以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電池式ガスコンロ(電池式燃焼機器)の制御回路の概略回路図であって、本発明に関連する主要回路部分を示している。ガスコンロの基本構成は従来公知の適宜のものであってよく、例えば、特開2012−7808号公報に開示されたガスコンロと同様の構成とすることができる。
まず、ガスコンロの基本構成について上記公報の図1〜図3に示された符号を引用しつつ説明すると、ガスコンロ(1)は、上方に開口する箱状をした筐体(10)と、筐体(10)の上方への開口を閉塞しガスコンロ(1)の天面部となるガラス製のトッププレート(11)と、で外殻が構成される。
トッププレート(11)にはコンロバーナ(25)を備えた加熱部(2)が複数設けられており、加熱部(2)として、標準バーナ(2a)、小バーナ(2b)、高火力バーナ(2c)の計三個のコンロバーナ(25)を設けている。
ガスコンロ(1)内にはグリルバーナを備えたグリル庫が設けてあり、グリル庫の前開口は、ガスコンロ(1)の前面に設けたグリル扉(12)によって開閉自在に閉塞される。
また、各加熱部(2)には、被加熱物検知手段(22)が設けてある。被加熱物検知手段(22)は、五徳(21)に被加熱物が載置された状態にあるか否か、即ち、各コンロバーナ(25)上に被加熱物が配置された状態にあるか否かを検知するものである。
ガスコンロ(1)の前面部を構成する前面パネル(13)には、各加熱部(2)を操作するためのつまみダイヤル装置からなる操作部(14)がそれぞれ設けてある。
各操作部(14)は手動で操作されて対応するコンロバーナ(25)の点火及び消火の切り替えや火力調節を指令するものであり、これを受けて制御部が各コンロバーナ(25)の点消火の切り替えや火力調節を行う火力設定手段(流量制御部材の目標位置設定手段)として機能する。火力調節は、消火・小火力・中火力・大火力のように複数段階で調節するものであってもよいし、また、消火から大火力まで10数段階〜数十段階で調節可能にすることもできるし、また、立消え防止のために消火から小火力までの間の火力は設定できないようにして小火力から大火力まで10数段階〜数十段階で調節可能にすることもできる。なお、操作部(14)は、回転操作量に応じた数のパルスを制御部に出力するロータリーエンコーダによって構成することもできるし、また、ロータリーポテンショメータによって構成することもできるし、また、タッチパネルによって操作部(14)を構成してタッチ操作によって制御部内に記憶された火力設定値を増減するように構成することも可能である。
前面パネル(13)の各操作部(14)の下側には対応するコンロバーナ(25)の調理の設定を指令するための設定手段を構成する設定入力パネル(15)が設けてあり、この設定入力パネル(15)を操作することで、コンロバーナ(25)毎に、調理タイマーモード、湯沸しモード、炊飯モード等の自動調理モードを設定できるようになっている。
また、前面パネル(13)に向かって左側の部位には、グリルバーナの点火及び消火の切り替えや火力調整を指令するための設定入力パネル(16)が設けてある。
上記設定入力パネル(15)(16)によるモード設定なしの状態で調理を行う場合、前面に設けた電源スイッチ(17)を操作することにより電源を投入した後、操作部(14)を押し操作して制御部に点火の指令を送る。この指令を受けると制御部はガス供給路(26)の元ガス電磁弁(27)を開き、且つ任意のコンロバーナ(25)又はグリルバーナに対応する流量制御弁(3)を所定開度で開くと共に点火プラグ(24)をスパークさせ、コンロバーナ(25)又はグリルバーナを点火する。これにより、コンロバーナ(25)の炎により対応する五徳(21)上に載置した被加熱物を加熱したり、グリルバーナの炎によりグリル庫内の肉や魚を焼くことができる。
また、ガス機器には、マイクロコンピュータにより主構成される制御部が設けられる。制御部には、各バーナ(25)に設けてある燃焼検出手段としての熱電対(23)の起電力が入力され、制御部は入力された起電力が所定値(例えば3.5mV)以上になったときに、設定入力パネル(15)(16)又は/及びトッププレート(11)に設けてある表示部に備える燃焼ランプ(それぞれのバーナに対応する燃焼ランプ)を点灯させる。
各コンロバーナ(25)及びグリルバーナには、燃料を供給するための燃料通路が接続され、この燃料通路として、都市ガス等の燃料ガスを供給するガス供給路(26)からそれぞれ分岐する分岐路(26a)が接続されている。
また、各分岐路(26a)を通過する燃料の量を制御すると共に各分岐路(26a)における燃料の通過を阻止する閉止機能を有する流量制御弁(3)と、前記流量制御弁(3)を駆動するステッピングモータ(30)が各分岐路(26a)毎にそれぞれ設けられ、弁体として機能する流量制御部材(34)の開度位置の微調整がステッピングモータ(30)によって行われる。また、流量制御部材(34)の開度位置を検出するポテンショメータ(4)が設けられる。更に、燃料通路における燃料の通過を阻止する閉止機能を有する開閉弁としての元ガス電磁弁(27)が設けられる。このように、燃料通路における燃料の通過を阻止する閉止機能を有する弁装置として、上記流量制御弁(3)と元ガス電磁弁(27)とが直列に設けられ、元ガス電磁弁(27)は流量制御弁(3)よりもガス流路の上流側に設けられる。
元ガス電磁弁(27)と、流量制御弁(3)を駆動するステッピングモータ(30)とは、制御部により動作制御が行われ、ポテンショメータ(4)における検出電圧は制御部に出力されて処理される。また、流量制御弁(3)は、対応するコンロバーナ(25)が使用されない時には、流量を零にして遮断状態となるように閉止される。
上記ステッピングモータ(30)としては2相乃至5相のものを好適に用いることができ、流量制御弁(3)を閉止させる際には、制御部によってステッピングモータ(30)を全相励磁することにより大きなトルクを生じさせ、これにより確実に閉弁動作を行わせるように構成できる。
上記構成のガスコンロにおいては、電気負荷となる電気駆動部品として、流量制御弁(3)のステッピングモータ(30)、元ガス電磁弁(27)、点火プラグ(24)及び表示部が備えられている。これら電気負荷並びに制御部の電源としては、2本の乾電池を直列に接続してなる3V電源が用いられる。ガスコンロの筐体(10)には、蓋付きの電池収容部(図示せず)が設けられ、この電池収容部に2本の乾電池を直列接続状態で収容可能に構成されている。以下、直列接続状態の2本の乾電池を単に「電池」という。
次に、本実施形態の電池式ガスコンロの制御構成について詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るガスコンロの制御回路は、制御基板上に設けられたマイクロプロセッサ100(制御部)によって主構成されている。電池101からマイクロプロセッサ100及び電気駆動部品へ電池101の出力電圧(以下「電池電圧」という。)を供給する電源供給ラインは、単純なオン/オフスイッチからなる電源スイッチを用いて導通/遮断の切り替えを行うこともできるが、本実施形態では、電源供給ラインの途中に自己電源保持回路102を設け、マイクロプロセッサ100が自らへの電源供給を遮断制御できるように構成している。
自己電源保持回路102は、電源供給ラインの途中に設けられたpチャンネル型FETからなるスイッチング素子Q1を備えている。該スイッチング素子Q1のゲートは、プルアップ抵抗R1を介して電池101の正極に接続されているとともに、並列に設けられた2つのnpn型トランジスタからなるスイッチング素子Q2,Q3を介してグラウンドに接続されている。各スイッチング素子Q2,Q3のベースはそれぞれプルダウン抵抗R2,R3を介してグラウンドに接地されている。また、一方のスイッチング素子Q2のベースは、マイクロプロセッサ100の自己保持出力ポートに接続されており、マイクロプロセッサ100から自己保持信号電圧がスイッチング素子Q2に出力されている間、スイッチング素子Q2がオンしてスイッチング素子Q1のゲートがグラウンドに接地され、これによりスイッチング素子Q1がオンして電源電圧がマイクロプロセッサ100に供給される。また、もう一つのスイッチング素子Q3のベースは、電源スイッチSWを介して電池101の正極に接続されており、電源スイッチSWが操作されて導通するとスイッチング素子Q3がオンしてスイッチング素子Q1のゲートがグラウンドに接地され、これによってもスイッチング素子Q1がオンして電源電圧がマイクロプロセッサ100の電源ポートVccに供給される。マイクロプロセッサ100は、電源スイッチSWにより電源電圧が供給されることにより起動し、起動直後から上記自己保持信号を出力することにより自らへの電源供給を維持し、所定の電源断条件を満たすことにより自己保持信号の出力を停止することで自動的に電源断状態となるよう構成されている。
なお、図1においては、電池電圧をスイッチング素子Q1を介して直接電源電圧としてマイクロプロセッサ100に供給しているが、スイッチング素子Q1に直列に電流制限抵抗を設けることで降圧してマイクロプロセッサ100に供給してもよい。また、電池電圧に基づいて所定の出力電圧を生成するレギュレータを設け、該レギュレータの出力電圧をマイクロプロセッサ100の電源電圧とすることもできる。
また、電池101の正極には、電池電圧監視回路103が接続されており、該電池電圧監視回路103が出力する電池電圧監視信号がマイクロプロセッサ100の電池電圧監視信号入力ポートに入力されている。マイクロプロセッサ100は、起動中、電池電圧監視信号入力ポートに入力された電池電圧監視信号に基づいて2つの乾電池の合成電圧値である電源電圧値を検出可能に構成されており、而して、電池電圧監視回路103並びにマイクロプロセッサ100によって電源電圧検出手段が構成されている。なお、電池電圧を直接電源電圧としてマイクロプロセッサ100に供給する場合には、電池電圧監視回路103はレギュレータにより構成することができ、所定の基準電圧(例えば1.5V)を電池電圧監視信号としてマイクロプロセッサ100に供給することで、当該基準電圧と電源ポートVccから入力する電源電圧との比較によって電池電圧を検出できる。一方、レギュレータを介して所定電圧の電源電圧を電源ポートVccに供給する場合には、電池電圧監視回路103は複数の抵抗器などからなる分圧回路によって構成でき、電池電圧に比例する電圧値を電池電圧監視信号としてマイクロプロセッサ100の電池電圧監視信号入力ポートに供給して、該電池電圧監視信号と電源ポートVccから入力する電源電圧との比較により電源電圧を検出できる。
また、制御基板上には、上記ステッピングモータ30を駆動するための駆動回路104が設けられており、自己電源保持回路102が出力する電源電圧は、駆動回路104にも供給されている。駆動回路104は、マイクロプロセッサ100が出力する制御信号に基づいてステッピングモータ30に駆動電圧を供給する。なお、図1においては一つのステッピングモータ30のみを図示しているが、各ステッピングモータ毎に駆動回路を設けることができる。
ステッピングモータ30を動作させるための操作部14、即ち、対応するコンロバーナ(25)の点火・消火並びに火力調節を行うための操作部14の操作量は、マイクロプロセッサ100と通信可能に接続された操作基板105によって検出され、マイクロプロセッサ100は、通常制御中、操作部14の操作に基づいてステッピングモータ30の動作を制御するよう構成されている。
マイクロプロセッサ100にはEEPROMなどの不揮発性書換可能メモリ106(記憶手段)が内部メモリ乃至外部メモリの形態で備えられており、電源を遮断した状態でも不揮発性書換可能メモリ106に記憶したデータを記憶保持できるようになっている。
本実施形態では、マイクロプロセッサ100の電源投入時に、図2に示す処理を行うよう構成されている。すなわち、マイクロプロセッサ100の電源が投入されると、まず、電池種別判定機能によって電池種別判定を行う(ステップS1)。この電池種別判定機能は適宜の制御構成によって実現できるが、例えば、上記特許文献2の段落番号0018〜0020に開示された制御と同様の制御によって実現できる。例えば、流量調整弁を閉弁させた状態で維持しつつステッピングモータ30を全相励磁動作させたときの電池電圧検出値と、ステッピングモータ30への通電を停止したときの電池電圧検出値(開放電圧値)との電圧差が所定値未満である場合は電池101がアルカリ電池であると判定し、電圧差が所定値以上であればマンガン電池と判定できる。
次に、電池種別判定機能によってアルカリ電池であると判定されたときは(ステップS2)、電池寿命判定閾値(第1の閾値)Vlifeを2.2Vに設定するとともに、電池切れ判定閾値(第2の閾値)Vdeadを2.1Vに設定する(ステップS3)。一方、電池種別判定機能によってマンガン電池であると判定されたときは、電池寿命判定閾値(第1の閾値)Vlifeを2.4Vに設定するとともに、電池切れ判定閾値(第2の閾値)Vdeadを2.1Vに設定する(ステップS4)。而して、これらステップS2〜S4の処理によって、電池寿命判定閾値Vlife並びに電池切れ判定閾値Vdeadを電池種別に応じた最適な値に設定する閾値最適化機能が実現されている。ステップS3又はステップS4において各閾値として設定されるべき値は、メモリ106に製品出荷時に記憶保持させておくことができ、メモリ106を参照して電池種別に応じた値に各閾値を設定できる。なお、各閾値として設定されるべき値は、EEPROMではなく、マイクロプロセッサ100に内蔵若しくは外付けのマスクROMに記憶しておくこともできる。
電池寿命判定閾値Vlife並びに電池切れ判定閾値Vdeadを電池種別に応じた最適な値に設定した後、次に、ステップS5に示すように、マイクロプロセッサ100は、ステッピングモータ30を全相励磁させた状態での電池電圧値Vpを検出する(電池電圧検出機能)。なお、電池種別判定機能の実行時にステッピングモータ30を全相励磁動作させたときの電池電圧検出値を電池電圧値Vpとして利用することも可能であり、この場合、電池種別判定機能に電池電圧検出機能が包含されるものとなる。
次に、マイクロプロセッサ100は、電池電圧値Vpが電池切れ判定閾値Vdeadよりも低下したか否かにより電池切れを判定し(ステップS6)、電池電圧値Vpが電池切れ判定閾値Vdeadよりも低下したことを検出すると、ステップS7において電池切れとなったことを示す電池切れ報知(第2の報知)を行い(第2段階報知機能)、この場合はその後燃焼動作を禁止して制御を終了する。電池切れ報知の態様は適宜のものであってよく、LED表示部の点滅乃至点灯や、ブザーによる報知などであって良い。なお、電池切れとなった電池電圧でマイクロプロセッサ100やLED表示部が動作可能であれば、電池切れ報知を継続して実施してもよい。また、上記判定に用いる電源電圧値Vpとしては、大電流が消費されておらず、マイクロプロセッサ100その他の小電流のみが消費されている状態の電池の電圧値を用いることもできる。
ステップS6で電池電圧値Vpが電池切れ判定閾値以上であると判定されると、次に、電池電圧値Vpが電池寿命判定閾値Vlifeよりも低下したか否かにより電池寿命が近づいたか否かを判定する(ステップS8)。そして、電池電圧値Vpが電池寿命判定閾値Vlifeよりも低下したことを検出すると、ステップS9において電池寿命が近づいたことを示す所定の電池寿命報知を行う(第1段階報知機能)。この電池寿命報知の態様は、上記電池切れ報知の態様とは異なるものとなされており、ユーザに対して、電池切れではないが例えば3週間程度で電池切れとなることを報知するものとすることができる。
電池101がアルカリ電池であってもマンガン電池であっても、電池寿命報知が最初になされた時点から電池切れ報知がなされるまでの期間が所定期間、例えば約3週間程度となるよう、ステップS3又はS4において各閾値Vlife,Vdeadに設定されるべき値の大きさを予め試験によって求めて製品出荷時にメモリ106に記憶保持しておくことが好ましい。
次に、マイクロプロセッサ100は、ユーザーによる操作を監視するとともに操作がなされれば対応する燃焼動作制御を行う通常制御を開始するが(ステップS10)、この通常制御実行中、上記電池寿命報知を継続して行っていてもよく、また、電池寿命報知を所定時間(例えば数秒若しくは数分)行うと、電池寿命報知を停止することも可能である。また、通常制御実行中も、電池電圧検出機能による電池電圧値Vpの監視と、第1段階報知機能並びに第2段階報知機能による上記の報知とを行うことも可能である。
ユーザーによって電源オフ操作がなされるか或いは何らの操作も行われていない時間が所定時間経過するなどの所定の電源断条件が成立すると(ステップS11)、自己電源保持回路への自己保持信号の出力を停止することによりマイクロプロセッサ100は自らへの電源供給を遮断する。
本実施形態の電池式ガスコンロによれば、電池101としてアルカリ電池が使用されている場合でも、マンガン電池が使用されている場合でも、マイクロプロセッサ100が自動的に電池種別を判定して、電池種別に応じて電池寿命判定閾値Vlifeと電池切れ判定閾値Vdeadとを最適な値に設定するため、電池寿命が近づいたことを示す電池寿命報知がなされてから電池切れであるとの電池切れ報知がなされるまでの期間を電池種別によらず同程度とすることができ、ユーザーにとって分かりやすい電池寿命報知を行うことができる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜設計変更できる。例えば、上記実施形態ではアルカリ電池かマンガン電池かの2種類の種別を判定する例を示したが、ニッカド電池その他の3種類以上の種別を判定可能に構成することもでき、また、アルカリ電池の中でも放電特性の異なるものがあるが、かかる放電特性に応じて異なる種別であると判定して、各放電特性のアルカリ電池毎に電池寿命判定閾値Vlifeと電池切れ判定閾値Vdeadとを最適な値に設定するよう制御構成することも可能である。