以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当する部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[給湯装置の構成]
図1は、本発明の実施の形態に従う燃焼装置を含むガス給湯装置100の概略構成図である。
図1を参照して、ガス給湯装置100は、燃焼ガスを燃焼させるバーナ10と、送風ファン11と、熱交換器12と、COセンサ20と、制御部30とを備える。図1に例示したガス給湯装置100において、バーナ10、COセンサ20および、制御部30によって、本発明が適用される燃焼装置が構成される。
送風ファン11は、バーナ10に対して空気を供給する。送風ファン11からの送風量は、ファン回転数に応じて決まる。熱交換器12は、バーナ10によって発生された燃焼ガスから熱回収を行なって、熱交換器12内部を通流する湯水を加熱する。これにより、ガス給湯装置100は、入水路から導入された水を加熱して出湯することができる。
COセンサ20は、バーナ10からの燃焼ガスの排気路に配置される。COセンサ20は、排ガス中のCO濃度を検出する。COセンサ20としては、後述するように、接触燃焼式センサが用いられる。排ガス中にCOが存在すると、COセンサ20の出力電圧はCO濃度に応じて変化する。COセンサ20の出力電圧は制御部30へ送出される。
制御部30は、COセンサ20の出力電圧に基づいて、排ガス中のCO濃度が所定の基準濃度を超えたか否かを判定する。CO濃度が所定の基準濃度を超えたと判定されたとき、制御部30は、たとえば警報音発生や警報表示などにより異常を報知する。制御部30はさらに、バーナ10への燃料ガスの供給を遮断することにより、バーナ10の燃焼を強制的に停止させる。
制御部30は、ガス給湯装置100の構成機器の動作を制御する。制御部30は、代表的には、所定プログラムが予め記憶されたマイクロコンピュータによって構成される。制御部30は、バーナ10の燃焼の開始/停止およびバーナ10への燃料ガス供給量を制御するとともに、送風ファン11の作動/停止ならびに作動時のファン回転数を制御する。また、制御部30は、後述するCOセンサ20の制御モードに応じてCOセンサ20への通電量を調整することにより、COセンサ20の素子温度を制御する。
さらに、制御部30は、COセンサ20の検出精度を確保するために、後述するCOセンサ20のヒートアップ処理およびゼロ点補正処理を制御する。
[COセンサの構成]
図2は、図1におけるCOセンサ20の構成を示す断面模式図である。
図2を参照して、COセンサ20は、接触燃焼式センサであって、センサ本体201と、電源回路202とを含む。センサ本体201は、検知素子21aと、比較素子21bと、一対のピン22a,22bと、干渉防止板23と、基台24と、カバー25aと、金網25bと、リード線26と、断熱部材27とを含む。
検知素子21aは、排ガス中の被検知物質に感応する。図3は、図2の検知素子21aの部分透視図である。図3を参照して、検知素子21aは、白金線を巻回して形成されたコイル形状部22を、酸化アルミニウム、パラジウム等の適宜の燃焼触媒を含有させた球状の担体で覆うことによって形成されている。
比較素子21bは、温度等周囲の環境による検出値への影響を排除するために設けられる。比較素子21bは、燃焼触媒を有しない点を除いて検知素子21aと同様に構成されている。
検知素子21aおよび比較素子21bの間には、互いに干渉しないように干渉防止板23が設けられている。検知素子21a、比較素子21bおよび干渉防止板23は、金網25b、カバー25aおよび基台24から構成されるハウジング内に収納されている。
具体的には、金網25bは、たとえばSUS(Steel Use Stainless)からなる二重金網によって筒型状に形成されており、周壁および頂壁を有している。この周壁および頂壁には、金網の微小の網目孔である微小連通孔が形成されている。被検知ガスが金網25bに当たると、被検知ガスが金網25bの微小連通孔から染み込むようにして金網25bの内部に入り込む。
カバー25aは、基台24の表面に設置される。カバー25aの上端部にはフランジが形成されている。このフランジの先端部は、金網25b側に折り曲げられて金網25bの周壁の上端に接触している。これにより、カバー25aと金網25bの周壁との間は閉じられた空間となり、熱遮断効果を奏する。
検知素子21aおよび比較素子21bの白金線は、基台24を貫通する一対のピン22a,22bに接続される。一対のピン22a,22bの先端部は、基台24の裏面側から突出され、かつ各々に対してリード線26が接続される。これにより、検知素子21aおよび比較素子21bの出力値は、対応するピン22a,22bおよびリード線26を介してセンサ本体201の外部へ出力される。
断熱部材27は、一対のピン22a,22bを覆うように設けられる。断熱部材27は、基台24の裏面側の外部の温度変化がピン22a,22bに伝達されるのを阻止する。
図4は、センサ本体201の回路構成を示す図である。図4を参照して、検知素子21aおよび比較素子21bは、抵抗ブリッジ回路に組み込まれている。
電源回路202は、検知素子21aおよび比較素子21bの直列回路に並列に接続される。電源回路202から検知素子21aおよび比較素子21bに流す電流量(通電量)を、制御部30からの指令に従って調整することによって、検知素子21aおよび比較素子21bの素子温度を制御することができる。
具体的には、バーナ10が燃焼運転している場合、検知素子21aおよび比較素子21bは、電源回路202から電源供給を受けて所定の温度に加熱される。この状態で、バーナ10の燃焼動作により発生した排ガスが排気路を流通して検知素子21aに接触すると、触媒による接触燃焼反応が生じる。この反応によって検知素子21aの温度が上昇して電気抵抗が大きくなることにより、検知素子21aと、接触燃焼反応を起こさない比較素子21bとの間で抵抗バランスが崩れる。この抵抗バランスの崩れに応じて抵抗ブリッジ回路から出力される電圧Voutが変化する。この出力電圧VoutはCO濃度に応じて変化する。制御部30は、COセンサ20の出力電圧Voutの変化に基づいてCO濃度を検出することができる。
[COセンサの素子温度制御]
1.COセンサの制御モード
ガス給湯装置100は、バーナ10の燃焼運転の実行/停止に応じて、COセンサ20の素子21a,21bの温度制御の態様が異なる複数の制御モードを有する。複数の制御モードは、バーナ10の燃焼運転中および、バーナ10の燃焼運転の終了によりバーナ10の燃焼が停止された時点から所定の待機時間T1中における素子温度を制御する「通常モード」と、上記待機時間T1が経過した後のバーナ10の燃焼待機中における素子温度を制御する「省電力モード」とを含む。省電力モードとは、後述するように、通常モードに比べて燃焼待機中における消費電力を小さくした制御モードである。
制御部30は、バーナ10の燃焼運転が開始したとき、COセンサ20の制御モードとして通常モードを選択する。そして、バーナ10の燃焼が停止された時点から待機時間T1が経過した後に、制御モードを通常モードから省電力モードに切り替える。
通常モードでは、COセンサ20の素子温度を所定の温度TE_Highに制御する。通常モードにおける制御温度TE_Highは、バーナ10の燃焼中に素子21a,21bの表面に水分や汚染物質が付着するのを防止して、CO濃度検出機能を発揮させることが可能な温度である。制御温度TE_Highは、たとえば250℃に設定される。制御部30は、素子温度が制御温度TE_High(250℃)となるように、電源回路202における素子21a,21bへの通電量を制御する。
バーナ10の燃焼運転の終了によりバーナ10の燃焼が停止された時点から待機時間T1が経過するまで、制御部30は通常モードを選択する。これにより、待機時間T1中においても、素子は制御温度TE_Highに維持される。この待機時間T1は、燃焼運転の終了直後は排気路内の湿度が高い状態となっていることから、送風ファン11による排気路の掃気によって湿度が十分に低下するまで素子を高温状態に保つことを目的として設定される。さらに、待機時間T1は、後述するように、ガス給湯装置100の使用性を損ねないという観点から、ガス給湯装置100が長時間に亘って運転停止されているときに省電力モードが選択されるように設定される。
なお、制御部30は、ガス給湯装置100の電源投入後、バーナ10の燃焼が開始されるまでの待機時間が上記待機時間T1に達していないときにも、COセンサ20の制御モードとして通常モードを選択する。一方、制御部30は、バーナ10の燃焼運転が待機される時間が待機時間T1に達すると、制御モードを通常モードから省電力モードに移行する。
省電力モードでは、素子温度が上述した制御温度TE_Highよりも低い温度になることを許容する。具体的には、省電力モードの選択中、制御部30は、電源回路202からCOセンサ20の素子21a,21bへの通電を停止させる。これにより、COセンサ20は無通電状態となる。
なお、上述したCOセンサ20を無通電状態とする構成に代えて、COセンサ20の素子温度を制御温度TE_Highよりも低い所定の温度TE_Lowに制御する構成としてもよい。省電力モードにおける制御温度TE_Lowは、バーナ10の燃焼停止中であって、排気路内の湿度が比較的低い状態において、素子21a,21bに水分が吸着するのを防止できる温度である。制御温度TE_Lowは、たとえば150℃に設定される。制御部30は、素子温度が制御温度TE_Low(150℃)となるように、電源回路202における素子21a,21bへの通電量を制御する。このときの通電量は、上述した通常モードにおける通電量よりも小さいため、省電力モード中の消費電力を低減できる。また、上述したCOセンサ20を無通電状態とする構成に比べて、省電力モード中の消費電力が増えるものの、省電力モード中に素子21a,21bに水分が付着するのを抑制できる。これにより、省電力モードから通常モードへ復帰する際に、後述するヒートアップ立上り時間を短縮することができる。
制御部30は、省電力モード中にガス給湯装置100の給湯運転要求に応答してバーナ10への燃焼指令が生成された場合には、COセンサ20を省電力モードから通常モードへ復帰させる。制御部30は、COセンサ20を省電力モードから復帰させるときには、COセンサ20に通常モード時よりも大きな電流を流して発熱させるヒートアップ処理を実行する。たとえば、制御部30は、素子21a,21bを500℃に加熱する。これにより、素子21a,21bに付着した水分や汚染物質を除去することができる。
2.ヒートアップ処理およびゼロ点補正処理
図5は、ヒートアップ処理およびゼロ点補正処理の実行時におけるCOセンサ20の出力電圧挙動を説明するための概念的な波形図である。図5の縦軸は、COセンサ20の出力電圧に対応するCO濃度を示す。
図5において、細実線は、ガス給湯装置100の排気路内部の温度が40℃、かつ湿度が50%RH(Relative Humidity)のときのセンサ出力の挙動を示し、太実線は、排気路内部の温度が40℃、かつ湿度が95%RHのときのセンサ出力の挙動を示す。すなわち、細実線と太実線とは、ガス給湯装置100内部の温度が等しく湿度が異なっている。
図5を参照して、時刻t0以前において、COセンサ20の制御モードとして省電力モードが選択されており、COセンサ20は無通電状態となっている。時刻t0からt1の間、ヒートアップ処理が実行される。ヒートアップ処理の実行中には、COセンサ20への通電量の上昇に応じて、COセンサ20の出力(出力電圧に対応するCO濃度)が上昇する。
時刻t1において、ヒートアップ処理が終了されると、COセンサ20の出力電圧は徐々に低下する。COセンサ20の出力電圧は、最終的にCO濃度=0ppmに対応する出力電圧に安定化する。ヒートアップ処理の終了後には、COセンサ20の出力電圧が安定化したか否かを判別するドリフトチェック処理が周期的に実行される。たとえば時刻t2において、周期間での電圧変化が所定値よりも小さくなると、ドリフトチェック処理が終了する。
時刻t2からは、安定後のセンサ出力電圧に従って、CO濃度=0ppmに対応するゼロ点を修正するゼロ点補正処理が実行される。COセンサ20のゼロ点補正は、ゼロ点補正処理時におけるセンサ出力電圧を、CO濃度=0ppmと対応付けることによって実行される。制御部30は、ゼロ点補正処理時のセンサ出力電圧に基づいてゼロ点の変動量αを算出し、その算出した変動量にゼロ点変動量を更新する。
時刻t3において、ゼロ点補正処理が完了することにより、一連のヒートアップ処理、ドリフトチェック処理およびゼロ点補正処理が完了する。ゼロ点補正処理が完了すると、バーナ10の燃焼運転が許可され、バーナ10の燃焼が開始する。
ここで、ヒートアップ処理を開始した時刻t0からセンサ出力が所定の基準値(たとえばCO濃度=4000ppmに対応する出力電圧とする)に達する時刻までの時間を、「ヒートアップ立上り時間」と定義する。湿度50%RHのときの出力電圧挙動と、湿度95%RHのときの出力電圧挙動との間でこのヒートアップ立上り時間を比較すると、湿度50%RHのときのヒートアップ立上り時間(時刻t0からt11までの時間に相当)は、湿度95%RHのときのヒートアップ立上り時間(時刻t0からt12までの時間に相当)よりも短くなっている。これは、湿度が高い状態ではCOセンサ20の素子に多くの水分が付着するため、素子温度が上昇し始めるまでに長い時間がかかるためである。このため、ガス給湯装置100内部の湿度が高くなるに従って、ヒートアップ立上り時間が長くなる傾向がある。
図6は、図5に示す波形図から、CO濃度=0ppm付近の出力電圧挙動を抜き出した波形図である。なお、図6では、図5よりも長い時間間隔でのCOセンサ20の出力電圧挙動を示している。
図6を参照して、湿度50%RHのときと湿度95%RHのときとでは、安定後のセンサ出力電圧が異なっている。湿度95%RHのときのゼロ点変動量は、湿度50%RHのときのゼロ点変動量よりも大きくなっている。すなわち、ガス給湯装置100内部の湿度が高くなるに従って、ゼロ点変動量が大きくなる傾向がある。
このように、ヒートアップ処理およびゼロ点補正処理においては、ガス給湯装置100内部の湿度によってヒートアップ立上り時間およびセンサ出力電圧のゼロ点変動量に違いが現れる。詳細には、ガス給湯装置100内部の湿度が高いときには、ヒートアップ立上り時間が長くなるとともに、ゼロ点変動量が大きくなる。ゼロ点変動量が大きいのは、COセンサ20の素子に付着した水分がヒートアップ処理によっても除去しきれず残っているためと考えられる。これに対して、ガス給湯装置100内部の湿度が低いときには、ヒートアップ立上り時間が短くなるとともに、ゼロ点変動量が小さくなる。これによれば、湿度が十分に低いためにゼロ点の変動がほとんど生じていないような場合には、ゼロ点補正が不要となり得る。
本実施の形態では、このようなヒートアップ立上り時間とゼロ点変動量との相関関係を利用して、ヒートアップ立上り時間に基づいてCOセンサ20ゼロ点補正が必要であるか否かを判定する。具体的には、制御部30は、ヒートアップ処理の開始後のヒートアップ立上り時間を検出し、検出したヒートアップ立上り時間と所定の閾値時間T4とを比較する。この閾値時間T4は、ヒートアップ立上り時間とゼロ点変動量との相関関係に基づいて、ゼロ点変動量が所定の許容範囲内となるときのヒートアップ立上り時間に設定される。検出したヒートアップ立上り時間が閾値時間T4よりも短い場合には、制御部30は、ゼロ点補正が必要でないと判断する。この場合、制御部30は、センサ出力の立上り後、ヒートアップ処理と並行してバーナ10の燃焼を開始させる。一方、検出したヒートアップ立上り時間が閾値時間T4以上である場合には、制御部30はゼロ点補正が必要であると判断する。したがって、制御部30は、上述した一連のヒートアップ処理、ドリフトチェック処理およびゼロ点補正処理が完了した後に、バーナ10の燃焼を開始させる。
このように、ヒートアップ立上り時間が閾値時間T4より短い場合には、ゼロ点の変動がほとんど生じておらず、ゼロ点補正が不要と判断することができるため、ドリフトチェック処理およびゼロ点補正処理を省略してバーナ10の燃焼を開始させる。これにより、バーナ10の燃焼指令が生成された時点から短時間でバーナ10の燃焼を開始させることができる。この結果、ガス給湯装置100の使用性を向上させることができる。
3.制御処理フロー
図7および図8は、本発明の実施の形態に従う燃焼装置におけるCOセンサ20の素子温度制御処理手順を説明するためのフローチャートである。
図7を参照して、制御部30は、ステップS01により、ゼロ点変動量αを設定する。ゼロ点変動量αの初期値は、ガス給湯装置100の電源投入時にヒートアップ処理、ドリフトチェック処理およびゼロ点補正処理を行なうことによって取得される。
制御部30は、ステップS02により、バーナ10の燃焼が停止された時点、またはガス給湯装置100の電源が投入された時点から待機時間T1が経過したか否かを判定する。バーナ10の燃焼が停止された時点から待機時間T1が経過していないとき、またはガス給湯装置100の電源が投入された時点から待機時間T1が経過していないとき(ステップS02のNO判定時)、制御部30は、ステップS03により、COセンサ20の制御モードとして通常モードを選択する。
上述したように、通常モードにおいては、制御部30は、素子温度が制御温度TE_High(250℃)となるように、電源回路202における素子21a,21bへの通電量を制御する。
さらに制御部30は、通常モード中、COセンサ20の検出精度を確保するため、一連のヒートアップ処理、ドリフトチェック処理およびゼロ点補正処理を定期的に実行する。具体的には、制御部30は、ステップS04により、所定の補正時間T2の経過毎にヒートアップ処理を実行する。たとえば、補正時間T2は、4〜5時間程度に設定される。制御部30は、ヒートアップ処理の終了後、安定化したセンサ出力電圧に基づいてゼロ点変動量αを算出する。このようにして、ゼロ点変動量αは補正時間T2の経過毎に更新される。
ゼロ点補正処理が終了すると、制御部30は、ステップS11により、バーナ10の燃焼指令が生成されたか否かを判定する。バーナ10の燃焼指令が生成されているとき(ステップS11のYES判定時)、制御部30は、ステップS12により、バーナ10の燃焼運転中、COセンサ20の出力電圧に基づいて排ガス中のCO濃度を検出する。
制御部30は、ステップS13により、ガス給湯装置100の給湯運転の終了によりバーナ10の燃焼が停止されたか否かを判定する。バーナ10が燃焼運転している場合(ステップS13のNO判定時)、制御部30はステップS12に戻り、センサ出力に基づいたCO濃度の検出を実行する。一方、バーナ10の燃焼が停止された場合には(ステップS13のYES判定時)、処理はステップS01に戻される。
なお、ステップS04において、ヒートアップ処理の実行要求と、ガス給湯装置100での給湯運転等に伴なうバーナ10の燃焼運転とが重なった場合には、燃焼運転が優先される。したがって、ステップS04においては、バーナ10が燃焼運転していない場合には、COセンサ20のヒートアップ処理が開始される。一方、バーナ10の燃焼運転中にヒートアップ処理の実行要求が生成された場合には、ヒートアップ処理の実行が待機される。そして、燃焼運転の終了によりバーナ10の燃焼が停止された後、COセンサ20のヒートアップ処理が実行される。
これに対して、ステップS02に戻って、バーナ10の燃焼が停止された時点、またはガス給湯装置100の電源が投入された時点から待機時間T1が経過したとき(ステップS02のYES判定時)、制御部30は、ステップS05により、COセンサ20の制御モードとして省電力モードを選択する。
上述したように、省電力モードにおいては、制御部30は、素子温度が上述した制御温度TE_Highよりも低い温度になることを許容する。具体的には、制御部30は、ステップS06により、電源回路202からCOセンサ20の素子21a,21bへの通電を停止させる。これにより、COセンサ20は無通電状態となる。なお、ステップS06は、COセンサ20を無通電状態とする構成に代えて、COセンサ20の素子温度を制御温度TE_Low(150℃)に制御する構成としてもよい。
制御部30は、ステップS07により、バーナ10の燃焼指令が生成されたか否かを判定する。バーナ10の燃焼指令が生成されていないとき(ステップS07のNO判定時)、制御部30は、以下のステップS08〜S10により、一連のヒートアップ処理、ドリフトチェック処理およびゼロ点補正処理を定期的に実行する。具体的には、制御部30は、ステップS08により、前回のヒートアップ処理を終了してから所定の補正時間T3が経過したか否かを判定する。前回のヒートアップ処理を終了してから補正時間T3が経過していなければ(ステップS08のNO判定時)、処理はステップS07に戻される。一方、前回のヒートアップ処理を終了してから補正時間T3が経過している場合には(ステップS08のYES判定時)、制御部30は、ステップS09により、COセンサ20を省電力モードから復帰させることにより、COセンサ20の無通電状態を解除する。
制御部30は、ステップS10により、一連のヒートアップ処理、ドリフトチェック処理およびゼロ点補正処理を実行する。制御部30は、ヒートアップ処理の終了後、安定化したセンサ出力電圧に基づいてゼロ点変動量αを算出する。このようにして、ゼロ点変動量αは補正時間T3の経過毎に更新される。
ステップS10のゼロ点補正処理が終了すると、制御部30は、ステップS11により、バーナ10の燃焼指令が生成されたか否かを判定する。バーナ10の燃焼指令が生成されているとき(ステップS11のYES判定時)、制御部30は、ステップS12により、バーナ10の燃焼運転中、COセンサ20の出力電圧に基づいて排ガス中のCO濃度を検出する。ガス給湯装置100の給湯運転の終了によりバーナ10の燃焼が停止されると(ステップS13のYES判定時)、処理はステップS01に戻される。
省電力モード中は、COセンサ20の素子が通常モードよりも低い温度になるため、素子に水分が吸着しやすくなる。そのため、長時間省電力モードが継続した場合には、湿度の影響が大きくなってしまい、COセンサ20を省電力モードから通常モードに復帰させるためのヒートアップ処理に要する時間が長くなる。そこで、上記のステップS08〜S10により、省電力モードが長時間に及ぶ場合には、一旦省電力モードを解除して、ヒートアップ処理、ドリフトチェック処理およびゼロ点補正処理を実行する。この一連の処理を定期的に実行することで、省電力モードにおける消費電力の低減効果が下がる反面、COセンサ20の素子に水分が吸着するのを抑制することができる。これにより、COセンサ20を省電力モードから通常モードに復帰させる場合において、湿度の影響を受けてCOセンサ20のヒートアップ立上り時間が閾値時間T4以上に長引くのを回避できるため、ガス給湯装置100の使用性を向上させることが可能となる。
ステップS07に戻って、省電力モード中にバーナ10の燃焼指令が生成されると(ステップS07のYES判定時)、制御部30は、ステップS14により、COセンサ20を省電力モードから復帰させることによってCOセンサ20の無通電状態を解除する。
制御部30は、ステップS15により、ヒートアップ処理を実行する。制御部30は、ステップS16により、ヒートアップ処理の開始後のヒートアップ立上り時間を検出し、検出したヒートアップ立上り時間と閾値時間T4とを比較する。検出したヒートアップ立上り時間が閾値時間T4よりも短い場合には(ステップS16のYES判定時)、制御部30は、ゼロ点変動がほとんど生じておらず、ゼロ点補正処理が必要でないと判断する。したがって、制御部30は、ステップS17により、ヒートアップ処理と並行してバーナ10の燃焼を開始させる。制御部30は、ステップS18により、ヒートアップ処理を開始してから規定時間T5が経過する時点までヒートアップ処理を継続する。制御部30は、ドリフトチェック処理およびゼロ点補正処理を省略するとともに、現在設定されているゼロ点変動量αをそのまま採用する。
制御部30は、ステップS19により、COセンサ20がCO濃度を検出可能な状態になったか否かを判定する。COセンサ20はヒートアップ処理の終了後、CO濃度を検出可能な状態となる。COセンサ20がCO濃度を検出可能な状態になっていない場合(ステップS19のNO判定時)、CO濃度の検出が待機される。
一方、COセンサ20がCO濃度を検出可能な状態になると(ステップS19のYES判定時)、制御部30は、ステップS20により、COセンサ20の出力(CO濃度の検出値)が所定の許容濃度βppmを超えているか否かを判定する。この許容濃度βppmは、バーナ10の燃焼が正常であるか否か(すなわち、燃料の不完全燃焼などの燃焼不良が生じていないか)を判別するための判定値である。COセンサ20の出力が許容濃度βppm以下である場合(ステップS20のNO判定時)、制御部30は、バーナ10の燃焼が正常であると判定し、ステップS26により、バーナ10の燃焼運転中、COセンサ20の出力電圧に基づいて排ガス中のCO濃度を検出する。ガス給湯装置100の給湯運転の終了によりバーナ10の燃焼が停止されると(ステップS27のYES判定時)、処理はステップS01に戻される。
一方、COセンサ20の出力が許容濃度βppmを超えている場合(ステップS20のYES判定時)、制御部30は、ステップS21により、バーナ10の燃焼運転を強制的に停止させる。さらに制御部30は、ステップS22により、一連のヒートアップ処理、ドリフトチェック処理およびゼロ点補正処理を実行する。制御部30は、ゼロ点補正処理の終了後、ゼロ点変動量αを更新する。制御部30は、ゼロ点補正処理が終了すると、ステップS23により、バーナ10の燃焼指令が生成されたか否かを判定する。バーナ10の燃焼指令が生成されているとき(ステップS23のYES判定時)、制御部30は、ステップS25により、バーナ10の燃焼運転を許可することにより、バーナ10の燃焼を再開させる。制御部30は、ステップS26により、バーナ10の燃焼運転中、COセンサ20の出力電圧に基づいて排ガス中のCO濃度を検出する。ガス給湯装置100の給湯運転の終了によりバーナ10の燃焼が停止されると(ステップS27のYES判定時)、処理はステップS01に戻される。一方、ステップS22におけるゼロ点補正処理の終了後にバーナ10の燃焼指令が生成されていない場合(ステップS23のNO判定時)、処理はステップS01に戻される。
上述したステップS17の処理においては、制御部30はヒートアップの立上りが確認されると、ヒートアップ処理と並行してバーナ10の燃焼を開始するが、COセンサ20によるCO濃度の検出はヒートアップ処理が終了するまで行なうことができない(ステップS19)。このため、COセンサ20がCO濃度を検出可能な状態になったときに、COセンサ20の出力に基づいて、バーナ10の燃焼開始(ステップS17)から燃焼運転が正常に行なわれているか否かを判定する処理(ステップS20)を設けている。この処理によってバーナ10の燃焼運転が正常でないと判定されたときには(ステップS20のNO判定時)、一旦バーナ10の燃焼を停止させて、ヒートアップ処理およびゼロ点補正処理を実行した後、バーナ10の燃焼を再開させる。これにより、COセンサ20の十分な検出精度が保証されるため、その後のバーナ10の燃焼不良を確実に検出してガス給湯装置100を安全性を高めることができる。
これに対して、ステップS16に戻って、検出したヒートアップ立上り時間が閾値時間T4以上となる場合に(ステップS16のNO判定時)、制御部30は、排気路内の湿度が高くCOセンサ20のゼロ点が大きく変動するため、ゼロ点補正処理が必要であると判断する。制御部30は、ステップS24により、ヒートアップ処理を開始してから規定時間T5が経過する時点までヒートアップ処理を継続した後、ドリフトチェック処理およびゼロ点補正処理を実行する。制御部30は、ゼロ点補正処理が終了後にCOセンサ20のゼロ点変動量αを更新すると、ステップS25により、バーナ10の燃焼を開始させる。制御部30は、ステップS26により、バーナ10の燃焼運転中、COセンサ20の出力電圧に基づいて排ガス中のCO濃度を検出する。ガス給湯装置100の給湯運転の終了によりバーナ10の燃焼が停止されると(ステップS27のYES判定時)、処理はステップS01に戻される。一方、ステップS22におけるゼロ点補正処理の終了後にバーナ10の燃焼指令が生成されていない場合(ステップS23のNO判定時)、処理はステップS01に戻される。
上述のように、ヒートアップ立上り時間が閾値時間T4以上となる場合(ステップS16のNO判定時)には、制御部30は、一連のヒートアップ処理、ドリフトチェック処理およびゼロ点補正処理を完了した後(ステップS24)、バーナ10の燃焼を開始させる(ステップS25)。本実施の形態では、省電力モード中に定期的にヒートアップ処理を実行するため(ステップS08〜S10)、省電力モードが長時間に及ぶ場合にCOセンサ20の素子に水分が吸着するのを抑制して、省電力モードから通常モードへの復帰時間を短くすることができる(ステップS15〜S18)。しかしながら、燃焼待機中に排気路内の湿度が非常に高い状態であるときには、COセンサ20の素子に除去しきれない水分が残ってしまうため、復帰時間の短縮が難しくなる。このような場合には、ヒートアップ処理、ドリフトチェック処理およびゼロ点補正処理を完了させてからバーナ10の燃焼を開始させることで、COセンサ20の検出精度を確保する。
このように、本実施の形態に従う燃焼装置によれば、バーナの燃焼が行なわれていない待機中のCOセンサの消費電力を小さくする省電力モードを設けるとともに、バーナの燃焼指令に従って省電力モードから通常モードへ復帰する場合、ヒートアップ立上り時間に基づいてCOセンサのゼロ点補正が不要と判断されるときにはヒートアップ処理に並行して(すなわち、ゼロ点補正を行なわずに)バーナの燃焼を開始させる。これにより、バーナの燃焼指令が生成された時点から短時間でバーナの燃焼を開始させることができる。この結果、COセンサの検出感度を確保しつつ、燃焼装置の低消費電力化および使用性の向上を実現することができる。
なお、上述した本発明の実施の形態では、燃焼停止後(または電源投入後)から次回の燃焼開始までの待機時間に応じて、COセンサ20の制御モードを通常モードから省電力モードに切り替える構成について説明したが、このような制御モードの切り替えを実施するか否かをユーザが選択できるようにしてもよい。たとえば、ガス給湯装置100の操作部(たとえば給湯リモコンなど)に、制御モードの切り替えの有効/無効を選択するためのスイッチを設け、このスイッチがオン状態にされたときに省電力モードに移行させるようにしてもよい。
また、その他の変形例としては、省電力モードへ切り替えるか否かの判定基準となる、燃焼停止後(または電源投入後)から次回の燃焼開始までの待機時間T1を、ユーザの操作に応じて変更する構成としてもよい。たとえば、上記のスイッチがオン状態のときには、上記のスイッチがオフ状態のときよりも待機時間T1を短くするようにしてもよい。なお、このようなスイッチとしては、たとえば給湯リモコンに設けられ、給湯装置の運転モードを通常モードとエコモードとの間で切り替えるためのエコスイッチを用いることができる。
また、本実施の形態に従う燃焼装置において、COセンサは接触燃焼式センサであればよく、具体的な構成が限定されることはない。また、バーナ10としては、ガスバーナに代えて、たとえばオイルバーナとすることもできる。すなわち、排気中にCO成分が含まれるバーナであれば、その燃料は任意のものとすることができる。また、本発明に係る給湯装置は、必ずしも給湯装置として構成されていなくてもよく、たとえば暖房用などの給湯装置として構成されることもできる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。