JP2008256707A - 排気センサの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】この発明は、排気センサの制御装置に関し、吸着種に起因する排気センサの出力ずれの影響を可能な限り排除して、内燃機関の始動直後から排気ガスの状態を正しく検知することを目的とする。
【解決手段】内燃機関の排気通路に排気センサを配置する。排気センサは、排気ガスの状態に応じた出力を発生するセンサ素子と、センサ素子を加熱するためのヒータとを備える。内燃機関の始動後の吸入空気量積算値を特性回復値として計数する(ステップ144)。特性回復値が回復判定値に達するまで、センサ素子の目標温度を通常の目標温度より高温の回復目標温度とする(ステップ130、132、146)。内燃機関の始動後に空燃比がリーンとされた時間の積算値を計数する(ステップ138、140)積算値が大きいほど、回復判定値を小さく補正する(142)。
【選択図】図8

Description

この発明は、排気センサの制御装置に係り、特に、内燃機関の排気ガスの状態を検知するために、排気通路に配置された排気センサの状態を制御する排気センサの制御装置に関する。
従来、例えば特開平4−359142号公報に開示されているように、排気ガスの状態を検知するために、内燃機関の排気通路に酸素センサを配置したシステムが知られている。酸素センサは、活性温度に達することにより排気ガス中の酸素濃度に応じた出力を発生する。このため、酸素センサはヒータを内蔵しており、内燃機関の運転中はそのヒータにより活性温度に加熱される。
排気ガス中には水蒸気が多量に含まれているため、内燃機関の停止後、酸素センサの温度が急激に低下すると、酸素センサのセンサ素子に多量の水が付着する。このような水の付着は、センサ素子に熱衝撃を与え、センサ素子にダメージを与える原因となる。このため、上記従来のシステムは、内燃機関が停止した後、5sec程度の時間は、酸素センサの加熱を継続することとしている。
内燃機関の停止後に、酸素センサの加熱が5sec程度継続されると、センサ温度の急激な低下が避けられるため、排気通路内に残存する水分がセンサ素子に付着する割合を大きく下げることができる。このため、上記従来のシステムによれば、内燃機関の停止時における酸素センサへの水の付着を抑制して、酸素センサの耐久性を改善することができる。
特開平4−359142号公報 特開平8−75695号公報 実開平6−58359号公報 特開平1−257739号公報
内燃機関の排気センサは、一般に、内燃機関が始動された後、所定の活性温度に加熱される。この加熱の過程において、排気センサの出力には、センサ素子に対する吸着種の影響により、一時的にずれが発生する。この吸着種は、内燃機関が停止した後、排気センサの温度が低下する過程においてセンサ素子に化学吸着すると推定される。そして、吸着種の影響による排気センサの出力ずれは、吸着種の吸着量が多いほど大きくなる。
本出願人は、排気センサへの吸着種の吸着量は、内燃機関の停止後における排気センサの温度およびその周辺温度に大きく左右されることを見いだした。具体的には、排気通路が十分に低温となる前に排気センサの温度が吸着種の化学吸着が生じ得る温度域(以下、「吸着温度域」と称す)に低下すると、吸着種が多量に吸着し易いことを見いだした。
特開平4−359142号公報に開示されるシステムによれば、内燃機関の停止後も、5sec程度は酸素センサの加熱が継続される。この点、このシステムは、排気通路の温度が下がる過程で、排気センサ(酸素センサ)の温度が吸着温度域に達するのを遅らせる機能を有していることになる。
しかしながら、上記従来のシステムは、排気通路の温度が十分に低下するまで酸素センサの加熱を継続するものではない。具体的には、上記従来のシステムにおいて加熱が継続される5sec程度では、排気通路の温度はさほど低下しない。このため、上記従来のシステムは、吸着種の吸着量を低減し得るものではなく、従って、吸着種の影響による排気センサの出力ずれを抑制し得るものではなかった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、吸着種に起因する排気センサの出力ずれの影響を可能な限り排除して、内燃機関の始動直後から排気ガスの状態を正しく検知することのできる排気センサの制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の排気通路に配置された排気センサの制御装置であって、
前記排気センサは、排気ガスの状態に応じた出力を発生するセンサ素子と、前記センサ素子を加熱するためのヒータとを備え、
内燃機関の始動後の経過時間、或いは吸入空気量積算値を特性回復値として計数する回復値計数手段と、
前記特性回復値が回復判定値に達するまで、前記センサ素子の目標温度を通常の目標温度より高温の回復目標温度として前記ヒータを制御するヒータ制御手段と、
内燃機関の始動後に空燃比がリーンとされた時間の積算値を計数するリーン積算値計数手段と、
前記積算値が大きいほど、前記特性回復値を大きく、或いは前記回復判定値を小さく補正する判定値補正手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、内燃機関の排気通路に配置された排気センサの制御装置であって、
前記排気センサは、排気ガスの状態に応じた出力を発生するセンサ素子と、前記センサ素子を加熱するためのヒータとを備え、
内燃機関の始動後の経過時間、或いは吸入空気量積算値を特性回復値として計数する回復値計数手段と、
前記特性回復値が回復判定値に達するまで、前記センサ素子の目標温度を通常の目標温度より高温の回復目標温度として前記ヒータを制御するヒータ制御手段と、
内燃機関の停止時間を計数する停止時間計数手段と、
内燃機関の停止時間が長いほど、前記特性回復値を小さく、或いは前記回復判定値を大きく補正する判定値補正手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第3の発明は、内燃機関の排気通路に配置された排気センサの制御装置であって、
前記排気センサは、排気ガスの状態に応じた出力を発生するセンサ素子と、前記センサ素子を加熱するためのヒータとを備え、
内燃機関の始動後に空燃比がリーンとされた時間の積算値を計数するリーン積算値計数手段と、
前記積算値が回復判定値に達するまで、前記センサ素子の目標温度を通常の目標温度より高温の回復目標温度として前記ヒータを制御するヒータ制御手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第4の発明は、第3の発明において、
内燃機関の始動後の経過時間、或いは吸入空気量積算値を特性回復値として計数する回復値計数手段と、
前記特性回復値が大きいほど、前記積算値を大きく、或いは前記回復判定値を小さく補正する判定値補正手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第5の発明は、第3または第4の発明において、
内燃機関の停止時間を計数する停止時間計数手段と、
内燃機関の停止時間が長いほど、前記積算値を小さく、或いは前記回復判定値を大きく補正する判定値補正手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第6の発明は、内燃機関の排気通路に配置された排気センサの制御装置であって、
前記排気センサは、排気ガスの状態に応じた出力を発生するセンサ素子と、前記センサ素子を加熱するためのヒータとを備え、
前記センサ素子の温度を取得する素子温度取得手段と、
前記センサ素子の温度が当該センサ素子に吸着している吸着種の脱離温度に達した後の経過時間、或いは吸入空気量積算値を脱離進行値として計数する脱離進行値計数手段と、
前記排気センサの出力をセンサ出力補正値に基づいて補正する出力補正手段と、
前記脱離進行値が大きいほど、前記センサ出力補正値を小さな値とする補正値算出手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第7の発明は、第6の発明において、
内燃機関の停止時間を計数する停止時間計数手段を備え、
前記補正値算出手段は、前記停止時間が長いほど前記センサ出力補正値の初期値を大きな値とする初期値設定手段を含むことを特徴とする。
第1の発明によれば、内燃機関の始動後の経過時間、或いは吸入空気量積算値(特性回復値)が、回復判定値に達するまで、センサ素子を高温に制御することで、吸着種の早期脱離を促進することができる。このため、本発明によれば、内燃機関の始動後速やかに、吸着種の影響による排気センサの出力ずれを消滅させることができる。また、本発明によれば、内燃機関の始動後に空燃比がリーンとされた時間が長いほど、特性回復値を早期に回復判定値に到達させること、つまり、センサ素子が高温に制御される時間を短時間にすることができる。空燃比がリーンとされると吸着種の脱離が促進されるため、リーン時間が長いほど吸着種の脱離は短時間で完了する。本発明によれば、センサ素子が高温に制御される時間を、その脱離に要する時間に合わせて、必要最小限の時間に伸縮することができる。
第2の発明によれば、内燃機関の始動後の経過時間、或いは吸入空気量積算値(特性回復値)が、回復判定値に達するまで、センサ素子を高温に制御することで、吸着種の早期脱離を促進することができる。このため、本発明によれば、内燃機関の始動後速やかに、吸着種の影響による排気センサの出力ずれを消滅させることができる。また、本発明によれば、内燃機関の停止時間が長いほど、特性回復値が回復判定値に到達する時期を遅延させること、つまり、センサ素子が高温に制御される時間を長時間にすることができる。吸着種の吸着量は、内燃機関の停止時間が長いほど多量となるため、その停止時間が長いほど吸着種の脱離には長い時間が必要となる。本発明によれば、センサ素子が高温に制御される時間を、その脱離に要する時間に合わせて、必要最小限の時間に伸縮することができる。
第3の発明によれば、内燃機関の始動後に空燃比がリーンとされた時間の積算値が回復判定値に達するまで、センサ素子を高温に制御することで、吸着種の早期脱離を促進することができる。空燃比がリーンとされると吸着種の脱離が促進されるため、リーン時間の積算値が回復判定値に達すれば、吸着種の脱離が完了したと判断できる。このため、本発明によれば、内燃機関の始動後、吸着種の脱離が完了したと判断される時点で、適切に排気センサの高温制御を終了させることができる。
第4の発明によれば、内燃機関の始動後の経過時間、或いは吸入空気量積算値(特性回復値)が大きいほど、リーン時間の積算値を早期に回復判定値に到達させること、つまり、センサ素子が高温に制御される時間を短時間にすることができる。吸着種の脱離は、空燃比がリーンであるか否かに依らず、特性回復値が大きくなるに連れて進行する。本発明によれば、その進行をも考慮することにより、排気センサが高温制御される時間を、精度良く必要最小限の時間とすることができる。
第5の発明によれば、内燃機関の停止時間が長いほど、リーン時間の積算値が回復判定値に到達する時期を遅延させること、つまり、センサ素子が高温に制御される時間を長時間にすることができる。吸着種の吸着量は、内燃機関の停止時間が長いほど多量となるため、その停止時間が長いほど吸着種の脱離には長い時間が必要となる。本発明によれば、その影響をも考慮することにより、排気センサが高温制御される時間を、精度良く必要最小限の時間とすることができる。
第6の発明によれば、センサ素子の温度が吸着種の脱離温度に達した後の経過時間、或いは吸入空気量積算値を脱離進行値として計数することができる。排気センサの出力には、吸着種の脱離に伴ってずれが重畳するため、そのずれ量は、脱離進行値が大きくなるに従って小さくなる。本発明において、排気センサの出力は、センサ出力補正値により補正される。そして、このセンサ出力補正値は脱離進行値が大きくなるに連れて小さな値とされる。このため、本発明によれば、吸着種の脱離に伴う出力ずれを精度良く補正して、吸着種の影響を排除したセンサ出力を得ることができる。
第7の発明によれば、内燃機関の停止時間が長いほどセンサ出力補正値の初期値を大きな値とすることができる。停止時間が長いと、吸着種が多量に吸着するため、センサ出力には大きなずれが生じやすい。本発明によれば、吸着種の吸着量の多少をセンサ出力補正値の初期値に反映させることができるため、高い精度でセンサ出力を補正することができる。
実施の形態1.
[実施の形態1のハードウェア構成]
図1は、本発明の実施の形態1において用いられる酸素センサ10の構成を説明するための図である。図1に示す酸素センサ10は、内燃機関の排気通路に配置され、排気ガス中に酸素が存在しているか否か、換言すると、排気空燃比がリーンであるかリッチであるかを検出するために用いられるセンサである。
酸素センサ10は、カバー12を備えており、このカバー12が排気ガスに晒されるように排気通路に組み付けられる。カバー12には、その内部に排気ガスを導くための孔(図示せず)が設けられている。カバー12の内部には、センサ素子14が配置されている。センサ素子14は、一端(図1における下端)が閉じられた管状の構造を有している。センサ素子14は、ZrO系の個体電解質で構成された固体電解質層16と、その外側および内側にそれぞれ形成された排気側電極18および大気側電極20を備えている。排気側電極18および大気側電極20は、触媒作用の高いPt系の金属で構成されている。
センサ素子14の内側には、大気に開放された大気室22が形成されている。大気室22には、センサ素子14を加熱するためのヒータ24が配置されている。センサ素子14は、550〜600℃程度の活性温度に加熱されることにより活性状態となり、安定した出力を発し得る状態となる。ヒータ24は、後述する制御回路により通電制御されることにより、センサ素子14を上記の活性温度に加熱することができる。
図2は、酸素センサ10の制御装置のブロック図である。本実施形態における制御回路は、センサ制御用マイクロコンピュータ30(以下、単に「マイコン30」と称す)と、エンジン制御用ECU(Electronic Control Unit)40を備えている。マイコン30には、バッテリから電力が供給されていると共に、車両のイグニッションスイッチ(IGスイッチ)よりIGのON/OFF信号が供給されている。マイコン30は、タイマー回路を内蔵しており、IGがOFFされた後も所定の時間は作動することができる。
マイコン30には、酸素センサ10のセンサ素子14(より厳密には、排気側電極18および大気側電極20)と、ヒータ24とが接続されている。センサ素子14の排気側電極18と大気側電極20との間には、排気ガス中に酸素が存在するか否かに応じて、異なる起電力が生ずる。マイコン30は、その起電力をセンサ出力として取り込み、排気ガス中に酸素が存在するか否か、つまり、排気空燃比がリーンであるかリッチであるかを判別する。
また、マイコン30は、公知の手法でセンサ素子14のインピーダンスを検知する機能を有している。センサ素子14のインピーダンスは、センサ素子14の温度と対応しているため、マイコン30は、そのインピーダンスに基づいてセンサ素子の温度を推定することができる。そのうえで、マイコン30は、センサ素子の温度が目標温度となるように、ヒータ24への通電をフィードバック制御することができる。
マイコン30とECU40との間では、センサ情報(酸素センサ10の出力等)や、エンジンおよび車両の情報(吸入空気量、水温等)が授受されている。ECU40は、受信したセンサ情報を利用して、燃料噴射量の空燃比フィードバック等を実行する。また、マイコン30は、受信した車両情報に基づいて、例えば、排気通路の温度推定等を実行することができる。
[吸着種の影響]
図3(A)は、内燃機関の停止後にセンサ素子14に吸着種が吸着する様子を説明するための図である。また、図3(B)は、内燃機関の始動後に、その吸着種が酸素センサ10の出力に与える影響を説明するための図である。
酸素センサ10は、既述した通り、排気側電極18が排気ガスに晒される状態で用いられる。排気ガス中には、HOやCO、更にはOなど種々の成分が含まれている。酸素センサ10が活性状態にある場合は、それらが排気側電極18に吸着されることはないが、内燃機関の停止後、センサ素子14の温度が低下する過程では、それらの成分と排気側電極18との間で化学的な吸着反応が生ずることがある。
本出願人の知見によれば、この吸着反応は、特にセンサ素子14の温度が300℃を下回る温度域で生じ易い。つまり、本出願人は、センサ素子14に吸着種が吸着する温度域(吸着温度域)の上限がほぼ300℃であることを見いだした。内燃機関10の停止後はヒータ24への通電が停止されることから、センサ素子14の温度は、必然的に300℃以下の吸着温度域に低下する。このため、センサ素子14の表面には、内燃機関10の停止後、不可避的に、図3(A)に示すように吸着種が吸着する。
内燃機関が始動されると、ヒータ24への通電が開始されることから、センサ素子14の温度は上昇する。そして、センサ素子14の温度が吸着温度域を超えると、つまり、300℃を越えると、図3(B)に示すように排気側電極18の表面から吸着種が脱離し初め、また、その表面上で種々の反応が活発化し始める。この際、排気側電極18の表面上で還元物質であるHが生成されることにより、或いは、排気側電極18上の酸素との反応点が吸着種の存在に起因して減ることにより、酸素センサ10の出力は一時的にリッチ側にシフトする。そして、センサ素子14の昇温と共に吸着種の脱離が進むと、やがてはセンサ出力のリッチずれが解消される。
[実施の形態1の課題とその解決原理]
内燃機関の空燃比を、その始動の直後から精度良く制御するためには、酸素センサ10の出力が、可能な限り早期から利用可能となることが望ましい。センサ出力にリッチずれが生じている間は、その出力を直接利用することはできない。このため、吸着種の脱離は、早期に完了することが望ましく、そのためには、内燃機関の停止中にセンサ素子14に吸着される吸着種の量は、可能な限り少量であることが望ましい。
図4は、センサ素子14に対する吸着種の吸着し易さを整理した図である。本出願人は、図4に示すように、吸着種の吸着し易さが、センサ素子14の温度、および排気管温度との関係で有意に変化することを見いだした。つまり、本出願人の知見によれば、センサ素子14の温度が300℃を越える場合には、排気管温度に関わらず、吸着種の吸着は生じない。そして、素子温が300℃を下回り、吸着温度域に属する場合には、排気管温度が80℃を越える領域で吸着種の吸着が生じ易い一方、排気管温度が80℃を下回る領域では吸着種の吸着が生じ難い。
図4に示す特性によれば、内燃機関の停止後、排気管温度が80℃を下回るまで、センサ素子14を300℃より高温に維持すれば(条件1)、その過程において吸着種の吸着が生じないことになる。また、排気管温度が80℃を下回った後に素子温を300℃以下に下げることとすれば(条件2)、素子温が常温に低下する過程で生ずる吸着種の量を十分に抑制し得ることになる。そこで、本実施形態では、内燃機関のIGがOFFとされた後に、上記の条件1および2が満たされるように酸素センサ10のヒータ24を制御することとした。
[実施の形態1における具体的処理]
図5は、上記の機能を実現するためにマイコン30において実行されるルーチンのフローチャートである。尚、図5に示すルーチンは、内燃機関の始動と共に起動され、その後一定時間毎に繰り返し実行されるものとする。
図5に示すルーチンでは、先ず、内燃機関の停止が認められたか、より具体的には、IGスイッチがOFF出力を発しているか否かが判別される(ステップ100)。その結果、内燃機関の停止が認められなかった場合は、先ず、吸入空気量Gaの積算値GAsumが算出され(ステップ101)、次いで、酸素センサ10のインピーダンスフィードバック制御が実行される(ステップ102)。ここでは、センサ素子14の目標温度が通常値(550〜600℃内の適当な温度)とされているため、本ステップ102の処理が実行されることにより、素子温は550〜600℃に属する活性温度に制御される。
上記ステップ100において、内燃機関の停止が認められた場合は、次に、内燃機関の停止後の経過時間を計数するためのカウンタTENGSPがインクリメントされる(ステップ104)。尚、TENGSPの値は、内燃機関の始動時にイニシャル処理によりゼロにリセットされているものとする。以下、簡単のため、カウンタTENGSPの計数値を「経過時間TENGSP」と称することにする。
次に、センサ素子14の目標温度が300℃、つまり、吸着温度域に属しない下限の温度に変更される。より具体的には、ここでは、インピーダンスフィードバック制御において用いられる目標インピーダンスZtgが、300℃の素子温に対応する値Z300に変更される(ステップ106)。
次いで、吸入空気量積算値GAsumに基づいて、内燃機関の停止後、ヒータ24の通電を停止するまでの時間の目標値(以下、「停止目標時間THTSP」とする)が算出される(ステップ108)。
本実施形態において、停止目標時間THTSPは、内燃機関が停止した後、排気管温度が80℃以下となるのに要する所要時間と整合するべき時間である。この所要時間は、内燃機関の停止時に排気管温度が高いほど長時間となる。一方、排気管温度は、内燃機関の始動後、収束値に向かって徐々に上昇する温度であるから、吸入空気量積算値GAsumが大きな値であるほど高温であると考えられる。このため、停止目標時間THTSPと整合するべき上記の所要時間は、内燃機関の停止時に算出されていた吸入空気量積算値GAsumが大きな値であるほど、長時間(但し、上限有り)になると考えられる。
図6は、上記ステップ108において、停止目標時間THTSPを算出する際にマイコン30が参照するマップの一例である。このマップにおいて、停止時目標時間THTSPは、上記の所要時間との整合を取るべく、吸入空気量積算値GAsumが大きな値であるほど長い時間となるように定められている。このため、上記ステップ108の処理によれば、内燃機関の停止後、排気管温度が80℃以下となるのに要する所要時間と精度良く整合する時間を、停止目標時間THTSPとして設定することができる。
次に、内燃機関の停止後の経過時間TENGSPが、停止目標時間THTSPに達しているか否かが判別される(ステップ110)。その結果、TENGSP≧THTSPの成立が認められなかった場合は、未だ、排気管温度が80℃を下回っていないと推定できる。この場合、以後、ステップ102において、インピーダンスフィードバック制御が実行される。ここでは、上記ステップ104の処理により、素子温の目標温度が300℃とされているため、ヒータ24は、センサ素子14が300℃となるように制御される。
以上の処理が繰り返されることにより、TENGSP≧THTSPの成立が認められるまでは、つまり、排気管温度が80℃を下回ったと推定されるまでは、センサ素子14の温度が300℃になるようにヒータ24の制御が継続される。センサ素子14が300℃を下回らなければ、センサ素子14に吸着種が吸着することはない。また、センサ素子14を300℃に制御することとすれば、最小限の電力消費で吸着種の吸着を阻止することができる。このため、本実施形態の制御装置によれば、内燃機関の停止後、排気管温度が80℃を下回るまでの過程において、吸着種の吸着を効率的に抑制することができる。
内燃機関の停止後、十分な時間が経過すると、上記ステップ110においてTENGSP≧THTSPの成立が認められる。この場合、排気管温度が80℃を下回ったと推定することができる。図5に示すルーチンでは、その成立が認められると、ヒータ24への通電が停止され(ヒータ24への通電デューティRDUTYがゼロとされ)、マイコン30によるヒータ制御が終了される(ステップ112)。
ヒータ24への通電が停止されると、以後、センサ素子14の温度は、300℃から常温に向かって低下する。素子温が降下する過程でセンサ素子14には吸着種が吸着するが、その時点では、既にセンサ素子14の周囲環境が高温多湿環境ではなくなっているため、吸着種の吸着量は僅かな量に抑えられる。吸着種の吸着量が僅かであれば、後に内燃機関が再始動された際には、その始動の後、速やかに吸着種の影響が消滅する。このため、本実施形態の制御装置によれば、吸着種に起因する酸素センサ10の出力ずれの影響を可能な限り排除して、内燃機関の始動直後から排気ガスの状態を正しく検知することができる。
[実施の形態1における具体的処理の変形例]
次に、実施の形態1における具体的処理の変形例を説明する。酸素センサ10には、センサ出力にリッチずれを生じさせる吸着種が化学吸着する他、排気ガス中に含まれるカーボン成分が付着することがある。このカーボン成分は、センサ素子14を、例えば700℃程度にまで加熱することで焼失させることができる。
本実施形態の制御装置は、既述した通り、内燃機関の停止後排気管通路が80℃を下回るまでは、ヒータ24の制御を継続する。その際に一時的にセンサ素子14を700℃まで加熱することとすれば、吸着種の吸着量を減らしつつ、カーボンの焼失をも図ることができる。
図7は、上記の機能を実現するためのルーチンである。図7に示すルーチンは、ステップ104とステップ106の間に、カーボンを焼失させるための処理が挿入されている点を除き、図5に示すルーチンと同様である。以下、図7において、図5に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
すなわち、図7に示すルーチンでは、ステップ100において内燃機関の停止が認められると、ステップ102の処理に次いで、センサ素子14の目標温度が700℃、つまり、カーボンの焼失を目的とした温度に変更される。より具体的には、ここでは、インピーダンスフィードバック制御において用いられる目標インピーダンスZtgが、700℃の素子温に対応する値Z700に変更される(ステップ120)。
次に、センサ素子14が700℃に達した後の保持時間が5secを超えたか否かが判別される(ステップ122)。保持時間が5secを超えたと判別されるまでは、ステップ102において、目標温度を700℃としたインピーダンスフィードバック制御が実行される。そして、保持時間が5secを超えたと判別された後は、ステップ106の処理が実行されることにより、センサ素子14の目標温度が300℃に変更される。
以上の処理によれば、内燃機関が停止した後、センサ素子14は、ほぼ5sec間だけ700℃に保持され、その後、排気管温度が80℃を下回るまで300℃に制御される。センサ素子14が5secに渡って700℃に保持されれば、そこに付着しているカーボンを焼失させることができる。このため、マイコン30に図7に示すルーチンを実行させることとすれば、温度低下の過程でセンサ素子14に吸着する吸着種の量を抑制しつつ、内燃機関の停止直後にカーボンを焼失させることができる。
ところで、上述した実施の形態1では、排気通路に配置されるセンサが酸素センサ10に限定されているが、そのセンサは酸素センサに限らず、排気空燃比に対してリニアな出力を発する空燃比センサであってもよい。この点は、以下に説明する他の実施形態においても同様である。
また、上述した実施の形態1においては、内燃機関が停止した後、排気管温度が80℃となるまでの間、必要最小限の電力消費で吸着種の吸着を阻止するべく、センサ素子14の目標温度を300℃に設定することとしているが、その設定温度はこれに限定されるものではない。すなわち、その間の素子温の目標温度は、300℃以上の温度であればよく、消費電力を削減する意味で、好ましくは300〜500℃程度であることが望ましい。
実施の形態2.
[実施の形態2の特徴]
次に、図8を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。本実施形態の制御装置は、図1および図2に示すハードウェア構成を用いて、マイコン30に、上記図5または図7に示すルーチンに代えて、或いは、そのルーチンと共に、図8に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
上述した実施の形態1の装置によれば、内燃機関の停止中にセンサ素子14に吸着される吸着種の量を減らすことができる。しかしながら、この装置によっても、その吸着種の吸着を完全に防ぐことはできない。このため、実施の形態1の装置を用いたとしても、内燃機関の始動後、酸素センサ10の出力に一時的にリッチずれが生ずるのを避けることはできない。
ところで、センサ素子14に付着した吸着種は、センサ素子14の温度が300℃を超えることにより脱離し始める。そして、その脱離の速度は、センサ素子14が高温であるほど高速となる。従って、内燃機関の始動後に、センサ素子14の温度を通常の目標温度(550〜600℃程度)より高い温度(例えば800℃)とすれば、吸着種の脱離に要する所要時間を短縮し、センサ出力にリッチずれが生ずる時間を短くすることができる。以下、このような制御を「高温制御」と称す。
他方、センサ素子14の耐久性や電力消費の観点からは、センサ素子14が通常の目標温度より高温に制御される時間は短いほど好ましい。このため、そのようなセンサ素子14の高温制御を行うのであれば、吸着種の脱離が完了した時点で速やかにその高温制御が終了されることが望ましい。
本出願人は、吸着種の脱離の速度が、センサ素子14の温度の他、センサ素子14を取り巻く排気ガスの空燃比により左右されることを見いだした。より具体的には、本出願人の知見によれば、吸着種は、脱離に伴って還元物質Hを生じさせるものであることから、排気ガスが酸化雰囲気である場合に、つまり、排気空燃比がリーンである場合に、その離脱が促進される。このため、内燃機関の始動後、排気空燃比がリーンとされた時間(以下、「リーン時間」と称す)が長いほど、吸着種の脱離完了に要する所要時間は短縮される。
上述した要求に鑑みると、吸着種の脱離に要する時間が伸縮するのであれば、センサ素子14を高温制御する時間も、その伸縮に対応させて変化させるべきである。そこで、本実施形態では、内燃機関の始動後、リーン時間の積算値を計数しつつセンサ素子14の高温制御を実行し、リーン時間の積算値が大きな値となるほど、その高温制御の実行時間を短縮することした。
[実施の形態2における具体的処理]
図8は、上記の機能を実現するためマイコン30において実行されるルーチンのフローチャートである。図8に示すルーチンでは、先ず、内燃機関が始動しているか否かが判別される(ステップ130)。内燃機関の始動が認められなかった場合は、そのまま今回のルーチンが終了される。
一方、内燃機関の始動が認められた場合は、センサ素子14の目標温度が初期値(例えば550℃)に設定される。より具体的には、ここでは、インピーダンスフィードバック制御において用いられる目標インピーダンスZtgが、通常の目標温度(550℃)に対応する値Z550に設定される(ステップ132)。
次に、内燃機関の始動時における水温THIが、所定の判定温度TH40(例えば40℃)以上であるか否かが判別される(ステップ134)。THI≧TH40の成立が認められた場合は、停止後再始動までの時間が短く、まだ、センサ素子14にリッチずれを生じさせるほど吸着種が吸着していないと判断できる。この場合は、目標インピーダンスZtgがZ550とされたまま、今回のルーチンが終了される。内燃機関の始動後は、センサ素子14のインピーダンスフィードバック制御が開始される。このため、この場合は、以後、センサ素子14の温度が通常の目標値(550℃)となるように、ヒータ24の通電制御が行われる。
上記ステップ134において、THI≧TH40の成立が認められなかった場合は、センサ素子14に、無視できない程度に吸着種が吸着していると判断できる。この場合は、高温制御を行うべく、センサ素子14の目標温度が高温目標値(例えば800℃)に設定される。より具体的には、ここでは、インピーダンスフィードバック制御において用いられる目標インピーダンスZtgが、高温目標値(800℃)に対応する値Z800に設定される(ステップ136)。
尚、ここでは、高温目標値を、その一例として800℃としているが、その値はこれに限定されるものではない。すなわち、高温目標値は、吸着種の脱離が促進できる程度に通常の目標値より高い値であれば良く、例えば、700℃程度であっても十分に脱離促進の効果を得ることが可能である。
次に、酸素センサ10の出力がリーンであるか否かが判別される(ステップ138)。酸素センサ10は、センサ素子14の温度が800℃程度に加熱された状態でも、センサ素子14が通常の目標温度550℃付近に制御されている場合と比してさほど出力特性を変化させない。従って、高温制御の実行中であっても、酸素センサ10の出力に見れば、排気空燃比がリーンであるか否かはある程度正確に判断することができる。
センサ素子14に吸着している吸着種は、既述した通り、リーン雰囲気中においてその離脱が促進される。このため、上記ステップ138においてセンサ出力がリーンであると判断された場合は、吸着種の脱離が活発化していると判断できる。この場合、高温制御の実行時間を短縮するため、先ず、リーンカウンタTAFLのインクリメント処理が行われる(ステップ140)。次いで、そのリーンカウンタTAFLの計数値に基づいて、回復判定値GAsumTGの修正処理が行われる(ステップ142)。
一方、上記ステップ138において、センサ出力がリーンでないと判別された場合は、吸着種の脱離が特には促進されていないと判断できる。この場合は、ステップ140および142の処理がジャンプされ、回復判定値GAsumTGが、前回の処理サイクル時の値のまま維持される。
図8に示すルーチンでは、次に、内燃機関の始動後に生じた吸入空気量Gaの積算値Gasumが算出される(ステップ144)。次いで、吸入空気量Gaが回復判定値GAsumTG以上となっているかが判別される(ステップ146)。
マイコン30には、回復判定値GAsumTGの初期値が記憶されている。この初期値は、内燃機関の始動後、リッチ雰囲気中でセンサ素子14の高温制御が実行された場合に、吸着種の脱離を完了させるのに必要な吸入空気量GAの積算値に定められている。そして、上記ステップ142においては、具体的には、リーンカウンタTAFLの計数値分だけ、つまり、排気通路がリーン雰囲気となり吸着種の脱離が促進された時間分だけ、回復判定値GAsumTGが短縮補正される。その結果、回復判定値GAsumTGは、吸着種の脱離を完了させるために現実に必要な吸入空気量積算値Gasumと精度良く対応する値とされている。
このため、上記ステップ146において、GAsum≧GAsumTGの成立が認められなかった場合は、センサ素子14からの吸着種の脱離が未だ完了していないと判断することができる。この場合は、以後、目標インピーダンスZtgがZ800とされたまま今回のルーチンが終了され、センサ素子14の高温制御が更に継続される。
一方、上記ステップ146において、GAsum≧GAsumTGの成立が認められた場合は、センサ素子14からの吸着種の脱離が完了したと判断できる。この場合は、インピーダンスフィードバック制御の目標温度が通常値(550℃)に変更される。具体的には、目標インピーダンスZtgがZ550に変更される(ステップ148)。本ステップ148の処理が実行されると、以後、高温制御が終了され、通常のインピーダンスフィードバック制御が開始される。
以上の処理によれば、内燃機関の始動後、高温制御を行うことで吸着種の脱離を促進し、センサ出力にリッチずれが生ずる期間を短縮することができる。また、この処理によれば、現実に吸着種の脱離が完了した時点と、高温制御を終了させる時点とを精度良く一致させることができる。このため、本実施形態の制御装置によれば、無駄な電力消費を伴うことなく、また、センサ素子14に対して無駄にダメージを与えることなく、吸着種に起因する酸素センサ10の出力ずれの影響を可能な限り排除して、内燃機関の始動直後から排気ガスの状態を正しく検知することができる。
[実施の形態2の変形例等]
ところで、上述した実施の形態2においては、吸入空気量積算値GAsumが回復判定値GAsumTGに達したか否かに基づいて、吸着種の脱離が完了したか否かを判断することとしているが、その判断の手法はこれに限定されるものではない。例えば、その判断は、高温制御の実行時間が目標の時間(回復判定値)に達したか否かに基づいて行うこととしてもよい。
また、上述した実施の形態2においては、リーン時間が長いほど回復判定値GAsumTGを小さくすることで、リーン雰囲気中で脱離が促進される現象を、高温制御の実行時間に反映させることとしているが、その反映の手法はこれに限定されるものではない。すなわち、リーン時間がながいほど吸入空気量積算値GAsumTGを増加方向に補正することにより、その減少を高温制御の実行時間に反映させることとしてもよい。
尚、上述した実施の形態2においては、マイコン30が、上記ステップ144の処理を実行することにより前記第1の発明における「回復値計数手段」が、上記ステップ136および146の処理を実行することにより前記第1の発明における「ヒータ制御手段」が、上記ステップ138および140の処理を実行することにより前記第1の発明における「リーン積算値計数手段」が、上記ステップ142の処理を実行することにより前記第1の発明における「判定値補正手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態3.
[実施の形態3の特徴]
次に、図9を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。本実施形態の制御装置は、図1および図2に示すハードウェア構成を用いて、マイコン30に、上記図5または図7に示すルーチンに代えて、或いは、そのルーチンと共に、図9に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
上述した実施の形態2の装置は、内燃機関の始動後、センサ素子14の高温制御を行うことで、センサ出力にリッチずれが生ずる期間の短縮を図ることとしている。そして、実施の形態2では、始動後に空燃比がリーンとされた時間の積算値を考慮して、高温制御の実行時間を、吸着種の脱離が完了するまでの現実の時間に整合させることとしている。
ところで、吸着種の脱離に必要な所要時間は、内燃機関の始動時にセンサ素子14に吸着していた吸着種の量が多いほど長時間となる。そして、その吸着種の量は、内燃機関の停止時間が長いほど多量となる。このため、吸着種の脱離に必要な時間は、内燃機関の停止時間がながくなるほど長時間となる。そこで、本実施形態では、高温制御の実行時間を、吸着種の脱離に必要な時間に精度良く整合させるために、その実行時間を、内燃機関の停止時間に応じて伸縮させることとした。
[実施の形態3における具体的処理]
図9は、上記の機能を実現するためにマイコン30において実行されるルーチンのフローチャートである。図9に示すルーチンでは、先ず、内燃機関が始動しているか否かが判別される(ステップ150)。その結果、内燃機関の始動が認められなかった場合は、停止後の経過時間TENGSPが計数される(ステップ152)。尚、本実施形態において、マイコン30は、内燃機関が停止している間中、経過時間TENGSPの計数処理を実行し得るものとする。
一方、上記ステップ150において、内燃機関の始動が認められた場合は、センサ素子14の目標温度が初期値(例えば550℃)に設定された後(ステップ154)、始動時水温THIが判定温度TH40以上であるかが判別される(ステップ156)。そして、THI≧TH40の成立が認められた場合は、センサ素子14の目標温度が高温目標値(例えば800℃)に変更される(ステップ158)。尚、これらの処理は、図8に示すステップ132〜136の処理と同一である。
図9に示すルーチンでは、次に、センサ素子14を高温目標値800℃に保持するべき目標の時間(以下、「目標保持時間T800TG」とする)が算出済みであるかが判別される(ステップ160)。その結果、T800TGが算出済みであると判別された場合は、後述するステップ162および164の処理がジャンプされる。
一方、T800TGが未だ算出されていないと判別された場合は、停止後の経過時間TENGSPに基づいて、目標保持時間T800TGが算出される(ステップ162)。目標保持時間T800TGは(つまり、高温制御の実行時間は)、吸着種の脱離に要する時間と整合させるべき時間である。従って、その時間T800TGは、吸着種の吸着量が多いほど、つまり、内燃機関の停止後の経過時間TENGSPが長いほど長時間とすることが必要である。本実施形態において、マイコン30には、その要求が満たされるように、経過時間TENGSPとの関係で目標保持時間T800TGを定めたマップが記憶されている。本ステップ162では、そのマップを参照することにより、経過時間TENGSPに対応するT800TGが設定される。その結果、目標保持時間T800TGは、停止後の経過時間TENGSPが長いほど長時間に設定される。
図9に示すルーチンでは、次に、停止後の経過時間TENGSPがクリアされる(ステップ164)。以後の処理サイクルでは、ステップ162および164の処理がジャンプされるため、目標保持時間T800TGは、今回の処理サイクルにおいて算出された値に保持されることとなる。
以上の処理が終わると、次に、センサ素子14の温度が800℃に制御された時間(Ztg=Z800とされた時間、或いは、素子温が現実に800℃に達した後の時間;以下、「高温制御時間T800」とする)が計数される(ステップ166)。次いで、高温制御時間T800が目標保持時間T800TG以上であるかが判別される(ステップ168)。
その結果、T800≧T800TGの成立が認められなかった場合は、センサ素子14からの吸着種の脱離が未だ完了していないと判断することができる。この場合は、以後、目標インピーダンスZtgがZ800とされたまま今回のルーチンが終了され、センサ素子14の高温制御が更に継続される。
一方、上記ステップ168において、T800≧T800TGの成立が認められた場合は、センサ素子14からの吸着種の脱離が完了したと判断できる。この場合は、インピーダンスフィードバック制御の目標温度が通常値(550℃)に変更される(ステップ170)。その結果、高温制御が終了され、以後、通常のインピーダンスフィードバック制御が開始される。
以上の処理によれば、内燃機関の始動後、高温制御を行うことで吸着種の脱離を促進し、センサ出力にリッチずれが生ずる期間を短縮することができる。また、この処理によれば、内燃機関の停止後再始動までの経過時間TENGSPが長いほど、目標保持時間T800を長時間として、現実に吸着種の脱離が完了した時点と、高温制御を終了させる時点とを精度良く一致させることができる。このため、本実施形態の制御装置によれば、無駄な電力消費を伴うことなく、また、センサ素子14に対して無駄にダメージを与えることなく、吸着種に起因する酸素センサ10の出力ずれの影響を可能な限り排除して、内燃機関の始動直後から排気ガスの状態を正しく検知することができる。
[実施の形態3の変形例等]
ところで、上述した実施の形態3においては、高温制御時間T800が目標保持時間T800TGに達したか否かに基づいて、吸着種の脱離が完了したか否かを判断することとしているが、その判断の手法はこれに限定されるものではない。例えば、その判断は、実施の形態2の場合と同様に、吸入空気量積算値GAsumが回復判定値GAsumTG(この場合は、GAsumTGをTENGSPに応じて設定することになる)に達したか否かに基づいて行うこととしてもよい。
また、上述した実施の形態3においては、停止後の経過時間TENGSPが長いほど目標保持時間T800TGを長くすることで、吸着種の吸着量の影響を高温制御の実行時間に反映させることとしているが、その反映の手法はこれに限定されるものではない。すなわち、停止後の経過時間TENGSPが長いほど、高温制御時間T800の増加傾向を緩やかにすることにより、吸着量の影響を高温制御の実行時間に反映させることとしてもよい。
更に、上述した実施の形態3においては、内燃機関の始動後に生じたリーン時間は、高温制御の実行時間に反映させないこととしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、実施の形態3の制御装置においても、実施の形態2の場合と同様に、始動後のリーン時間が長いほど、高温制御の実行時間を短縮することとしてもよい。
尚、上述した実施の形態3においては、高温制御時間T800が前記第2の発明における「特性回復値」に、目標保持時間T800TGが前記第2の発明における「回復判定値」に、それぞれ相当している。また、ここでは、マイコン30が、上記ステップ166の処理を実行することにより前記第2の発明における「回復値計数手段」が、上記ステップ158および168の処理を実行することにより前記第2の発明における「ヒータ制御手段」が、上記ステップ152の処理を実行することにより前記第2の発明における「停止時間計数手段」が、上記ステップ162の処理を実行することにより前記第2の発明における「判定値補正手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態4.
[実施の形態3の特徴]
次に、図10を参照して、本発明の実施の形態4について説明する。本実施形態の制御装置は、図1および図2に示すハードウェア構成を用いて、マイコン30に、上記図5または図7に示すルーチンに代えて、或いは、そのルーチンと共に、図10に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
センサ素子14に吸着している吸着種の脱離は、上述したように、リーン雰囲気において顕著に進行する。このため、その脱離が終了したか否かは、内燃機関の始動後に十分なリーン時間が生じたか否かを見ることでも精度良く判断することができる。そこで、本実施形態では、センサ素子14の高温制御を終了するべき時期を、始動後に生じたリーン時間の積算値に基づいて判定することとした。
[実施の形態4における具体的処理]
図10は、上記の機能を実現するためにマイコン30において実行されるルーチンのフローチャートである。図10に示すルーチン中、ステップ180〜190の処理は、それぞれ図8に示すステップ130〜140の処理と同じである。また、図10におけるステップ194の処理は、図8におけるステップ148の処理と同様である。ここでは、説明の重複を避けるため、図10において、図8に示すステップと同じものについては、その説明を省略または簡略することとする。
図10に示すルーチンによれば、内燃機関の始動後、高温制御の必要性が認識されると(ステップ184)、先ず、センサ素子14の目標温度が高温目標値(800℃)に設定される(ステップ186)。次いで、酸素センサ10の出力に基づいて、排気空燃比がリーンとなった時間の積算値TAFLが計数される(ステップ190)。以上の処理は、図8に示すルーチンにおいても実行される処理である。
図10に示すルーチンでは、次に、計数されたリーン時間の積算値TAFLが回復判定値TAFLTG以上であるかが判別される(ステップ192)。マイコン30には、リーン時間の積算値TAFLと比較されるべき回復判定値TAFLTGが記憶されている。この回復判定値TAFLTGは、内燃機関の始動後、センサ素子14に吸着している吸着種を完全に脱離させるのに必要なリーン時間に定められている。
このため、上記ステップ192において、TAFL≧TAFLTGの成立が認められなかった場合は、吸着種の脱離完了が未だ判定できないと判断できる。この場合は、以後、目標インピーダンスZtgがZ800とされたまま今回のルーチンが終了され、センサ素子14の高温制御が更に継続される。
一方、上記ステップ192において、TAFL≧TAFLTGの成立が認められた場合は、吸着種の脱離が完了したと判断できる。この場合は、インピーダンスフィードバック制御の目標温度が通常値(550℃)に変更される(ステップ194)。その結果、高温制御が終了され、通常のインピーダンスフィードバック制御が開始される。
以上の処理によれば、内燃機関の始動後、高温制御を行うことで吸着種の脱離を促進し、センサ出力にリッチずれが生ずる期間を短縮することができる。また、この処理によれば、リーン時間の積算値に着目して高温制御の終了時期を判定することで、吸着種の脱離が現実に完了する時点と、高温制御を終了時点とを、比較的簡単な処理により精度良く一致させることができる。このため、本実施形態の制御装置によれば、無駄な電力消費を伴うことなく、また、センサ素子14に対して無駄にダメージを与えることなく、吸着種に起因する酸素センサ10の出力ずれの影響を可能な限り排除して、内燃機関の始動直後から排気ガスの状態を正しく検知することができる。
[実施の形態4の変形例等]
ところで、上述した実施の形態4においては、高温制御が実行されるべき時間を、リーン時間の積算値TAFLのみに基づいて決めることとしているが、その実行時間は、始動後の吸入空気量積算値GAsum、センサ素子14の高温制御時間T800、停止時からの経過時間TENGSP等に基づいて伸縮させることとしてもよい。具体的には、実施の形態4では固定値とされている回復判定値TAFLTGを、GAsumが大きいほど小さく、T800が長いほど小さく、また、TENGSPが長いほど大きく修正することとしてもよい。或いは、実施の形態4では一定とされている積算値TAFLの増加傾向を、GAsumが大きいほど急激に、T800が長いほど急激に、また、TENGSPが長いほど緩やかに修正することとしてもよい。
尚、上述した実施の形態4においては、マイコン30が、上記ステップ188および190の処理を実行することにより前記第3の発明における「リーン積算値計数手段」が、上記ステップ186および192の処理を実行することにより前記第3の発明における「ヒータ制御手段」が、それぞれ実現されている。また、実施の形態4では、マイコン30に、内燃機関の始動後の経過時間、或いは吸入空気量積算値を計数させることにより前記第4の発明における「回復値計数手段」を、その計数値に基づいて回復判定値TAFLTGまたは積算値TAFLの増加傾向を修正させることにより前記第4の発明における「判定値補正手段」を、それぞれ実現することができる。更に、実施の形態4では、マイコン30に、内燃機関の停止後経過時間を計数させることにより前記第5の発明における「停止時間計数手段」を、その計数値に基づいて回復判定値TAFLTGまたは積算値TAFLの増加傾向を修正させることにより前記第5の発明における「判定値補正手段」を、それぞれ実現することができる。
実施の形態5.
[実施の形態5の特徴]
次に、図11および図12を参照して、本発明の実施の形態5について説明する。本実施形態の制御装置は、図1および図2に示すハードウェア構成を用いて、マイコン30に、上記図5または図7に示すルーチンに代えて、或いは、そのルーチンと共に、図11に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
既に述べた通り、内燃機関の始動直後には、吸着種の影響で、酸素センサ10の出力に一時的なリッチずれが生ずる。そして、吸着種の吸着を完全に阻止することが困難であることから、そのリッチずれの発生を回避することも困難である。ところで、ここで生ずるセンサ出力のリッチずれは、吸着種の脱離量に対して相関を有している。そして、吸着種の脱離量は、脱離の開始時点で存在していた吸着量、つまり、吸着量の初期値と、その後の経過時間とに対して、大きな相関を示す。
このため、吸着種の脱離量は、吸着量の初期値と、脱離開始後の経過時間とに基づいてある程度推定することが可能である。そして、その脱離量が推定できれば、吸着種に起因するセンサ出力のリッチずれ量も、推定することが可能である。更に、そのリッチずれ量が推定できれば、酸素センサ10の出力を補正することが可能であり、リッチずれの生じている期間中でも、排気ガスの状態を正確に検知することが可能である。そこで、本実施形態では、内燃機関の始動後、その始動の時点で生じていた吸着種の吸着量と、脱離開始後の経過時間とに基づき、センサ出力に重畳しているリッチずれ量を算出し、更に、そのずれ量を補正値として酸素センサ10の出力に補正を施すこととした。
[実施の形態5における具体的処理]
図11は、上記の機能を実現するためマイコン30において実行されるルーチンのフローチャートである。図11に示すルーチンでは、先ず、内燃機関が始動しているか否かが判別される(ステップ200)。その結果、内燃機関の始動が認められなかった場合は、停止後の経過時間TENGSPが計数される(ステップ202)。尚、本実施形態において、マイコン30は、内燃機関が停止している間中、経過時間TENGSPの計数処理を実行し得るものとする。
一方、上記ステップ200において、内燃機関の始動が認められた場合は、酸素センサ10のセンサ出力OXSADが読み込まれる(ステップ204)。次いで、センサ素子14の温度が、現時点で300℃以上であるか、つまり、吸着種の脱離が開始される温度に達しているかが判別される(ステップ206)。
素子温が300℃以上でないと判別された場合は、吸着種の影響によるセンサ出力のリッチずれが未だ生じていないと判断できる。この場合は、最終補正値KOXSRがゼロとされた後(ステップ208)、後述するステップ226の処理(最終的なセンサ出力を算出する処理)が実行される。
一方、上記ステップ206において、素子温が300℃以上であると判断された場合は、吸着種に起因するリッチずれが生じている可能性があると判断される。この場合は、先ず、素子温が300℃以上となった後の経過時間が、つまり、吸着種の脱離が開始された後の経過時間が、「300℃保持時間T300」として計数される(ステップ210)。
図11に示すルーチンでは、次に、素子温が通常の目標温度550℃に達したか否かが判別される(ステップ212)。そして、素子温が550℃以上であると判断された場合にのみ、酸素センサ10の活性判定がなされる(ステップ214)。
これらの処理が終わると、次に、内燃機関の停止中に計数された経過時間TENGSPに基づいて、補正量初期値KOXSRIが算出される(ステップ216)。補正量初期値KOXSRIは、吸着種の脱離が開始された時点で生ずるリッチずれ量を補正するための値である。この値KOXSRIは、吸着量の初期値が大きいほど大きな値とすべきものであり、従って、停止後の経過時間TENGSPが長いほど大きな値とするべきものである。
図12(A)は、上記ステップ216において、補正量初期値KOXSRを算出するためにマイコン30が参照するマップの一例である。このマップにおいて、補正量初期値KOXSRIは、吸着量の初期値との整合を取るべく、停止後経過時間TENGSPが長くなるほど大きな値となるように定められている。このため、上記ステップ216の処理によれば、脱離の開始時点で生ずるリッチずれ量と精度良く整合する値を補正量初期値KOXSRIとして設定することができる。
図11に示すルーチンでは、次に、300℃保持時間T300に基づいて、補正量修正値KOXSRMが算出される(ステップ218)。センサ出力のリッチずれ量は、吸着種の脱離が進むに連れて小さくなる。このため、そのリッチずれ量は、300℃保持時間T300が長くなるに連れて徐々に小さな値となる。本ステップ218において算出される補正量修正値KOXSRMは、このようにしてリッチずれ量に生ずる変化量に対応する値である。
図12(B)は、上記ステップ218において、補正量修正値KOXSMを算出するためにマイコン30が参照するマップの一例である。このマップにおいて、補正量修正値KOXSRIは、リッチずれ量に生ずる変化量との整合を取るべく、300℃保持時間T300が長くなるほど大きな値となるように定められている。このため、上記ステップ218の処理によれば、脱離の開始後にリッチずれ量に生じた減少量と精度良く整合する値を補正量修正値KOXSRMとして設定することができる。
補正量初期値KOXSRIと補正量修正値KOXSRMとが上記の如く算出されると、次式に従って、最終補正値KOXSRが算出される(ステップ220)。
KOXSR=KOXSRI−KOXSRM ・・・(1)
図12(C)は、上記(1)式により演算される採取補正値KOXSRの時間的な変化を示す。補正量修正値KOXSRMが、300℃保持時間の増加に伴って増えるため、最終補正値KOXSRは、図12(C)に示すように、補正量初期値KOXSRIを最大値として、300℃保持時間T300の増加と共に徐々に減少する。この最終補正値KOXSRの変化は、吸着種の脱離に起因するセンサ出力のリッチずれ量と精度良く対応するものである。
図11に示すルーチンでは、次に、最終補正値KOXSRの下限値を0にガードするためのガード処理が実行される(ステップ222,224)。次いで、酸素センサ10の出力OXSADと、最終補正値KOXSRとを次式に代入することにより、最終酸素センサ出力OXSFが算出される(ステップ226)。
OXSF=OXSAD−KOXSR ・・・(2)
以上説明した処理によれば、内燃機関が始動し、吸着種の脱離が開始された後に、リッチずれの大きさと精度良く整合する最終補正値KOXSRを算出することができる。そして、その最終補正値KOXSRを用いてセンサ出力OXSADを補正することで、リッチずれの影響が排除された最終酸素センサ出力OXSFを算出することができる。このため、本実施形態の制御装置によれば、吸着種に起因する酸素センサ10の出力ずれの影響を可能な限り排除して、内燃機関の始動直後から排気ガスの状態を正しく検知することができる。
ところで、上述した実施の形態5においては、リッチずれの大きさが300℃保持時間T300の増加に伴って減少するとの前提に立ち、補正量修正値KOXSRMをT300の関数として求めることとしているが、補正量修正値KOXSRMを求める手法はこれに限定されるものではない。すなわち、補正量修正値KOXSRMは、素子温が300℃を超えた後の吸入空気量GAの積算値や、素子温が300℃を超えた後のリーン時間などの関数として求めることとしてもよい。
尚、上述した実施の形態5においては、300℃保持時間T300が前記第6の発明における「脱離進行値」に、最終補正値KOXSRが前記第6の発明における「センサ出力補正値」に、それぞれ相当している。また、ここでは、マイコン30が、インピーダンスフィードバック制御のためにセンサ素子14の温度を検知することにより前記第6の発明における「素子温度取得手段」が、上記ステップ210の処理を実行することにより前記第6の発明における「脱離進行値計数手段」が、上記ステップ226の処理を実行することにより前記第6の発明における「出力補正手段」が、上記ステップ218および220の処理を実行することにより前記第6の発明における「補正値算出手段」が、それぞれ実現されている。更に、実施の形態5においては、マイコン30が、上記ステップ202の処理を実行することにより前記第7の発明における「停止時間計数手段」が、上記ステップ216の処理を実行することにより前記第7の発明における「初期値設定手段」が、それぞれ実現されている。
本発明の実施の形態1において用いられる酸素センサの構造を説明するための図である。 本発明の実施の形態1の制御装置の構成を説明するためのブロック図である。 図3(A)は内燃機関の停止後にセンサ素子に吸着種が吸着する様子を説明するための図である。図3(B)は内燃機関の始動後に吸着種が酸素センサの出力に与える影響を説明するための図である。 センサ素子に対する吸着種の吸着し易さを整理した図である。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 図5に示すルーチンの実行過程で参照されるマップの一例である。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンの変形例のフローチャートである。 本発明の実施の形態2において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態3において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態4において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態5において実行されるルーチンのフローチャートである。 図12(A)および図12(B)はそれぞれ図11に示すルーチンの実行過程で参照されるマップの一例である。図12(C)は図11に示すルーチンにより算出される最終補正値KOXSRの時間的変化を示す図である。
符号の説明
10 酸素センサ
14 センサ素子
18 排気側電極
20 大気側電極
24 ヒータ
30 センサ制御用マイクロコンピュータ(マイコン)
40 エンジン制御用ECU(ECU:Electronic Control Unit)
Ztg 目標インピーダンス
GAsum 吸入空気量積算値
TENGSP 内燃機関の停止後の経過時間
THTSP 停止目標時間
GAsumTG;TAFLTG 回復判定値
T800TG 目標保持時間
THI 始動時水温
T300 300℃保持時間
OXSAD 酸素センサ出力
KOXSRI 補正量初期値
KOXSRM 補正量修正値
KOXSR 最終補正値
OXSF 最終酸素センサ出力

Claims (7)

  1. 内燃機関の排気通路に配置された排気センサの制御装置であって、
    前記排気センサは、排気ガスの状態に応じた出力を発生するセンサ素子と、前記センサ素子を加熱するためのヒータとを備え、
    内燃機関の始動後の経過時間、或いは吸入空気量積算値を特性回復値として計数する回復値計数手段と、
    前記特性回復値が回復判定値に達するまで、前記センサ素子の目標温度を通常の目標温度より高温の回復目標温度として前記ヒータを制御するヒータ制御手段と、
    内燃機関の始動後に空燃比がリーンとされた時間の積算値を計数するリーン積算値計数手段と、
    前記積算値が大きいほど、前記特性回復値を大きく、或いは前記回復判定値を小さく補正する判定値補正手段と、
    を備えることを特徴とする排気センサの制御装置。
  2. 内燃機関の排気通路に配置された排気センサの制御装置であって、
    前記排気センサは、排気ガスの状態に応じた出力を発生するセンサ素子と、前記センサ素子を加熱するためのヒータとを備え、
    内燃機関の始動後の経過時間、或いは吸入空気量積算値を特性回復値として計数する回復値計数手段と、
    前記特性回復値が回復判定値に達するまで、前記センサ素子の目標温度を通常の目標温度より高温の回復目標温度として前記ヒータを制御するヒータ制御手段と、
    内燃機関の停止時間を計数する停止時間計数手段と、
    内燃機関の停止時間が長いほど、前記特性回復値を小さく、或いは前記回復判定値を大きく補正する判定値補正手段と、
    を備えることを特徴とする排気センサの制御装置。
  3. 内燃機関の排気通路に配置された排気センサの制御装置であって、
    前記排気センサは、排気ガスの状態に応じた出力を発生するセンサ素子と、前記センサ素子を加熱するためのヒータとを備え、
    内燃機関の始動後に空燃比がリーンとされた時間の積算値を計数するリーン積算値計数手段と、
    前記積算値が回復判定値に達するまで、前記センサ素子の目標温度を通常の目標温度より高温の回復目標温度として前記ヒータを制御するヒータ制御手段と、
    を備えることを特徴とする排気センサの制御装置。
  4. 内燃機関の始動後の経過時間、或いは吸入空気量積算値を特性回復値として計数する回復値計数手段と、
    前記特性回復値が大きいほど、前記積算値を大きく、或いは前記回復判定値を小さく補正する判定値補正手段と、
    を備えることを特徴とする請求項3記載の排気センサの制御装置。
  5. 内燃機関の停止時間を計数する停止時間計数手段と、
    内燃機関の停止時間が長いほど、前記積算値を小さく、或いは前記回復判定値を大きく補正する判定値補正手段と、
    を備えることを特徴とする請求項3または4記載の排気センサの制御装置。
  6. 内燃機関の排気通路に配置された排気センサの制御装置であって、
    前記排気センサは、排気ガスの状態に応じた出力を発生するセンサ素子と、前記センサ素子を加熱するためのヒータとを備え、
    前記センサ素子の温度を取得する素子温度取得手段と、
    前記センサ素子の温度が当該センサ素子に吸着している吸着種の脱離温度に達した後の経過時間、或いは吸入空気量積算値を脱離進行値として計数する脱離進行値計数手段と、
    前記排気センサの出力をセンサ出力補正値に基づいて補正する出力補正手段と、
    前記脱離進行値が大きいほど、前記センサ出力補正値を小さな値とする補正値算出手段と、
    を備えることを特徴とする排気センサの制御装置。
  7. 内燃機関の停止時間を計数する停止時間計数手段を備え、
    前記補正値算出手段は、前記停止時間が長いほど前記センサ出力補正値の初期値を大きな値とする初期値設定手段を含むことを特徴とする請求項6記載の排気センサの制御装置。
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