JP2020040378A - ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、離型用二軸配向ポリエステルフィルムに関するものであり、粒子を高濃度に含有し、低光沢および層間密着力がそれぞれ適当な範囲であることにより、マット調が必要な転写工程において、加熱プレス前に十分な密着性を有し、かつ加熱プレス後には良好な離型性を有する、工程適合性の高い転写用離型フィルムとして特に適しているポリエステルフィルムに関するものである。【解決手段】基材層(B層)の少なくとも片面に低光沢層(A層)を有するポリエステルフィルムであって、前記低光沢層(A層)が少なくとも一方の最表層にあり、前記低光沢層(A層)の60°光沢度(G60)が30以下であり、前記基材層(B層)と前記低光沢層(A層)との層間密着力が7N/20mm以上であるポリエステルフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステルフィルムに関する。
近年、スマートフォン、タブレットの拡大に伴う回路の集積化により、プリント配線基板の高精度、高密度化が進んでいる。プリント配線基板の製造工程において、絶縁基材(ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等)表面に回路を設けた上で、絶縁および回路保護を目的として、接着層を有する耐熱樹脂フィルムであるカバーレイを被覆し、離型フィルムを介して、プレスラミネートによる成形を行う。この際、離型フィルムには、プリント配線板材料、プレス板との離型性、対形状追従性、均一な成形性が求められる。近年、プリント配線基板にも意匠性が求められてきており、マット調外観を有するプリント配線基板のニーズが高まっている。マット調外観は表面形状を荒らすことによって、正反射する光を少なくすることによって達成できる。そのため、マット調外観を有するプリント配線基板は、表面形状を荒らした離型フィルムの上にて形成せしめ、離型フィルムの表面形状をプリント配線基板に転写することで得ることができる。そのため、表面形状を荒らした、マット調外観を有する離型フィルムが求められている。
また、回路基板表面に、加熱プレスにより、絶縁層や電磁波シールド層などの機能層を転写させる基材としても、外観、離型性に優れるマット調フィルムのニーズが高まっている。これらの転写フィルムとしての用途において、従来の要求よりもさらに光沢度の低い高度なマット調外観のニーズが増加しており、既存のフィルムでは適用が困難な状況であった。マット調の転写基材として、無機粒子または、有機粒子を高濃度に含有するポリエステルフィルムが提案されている(例えば特許文献1、2)。また、高度なマット調外観を有するフィルムとして、表面に粒子層をコーティングにより設けたフィルムが提案されている。該用途へ適用するフィルムとして、無機粒子または、有機粒子を高濃度に含有するポリエステルフィルムが提案されている(例えば特許文献1)。また、マット調の外観フィルムとして有機粒子を高濃度に含有するコート層を設けたフィルム(特許文献2)および、有機粒子または、無機粒子を含有させた転写用ポリエステルフィルム(特許文献3)が提案されている。
特開2016−97522号公報 特許5915524号公報 特開2014−24341号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたフィルムは、マット調には優れるものの、転写後の剥離時、ロール搬送や打ち抜きの際に、端部の剥がれおよび、残渣が生じ工程を汚染したり、製品の収率が低下するなどの問題があった。
また、特許文献2に記載のフィルムは、加熱プレス後の剥離工程でフィルムが剥がれない、もしくはフィルム破れや層間剥離、コート層の付着などが生じ、転写工程での工程安定性を保つことが難しい場合があった。さらに特許文献3においては、加熱プレス時の寸法安定性、離型性に優れるものの、表面のマット調では劣るものであった。
本発明の課題は上記した従来技術の問題点を解消することにある。すなわち、マット調が必要なプリント配線基板製造工程などにおいて、加熱プレス後に良好な離型性、工程汚染の低減に優れ、かつ、必要充分なマット調を転写できるポリエステルフィルムを提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明は次のような手段を採用するものである。すなわち、基材層(B層)の少なくとも片面に低光沢層(A層)を有するポリエステルフィルムであって、前記低光沢層(A層)が少なくとも一方の最表層にあり、前記低光沢層(A層)の60°光沢度(G60)が30以下であり、前記基材層(B層)と前記低光沢層(A層)との層間密着力が7N/20mm以上であるポリエステルフィルムである。
本発明のポリエステルフィルムは、マット調が必要なプリント配線基板製造工程などにおいて、加熱プレス後に良好な離型性を有し工程汚染の低減に優れ、かつ、必要充分なマット調を転写できるという効果を奏する。
本発明のポリエステルフィルムは、基材層(B層)を有するポリエステルフィルムであって、前記低光沢層が少なくとも一方の最表層にあり、前記低光沢層(A層)の60°光沢度(G60)が30以下である必要がある。光沢度は、入射光に対する正反射の量を表す指標であり、この値が低いほど、マット調の外観を有していることを表す。そして、光沢度を測定する際、より深い角度、すなわちフィルム平面に対して垂直方向からの入射角の角度が大きくなる(入射角が90°に近い)と、フィルム表面の凹凸による拡散性が低下し、値が増加する挙動を示す。その傾向は深い角度でより顕著である。本発明者らが鋭意検討したところ、マット調外観の均一性を高めるという目的においては、深い角度の光沢度を低減せしめるとその効果が非常に大きいことを見出した。A層側の面で測定した入射角60°の光沢度G60の面内平均値は22以下であるとより好ましく、20以下であるとさらに好ましく、6以下であることが最も好ましい。
本発明のポリエステルフィルムの光沢度G60を上記特定の範囲とする方法としては、特に限られるものではない。前記少なくとも一方の最表層にある低光沢層(A層)の主たる構成成分をポリエステル樹脂として、当該層を構成するポリエステル樹脂に対して無機粒子および/または有機粒子を合計で1質量%以上30質量%以下含有させる方法が挙げられる。最表層に無機粒子や有機粒子の含有する無機粒子、有機粒子が多すぎると、無機粒子や有機粒子が凝集し、製膜性が悪化する場合があり、かつ前記低光沢層(A層)内に気泡が発生し光沢度が前述の範囲とならない場合がある。マット調外観の観点から、前記低光沢層(A層)全体に対して、無機粒子および/または有機粒子を合計で6質量%以上28質量%以下含有することが好ましく、7質量%以上25質量%以下含有することが好ましい。また、本発明に用いられる無機粒子や有機粒子は、光沢度の観点から、平均粒径が、1μm以上10μm以下であれば好ましく、2μm以上9μm以下であればさらに好ましく、3μm以上8μm以下であれば最も好ましい。なお、本発明における平均粒径とは、D=ΣDi /N(Di :粒子の円相当径、N:粒子の個数)で表される数平均径Dのことを指す。
ここで、使用する無機粒子、有機粒子としては特に限定されるものではない。たとえば、無機粒子としては、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化アルミ、酸化チタン、カーボンブラック、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛などのステアリン酸金属塩類など、有機粒子としては、スチレン系、ポリエチレン系、シリコーン、アクリル酸類、メタクリル酸類、ポリエステル類、ジビニル化合物、ポリイミド系、ポリアミド系、テフロン(登録商標)系、ベンゾグアミン系、ウレタン系、セルロース系などを構成成分とする粒子を使用することができる。なかでも、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミなどの無機粒子およびスチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエステル、ジビニルベンゼンなどを構成成分とする粒子を使用することが好ましい。マット外観、経済性の観点からは、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミが特に好ましく用いられる。なお、これらの外部添加粒子は二種以上を併用してもよい。また、前述の有機粒子や無機粒子は、ポリエステル樹脂への分散性の観点から、公知の方法にて表面処理することができる。
本発明のポリエステルフィルムは、転写後の離型性の観点から、前記基材層(B層)と、前記低光沢層(A層)との層間密着力が7N/20mm以上である必要がある。層間密着力が7N/20mm以下であると、転写後の剥離工程でフィルム破れおよび/または前記低光沢層(A層)での凝集破壊や、前記基材層(B層)と前記低光沢層(A層)での層間剥離が発生し転写層への付着などが生じ、転写工程での工程安定性を保つことが難しい場合がある。また、剥離工程においてフィルム残渣が発生する場合がある。前記基材層(B層)と前記低光沢層(A層)との層間密着力は、9N/20mm以上であると好ましく、11N/20mm以上であれば最も好ましい。フィルムの取り扱い性、経済性の観点からは、前記基材層(B層)と前記低光沢層(A層)との層間密着力は、20N/20mm以下であることが好ましい。ポリエステルフィルムの層間密着力を上記とする方法としては、特に限られるものでは無いが、A層、B層を構成するポリエステル樹脂の溶解パラメータや固有粘度を制御する方法などが挙げられる。A層を構成するポリエステル樹脂の固有粘度(dl/g)は0.60〜1.20とすることが好ましい。固有粘度(dl/g)が0.60以下であると製膜性が悪化したり、ポリエステル樹脂の結晶化速度が速く、製膜時に破れなどが発生する場合があり、かつ、A層を構成するポリエステル樹脂に前述した粒子を含有せしめる場合、ポリエステル樹脂と粒子との界面に気泡が発生したり、A層内で粒子が凝集することにより発生する凝集破壊によって前述の範囲にすることが困難になる場合がある。また、A層を構成するポリエステル樹脂の固有粘度(dl/g)が1.20以上であると、製膜性が困難となり、また配向が高くなる結果、層間密着力を上記の範囲にすることが困難となる場合がある。A層を構成するポリエステル樹脂のより好ましい固有粘度(dl/g)は0.63〜1.10であり、0.65〜1.00であれば最も好ましい。さらにB層を構成するポリエステル樹脂においても、固有粘度が(dl/g)前述の範囲であることが好ましい。なお、A層、B層を構成するポリエステル樹脂の固有粘度を上記の範囲にする方法は、フィルム製膜に供する原料ポリエステル樹脂の固有粘度を制御することが挙げられる。また、A層を構成するポリエステル樹脂とB層を構成するポリエステル樹脂の溶解パラメータの差は小さくすると層間密着力は高くなる傾向にある。また、層間密着力、フィルム残渣低減の観点から、前記基材層(B層)を混練する押出機内での樹脂温度、および前記低光沢層(A層)を混練する押出機内での樹脂温度よりも、B層とA層の樹脂が合流/積層後の樹脂温度を5℃以上高温化することも好ましい方法である。
また、本発明のポリエステルフィルムは、物性を損なわない範囲で基材層(B層)に公知の顔料、染料、着色剤、粒子などを添加しても良い。特に限定されないが、例えば酸化チタン、カーボンブラックなどが好ましく用いることができる。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂とは、主鎖における主要な結合をエステル結合とする高分子化合物の総称である。そして、ポリエステル樹脂は、通常ジカルボン酸あるいはその誘導体とグリコールあるいはその誘導体を重縮合反応させることによって得ることができる。
本発明のポリエステルフィルムは、外観、耐熱性、寸法安定性、経済性の点から、ポリエステル樹脂を構成するグリコール単位の60モル%以上がエチレングリコール由来の構造単位であり、ジカルボン酸単位の60モル%以上がテレフタル酸由来の構造単位であることが好ましい。なお、ここで、ジカルボン酸単位(構造単位)あるいはジオール単位(構造単位)とは、重縮合によって除去される部分が除かれた2価の有機基を意味し、要すれば、以下の一般式で表される。
ジカルボン酸単位(構造単位): −CO−R−CO−
ジオール単位(構造単位): −O−R’―O−
(ここで、R、R’は二価の有機基)
なお、トリメリット酸単位やグリセリン単位など3価以上のカルボン酸あるいはアルコール並びにそれらの誘導体が含まれる場合は、3価以上のカルボン酸あるいはアルコール単位(構造単位)についても、同様に、重縮合によって除去される部分が除かれた3価以上の有機基を意味する。
本発明に用いるポリエステル樹脂のグリコールあるいはその誘導体としては、前述のエチレングリコール以外に、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどの脂環族ジヒドロキシ化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジヒドロキシ化合物、並びに、それらの誘導体が挙げられる。中でも、耐熱性、取り扱い性の点で、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールが好ましく用いられる。
また、本発明に用いるポリエステル樹脂のジカルボン酸あるいはその誘導体としては、前述のテレフタル酸以外には、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸並びに、それらの誘導体を挙げることができる。ジカルボン酸の誘導体としてはたとえばテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸2−ヒドロキシエチルメチルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、ダイマー酸ジメチルなどのエステル化物を挙げることができる。中でも、耐熱性、取り扱い性の点で、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、および、それらのエステル化物が好ましく用いられる。また、本発明のポリエステルフィルムには、これらのポリエステル樹脂のグリコールあるいはその誘導体および/またはジカルボン酸あるいはその誘導体を2種以上併用しても良い。
本発明のポリエステルフィルムは、優れた離型性、マット調外観を達成するため、前記低光沢層(A層)の中心線平均粗さ(SRa)が300nm以上3000nm以下とすることで、前記低光沢層(A層)がマット調外観を達成しやすくするため好ましい。SRaが300nm以下であると、マット調が不十分となる場合がある。また、SRaが3000nm以上であると機能層を塗布する際に気泡が発生したり、塗布層に斑が発生する場合が有り好ましくない。より好ましくは、330nm〜2900nmであり、最も好ましくは350nm〜2800nmであり、前記低光沢層(A層)表面の中心線平均粗さを掛かる範囲とすることで、回路基板等に加熱プレスすることにより、機能層を転写させる場合において、機能層の外観が優れたマット外観となるため、非常に好ましい。前記低光沢層(A層)の中心線平均粗さを掛かる範囲とする方法としては特に限定されないが、例えば、粒径が2μm以上10μm以下である無機粒子や有機粒子を、A層全体に対して合計で1質量%以上30質量%以下含有する方法が挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムは、長手方向(MD)、幅方向(TD)のうち少なくとも1方向のMIT屈曲破断回数が7500回以上であることが好ましい。長手方向(MD)、幅方向(TD)のMIT屈曲破断回数の最小値が7500回以下であると、機能層転写後の離型工程において、フィルムが裂けたり、破断してしまいフィルムの離型が困難になる場合があり、またフィルムの残渣が回路基板上に残り、欠点が発生することで歩留りが低下する問題や、製品の回路が短絡し使用できなくなる場合があり好ましくない。より好ましくは、7700回以上であり、最も好ましくは、7800回以上である。ポリエステルフィルムのMIT屈曲破断回数を高くし、フィルム残渣を低減する方法としては、A層に用いられるポリエステル樹脂の固有粘度(dl/g)を制御する方法、A層に含有させる有機粒子や無機粒子の平均粒径を制御する方法や、横延伸時の最大温度をA層を構成するポリエステル樹脂の結晶化温度Tcc以上とする方法などが好ましい方法として挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムは、前記低光沢層(A層)の平均結晶化度が40以上60未満であることが好ましい。前記低光沢層(A層)の平均結晶化度が40以上60未満とすることで、前記低光沢層(A層)と前記基材層(B層)との層間密着性が良好となり、MIT屈曲破断回数を前述の範囲とすることができる。前記低光沢層(A層)の結晶化度が60以上であると、屈曲角に追従出来なくなり破断する場合がある。また、前記低光沢層の結晶化度が40未満であると、加熱後の剥離性が悪化したり、十分な層間密着力が得られない場合がある。
また、本発明のポリエステルフィルムは、前記低光沢層(A層)をフィルムの最表面から厚みの深さ方向各位置の面配向度を計測した場合において、面配向度が最小となる位置が前記最表面からの深さが3μm以内の範囲にあることが好ましい。当該平均結晶化度を有する低光沢層(A層)の面配向度が最小となる位置を最表面からの深さが3μm以内の範囲にすることで、加熱プレスによるフィルム表層付近の配向変化が大きくなることで歪みが大きくなり、剥離性を向上せしめることができる。
本発明のポリエステルフィルムの低光沢層(A層)の平均結晶化度を前述の範囲とする方法は、A層を構成する樹脂に他の樹脂を含有させつつ、延伸、熱処理条件を制御する方法が挙げられる。転写後の剥離性を良好とする観点から、前記低光沢層(A層)に、A層全体に対してブチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルを2重量%以上30重量%以下含むことが好ましく、ポリブチレンテレフタレートとポリオキシアルキレングリコールのブロック共重合体を2重量%以上30重量%以下含むことがより好ましい。ポリブチレンテレフタレートとポリオキシアルキレングリコールのブロック共重合体を含む場合、ポリブチレンテレフタレートを含むことで、A層を構成する他のポリエステル樹脂とポリブチレンテレフタレートとポリオキシアルキレングリコール共重合体の分散性が向上し、転写後の剥離性を良好とする効果が得られる。また、柔軟なポリオキシアルキレングリコールが特定量含まれることにより、A層の結晶化速度が増加しTccが低下する。また、本発明のポリエステルフィルムは2層以上(A層/B層、A層/B層/A層)の積層体とすることで、前記低光沢層(A層)の平均結晶化度および面配向度を好ましい範囲に制御することが容易である。本発明のフィルムに用いられるポリオキシアルキレングリコールの構造は特に限定されないが、耐熱プレス性と結晶性の観点からポリテトラメチレングリコールが好ましく、また、ポリエステルのグリコール成分として共重合されていることが好ましい。より好ましくは5重量%以上25重量%であり、10重量%以上18重量%以下であると最も好ましい。
また、本発明のポリエステルフィルムは、二軸延伸後に熱処理を行うことが好ましいが、熱処理後に段階的に徐冷させることが好ましく、徐冷は熱処理温度より−15℃から−90℃と段階的に実施することで、低光沢層(A層)の結晶化度を40%以上60%未満と高く制御でき、また低光沢層(A層)表面側の面配向度を低下させ、面配向度が最小となる位置を最表面からの深さが3μm以内の範囲に制御しやすくなるため好ましい。段階的な徐冷は、5秒以上20秒以下とすることが好ましい。
次に本発明のポリエステルフィルムの具体的な製造方法の例について記載するが、本発明はかかる例に限定して解釈されるものではない。
低光沢層A層と基材層B層とを有する積層ポリエステルフィルムとする場合、まず、A層に使用するポリエステルAとして、ポリエチレンテレフタレート樹脂(a)とポリエチレンテレフタレート樹脂(a)に平均粒径3μmのシリカ粒子を含有させた粒子含有ポリエチレンテレフタレート樹脂(a‘)、およびポリテトラメチレングリコール共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂(a“)を所定の割合で計量する。また、ポリエステルB層に使用するポリエステルBとして、ポリエチレンテレフタレート樹脂(a)とポリテトラメチレングリコール共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂(a“)を使用する。ポリエステルA及び、ポリエステルBをそれぞれ別々の押出機に投入し、ポリエステルAを275℃、ポリエステルBを275℃で混練した後、ポリエステルA及びポリエステルBをポリマー管内で合流、285℃で積層し、ついで、フィルターやギヤポンプを通じて、異物の除去、押出量の均整化を各々行い、Tダイより冷却ドラム上にシート状に吐出する。その際、高電圧を掛けた電極を使用して静電気で冷却ドラムと樹脂を密着させる静電印加法、キャスティングドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けるキャスト法、キャスティングドラム温度をポリエステル樹脂のガラス転移点〜(ガラス転移点−20℃)にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくは、これらの方法を複数組み合わせた方法により、シート状ポリマーをキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、ポリエステルを使用する場合は、生産性や平面性の観点から、静電印加する方法が好ましく使用される。
本発明のポリエステルフィルムは、耐熱性、寸法安定性の観点から二軸配向フィルムとすることが必要である。二軸配向フィルムは、未延伸フィルムを長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法により、または、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方法などにより延伸を行うことで得ることができる。
かかる延伸方法における延伸倍率としては、長手方向に2.8倍以上3.8倍以下、さらに好ましくは2.9倍以上3.7倍以下が採用される。また、延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。また長手方向の延伸温度は、70℃以上100℃以下とすることが好ましい。また、幅方向の延伸倍率としては、好ましくは2.8倍以上3.8倍以下、さらに好ましくは、3倍以上3.6倍以下が採用される。幅方向の延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。また、本発明の特徴とする表面形状を離型フィルム表面に形成せしめる目的から、幅方向の延伸温度は、延伸後半温度をA層のTcc以上の温度とし、延伸前半温度を延伸後半温度より−40℃以上、延伸後半温度より−30℃以下、延伸中盤温度を延伸後半温度より−30℃以上、延伸後半温度より−15℃以下と、延伸前半温度、延伸中盤温度、延伸後半温度の順に温度を段階的に高くしていく温度条件が好ましい。
さらに二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行うが、この熱処理はオーブン中で定長もしくは順次収縮させながら200〜247℃の熱処理温度で1〜30秒間熱処理を行う。235〜247℃の熱処理温度で熱処理を行うことがより好ましい。さらに熱処理後に、熱処理温度−10℃から熱処理温度−100℃の温度で段階的に徐冷を行うことも好ましい。232℃から157℃で5秒以上20秒以下の時間にて段階的に徐冷を行うことがより好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、前記低光沢層(A層)の厚みが2μm以上20μm以下であることが好ましい。前記低光沢層(A層)の厚みが2μm以下であると、所望する光沢度を得られない場合があり、かつ、前記低光沢層(A層)に含有せしめる有機粒子および/または無機粒子が脱落する場合があり好ましくない。また、前記低光沢層(A層)が20μm以上であると、所望する中心線平均粗さが得られない場合が有り好ましくない。好ましくは3μm〜18μmであり、最も好ましくは3μm〜16μmである。
本発明のポリエステルフィフィルムの前記低光沢層(A層)の厚みを掛かる範囲とする方法としては、前述の製造方法において、ポリエステル樹脂を単軸押出機に供給し溶融押出する際に、押出量を所望する厚みになるよう調整する。
本発明のポリエステルフィルには、60°光沢度および層間密着力の観点から、転写用途に好ましく用いることが出来る。
本発明のポリエステルフィルムは、粒子を高濃度に含有し、マット調が必要な転写工程において、加熱プレス前に十分な密着性を有し、かつ加熱プレス後には良好な離型性を有する、工程適合性の高い転写用工程離型ポリエステルフィルムとして好適に用いることができる。
(1)ポリエステルの組成
ポリエステル樹脂およびフィルムをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解し、H−NMRおよび13C−NMRを用いて各モノマー残基成分や副生ジエチレングリコールについて含有量を定量することができる。積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体を構成する成分を採取し、評価することができる。なお、本発明のフィルムについては、フィルム製造時の混合比率から計算により、組成を算出した。
(2)ポリエステルの固有粘度
ポリエステル樹脂およびフィルムの固有粘度は、ポリエステルをオルトクロロフェノールに溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃にて測定した。積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単の固有粘度を評価した。
(3)フィルム厚み、層厚み
フィルムをエポキシ樹脂に包埋し、フィルム断面をミクロトームで切り出した。該断面を透過型電子顕微鏡(日立製作所製TEM H7100)で5000倍の倍率で観察し、フィルム厚みおよび低光沢層の厚みを求めた。
(4)粒子の平均粒径
ポリエステルフィルムから、ポリエステルをプラズマ低温灰化処理法(ヤマト科学製PR−503型)で除去し粒子を露出させる。これを透過型電子顕微鏡(日立製作所製TEMH7100)で観察し、粒子の画像(粒子によってできる光の濃淡)をイメージアナライザー(ケンブリッジインストルメント製QTM900)に結び付け、観察箇所を変えて粒子数5000個以上で次の数値処理を行ない、それによって求めた数平均径Dを平均粒径とした。
D=ΣDi /N
ここでDi は粒子の円相当径、Nは粒子の個数である。
(5)粒子の含有量
ポリマー1gを1N−KOHメタノール溶液200mlに投入して加熱還流し、ポリマーを溶解した。溶解が終了した該溶液に200mlの水を加え、ついで該液体を遠心分離器にかけて粒子を沈降させ、上澄み液を取り除いた。粒子にはさらに水を加えて洗浄、遠心分離を2回繰り返した。このようにして得られた粒子を乾燥させ、その質量を量ることで粒子の含有量を算出した。
(6)光沢度
JIS−Z−8741(1997年)に規定された方法に従って、スガ試験機製デジタル変角光沢度計UGV−5Dを用いて、フィルムの低光沢面について60°鏡面光沢度を、それぞれの面についてN=3で測定し、それぞれその平均値を採用した。
(7)層間密着力
本発明のポリエステルフィルムに、接着剤(主剤LX500(DIC社製)37重量%、架橋剤KO55(DIC社製)4重量%溶媒:酢酸エチル 58.5重量%)を#12のメタリングバーにて塗布し、80℃×45sec乾燥を行い、50μmのポリエステルフィルムと貼り合わせた。その後、40℃×72hrエージングを行い、幅20mm長さ150mmの短冊形に切り出しサンプルとした。該サンプルを本発明のポリエステルフィルムとポリエステルフィルム層間で、強制的に剥離し、引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いて、初期引張チャック間距離100mm、引張速度300mm/分として、180°剥離試験を行う。剥離長さ50mm(チャック間距離150mm)になるまで測定を行い、剥離長さ10mm〜45mmの荷重の平均値を剥離強度とした。その後、剥離試験後のポリエステルフィルムサンプルを、フィルム厚みの測定と同様の方法を用いて観察を行い、ポリエステルフィルムの層間剥離および/または凝集破壊を確認した。なお、本発明においては、A層/B層間での層間剥離および/またはA層内、B層内で凝集破壊した剥離強度を層間密着力とした。
(8)中心線平均粗さ(SRa)
触針法の高精細微細形状測定器(接触式3次元表面粗さ計)を用いて、JIS−B0601(1994年)に準拠し、以下条件にてポリエステルの中心線平均粗さを測定する。
・測定装置:3次元微細形状測定器(株)小坂研究所製(型式TDA−4000A)
・解析機器:3次元表面粗さ解析システム(型式TDA−31)
・触針:先端径0.5μmR、径2μm、ダイヤモンド製
・針圧:100μN
・測定方向:フィルム長手方向および幅方向を各3回測定後平均値算出
・X測定長さ:1000μm
・X送りピッチ:1μm
・X送り早さ:100μm/s(測定速度)
・Y測定長さ:400μm
・Y送りピッチ5μm(測定間隔)
・Yライン本数:81本(測定本数)
・測定倍率:20000倍(縦倍率)
・レベリング:全領域(傾斜補正)
・フィルタ方式:ガウシアン空間型
・低域カットオフ:0.2mm(うねりカットオフ値)
・高域カットオフ:なし
(9)MIT屈曲試験回数
ポリエステルフィルムを、幅15mm長さ100mmの短冊形に切り出しサンプルとした。 MIT耐折度試験機((株)マイズ試験機製)を用いて、フィルム長手方向および幅方向を各3回測定後平均値算出した。
・先端:R0.38mm
・屈曲角度:左右135°
・屈曲速度:175往復/毎分
・荷重:9.8N
(10)平均結晶化度
ポリエステルフィルムの表面を堀場製作所Jovin Yvon製640000を用いて、以下の条件にて、レーザーラマンスペクトルの策定を行った。
・測定モード:顕微ラマン
・対物レンズ:×100
・ビーム径:1μm
・クロススリット:100μm
・光源:Arレーザー
・レーザーパワー:50mW
・回折格子:Spectrograph 1800gr/mm
・分散:Single、21A/mm
・スリット:100μm
・検出器:CCD/jobin Yvon 1024×256
ポリエステルフィルムの表面を、異なる箇所で3回結晶化度の測定を行い、その平均値を上記の測定結果に基づき、平均結晶化度を次の定義により算出した。なお、フィルム面に平行に偏光したレーザー光を入射し、散乱光には検光子を入れずに測定した結果である。
換算密度ρ(g/cm)=(305−Δυ1730)/209
結晶化度χ(%)=100×(ρ−1.335)/(1.455−1.335)
なお、Δυ1730は、1730(cm−1)付近のラマンバンド(C=O伸縮バンド)の半値全幅である。
(11)面配向度
堀場製作所Jovin Yvon製640000を用いて、レーザー光源をArレーザー(514.5nm、レーザーパワー30mW)として、ポリエステルフィルムのA層にレーザーを照射し、1615cm−1のラマンスペクトルの、A層を1μmピッチで測定を行いピーク強度を求めた。レーザーの偏向がフィルム表面方向に垂直な偏向配置での強度(I(ND))、フィルム平面の長手方向に平行な偏向配置での強度(I(MD))、およびフィルム平面の幅方向に平行な偏向位置での強度(I(TD))を求め、次にI(MD)、I(TD)それぞれをI(ND)で除算することでフィルムの長手方向と幅方向それぞれの配向係数R(MD)、R(TD)を求めた。さらにR(MD)、R(TD)の平均値を求めフィルムの面方向の配向度とした。面配向度が最小となるA層のフィルム表面からの深さを求めた。
(12)離型性
本発明のポリエステルフィルムに、アプリケーターを用いて、ハードコート層(共栄社化学製UF−TCI−1)を乾燥後厚み40μmとなるように塗工し、80℃で10分間乾燥した。その後、幅10mm、長さ150mmの矩形に切り出しサンプルとした。該積層体(HC積層ポリエステルフィルム)を用いて、上金型温度、下金型温度ともに温度180℃に加熱したプレス機を使用し、厚さ0.2mmのアルミニウム板/厚さ0.125mmのポリイミドフィルム(東レデュポン製カプトン500H/V)/厚さ0.5mmのポリエステルフィルム(東レ製ルミラー)/HC積層ポリエステルフィルム/厚さ0.125mmのポリイミドフィルム(東レデュポン製カプトン500H/V)/厚さ0.2mmのアルミニウム板の構成体を3MPaの条件下で10分加熱プレスを行った。加熱プレス後に、ポリエステルフィルム/HC積層体を取り出し、ポリエステルフィルムとHC層との離型性について、下記の基準で評価した。
A:本発明のポリエステルフィルム/ハードコート層の剥離強度が0.01N/10mm以上0.2N/10mm以下であった。
B:本発明のポリエステルフィルム/ハードコート層の剥離強度が0.2N/10mmより高く、1N/10mm以下であった。
C:本発明のポリエステルフィルム/ハードコート層の剥離強度が1N/10mmより高い、もしくは、0.01N/10mm未満であった。
(13)工程汚染性
(7)層間密着力を測定した剥離後サンプルの、異なる箇所で3回走査型電子顕微鏡S−2100A形((株)日立製作所製)を用いて、1回の測定の範囲が100倍の倍率で画面に映った範囲、1.2mm×1.2mmの視野で本発明のポリエステルフィルム表面の低光沢層(A層)の観察を行い、下記基準で評価した。
A:残渣平均個数、5個未満。
B:残渣平均個数、5個以上20個未満。
C:残渣平均個数、20個以上。
(ポリエステルの製造)
製膜に供したポリエステル樹脂は以下のように準備した。
(8)搬送性
本発明のポリエステルフィルムに、アプリケーターを用いて、ハードコート層(共栄社化学製UF−TCI−1)を乾燥後厚み40μmとなるように塗工し、80℃で10分間乾燥した。その後、幅10mm、長さ150mmの矩形に切り出しサンプルとした。
概サンプルをMIT耐折度試験機((株)マイズ試験機製)を用いて、フィルム長手方向および幅方向を各3回行い以下のように評価した。
・先端:R0.38mm
・屈曲角度:左右135°
・屈曲速度:175往復/毎分
・屈曲回数:20回
・荷重:9.8N
A:ハードコート層剥離無し。
B:屈曲部分のみ剥離した。
C:屈曲部分以外も剥離した。
(ポリエステルA)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.55)。
(ポリエステルB)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.65)。
(ポリエステルC)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.75)。
(ポリエステルD)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.83)。
(ポリエステルE)
ポリブチレンテレフタレートにポリブチレンテレフタレートとポリオキシアルキレングリコールのブロック共重合体を6重量%含有させた樹脂(固有粘度1.20)。
(ポリエステルF)
カルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分として1,3−プロパンジオール成分が100モル%であるポリトリメチレンテレフタレート樹脂(固有粘度1.2)。
(粒子マスターA)
ポリエステルD中に数平均粒子径3.5μmの凝集シリカ粒子を粒子濃度34質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.80)。
(粒子マスターB)
ポリエステルD中に数平均粒子径5.5μmの凝集シリカ粒子を粒子濃度34質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.80)。
(粒子マスターC)
ポリエステルD中に数平均粒子径7μmの凝集シリカ粒子を粒子濃度34質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.80)。
(二酸化チタンマスター)
ポリエステルA中にアナターゼ型二酸化チタンを50質量%含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.54)。
(マット調塗剤(水分散体))
以下に示す、架橋剤:バインダー樹脂:粒子をそれぞれ、質量比8:50:42で混合し、固形分が20%の質量比となるように純水で希釈して調整した。
・架橋剤:メチル化メラミン/尿素共重合の架橋製樹脂((株)三和ケミカル製“ニカラック”(登録商標)「MW12LF」)
・バインダー樹脂I:アクリルモノマー共重合体(日本カーバイド製)
・粒子:数平均粒子系10μmのナイロン粒子(東レ(株)製“SP−10”)
(実施例1)
組成を表の通りとして、原料をそれぞれ酸素濃度0.2体積%とした別々の単軸押出機に供給し、A層押出機内の樹脂温度を270℃、B層押出機内の樹脂温度を270℃で溶融し、A層とB層合流後の樹脂温度を280℃として、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸シートを得た。次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、延伸温度85℃で長手方向に3.1倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。その後、テンター式横延伸機にて延伸前半温度110℃、延伸中盤温度130℃、延伸後半温度140℃で幅方向に3.5倍延伸し、そのままテンター内にて、230℃で熱処理を行い、幅方向に5%のリラックスを掛けながら熱処理を行い、その後、215℃から140℃にて10秒間段階的に徐冷を行い、フィルム厚み50μm(積層比は表の通り)、A層/B層/A層の3層構成の二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例2)
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。
(実施例3)
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。
(実施例4)
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。
(実施例5)
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。
(実施例6)
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。
(実施例7)
熱処理温度を235℃とし、徐冷温度を220℃から145℃とした以外は実施例4と同様にして、フィルム厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。
(実施例8)
熱処理温度を240℃とし、徐冷温度を225℃から150℃とした以外は実施例4と同様にして、フィルム厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。
(実施例9)
熱処理温度を246℃とし、徐冷温度を231℃から156℃とした以外は実施例4と同様にして、フィルム厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。
(実施例10)
A層厚みを変更した以外は実施例4と同様にして、フィルム厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。
(実施例11)
組成を表の通り変更し、A層/B層の2層構成とした以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。
(実施例12)
A層とB層の厚みを表の通り変更した以外は実施例4と同様にして、フィルム厚み75μmのポリエステルフィルムを得た。
(比較例1)
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。
(比較例2)
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。
(比較例3)
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。
(比較例4)
組成を表のとおりに変更し、熱処理温度を190℃とした以外は実施例1と同様に
して、フィルム厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。
(比較例5)
単膜構成とした。組成を表の通りとして、原料を酸素濃度0.2体積%とした単軸押出機に供給し、押出機シリンダー温度を270℃で溶融し、短管温度を275℃、口金温度を280℃に設定しで、樹脂温度280℃で、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸シートを得た。次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、延伸温度85℃で長手方向に3.1倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。その後、メタリングバー#10にてマット調塗剤をコーティングし、テンター式横延伸機にて延伸前半温度110℃、延伸中盤温度130℃、延伸後半温度140℃で幅方向に3.5倍延伸し、そのままテンター内にて、230℃で熱処理を行い、幅方向に5%のリラックスを掛けながら熱処理を行い、フィルム厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。
(比較例6)
組成を表のとおりに変更し、熱処理温度を190℃とした以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。
Figure 2020040378
Figure 2020040378
Figure 2020040378
本発明のポリエステルフィルムは、粒子を高濃度に含有し、マット調が必要な転写工程において、加熱プレス前に十分な密着性を有し、かつ加熱プレス後には良好な離型性を有する、工程適合性の高い転写用工程離型ポリエステルフィルムに好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. 基材層(B層)の少なくとも片面に低光沢層(A層)を有するポリエステルフィルムであって、前記低光沢層(A層)が少なくとも一方の最表層にあり、前記低光沢層(A層)の60°光沢度(G60)が30以下であり、前記基材層(B層)と前記低光沢層(A層)との層間密着力が7N/20mm以上であるポリエステルフィルム。
  2. 前記低光沢層(A層)の中心線平均粗さ(SRa)が300nm以上3000nm以下である請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  3. 長手方向(MD)、幅方向(TD)のうち少なくとも1方向のMIT屈曲破断回数が7500回以上である請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
  4. 前記低光沢層(A層)の平均結晶化度が40以上60未満である請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルフィルム
  5. 前記低光沢層(A層)をフィルムの最表面から厚みの深さ方向各位置の面配向度を計測した場合において、面配向度が最小となる位置が前記最表面からの深さが3μm以内の範囲にある、請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  6. 前記低光沢層(A層)の厚みが2μm以上20μm以下である請求項1〜5のいずれか記載のポリエステルフィルム。
  7. 前記低光沢層(A層)の60°光沢度(G60)が6未満である請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  8. 転写用途に用いられる請求項1〜7のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
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