しかし、ガスコンロは調理に用いるものであるところ、上記従来の技術では燃焼動作中に乾電池の交換時期か否かを判定するものであるため、調理中に電池電圧が第二の設定値未満に低下してしまった場合、調理の途中であるにもかかわらずガスコンロの燃焼動作が停止してしまい、料理の味を著しく損ねたり、最悪の場合には調理に用いた食材を無駄にしてしまうおそれがある。
かかる問題の改善のため、本願出願人は、燃焼ガス流量を調整するためのステッピングモータを具備するガスコンロにおいて、電源投入直後、ガスコンロの燃焼動作開始前に、最大負荷であるステッピングモータを全相励磁させ、そのときの電池電圧検出値が所定電圧未満となるか否かに基づいて電池寿命を判定し、電池寿命であると判定された場合に電池交換要求報知を行うとともに燃焼動作を開始しないよう制御する電池式ガスコンロの開発を行っている。
しかしながら、ステッピングモータの全相励磁を電源投入時に毎回行うと、本来の動作ではない電池寿命確認動作のための電力消費が大きくなってしまうという問題がある。その一方、電池は開放電圧が最も大きく、出力電流が増加するにしたがって出力電圧が低下するという特性を有しているため、最大負荷を動作させない状態における開放電圧に基づいて電池寿命を判定すると、燃焼動作中に最大負荷を動作させた場合に十分な電池出力電圧が得られず、かかる電気負荷の動作に支障をきたす。
そこで、本発明は、電力消費を抑えつつ機器動作開始前に的確に電池寿命を報知し得る電池を電源とする機器を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明は、電池を電源として動作する所定の電気負荷と、該電気負荷の動作を伴う所定の機能を実行させるためにユーザーの操作を受け付ける操作部と、該操作部の操作に基づいて前記電気負荷の動作を制御するとともに前記電池を電源として動作する制御部とを備える、電池を電源とする機器において、前記制御部は、前記操作部の操作に基づく前記電気負荷の動作制御における所定動作時の前記電池の出力電圧データを記憶する出力電圧記憶部と、前記出力電圧データの記憶を行った前記電気負荷の動作制御の終了後であって次回の前記操作部の操作に基づく前記電気負荷の動作制御が開始される前に前記出力電圧記憶部に記憶された出力電圧データに基づいて<次回の前記電気負荷の動作制御中に電池寿命が到来する>か<否か>を予測する電池寿命予測部とを備えていることを特徴とするものである(請求項1)。
かかる本発明の電池を電源とする機器によれば、ステッピングモータの全相励磁や電磁弁の吸着動作など、動作時に比較的大電流を要する電気負荷の所定動作時の電池の出力電圧データを記憶しておき、電気負荷の動作制御の終了後に記憶された高負荷時出力電圧データに基づいて電池寿命予測を行うので、電気負荷の動作制御中に電池寿命と判定されて当該動作制御が積極的に中断されてしまうことがない。また、前回動作制御中の高負荷時出力電圧データを電池寿命予測に用いるので、かかる電池寿命予測のためだけに電気負荷を動作させる必要がなく、電池寿命予測動作の消費電力を低減して、電池寿命の長寿命化を図ることができる。
上記本発明の電池を電源とする機器において、前記制御部は、前記制御部は、自らへの電源供給の保持動作を行うとともに該保持動作の中止により自らへの電源供給を遮断する自己電源保持手段を備え、前記電池寿命予測部は、前記出力電圧データの記憶を行った前記電気負荷の動作制御の終了後、前記自己電源保持手段によって前記制御部への電源供給を遮断する前に、前記電池寿命予測を行うように構成されているものとすることができる。これによれば、電源供給の遮断前に電池寿命予測を行うので、例えば電池式ガスコンロに適用した場合には調理終了直後に電池寿命予測を行って、該予測結果に基づく報知などを行わせることができ、これにより、次回使用するまでの間に交換用電池を入手しておくことを事前にユーザーに促すことができる。
また、前記電池寿命予測部は、前記出力電圧データの記憶を行った前記電気負荷の動作制御の終了後に一旦前記制御部への電源供給が遮断され、その後前記制御部への電源供給が再開されて前記制御部が再起動したときに前記電池寿命予測を行うように構成されていてもよい(請求項1)。これによれば、電気負荷の動作制御の開始直前に、前回の動作制御時の出力電圧データに基づいて電池寿命予測を行うので、電源遮断中に生じた種々の要因、例えば電池交換など、に応じて電池寿命予測を行うか否かなど、種々の例外を設けることができる。
さらに、前記制御部は、<前記制御部への電源供給の遮断から前記制御部の再起動までの間に前記電池が交換された>か<否か>を前記制御部の再起動時に判定する電池交換判定部をさらに備え、前記電池寿命予測部は、電池交換されたと判定すると前記出力電圧データに基づく前記電池寿命予測を行わないよう構成できる(請求項1)。これによれば、電池交換判定部によって電池交換がされたと判定された場合に、電池寿命予測部は出力電圧データに基づく電池寿命予測を行わずに、例えば制御部の再起動時に電気負荷を動作させて電池の開放電圧からのドロップ電圧を測定し、該ドロップ電圧の大きさに基づく電池寿命判定を行わせたり、また、電池の開放電圧がほぼ公称電圧であるなど十分大きい場合には電池寿命判定に関する一切の処理を行わずに通常の動作制御を開始させることができる。
また、前記所定動作は、前記電気負荷の動作制御中に所定値以上の電流を必要とする動作であってよい。これによれば、電池電圧を高負荷の動作によってドロップさせることで、電池寿命予測の精度を一層向上できる。なお、このような動作としては、例えばガスコンロにおける元電磁弁の吸着動作や、ガス流量制御弁の開度を調節するためのステッピングモータの全相励磁動作などを挙げることができ、その他適宜の動作であってよい。
また、前記電池寿命予測部は、前記出力電圧記憶部に記憶された出力電圧データが所定電圧未満である場合に<次回の前記電気負荷の動作制御中に電池寿命が到来する>と予測するものであってよい(請求項2)。これによれば、所定電圧として、電気負荷の動作制御中における最大消費電流若しくはこれに近い消費電流時の電池電圧を設定しておくことにより、電池寿命予測を的確に行うことが可能になる。
また、前記電池寿命予測部は、<次回の前記電気負荷の動作制御中に電池寿命が到来する>と予測すると、電池寿命である旨を報知するよう構成されていることが好ましい(請求項3)。これによれば、電池寿命である旨をユーザーに報知することで、ユーザーに対して電池交換を促すことができる。なお、電池寿命である旨を報知した場合は、次回の電気負荷の動作制御を開始しないよう制御構成しておくことが好ましく、これによれば、次回の電気負荷の動作制御中に電池寿命が到来して中途半端な動作状態で停止してしまうことを防止できる。
上記本発明の電池を電源とする機器は、電池式ガスコンロとして好適に実施できる(請求項4)。これによれば、電池式ガスコンロの電池寿命予測を可能な限り低消費電力で行うことができる。
以上、説明したように、本発明に係る電池を電源とする機器によれば、ステッピングモータの全相励磁や電磁弁の吸着動作など、動作時に比較的大電流を要する電気負荷の所定動作時の電池の出力電圧データを記憶しておき、電気負荷の動作制御の終了後に記憶された高負荷時出力電圧データに基づいて電池寿命予測を行うので、電気負荷の動作制御中に電池寿命と判定されて当該動作制御が積極的に中断されてしまうことがない。また、前回動作制御中の高負荷時出力電圧データを電池寿命予測に用いるので、かかる電池寿命予測のためだけに電気負荷を動作させる必要がなく、電池寿命予測動作の消費電力を低減して、電池寿命の長寿命化を図ることができる。さらに、電気負荷の動作制御の開始直前に、前回の動作制御時の出力電圧データに基づいて電池寿命予測を行うので、電源遮断中に生じた種々の要因、例えば電池交換など、に応じて電池寿命予測を行うか否かなど、種々の例外を設けることができる。また、電池交換判定部によって電池交換がされたと判定された場合に、電池寿命予測部は出力電圧データに基づく電池寿命予測を行わずに、例えば制御部の再起動時に電気負荷を動作させて電池の開放電圧からのドロップ電圧を測定し、該ドロップ電圧の大きさに基づく電池寿命判定を行わせたり、また、電池の開放電圧がほぼ公称電圧であるなど十分大きい場合には電池寿命判定に関する一切の処理を行わずに通常の動作制御を開始させることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電池式ガスコンロ(電池を電源とする機器)の回路図であって、本発明に関連する主要回路部分の概略回路図である。ガスコンロの基本構成は従来公知の適宜のものであってよく、例えば、特開2012−7808号公報に開示されたガスコンロと同様の構成とすることができる。
まず、ガスコンロの基本構成について上記公報の図1〜図3に示された符号を引用しつつ説明すると、ガスコンロ(1)は、上方に開口する箱状をした筐体(10)と、筐体(10)の上方への開口を閉塞しガスコンロ(1)の天面部となるガラス製のトッププレート(11)と、で外殻が構成される。
トッププレート(11)にはコンロバーナ(25)を備えた加熱部(2)が複数設けられており、加熱部(2)として、標準バーナ(2a)、小バーナ(2b)、高火力バーナ(2c)の計三個のコンロバーナ(25)を設けている。
ガスコンロ(1)内にはグリルバーナを備えたグリル庫が設けてあり、グリル庫の前開口は、ガスコンロ(1)の前面に設けたグリル扉(12)によって開閉自在に閉塞される。
また、各加熱部(2)には、被加熱物検知手段(22)が設けてある。被加熱物検知手段(22)は、五徳(21)に被加熱物が載置された状態にあるか否か、即ち、各コンロバーナ(25)上に被加熱物が配置された状態にあるか否かを検知するものである。
ガスコンロ(1)の前面部を構成する前面パネル(13)には、各加熱部(2)を操作するためのつまみダイヤル装置からなる操作部(14)がそれぞれ設けてある。
各操作部(14)は手動で操作されて対応するコンロバーナ(25)の点火及び消火の切り替えや火力調節を指令するものであり、これを受けて制御部が各コンロバーナ(25)の点消火の切り替えや火力調節を行う火力設定手段(流量制御部材の目標位置設定手段)として機能する。火力調節は、消火・小火力・中火力・大火力のように複数段階で調節するものであってもよいし、また、消火から大火力まで10数段階〜数十段階で調節可能にすることもできるし、また、立消え防止のために消火から小火力までの間の火力は設定できないようにして小火力から大火力まで10数段階〜数十段階で調節可能にすることもできる。なお、操作部(14)は、回転操作量に応じた数のパルスを制御部に出力するロータリーエンコーダによって構成することもできるし、また、ロータリーポテンショメータによって構成することもできるし、また、タッチパネルによって操作部(14)を構成してタッチ操作によって制御部内に記憶された火力設定値を増減するように構成することも可能である。
前面パネル(13)の各操作部(14)の下側には対応するコンロバーナ(25)の調理の設定を指令するための設定手段を構成する設定入力パネル(15)が設けてあり、この設定入力パネル(15)を操作することで、コンロバーナ(25)毎に、調理タイマーモード、湯沸しモード、炊飯モード等の自動調理モードを設定できるようになっている。
また、前面パネル(13)に向かって左側の部位には、グリルバーナの点火及び消火の切り替えや火力調整を指令するための設定入力パネル(16)が設けてある。
上記設定入力パネル(15)(16)によるモード設定なしの状態で調理を行う場合、前面に設けた電源スイッチ(17)を操作することにより電源を投入した後、操作部(14)を押し操作して制御部に点火の指令を送る。この指令を受けると制御部はガス供給路(26)の元ガス電磁弁(27)を開き、且つ任意のコンロバーナ(25)又はグリルバーナに対応する流量制御弁(3)を所定開度で開くと共に点火プラグ(24)をスパークさせ、コンロバーナ(25)又はグリルバーナを点火する。これにより、コンロバーナ(25)の炎により対応する五徳(21)上に載置した被加熱物を加熱したり、グリルバーナの炎によりグリル庫内の肉や魚を焼くことができる。
また、ガス機器には、マイクロコンピュータにより主構成される制御部が設けられる。制御部には、各バーナ(25)に設けてある燃焼検出手段としての熱電対(23)の起電力が入力され、制御部は入力された起電力が所定値(例えば3.5mV)以上になったときに、設定入力パネル(15)(16)又は/及びトッププレート(11)に設けてある表示部に備える燃焼ランプ(それぞれのバーナに対応する燃焼ランプ)を点灯させる。
各コンロバーナ(25)及びグリルバーナには、燃料を供給するための燃料通路が接続され、この燃料通路として、都市ガス等の燃料ガスを供給するガス供給路(26)からそれぞれ分岐する分岐路(26a)が接続されている。
また、各分岐路(26a)を通過する燃料の量を制御すると共に各分岐路(26a)における燃料の通過を阻止する閉止機能を有する流量制御弁(3)と、前記流量制御弁(3)を駆動するステッピングモータ(30)が各分岐路(26a)毎にそれぞれ設けられ、弁体として機能する流量制御部材(34)の開度位置の微調整がステッピングモータ(30)によって行われる。また、流量制御部材(34)の開度位置を検出するポテンショメータ(4)が設けられる。更に、燃料通路における燃料の通過を阻止する閉止機能を有する開閉弁としての元ガス電磁弁(27)が設けられる。このように、燃料通路における燃料の通過を阻止する閉止機能を有する弁装置として、上記流量制御弁(3)と元ガス電磁弁(27)とが直列に設けられ、元ガス電磁弁(27)は流量制御弁(3)よりもガス流路の上流側に設けられる。
元ガス電磁弁(27)と、流量制御弁(3)を駆動するステッピングモータ(30)とは、制御部により制御が行われ、ポテンショメータ(4)における検出電圧は制御部に出力されて処理される。また、流量制御弁(3)は、対応するコンロバーナ(25)が使用されない時には、流量を零にして遮断状態となるように閉止される。
上記ステッピングモータ(30)としては2相乃至5相のものを好適に用いることができ、流量制御弁(3)を閉止させる際には、制御部によってステッピングモータ(30)を全相励磁することにより大きなトルクを生じさせ、これにより確実に閉弁動作を行わせるように構成できる。
上記構成のガスコンロにおいては、電池の電気負荷となる電気駆動部品として、流量制御弁(3)のステッピングモータ(30)、元ガス電磁弁(27)、点火プラグ(24)及び表示部が備えられている。これらの中で大きな電流消費を伴う電気負荷とその動作モードの一つは、全相励磁されたステッピングモータ(30)であり、さらに別の一つは、閉止状態から開弁させるために吸着動作する元ガス電磁弁(27)である。元ガス電磁弁(27)は、吸着動作時には数百ミリA程度の大電流を吸着電流として消費するが、開弁した状態での保持電流は数ミリA〜十数ミリAと非常に小さな消費電流で動作する。
次に、本実施形態の電池式ガスコンロの制御構成について詳細に説明する。
図1に示すように、制御部は、制御基板上に設けられたマイクロプロセッサ100によって主構成されており、該マイクロプロセッサ100並びに上記電気駆動部品は、筐体に設けられた電池収容部に収容された2つの乾電池101を電源として動作する。電池101からマイクロプロセッサ100及び電気駆動部品へ電池101の出力電圧(以下「電池電圧」という。)を供給する電源供給ラインは、単純なオン/オフスイッチからなる電源スイッチを用いて導通/遮断の切り替えを行うこともできるが、本実施形態では、電源供給ラインの途中に自己電源保持回路102(自己電源保持手段)を設け、マイクロプロセッサ100が自らへの電源供給の保持動作を行うとともに該保持動作の中止により自らへの電源供給を遮断制御できるように構成している。
自己電源保持回路102は、電源供給ラインの途中に設けられたpチャンネル型FETからなるスイッチング素子Q1を備えている。該スイッチング素子Q1のゲートは、プルアップ抵抗R1を介して電池101の正極に接続されているとともに、並列に設けられた2つのnpn型トランジスタからなるスイッチング素子Q2,Q3を介してグラウンドに接続されている。各スイッチング素子Q2,Q3のベースはそれぞれプルダウン抵抗R2,R3を介してグラウンドに接地されている。また、一方のスイッチング素子Q2のベースは、マイクロプロセッサ100の自己保持出力ポートに接続されており、マイクロプロセッサ1から自己保持信号電圧がスイッチング素子Q2に出力されている間、スイッチング素子Q2がオンしてスイッチング素子Q1のゲートがグラウンドに接地され、これによりスイッチング素子Q1がオンして電源電圧がマイクロプロセッサ100に供給される。また、もう一つのスイッチング素子Q3のベースは、電源スイッチSWを介して電池101の正極に接続されており、電源スイッチSWが操作されて導通するとスイッチング素子Q3がオンしてスイッチング素子Q1のゲートがグラウンドに接地され、これによってもスイッチング素子Q1がオンして電源電圧がマイクロプロセッサ1に供給される。マイクロプロセッサ1は、電源スイッチSWにより電源電圧が供給されることにより起動し、起動直後から上記自己保持信号を出力する(該自己保持信号の出力が保持動作となる。)ことにより自らへの電源供給を維持し、所定の電源断条件を満たすことにより自己保持信号の出力を停止することで自動的に電源断状態となるよう構成されている。
なお、図1においては、電池電圧をスイッチング素子Q1を介して直接電源電圧としてマイクロプロセッサ100に供給しているが、スイッチング素子Q1に直列に電流制限抵抗を設けることで降圧してマイクロプロセッサ100に供給してもよいし、また、電池101とマイクロプロセッサ100との間にDC/DCコンバータを設けて、該コンバータの出力電圧を電源電圧としてマイクロプロセッサ100に供給することもできる。また、電池電圧を直接電源電圧としてマイクロプロセッサ100に供給するとともに、電池電圧監視信号入力ポートなどのアナログ信号入力ポートからの入力信号の基準電圧用に、上記コンバータが出力する定電圧をマイクロプロセッサ100の基準電圧信号入力ポートに入力させることもできる。
また、電池101の正極には、電池電圧監視回路103が接続されており、該電池電圧監視回路103が出力する電池電圧監視信号がマイクロプロセッサ100の電池電圧監視信号入力ポートに入力されている。マイクロプロセッサ100は、起動中、電池電圧監視信号入力ポートに入力された電池電圧監視信号に基づいて電池電圧を検出可能に構成されており、而して、電池電圧監視回路103並びにマイクロプロセッサ100によって電池電圧検出手段が構成されている。
また、制御基板上には、上記ステッピングモータ30を駆動するための駆動回路104が設けられており、自己電源保持回路102が出力する電源電圧は、駆動回路104にも供給されている。駆動回路104は、マイクロプロセッサ100が出力する制御信号に基づいてステッピングモータ30に駆動電圧を供給する。なお、図1においては一つのステッピングモータ30のみを図示しているが、各ステッピングモータ毎に駆動回路を設けることができる。
ステッピングモータ30を動作させるための操作部14、即ち、対応するコンロバーナ(25)の点火・消火並びに火力調節などの機能を実行させるためにユーザーの操作を受け付ける操作部14の操作量は、マイクロプロセッサ100と通信可能に接続された操作基板105によって検出され、マイクロプロセッサ100は、通常制御中、操作部14の操作に基づいてステッピングモータ30の動作を制御するよう構成されている。
また、マイクロプロセッサ100にはEEPROMなどの不揮発性記憶手段106が内部メモリ乃至外部メモリの形態で備えられており、電源を遮断した状態でも不揮発性記憶手段に記憶したデータを記憶保持できるようになっている。
図2は、マイクロプロセッサ100への電源が投入されてから遮断されるまでの制御フローを示しており、図中、ステップS1〜S9は起動時の電池寿命予測工程を示し、これらステップS1〜S9を実行するマイクロプロセッサ100によって起動時に電池寿命予測を行う電池寿命予測部が構成され、また、ステップS11は電源遮断前の電池寿命予測工程を示しており、該ステップS11を実行するマイクロプロセッサ100によって電源遮断前に電池寿命予測を行う電池寿命予測部が構成されている。
起動時の電池寿命予測は、前回の電源遮断処理に依存するものであるため、まず、ステップS10に示す通常制御、並びに、ステップS12に示す電源遮断処理について説明する。
マイクロプロセッサ100は、通常制御を開始すると、操作部の操作を監視するとともに、いずれかの操作部が操作されると、該操作に対応する調理機能を実行するように対応する上記電気駆動部品の動作制御を開始する。特に本実施形態では、各コンロバーナ(25)点火・消火並びに火力調節などの機能を実行させる操作部14の操作を受け付けると、まず、元ガス電磁弁(27)を開弁させるとともに、ステッピングモータ30を駆動させて流量制御弁(3)を指示された開度まで開いて点火プラグ(24)をスパークさせることにより点火する。これら元ガス電磁弁(27)及び流量制御弁(3)が開いている間はガス漏れ検出制御等を行う必要があるため元ガス電磁弁(27)及びステッピングモータ30の動作制御は継続しており、ユーザーによる消火操作、或いは自動調理モードによる消火動作制御によって元ガス電磁弁(27)及び流量制御弁(3)がいずれも閉弁されるとこれら元ガス電磁弁(27)及びステッピングモータ30の動作制御が終了する。かかる消火動作制御時に、ステッピングモータ30の全相励磁による流量制御弁(3)の押し込み動作が行われるが、本実施形態では、この消火動作制御におけるステッピングモータ30の全相励磁時の電池101の出力電圧Aを検出して、該出力電圧データをEEPROM106に記憶保持するよう構成している。
通常制御実行中に、調理動作中ではなく且つ所定時間以上いずれの操作部も操作されていないなどの所定の電源断条件を満たすと、マイクロプロセッサ100は通常制御を終了して電源遮断処理(ステップS12)を実行する。但し、本実施形態では、電源遮断処理の実行前に、上記ステップS11において記憶された出力電圧Aが所定の電池寿命判定閾値α(例えば2.0V)よりも小さいか否かを判定し、記憶された出力電圧Aが閾値α以上であれば電源遮断処理に移行するが、記憶された出力電圧Aが閾値α未満であれば、次回の操作部14の操作に基づくステッピングモータ30の動作制御中に電池寿命が到来すると予測して、ステップ13に示す電池寿命報知処理に移行するよう構成されている。この電池寿命報知処理は、適宜の報知処理内容とすることができるが、例えばブザー音や表示部への表示などによって電池寿命である旨の報知を行うことができる。また、電池寿命報知処理に移行した場合は、異常終了させて、電池交換がなされるまで通常制御が実行されることがないようにしている。
電源遮断処理においては、電池101の開放電圧γを測定して該開放電圧データをもEEPROM106に記憶保持して、自己電源保持回路102への自己保持信号の出力を停止することによって電源供給を遮断する。
その後、再度電源投入によりマイクロプロセッサ100が起動すると、通常制御を開始する前にまずステップS1〜ステップS9に示す電池寿命判定処理が実行される。ステップS1では電池の開放電圧βが測定され、該開放電圧βが3.0V以上であれば(ステップS2)、電池101が新品状態であるものと判断してEEPROM106に記憶されている出力電圧データAを破棄し(ステップS3)、ステップS10の通常制御に移行する。
一方、開放電圧βが3.0V未満かつ前回の電源遮断処理時の電池開放電圧γ+自然充電による電位増加量Cよりも大きい場合(ステップS4)は、電池101が新品以外の使用済み品に交換されたと判断してEEPROM106に記憶されている出力電圧データAを破棄する(ステップS5)とともに、ステッピングモータ30を全相励磁させて、該全相励磁時の電池の出力電圧Bを測定する(ステップS6)。そして、この出力電圧Bが電池寿命判定閾値αよりも小さければ(ステップS7)電池寿命であると判定してステップS13の電池寿命報知処理に移行し、出力電圧Bが閾値α以上であれば電池寿命ではないと判断してステップS10の通常制御へ移行する。
上記のステップS1〜S4を実行するマイクロプロセッサ100によって、「マイクロプロセッサ100への電源供給の遮断からマイクロプロセッサ100の再起動までの間に電池101が交換された」か「否か」をマイクロプロセッサ100の再起動時に判定する電池交換判定部が構成されている。
また、開放電圧βがγ+C以下の電圧であれば(ステップS4)、電池101が交換されていないと判断して、前回の消火時におけるステッピングモータ30全相励磁時の電池出力電圧データAをEEPROM106から読み込み(ステップS8)、該出力電圧データAが電池寿命判定閾値α未満であれば次のステッピングモータ30の動作制御中に電池寿命が到来するものと予測して、ステップS13の電池寿命報知処理に移行する。一方、出力電圧データAが閾値α以上であれば、電池寿命が到来しないものと予測して、ステップS10の通常制御に移行する。上記ステップS8及びステップS9を実行するマイクロプロセッサ100によって、出力電圧データAの記憶を行ったステッピングモータ30の動作制御の終了後であって次回の操作部14の操作に基づくステッピングモータ30の動作制御が開始される前にEEPROM106に記憶された出力電圧データAに基づいて<次回のステッピングモータ30の動作制御中に電池寿命が到来する>か<否か>を予測する電池寿命予測部が構成されている。
なお、上記電位増加量Cは、電池は使用していないと充電されて電位が復帰するという特徴を有しており、この復帰量は電位の値に対してある程度決まっていることから、該電位増加量Cを考慮することにより電池が交換されたか否かの判定をより的確に行うための補正量である。
本実施形態の電池式ガスコンロによれば、電源投入時の起動処理において電池101が交換されたか否かを判定して、電池101の開放電圧βが公称電圧3.0V以上であるときはすぐに通常制御へ移行することによって起動処理中の電池の消耗を低減できる。また、使い古しの電池に交換されたと判定された場合には、上記出力電圧データAに基づく電池寿命予測は行わず、代わりに、今回の起動時のみステッピングモータ30を全相励磁させて、このときの電池電圧Bが閾値α未満に降下するか否かに基づいて電池寿命判定を行うので、使い古しの電池に交換された場合にも的確に電池寿命判定を行うことができる。
また、電池が交換されていないと判定されたときは、前回の電源遮断前の最後の消火動作時におけるステッピングモータ30の全相励磁時の電池の出力電圧Aに基づいて電池寿命予測を行うので、起動処理時に大電流を消費することなく的確に電池寿命予測を行うことができる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜設計変更できる。
例えば、上記実施形態ではステッピングモータ30の全相励磁時の電池電圧に基づいて電池寿命の予測・判定を行ったが、元ガス電磁弁の吸着動作中の電池電圧に基づいて電池寿命の予測・判定を行わせることも可能である。