しかし、ユーザーが2個の電池を交換しようとした際に、買い置きの新品の電池が1個しかない場合、新たに電池を買いに行くことが煩雑であるために2個中1個のみを新品と交換して、新品の電池と使い古しの電池とを混在した状態で使用されることが少なくないのが実情である。このような新旧品の電池を直列接続して使用すると、新しい電池とともに古い電池からも電流が強制的に出力され、放電終止電圧を迎えた古い電池からさらに強制的に電流を流し続けると古い電池が過放電状態となり、液漏れなどを引き起こす原因となる。特にアルカリ電池の場合、過放電により出力電圧が0V以下になる転極現象が生じて、電池内部からガスが急激に発生し、高圧となることでガスが電池外部に放出されて、大量の液漏れが発生することもある。
そこで、本発明は、適確に電源電池電圧を監視することによって、複数の電池のすべてが電池交換されたか否かを判断し、新旧品が混在した状態である場合にユーザーに対して適切な報知を行うことのできる電池式ガス燃焼装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明は、直列接続される複数の電池を交換可能に収容する電池収容部と、前記複数の電池を電源として動作するガス燃焼制御部とを備える電池式ガス燃焼装置において、前記ガス燃焼制御部は、前記複数の電池の合成電圧値である電源電圧値を検出する電源電圧検出手段と、該電源電圧検出手段が検出する電源電圧値に基づいて電池に関する報知処理を行う報知制御手段と、不揮発性書換可能メモリとを備え、該報知制御手段は、前記電源電圧検出手段によって検出された電源電圧値を電池交換判定基準電圧値として前記不揮発性書換可能メモリに記憶する電池交換判定基準記憶処理機能と、前記電源電圧検出手段によって検出された電源電圧値と前記不揮発性書換可能メモリに記憶された前記電池交換判定基準電圧値との比較により電池交換がなされたか否かを判定するとともに、前記電源電圧検出手段によって検出された電源電圧値と所定の全交換判定電圧値との比較により前記複数の電池のすべてが交換されたか否かを判定する全交換判定処理機能と、前記全交換判定処理機能により電池交換がなされたが前記複数の電池のすべてが交換されてはいないと判定された場合に所定の報知を行う電池交換異常報知処理機能とを有することを特徴とするものである(請求項1)。
かかる本発明の電池式ガス燃焼装置によれば、ガス燃焼制御部の電源オン中に、報知制御手段によって電池に関する報知処理が行われる。すなわち、電池交換判定基準記憶処理機能によって電源オン中の電源電圧値を判定基準電圧値として不揮発性書換可能メモリに記憶しておくことで、電池交換時に電池が電池収容部から取り外されて電源供給が絶たれた場合にも、その直前の電池交換前の電池電圧を記憶保持しておくことができる。そして、電池交換後に電源供給が再開されたとき、全交換判定処理機能によって電池交換がなされたか否か並びにすべての電池が交換されたか否かを判定し、電池交換がなされたが一部しか交換されなかったと判定した場合には電池交換異常報知処理機能によって異常な電池交換が行われた旨の報知を適確に行うことができ、ユーザーに対して適時に分かりやすい報知を行うことが可能となる。
上記本発明の電池式ガス燃焼装置において、前記電池交換判定基準記憶処理機能は、前記ガス燃焼制御部への電源供給が絶たれる直前の前記電源電圧値を前記電池交換判定基準電圧値として前記不揮発性書換可能メモリに記憶するよう構成しておくことが好ましい(請求項2)。これによれば、電池交換されずに電源が再投入された場合、過去の電源電圧値のうちで最も最新のものを電池交換判定基準電圧値として用いることができ、より適確な判定を行わせることができる。
なお、電源供給が絶たれる直前の電源電圧値を記憶する方法は適宜のものであってよいが、例えば、ガス燃焼制御部は、自らへの電源供給の保持動作を行うとともに該保持動作の中止により自らへの電源供給を遮断する自己電源保持手段を備えることができ、上記保持動作の中止の直前に電源電圧値の記憶処理を行うよう構成することもできるし、また、所定時間間隔で不揮発性書換可能メモリへの電源電圧値の記憶更新を行っておくことにより、電源オン中に電池が外された場合などの不慮の電源供給遮断時においてもその直前の電源電圧値を不揮発性メモリに記憶しておくこともできる。
また、前記全交換判定処理機能は、前記ガス燃焼制御部への電源供給が一旦断たれた後に再度電源供給が開始されて前記報知制御手段による報知制御が再開した後、前記電池交換判定基準記憶処理機能が実行される前に実行されることが好ましい(請求項3)。より好ましくは、報知制御再開直後に全交換判定処理機能による判定処理を実行することが好ましい。これによれば、電池交換判定基準処理機能が実行されることによって電池交換判定基準電圧値が上書きされる前に、前回の電源遮断直前に記憶された電池交換判定基準電圧値に基づいて全交換判定処理機能による判定処理を適確に行わせることができる。
また、前記全交換判定処理機能は、前記電源電圧検出手段が所定の電池寿命判定閾値未満の電源電圧値を検出した場合に有効化されるとともに、前記複数の電池のすべてが交換されたと判定した場合に無効化するように構成できる(請求項4)。より好ましくは、工場出荷時には全交換判定処理機能を無効化しておき、動作中に電源電圧検出手段が所定の電池寿命判定閾値未満の電源電圧値を検出した場合に有効化されるよう構成できる。これによれば、電池寿命が到来しておらず、電池交換もなされていないにもかかわらず、全交換判定処理機能によって一部の電池のみが交換されたと誤判定されて、異常な電池交換が行われたことを示す報知が行われてしまうことを回避できる。
さらに、前記電池交換判定基準記憶処理機能は、既に不揮発性書換可能メモリに記憶されている電池交換判定基準電圧値よりも前記電源電圧値が大きい場合には既に不揮発性書き換え可能メモリに記憶されている電池交換判定基準電圧値を保持して上書きを行わないよう構成され、前記全交換判定処理機能は、前記複数の電池のすべてが交換されたと判定した場合に前記不揮発性書換可能メモリに記憶された電池交換判定基準電圧値を初期化するよう構成されているものとすることができる(請求項5)。これによれば、一旦異常な電池交換が行われた旨の報知がなされた後は、すべての電池を新品に交換しなければ電池交換判定基準電圧値が上書きされることがないために上記報知が解除されず、一部の電池を交換した状態で継続して使用されている場合に上記報知を継続させることが可能となる。
また、前記報知制御手段は、前記電源電圧検出手段が前記電池寿命判定閾値未満の電源電圧値を検出すると電池寿命であることを示す所定の報知を行う電池寿命報知機能をさらに備えることができる(請求項6)。これによれば、電池寿命報知機能による報知条件としての電池寿命判定閾値と、全交換判定処理機能を有効化させる条件としての電池寿命判定閾値とが同じであるため、電池寿命報知と連動して全交換判定処理機能を有効化させることができ、ユーザーに対する報知に一連の流れができ、電池に関する報知をユーザーにとって分かりやすいものとすることができる。
また、前記電源電圧値は開放電圧値であってよい(請求項7)。これによれば、大きな電気負荷が動作していないときの開放電圧値は安定しているため、上記各判定の安定性を確保できる。なお、ここでの開放電圧値とは、マイクロプロセッサやLEDなどが動作する程度の微弱な電流消費が行われている場合の電源電圧値も含むものであり、本明細書においては、5%程度の内部電圧降下が生じている状態も開放電圧値であるものとする。
以上説明したように、本発明の請求項1に係る電池式ガス燃焼装置によれば、ガス燃焼制御部の電源オン中に、報知制御手段によって電池に関する報知処理が行われる。すなわち、電池交換判定基準記憶処理機能によって電源オン中の電源電圧値を判定基準電圧値として不揮発性書換可能メモリに記憶しておくことで、電池交換時に電池が電池収容部から取り外されて電源供給が絶たれた場合にも、その直前の電池交換前の電池電圧を記憶保持しておくことができる。そして、電池交換後に電源供給が再開されたとき、全交換判定処理機能によって電池交換がなされたか否か並びにすべての電池が交換されたか否かを判定し、電池交換がなされたが一部しか交換されなかったと判定した場合には電池交換異常報知処理機能によって異常な電池交換が行われた旨の報知を適確に行うことができ、ユーザーに対して適時に分かりやすい報知を行うことが可能となる。
また、本発明の請求項2に係る電池式ガス燃焼装置によれば、電池交換されずに電源が再投入された場合、過去の電源電圧値のうちで最も最新のものを電池交換判定基準電圧値として用いることができ、より適確な判定を行わせることができる。
また、本発明の請求項3に係る電池式ガス燃焼装置によれば、電池交換判定基準処理機能が実行されることによって電池交換判定基準電圧値が上書きされる前に、前回の電源遮断直前に記憶された電池交換判定基準電圧値に基づいて全交換判定処理機能による判定処理を適確に行わせることができる。
また、本発明の請求項4に係る電池式ガス燃焼装置によれば、電池寿命が到来しておらず、電池交換もなされていないにもかかわらず、全交換判定処理機能によって一部の電池のみが交換されたと誤判定されて、異常な電池交換が行われたことを示す報知が行われてしまうことを回避できる。
また、本発明の請求項5に係る電池式ガス燃焼装置によれば、一旦異常な電池交換が行われた旨の報知がなされた後は、すべての電池を新品に交換しなければ電池交換判定基準電圧値が上書きされることがないために上記報知が解除されず、一部の電池を交換した状態で継続して使用されている場合に上記報知を継続させることが可能となる。
また、本発明の請求項6に係る電池式ガス燃焼装置によれば、電池寿命報知機能による報知条件としての電池寿命判定閾値と、全交換判定処理機能を有効化させる条件としての電池寿命判定閾値とが同じであるため、電池寿命報知と連動して全交換判定処理機能を有効化させることができ、ユーザーに対する報知に一連の流れができ、電池に関する報知をユーザーにとって分かりやすいものとすることができる。
また、本発明の請求項7に係る電池式ガス燃焼装置によれば、大きな電気負荷が動作していないときの開放電圧値は安定しているため、上記各判定の安定性を確保できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電池式ガスコンロ(電池式ガス燃焼装置)の概略回路図であって、本発明に関連する主要回路部分を示している。ガスコンロの基本構成は従来公知の適宜のものであってよく、例えば、特開2012−7808号公報に開示されたガスコンロと同様の構成とすることができる。
まず、ガスコンロの基本構成について上記公報の図1〜図3に示された符号を引用しつつ説明すると、ガスコンロ(1)は、上方に開口する箱状をした筐体(10)と、筐体(10)の上方への開口を閉塞しガスコンロ(1)の天面部となるガラス製のトッププレート(11)と、で外殻が構成される。
トッププレート(11)にはコンロバーナ(25)を備えた加熱部(2)が複数設けられており、加熱部(2)として、標準バーナ(2a)、小バーナ(2b)、高火力バーナ(2c)の計三個のコンロバーナ(25)を設けている。
ガスコンロ(1)内にはグリルバーナを備えたグリル庫が設けてあり、グリル庫の前開口は、ガスコンロ(1)の前面に設けたグリル扉(12)によって開閉自在に閉塞される。
また、各加熱部(2)には、被加熱物検知手段(22)が設けてある。被加熱物検知手段(22)は、五徳(21)に被加熱物が載置された状態にあるか否か、即ち、各コンロバーナ(25)上に被加熱物が配置された状態にあるか否かを検知するものである。
ガスコンロ(1)の前面部を構成する前面パネル(13)には、各加熱部(2)を操作するためのつまみダイヤル装置からなる操作部(14)がそれぞれ設けてある。
各操作部(14)は手動で操作されて対応するコンロバーナ(25)の点火及び消火の切り替えや火力調節を指令するものであり、これを受けて制御部が各コンロバーナ(25)の点消火の切り替えや火力調節を行う火力設定手段(流量制御部材の目標位置設定手段)として機能する。火力調節は、消火・小火力・中火力・大火力のように複数段階で調節するものであってもよいし、また、消火から大火力まで10数段階〜数十段階で調節可能にすることもできるし、また、立消え防止のために消火から小火力までの間の火力は設定できないようにして小火力から大火力まで10数段階〜数十段階で調節可能にすることもできる。なお、操作部(14)は、回転操作量に応じた数のパルスを制御部に出力するロータリーエンコーダによって構成することもできるし、また、ロータリーポテンショメータによって構成することもできるし、また、タッチパネルによって操作部(14)を構成してタッチ操作によって制御部内に記憶された火力設定値を増減するように構成することも可能である。
前面パネル(13)の各操作部(14)の下側には対応するコンロバーナ(25)の調理の設定を指令するための設定手段を構成する設定入力パネル(15)が設けてあり、この設定入力パネル(15)を操作することで、コンロバーナ(25)毎に、調理タイマーモード、湯沸しモード、炊飯モード等の自動調理モードを設定できるようになっている。
また、前面パネル(13)に向かって左側の部位には、グリルバーナの点火及び消火の切り替えや火力調整を指令するための設定入力パネル(16)が設けてある。
上記設定入力パネル(15)(16)によるモード設定なしの状態で調理を行う場合、前面に設けた電源スイッチ(17)を操作することにより電源を投入した後、操作部(14)を押し操作して制御部に点火の指令を送る。この指令を受けると制御部はガス供給路(26)の元ガス電磁弁(27)を開き、且つ任意のコンロバーナ(25)又はグリルバーナに対応する流量制御弁(3)を所定開度で開くと共に点火プラグ(24)をスパークさせ、コンロバーナ(25)又はグリルバーナを点火する。これにより、コンロバーナ(25)の炎により対応する五徳(21)上に載置した被加熱物を加熱したり、グリルバーナの炎によりグリル庫内の肉や魚を焼くことができる。
また、ガス機器には、マイクロコンピュータにより主構成される制御部が設けられる。制御部には、各バーナ(25)に設けてある燃焼検出手段としての熱電対(23)の起電力が入力され、制御部は入力された起電力が所定値(例えば3.5mV)以上になったときに、設定入力パネル(15)(16)又は/及びトッププレート(11)に設けてある表示部に備える燃焼ランプ(それぞれのバーナに対応する燃焼ランプ)を点灯させる。
各コンロバーナ(25)及びグリルバーナには、燃料を供給するための燃料通路が接続され、この燃料通路として、都市ガス等の燃料ガスを供給するガス供給路(26)からそれぞれ分岐する分岐路(26a)が接続されている。
また、各分岐路(26a)を通過する燃料の量を制御すると共に各分岐路(26a)における燃料の通過を阻止する閉止機能を有する流量制御弁(3)と、前記流量制御弁(3)を駆動するステッピングモータ(30)が各分岐路(26a)毎にそれぞれ設けられ、弁体として機能する流量制御部材(34)の開度位置の微調整がステッピングモータ(30)によって行われる。また、流量制御部材(34)の開度位置を検出するポテンショメータ(4)が設けられる。更に、燃料通路における燃料の通過を阻止する閉止機能を有する開閉弁としての元ガス電磁弁(27)が設けられる。このように、燃料通路における燃料の通過を阻止する閉止機能を有する弁装置として、上記流量制御弁(3)と元ガス電磁弁(27)とが直列に設けられ、元ガス電磁弁(27)は流量制御弁(3)よりもガス流路の上流側に設けられる。
元ガス電磁弁(27)と、流量制御弁(3)を駆動するステッピングモータ(30)とは、制御部により制御が行われ、ポテンショメータ(4)における検出電圧は制御部に出力されて処理される。また、流量制御弁(3)は、対応するコンロバーナ(25)が使用されない時には、流量を零にして遮断状態となるように閉止される。
上記ステッピングモータ(30)としては2相乃至5相のものを好適に用いることができ、流量制御弁(3)を閉止させる際には、制御部によってステッピングモータ(30)を全相励磁することにより大きなトルクを生じさせ、これにより確実に閉弁動作を行わせるように構成できる。
上記構成のガスコンロにおいては、電気負荷となる電気駆動部品として、流量制御弁(3)のステッピングモータ(30)、元ガス電磁弁(27)、点火プラグ(24)及び表示部が備えられている。これら電気負荷並びに制御部の電源としては、2本の乾電池が用いられる。ガスコンロの筐体(10)には、蓋付きの電池収容部(図示せず)が設けられ、この電池収容部に2本の乾電池を直列接続状態で収容可能に構成されている。以下、直列接続状態の2本の乾電池を単に「電池」という。
次に、本実施形態の電池式ガスコンロの制御構成について詳細に説明する。
図1に示すように、制御部(ガス燃焼制御部)は、制御基板上に設けられたマイクロプロセッサ100によって主構成されている。電池101からマイクロプロセッサ100及び電気駆動部品へ電池101の出力電圧(以下「電池電圧」という。)を供給する電源供給ラインは、単純なオン/オフスイッチからなる電源スイッチを用いて導通/遮断の切り替えを行うこともできるが、本実施形態では、電源供給ラインの途中に自己電源保持回路102を設け、マイクロプロセッサ100が自らへの電源供給を遮断制御できるように構成している。
自己電源保持回路102は、電源供給ラインの途中に設けられたpチャンネル型FETからなるスイッチング素子Q1を備えている。該スイッチング素子Q1のゲートは、プルアップ抵抗R1を介して電池101の正極に接続されているとともに、並列に設けられた2つのnpn型トランジスタからなるスイッチング素子Q2,Q3を介してグラウンドに接続されている。各スイッチング素子Q2,Q3のベースはそれぞれプルダウン抵抗R2,R3を介してグラウンドに接地されている。また、一方のスイッチング素子Q2のベースは、マイクロプロセッサ100の自己保持出力ポートに接続されており、マイクロプロセッサ100から自己保持信号電圧がスイッチング素子Q2に出力されている間、スイッチング素子Q2がオンしてスイッチング素子Q1のゲートがグラウンドに接地され、これによりスイッチング素子Q1がオンして電源電圧がマイクロプロセッサ100に供給される。また、もう一つのスイッチング素子Q3のベースは、電源スイッチSWを介して電池101の正極に接続されており、電源スイッチSWが操作されて導通するとスイッチング素子Q3がオンしてスイッチング素子Q1のゲートがグラウンドに接地され、これによってもスイッチング素子Q1がオンして電源電圧がマイクロプロセッサ100に供給される。マイクロプロセッサ100は、電源スイッチSWにより電源電圧が供給されることにより起動し、起動直後から上記自己保持信号を出力することにより自らへの電源供給を維持し、所定の電源断条件を満たすことにより自己保持信号の出力を停止することで自動的に電源断状態となるよう構成されている。
なお、図1においては、電池電圧をスイッチング素子Q1を介して直接電源電圧としてマイクロプロセッサ100に供給しているが、スイッチング素子Q1に直列に電流制限抵抗を設けることで降圧してマイクロプロセッサ100に供給してもよい
また、電池101の正極には、電池電圧監視回路103が接続されており、該電池電圧監視回路103が出力する電池電圧監視信号がマイクロプロセッサ100の電池電圧監視信号入力ポートに入力されている。マイクロプロセッサ100は、起動中、電池電圧監視信号入力ポートに入力された電池電圧監視信号に基づいて2つの乾電池の合成電圧値である電源電圧値を検出可能に構成されており、而して、電池電圧監視回路103並びにマイクロプロセッサ100によって電源電圧検出手段が構成されている。
また、制御基板上には、上記ステッピングモータ30を駆動するための駆動回路104が設けられており、自己電源保持回路102が出力する電源電圧は、駆動回路104にも供給されている。駆動回路104は、マイクロプロセッサ100が出力する制御信号に基づいてステッピングモータ30に駆動電圧を供給する。なお、図1においては一つのステッピングモータ30のみを図示しているが、各ステッピングモータ毎に駆動回路を設けることができる。
ステッピングモータ30を動作させるための操作部14、即ち、対応するコンロバーナ(25)の点火・消火並びに火力調節を行うための操作部14の操作量は、マイクロプロセッサ100と通信可能に接続された操作基板105によって検出され、マイクロプロセッサ100は、通常制御中、操作部14の操作に基づいてステッピングモータ30の動作を制御するよう構成されている。
マイクロプロセッサ100にはEEPROMなどの不揮発性書換可能メモリ108が内部メモリ乃至外部メモリの形態で備えられており、電源を遮断した状態でも不揮発性書換可能メモリ108に記憶したデータを記憶保持できるようになっている。
マイクロプロセッサ100の電源が投入されている間、マイクロプロセッサ100(報知制御手段)は、電源電圧検出手段が検出する電源電圧値に基づいて電池に関する報知処理を図2に示すように行うよう構成されている。なお、図2においては、一連の制御フローとして図示したが、図2に示した各機能毎にプロセスを起動させ、各プロセスを相互に連係して動作させることによって全体として同等の動作を行わせることも勿論可能である。
以下、図2に基づいて本実施例における電池に関する報知処理について説明する。マイクロプロセッサ100の電源が投入されると、まず、起動処理において、電源電圧検出手段によって検出された電源電圧値Vp と不揮発性書換可能メモリ108に記憶された電池交換判定基準電圧値Vpre との比較により電池交換がなされたか否かを判定するとともに、電源電圧検出手段によって検出された電源電圧値Vp と全交換判定電圧値Vnew との比較により複数の乾電池のすべてが交換されたか否かを判定する全交換判定処理機能を実行する(ステップS1)。電池交換判定基準電圧値Vpre としては、工場出荷時には例えば3.0Vに対応する値が書換可能に設定され、全交換判定電圧値Vnew としては2.8Vに対応する値を定数として設定することができる。また、ステップS1では、電源電圧値Vp と電池交換判定基準電圧値Vpre との比較において補正量αを電池交換判定基準電圧値Vpre に加算しているが、これは消耗により電圧降下した電池は使用していないと充電されて開放電圧が僅かに復帰するという特性に鑑みてより適確な判定を行うためのものである。すなわち、上記の電圧復帰量は電位の値に対してある程度決まっており、充電による電位増加分をαとすると、Vp≧Vpre+αの場合は電池が交換されていないと判定し、Vpre+α<Vpの場合は電池が交換されたと判定することで、単に放置していたことで僅かに電圧上昇した場合に電池交換がなされたと誤判定してしまうことを回避している。
また、電源電圧値Vp と全交換判定電圧値Vnew との比較の意味について説明すると、例えば電池交換前の電源電圧値が2.2Vの場合、乾電池1個あたりの電圧は1.1Vとなる。乾電池の1個のみを新品に交換した場合、新品の乾電池は1.5V、古い未交換の乾電池は1.1Vであるため、電源電圧値としては2.6Vとなる。したがって、電池交換判定基準電圧値Vpreとの比較判定と併用することにより、電池交換がなされたにもかかわらず電源電圧値が新品交換時程度に上昇していないことを検出でき、この場合には、2個の乾電池のうち1個のみを交換したなど、何らかの電池交換作業における異常が生じたものとして判定する。
そして、ステップS1において電池交換がなされたと判定され(Vpre+α<Vpが真)、且つ、複数の乾電池のすべてが交換されてはいないと判定された場合(Vp<Vnewが真)は、異常な電池交換が行われたことを示す所定の報知を実行する(ステップS2)。この報知は、例えば、操作パネル上の表示装置に、異常電池交換を示すエラーコードや点滅パターンを表示したり、異常電池交換をユーザに案内する音声乃至メロディー等の音による報知など、適宜のものであってよい。
なお、ステップS2において異常電池交換を示す報知を行った場合、正常な電池交換がなされるまでガスコンロを使えないように制御構成することもできるが、本実施形態では、ステップS1及びS2を起動処理において実行した後、例え異常電池交換を示す報知を行った場合でも、その後ガスコンロの通常制御を開始するようにしている。以降のステップS3〜S8は、ガスコンロの通常制御中に並行して、若しくは燃焼動作の合間の待機時間などに実行される機能ステップとして設けられている。
ステップS3では、電源電圧値Vpが電池切れ判定閾値Vdead(例えば2.2V)よりも低下したか否かにより電池切れを判定する(電池切れ判定機能)。そして、VpがVdeadよりも低下したことを検出すると、ステップS4において電池切れとなったことを示す所定の報知を実行し(電池切れ報知機能)、この場合はその後制御を終了する(ステップS5)。なお、電池切れとなった電源電圧でマイクロプロセッサ100やLED表示部が動作可能であれば、電池切れ報知を継続して実施してもよい。また、上記判定に用いる電源電圧値Vpとしては、ガスコンロの燃焼動作が行われていない待機時の開放電圧値を用いてもよいし、大電流を消費しているとき(例えばステッピングモータ30の駆動時や、元ガス電磁弁の吸着動作時など)の電圧降下した状態での電源電圧値を用いることもできる。
ステップS6では、電源電圧値Vpが電池寿命判定閾値Vlife(例えば2.4V)よりも低下したか否かにより電池寿命が到来したと判定する(電池寿命判定機能)。そして、VpがVlifeよりも低下したことを検出すると、ステップS7において電池寿命が到来したことを示す所定の報知を実行する(電池寿命報知機能)。この電池寿命報知の内容は、上記電池切れ報知の内容並びに電池交換異常報知の内容とは異なるものとするのが好ましい。
ガスコンロの通常制御中の電池に関する上記報知処理S3〜S7は、所定の電源断条件が成立するまで常時、乃至、所定のタイミングで実行することができる。
ユーザーによって電源オフ操作がなされるか或いは何らの操作も行われていない時間が所定時間経過するなどの所定の電源断条件が成立すると(ステップS8)、その時点の電源電圧値(開放電圧値)Vpを電池交換判定基準電圧値Vpreとして不揮発性メモリ108に上書き保存した後(ステップS9)、自己電源保持回路への自己保持信号の出力を停止することにより電源断状態とする。
仮に、電源断時の電源電圧値が2.4Vであった場合、2つの乾電池が同様に消耗しているならば乾電池1個あたり1.2Vの電圧となる。このうち1個のみを新品に交換すると電源電圧値は合計で2.7Vとなるが、この状態で電源オンすると、上記ステップS1における判定が真となって電池交換異常報知(ステップS2)をユーザに対して行わせることができる。一方、2個の乾電池を共に新品に交換した場合は電源電圧値は3.0Vとなるため電池交換異常報知が行われることはない。
図3は、電池に関する報知処理の第2実施例を示すものであり、上記第1実施例と同様のステップについては同符号を付して詳細説明を省略し、追加されたステップについて主に説明する。
本実施例では、前提として、不揮発性書換可能メモリ108に、電池交換異常チェックのための全交換判定処理機能(ステップS1)を有効にするか無効にするかを設定する電池交換異常チェックフラグを記憶しており、ステップS10に示すように、該フラグが有効に設定されている場合にのみ全交換判定処理機能(ステップS1)並びに該機能に続く処理(ステップS2,S11,S12)が実行され、上記フラグが無効に設定されている場合には全交換判定処理を行うことなくステップS3に移行するように構成されている。
また、全交換判定処理機能により複数の電池のすべてが交換されたと判定した場合には(ステップS11)、上記フラグを無効に設定するとともに、電池交換判定基準電圧値Vpreを3.0Vに初期化するようになっている(ステップS12)。
全交換判定処理機能の有効化は、例えば、電池寿命報知機能(ステップS7)の実行時に行うことができる(ステップS13)。
また、電源断条件成立後、電池交換判定基準電圧値Vpreを常時上書きするのではなく、その時点での電源電圧値Vpが電池交換判定基準電圧値Vpreよりも低い場合にのみ(ステップS14)上書きするようにしている。
かかる構成によれば、ガスコンロの通常制御中に電源電圧値Vpが電池寿命判定閾値Vlife未満(例えば2.4V未満)となったときに、電池寿命報知が行われると共に、電池交換異常チェックフラグが有効に設定される。その後暫く燃焼動作が行われて電源遮断時の電源電圧値が2.3Vになり、不揮発性書換可能メモリ108に記憶されている電池交換判定基準電圧値Vpreが2.5Vである場合を想定すると、ステップS14の判定が真となって、そのときの電源電圧値である2.3Vに対応する値が電池交換判定基準電圧値Vpreとして不揮発性書換可能メモリ108に記憶される。このとき、2個の乾電池が同様に消耗しているならば、1個あたりの電池電圧は1.15Vである。
ここでユーザによって電池が1個のみ新品に交換され、交換後の電源電圧値が2.65Vとなった場合を想定すると、図2に示す実施例の場合では交換後の最初の起動時は電池交換異常報知が行われるものの、そのまま使用を継続した場合、電池寿命報知が行われることもなく、さらに、ステップS9においてその時点のVpをVpreとして上書き保存するため、再度の起動時においては電池交換異常報知も行われず、異常な電池の組み合わせのまま長期間使用されてしまうことがある。
一方、図3の実施例においては、まず電池寿命報知が行われることによって電池異常チェック(全交換判定処理機能)を有効化することで、電池寿命報知が行われていないにもかかわらず起動時に突然電池が異常交換されたと報知されることを回避し、ユーザーに対する報知に一連の関連性を持たせることによってユーザーに分かりやすい報知とすることができる。また、一部の乾電池のみを交換することで電源電圧値として正常範囲になった場合、その後1回目の起動時のみならず、ステップS11によって全ての乾電池が新品乃至新品相当のものに交換されたと判定されるまでは電池交換異常チェックを無効化しないとともに電池交換判定基準電圧値の初期化を行わないようにすることで、すべての乾電池が電池交換されるまで何度でも起動時に電池交換異常報知(ステップS2)を行わせることができ、電池の液漏れをより確実に防止できるとともに、異種電池の混在による電池消耗を軽減することもでき、電池寿命の延命の効果も期待できる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜設計変更できる。例えば、上記実施形態では電池を2本直列に接続した例を示したが、3本以上の電池を直列接続するものにおいても本発明を適用できる。