以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当する部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、本発明の実施の形態に従う燃焼装置を含む給湯装置100の概略構成図である。
図1を参照して、給湯装置100は、燃料ガスを燃焼させるバーナ10と、送風ファン11と、熱交換器12と、COセンサ20と、コントローラ30とを備える。バーナ10および送風ファン11は本発明の実施の形態に従う燃焼装置における「燃焼部」を構成する。バーナ10および熱交換器12は缶体13内に格納され、送風ファン11は缶体13の外部に配置される。
缶体13において、バーナ10から出力された燃料ガスは送風ファン11からの燃焼用空気と混合される。図示しない点火装置によって混合気が着火されることにより、燃料ガスが燃焼されて火炎が生じる。バーナ10からの火炎によって生じる燃焼熱は、熱交換器12へ与えられる。
バーナ10へのガス供給管には、元ガス電磁弁14が配置される。元ガス電磁弁14は、バーナ10への燃料ガスの供給をオンオフする機能を有する。
送風ファン11は、バーナ10に対して燃焼用空気を供給する。送風ファン11からの送風量はファン回転数に応じて決まる。送風ファン11の回転数は、バーナ10からの供給熱量の変化に応じて設定される目標回転数に従って制御される。
熱交換器12は、バーナ10による燃焼ガスの顕熱(燃焼熱)により入水を熱交換によって加熱する一次熱交換器と、バーナ10からの燃焼排ガスの潜熱によって通流された水を熱交換によって加熱する二次熱交換器とを有する。缶体13の燃焼ガスの流れ方向下流側には、熱交換後の燃焼排ガスを排出するための排気経路15が設けられる。このように、熱交換器12は、バーナ10によって発生された燃焼ガスから熱回収を行なって、熱交換器12内部を通流する湯水を加熱する。これにより、給湯装置100は、入水路から導入された水を加熱して出湯することができる。
COセンサ20は排気経路15に配置される。COセンサ20は、排ガス中のCO濃度を検出する。排ガス中にCOが存在すると、COセンサ20の出力電圧はCO濃度に応じて変化する。COセンサ20の出力電圧はコントローラ30内部の制御部40へ送出される。具体的には、COセンサ20は、接触燃焼式センサであって、センサ本体および電源回路を含む。センサ本体は、排ガス中の被検知物質に感応する検知素子を有する。電源回路から検知素子に流す電流量(通電量)を制御部40からの指令に従って調整することによって、検知素子の素子温度を制御することができる。
給湯装置100に電源が投入されると、電源回路から電流の供給を受けて検知素子は所定の温度に加熱される。この状態で、バーナ10の燃焼動作により発生した排ガスが排気経路15を流通して検知素子に接触すると、触媒による接触燃焼反応が生じることによって検知素子の温度が上昇する。温度上昇に伴って検知素子の電気抵抗が大きくなることにより、センサ本体の出力電圧が変化する。この出力電圧はCO濃度に応じて変化する。制御部40は、COセンサ20の出力電圧の変化に基づいてCO濃度を検出することができる。
コントローラ30は、COセンサ20を含む各種センサからの出力信号およびユーザ操作を受け付けて、給湯装置100の全体動作を制御するために、各機器への制御指令を発生する。ユーザ操作には、給湯装置100の運転オン/オフ指令および設定湯温指令が含まれる。制御指令には、バーナ10へのガス供給管に配置された元ガス電磁弁14の開閉指令、送風ファン11へのファン駆動電圧指令などが含まれる。
コントローラ30は、給湯装置100の運転指令がオンされると、入水路から導入された水の流量が最低作動流量(MOQ)を超えるのに応じて、缶体13での燃焼動作をオンする。燃焼動作がオンされると、元ガス電磁弁14が開放されて、バーナ10への燃焼ガスの供給が開始される。
コントローラ30は、燃焼オン時には、給湯温度が設定湯温に制御されるように、缶体13での発生熱量(すなわち、バーナ10への供給熱量)を制御する。具体的には、コントローラ30は、制御部40と、表示部50と、操作部60と、電源70と、電源操作部71とを含む。
制御部40は、給湯装置100の構成機器の動作を制御する。制御部40は、代表的には、所定のプログラムが予め記憶されたマイクロコンピュータによって構成される。制御部40は、バーナ10の燃焼の開始/停止およびバーナ10への燃料ガス供給量を制御するとともに、送風ファン11の作動/停止および作動時のファン回転速度を制御する。
制御部40は、また、COセンサ20への通電量を制御することにより、COセンサ20の素子温度を制御する。制御部40は、さらに、COセンサ20の検出精度を確保するために、給湯装置100に電源が投入され、制御部40およびCOセンサ20への通電が開始されると、後述するCOセンサ20のヒートクリーニング処理およびゼロ点補正処理を連続的に実行する。なお、本願明細書において「連続的」とは、ヒートクリーニング処理およびゼロ点補正処理が順次的に実行されることを意味しており、ヒートクリーニング処理とゼロ点補正処理との間にインターバルが存在することを許容する。
表示部50は、制御部40により情報を表示するように制御される。表示部50に表示される情報は、COセンサ20のヒートクリーニング処理の進行状況を含む。表示部50は、この発明における「報知部」の一実施例に対応する。
電源操作部71は、電源70と電源プラグ72との間に設けられている。たとえば、電源操作部71は、給湯装置100に内蔵された漏電ブレーカに設けることができる。電源操作部71は、給湯装置100に電源を投入または遮断するための操作を受け付ける。操作部71は、たとえば、電源投入用スイッチおよび電源遮断用スイッチを有しており、作業者によって操作することが可能に構成される。
操作部60は、制御部40に内蔵される不揮発性メモリ86(図3参照)をリセットするための操作を受け付ける。後述するように、不揮発性メモリ86は、COセンサ20のゼロ点補正処理を実行したことの履歴を記憶するように構成されている。操作部60が上記操作を受け付けると、不揮発性メモリ86に記憶された履歴がリセットされるとともに、制御部40が制御部40自身をリセットして再起動する。制御部40が再起動することにより、COセンサ20のヒートクリーニング処理およびゼロ点補正処理が連続的に実行され、結果的にCOセンサ20を初期化することができる。言い換えれば、操作部60は「COセンサ20を初期化するための操作」を受け付けるための操作部を実現する。この「COセンサ20を初期化するための操作」とは、不揮発性メモリ86に記憶された履歴をリセットするとともに、制御部40を再起動させてCOセンサ20のヒートクリーニング処理およびゼロ点補正処理を実行させる操作に相当する。操作部60は、この発明における「操作部」の一実施例に対応する。
操作部60は、また、給湯装置100の施工またはメンテナンスの際に、給湯装置100を試運転させるための操作を受け付ける。
電源70は、給湯装置100の構成部品に対する電源供給を行なう。具体的には、電源70は、給湯装置100の外部から電源プラグ72を介して供給される交流電圧(たとえば、AC100V)を、給湯装置100内で用いられる電源電圧(たとえば、DC5VまたはDC15V)に変換して、各構成部品に対して電源電圧を供給する。なお、給湯装置100への電源の投入および遮断は、電源操作部71での操作に代えて、電源コンセントに対する電源プラグ72の抜き差しによっても行なうことができる。
図2は、表示部50および操作部60の構成例を示す図である。図2(A)には、給湯装置100の正面図が示される。給湯装置100の構成部品が格納される筐体の前面は開口されており、当該開口部を覆うようにフロントカバー110が取り付けられている。
フロントカバー110には、給気口120および排気口130が設けられている。送風ファン11が回転すると、筐体内が負圧となるため、給気口120から給湯装置100の内部に空気が導入される。導入された空気は送風ファン11に吸入される。吸入した空気を送風ファン11がバーナ10へ吐出することによって、バーナ10に燃焼用空気が供給される。排気口130は、排気経路15に対応した位置に設けられている。これにより、熱交換器12における熱交換後の排気は、排気経路15および排気口130を経由して給湯装置100の外部に排出される。
フロントカバー110の裏面側にはコントローラ30が取り付けられている。図2(B)に示すように、コントローラ30は、たとえば、図示しないコントローラケース内に、制御部40の制御回路や電源70の電源回路等が形成された基板32が格納された構成とされる。
表示部50および操作部60は、基板32上に配置されている。表示部50は、たとえば7セグメント式のLEDディスプレイで構成されており、制御部40によって制御される。
操作部60は、たとえば複数の操作ボタンで構成されている。複数の操作ボタンは、給湯装置100の施工またはメンテナンスの際に、作業者によって操作(押下など)することが可能に構成されている。複数の操作ボタンには、上述した、給湯装置100を試運転させるための操作を受け付けるための操作ボタン、および不揮発性メモリ86をリセットするための操作(COセンサ20を初期化するための操作)を受け付けるための操作ボタンが含まれる。
ここで、給湯装置100の施工またはメンテナンス時において、作業者によって給湯装置100に電源を投入するために電源操作部71が操作されると、給湯装置100の電源投入およびCOセンサ20への通電開始に続いて、COセンサ20のヒートクリーニング処理およびゼロ点補正処理が連続的に実行される。
あるいは、給湯装置100のメンテナンス時において、作業者によってCOセンサ20を初期化するための操作ボタンが操作されると、不揮発性メモリ86がリセットされるとともに制御部40が再起動し、続いてCOセンサ20のヒートクリーニング処理およびゼロ点補正処理が連続的に実行される。
図2(B)に示されるように、表示部50は、操作部60に近接して設けられており、ヒートクリーニング処理の実行中である旨(たとえば、ヒートクリーニング処理の進行状況)を表示するように構成されている。そのため、作業者は、表示部50での表示に基づいて、ヒートクリーニング処理の進行状況を容易に把握することができる。
次に、COセンサ20のヒートクリーニング処理およびゼロ点補正処理について説明する。
COセンサ20は、表面に水分や汚染物質が付着すると、その性能に変調を来し、センサ出力(出力電圧)に誤差を生じる。COセンサ20のヒートクリーニング処理は、COセンサ20に通常時よりも大きな電流を流してヒートアップ(発熱)させることにより、水分や汚染物質を除去する処理である。ヒートクリーニング処理は、本発明における「COセンサのクリーニング処理」の一実施例に対応する。ヒートアップの実行中には、COセンサ20への通電量の上昇に応じて、COセンサ20の出力電圧が上昇する。ヒートアップを終了すると、COセンサ20の出力電圧は徐々に低下する。COセンサ20の出力電圧は、最終的にCO濃度=0ppmに対応する出力電圧に安定する。
ヒートクリーニング処理の後には、COセンサ20のセンサ出力のゼロ点補正処理が行なわれる。ゼロ点補正処理は、安定後の出力電圧に従って、CO濃度=0ppmに対応するゼロ点を補正する処理である。ゼロ点補正処理は、本発明における「COセンサの出力補正処理」の一実施例に対応する。COセンサ20のゼロ点補正は、COセンサ20の出力電圧を、CO濃度=0ppmと対応付けることによって実行される。
本実施の形態に従う給湯装置100においては、COセンサ20への通電開始時において、制御部40は、バーナ10の燃焼運転を禁止した状態として、COセンサ20のヒートクリーニング処理とゼロ点補正処理とを連続的に実行する。そして、ゼロ点補正処理が終了すると、バーナ10の燃焼運転が許可される。
図3は、図1に示した給湯装置100における制御部40の制御構成を説明するための機能ブロック図である。図3に示された各機能ブロックの機能は、コントローラ30によるソフトウェア処理ないしハードウェア処理によって実現することができる。
図3を参照して、制御部40は、ヒートアップ処理部80と、カウンタ82と、ゼロ点補正処理部84と、不揮発性メモリ86と、タイマ88と、燃焼制御部90とを含む。
ヒートアップ処理部80は、給湯装置100への電源投入がなされて、COセンサ20への通電が開始されると、COセンサ20のヒートアップを実行する。ヒートクリーニング処理では、COセンサ20のヒートアップが1または複数回実行される。
COセンサ20が無通電状態で高温高湿の環境下に長時間放置されていた場合、検知素子の表面に水分や汚染物質が付着することにより、その性能に変調を来し、出力電圧が本来の出力電圧よりも高めにずれる傾向がある。このような現象は、通常、給湯装置100を施工またはメンテナンスをした後のCOセンサ20への通電開始時においてみられる。このような場合、COセンサ20の出力電圧は、ヒートアップが繰り返し実行されるにつれて低下していき(すなわち、COセンサ20の性能が徐々に回復していき)、ヒートアップがたとえば5回程度繰り返されることによって本来の出力電圧レベルに戻る。
一方、電源70の上流側の商用電源等が瞬間的に途切れる瞬時停電(瞬停)が発生したことによって、COセンサ20が短時間、無通電状態となった場合には、COセンサ20の性能はほとんど変調することがなく、本来の出力電圧に対するずれが十分に小さい。そのため、瞬停により制御部40がリセットしてしまい、再起動する場合、ヒートアップを5回よりも少ない回数(たとえば1回程度)行なうことで、本来の出力電圧レベルに戻すことができる。
したがって、ヒートクリーニング処理の実行時間は、COセンサ20が無通電状態にある非作動時間が長くなるほど、長くなるように設定することが好ましい。たとえば、COセンサ20の非作動時間が長くなるほど、ヒートアップの実行回数が多くなるように、ヒートアップの設定回数Nh*を決定することが好ましい。本実施の形態に従う給湯装置100では、後述するように、不揮発性メモリ86に記憶されている、ゼロ点補正処理を実行したことの履歴に基づいて、ヒートアップの設定回数Nh*が決定される。その一態様として、当該履歴に基づいて、ヒートアップの設定回数Nh*は「1回」および「5回」のいずれかに決定されるものとする。すなわち、Nh*=1は本発明における「第1の回数」の一実施例に対応し、Nh*=5は「第2の回数」の一実施例に対応する。
ヒートアップ処理部80は、COセンサ20への通電が開始されると、カウンタ82のカウント値を0にセットしてから、ヒートアップを実行する。カウンタ82は、ヒートアップを実行した回数(以下、「ヒートアップ回数Nh」とも称する)をカウントする。1回のヒートアップが終了すると、カウンタ82はカウント値を+1だけ増加させる。
ヒートアップの設定回数Nh*が5回である場合(Nh*=5)、ヒートアップ処理部80は、ヒートアップを繰り返し実行するとともに、カウンタ82のカウント値(すなわち、ヒートアップ回数Nh)を表示部50に表示させる。すなわち、ヒートクリーニング処理の進行状況を表示部50に表示させる。
ここで、ヒートクリーニング処理が終了するまでには、1回のヒートアップの所要時間の5倍に相当する時間が少なくとも必要となる。1回のヒートアップに数分間要する場合、ヒートクリーニング処理の所要時間は数分から十数分間に及ぶこととなる。したがって、この数分から十数分間、バーナ10の燃焼運転が禁止されることとなる。
ところが、ヒートクリーニング処理の実行中は、COセンサ20の外観上ヒートアップが行なわれているか否かを判断することが容易でない。そのため、作業者は、バーナ10の燃焼運転の禁止が長時間に及んでいることを、給湯装置100に不具合が発生していると誤認してしまう虞がある。その結果、作業者は、不具合を解消しようとして、給湯装置100を再起動すべく操作部60を用いて電源リセットを行なう可能性がある。この電源リセットによってCOセンサ20への通電が再開されると、ヒートクリーニング処理が最初からやり直されるため、作業者の疑念や混乱を増長させてしまうことが懸念される。また、ヒートクリーニング処理の実行時間がさらに長期化されるため、作業効率の低下を招くことが懸念される。
上述したように、本実施の形態によれば、ヒートアップ回数Nhが5回に満たない期間において、ヒートアップ回数Nhを表示部50に表示させることにより、作業者に対して、ヒートクリーニング処理が実行中である旨を報知することができる。これにより、長時間燃焼運転が禁止されることに対する作業者の誤認を防止できるため、作業者の疑念および混乱を払拭することができる。よって、不要な電源リセットが実行されることを防ぐことができ、結果的に作業効率の低下を回避することができる。
一方、ヒートアップの設定回数Nh*が1回である場合(Nh*=1)には、設定回数Nh*が5回である場合に比べて、ヒートクリーニング処理の所要時間が相対的に短くなる。そのため、バーナ10の燃焼運転が禁止される時間も相対的に短くなり、作業者に疑念や混乱を生じさせる可能性が低いといえる。したがって、ヒートアップ処理部80は、ヒートアップ回数Nhを表示部50に表示させないこととする。
このように、本実施の形態に従う給湯装置100は、ヒートアップの設定回数Nh*に応じて、ヒートクリーニング処理が実行中である旨を報知するか否かを切り替えることができる。言い換えれば、ヒートクリーニング処理の実行時間に応じて、ヒートクリーニング処理が実行中である旨を報知するか否かを切り替えることができる。これによれば、ヒートアップの設定回数Nh*が多く、ヒートクリーニング処理の実行時間が長くなる状況において、ヒートクリーニング処理の実行中である旨を作業者に効果的に報知することができる。その結果、このような状況での作業者の疑念や混乱を払拭して、不要な電源リセットを効果的に防ぐことができる。
ゼロ点補正処理部84は、ヒートアップ回数Nhが設定回数Nh*(5回または1回)に到達してヒートクリーニング処理が終了すると、COセンサ20のゼロ点補正処理を実行する。ゼロ点補正処理部84は、COセンサ20の出力電圧が安定化すると、安定後の出力電圧をCO濃度=0ppmと対応付ける。
不揮発性メモリ86は、COセンサ20のゼロ点補正処理を実行したことの履歴を記憶する。不揮発性メモリ86は、たとえば、ゼロ点補正処理を実行した回数(以下、「ゼロ点補正回数Nz」とも称する)を記憶する。ゼロ点補正処理部84は、ゼロ点補正処理が終了すると、ゼロ点補正回数Nzを+1だけ増加させて不揮発性メモリ86に記憶させる。
ただし、上述したように、操作部60がCOセンサ20を初期化するための操作を受け付けたときには、ゼロ点補正処理部84は、不揮発性メモリ86に記憶されるゼロ点補正回数Nzをリセットする。すなわち、ゼロ点補正回数Nzは初期値であるNz=0に設定される。さらに、制御部40は自身を再起動させる。
タイマ88は、COセンサ20が無通電状態にある非作動時間を計時する。タイマ88は、電源70とは別の予備電源(バッテリなど)から常時給電される構成となっている。給湯装置100への電源供給が停止してCOセンサ20が無通電状態となると、タイマ88は計時動作を開始する。タイマ88は電源供給が停止されてからの経過時間をカウントアップし、カウント値をゼロ点補正処理部84へ出力する。給湯装置100への電源が再投入されて制御部40およびCOセンサ20の通電が開始されると、タイマ88は計時動作を停止するとともに、カウント値を0にセットする。
制御部40が再起動すると、ゼロ点補正処理部84は、タイマ88のカウント値を参照する。ゼロ点補正処理部84は、タイマ88により計時されたCOセンサ20の非作動時間が閾値時間を超えているときには、不揮発性メモリ86に記憶されるゼロ点補正回数Nzをリセットする(Nz=0)。なお、閾値時間は、COセンサ20が無通電状態で高温高湿の環境下に放置されている状況を想定して、COセンサ20の性能が変調を来す可能性がある非作動時間に設定されている。
以上のことから、ゼロ点補正回数Nz=0であることは、COセンサ20を初期化するための操作がなされたこと、または、COセンサ20の非作動時間が閾値時間を超えていることを示している。そこで、ヒートアップ処理部80は、制御部40への通電開始時において、不揮発性メモリ86に記憶されるゼロ点補正回数NzがNz=0である場合には、ヒートアップの実行回数を「5回」に設定する(設定回数Nh*=5)。一方、ゼロ点補正回数NzがNz≧1である場合には、ヒートアップ処理部80は、ヒートアップの実行回数を「1回」に設定する(設定回数Nh*=1)。
燃焼制御部90は、COセンサ20のゼロ点補正処理が終了して、バーナ10の燃焼運転が許可されると、バーナ10の燃焼の開始/停止およびバーナ10への燃料ガス供給量を制御するとともに、送風ファン11の作動/停止および作動時のファン回転速度を制御する。
図4は、COセンサ20のヒートクリーニング処理およびゼロ点補正処理の一実施態様を説明するための図である。図4では、COセンサ20の制御の流れとともに、不揮発性メモリ86に記憶されるゼロ点補正回数Nz、および表示部50の状態の変化が示されている。
図4を参照して、時刻t1は、給湯装置100が施工されて最初に電源が投入されたタイミングを想定している。このタイミングでは、COセンサ20が無通電状態で長時間放置されていたことで、センサ出力のゼロ点変動が大きくなる可能性が高い。時刻t1にて給湯装置100への電源が投入されて制御部40およびCOセンサ20の通電が開始されると、COセンサ20のヒートクリーニング処理が実行される。
ヒートクリーニング処理では、最初に、不揮発性メモリ86に記憶されているゼロ点補正回数Nzに基づいて、ヒートアップの設定回数Nh*が決定される。図4の例では、ゼロ点補正回数Nz=0であるため、設定回数Nh*が「5回」に決定される(Nh*=5)。
次に、カウンタ82のカウント値Nhが0にセットされた後、1回目のヒートアップが実行される。1回のヒートアップが終了すると、カウンタ82はカウント値(ヒートアップ回数Nh)を+1だけ増加させる。表示部50には、ヒートクリーニング処理の進行状況を示すものとして、ヒートアップ回数Nhが表示される。
図5には、表示部50における表示例が示される。図2(B)で示したように、表示部50は、基板32に搭載された、7セグメント式のLEDディスプレイで構成されている。このLEDディスプレイによりヒートアップ回数Nhが表示(点灯)される。たとえば、1回目のヒートアップが終了すると、表示部50には「C01」という文字が表示され、2回目のヒートアップが終了すると、表示部50には「C02」という文字が表示される。このように、ヒートアップが終了するごとに、LEDディスプレイの数字部分が更新されていく。
時刻t2にて5回目のヒートアップが終了すると、表示部50は消灯されて非表示状態となる。時刻t1から時刻t2までの時間は本発明における「第2の時間」に対応する。本実施の形態では、第2の時間は数分間から十数分間の長さを有している。ヒートクリーニング処理に続いてCOセンサ20のゼロ点補正処理が実行される。時刻t3にてゼロ点補正処理が終了すると、ゼロ点補正回数Nzは+1加算されて、Nz=1となる。時刻t3以降、バーナ10の燃焼運転が許可される。
その後、給湯装置100が試運転または通常運転に移行され、時刻t4にてバーナ10の燃焼運転が開始されると、COセンサ20は燃焼部の排ガス中のCO濃度を検出し、検出値をコントローラ30内部の制御部40へ出力する。制御部40は、排ガス中のCO濃度が所定の許容濃度を超えると、その旨を報知するとともに、バーナ10の燃焼運転を強制的に停止させる。
時刻t6にてCOセンサ20を初期化するための操作が行なわれると、不揮発性メモリ86に記憶されているゼロ点補正回数Nzがリセットされ(Nz=0)、続いて制御部40の再起動が行なわれる。時刻t6は、給湯装置100のメンテナンス時において、COセンサ20の性能を改善させるためにCOセンサ20が初期化されるタイミングを想定している。
制御部40が再起動すると、COセンサ20のヒートクリーニング処理が実行される。このときのゼロ点補正回数Nz=0であるため、ヒートアップの設定回数Nh*が「5回」に決定される(Nh*=5)。
時刻t1での電源投入時と同様に、時刻t6ではカウンタ82のカウント値Nhが0にセットされた後、1回目のヒートアップが実行される。1回のヒートアップが終了するごとに、カウンタ82はカウント値(ヒートアップ回数Nh)を+1だけ増加させる。表示部50にはヒートアップ回数Nhが表示される(図5参照)。
時刻t7にて5回目のヒートアップが終了すると、表示部50は消灯されて非表示状態となる。時刻t6から時刻t7までの時間は本発明における「第2の時間」に対応する。続いて時刻t8にてゼロ点補正処理が終了すると、ゼロ点補正回数Nzは+1加算されて、Nz=1となる。時刻t8以降、バーナ10の燃焼運転が許可される。
給湯装置100が試運転または通常運転に移行され、時刻t9にてバーナ10の燃焼運転が開始されると、COセンサ20は燃焼部の排ガス中のCO濃度を検出し、検出値をコントローラ30内部の制御部40へ出力する。
時刻t10にて、電源70が瞬間的に途切れる瞬時停電(瞬停)が発生し、制御部40およびCOセンサ20が無通電状態となると、タイマ88はCOセンサ20の非作動時間の計時動作を開始する。COセンサ20の非作動時間が閾値時間を超えたとき、不揮発性メモリ86に記憶されるゼロ点補正回数Nzはリセットされる(Nz=0)。
図4の例では、時刻t10から、電源70が復旧した時刻t11までの時間は閾値時間よりも十分に短いものとする。したがって、ゼロ点補正回数Nzはリセットされず、Nz=1に保持される。
時刻t11にて電源70が復旧して制御部40が再起動するとともにCOセンサ20への通電が再開されると、COセンサ20のヒートクリーニング処理が実行される。このときの不揮発性メモリ86に記憶されているゼロ点補正回数Nz=1であるため、ヒートアップの設定回数Nh*が「1回」に決定される(Nh*=1)。カウンタ82のカウント値Nhが0にセットされた後、1回目のヒートアップが実行される。1回のヒートアップが終了すると、カウンタ82はカウント値(ヒートアップ回数Nh)を+1だけ増加させる。ただし、表示部50はヒートアップ回数Nhを表示することなく、非表示状態となっている。
時刻t12にて1回目のヒートアップが終了すると、続いてゼロ点補正処理が実行される。時刻t11から時刻t12までの時間は本発明における「第1の時間」に対応する。第1の時間は、第2の時間に比べて短い時間であり、本実施の形態では数分間の長さを有する。時刻t13にてゼロ点補正処理が終了すると、ゼロ点補正回数Nzは+1加算されて、Nz=2となる。時刻t13以降、バーナ10の燃焼運転が許可される。
なお、図示は省略するが、電源70の停電が発生した時点からのCOセンサ20の非作動時間が閾値時間を超えた場合には、不揮発性メモリ86に記憶されるゼロ点補正回数Nzがリセットされることとなる。この場合、電源70が復旧して制御部40が再起動するとともにCOセンサ20への通電が再開されたときには、ゼロ点補正回数Nz=0に基づいて、ヒートアップの設定回数Nh*が「5回」に設定される。したがって、停電が長時間に及んだことに起因してCOセンサ20の性能に変調を来している場合であっても、ヒートクリーニング処理によってその性能を回復させることができる。この場合もヒートクリーニング処理中は、表示部50にヒートクリーニング処理の進行状況(ヒートアップ回数Nh)が表示されるため、不要な電源リセットを抑制することができ、復旧作業における作業性を向上させることができる。
図6および図7は、本発明の実施の形態に従う給湯装置におけるCOセンサ20のヒートクリーニング処理およびゼロ点補正処理の手順を説明するためのフローチャートである。図6および図7のフローチャートは、制御部40内のマイコンによって実行することができる。
図6を参照して、制御部40は、ステップS01により、COセンサ20への通電が開始されたか否かを判定する。なお、COセンサ20が通電されていない場合(ステップS01のNO判定時)には、制御部40も通電されていないため、制御部40内のマイコンもダウンしており、実質的にステップS01の処理を実行することができない。この場合には、ステップS13により、予備電源で動作するタイマ88によって、COセンサ20の非作動時間(給湯装置100への電源供給が停止されてからの経過時間)が計時される。
これに対して、制御部40への通電が開始されると、制御部40内のマイコンが起動されるため、ステップS01の処理を実行することができる。すなわち、制御部40およびCOセンサ20の通電が開始されて制御部40が起動すると(S01のYES判定時)、制御部40は、ステップS02により、タイマ88のカウント値を参照し、計時されたCOセンサ20の非作動時間と閾値時間とを比較する。
COセンサ20の非作動時間が閾値時間以上である場合(S02のYES判定時)、制御部40は、ステップS03により、不揮発性メモリ86に記憶されるゼロ点補正回数Nzをリセットする(Nz=0)。リセットされたゼロ点補正回数Nzは不揮発性メモリ86に書き込まれる(ステップS04)。
一方、COセンサ20の非作動時間が閾値時間よりも短い場合(S02のNO判定時)には、制御部40は、ステップS14により、不揮発性メモリ86に記憶されるゼロ点補正回数Nzを保持する。
続いて制御部40は、COセンサ20のヒートクリーニング処理およびゼロ点補正処理を実行する。具体的には、制御部40は、ステップS05により、不揮発性メモリ86からゼロ点補正回数Nzを読み出す。読み出したゼロ点補正回数NzがNz=0である場合(S06のYES判定時)、制御部40は、ステップS07に進み、ヒートアップの設定回数Nh*を5回に決定する。
次に、制御部40は、ステップS08により、カウンタ82のカウント値(ヒートアップ回数Nh)を0にセットする。制御部40は、ステップS09により、表示部50にヒートクリーニング処理の進行状況を表示する。図5に示したように、表示部50には、ヒートアップ回数Nhが表示される。制御部40は、ステップS10により、COセンサ20のヒートアップを実行し、1回のヒートアップが終了すると、ステップS11により、カウンタ82のカウント値(ヒートアップ回数Nh)を+1だけ増加させる。したがって、表示部50に表示されるヒートアップ回数Nhも+1だけ増加する。
制御部40は、ステップS12により、ヒートアップ回数Nhが設定回数Nh*に達したか否かを判定する。ヒートアップ回数Nhが設定回数Nh*(Nh*=5)に満たない場合(ステップS12のNO判定時)、制御部40は、ステップS09に戻り、ヒートアップの実行と進行状況の表示とを繰り返す。
一方、ヒートアップ回数Nhが設定回数Nh*(Nh*=5)に達すると(S12のYES判定時)、制御部40は、図7のステップS20に進み、COセンサ20のゼロ点補正処理を実行する。ゼロ点補正処理が終了すると、制御部40は、ステップS21により、ゼロ点補正回数Nzを+1だけ増加させる。ステップS22により、ゼロ点補正回数Nzは不揮発性メモリ86に書き込まれる。
これに対して、図6のステップS06に戻って、不揮発性メモリ86から読み出したゼロ点補正回数NzがNz=0でない、すなわち、Nz≧1である場合(S06のNO判定時)、制御部40は、ステップS15に進み、ヒートアップの設定回数Nh*を1回に決定する。
次に、制御部40は、ステップS16により、カウンタ82のカウント値(ヒートアップ回数Nh)を0にセットすると、ステップS17により、COセンサ20のヒートアップを実行する。1回のヒートアップが終了すると、制御部40は、ステップS18により、カウンタ82のカウント値(ヒートアップ回数Nh)を+1だけ増加させる。なお、設定回数Nh*=1の場合、ヒートクリーニング処理にステップS09の処理(進行状況を表示)が含まれない。
制御部40は、ステップS19により、ヒートアップ回数Nhが設定回数Nh*に達したか否かを判定する。ヒートアップ回数Nhが設定回数Nh*(Nh*=1)に満たない場合(ステップS19のNO判定時)、制御部40は、ステップS17に戻り、ヒートアップを実行する。
一方、ヒートアップ回数Nhが設定回数Nh*(Nh*=1)に達すると(S19のYES判定時)、制御部40は、図7のステップS20に進み、COセンサ20のゼロ点補正処理を実行する。ゼロ点補正処理が終了すると、制御部40は、ステップS21により、ゼロ点補正回数Nzを+1だけ増加させる。ステップS22により、ゼロ点補正回数Nzは不揮発性メモリ86に書き込まれる。
COセンサ20のゼロ点補正処理が終了すると、バーナ10の燃焼運転が許可される。制御部40は、ステップS23に進み、バーナ10の燃焼運転が開始されたか否かを判定する。バーナ10の燃焼運転は、給湯装置100を試運転させるための操作がなされたこと、または、給湯装置100の運転指令がオンされ、入水路から導入された水の流量が最低作動流量(MOQ)を超えたことに応じて開始される。バーナ10の燃焼運転が開始されると(S23のYES判定時)、ステップS24により、COセンサ20は排ガス中のCO濃度を検出する。COセンサ20の出力電圧に基づいて、制御部40は、排ガス中のCO濃度が許容濃度を超えているか否かを判定し、CO濃度が許容濃度を超えている場合にはバーナ10の燃焼運転を強制的に停止させる。
制御部40は、ステップS25により、操作部に対してCOセンサ20を初期化するための操作が行なわれたか否かを判定する。当該操作が行なわれていない場合(S25のNO判定時)、制御部40は、処理をステップS23に戻す。
一方、COセンサ20を初期化するための操作が行なわれた場合(S25のYES判定時)には、制御部40は、ステップS26により、不揮発性メモリ86に記憶されているゼロ点補正回数Nzをリセットする。ステップS27により、リセットされたゼロ点補正回数Nzは不揮発性メモリ86に書き込まれる。さらに、ステップS28により、制御部40は再起動される。制御部40の再起動が行なわれると、図6のステップS01に処理が戻され、COセンサ20のヒートクリーニング処理およびゼロ点補正処理が実行されることとなる。
このように、本実施の形態に従う給湯装置100によれば、不揮発性メモリ86にCOセンサ20のゼロ点補正処理を実行した履歴がない場合には、該履歴がある場合に比べて、COセンサの性能に変調を来している可能性が高いため、その性能を回復させるために、より長い時間をかけてCOセンサ20のヒートクリーニング処理が実行されることとなる。そして、このヒートクリーニング処理時には、ヒートクリーニング処理が実行中である旨が報知されるため、たとえば給湯装置100の施工またはメンテナンスの現場において、長時間燃焼運転が禁止されることに対する作業者の疑念や混乱を払拭することができる。これにより、不要な電源リセットが防止されるため、結果的に作業性を向上させることができる。
また、本実施の形態に従う給湯装置100においては、ヒートクリーニング処理の実行時間が相対的に短く、作業者に疑念や混乱を生じさせる可能性が低い場合には、ヒートクリーニング処理が実行中である旨の報知を行なわない構成とすることで、ヒートクリーニング処理の実行時間が長くなる状況において、ヒートクリーニング処理の実行中である旨を作業者に効果的に報知することができる。その結果、このような状況での作業者の疑念や混乱を抑制して、不要な電源リセットを効果的に防ぐことができる。
なお、上述した実施の形態では、ゼロ点補正処理が終了した際に、ゼロ点補正処理を行なったことの履歴として、ゼロ点補正回数Nzを不揮発性メモリ86に記憶させる構成について説明したが(図7のステップS20~S22参照)、ヒートクリーニング処理の終了後(すなわち、図6のステップS12またはS19のYES判定時)に、ヒートクリーニング処理を行なったことの履歴を不揮発性メモリ86に記憶させる構成としてもよい。上述したように、ヒートクリーニング処理とゼロ点補正処理とは連続的に実行されるため、ゼロ点補正処理を実行した履歴の代用として、ヒートクリーニング処理を実行した履歴を記憶することによっても、上記実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、上述した実施の形態では、コントローラ30を構成する基板32に搭載された表示部50(図2(B)参照)を用いてヒートクリーニング処理の実行中である旨を報知する構成について説明したが、本発明における「報知部」の構成はこれに限定されるものではない。たとえば、ヒートクリーニング処理の実行中である旨を、音声で報知する構成を採ることも可能である。
また、図5に示した表示部50における表示例では、ヒートクリーニング処理の進行状況を示す情報として「ヒートアップ回数Nh」を表示する構成としたが、表示部50における表示態様はこれに限定されるものではない。たとえば、設定回数Nh*に対するヒートアップ回数Nhの比率、ヒートアップの設定回数Nh*に対する残りの回数、ヒートクリーニング処理の所要時間に対する残り時間などを表示する構成としてもよい。また、表示部50の構成についても、7セグメント式のLEDディスプレイに限定されることなく、任意の構成とすることができる点についても確認的に記載する。
また、COセンサ20を初期化するための操作を受け付けるための操作部を、コントローラ30を構成する基板32に設ける構成を例示したが、当該操作部を給湯装置100のリモコンに設ける構成としてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲よって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。