JP2008307888A - 熱可塑性フイルム、熱可塑性フイルムの製造方法、熱可塑性フイルムの製造装置、並びに、偏光板、液晶表示板用光学補償フイルム、反射防止フイルム及び液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1ニップロール37と第2ニップロール39を用いて、0.01を超え、0.3未満の縦横比で未延伸フイルムFaを縦延伸する際に、第1ニップロール37と第2ニップロール39の直径をRとしたとき、ニップロール37及び39間を搬送される熱可塑性フイルムFa’が、いずれかのニップロールと接触する際のラップ角度が1°以上、60°以下にして行う。また、いずれかのニップロールと熱可塑性フイルムFa’との接触距離が0.01R以上、0.5R以下にする。
【選択図】図3
Description
ネックイン量(Nin)={(W0−W1)/W0}×100(%)
予熱ゾーン>延伸ゾーン>熱固定ゾーン
となるように横延伸することが好ましい。
(1)式:2.5≦A+B<3.0
(2)式:0.1≦B<3.0
(式中、Aは、アセテート基の置換度を示し、Bは、プロピオネート基、ブチレート基、ペンタノイル基の置換度の総和を示す。)
(3)式:2.5≦A+C≦3.0
(4)式:0.1≦C<2
(式中、Aは、アセテート基の置換度を示し、Cは置換もしくは無置換の芳香族アシル基を示す。)
予熱ゾーン>延伸ゾーン>熱固定ゾーン
となるように制御することが好ましい。
本発明の熱可塑性フイルムは、セルロースアシレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィン樹脂、ラクトン環含有重合体樹脂を含有する熱可塑性フイルムが好ましい例として挙げられる。該フイルムを形成する熱可塑性樹脂としては、セルロースアシレート樹脂、シクロオレフィン樹脂が好ましい。
1−1−1.プロピオネート基、ブチレート基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基を含むセルロースアシレート樹脂
先ず、本発明で用いられるセルロースアシレートについて説明する。本発明で用いるセルロースアシレートは下記式(S−1)〜(S−2)を満足する。
式(S−1):2.5≦X+Y≦3.0
式(S−2):1.25≦Y≦3.0
2.6≦X+Y≦2.95
2.0≦Y≦2.95
2.7≦X+Y≦2.95
2.3≦Y≦2.9
セルロースアシレートを合成する際のセルロース原料としては、広葉樹パルプ、針葉樹パルプ、綿花リンター由来のものが好ましく用いられる。
セルロース原料はアシル化に先立って、活性化剤と接触させる処理(活性化)を行っておくことが好ましい。活性化剤として好ましくは、酢酸、プロピオン酸、又は酪酸であり、特に好ましくは酢酸である。活性化剤の添加量は好ましくは5%〜10000%であり、より好ましくは10%〜2000%、さらに好ましくは30%〜1000%である。添加方法は噴霧、滴下、浸漬等の方法から選択できる。活性化時間は20分〜72時間が好ましく、特に好ましくは20分〜12時間である。活性化温度は0℃〜90℃が好ましく、20℃〜60℃が特に好ましい。さらに活性化剤に硫酸等のアシル化の触媒を0.1質量%〜10質量%加えることもできる。
セルロースとカルボン酸の酸無水物とをブレンステッド酸又はルイス酸(「理化学辞典」第五版(2000年)参照)を触媒として反応させることで、セルロースの水酸基をアシル化することが好ましい。
カルボン酸の酸無水物として、好ましくはカルボン酸としての炭素数が2〜7のものを用いることができる。具体的には、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物である。酸無水物はセルロースの水酸基に対して1.1〜50当量添加することが好ましく、1.2〜30当量添加することがより好ましく、1.5〜10当量添加することが特に好ましい。
アシル化触媒には、ブレンステッド酸又はルイス酸を使用することが好ましく、硫酸又は過塩素酸がより好ましく、好ましい添加量は0.1〜30質量%であり、より好ましくは1〜15質量%であり、特に好ましくは3〜12質量%である。
アシル化溶媒としては、好ましくはカルボン酸であり、さらに好ましくは炭素数2〜7のカルボン酸であり、特に好ましくは酢酸、プロピオン酸又は酪酸である。これらの溶媒は混合して用いてもよい。
アシル化の反応熱による温度上昇を制御するために、アシル化剤は予め冷却しておくことが好ましい。アシル化温度は−50℃〜50℃が好ましく、より好ましくは−30℃〜40℃、特に好ましく−20℃〜35℃である。反応の最低温度は−50℃以上が好ましく、−30℃以上がより好ましく、−20℃以上が特に好ましい。アシル化時間は0.5時間〜24時間が好ましく、1時間〜12時間がより好ましく、1.5時間〜10時間が特に好ましい。
アシル化反応の後に、反応停止剤を加えることが好ましい。反応停止剤は酸無水物を分解するものであればよく、水、アルコール(炭素数1〜3のもの)、カルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸等)が挙げられ、中でも水とカルボン酸(酢酸)との混合物がさらに好ましい。水とカルボン酸との組成は、水が好ましくは5質量%〜80質量%、さらに好ましくは10質量%〜60質量%、特に好ましくは15質量%〜50質量%である。
アシル化反応停止後に中和剤を添加してもよい。中和剤の好ましい例としては、アンモニウム、有機4級アンモニウム、アルカリ金属、2族の金属、3〜12族金属、又は13〜15族元素の、炭酸塩、炭酸水素塩、有機酸塩、水酸化物又は酸化物等を挙げることができる。特に好ましくは、ナトリウム、カリウム、マグネシウム又はカルシウムの、炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩又は水酸化物である。
このようにして得られたセルロースアシレートは、全置換度がほぼ3に近いものであるが、所望の置換度のものを得る目的で、少量の触媒(一般には、残存する硫酸等のアシル化触媒)と水との存在下で、20〜90℃に数分〜数日間保つことによりエステル結合を部分的に加水分解し、セルロースアシレートのアシル置換度を所望の程度まで減少させる。この後、残存触媒を前記の中和剤を用いて、部分加水分解を停止させる。
セルロースアシレート中の未反応物、難溶解性塩、その他の異物等を除去又は削減する目的として、アシル化工程から再沈殿工程の間のいずれかにおいて、セルロースアシレートを含む反応溶液をろ過することが好ましい。ろ過に用いるフィルタの保留粒子径は、好ましくは0.1μm以上50μm以下であり、さらに好ましくは、0.5μm以上40μm以下であり、特に好ましくは、1μm以上30μm以下である。フィルタの保留粒子径が0.1μmより小さいと、ろ過圧の上昇が著しく、実質的に工業的な生産が困難である。また、保留粒子径が40μmより大きいと、異物の除去が十分にできない場合がある。また、濾過は2回以上繰り返してもよい。
セルロースアシレート溶液を、水もしくはカルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸等)水溶液と混合し再沈殿させる。再沈殿は連続式、バッチ式のいずれでもよい。
再沈殿後、洗浄処理することが好ましい。洗浄は水又は温水を用い、pH、イオン濃度、電気伝導度、元素分析等で洗浄終了を確認することができる。
洗浄後のセルロースアシレートは、安定化のために、弱アルカリ(Na、K、Ca、Mg等の炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物、酸化物)を添加するのが好ましく、特にCa、Mgが好ましい。また、その添加量は、残留した硫酸触媒に対して、0.3〜5当量であることが好ましく、より好ましくは0.4〜4当量、さらに好ましくは0.5〜3当量である。
50〜160℃でセルロースアシレートの含水率を2質量%以下にまで乾燥することが好ましい。
本発明で用いられるセルロースアシレート樹脂としては、置換又は無置換の芳香族アシル基を少なくとも1種を含み、下記(S−3)式〜(S−4)式を満たすセルロースアシレート樹脂も好ましい。
(S−3)式:2.5≦A+C≦3.0
(S−4)式:0.1≦C<2
2.6≦A+C≦3.0
0.1≦C<1.5
さらに好ましくは、
2.7≦A+C≦3.0
0.1≦C<1.0
である。なお、上記式中、Aはアセテート基の置換度を示し、Cは置換又は無置換の芳香族アシル基を示す。
(安定剤添加剤)
本発明において、フイルム構成材料中に、安定剤の少なくとも一種を前記セルロースアシレートの加熱溶融前又は加熱溶融時に添加することが好ましい。これらは、フイルム構成材料の酸化防止、分解して発生した酸の捕捉、光又は熱によるラジカル種基因の分解反応を抑制又は禁止する等、解明できていない分解反応を含めて、着色や分子量低下に代表される変質や材料の分解による揮発成分の生成を抑制するために有用である。その時、製膜するための溶融温度においても安定化剤自身が分解せずに機能することが求められる。これらの安定化剤は次に挙げられる効果に用いるがこれらに限定されるものではない。
本発明において、フイルム構成材料の熱溶融時における安定化のために用いる化合物として有用なヒンダードフェノール系安定剤は既知の化合物であり、例えば、米国特許第4,839,405号明細書の第12〜14欄に記載されているもの等の、2,6−ジアルキルフェノール誘導体化合物が含まれる。
上記の亜リン酸系安定剤としては、特開2004−182979号公報の[0023]〜[0039]に記載の化合物をより好ましく用いることができる。亜リン酸エステル系安定剤の具体例としては、特開昭51−70316号公報、特開平10−306175号公報、特開昭57−78431号公報、特開昭54−157159号公報、特開昭55−13765号公報に記載の化合物を挙げることができる。さらに、その他の安定剤としては、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)の17頁〜22頁に詳細に記載されている素材を好ましく用いることができる。
安定剤としてさらに使用されるチオエーテル系安定剤について記述する。本発明においてセルロースアシレートに添加することができるチオエーテル系安定剤も分子量500以上が好ましく、公知の任意のチオエーテル系安定剤を用いることができる。本発明で用いることができる好ましいチオエーテル系安定剤はこれらに限定されるものではない。
エポキシ系安定剤は、酸捕捉剤として作用し、米国特許第4,137,201号明細書に記載されている酸捕捉剤としてのエポキシ化合物を含んでなるのが好ましい。このような酸捕捉剤としてのエポキシ化合物は当該技術分野において既知であり、種々のポリグリコールのジグリシジルエーテル、特にポリグリコール1モル当たりに約8〜40モルのエチレンオキシド等の縮合によって誘導されるポリグリコール、グリセロールのジグリシジルエーテル等、金属エポキシ化合物(例えば、塩化ビニルポリマー組成物において、及び塩化ビニルポリマー組成物と共に、従来から利用されているもの)、エポキシ化エーテル縮合生成物、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(すなわち、4,4'−ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン)、エポキシ化不飽和脂肪酸エステル(特に、2〜22個の炭素原子を有する脂肪酸と、4〜2個の炭素原子のアルキルのエステル(例えば、ブチルエポキシステアレート)等)、及び種々のエポキシ化長鎖脂肪酸トリグリセリド等(例えば、エポキシ化大豆油等の組成物によって代表され、例示され得る、エポキシ化植物油及び他の不飽和天然油(これらは時としてエポキシ化天然グリセリド又は不飽和脂肪酸と称され、これらの脂肪酸は一般に12〜22個の炭素原子を含有している))が含まれる。特に好ましいのは、市販のエポキシ基含有エポキシド樹脂化合物 EPON 815c、及びエポキシ化エーテルオリゴマー縮合生成物である。
上記スズ系安定剤としては、公知の任意のスズ系安定剤を用いることができる。好ましいスズ系安定剤の具体例としては、オクチル錫マレエートポリマー、モノステアリル錫トリス(イソオクチルチオグリコレート)、ジブチル錫ジラウレートが挙げられる。
セルロースアシレートは高温下では酸によっても分解が促進されるため、本発明の光学フイルムにおいては酸捕捉剤を含有することが好ましい。
本発明のセルロースアシレートには、1種又は2種以上の紫外線吸収剤を含有させることが好ましい。前記紫外線吸収剤は、液晶の劣化防止の観点から、波長380nm以下の紫外線の吸収能に優れ、且つ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等が挙げられる。特に好ましい紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系化合物やベンゾフェノン系化合物である。中でも、ベンゾトリアゾール系化合物は、セルロースアシレートに対する不要な着色が少ないことから好ましい。これらは、特開昭60−235852号、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号、同6−118233号、同6−148430号、同7−11056号、同7−11055号、同7−11056号、同8−29619号、同8−239509号、特開2000−204173号の各公報に記載がある。その添加量は、調製する溶融物(メルト)の0.01〜2質量%であることが好ましく、0.01〜1.5質量%であることがさらに好ましい。
光安定剤としては、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)化合物が挙げられ、これは既知の化合物であり、例えば、米国特許第4,619,956号明細書の第5〜11欄及び米国特許第4,839,405号明細書の第3〜5欄に記載されているように、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン化合物、又はそれらの酸付加塩もしくはそれらと金属化合物との錯体が含まれる。これらは、旭電化からアデカスタブLA−57、同LA−52、同LA−67、同LA−62、同LA−77として、またチバ・スペシャリティーケミカルズ社からTINUVIN 765、同144として市販されている。
本発明の光学フイルムに可塑剤として知られる化合物を添加することは、機械的性質向上、柔軟性を付与、耐吸水性付与、水分透過率低減等のフイルムの改質の観点において好ましい。また本発明で行う溶融流延法においては、用いるセルロースアシレート単独のガラス転移温度よりも、可塑剤の添加によりフイルム構成材料の溶融温度を低下させる目的、又は同じ加熱温度においてセルロースアシレートよりも可塑剤を含むフイルム構成材料の粘度が低下できる目的を含んでいる。
具体的には、リン酸シクロアルキルエステル、リン酸アリールエステルが挙げられる。これらの置換基は、同一でもあっても異なっていてもよく、さらに置換されていてもよい。また、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基のミックスでもよく、また、置換基同士が共有結合で結合していてもよい。また、エチレンビス(ジメチルホスフェート)、ブチレンビス(ジエチルホスフェート)等のアルキレンビス(ジアルキルホスフェート)、エチレンビス(ジフェニルホスフェート)、プロピレンビス(ジナフチルホスフェート)等のアルキレンビス(ジアリールホスフェート)、フェニレンビス(ジブチルホスフェート)、ビフェニレンビス(ジオクチルホスフェート)等のアリーレンビス(ジアルキルホスフェート)、フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、ナフチレンビス(ジトルイルホスフェート)等のアリーレンビス(ジアリールホスフェート)等のリン酸エステルが挙げられる。これらの置換基は、同一でもあっても異なっていてもよく、さらに置換されていてもよい。また、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基のミックスでもよく、また、置換基同士が共有結合で結合していてもよい。
本発明では、セルロースアシレートに微粒子を混合してもよい。微粒子としては、無機化合物の微粒子や有機化合物の微粒子が挙げられ、いずれでもよい。本発明におけるセルロースアシレートに含まれる微粒子の平均一次粒子サイズは、ヘイズを低く抑えるという観点から5nm〜3μmであることが好ましく、5nm〜2.5μmであることがより好ましく、10nm〜2.0μmであることがさらに好ましい。ここで、微粒子の平均一次粒子サイズは、セルロースアシレートフイルムを透過型電子顕微鏡(倍率50万〜100万倍)で観察し、粒子100個の一次粒子サイズの平均値を求めることにより決定する。微粒子の添加量は、セルロースアシレートに対して0.005〜1.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.8質量%であり、さらに好ましくは0.02〜0.4質量%である。
本発明におけるセルロースアシレートには、光学調整剤を添加することができる。光学調整剤としてはレターデーション調整剤を挙げることができ、例えば、特開2001−166144号、特開2003−344655号、特開2003−248117号、特開2003−66230号各公報記載のものを使用することができる。光学調整剤を添加することによって、面内のレターデーション(Re)、厚み方向のレターデーション(Rth)を制御することができる。好ましい添加量は0〜10質量%であり、より好ましくは0〜8質量%、さらに好ましくは0〜6質量%である。
本発明は、本発明における熱可塑性樹脂として、シクロオレフィン樹脂を用いることも好ましい。シクロオレフィン樹脂として、後述するシクロオレフィン樹脂−A、及びシクロオレフィン樹脂−Bのいずれも好ましく用いることができる。
本発明で使用するシクロオレフィン系樹脂(シクロオレフィン樹脂−A)としては、例えば、(1)ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体を、必要に応じてマレイン酸付加、シクロペンタジエン付加のごときポリマー変性を行なった後に、水素添加した樹脂、(2)ノルボルネン系モノマーを付加型重合させた樹脂、(3)ノルボルネン系モノマーとエチレンやα−オレフィン等のオレフィン系モノマーと付加型共重合させた樹脂等が挙げることができる。重合方法及び水素添加方法は、常法により行なうことができる。
また、シクロオレフィン系樹脂として、下記一般式(1)〜(4)で表わされるものを挙げることができ、これらのうち、下記一般式(1)で表されるものが特に好ましい。
で表される一種類以上の単環式オレフィンから誘導される重合単位を含むことができる。
本発明におけるシクロオレフィン系樹脂には、安定剤の少なくとも一種を前記シクロオレフィン系樹脂の加熱溶融前又は加熱溶融時に添加することが好ましい。これらは、フイルム構成材料の酸化防止、分解して発生した酸の捕捉、光又は熱によるラジカル種基因の分解反応を抑制又は禁止する等、解明できていない分解反応を含めて、着色や分子量低下に代表される変質や材料の分解による揮発成分の生成を抑制するために有用である。その時、製膜するための溶融温度においても安定化剤自身が分解せずに機能することが求められる。これらの安定化剤は次に挙げられる効果に用いるがこれらに限定されるものではない。
下記一般式(1)で表されるラクトン環構造を有するものを指す。
ジヒドロキシ成分とカーボネート前駆体とを界面重合法又は溶融重合法で反応させて得られるものであり、例えば、特開2006−277914号公報に記載のものや特開2006−106386号公報、特開2006−284703号公報記載のものが好ましく用いることができる。ポリカーボネート系樹脂用の添加剤は前述セルロースアシレート樹脂用の添加剤(安定剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、微粒子、光学調整剤など各種添加剤)を用いることができる。
2−1.溶融製膜
以下に、本発明の熱可塑性フイルムの製造方法について、詳細に記述する。なお、本発明の熱可塑性フイルムは、これらの方法により製造されたものに限定されるものではない。
上記熱可塑性樹脂と添加物は溶融製膜に先立ち混合しペレット化するのが好ましい。
溶融製膜に先立ちペレット中の水分を乾燥して含水率を0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下にすることが好ましい。ペレット状の樹脂乾燥は通常用いられる何れの乾燥方法も用いることができる。例えば除湿エアーを循環する乾燥機、熱風乾燥機、真空乾燥機、超音波乾燥機、高周波乾燥機、赤外線乾燥機等が上げられる。このための乾燥温度は40〜180℃が好ましく、さらに好ましくは60〜160℃、特に好ましくは80〜140℃である。乾燥風量は多いほど乾燥効率は上がるが、水分除去効率と経済性を考慮すると1時間あたりに樹脂100kgを乾燥させるのに必要な風量としては好ましくは10〜200m3/時間で有り、特に好ましくは50〜125m3/時間である。乾燥風の露点は好ましくは−60℃〜0℃で有り、乾燥効率と経済性を考慮するとより好ましくは−40℃〜−20℃である。
乾燥した熱可塑性樹脂を押出機の供給口からシリンダ内に供給する。押出機のスクリュー圧縮比は1.5〜4.5が好ましく、より好ましくは2.5〜4.0である。L(スクリュー長)/D(スクリュー径)は20〜70が好ましく、より好ましくは24〜50である。セルロースアシレート樹脂の押出温度は190〜240℃が好ましく、特に好ましくは195〜230℃である。また,シクロオレフィン系樹脂の押出温度は、210℃〜280℃が好ましく、より好ましくは、220℃〜260℃、特に好ましくは240℃〜260℃である。また、押出機のバレルは3〜20に分割したヒータで加熱し溶融することが好ましい。
ギアポンプ保護の点から、押し出し機出口にブレーカープレート式の濾過を行うことが好ましい。用いるフィルタのサイズは20〜600メッシュが好ましく、さらに好ましくは40〜400メッシュ、特に好ましくは50〜300メッシュである。
厚み精度向上(吐出量の変動減少)のために、押出機とダイスの間にギアポンプを設置するのが好ましい。これにより、ダイ部分の樹脂圧変動巾を±1%以内にできる。
ダイス内の溶融樹脂の滞留が少ない設計であれば、一般的に用いられるTダイ、フィッシュテールダイ、ハンガーコートダイの何れのタイプでも構わない。又、Tダイの直前に樹脂温度の均一性アップのためのスタティックミキサを入れることも問題ない。Tダイ出口部分のクリアランスは一般的にフイルム厚みの1.0〜20.0倍がよく、さらに好ましくは3.0〜15倍である。特に好ましくは5.0〜10倍である。
ダイよりシート上に押し出された溶融樹脂をキャスティングロール上で冷却固化し、フイルムを得る。この時、静電印加法、エアナイフ法、エアーチャンバ法、バキュームノズル法、タッチロール法等の方法を用い密着を上げることが好ましい。タッチロール法ではキャスティングロールにタッチロールを押し当てて製膜する。またエッジピニング(フイルムの両端部のみを密着させる方法)も好ましい。
巻取り前に両端をトリミングすることが好ましい。トリミングされた部分はフイルム用原料として再利用してもよい。トリミングカッターはロータリーカッター、シャー刃、ナイフ等何れを用いても構わない。材質についても、炭素鋼、ステンレス鋼、セラミックを用いることができる。
製膜した未延伸フイルムや延伸フイルムを製品サイズに合わせるためのトリミング工程や、製膜条件調整時には屑フイルムが発生する。発生量は投入原料の5〜30%程度に達するため、屑フイルムを粉砕し、新原料と混合あるいは単独で再利用することは、コスト面及び環境面から極めて重要である。
発生した屑フイルムは、製膜時のオンライン上で、連続した短冊状のままピンチロール又は送風機で粉砕機へ送って細片状に粉砕する方法が好ましく、一旦巻取り機で巻き取った後、にオフラインの粉砕機で粉砕する方法でも構わない。フイルム端部の熱劣化が激しいフイルムの場合には、フイルムの端部のみをスリットして除去して用いてもよい。
粉砕フイルムは、吸湿を防止した粉砕機を用いて、インラインで直ちに原料に戻す場合は乾燥が不要だが、通常は所定の水分率にするため乾燥が必要であり、熱風乾燥機、ドライエアー乾燥機、真空乾燥機、超音波乾燥機、赤外線乾燥機等を使用できる。
粉砕、乾燥処理したフイルムは気送配管により原料タンクに供給され、バージン原料と混合し、ホッパーへ供給してもよい。また、粉砕フイルムとバージン原料を別々に計量し、押出機機に供給してもよい。粉砕フイルム原料とバージン原料の混合割合は重量比で1:99〜70:30が好ましく、さらに好ましくは5:95〜50:50である。これにより、粉砕フイルムとバージン原料の嵩密度が異なっても押出機への供給安定性が良好で好ましい。但し、リペレット化した場合は、フイルム物性に問題がなければ、上記範囲である必要はなく、任意の配合比率で混合することが可能である。
溶融製膜、溶液製膜した熱可塑性フイルムは横延伸されるが、これと合わせて縦延伸、緩和処理をおこなってもよい。これらは例えば以下の組合せで実施できる。
(a)横延伸
(b)横延伸→緩和処理
(c)縦延伸→横延伸
(d)縦延伸→横延伸→緩和処理
(e)縦延伸→緩和処理→横延伸→緩和処理
(f)横延伸→縦延伸→緩和処理
(g)横延伸→緩和処理→縦延伸→緩和処理
(h)縦延伸→横延伸→縦延伸
(i)縦延伸→横延伸→縦延伸→緩和処理
縦延伸は2対のニップロールを設置し、この間を加熱しながら出口側のニップロールの周速を入口側のニップロールの周速より速くすることで達成できる。この際、ニップロール間の間隔(L)と延伸前のフイルム幅(W)を変えることで厚み方向のレターデーションの発現性を変えることができる。L/W(縦横比と称する)が2を超え50以下(長スパン延伸)ではRthを小さくでき、縦横比が0.01以上0.3以下(短スパン延伸)ではRthを大きくできる。本発明では長スパン延伸、短スパン延伸、これらの間の領域(中間延伸=L/Wが0.3を超え2以下)どれを使用してもよいが、配向角を小さくできる長スパン延伸、短スパン延伸が好ましい。さらに高Rthを狙う場合は短スパン延伸、低Rthを狙う場合は長スパン延伸と区別して使用することがより好ましい。
延伸倍率=(延伸後の長さ)/(延伸前の長さ)
延伸に伴いフイルムは伸張されるが、この時フイルムは体積変化を小さくしようと厚み、幅を減少させる。このときニップロールとフイルム間の摩擦により幅方向の収縮が制限される。このためニップロール間隔を大きくすると幅方向収縮しやすくなり厚み減少を抑制できる。厚み減少が大きいとフイルムが厚み方向に圧縮されたことと同じ効果があり、フイルム面内に分子配向が進みRthが大きくなり易い。縦横比が大きく厚み減少が少ないとこの逆でRthは発現し難く低いRthを実現できる。
縦横比(L/W)を0.01を越え0.3未満、より好ましくは0.03〜0.25、さらに好ましくは0.05〜0.2で縦延伸(短スパン延伸)を行う。このような範囲の縦横比(L/W)で延伸を行うことで、ネックイン(延伸に伴う延伸と直行する方向の収縮)を小さくすることができる。延伸方向の伸張を補うため幅、厚みが減少するが、このような短スパン延伸では幅収縮が抑制され厚み減少が優先的に進む。この結果、厚み方向に圧縮されたようになり、厚み方向の配向(面配向)が進む。この結果厚み方向の異方性の尺度であるRthが増大し易い。一方、従来は縦横比(L/W)が1前後(0.7〜1.5)で行われるのが一般的であった。これは、通常ニップロール間に加熱用ヒータを設置して延伸するが、L/Wが大きくなりすぎるとヒータでフイルムを均一に加熱できず延伸むらが発生し易く、L/Wが小さすぎるとヒータが設置しにくく加熱が十分に行えないためである。
横延伸はテンターを用い実施することができる。すなわち、フイルムの幅方向の両端部をクリップで把持し、横方向に拡幅することで延伸する。このとき、テンター内に所望の温度の風を送ることで延伸温度を制御できる。延伸温度は、Tg−10℃以上Tg+60℃以下が好ましく、Tg−5℃以上Tg+45℃以下がより好ましく、Tg以上Tg+30℃以下がさらに好ましい。好ましい延伸倍率は1.01倍以上4倍以下、より好ましく1.03倍以上3.5倍以下、さらに好ましくは1.05倍以上2.5倍以下である。
さらに、これらの延伸の後に緩和処理を行うことで寸法安定性を改良することができる。熱緩和は縦延伸後、横延伸後のいずれか、あるいは両方で行うことが好ましく、より好ましく横延伸後である。緩和処理は延伸後に連続してオンラインで行ってもよく、延伸後巻き取った後、オフラインで行ってもよい。
3−1.未延伸フイルムの物性
(セルロースアシレートフイルム)
このようにして得た未延伸セルロースアシレートフイルムはRe=0〜20nm,Rth=0〜80nmが好ましく、より好ましくはRe=0〜10nm,Rth=0〜60nm、さらに好ましくはRe=0〜10nm,Rth=0〜30nmである。Re、Rthは各々面内のリターデーション及び厚さ方向のリターデーションを表す。ReはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で光をフイルム法線方向に入射させて測定される。Rthはセルロースアシレートフイルムを25℃・相対湿度60%にて24時間調湿後、自動複屈折計(KOBRA−21ADH:王子計測機器(株)製)を用いて、25℃・相対湿度60%において、フイルム表面に対し垂直方向及び遅相軸を回転軸としてフイルム面法線から+50°から−50°まで10°刻みで傾斜させた方向から波長590nmにおける位相差値を測定する。その測定されたレタデーション値(Re)と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRで算出する。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d ・・・・式(2)
本発明の未延伸シクロオレフィンフイルムはRe=0〜20nm,Rth=0〜80nmが好ましく、より好ましくはRe=0〜10nm,Rth=0〜60nm、さらに好ましくはRe=0〜10nm,Rth=0〜30nmである。
このようにして縦延伸、横延伸、縦横延伸した熱可塑性フイルムのRe、Rthは下式(R−1)及び(R−2)を満足することが好ましい。
式(R−1):0nm≦Re≦200nm
式(R−2):0nm≦Rth≦600nm
(式中、Reは、熱可塑性フイルムの面内のレターデーションを示し、Rthは、熱可塑性フイルムの厚み方向レターデーションを示す。)
20nm≦Re≦180nm
10nm≦Rth≦400nm
であり、さらに好ましくは
30nm≦Re≦150nm
20nm≦Rth≦300nm
である。
このようにして得た本発明の熱可塑性フイルム単独で使用してもよく、これらと偏光板と組み合わせて使用してもよく、これらの上に液晶層や屈折率を制御した層(低反射層)やハードコート層を設けて使用してもよい。これらは以下の工程により達成できる。
4−1−1.セルロースアシレートフイルム
セルロースアシレートフイルムは、場合により表面処理を行なうことによって、セルロースアシレートフイルムと各機能層(例えば、下塗層及びバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸又はアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、さらにまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物等があげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)の30頁〜32頁に詳細に記載されている。なお、近年注目されている大気圧でのプラズマ処理は、例えば10〜1000Kev下で20〜500Kgyの照射エネルギーが用いられ、より好ましくは30〜500Kev下で20〜300Kgyの照射エネルギーが用いられる。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアシレートフイルムの表面処理としては極めて有効である。
シクロオレフィン系樹脂、ラクトン環含有重合体樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の本発明の熱可塑性フイルムは、グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸又はアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torr(0.13〜2700Pa)の低圧ガス下でおこる低温プラズマ処理を含む。また、大気圧下でのプラズマ処理も好ましいグロー放電処理である。
本発明の熱可塑性フイルムに、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)の32頁〜45頁に詳細に記載されている機能性層を組み合わせることが好ましい。中でも好ましいのが、偏光層の付与(偏光板)、光学補償層の付与(光学補償シート)、反射防止層の付与(反射防止フイルム)である。
現在、市販の偏光層は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素を浸透させることで作製されるのが一般的である。偏光膜は、Optiva Inc.に代表される塗布型偏光膜も利用できる。偏光膜におけるヨウ素及び二色性色素は、バインダー中で配向することで偏向性能を発現する。二色性色素としては、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素あるいはアントラキノン系色素が用いられる。二色性色素は、水溶性であることが好ましい。二色性色素は、親水性置換基(例、スルホ、アミノ、ヒドロキシル)を有することが好ましい。例えば、発明協会公開技法、公技番号2001−1745号、58頁(発行日2001年3月15日)に記載の化合物が挙げられる。
光学異方性層は、液晶表示装置の黒表示における液晶セル中の液晶化合物を補償するためのものであり、熱可塑性フイルムの上に配向膜を形成し、さらに光学異方性層を付与することで形成される。
反射防止膜は、一般に、防汚性層でもある低屈折率層、及び低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(すなわち、高屈折率層、中屈折率層)とを透明基体上に設けて成る。屈折率の異なる無機化合物(金属酸化物等)の透明薄膜を積層させた多層膜として、化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、金属アルコキシド等の金属化合物のゾルゲル方法でコロイド状金属酸化物粒子皮膜を形成後に後処理(紫外線照射:特開平9−157855号公報参照、プラズマ処理:特開2002−327310号公報参照)して薄膜を形成する方法が挙げられる。
本発明の熱可塑性フイルム、並びに、本発明の熱可塑性フイルムを用いた本発明の偏光板、光学補償フイルム、反射防止フイルムは、様々な表示モードの液晶表示装置に用いることができる。以下にこれらのフイルムが用いられる各液晶モードについて説明する。これらのモードのうち、本発明の熱可塑性フイルム、偏光板及び光学補償フイルムは特にTN、STN、VA、IPSモードの液晶表示装置に好ましく用いられる。これらの液晶表示装置は、透過型、反射型及び半透過型のいずれでもよい。
カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。TNモードの黒表示における液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。本発明の熱可塑性フイルムは、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の位相差板の支持体として用いてもよい。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置とについては、古くからよく知られている。TN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平3−9325号、特開平6−148429号、特開平8−50206号及び特開平9−26572号の各公報の他、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys.Vol.36(1997)p.143や、Jpn.J.Appl.Phys.Vol.36(1997)p.1068)に記載がある。
本発明の熱可塑性フイルムは、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の位相差板の支持体として用いてもよい。一般に、STN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360°の範囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積(Δnd)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開2000−105316号公報に記載がある。
棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルである。ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置は、米国特許4583825号、同第5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。
電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向しているのが特徴であり、VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)及び(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に面内に水平に配向しているのが特徴であり、これが電圧印加の有無で液晶の配向方向を変えることでスイッチングするのが特徴である。具体的には特開2004−365941号公報、特開2004−12731号、特開2004−215620号公報、特開2002−221726号公報、特開2002−55341号公報、特開2003−195333号公報に記載のもの等を使用できる。
本発明の熱可塑性フイルムは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の位相差板としても有利に用いられる。これらの表示モードは古くからよく知られている。TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号、国際公開第98/48320号パンフレット、特許第3022477号公報に記載がある。反射型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、国際公開第00/65384号パンフレットに記載がある。
本発明の熱可塑性フイルムは、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置とについては、クメ(Kume)他の論文(Kume et al., SID 98 Digest 1089 (1998))に記載がある。
静止した一対のニップロール間に、樹脂フイルムがニップロールと接触開始点と離れる点をマーカーし、接触距離Ldを求める。得られた接触距離と、ニップロールの直径Rを用いて、下式でニップロールとのラップ角度αを算出することができる。
ラップ角度α=ニップロールとの接触距離Ld
×(360/πR) (単位:°)
熱可塑性樹脂フイルムを全幅×流れ方向30cmに切り出して、縦すじの数は、該フイルムを白色スクリーンの前に10mmの間隔を空け平行に設置し、このフイルムの中央部から32.5度の方向に1m離して設置したスライド投影機(例えばキャビン工業(株)製Color CabinIII)から投光し、スクリーンに投影された製膜方向(MD)に平行なすじ(光の明暗)の内、3mm幅以下のものの本数を全幅にわたって数え、幅10cmあたりの本数を求めた。評価基準は、以下のとおりとした。
フイルムの幅方向(TD)及び長手方向(MD)にサンプリングし、小坂研究所製の三次元表面粗さ計SEF−3500を用い、JIS B0601−1982に準拠して中心線平均粗さRaを測定し、その10箇所の測定値の平均値をRaとして求めた。また、フイルムおもて面と反対側面の表面粗さは前記と同様に測定算出し、その両面粗さRaの比を求めた。
触針先端半径:2μm
触針荷重 :0.07g
触針速度 :20μm/分
測定長 :100mm
製膜した熱可塑性樹脂フイルムの製膜方向に500m毎に、全幅×流れ方向2m長でサンプリングし、反射光源のもとでフイルム中の表面突起欠陥物を目視にて検出した後、非接触式三次元構造解析顕微鏡(Zygo社製NewView6000型)を用いその突起物の高さを測定する。突起物の高さ0.5μm〜8μmの欠陥物数をカウントし、各測定サンプルの1m2に当りの平均値を求める。
走査型示差熱量計(DSC)の測定パンにサンプルを20mg入れる。これを窒素気流中で、10℃/分で30℃から250℃まで昇温した後(1st−run)、30℃まで−10℃/分で冷却する。この後、再度30℃から250℃まで昇温する(2nd−run)。2nd−runでベースラインが低温側から偏奇し始める温度をガラス転移温度(Tg)とする。
サンプルフイルムを相対湿度25℃・60%に5時間以上調湿後、自動複屈折計(KOBRA−21ADH:王子計測器(株)製)を用いて、相対湿度25℃・60%において、Reは光をフイルム法線方向に入射させて測定される。Rthは、フイルム表面に対し垂直方向及び遅相軸を回転軸としてフイルム面法線から+50°から−50°まで10°刻みで傾斜させた方向から波長590nmにおける位相差値を測定し、その測定されたレタデーション値と平均屈折率の値及び入力された膜厚値を基に算出する。
下記のように、長手方向に100点、幅方向50点サンプリングし、上記の方法でRe、Rth、遅相軸の角度を測定する。Re、Rthばらつきは、MD方向100点、TD方向50点の各最大値と最小値の差を、各平均値で割り、百分率で示したものをRe、Rthばらつきとした。配向角については、各測定点の遅相軸の角度の最大値と最小値の差を示した。
幅方向中央部(1点)
幅方向中央から左右に、全幅×0.2だけ離れたところ(2点)
幅方向中央から左右に、全幅×0.4だけ離れたところ(2点)
(a) 1cm幅×10cm長のサンプル片を、サンプルの長手方向がそれぞれMD方向になるように2種類切り出した。
分布(%)=100×{(光弾性の最大値)−(光弾性の最小値)}/(光弾性10点の平均値)
上記(4)のサンプル(長手方向に100点、幅方向50点)の厚みを測定する。これら150点の中から最大厚み、最小厚み、平均厚みをもとめ、下記式で厚みむらを求める。
厚みむら(%)=100×(最大厚み−最小厚み)/平均厚み
(a) サンプルをMD、TD方向に5cm×25cmに裁断し、20cm間隔の孔をあける。
セルロースアシレートのアシル置換度は、Carbohydr.Res.273(1995)83−91(手塚他)に記載の方法で13C−NMRにより求めた。
サンプルフイルム300mgを溶剤30mlに溶解する。溶剤はそのサンプルフイルムを溶解するものであれば特に制限は無く、例えば、セルロースアシレート系フイルム、ポリカーボネイト系フイルムであれば酢酸メチル、ジクロロメタン、アセトン等が使用でき、シクロオレフィン系フイルムであれば、n−ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等が使用できる。
カラム:DB−WAX(0.25mmφ×30m、膜厚0.25μm)
カラム温度:50℃
キャリアーガス:窒素
分析時間:15分間
サンプル注入量:1μml
ネックイン量Nin={(W0−W1)/W0}×100(%)
1−1.セルロースアセテートプロピオネート(CAP)
セルロース(広葉樹パルプ)10質量部に酢酸0.1質量部、プロピオン酸2.7質量部を噴霧した後、1時間室温で保存した。別途、無水酢酸1.2質量部、プロピオン酸無水物61質量部、硫酸0.7質量部の混合物を調整し、−10℃に冷却後に、前処理を行ったセルロースと反応容器内で混合した。
攪拌装置及び冷却装置を付けた反応容器に、セルロース(リンター)200質量部、酢酸100質量部を取り、60℃で4時間処理することによりセルロースを活性化した。酢酸161質量部、無水酢酸449質量部、酪酸742質量部、酪酸無水物1349質量部、硫酸14質量部を混合し、−20℃に冷却してから反応容器に添加した。
アシル化剤の種類、量を変えることで置換度を変え、熟成時間を変えることで重合度を変え、下記表1に記載のCAP,CAB以外のセルロースアシレートを合成した。
2−1.溶融製膜
2−1−1.ペレット化
前記セルロースアシレート100質量部、安定剤(住友化学(株)製スミライザーGP)0.1質量部、安定剤アデカスタブAO−60(旭電化工業株式会社製)0.3質量部、紫外線吸収剤アデカスタブLA−31(旭電化工業株式会社製)1.1質量部を混合した。
前記方法で調製したセルロースアシレートペレットを、露点温度−40℃の脱湿風を用いて100℃で5時間乾燥し含水率を0.01質量%以下にした。これを80℃のホッパーに投入し、180℃(入口温度)から230℃(出口温度)に調整した押出機14で溶融した。なお、これに用いたスクリューの直径は60mm、L/D=50、圧縮比4であった。押出機14から押出された溶融樹脂90はギアポンプ16で一定量計量され送り出されるが、この時ギアポンプ前の樹脂圧力が10MPaの一定圧力で制御出来るように、押出機の回転数を変更させた。
(a)縦延伸
前記溶融製膜で得たセルロースアシレートは、各フイルムの(Tg+5)℃において、0.01を超え、0.3未満の縦横比で縦延伸した。ここで、実施例と、比較例における縦延伸の条件は、表1の通りである。なお、本発明No.1〜本発明No.22の熱可塑性セルロースアシレートフイルムの比抵抗が5×108〜5×1013オーム・cmであり、Tg−10℃の温度における熱可塑性樹脂フイルムの弾性率が200MPa〜1000MPaである。
表1に示す縦及び横の延伸倍率で、Tg+10℃にて300%/分で下記倍率に延伸した。なお、予熱はTg+20℃、熱処理はTg−1℃にて、行った。得られた各延伸フイルムの特性を表1に示した。ここでいう延伸倍率は、下記式で定義される。
延伸倍率(%)=100×{(延伸後の長さ)−(延伸前の長さ)}/(延伸前の長さ)
緩和はTg−5℃、張力5kgf/mで、横延伸倍率に対して、2%程度緩和を行った。
表1中のRe、Rth、Reバラツキ、Rthバラツキ、縦すじ、表面粗さRa、欠陥数は前述の評価方法を用いて測定し、表1に記載した。本発明の縦延伸方法を用いた実施例No.1〜No.22では、比較例No.1と比較例No.2と比べ、延伸フイルム物性は良好であり、本発明の範囲に満足するものであった。
3−1.表面処理
前記横延伸したセルロースアシレートフイルムを、下記の浸漬法で鹸化を行った。なお下記塗布鹸化も実施したが浸漬鹸化と同様の結果を得た。
鹸化液として60℃に調温したNaOHの2.0モル/L水溶液を用意し、その中にセルロースアシレートフイルムを2分間浸漬した。その後、0.05モル/Lの硫酸水溶液に30秒浸漬して水洗浴を通した。
イソプロパノール80質量部に水20質量部を加え、これにKOHを1.5モル/Lとなるように溶解して60℃に調温したものを鹸化液として用いた。この鹸化液を60℃のセルロースアシレートフイルム上に10g/m2塗布し、1分間鹸化した。その後、スプレーを用いて50℃の温水を10L/m2・分で1分間吹きかけて洗浄した。
特開2001−141926号公報の実施例1に従い、2対のニップロール間に周速差を与え、長手方向に延伸し、厚み20μmの偏光層を調製した。
このようにして得た偏光層を、前記方法で鹸化処理したセルロースアシレートフイルムを用い、下記構成となるようにPVA((株)クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤とし貼り合せ偏光板を作製した。なお、下記に記載したフジタック(富士フイルム製TD80)も前記の方法で鹸化処理を行った。
偏光板A:延伸セルロースアシレート/偏光層/フジタック
偏光板B:延伸セルロースアシレート/偏光層/未延伸セルロースアシレート(偏光板Bでは両面同じ組成のセルロースアシレートを用いた)
〈表示視認性〉
このようにして得た偏光板の表示視認性の評価は、市販のVA型液晶表示装置に取り込んで評価した。市販のVA型液晶表示装置(42インチ型、直下型バックライト)の液晶セルのバックライト側偏光板、視認側偏光板、位相差フイルムを剥がし、本発明及び比較例の各フイルムを用いた作製した偏光板Aまたは偏光板Bは、それぞれ液晶セルの両面に貼合し、その際その偏光板の貼合の向きは上記作製したシクロオレフィン樹脂フイルムが貼合されている面が液晶セル側となるように、且つ、予め貼合されていた偏光板と同一方向に吸収軸が向くように行い、液晶表示装置を作製した。なお、同じ評価対象は各5セットを作製し、液晶表示画面上に縦、横10mm間隔の升目を表示し、目視で虹状の色むらや画像のゆがみの発生面積を計測し、表示部全面積に対する割合を表1に示した。本発明を実施したものは、比較例と比べ、表示むら発生率が少なく、良好な性能が得られた。
特開平11−316378号公報の実施例1の液晶層を塗布したセルロースアセテートフイルムの代わりに、本発明におけるセルロースアシレートフイルムを使用した。これを前記と同様の方法で30℃から10℃に移した時のむら(光漏れ)を計測した(全体に占めるむらの発生領域を%で示した)。本発明を実施したものはむらの発生領域がいずれも0%〜9%以下であり、良好な性能が得られた。
本発明の延伸セルロースアシレートフイルムを発明協会公開技報(公技番号2001−1745)の実施例47に従い本発明におけるセルロースアシレートフイルムを用いて低反射フイルムを作製したところ、良好な光学性能が得られた。
前記本発明の偏光板を、特開平10−48420号公報の実施例1に記載の液晶表示装置、特開平9−26572号公報の実施例1に記載のディスコティック液晶分子を含む光学的異方性層、ポリビニルアルコールを塗布した配向膜、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載の20インチVA型液晶表示装置、特開2000−154261号公報の図10〜15に記載の20インチOCB型液晶表示装置、特開2004−12731号公報の図11に記載のIPS型液晶表示装置に用いた。さらに、本発明の低反射フイルムをこれらの液晶表示装置の最表層に貼り評価を行ったところ、良好な液晶表示素子を得た。なかでも本発明のセルロースアシレートフイルムを使用したもののほうが良好であった。
1−1.飽和ノルボルネン樹脂−A
6−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレンに、重合触媒としてトリエチルアルミニウムの15%シクロヘキサン溶液10部、トリエチルアミン5部、及び四塩化チタンの20%シクロヘキサン溶液10部を添加して、シクロヘキサン中で開環重合し、得られた開環重合体をニッケル触媒で水素添加してポリマー溶液を得た。このポリマー溶液をイソプロピルアルコール中で凝固させ、乾燥し、粉末状の樹脂を得た。この樹脂の数平均分子量は40,000、水素添加率は99.8%以上であり、Tgは139℃であった。
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12.5,17.10]−3−ドデセン(特定単量体B)100質量部と、5−(4−ビフェニルカルボニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(特定単量体A)150質量部と、1−ヘキセン(分子量調節剤)18部と、トルエン750質量部とを窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒としてトリエチルアルミニウム(1.5モル/l)のトルエン溶液0.62質量部と、t−ブタノール及びメタノールで変性した六塩化タングステン(t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35モル:0.3モル:1モル)のトルエン溶液(濃度0.05モル/l)3.7質量部とを添加し、この系を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であり、得られた開環重合体について、30℃のクロロホルム中で測定した固有粘度(ηinh)は0.65dl/gであった。
特開2005−330465号公報の実施例2に記載の飽和ノルボルネン化合物(Tg127℃)である。
特表平8−507800号公報の実施例1に記載の飽和ノルボルネン化合物(Tg181℃)である。
三井化学(株)製APL6015T(Tg145℃)である。
ポリプラスチックス(株)製TOPAS6013(Tg130℃)である。
特許第3693803号公報の実施例1に記載の飽和ノルボルネン化合物(Tg140℃)である。
前記飽和ノルボルネン樹脂−A〜Gの100質量部に、安定剤アデカスタブ AO−60(旭電化工業株式会社製)1.3質量部を添加し、直径3mm長さ5mmの円柱状のペレットに成形した。これを110℃の真空乾燥機で乾燥し、含水率を0.1%以下とした後、Tg−10℃になるように調整したホッパーに投入した。
3−1.縦延伸
前記溶融製膜で得たシクロオレフィンフイルムの一部は、各フイルムのTg+5℃において、表1記載の縦横比で延伸した。
未延伸フイルムあるいは縦延伸フイルムを表1に示す延伸倍率で、Tg+10℃にて300%/分で下記倍率に延伸した。なお、予熱はTg+20℃、熱処理はTg−1℃にて行った。
横延伸後に、Tg−5℃、張力5kgf/mで、横延伸倍率に対して、2%程度緩和を行った。これらの物性を上記の方法で測定し、表1に記載した。
いずれの水準も、表面の水との接触角が60°になるように、フイルム表面にコロナ処理を行った。これを実施例1と同様に偏光層を作製し貼り合せることで下記構成の偏光板を作製した。
偏光板C:飽和ノルボルネン/偏光層/フジタック
このようにして得た偏光板を、実施例1と同様にしてVA型液晶表示装置液晶表示装置に取り付け、表示視認性を計測し表1に示した。本発明を実施したものは良好な性能が得られた。
実施例1と同様にして光学補償フイルムを作製した。本発明を実施したものは良好な性能が得られた。
実施例1と同様にして低反射フイルムを作製したところ、本発明を実施したものは良好な光学性能が得られた。
実施例1と同様にして液晶表示素子を作製した。本発明を実施したものは、良好な液晶表示素子を得た。
ラクトン環含有重合体樹脂は、国際公開第2006/025445号パンフレット記載の製造例2に従い、ペレットを作成した。得たラクトン環含有重合体樹脂ペレットの100質量部に、安定剤アデカスタブ AO−60(旭電化工業株式会社製)0.3質量部を添加し、250℃の溶融製膜温度で、本発明の実施例1と同様にして、未延伸のフイルム幅は1.5mで製膜した。得た未延伸フィルムを本発明の実施例1と同様にして、縦延伸、横延伸と緩和処理を行い、表1に記載の本発明No.26のフィルムを得た。得た延伸ラクトン環含有重合体樹脂フィルム表面をコロナ処理し、実施例1と同様に偏光層を作製し貼り合せことで下記構成の偏光板Dを作製した。また、実施例1と同様に物性を評価したところ、良好な液晶表示性能を得た。
偏光板D:延伸ラクトン環含有重合体樹脂フィルム/偏光層/フジタック
帝人化成(株)製の光学グレードのポリカーボネートペレット(商品名AD−5503)樹脂の100質量部に安定剤アデカスタブ AO−60(旭電化工業株式会社製)0.3質量部を添加し、290℃の溶融製膜温度で、本発明の実施例1と同様にして、未延伸のフイルム幅は1.5mで製膜した。得た未延伸フィルムを本発明の実施例1と同様にして、縦延伸、横延伸と緩和処理を行い、表1に記載の本発明No.27のフィルムを得た。得た延伸ポリカーボネート系樹脂フィルム表面をコロナ処理し、実施例1と同様に偏光層を作製し貼り合せことで下記構成の偏光板Eを作製した。また、実施例1と同様に物性を評価したところ、良好な液晶表示性能を得た。
なお、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、本発明と下記公報やパンフレットに開示の技術を組合わせて使用することができる。
28…第1キャスティングロール 30…縦延伸部
33…第1予熱ロール 35…第2予熱ロール
37…第1ニップロール 39…第2ニップロール
50…液晶表示装置 52、56…偏光板
68、80…光学補償フイルム 84…保護フイルム
F…熱可塑性フイルム Fa…未延伸フイルム
Fb…縦延伸フイルム Fc…横延伸フイルム
Claims (29)
- 第1ニップロールと第2ニップロールを用いて、0.01を超え、0.3未満の縦横比で熱可塑性フイルムを縦延伸する際に、
前記第1ニップロールと前記第2ニップロールの直径をRとしたとき、ニップロール間を搬送される前記熱可塑性フイルムが、いずれかのニップロールと接触する際のラップ角度が1°以上、60°以下であることを特徴とする熱可塑性フイルムの製造方法。 - 請求項1記載の熱可塑性フイルムの製造方法において、
前記第1ニップロールと前記第2ニップロールのうち、いずれかのニップロールと前記熱可塑性フイルムとの接触距離が0.01R以上、0.5R以下であることを特徴とする熱可塑性フイルムの製造方法。 - 請求項1又は2記載の熱可塑性フイルムの製造方法において、
前記第1ニップロールと前記第2ニップロール間を搬送される前記熱可塑性フイルムの水平方向とのなす角度が0.1°以上、60°以下であることを特徴とする熱可塑性フイルムの製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性フイルムの製造方法において、
前記第1ニップロールと前記第2ニップロールの直径をRとしたとき、前記第1ニップロールの配置高さと第2ニップロールの配置高さの差は、0.1R以上、10R以下にして行うことを特徴とする熱可塑性フイルムの製造方法。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性フイルムの製造方法において、
前記第1ニップロールと前記第2ニップロールのうち、最後部のニップロールの回転数に0.01%〜0.1%の変動を与えることを特徴とする熱可塑性フイルムの製造方法。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性フイルムの製造方法において、
前記縦延伸した後の前記熱可塑性フイルムの下記式で特定されるネックイン量が0.1%以上、5%以下であることを特徴とする熱可塑性フイルムの製造方法。
ネックイン量={(W0−W1)/W0}×100(%)
(式中、W0は縦延伸前の熱可塑性フイルムの幅、W1は縦延伸後の熱可塑性フイルムの幅を示す。) - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性フイルムの製造方法において、
前記第1ニップロール及び前記第2ニップロールの幅方向の温度分布(Ts−Tc)が0.1℃以上、5℃以下であることを特徴とする熱可塑性フイルムの製造方法。
(Tsは、熱可塑性フイルムの全幅の20%以内の両端平均温度、Tcは、熱可塑性フイルムの全幅の60%以内の中央部平均温度を示す。) - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性フイルムの製造方法において、
前記第1ニップロール及び前記第2ニップロールの押し込む圧力が0.5MPa以上、15MPa以下であることを特徴とする熱可塑性フイルムの製造方法。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱可塑性フイルムの製造方法において、
前記縦延伸の後に、横方向に1.0倍〜3.0倍で横延伸を行うことを特徴とする熱可塑性フイルムの製造方法。 - 請求項9記載の熱可塑性フイルムの製造方法において、
前記横延伸が予熱ゾーン、延伸ゾーン及び緩和固定ゾーンを経て行う際に、各ゾーンの温度分布が
予熱ゾーン>延伸ゾーン>熱固定ゾーン
となるように横延伸することを特徴とする熱可塑性フイルムの製造方法。 - 請求項10記載の熱可塑性フイルムの製造方法において、
熱固定後に、(ガラス転移温度Tg−20)℃以上、(Tg+20)℃以下で熱緩和処理することを特徴とする熱可塑性フイルムの製造方法。 - 請求項1〜11のいずれか1項に記載の熱可塑性フイルムの製造方法において、
前記縦延伸前の前記熱可塑性フイルムがタッチロール法により製膜されることを特徴とする熱可塑性フイルムの製造方法。 - 請求項1〜12のいずれか1項に記載の熱可塑性フイルムの製造方法において、
前記熱可塑性フイルムが、セルロースアシレートから成ることを特徴とする熱可塑性フイルムの製造方法。 - 請求項13記載の熱可塑性フイルムの製造方法において、
前記セルロースアシレートが、プロピオネート基、ブチレート基、ペンタノイル基、置換あるいは無置換の芳香族アシル基の少なくとも1種を含むことを特徴とする熱可塑性フイルムの製造方法。 - 請求項14記載の熱可塑性フイルムの製造方法において、
前記セルロースアシレートが、下記(1)及び(2)式、あるいは、(3)及び(4)式を満たすことを特徴とする熱可塑性フイルムの製造方法。
(1)式:2.5≦A+B<3.0
(2)式:0.1≦B<3.0
(式中、Aは、アセテート基の置換度を示し、Bは、プロピオネート基、ブチレート基、ペンタノイル基の置換度の総和を示す。)
(3)式:2.5≦A+C≦3.0
(4)式:0.1≦C<2
(式中、Aは、アセテート基の置換度を示し、Cは置換もしくは無置換の芳香族アシル基を示す。) - 請求項1〜12のいずれか1項に記載の熱可塑性フイルムの製造方法において、
前記熱可塑性フイルムが、シクロオレフィン系樹脂、ラクトン環含有重合体樹脂、ポリカーボネート系樹脂から成ることを特徴とする熱可塑性フイルムの製造方法。 - 第1ニップロールと第2ニップロールを有し、0.01を超え、0.3未満の縦横比で熱可塑性フイルムを縦延伸する熱可塑性フイルムの製造装置において、
前記第1ニップロールと前記第2ニップロールの直径をRとしたとき、ニップロール間を搬送される前記熱可塑性フイルムが、いずれかのニップロールと接触のラップ角度が1°以上、60°以下であることを特徴とする熱可塑性フイルムの製造装置。 - 請求項17記載の熱可塑性フイルムの製造装置において、
前記第1ニップロールと前記第2ニップロールのうち、いずれかのニップロールと前記熱可塑性フイルムとの接触距離が0.1R以上、0.75R以下であることを特徴とする熱可塑性フイルムの製造装置。 - 請求項17又は18記載の熱可塑性フイルムの製造装置において、
前記第1ニップロールと前記第2ニップロール間を搬送される前記熱可塑性フイルムの水平方向とのなす角度が0.1°以上、60°以下であることを特徴とする熱可塑性フイルムの製造装置。 - 請求項17〜19記載の熱可塑性フイルムの製造装置において、
前記第1ニップロールと前記第2ニップロールの直径をRとしたとき、前記第1ニップロールの配置高さと第2ニップロールの配置高さの差は、0.1R以上、10R以下であることを特徴とする熱可塑性フイルムの製造装置。 - 請求項17〜20のいずれか1項に記載の熱可塑性フイルムの製造装置において、
前記第1ニップロールと前記第2ニップロールのうち、最後部のニップロールの回転数に0.01%〜0.1%の変動を与える手段を有することを特徴とする熱可塑性フイルムの製造装置。 - 請求項17〜21のいずれか1項に記載の熱可塑性フイルムの製造装置において、
前記第1ニップロール及び前記第2ニップロールの幅方向の温度分布(Ts−Tc)が0.1℃以上、5℃以下に制御する手段を有することを特徴とする熱可塑性フイルムの製造装置。
(Tsは、熱可塑性フイルムの全幅の20%以内の両端平均温度、Tcは、熱可塑性フイルムの全幅の60%以内の中央部平均温度を示す。) - 請求項17〜22のいずれか1項に記載の熱可塑性フイルムの製造装置において、
前記第1ニップロール及び前記第2ニップロールの押し込む圧力が0.5MPa以上、15MPa以下であることを特徴とする熱可塑性フイルムの製造装置。 - 請求項17〜23のいずれか1項に記載の熱可塑性フイルムの製造装置において、
前記縦延伸の後に、横方向に1.0倍〜3.0倍で横延伸を行う手段を有することを特徴とする熱可塑性フイルムの製造装置。 - 請求項24記載の熱可塑性フイルムの製造装置において、
前記横延伸を行う手段は、前記熱可塑性フイルムの搬送方向に沿って順番に予熱ゾーン、延伸ゾーン及び緩和固定ゾーンが配置され、
各ゾーンの温度分布が
予熱ゾーン>延伸ゾーン>熱固定ゾーン
となるように制御されていることを特徴とする熱可塑性フイルムの製造装置。 - 請求項1〜16のいずれか1項に記載の熱可塑性フイルムの製造方法で作製され、
表面粗さ(Ra)が0.1μm以上、1.0μm以下であることを特徴とする熱可塑性フイルム。 - 請求項1〜16のいずれか1項に記載の熱可塑性フイルムの製造方法で作製され、
表面突起高さが0.5μm以上、8.0μm以下の欠陥が0.1個/m2以上、30個/m2以下であることを特徴とする熱可塑性フイルム。 - 請求項26又は27記載の前記熱可塑性フイルムを用いた偏光板、液晶表示板用光学補償フイルム、反射防止フイルム。
- 請求項26又は27記載の前記熱可塑性フイルム、請求項28記載の前記偏光板、前記液晶表示板用光学補償フイルム、前記反射防止フイルムの少なくとも1つを用いた液晶表示装置。
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