しなかった。
B:10回離型テストを行い、1回フィルム破れまたは付着が発生した。
C:10回離型テストを行い、2回以上フィルム破れまたは付着が発生した。
(11)カール
サンプルのサイズを幅100mm、長さ150mmの矩形とし、プレス機の上金型温度、下金型温度の温度をともに180℃とした以外は(10)の同様の方法で二軸配向ポリエステルフィルム/HC積層体を作成した。水平台の上に二軸配向ポリエステルフィルムが上になるように二軸配向ポリエステルフィルム/HC積層体を置き、浮き上がった矩形の4つの角と水平台との距離をそれぞれ金尺で測定し、その最大値をカール量とした。二軸配向ポリエステルフィルム/HC積層体とのカールについて、下記の基準で評価し、B以上を合格とした。
A:10回カール量測定を行い、カール量の平均値が15mm未満。
B:10回カール量測定を行い、カール量の平均値が15mm以上30mm未満。
C:10回カール量測定を行い、カール量の平均値が30mm以上。
(12)シワ
(11)と同様の方法で二軸配向ポリエステルフィルム/HC積層体を10サンプル作成し、二軸配向ポリエステルフィルム/HC積層体のシワについて、下記の基準で評価し、B以上を合格とした。
A:10サンプルすべてにおいてシワが発生しなかった。
B:10サンプルのうち、1サンプルにシワが発生した。
C:10サンプルのうち、2サンプル以上シワが発生した。
(ポリエステルの製造)
製膜に供したポリエステル樹脂は以下のように準備した。
(ポリエステルA)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.55)をポリエステルAとして用いた。
(ポリエステルB)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.65)をポリエステルBとして用いた。
(ポリエステルC)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.8)をポリエステルCとして用いた。
(ポリエステルD)
テレフタル酸100質量部、1,4−ブタンジオール110質量部の混合物を窒素雰囲気下で140℃まで昇温して均一溶液とした後、オルトチタン酸テトラ−n−ブチル0.054質量部、モノヒドロキシブチルスズオキサイド0.054質量部を添加し、常法によりエステル化反応を行った。次いで、オルトチタン酸テトラ−n−ブチル0.066質量部を添加して、減圧下で重縮合反応を行い、固有粘度0.88のポリブチレンテレフタレート樹脂を得た。その後、固相重合を行って得た固有粘度1.20のポリブチレンテレフタレート樹脂をポリエステルDとして用いた。
(ポリエステルE)
ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物である東レ−デュポン社製“ハイトレル”(登録商標)をポリエステルEとして用いた。
(ポリエステルF)
ポリエステルB中にカルナウバワックスを3.0質量%含有したポリエチレンテレフタレートワックスマスター(固有粘度0.65)をポリエステルFとして用いた。
(粒子マスターA)
ポリエステルB中に数平均粒子径1.4μmの凝集シリカ粒子を粒子濃度10質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.65)を粒子マスターAとして用いた。
(粒子マスターB)
ポリエステルB中に数平均粒子径3.8μmの凝集シリカ粒子を粒子濃度10質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.65)を粒子マスターBとして用いた。
(粒子マスターC)
ポリエステルB中に数平均粒子径5.7μmの凝集シリカ粒子を粒子濃度10質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.65)を粒子マスターCとして用いた。
(粒子マスターD)
ポリエステルB中に数平均粒子径3.8μmのケイ酸アルミニウム粒子を粒子濃度10質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.65)を粒子マスターDとして用いた。
(粒子マスターE)
ポリエステルB中に数平均粒子径3.8μmのジビニルベンゼン/スチレン(20/80)架橋粒子を粒子濃度10質量%になるように添加して、粒子を粒子濃度10質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.65)を粒子マスターEとして用いた。
以下、実施例1〜14は、参考例1〜14と読み替えるものとする。
(実施例1)
組成を表1の通りとして、層構成を表2の通りになるようにして原料をそれぞれ酸素濃度0.2体積%とした別々の単軸押出機に供給し、A層押出機シリンダー温度を270℃、B層押出機シリンダー温度を270℃で溶融し、A層とB層合流後の短管温度を275℃、口金温度を280℃に設定して、樹脂温度280℃で、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸シートを得た。次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、延伸ロールおよび延伸ニップロールを用いて延伸ロールと延伸ニップロールの間のニップ圧を0.3MPa、そして延伸温度83℃で長手方向に3.0倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。次いでテンター式横延伸機にて延伸前半温度95℃、延伸中盤温度110℃、延伸後半温度140℃で幅方向に3.4倍延伸し、そのままテンター内にて、熱処理前半温度200℃、熱処理中盤温度230℃で熱処理を行い、徐冷温度170℃で、幅方向に5%のリラックスを掛けながら熱処理を行い、フィルム厚み50μmのA層/B層/A層の3層構成の二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例2)
組成、層構成を表1、表2の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例3)
組成を表1の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例4)
組成を表1の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例5)
組成を表1の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例6)
組成を表1の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例7)
組成を表1の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例8)
長手方向の延伸を、縦延伸ロールと延伸ニップロールの間のニップ圧を表1の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例9)
長手方向の延伸温度を表1の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例10〜13)
A層厚み、層構成、フィルム厚みを表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例14)
層構成を表2の通り2層構成のフィルムとした以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例15〜17)
組成を表1の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例18〜19)
組成、幅方向のリラックス率を表3の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例20)
組成、熱処理中盤温度を表3の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例21)
組成、熱処理中盤温度、幅方向のリラックス率を表3の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例22)
組成を表3の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムをアニール温度200℃で張力20N/m、フィルム速度30m/minで20秒間、搬送しながらアニール処理し二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
(実施例23)
組成、幅方向のリラックス率を表3の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムをアニール温度200℃で張力20N/m、フィルム速度30m/minで20秒間、搬送しながらアニール処理し二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
(比較例1)
組成を表3の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムは粒子径が小さいため高光沢化してしまった。
(比較例2)
組成を表3の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムは、ポリエステルのIVが低すぎたため、長手方向の延伸時に、延伸ニップロールによるポリエステルA層に存在する粒子がニップ斑により不均一に押し込まれ、光沢度斑が悪化してしまった。
(比較例3)
組成を表3の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムはA層を構成するポリエステル樹脂のIVが高すぎたため、A層に存在する粒子が突き出しにくくなり高光沢化してしまった。
(比較例4)
長手方向の延伸を、縦延伸ロールと延伸ニップロールの間のニップ圧を表3の通りとした以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムは長手方向の延伸時に、延伸ニップロール圧が強すぎたためニップ斑により光沢度斑が悪化してしまった。
(比較例5)
長手方向の延伸温度を表3の通りとした以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムは長手方向の延伸温度が高すぎたためフィルムが軟化し、A層に存在する粒子が延伸ニップロールのニップ斑により不均一に押し込まれやすくなり、光沢度斑が悪化してしまった。
(比較例6)
A層厚み及び層構成を表4の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムはA層の厚みに対して、A層に存在する粒子の平均粒子径が大きすぎるため製膜中に粒子の脱落が頻発し高光沢化してしまったほか、脱落した粒子により工程を汚染してしまった。
(比較例7)
A層厚み及び層構成を表4の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムはA層に存在する粒子の平均粒子径に対してA層の厚みが厚すぎるため存在する粒子がポリエステルA層内での厚み方向の位置が十分に固定されず、長手方向の延伸時に延伸ニップロールのニップ斑により不均一に押し込まれやすくなり、光沢度斑が悪化してしまった。
(比較例8)
層構成を表4の通り単層構成のフィルムとした以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmのフィルムを採取すべく試みたが、粒子を多量に添加した層のみの構成となるため製膜時のフィルム破れが続き、所定条件ではフィルムを採取することができなかった。
Figure 0006642070
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本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、光沢度が低く、光沢度斑が小さいため、マット調が必要な用途に用いられるフィルムとして好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. 少なくとも2層を有する積層ポリエステルフィルムであって、少なくとも一方の最外層(A層)を構成するポリエステル樹脂組成物が、平均粒子径が2〜10μmである粒子を含有しており、その含有量がA層を構成するポリエステル樹脂組成物全体に対して1質量%以上10質量%以下であり、A層側から測定した表面自由エネルギーの極性力が4.0mN/mより大きく9.0mN/m以下である(1)〜(3)を満たす二軸配向ポリエステルフィルム。
    (1)A層側から測定した光沢度が30%以下であること。
    (2)A層側から測定した光沢度の斑が3%以下であること。
    (3)A層の厚みとA層に含有する粒子の平均粒子径との比(A層厚み/平均粒子径)が1.35〜1.85であること。
  2. 前記A層よりも粒子の含有量が少ないポリエステル層(B層)がA層に隣接しており、A層を構成するポリエステル樹脂の固有粘度が0.6〜0.7dl/g、B層を構成するポリエステル樹脂の固有粘度が0.6〜0.8dl/gである請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. A層/B層/A層の3層からなる請求項2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  4. 前記A層とB層の厚み比(A層の厚みの和/B層の厚み)が0.1以上1以下である請求項3に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. 180℃における長手方向の熱収縮率が1.7%以下であり、180℃における長手方向の熱収縮率に対する180℃における幅方向の熱収縮率の比(180℃における幅方向の熱収縮率/180℃における長手方向の熱収縮率)が−0.60以上0.45以下である請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  6. 下記(4)〜(5)を満たす請求項1〜5のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
    (4)ポリエステルフィルムを、延伸温度70〜100℃で延伸する工程を含むこと。
    (5)前記(4)における延伸が、延伸ロールおよび延伸ニップロールを用いて実施されるものであり、前記延伸ロールの延伸ロールと、延伸ニップロールの間のニップ圧が0.1〜0.5MPaであること。
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