JP4828496B2 - 加熱調理器 - Google Patents
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Description
鍋底の温度を監視しながら加熱調理を行う調理器として、特許文献1に開示されたものがある。
このものでは、鍋底に当接する温度センサの検知温度に基づいて加熱手段が制御されると共に、鍋底と温度センサの間にゴミ等の異物が挟まって温度検知精度が担保できない場合は、鍋底と温度センサの密着不良を検出し、加熱手段を停止させるようにしている。
このものでは、鍋底と温度センサの密着不良が判断できるから、調理ミスや鍋の過熱を防止することができる。
上記問題点について、更に詳述する。
先ず、鍋底に温度センサが密着している密着曲線Xの場合について説明する。
この場合、鍋の加熱終了点Rの後は、鍋の構成壁に蓄積された熱が内部の食材に奪われるから、鍋底に密着した温度センサの検知温度は、オーバーシュート(V)して比較的速やかに一定温度に近付く。
鍋に対して温度センサが密着不良の状態にあるときは、鍋底に温度センサが密着している場合に比べて、温度センサが鍋底温度を拾い難いから、鍋の加熱を停止した点Rでは、温度センサの検知温度は十分に上がっていない。そして、点Rの後では、温度センサの検知温度は実際の鍋底温度に近付いて行き、緩慢ではあるがオーバーシュートを続ける。
本発明はかかる点に鑑みて成されたもので、図6に示す改良案のものに比べ、前記温度センサの密着不良の判定精度の向上を図ることを課題とする。
上記課題を解決する為の請求項1に係る発明の解決手段は、
『鍋を加熱する加熱手段と、
前記鍋のセンサ当接部に当接される温度センサと、
前記温度センサの検知温度が加熱量切替温度になるまで前記鍋を前記加熱手段で加熱させ、その後に、前記加熱手段に加熱量の低減をさせるか又は加熱停止させる加熱量切替手段と、
前記加熱量切替手段が前記加熱量を低減又は加熱停止させた後に前記温度センサが検知する前記センサ当接部の時間的温度変化ΔTの経時的な減少度合いを演算する手段を設け、
前記経時的な減少度合いが基準値より小さい場合は、鍋に対して温度センサが密着不良状態にあると判断する』ことである。
上記解決手段は次のように作用する。
加熱手段で鍋の加熱が開始すると、鍋及びこれに対するセンサ当接部の温度が上昇し始める。そして、温度センサの検知温度が加熱量切替温度になるまで鍋が加熱されると、加熱量切替手段は、加熱手段に加熱量の低減をさせるか又は加熱停止させる。
請求項1に係る発明に於いて、
『前記経時的な減少度合いは、
前記加熱量を低減又は加熱停止させた直後の時間的温度変化ΔT1から、前記直後からの所定時間経過後の時間的温度変化ΔT2を減算した値である』ものとすることができる。
このものでは、加熱手段の加熱量を低減又は加熱停止させた直後に於ける温度センサの検知温度の時間的温度変化ΔT1が求められると共に、その後、所定時間が経過した後の時間的温度変化ΔT2が求められる。
(ΔT1−ΔT2)は、温度センサの検知温度の時間的温度変化ΔTの経時的な減少度合を意味しており、該経時的な減少度合いが基準値より小さい場合は、温度センサの検知温度のオーバーシュートが緩慢に継続するセンサ密着不良の状態にあると判断する。
請求項2に係る発明に於いて、
『前記時間的温度変化ΔT2は、前記センサ当接部の温度がオーバーシュートして略極大になる領域の値である』ものでは、温度センサが鍋に密着している場合は、該温度センサが検知する時間的温度変化ΔT2は、0に近い値になる。一方、センサ当接部の温度がオーバーシュートして略極大になる領域では、温度センサが密着不良の場合は検知温度が上昇途中にあり、未だ極大に到達していない。即ち、密着不良の場合の前記時間的温度変化ΔT2は0に近い値にならない。
従って、温度センサが密着不良の場合と密着している場合で、時間的温度変化ΔT2の違いが顕著になるから、密着不良を明確に判定することができる。
請求項1〜3に係る発明に於いて、
『前記加熱手段は、ガスバーナであり、
前記加熱量切替手段は、前記温度センサの検知温度が前記加熱量切替温度になったときに前記ガスバーナを弱火に切り替える』ものとすることができる。
このものでは、ガスバーナが加熱量切替手段で弱火に切り替えられるから、ガスバーナが消火される場合のように加熱調理器が強制停止されたと誤解される心配がなく、使用者に不安感を与える不都合を防止することができる。
請求項1,2に係る発明では、温度センサの検知温度のオーバーシュートが緩慢に継続しているか否かによって、温度センサの密着不良を判定する。従って、加熱停止等の後に於けるセンサ当接部の温度が、センサ密着時と密着不良時とでほぼ同一温度になることがあっても、温度センサの密着不良を確実に判定することができ、判定精度が向上する。
図1は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器としてのガスコンロの斜視図である。
コンロ本体(1)の天板部(10)には、ガスバーナ(11)(12)が配設されており、一方のガスバーナ(11)の中央部には温度センサ(13)が突出している。
コンロ本体(1)に組み込まれた制御装置には、図3のフローチャートで示す内容の制御プログラムが格納されたマイクロコンピュータが内蔵されている。
先ず、ステップ(ST1)で点・消火ボタン(17)による点火操作を監視し、点・消火ボタン(17)で点火操作がされたと判断されると、ステップ(ST2)でガスバーナ(11)に点火すると共に、該ガスバーナ(11)を強火にして鍋(2)を強加熱する。すると、温度センサ(13)が鍋底(21)に密着している場合は、図4の密着曲線Xで示すように温度センサ(13)の検知温度が比較的大きな勾配でオーバーシュートし始める。一方、鍋底(21)に対して温度センサ(13)が密着不良の状態にあると、温度センサ(13)が鍋底(21)の温度を拾い難いから、密着不良曲線Yに示すように、温度センサ(13)の検知温度が緩慢にオーバーシュートする。
続いて、ステップ(ST7)で、弱加熱開始点P3から設定時間A1(本実施の形態では、10秒に設定されている)に於ける温度センサ(13)の検知温度の時間的温度変化ΔT1(10秒間の温度変化)を求める。
A.上記実施の形態では、ステップ(ST5)でガスバーナ(11)を弱火に切り替えたが、該ガスバーナ(11)を消火させてもよい。
B.上記実施の形態では、加熱手段としてガスバーナ(11)を利用したが、電気ヒータや電磁加熱コイルを用いてもよい。
C.本発明はガスコンロ以外の炊飯器等の加熱調理器にも適用できる。
(11)(12)・・・ガスバーナ
(13)・・・温度センサ
Claims (4)
- 鍋を加熱する加熱手段と、
前記鍋のセンサ当接部に当接される温度センサと、
前記温度センサの検知温度が加熱量切替温度になるまで前記鍋を前記加熱手段で加熱させ、その後に、前記加熱手段に加熱量の低減をさせるか又は加熱停止させる加熱量切替手段と、
前記加熱量切替手段が前記加熱量を低減又は加熱停止させた後に前記温度センサが検知する前記センサ当接部の時間的温度変化ΔTの経時的な減少度合いを演算する手段を設け、
前記経時的な減少度合いが基準値より小さい場合は、鍋に対して温度センサが密着不良状態にあると判断する、加熱調理器。 - 請求項1に記載の加熱調理器に於いて、
前記経時的な減少度合いは、
前記加熱量を低減又は加熱停止させた直後の時間的温度変化ΔT1から、前記直後からの所定時間経過後の時間的温度変化ΔT2を減算した値である、加熱調理器。 - 請求項2に記載の加熱調理器に於いて、
前記時間的温度変化ΔT2は、前記センサ当接部の温度がオーバーシュートして略極大になる領域の値である、加熱調理器。 - 請求項1から請求項3の何れかに記載の加熱調理器に於いて、
前記加熱手段は、ガスバーナであり、
前記加熱量切替手段は、前記温度センサの検知温度が前記加熱量切替温度になったときに前記ガスバーナを弱火に切り替える、加熱調理器。
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