JPH1158512A - 延伸ニップロールおよび延伸フィルムの製造方法 - Google Patents

延伸ニップロールおよび延伸フィルムの製造方法

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JPH1158512A
JPH1158512A JP21510997A JP21510997A JPH1158512A JP H1158512 A JPH1158512 A JP H1158512A JP 21510997 A JP21510997 A JP 21510997A JP 21510997 A JP21510997 A JP 21510997A JP H1158512 A JPH1158512 A JP H1158512A
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film
stretching
roll
nip
nip roll
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JP21510997A
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Katsutoshi Miyagawa
克俊 宮川
Kenji Tsunashima
研二 綱島
Shunichi Osada
俊一 長田
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Toray Industries Inc
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  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】フィルムの走行方向に配置した一対のニッ
プロールの間でフィルムをその走行方向に延伸する延伸
ニップロールにおいて、該延伸ニップロールの被ニップ
部材に対するニップ圧力による変形範囲が、延伸ニップ
ロールの縦断面内で見た場合の接触長さが中心角で5°
以上、150°以下であることを特徴とする延伸ニップ
ロール。また、少なくとも延伸工程を含む延伸フィルム
の製造方法において、上述の延伸ニップロールを用いて
フィルムを延伸することを特徴とする延伸フィルムの製
造方法。 【効果】フィルムの延伸区間の短縮による収率向上と、
予熱ロールや冷却ロール上の幅変動を抑制することがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は例えば、ポリエステ
ル、ポリアミドなどのプラスチックフィルムをロールに
てその走行方向に延伸する際に使用する延伸ニップロー
ルの改良に関するものである。また、この延伸ニップロ
ールを用いた延伸フィルムの製造方法の改良に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来より、フィルムをその長手または幅
方向に延伸した、いわゆる延伸フィルムを製造する方法
として、例えばTダイなどの口金から押出成形されたフ
ィルムをロールの周速差を用いてその走行方向に延伸す
る方法が広く用いられている。その他には、テンターを
用いて走行するクリップにフィルムを把持してその走行
方向または幅方向に延伸する方法、また、円形のインフ
レーションダイによりチューブ状に押出成形されたフィ
ルムを空気の圧力により膨らませてその半径方向に延伸
する方法などが実用化されている。
【0003】ところで、このような延伸フィルムの種類
としては、一方向に延伸した一軸延伸フィルムと、その
一軸延伸フィルムを延伸方向とほぼ垂直な方向に引き続
いて延伸した逐次二軸延伸フィルム、さらに、特殊なテ
ンターを用いて、もしくはチューブ状のフィルムを空気
で膨らます際に機械方向にも同時に延伸することにより
得られる同時二軸延伸フィルムがある。これらの逐次二
軸延伸フィルムや、同時二軸延伸フィルムについては、
さらに一軸、逐次二軸、同時二軸の再延伸を行うことに
より、より強度の高いフィルムを得ることが可能とな
る。ところで、これらの延伸フィルムにおいては、一軸
延伸フィルムは比較的特殊な分野にしか用いられず、一
般的な延伸フィルムは物性の異方性が小さい、再延伸を
含んだ二軸延伸フィルムが多くを占めている。この二軸
延伸フィルムの製造方法としては、その生産性の高さか
ら、Tダイで押出成形されたフィルムを、まずロールの
周速差を利用してフィルムの走行方向(以下、機械方向
という)に延伸し、その後、テンターにより幅方向に延
伸する方法が多く用いられている。
【0004】ここで、フィルムをロールの周速差を利用
してその走行方向に延伸する場合、その延伸開始点、延
伸終了点を安定に固定するため、ニップロールが多く用
いられる。ニップロールとは、ロール上のフィルムに、
例えば圧縮空気の圧力を利用して別のロールを押さえつ
け、フィルムをロール上に固定するものである。ニップ
ロールの材質としては、その目的により各種の素材が用
いられているが、延伸ロールへの密着性などから、シリ
コーンゴムを代表とする弾力性のあるゴム材質が用いら
れることが多い。ところが、このようなゴム材質を用い
た場合、その耐久性の問題があり、とくにフィルムの端
部に接する部分が摩耗して、ひどい場合には亀裂が生じ
て交換を余儀なくされる。また、ゴムのような弾力性の
ある材質を用いた場合でも、特にTダイで成形されたフ
ィルムの場合、フィルム端部が厚く成形されるため、フ
ィルムの中央部と端部の厚みの差により、ニップロール
による押さえ力に差が生じ、ひどい場合には、フィルム
中央部が把持されずに素抜けて延伸のむらが発生する場
合もある。これらの問題点を解決するために、ニップロ
ールの形状を、中央部を太くする技術や、通常ロール両
端に圧力をかけているものを、ロール中央部に荷重をか
ける技術などが提案されているが、まだ十分な解決に至
っていない。
【0005】一方、ロールにて延伸する場合、図1に示
すような態様で延伸するものが一般的であるが、この場
合には、延伸が行われる延伸区間4の長さは、ロールの
軸芯間距離よりも小さくすることができない。フィルム
の延伸時には、幅方向の収縮が発生し、ネックインもし
くはネックダウンと呼ばれているが、このネックダウン
により、延伸フィルムの幅方向に物性の分布が生じる。
また、ネックダウンの量が安定しない場合には、延伸フ
ィルムの幅の変動、さらには厚みむらなどを引き起こ
す。このネックダウンは延伸区間の長さが長くなるほど
大きくなり、前述の欠点が大きくなる。そのため、ネッ
クダウンを小さくするため、延伸区間を短くする検討が
行われている。まず、ロールの直径を小さくすることに
より、延伸区間を短くすることが可能となるが、ロール
の直径が小さくなると延伸の張力に耐えられず、ロール
が曲がる、またひどい場合には破損することとなる。特
に生産性を高めるためにフィルムの幅を広げるにつれロ
ールの直径を大きくする必要がある。そこで、図2に示
すような態様で延伸する方法もあり、この場合、ロール
の直径に拘わらず、延伸区間4を非常に小さくすること
が可能となる。しかしながら、延伸の開始点と、延伸の
終了点はロールとの摩擦力でのみ把持されているため、
延伸の張力がこの摩擦力を越えた場合、ニップロールと
延伸ロールからフィルムが離れるまでのロール上の区間
で延伸がなされてしまう。このような場合、ロールとフ
ィルム間に滑りが生じているため、フィルム表面に擦り
傷状の欠点を発生させる問題点がある。
【0006】ところで、ロールで延伸を行う場合、延伸
ロールの前に、フィルムを延伸温度まで昇温するための
加熱ロールが必要である。この加熱ロール上でフィルム
はロールとの摩擦力により搬送されるため、フィルムの
熱による寸法変化の状態によっては、きれいに搬送でき
ず、幅の変動などが観察される場合がある。特に多段階
で延伸を行う場合、1段目の延伸を終えたフィルムは、
そのまま2段目の延伸までの間に加熱ロール上で熱を受
けるために、1段目の延伸により配向したフィルムが熱
による収縮力を発生する。ロールとの摩擦力とこの熱収
縮力との大小関係によりフィルムの幅収縮、幅の変動な
どを発生する問題がある。この場合、フィルムとの摩擦
力の大きいシリコーンゴム材質のロールを用いて、フィ
ルムを把持することが多いが、それでも把持力に限界が
ある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述したよ
うに走行するフィルムをその幅方向の全域に亘って均一
な把持力でニップするとともに走行フィルムの延伸開始
点と終了点を有効にロール上に固定する新たなニップロ
ールを提供すること、およびロール延伸の際の延伸区間
を短縮することによりネックダウンを小さくし、また、
加熱区間においてフィルムの幅収縮や幅変動を抑制する
ことのできる延伸フィルムの製造方法を提供しようとす
るものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の延伸ニップロールは、フィルムの走行方向
に配置した一対のニップロールの間でフィルムをその走
行方向に延伸する延伸ニップロールにおいて、該ニップ
ロールの被ニップ部材に対するニップ圧力による変形範
囲が、ニップロールの縦断面内で見た場合の接触長さが
中心角で5°以上、150°以下であることを特徴とす
るものである。
【0009】また、本発明の延伸フィルムの製造方法
は、少なくとも延伸工程を含む延伸フィルムの製造方法
において、上述した延伸ニップロールを用いてフィルム
を延伸することを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】本発明における、フィルムの一対のロール
間での延伸とは、走行するフィルムを、例えば図1また
は図2に示したような態様で、ロールの周速差によりそ
の走行方向に延伸することを言う。ここで、これらの図
においては1段階の延伸の形態しか示していないが、こ
れらの延伸が連続的にまたは間に別途加熱ロールを設け
て複数回多段階に延伸されていても良い。また、このロ
ール延伸に引き続いて、および/または、このロール延
伸の前にテンターによる延伸を行うことは好ましく、テ
ンターによる延伸と交互にロール延伸を複数回行うこと
も好ましい。なお、このロール延伸はフィルムの機械方
向の延伸に適用するのがその生産性から見て好ましい。
また、本発明におけるロール延伸の形態としては、より
好ましくは図1のような態様を取ることがフィルム表面
の傷を防止する面から好ましい。延伸倍率としては、フ
ィルムの種類により異なるが、通常2〜12倍である。
但し、2倍以下の延伸を含めて複数回の延伸を行っても
良い。
【0012】本発明におけるフィルムとは、特に限定す
るものではないが、例えば主に熱可塑性樹脂をTダイな
どの口金を用いて押出した後、冷却ロールによりシート
状に成形されたものを言う。熱可塑性樹脂としては、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなど
のポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66など
のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフ
タレート、ポリメチレンテレフタレート、ポリエチレン
−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキ
シレンジメチレンテレフタレート、および共重合成分と
して、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグ
リコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成
分や、アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン
酸成分などを共重合したポリエステルなどのポリエステ
ル樹脂、その他、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレン
スルフィド樹脂などを用いることができる。特に、本発
明においては、ポリエステルを用いた場合にその効果が
高く、好ましい。中でも、ポリエチレン−2,6−ナフ
タレートやポリエチレンテレフタレートが好ましく、特
にポリエチレンテレフタレートは、安価であるため、非
常に多岐にわたる用途で用いられ、応用・適用効果が高
い。また、これらの樹脂はホモ樹脂であってもよく、共
重合またはブレンドであってもよい。フィルムの厚みと
しては、特に限定されるものではないが、10〜100
0μmの場合が好ましい。
【0013】図3は、本発明の延伸ニップロールが変形
した状態を示した模式図である。
【0014】図において、本発明の延伸ニップロールに
おいては、使用する延伸ニップロール1が、ニップ時の
圧力により被ニップ部材である延伸ロール2との間で変
形する。ここで、被ニップ部材は、延伸ロール2などの
ようにその外周面が円筒状のものが好ましいが、平面状
のものであってもよい。いずれにしろ、延伸ニップロー
ル1がニップの圧力により変形することにより、図3に
示すように、広い面1aにより走行フィルム3を延伸ロ
ール2上に固定するため、高い把持力が得られるもので
ある。また、従来のように線状にニップされた場合と比
較すると、同じ把持力を得ようとした場合、本発明では
広い面でニップするため、ニップ部分にかかる圧力が小
さくて済むために、ロールの摩耗が小さくなるという効
果がある。
【0015】ところで、本発明の延伸ニップロールの特
徴は、延伸ニップロール1の変形の範囲が、延伸ニップ
ロール1の縦断面内で見た場合に、延伸ロール2との接
触長さ、すなわち広い面1aの接触長さが中心角θで5
°以上、150°以下の範囲内にあることである。さら
に好ましくは、10°以上、120°以下であり、より
好ましくは、30°以上、120°以下である。このよ
うな延伸ニップロールをフィルム走行方向に一対配置す
ると図4のようになる。従来のゴム材質を用いたニップ
ロールにおいても、厳密な目で見れば、ニップの際にゴ
ムの弾性により、若干の変形を生じている。しかしなが
ら、従来のゴム材質のニップロールにおける変形は、本
発明で言うところの変形に比べ非常に小さく、本発明の
ような効果は得られていない。上記の中心角θが5°以
上得られる変形を生じることにより、高いニップの把持
力が得られるものである。すなわち、5度未満である
と、フィルム中央部の素抜けなどが発生するなど、十分
なフィルム把持力が得られない。
【0016】一方、角度θを150°以上とすることは
ロールの設計上困難であり、また、可能であった場合で
も、ロールの円滑な回転が妨げられ好ましくない。
【0017】本発明においては、該ニップロールが、例
えば従来にない柔軟な材質のゴムなどを用いて、所定の
変形量を達成しても構わないが、好ましくは、該変形の
量が、ニップの圧力と、ニップロール内を循環する熱媒
若しくは冷媒の循環圧力のバランスにより制御される。
すなわち、延伸に用いられるニップロールは、フィルム
の加熱または延伸後の冷却を補助することが好ましく、
ニップロール内部に熱媒若しくは冷媒を循環させること
が好ましい。そこで、ロールの表面を変形しやすい材質
として、内部を循環する熱媒若しくは冷媒の圧力とニッ
プの圧力により変形量を制御できることが好ましい。変
形量を制御することにより、フィルムの把持力の調整、
または後述の延伸区間の長さの調整が可能になる。
【0018】本発明においては、該ニップロールの表面
材質が厚さ1mm以下、より好ましくは800μm以
下、さらに好ましくは500μm以下の金属ベルトであ
ることが好ましい。前述のような柔軟なゴム材質などで
も構わないが、ロールの摩耗の面から見て、金属材質が
好ましい。本発明における変形量を確保して金属材質を
用いるためには、ベルト状の金属を用いることが好まし
い。金属の厚みとして、1mmを越えると、変形量が小
さくなり、所定の変形量を得るためのニップの圧力が高
くなりすぎるため、好ましくない。金属の材質としては
特に限定されないが、ステンレスや、さらに表面にクロ
ームメッキなどを施したものが好ましい。特に表面を
0.6S以下、より好ましくは0.4S以下、さらに好
ましくは0.2S以下の鏡面に仕上げているものがフィ
ルムの表面欠点防止のために好ましい。また、加熱時に
フィルムの粘着を抑えるため、ベルト表面にテフロンコ
ーティングやシリコーンゴムライニングなど非粘着加工
を行うことも好ましい。
【0019】次に本発明における延伸フィルムの製造方
法は、上述の延伸ニップロールを用いて延伸する。この
ような変形するニップロールを延伸開始のロールとおよ
び/または延伸終了のロール用いることにより、走行フ
ィルムに対する延伸点の固定力を高め、ニップの素抜け
やフィルムの表面欠点を防止することが可能となる。
【0020】ところで、本発明における延伸フィルムの
製造においては、延伸区間の長さが、延伸ロールの軸芯
間距離の1/50以上、2/3以下であることが好まし
い。より好ましくは1/2以下、さらに好ましくは1/
3以下である。特に、図1に示すような延伸形態におい
て、このような延伸区間とすることが好ましい。この場
合、上述の変形するニップロールを用いなければ、この
ような延伸区間は達成不可能である。上述のニップロー
ルを用いた場合、例えば図4に示すような延伸形態とな
り、延伸区間を所定の長さに短縮することが可能とな
る。ここで、延伸区間の長さを延伸ロールの軸芯間距離
の2/3以下とすることにより、延伸時のネックダウン
を小さくすることが可能となり、フィルムの幅方向の物
性むらを小さくすることが可能となり、また、ネックダ
ウンに伴うフィルム端部のロスを減少し、収率を向上さ
せることが可能となる。さらに、延伸区間を短縮するこ
とにより、フィルム端部の厚みを薄く成形してもネック
ダウンが小さくなるため、端部ロスが減少し、さらに収
率が向上する。
【0021】さらに、本発明においては、上述のニップ
ロールを用いて、加熱ロール上のフィルムをニップする
ことも好ましい。フィルムを延伸する場合、延伸温度ま
で加熱するため、予熱ロール上をフィルム搬送するが、
フィルムの昇温に伴う寸法変化が発生し、予熱ロール上
で幅の変動や蛇行が生じることがある。このような場
合、本発明におけるニップロールでニップすることによ
り、フィルムをロール上に把持し、幅の変動や蛇行を防
止することが可能となる。
【0022】さらに、本発明においては、フィルムを多
段で延伸する際に、フィルムの延伸後、次段の延伸まで
の加熱ロール上のフィルムを上述のニップロールでニッ
プすることも好ましい。多段階でフィルムを延伸する場
合、前段の延伸により配向を付与されたフィルムは熱収
縮する性質を帯びる。このため、次段の延伸までの加熱
ロール上で幅収縮を起こし、場合によっては幅の変動が
発生する。そこで、本発明のニップロールを用いてニッ
プすることにより、幅変動を防止することが可能とな
る。
【0023】また一方、本発明においては、フィルムの
延伸後の冷却ロール上のフィルムを上述ののニップロー
ルでニップすることも好ましい。フィルムの延伸におい
ては、加熱されたロールで延伸されたフィルムは冷却ロ
ールにて冷却されることにより延伸を終了するが、冷却
の熱伝達の関係から必ずしも延伸を止めたい地点で延伸
が終了せず、冷却ロールの上で引き続き延伸され、ロー
ル上の滑りによりフィルムの表面欠点が発生する場合が
ある。しかし、本発明のニップロールを用いてニップす
ることにより、冷却ロール上に高い把持力で密着させ、
延伸終了点を固定することが可能となる。さらに、冷媒
を流したニップロールでニップすることにより、フィル
ムの両面から効率よく冷却することが可能となる。
【0024】また、本発明においては、フィルム形状因
子Dが3以下であるフィルムを上述のニップロールでニ
ップすることが好ましい。上述のように、本発明のニッ
プロールを用いることにより、延伸区間を短縮して延伸
時のネックダウンを防止することが可能となり、また、
加熱ロール上における幅変動を防止することが可能とな
る。従来、フィルム端部の厚みを厚く成形することによ
り、これらのネックダウンや幅変動を防止してきたが、
本発明のニップロールを用いることによりフィルム端部
の厚みを薄く成形してもこれらの欠点を防止可能とな
る。フィルム端部は最終的に切り落とされてロスとなる
ために、この部分の厚みを薄くすることにより、収率が
向上するものである。本発明においては、特にフィルム
形状因子Dが3以下であることにより、ニップの幅方向
の均質性が高まり、特に好ましい。ここで、フィルム形
状因子Dとは、フィルム端部の最大厚みdeに対するフ
ィルム中央部の平均厚みdcとの比率(de/dc)で
ある。
【0025】
【物性値の評価方法】
1.複屈折 ベレックコンペンセータを装備した偏光顕微鏡により、
フィルムのリターデーションRdを求めた。Rdをフィ
ルムの厚みで割り、複屈折とした。
【0026】2.ネックダウン率(幅収縮率) フィルムを延伸する前の幅を測定し、L1(mm) と
し、延伸後の幅を測定し、L2(mm) とする。この
値より、ネックダウン率(%)=(L1−L2)/L1
×100とした。
【0027】3.フィルム形状因子D ダイヤルゲージを用いて、フィルム端部30mmの区間
の厚みを測定し、最も厚みの厚い部分の厚みを、フィル
ム端部の最大厚みdeとし、フィルム端部から幅方向に
30mm離れた点から、反対側のフィルム端部から幅方
向に30mm離れた点までの距離にあるフィルム厚みの
平均値をフィルム中央部の平均厚みdcとした。このd
e、dcより、フィルム形状因子D=de/dcとし
た。
【0028】
【実施例および比較例】以下に、本発明の実施例および
比較例を示す。
【0029】実施例1 極限粘度0.65のポリエチレンテレフタレートのペレ
ットを180℃で3時間真空乾燥して押出機に供給し、
280℃で溶融状態とし、Tダイから押出し、静電気を
印加しながら表面温度25℃に保たれたキャスティング
ドラム上で急冷固化した。得られたキャストフィルムの
中央部の厚みは200μmであり、端部の厚みは480
μmであり、フィルム形状因子Dは2.4であった。
【0030】該キャストフィルムを、95℃に加熱され
たロール群に導き、予熱した後、厚み500μmのステ
ンレスベルトを用いて作成された延伸ロールと同径のニ
ップロールに80℃に加熱した熱媒を循環させ、直径2
00mmの延伸ロールに100kg/mの力でニップ
し、熱媒の循環圧力を調整して、ニップの変形が中心角
で90°になるよう調整した。次の直径200mmの冷
却ロールにも同じニップロールを設けて、室温の水を循
環し、同様の力でニップし、ニップの変形が90°にな
るよう調整した。この延伸ロールと冷却ロールの間で
3.5倍の延伸を行い、フィルムを冷却ロール群で冷却
して巻き取った。得られた延伸フィルムの厚みは53μ
mであった。また、延伸区間の長さは112mmであっ
た。
【0031】得られたフィルムのネックダウン量はフィ
ルム端部の厚みが薄にも関わらず8%と小さく、フィル
ム端部から20mm内側の位置の複屈折とフィルム中央
部の複屈折の差は、0.005と非常に分布の小さなフ
ィルムが得られた。
【0032】比較例1 実施例1と同様にして、ただしフィルム中央部の厚み2
00μm、端部の厚み780μmでフィルム形状因子D
が3.9のキャストフィルムを用い、延伸のニップロー
ルに通常のシリコーンゴムのロールを用いる以外は同様
の条件で、厚み53μmの一軸延伸フィルムを得た。こ
のニップロールは実質的に変形しておらず、延伸区間の
長さは205mmであった。
【0033】得られたフィルムのネックダウン量はフィ
ルム端部を厚く成形しているにも関わらず19%と大き
く、フィルム端部から20mm内側の位置の複屈折とフ
ィルム中央部の複屈折の差は、0.014と大きな分布
となった。
【0034】実施例2 実施例1と同様にして得られたキャストフィルムを、1
10℃に加熱されたロール群に導き予熱後、通常のシリ
コーンゴムのロールでニップして2.0倍延伸した後、
125℃に加熱されたテフロン材質の予熱ロールで加熱
後、通常のシリコーンゴムのロールでニップして、2.
5倍延伸し、厚み37μmの一軸延伸フィルムを得た。
この際に、1段目の延伸後のテフロン予熱ロールをすべ
て、実施例1におけるニップロールでニップし、ニップ
の変形を中心角で120°になるよう調整した。
【0035】得られたフィルムのネックダウン量は17
%と2段延伸の割に小さく、また、1段目の延伸後の予
熱部分における幅の変動も観察されなかった。
【0036】比較例2 実施例2と同様にして、但し、1段目の延伸後の予熱部
におけるニップを行わずに延伸した。得られたフィルム
の厚みは41μmであった。
【0037】得られたフィルムのネックダウン量は平均
26%と大きく、また、1段目の延伸後の予熱部分にお
いて幅の変動が発生しており、ネックダウン量も23%
〜30%まで変動していた。
【0038】
【発明の効果】本発明の延伸ニップロールを用いること
により、フィルムの延伸区間を短縮し、フィルム端部の
ロスを減少することによる収率向上効果が得られ、ま
た、予熱ロールや冷却ロール上における幅変動の抑制効
果を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来ロールによる延伸態様の一例である。
【図2】従来ロールによる延伸態様の一例である。
【図3】本発明の延伸ニップロールにおけるニップロー
ルの変形の様子を表した模式図である。
【図4】本発明の延伸ニップロールを一対配置した場合
におけるフィルムの延伸態様を表した模式図である。
【符号の説明】
1:延伸ニップロール 1a:広い面 2:延伸ロール(被ニップ部材) 3:走行フィルム 4:延伸区間 θ:ニップロールの変形による延伸ロール2に接する広
い面1aの中心角

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィルムの走行方向に配置した一対のニ
    ップロールの間でフィルムをその走行方向に延伸する延
    伸ニップロールにおいて、該延伸ニップロールの被ニッ
    プ部材に対するニップ圧力による変形範囲が、延伸ニッ
    プロールの縦断面内で見た場合の接触長さが中心角で5
    °以上、150°以下であることを特徴とする延伸ニッ
    プロール。
  2. 【請求項2】 該変形の量が、延伸ニップロールのニッ
    プ圧力と、ニップロール内を循環する熱媒若しくは冷媒
    の循環圧力とのバランスにより制御される請求項1に記
    載の延伸ニップロール。
  3. 【請求項3】 該延伸ニップロールの表面材質が厚さ1
    mm以下の金属ベルトである請求項1または2に記載の
    延伸ニップロール。
  4. 【請求項4】 少なくとも延伸工程を含む延伸フィルム
    の製造方法において、請求項1〜3のいずれかに記載の
    延伸ニップロールを用いてフィルムを延伸することを特
    徴とする延伸フィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 延伸ニップロールによる延伸区間の長さ
    が、該延伸ニップロールの軸芯間距離の1/50以上、
    2/3以下である請求項4に記載の延伸フィルムの製造
    方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3のいずれかに記載の延伸ニ
    ップロールを用いて、加熱ロール上のフィルムをニップ
    する延伸フィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】 フィルムを多段で延伸する際に、フィル
    ムの延伸後、次段の延伸までの加熱ロール上のフィルム
    を請求項1〜3のいずれかに記載の延伸ニップロールで
    ニップする延伸フィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】 フィルムの延伸後の冷却ロール上のフィ
    ルムを請求項1〜3のいずれかに記載の延伸ニップロー
    ルでニップする延伸フィルムの製造方法。
  9. 【請求項9】 フィルム形状因子Dが3以下であるフィ
    ルムを請求項1〜3のいずれかに記載の延伸ニップロー
    ルでニップする延伸フィルムの製造方法。ただし、フィ
    ルム形状因子Dは、フィルム端部の最大厚みdeに対す
    るフィルム中央部の平均厚みdcとの比率(de/d
    c)とする。
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