JP6432212B2 - 離型用二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
また、特許文献2に記載のフィルムは、加熱プレス後の密着力が高いため、剥離工程でフィルムが剥がれない、もしくはフィルム破れや付着などが生じ、回路作製工程での工程安定性を保つことが難しい場合がある。
本発明の課題は上記した従来技術の問題点を解消することにある。すなわち、粒子を高濃度に含有し、表面自由エネルギーの極性力成分、およびフィルムの実表面積と投影面積の比がそれぞれ適当な範囲であることにより、マット調が必要な回路形成工程において、加熱プレス前に十分な密着性を有し、かつ加熱プレス後には良好な剥離性を有する、工程適合性の高い耐熱離型フィルムとして特に適している離型用二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
無機粒子および/または有機粒子を、ポリエステルA層全体を100質量%として1質量%以上10質量%以下含有するポリエステルA層を少なくとも一方の最外層に有し、最外層のポリエステルA層側から測定した表面自由エネルギーの極性力成分が4.0mN/mより大きく9.0mN/m以下であり、単位投影面積当たりのフィルム表面積Sが1.01以上1.15以下である、離型用二軸配向ポリエステルフィルム
である。
ジオール単位(構造単位): −O−R’―O−
(ここで、R、R’は二価の有機基)
なお、トリメリット酸単位やグリセリン単位など3価以上のカルボン酸あるいはアルコール並びにそれらの誘導体が含まれる場合は、3価以上のカルボン酸あるいはアルコール単位(構造単位)についても、同様に、重縮合によって除去される部分が除かれた3価以上の有機基を意味する。
また、本発明に用いられる無機粒子および/または有機粒子は、マット調外観、引裂伝播抵抗の観点から、平均粒径が、2μm以上10μm以下であれば好ましく、3μm以上9μm以下であればさらに好ましく、4μm以上8μm以下であれば最も好ましい。なお、本発明における平均粒径とは、D=ΣDi /N(Di :粒子の円相当径、N:粒子の個数)で表される数平均径Dのことを指す。
本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムは、粒子を高濃度に含有し、表面自由エネルギーの極性力成分、およびフィルムの実表面積と投影面積の比がそれぞれ適当な範囲であることにより、マット調が必要な回路用工程フィルム用途などの耐熱離型フィルムに好適に用いることができる。
ポリエステル樹脂およびフィルムをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解し、1H−NMRおよび13C−NMRを用いて各モノマー残基成分や副生ジエチレングリコールについて含有量を定量することができる。積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体を構成する成分を採取し、評価することができる。なお、本発明のフィルムについては、フィルム製造時の混合比率から計算により、組成を算出した。
ポリマー1gを1N−KOHメタノール溶液200mlに投入して加熱還流し、ポリマーを溶解した。溶解が終了した該溶液に200mlの水を加え、ついで該液体を遠心分離器にかけて粒子を沈降させ、上澄み液を取り除いた。粒子にはさらに水を加えて洗浄、遠心分離を2回繰り返した。このようにして得られた粒子を乾燥させ、その質量を量ることで粒子の含有量を算出した。積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体を構成する成分を採取し、評価することができる。
フィルムの表面自由エネルギー中の極性力成分は、次にようにして求めた。まず、拡張Fowkes式とYoungの式から、下記式(1)を導いた。
〔拡張Fowkes式〕
γSL=γS +γL −2(γsd ・γLd )1/2 −2(γsD ・γLD )1/2 −2(γsh ・γLh )1/2
〔Youngの式〕
γS =γSL+γL cosθ
γS :固体の表面自由エネルギー
γL :液体の表面張力
γSL:固体と液体の界面の張力
θ :液体との接触角
γsd ,γLd :γS ,γL の分散力成分
γsD,γLD :γS ,γL の極性力成分
γsh ,γhL :γS ,γL の水素結合成分
(γsd ・γLd )1/2 +(γsD ・γLD )1/2 +(γsh ・γLh )1/2=γL (1+cosθ)/2 (1)
次に、表面張力の各成分が既知である4種類の液体についてフィルムとの接触角を測定し、式(1)に代入、各液体についての3元1次連立方程式を解くことでフィルムの表面自由エネルギー中の極性力成分を求めた。連立方程式の解法には数値計算ソフト“Mathematica”を用いた。また、接触角の測定には、水、エチレングリコール、ホルムアミド、ヨウ化メチレンの測定液を用い、測定機は協和界面化学(株)製接触角計CA−D型を使用した。測定は、まず積層フィルムのA層を特定し、該A層側の表面について行った。A層の特定は、(2)に記載の方法にてフィルム最表層中に含有される粒子を定量し、当該ポリエステル層全体を100質量%として1質量%以上10質量%以下含有する場合に該ポリエステル層をA層とした。フィルムの両面側ともに粒子量が請求項1に記載の含有量を満たす場合は、両面側ともA層とし測定を行った。また、本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムにおいては、フィルム両面(I面/II面)について、それぞれN=3で行い、その平均値を採用した。
菱化システム社製、非接触表面・層断面形状計測システム、VertScan2.0を用いて測定した。測定条件は下記のとおり。測定は、まず積層フィルムのA層を特定し、該A層側の表面について行った。A層の特定は、(2)に記載の方法にてフィルム最表層中に含有される粒子を定量し、当該ポリエステル層全体を100質量%として1質量%以上10質量%以下含有する場合に該ポリエステル層をA層とした。フィルムの両面側ともに粒子量が請求項1に記載の含有量を満たす場合は、両面側ともA層とし測定を行った。また、本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムにおいては、フィルム両面(I面/II面)について、それぞれN=3で行い、その平均値を採用した。
測定面積:1.252×0.939mm2
レンズ:10倍。
ポリエステルA層をクレゾール/クロロホルム(重量比7/3)に95℃で溶解し、アルカリで電位差測定して求めた。積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体を構成する成分を採取し、評価することができる。
セイコー電子工業(株)製走査型差動熱量計RDC220(DSC)を用いて、プラスチックの転移熱測定方法(JIS K7122)に準拠して、窒素雰囲気下で5mgの試料を20℃/分の速度で300℃まで昇温して5分間保持した後に、20℃/分の冷却速度で10℃まで冷却し、再度20℃/分の速度で昇温していった際に、再度の昇温において、樹脂の結晶化に伴う発熱ピークのピーク温度を融点(Tcc)とした。積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体を構成する成分を採取し、評価することができる。
本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムに、アプリケーターを用いて、ハードコート層(共栄社化学製UF−TCI−1)を乾燥後厚み40μmとなるように塗工し、80℃で10分間乾燥した。該サンプルを幅10mm、長さ150mmの矩形に切り出し、該HC層間で強制的に剥離し、引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いて、初期引張チャック間距離100mm、引張速度を20mm/分として、下記の基準にて180°剥離密着試験を行った。なお、測定はN=3で行った。
A:本発明のポリエステルフィルム/ハードコート層間で剥離できない。
B:本発明のポリエステルフィルム/ハードコート層の剥離強度が1N/10mmより高い。
C:本発明のポリエステルフィルム/ハードコート層の剥離強度が1N/10mm以下。
(7−2)耐熱離型性
本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムに、アプリケーターを用いて、ハードコート層(共栄社化学製UF−TCI−1)を乾燥後厚み40μmとなるように塗工し、80℃で10分間乾燥した。その後、幅10mm、長さ150mmの矩形に切り出しサンプルとした。該積層体を用いて、上金型温度、下金型温度ともに温度160℃に加熱したプレス機を使用し、厚さ0.2mmのアルミニウム板/厚さ0.125mmのポリイミドフィルム(東レデュポン製カプトン500H/V)/離型用二軸配向ポリエステルフィルム/HC積層体/厚さ0.125mmのポリイミドフィルム(東レデュポン製カプトン500H/V)/厚さ0.2mmのアルミニウム板の構成体を1.5MPaの条件下で1時間加熱プレスを行った。加熱プレス後に、二軸配向ポリエステルフィルム/HC積層体を取り出し、2000mJ/cm2の照度の紫外線を照射し、二軸配向ポリエステルフィルムとHC層との離型性について、下記の基準で評価しB以上を合格とした。
A:10回離型テストを行い、10回ともフィルム破れ・付着が発生しなかった。
C:10回離型テストを行い、2回以上フィルム破れ・付着が発生した。
(7−2)にて得られた剥離後のHC層(剥離面)の外観を観察し、下記基準にてマット調外観の転写性を評価した。なお、60度光沢度は、JIS−Z−8741(1997年)に規定された方法に従って、スガ試験機製デジタル変角光沢度計UGV−5Dを用いて、測定を行った。測定はn=5で行い、最大値と最小値を除いた平均値を採用した。
A:60度 光沢度が15以下。
C:60度光沢度が25より大きい。
製膜に供したポリエステル樹脂は以下のように準備した。
テレフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、常法により重合を行い、固有粘度0.65のポリエステルAを得た。
上記ポリエステルAを常法により固相重合せしめ、固有粘度0.8のポリエステルBを得た。
ポリエステルA中に数平均粒子径3.5μmの凝集シリカ粒子を粒子濃度20質量%で含有した固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート粒子マスター。
テレフタル酸100重量部、1,4−ブタンジオール110重量部の混合物を窒素雰囲気下で140℃まで昇温して均一溶液とした後、オルトチタン酸テトラ−n−ブチル0.054重量部、モノヒドロキシブチルスズオキサイド0.054重量部を添加し、常法によりエステル化反応を行った。次いで、オルトチタン酸テトラ−n−ブチル0.066重量部を添加して、減圧下で重縮合反応を行い、固有粘度0.88のポリブチレンテレフタレート樹脂を得た。その後、固相重合を行い固有粘度1.20のポリブチレンテレフタレート樹脂を得た。
東レ−デュポン社製ハイトレル7247を使用した。
(ポリエステルF)
ポリエステルA中にカルナウバワックスを3.0重量%含有した、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートワックスマスター。
組成を表の通りとして、原料をそれぞれ酸素濃度0.2体積%とした別々の単軸押出機に供給し、A層押出機シリンダー温度を270℃、B層押出機シリンダー温度を270℃で溶融し、A層とB層合流後の短管温度を275℃、口金温度を280℃に設定しで、樹脂温度280℃で、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸シートを得た。次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、延伸温度85℃で長手方向に3.1倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。その後、テンター式横延伸機にて延伸前半温度110℃、延伸中盤温度130℃、延伸後半温度140℃で幅方向に3.5倍延伸し、そのままテンター内にて、230℃で熱処理を行い、幅方向に5%のリラックスを掛けながら熱処理を行い、フィルム厚み50μm(積層比は表の通り)、A層/B層/A層の3層構成の二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
組成を表のとおりに変更し、横延伸後半温度を145℃とした以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
組成を表のとおりに変更し、横延伸後半温度を145℃とした以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
横延伸中盤温度を120℃、横延伸後半温度を130℃に変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
横延伸中盤温度を115℃、横延伸後半温度を125℃に変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
横延伸後半温度を150℃に変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
単膜構成とした。組成を表の通りとして、原料を酸素濃度0.2体積%とした単軸押出機に供給し、押出機シリンダー温度を270℃で溶融し、短管温度を275℃、口金温度を280℃に設定しで、樹脂温度280℃で、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その後は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
横延伸前半温度を80℃、横延伸中盤温度を90℃、横延伸後半温度を90℃に変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
横延伸前半温度を80℃、横延伸中盤温度を90℃に変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
積層構成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
Claims (4)
- 無機粒子および/または有機粒子(染料、無機顔料、有機顔料など、着色を目的とする着色剤を含まない)を、ポリエステルA層全体を100質量%として1質量%以上10質量%以下含有するポリエステルA層を少なくとも一方の最外層に有し、最外層のポリエステルA層側から測定した表面自由エネルギーの極性力成分が4.0mN/mより大きく9.0mN/m以下であり、単位投影面積当たりのフィルム表面積Sが1.01以上1.15以下である、離型用二軸配向ポリエステルフィルム。
- 前記ポリエステルA層に、ブチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルを2重量%以上30重量%以下含む、請求項1に記載の離型用二軸配向ポリエステルフィルム。
- 前記ポリエステルA層にポリブチレンテレフタレートとポリオキシアルキレングリコールのブロック共重合体を2重量%以上30重量%以下含む、請求項1〜2のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリエステルフィルム。
- 前記ポリエステルA層のカルボキシル末端基量が30eq/t以下である請求項1〜3のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリエステルフィルム。
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