JP6637452B2 - スパークプラグ - Google Patents

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Description

本発明はスパークプラグに関し、特にPtを主体とする合金からなるチップを電極に設けたスパークプラグに関するものである。
電極が火炎核のエネルギーを奪う消炎作用を抑えるため、Ptを主体とする合金からなるチップと電極母材との間に中間材を介在させたスパークプラグが知られている。特許文献1に開示されるスパークプラグは、火花ギャップを介して第2電極と対向する第1電極が、Niを主体とする電極母材と、Niを主体とする合金からなり電極母材から突出した状態で電極母材に溶接される中間材と、中間材およびPt−Rhからなるチップが溶け合ってなる溶融部と、を備えている。特許文献2に開示されるスパークプラグの第1電極は、Niを主体とする電極母材と、Niを主体とする中間材と、中間材及びPt−Niからなるチップが溶け合ってなる溶融部と、を備えている。
国際公開第2010/029944号 国際公開第2009/063930号
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、高温下での使用において、溶融部の部分的な消耗(以下「抉れ」ともいう)が生じるおそれがある。特許文献2に開示される技術では、高温下や過給機付エンジンでの使用において、中間材の消耗が生じるおそれがある。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、中間材および溶融部の耐消耗性を向上できるスパークプラグを提供することを目的としている。
この目的を達成するために本発明のスパークプラグは、第1電極が、Niを主体とする電極母材と、Niを主体とする合金からなり電極母材から突出した状態で電極母材に溶接される中間材と、Ptを主体とする合金からなるチップと、中間材およびチップが溶け合ってなる溶融部と、を備えている。第2電極は、チップの放電面と火花ギャップを介して対向する。
チップは、6質量%以上のRhと、Rh,Re,Ir,Ru,W,Mo及びNbからなるR群から選ばれる少なくとも1種と、5質量%以上のNiと、Ni,Co,Fe及びCuからなるN群から選ばれる少なくとも1種と、を含有する。R群の中ではRhを、N群の中ではNiをそれぞれ最も多く含む。Pt,Rh及びNiの含有率の合計は91質量%以上であり、Pt,R群およびN群の含有率の合計は95質量%以上である。R群の含有率をN群の含有率で除した値は、0.7以上8以下である。
請求項1記載のスパークプラグによれば、Ptを主体とするチップは、6質量%以上のRhと、Rh,Re,Ir,Ru,W,Mo及びNbからなるR群から選ばれる少なくとも1種と、5質量%以上のNiと、Ni,Co,Fe及びCuからなるN群から選ばれる少なくとも1種と、を含有する。R群の中ではRhを最も多く含み、N群の中ではNiを最も多く含む。その結果、チップ及び中間材が溶け合ってなる溶融部には、Pt,Rh及びNiが含まれる。Pt,Rh及びNiを含む合金により熱応力を抑制しつつ溶融部を適度に脆化できるので、熱衝撃等により、適度なクラックを溶融部に進展させて応力を解放できる。中間材の応力を緩和できるので、中間材の変形を抑制できる。その結果、中間材の表面に形成される安定な酸化膜の剥離を抑制できるので、酸化膜に覆われた酸化消耗し易い部分を露出させないようにできる。よって、中間材の酸化消耗を抑制できる。
Pt,Rh及びNiの含有率の合計は91質量%以上であり、Pt,R群およびN群の含有率の合計は95質量%以上である。R群の含有率をN群の含有率で除した値は0.7以上8以下なので、チップや溶融部の融点の低下を抑制して結晶粒成長を抑制しつつ、溶融部に生じる熱応力を抑制できる。さらに、溶融部の表面に安定な酸化膜を形成してそれ以上の内部酸化を抑制できる。その結果、溶融部の過度の脆化および応力を抑制でき、酸化や酸化物の脱落による消耗も抑制できるので、高温下での溶融部の部分的な消耗(抉れ)を抑制できる。
Pt,Rh及びNiが含まれ、R群の含有率をN群の含有率で除した値が0.7以上8以下であるチップは、融点を高くすることができ、溶接時に溶け難くできる。溶融部を適度な大きさに形成できるので、中間材と第2電極との距離を確保することができる。よって、中間材の火花消耗を抑制できる。以上のように、中間材の火花消耗および酸化消耗、溶融部の抉れを抑制できるので、中間材および溶融部の耐消耗性を向上できる効果がある。
請求項2記載のスパークプラグによれば、チップの組織は、放電面に平行な断面における結晶粒径が160μm以下なので、特定の結晶粒界への応力集中を起こり難くすることができ、結晶粒界に割れを生じ難くできる。その結果、結晶粒の脱落を抑制できる。
チップの組織は、チップをAr雰囲気中1200℃で10時間加熱する処理後のチップの断面のビッカース硬度をHa、処理前のチップの断面のビッカース硬度をHbとするときに、Hb/Ha≦2.25を満たすように設定される。また、チップはPt,Rh及びNiを含むので、高温下における強度を確保できる。これにより、高温下でのチップの再結晶化や粒成長を抑制できる。よって、請求項1の効果に加え、チップの粒界割れ、結晶粒の脱落およびチップの変形を抑制できる効果がある。
請求項3記載のスパークプラグによれば、ビッカース硬度Hbをビッカース硬度Haで除したHb/HaはHb/Ha≦2.15を満たすので、請求項2の効果に加え、チップの粒界割れ及び変形を抑制する効果をより向上できる。
請求項4記載のスパークプラグによれば、チップはNiの含有率が8質量%以上なので、チップの一部が溶け込んだ溶融部中の元素の拡散を促進できる。Niは、Rhに比べて酸化し易く高温下で消失し易い傾向があるが、Niの含有率を8質量%以上にすることで、その影響を小さくできる。その結果、溶融部の表面に安定な酸化膜を形成し易くできるので、溶融部の酸化を抑制できる。よって、請求項1から3のいずれかの効果に加え、溶融部をさらに抉れ難くできる効果がある。
請求項5記載のスパークプラグによれば、R群の含有率をN群の含有率で除した値は、0.7以上5以下である。R群の含有率に対してN群の含有率が相対的に高くなると、溶融部を脆化し難くできると共に、チップや溶融部の線膨張係数を大きくすることができ、溶融部に生じる熱応力を小さくできる。さらに、チップの一部が溶け込んだ溶融部内の元素の拡散を促進できるので、溶融部の表面に安定な酸化膜を形成してそれ以上の内部酸化を抑制できる。従って、請求項1から4のいずれかの効果に加え、溶融部をさらに抉れ難くできる効果がある。
請求項6記載のスパークプラグによれば、中間材は、50質量%以上のNi、15質量%以上のCr、及び、0質量%以上15質量%以下のFeを含有するので、Crによる緻密な酸化膜を中間材の表面に形成し易くできる。よって、請求項1から5のいずれかの効果に加え、中間材の酸化消耗をさらに抑制できる効果がある。
請求項7記載のスパークプラグによれば、Pt,Rh及びNiの含有率の合計は96質量%以上なので、Pt,Rh及びNiが溶け込んだ溶融部をさらに酸化し難くできる。よって、請求項1から6のいずれかの効果に加え、溶融部の抉れをより抑制できる効果がある。
本発明の一実施の形態におけるスパークプラグの片側断面図である。 中心電極および接地電極の断面図である。 軸線を含む接地電極の断面図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は軸線Oを境にした本発明の一実施の形態におけるスパークプラグ10の片側断面図であり、図2は軸線Oを含む中心電極13及び接地電極18の断面図である。図1及び図2では、紙面下側をスパークプラグ10の先端側、紙面上側をスパークプラグ10の後端側という。
図1に示すようにスパークプラグ10は、絶縁体11、中心電極13(第2電極)、主体金具17及び接地電極18(第1電極)を備えている。絶縁体11は、機械的特性や高温下の絶縁性に優れるアルミナ等により形成された略円筒状の部材である。絶縁体11は、軸線Oに沿って軸孔12が貫通する。
中心電極13は、軸孔12に挿入されて軸線Oに沿って絶縁体11に保持される棒状の電極である。中心電極13は、電極母材14と、電極母材14の先端に接合されるチップ15とを備えている。電極母材14は熱伝導性に優れる芯材が埋設されている。電極母材14は、Niを主体とする合金またはNiからなる金属材料で形成されており、芯材は銅または銅を主成分とする合金で形成されている。チップ15は、電極母材14よりも耐火花消耗性の高い白金、イリジウム、ルテニウム、ロジウム等の貴金属または貴金属を主体とする合金によって形成されている。
端子金具16は、高圧ケーブル(図示せず)が接続される棒状の部材であり、先端側が絶縁体11内に配置される。端子金具16は、軸孔12内で中心電極13と電気的に接続されている。
主体金具17は、内燃機関のねじ穴(図示せず)に固定される略円筒状の金属製の部材である。主体金具17は導電性を有する金属材料(例えば低炭素鋼等)によって形成される。主体金具17は絶縁体11の外周に固定されている。主体金具17は、接地電極18の電極母材19が、先端に接合されている。電極母材19(図1参照)は中心電極13へ向けて屈曲する。
図2に示すように接地電極18は、電極母材19と、電極母材19に接合される中間材20と、中間材20に接合する溶融部21と、溶融部21を介して中間材20に結合するチップ22と、を備えている。電極母材19は熱伝導性に優れる芯材が埋設されている。電極母材19は、Niを主体とする合金またはNiからなる金属材料で形成されており、芯材は銅または銅を主成分とする合金で形成されている。なお、芯材を省略して、Niを主体とする合金またはNiからなる金属材料で電極母材19の全体を形成することは当然可能である。
中間材20は、円柱状をなす柱部20aと、柱部20aの電極母材19側に連接されると共に径方向に拡径した鍔状をなす鍔部20bとを備えている。中間材20は、抵抗溶接やレーザ溶接等により、電極母材19から突出した状態で電極母材19に接合される。なお、中間材20は、電極母材19から中心電極13へ向かうにつれて外径が次第に小さくなる円錐台状に形成されていても良い。
スパークプラグ10は、例えば、以下のような方法によって製造される。まず、中心電極13を絶縁体11の軸孔12に挿入する。中心電極13は先端が軸孔12から外部に露出するように配置される。軸孔12に端子金具16を挿入し、端子金具16と中心電極13との導通を確保した後、予め電極母材19が接合された主体金具17を絶縁体11の外周に組み付ける。中間材20とチップ22とをレーザビーム溶接または電子ビーム溶接により接合した後、電極母材19に中間材20を接合する。なお、電極母材19に中間材20を接合した後、中間材20とチップ22とをレーザビーム溶接または電子ビーム溶接により接合しても良い。次に、チップ22が中心電極13と軸線O方向に対向するように電極母材19を屈曲して、スパークプラグ10を得る。
中間材20は、Niを主体とする合金からなる。中間材20は、好ましくは50質量%以上のNi、15質量%以上のCr、及び、0質量%以上15質量%以下のFeを含有する。これにより、中間材20の表面に緻密で安定な酸化膜を形成させ、中間材20のそれ以上の内部酸化を抑制し、耐高温酸化性を向上できる。中間材20にFeが含まれる場合には、中間材20を構成する合金に対するFeの含有率を15質量%以下とする。中間材20は、耐高温酸化性や高温強度を向上させるため、不可避不純物以外に、さらにAl,Si,Mn,Ti,Y,Hf,Zr,ランタノイド,B、C,Co,Cu等から選ばれる1種以上の元素を含有できる。
中間材20は、溶融部21を介してチップ22を接合する。チップ22は、平坦な放電面23を有する円柱状に形成されている。チップ22は、中間材20と共に電極母材19から突出した状態で中間材20に結合し、中心電極13と対向して放電面23と中心電極13との間に火花ギャップGを形成する。
溶融部21は、中間材20及びチップ22が溶け合ってなる。本実施の形態では、チップ22及び中間材20の端面同士を突き合わせた後、全周に亘ってチップ22と中間材20との境界にレーザビーム又は電子ビームを照射し、溶融部21を形成する。チップ22と中間材20とを突き合わせた端面の中央が残存した状態が図示されているが、これに限られるものではなく、突き合わせた端面が全て溶融部21に溶融して消失していても良い。溶融部21は、チップ22の線膨張係数と中間材20の線膨張係数との違いに起因するチップ22の熱応力を緩和する。溶融部21は、中間材20のうち電極母材19から離れた位置に形成される。
チップ22はPtを主体とする合金からなる。「Ptを主体とする合金」とは、Ptの含有率が最も大きい合金のことであり、Ptの含有率が50質量%以上の合金のことではない。チップ22は、Rh,Re,Ir,Ru,W,Mo及びNbからなるR群から選ばれる少なくとも1種と、Ni,Co,Fe及びCuからなるN群から選ばれる少なくとも1種と、を含有する。チップ22は、R群およびN群の元素の他、不可避不純物以外にAu,Ag,Pd,Mn,Cr等の元素を含有することができる。
R群の元素は、チップ22及び溶融部21の融点の低下を防いで結晶粒成長を抑制すると共に、溶融部21を脆化させる。N群の元素は、チップ22の融点を低下させると共に、溶融部21の線膨張係数を大きくして熱応力を緩和し、さらに溶融部21に含まれるCr,Al,Si等の元素の拡散を促進する。チップ22は、R群の中ではRhを最も多く含み、N群の中ではNiを最も多く含むので、これらの機能を高めることができる。
チップ22は、6質量%以上のRh及び5質量%以上のNiを含有する。溶融部21にPt,Rh及びNiが含まれるので、中間材20に生じる熱応力を抑制しつつ溶融部21を適度に脆化できる。よって、熱衝撃等により、適度なクラックを溶融部21に進展させて応力を解放できる。中間材20の応力を緩和できるので、中間材20の変形を抑制できる。その結果、中間材20の表面に形成される安定な酸化膜の剥離を抑制できるので、酸化膜に覆われた酸化消耗し易い部分を露出させないようにできる。よって、中間材20の酸化消耗を抑制できる。
チップ22や溶融部21中のR群の元素に対するN群の元素の量が多くなると、チップ22や溶融部21の線膨張係数を大きくすることができ、溶融部21に生じる熱応力を小さくできる。さらに、溶融部21に含まれるCr,Al,Si等の元素の拡散を促進することができ、溶融部21の表面に安定な酸化膜を形成させ易くできる。酸化膜が剥離しても、元素の拡散により、溶融部21の表面に酸化膜を再生できる。
チップ22に含まれるPt,Rh及びNiの含有率の合計は91質量%以上であり、Pt,R群およびN群の含有率の合計は95質量%以上である。R群の含有率をN群の含有率で除した値は0.7以上8以下なので、溶融部21の過度の脆化を抑制できると共に、チップ22や溶融部21の融点の低下を抑制して結晶粒成長を抑制しつつ、溶融部21に生じる熱応力を抑制できる。さらに、溶融部21の表面に安定な酸化膜を形成してそれ以上の内部酸化を抑制できるので、内部酸化に伴う溶融部21の応力を小さくできる。その結果、高温下での溶融部21の部分的な消耗(抉れ)を抑制できる。
Niの含有率は8質量%以上であると、より好ましい。溶融部21中の元素の拡散を促進できるからである。また、Niは、Rhに比べて酸化し易く高温下で消失し易い傾向があるが、予め多量にNiを含有することで、その影響を小さくできる。溶融部21の表面に安定な酸化膜を形成し易くできるので、溶融部21の酸化を抑制できる。よって、溶融部21をさらに抉れ難くできる。
R群の含有率をN群の含有率で除した値は5以下であると、より好ましい。溶融部21の表面に安定な酸化膜を形成させ易くでき、酸化膜が剥離しても、元素の拡散により溶融部21の表面に酸化膜を再生できる。さらに、溶融部21を脆化し難くできると共に、溶融部21の線膨張係数を大きくすることができ、溶融部21に生じる熱応力を小さくできるからである。よって、溶融部21をさらに抉れ難くできる。
Pt,Rh及びNiの含有率の合計は96質量%以上であると、より好ましい。Pt,Rh及びNiが溶け込んだ溶融部21の酸化を抑制できるからである。その結果、溶融部21の抉れをより抑制できる。
なお、Niを主体とする中間材20は電極母材19から突出するので、中心電極13と中間材20との間で放電が生じて火花消耗する可能性がある。中間材20の火花消耗を防ぐために、中間材20と中心電極13との距離を大きくすることが重要である。通常、溶融部21がチップ22と中間材20との間に形成されるので、溶融部21の分だけ中間材20と中心電極13との距離を大きくできる。
一般に、軸線O方向(中心線)に一定以上の長さのチップ22が残るように溶融部21が形成される。そのチップ22の長さを確保するため、融点の低いチップ22を用いる場合には、融点の高いチップ22を用いる場合に比べて、中間材20及びチップ22に与える溶接のエネルギーを低くする。そうすると、中間材20が溶け難くなる(溶融部21が小さくなる)ので、融点の高いチップ22を用いる場合に比べて、中間材20と中心電極13との距離が小さくなり、中間材20が火花消耗し易くなる。
一方、中間材20及びチップ22に与える溶接のエネルギーを高くすると、溶融部21が大きくなるので、中間材20と中心電極13との距離を大きくできる。しかし、チップ22の溶込みが増えるので、チップ22の軸線O方向の長さが短くなってしまい、スパークプラグ10の寿命が低下する。
本実施の形態によれば、Pt,Rh及びNiが含まれ、R群の含有率をN群の含有率で除した値が0.7以上8以下であるチップ22は、融点を高くすることができるので、溶接時にチップ22を溶け難くできる。溶融部21を適度な大きさに形成できるので、中間材20と中心電極13との距離を確保することができ、中間材20の火花消耗を抑制できる。
次に図3を参照してチップ22の組織について説明する。図3は軸線Oを含む接地電極18の断面図である。チップ22は、放電面23に平行な断面における結晶粒径が160μm以下となるように組織が調製される。結晶粒径はJIS G0551(2013年)に準拠して測定されるが、具体的な測定方法を以下に説明する。
図3に示すように、電極母材19に結合されたチップ22(溶融部21を形成するときの熱影響を受けたもの)について、チップ22の軸線O(中心線)を含む平らな断面が現れるようにチップ22を研磨し、金属顕微鏡またはSEMによる組成像による顕微鏡写真を得る。
得られた顕微鏡写真上に、チップ22の放電面23と平行に、直線からなる試験線24,25,26を3本引く。放電面23と試験線24との距離D1、試験線24と試験線25との距離D2、試験線25と試験線26との距離D3は、いずれも0.05mmである。但し、チップ22の軸線O方向の長さが短くて試験線24,25,26を0.05mm間隔で3本引くことができない場合には、距離D1,D2,D3を全て短くしたり、距離D1だけを短くしたりできる。
次いで、試験線24が通過または捕捉した結晶粒の数(捕捉結晶粒数N)、試験線25が通過または捕捉した結晶粒の数(捕捉結晶粒数N)、試験線26が通過または捕捉した結晶粒の数(捕捉結晶粒数N)をそれぞれ計数する。捕捉結晶粒数の計数は、試験線24,25,26と結晶粒の交差の形態によって、試験線24,25,26が結晶粒を通過する場合はN,N,N=1、試験線24,25,26が結晶粒内で終了する場合はN,N,N=0.5、試験線24,25,26が結晶粒界に接している場合はN,N,N=0.5とする。試験線24,25,26のうち結晶粒と交差した部分の長さをそれぞれX,X,Xとしたとき、(X+X+X)/(N+N+N)を結晶粒径とする。
なお、チップ22の放電面23と平行な直線を試験線24,25,26として、放電面23と平行な断面における結晶粒径に注目するのは、放電面23と平行な断面における結晶粒径を制御して、放電面23で放電が繰り返されるときの放電面23からの結晶粒の脱落を防止するためである。
放電面23と平行な断面における結晶粒径を160μm以下とすることにより、特定の結晶粒界への応力集中を起こり難くすることができ、結晶粒界に割れを生じ難くできる。また、チップ22はPt,Rh及びNiを含むので、高温下における強度を確保できる。その結果、放電面23からの結晶粒の脱落、放電面23からのクラックの進展、及び、チップ22の変形を抑制できる。
また、チップ22の組織および組成は、チップ22をAr雰囲気中1200℃で10時間加熱した処理後のチップ22の断面のビッカース硬度をHa、その処理前のチップ22の断面のビッカース硬度をHbとするときに、Hb/Ha≦2.25を満たすように設定される。なお、チップ22の組織や硬さは、溶接方法、溶接時の雰囲気、溶接に用いるレーザビームや電子ビームの照射条件、中間材20の材質や形状等(チップ22の軸線O方向の長さや断面積)、チップ22を製造する際の加工条件などにより制御できる。
チップ22のビッカース硬度は、JIS Z2244(2009年)に準拠して測定される。まず、電極母材19に結合されたチップ22(溶融部21を形成するときの熱影響を受けたもの)について、チップ22の軸線O(中心線)を含む平面でチップ22を切断し、チップ22を2つに分ける。2つに分けた一方の切断面を鏡面研磨して、ビッカース硬度Hbを測定する試験片とする。2つに分けたもう一方は、Ar雰囲気中1200℃で10時間加熱する処理を行った後、切断面を鏡面研磨して、ビッカース硬度Haを測定する試験片とする。
なお、チップ22を切断してチップ22を2つに分けた試験片を作ることができない場合には、同じ条件で製造したスパークプラグ10を2つ用意し、そのうちの1つを用いてビッカース硬度Hbを測定する試験片を作り、もう1つを用いてビッカース硬度Haを測定する試験片を作っても良い。
ビッカース硬度Haを測定する試験片には、切断面を鏡面研磨する前に熱処理を施す。熱処理は、溶融部21を形成するときの熱影響を受けたチップ22(電極母材19や溶融部21を含んでいても良い)を雰囲気炉に入れ、Arを2L/分の流量で流しながら1200℃まで10℃/分の速度で昇温し、1200℃で10時間の加熱を維持した後に加熱を止め、Arを2L/分の流量で流しながら自然冷却する処理である。熱処理を施す理由は、チップ22の残留応力を除去すると共に、加工や溶接熱等の影響で変化したチップ22の結晶組織を調整して、チップ22の硬さを組成由来の硬さに低下させるためである。
図3を参照してビッカース硬度Ha,Hbの測定点(圧子を押し込む点)を説明する。チップ22の軸線O(中心線)を含む断面において、放電面23から軸線O方向の中間材20側に距離D1(0.05mm)離れた測定点27を採る。測定点27を通り放電面23に平行な直線上に0.1mm間隔で複数の測定点28を採る。さらに、放電面23から軸線O方向の中間材20側に距離D1+D2+D3(0.15mm)離れた測定点29を採る。測定点29を通り放電面23に平行な直線上に0.1mm間隔で複数の測定点30を採る。複数の測定点27,28,29,30にそれぞれ圧子を押し込み、硬度を測定する。圧子に加える試験力は2N、試験力の保持時間は10秒とする。複数の測定点27,28,29,39における測定値の算術平均値を算出し、ビッカース硬度Ha,Hbとする。
なお、ビッカース硬度Ha,Hbの測定のときに圧子が押し込まれてできる圧痕が溶融部21に含まれる場合、又は、放電面23から軸線O方向の中間材20側に0.02mm離れた位置までの領域に圧痕が含まれる場合には、その圧痕は測定値から除く。硬さ測定の不確かさを小さくするためである。
このようにして測定された熱処理前後のビッカース硬度Ha,Hbの比率がHb/Ha≦2.25を満たすようにすることで、Pt,Rh及びNiを含有するチップ22の再結晶温度を高いまま維持し、高温下での再結晶化や粒成長を抑制できる。また、チップ22はPt,Rh,Niを含有するので、高温下における強度を向上できる。従って、チップ22がPt,Rh,Niを含有し、Hb/Ha≦2.25を満たし、放電面23と平行な断面における結晶粒径を160μm以下とすることで、チップ22の粒界割れ、結晶粒の脱落およびチップ22の変形を抑制できる。
本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(サンプル1〜38の作成)
試験者は、表1に示す組成からなる同一寸法の円柱状の種々のチップ22と、Ni:75.0wt%,Cr:23.5wt%,Al:0.5wt%,Si:1.0wt%及び検出限界以下の不可避不純物からなる同一寸法の柱部20a及び鍔部20bを備える中間材20と、を準備した。チップ22及び中間材20の端面同士をそれぞれ突き合わせた後、ファイバレーザ溶接機により、全周に亘ってチップ22と中間材20との境界にレーザビームを照射した。チップ22と中間材20との間に、突き合わせた端面が全て溶融して消失した溶融部21を形成し、チップ22と中間材20とを接合した。なお、チップ22の組成が異なっても、溶接後におけるチップ22の軸線O方向の長さが同一となるように、ファイバレーザ溶接機がチップ22及び中間材20に入力するエネルギーを調整した。
Figure 0006637452
試験者は、種々のチップ22が接合された中間材20を抵抗溶接によって電極母材19に接合し、サンプル1〜38におけるスパークプラグ10を得た。各サンプルについて複数の評価を行うので、各サンプルは、同一の条件で作成したものを複数準備した。
実施例1では、R群の元素としてRh,Ir及びRuを用い、Ni群の元素としてNi,Co及びFeを用いた。サンプル13及び26は、Pt,R群およびN群以外に、Mn及びCrが含まれていた。表1には、チップ22を構成する合金の組成(質量%)、Pt,Rh及びNiの含有率の合計(質量%)、Pt,R群およびN群の含有率の合計(質量%)、R群の含有率をN群の含有率で除した値を記した。
チップ22を構成する合金は、EPMA(JXA−8500F、日本電子株式会社製)のWDS分析(加速電圧20kV、測定領域のスポット径10μm)を用いて組成分析を行った。組成分析は、チップ22の軸線O(中心線)を含む断面の複数の測定点27,28,29,30(図3参照)を測定領域の中心とし、測定点27,28,29,30における複数の測定値の算術平均値を算出した。算術平均値の小数点第2位以下は四捨五入し、検出限界以下の不可避不純物の定量は省略した。結果は表1に記した。表1の空欄の部分は、EPMAのWDS分析において、その元素が検出限界以下であることを示す。
なお、各測定点27,28,29,30においてスポット径を考慮した測定領域が溶融部21に含まれる場合には、その測定点の測定結果を除いた。組成分析の精度低下を防ぐためである。
(耐久試験)
試験者は、スパークプラグの各サンプルをエンジンに取り付け、エンジンを運転して、フルスロットル(回転数4000rpm)5分間、アイドル回転数2分間を1サイクルとして3000サイクルを各サンプルに加えた。なお、フルスロットルのときは、電極母材19(接地電極18)の先端から主体金具17側に1mm離れた部分の温度が1000℃に到達した。
(中間材の消耗の評価)
試験者は、試験後のサンプルをエンジンから取り外した後、中間材20の軸線Oと直交する断面を顕微鏡で観察して、中間材20のうち酸化していない部分の径方向の長さxを測定した。試験者は、試験前に、投影機を用いて予め中間材20の外径R1を測定した。試験者は、外径R1に対する酸化していない部分の割合x/R1(%)を算出し、その割合が70%以上のサンプルは「優れる(S)」と評価し、その割合が70%未満のサンプルは「劣る(NG)」と評価した。結果は、表1の「中間材消耗」の欄に記した。
(抉れの評価)
試験者は、試験前に、予めX線透視装置を用いて中間材20、溶融部21及びチップ22を撮像した。試験者は、試験後のサンプルをエンジンから取り外した後、外観検査を行い、さらにX線透視装置を用いて、溶融部21の抉れの顕著な部分を特定した。抉れの顕著な部分およびチップ22の軸線Oを含む断面を顕微鏡で観察して、溶融部21の径方向の長さが最も小さい部分(残存する部分)の長さdを測定した。試験前に撮像した溶融部21の情報から、溶融部21のうち長さdに相当する部分の外径R2を求め、外径R2に対する長さdの割合(残存率)d/R2(%)を算出した。
試験者は、溶融部21の残存率が95%以上のサンプルは「特に優れる(S)」、残存率が90%以上95%未満のサンプルは「優れる(A)」、残存率が85%以上90%未満のサンプルは「良い(B)」、残存率が80%以上85%未満のサンプルは「満足できる(C)」、残存率が80%未満のサンプルは「劣る(NG)」と評価した。結果は、表1の「抉れ」の欄に記した。
(結果)
表1に示すとおり、サンプル1,2,5,7〜11,13〜15は、抉れの評価が「NG」であった。サンプル1,2,5はN群の元素を含有していないので、溶融部21の表面に安定な酸化膜を形成することができず、溶融部21に生じる熱応力も抑制されない。その結果、酸化を抑制できず、酸化物の脱落による消耗も抑制できないので、溶融部21が抉られたものと推察される。サンプル7は、N群の元素の含有率が4.0質量%しかないので、同様に溶融部21に安定な酸化膜が形成され難く、溶融部21に生じる熱応力も抑制されないので、溶融部21が抉られたものと推察される。
サンプル8は、R群の元素のうちRhよりもIrの含有率が高いので、溶融部21が酸化し易くなり、溶融部21が抉られたものと推察される。サンプル9は、R群の含有率をN群の含有率で除した値(R/N)が9.0と大きいので、溶融部21に生じる熱応力が抑制されず、溶融部21の表面に酸化膜が形成され難く、その影響で溶融部21が抉られたものと推察される。サンプル10はPtの含有率がRhの含有率よりも低く、溶融部21が脆くなり、抉れが顕著になったと推察されるサンプル11はPt,Rh及びNiの含有率の合計(Pt+Rh+Ni)が89.0質量%と低いので、溶融部21の耐酸化性が低下し、抉れが顕著になったと推察される。
サンプル13は、Pt,R群およびN群の含有率の合計(Pt+R+N)が93.0質量%と低いので、溶融部21が酸化し易く、内部酸化に伴う応力によって溶融部21が抉られたものと推察される。サンプル14,15は、Pt,Rh及びNiの含有率の合計が、それぞれ90.0質量、89.0質量%と低いので、溶融部21の耐酸化性の低下により、溶融部21が抉れたものと推察される。
また、サンプル3〜7,12,13,16,17は、中間材20の消耗の評価が「NG」であった。サンプル3〜7,12,13,16,17は、いずれもRhの含有率が0〜5.0質量%と低いか、R群の含有率をN群の含有率で除した値が0.7未満であった。そのため、チップ22の融点が低く、中間材20と中心電極13との距離が小さいので、中間材20の火花消耗が加速したか、或いは、溶融部21の脆化不足が生じて中間材20が変形し、中間材20の表面に形成された酸化膜が剥離して、中間材20の酸化が加速したものと推察される。
サンプル18〜38は、いずれも中間材20の消耗の評価が「S」であり、抉れの評価に「NG」はなかった。なかでもNiの含有率が8質量%以上のサンプル19,20,22,31,34〜38は、抉れの評価が「S」又は「A」であった。溶融部21中の元素の拡散をNiが促進し、溶融部21の表面に安定な酸化膜を形成し易くしたので、溶融部21の酸化が抑制されたものと推察される。
また、Pt,Rh及びNiの含有率の合計が96質量%以上のサンプル18〜25,30〜38は、抉れの評価が「S」,「A」又は「B」であった。一方、Pt,Rh及びNiの含有率の合計が91質量%以上96質量%未満のサンプル26〜29は、抉れの評価が「C」であった。サンプル18〜25,30〜38は、サンプル26〜29に比べ、Pt,Rh及びNiが溶け込んだ溶融部21を酸化し難くできたので、溶融部21の抉れを抑制できたものと推察される。
R群の含有率をN群の含有率で除した値が0.7以上5以下であるサンプル18〜23,33〜38は、抉れの評価が「S」又は「A」であった。サンプル24〜32に比べ、R群の含有率に対してN群の含有率が相対的に高いので、溶融部21の表面に安定な酸化膜を形成させ易くすることができ、溶融部21を脆化し難くできると共に、溶融部21の線膨張係数を小さくすることができ溶融部21の熱応力を小さくできたと推察される。その結果、溶融部21の抉れを抑制できたと推察される。
(実施例2)
(サンプル39〜70の作成)
試験者は、表2に示す組成からなる同一寸法の円柱状の種々のチップ22と、Ni:75.0wt%,Cr:23.5wt%,Al:0.5wt%,Si:1.0wt%及び検出限界以下の不可避不純物からなる同一寸法の柱部20a及び鍔部20bを備える中間材20と、を準備し、実施例1と同様にしてサンプル39〜70におけるスパークプラグ10を得た。
Figure 0006637452
実施例2では、R群の元素としてRh,Ir及びRuを用い、Ni群の元素としてNi,Co及びFeを用いた。サンプル56〜59は、Pt,R群およびN群以外に、Mn及びCrが含まれていた。表2には、チップ22を構成する合金の組成(質量%)、Pt,Rh及びNiの含有率の合計(質量%)、Pt,R群およびN群の含有率の合計(質量%)、R群の含有率をN群の含有率で除した値を記した。チップ22の組成分析は、実施例1と同様にして行った。
実施例2では、放電面23と平行な断面における各サンプルの結晶粒径、及び、Ar雰囲気中1200℃で10時間加熱した処理後のチップ22の断面のビッカース硬度Haで、その処理前のチップ22の断面のビッカース硬度Hbを除したHb/Haを算出し、表2に記した。
(耐久試験およびチップの変形の評価)
試験者は、スパークプラグの各サンプルをエンジンに取り付け、フルスロットル(回転数3500rpm)で5分間、アイドル回転数1分間を1サイクルとして、そのサイクルを繰り返しながらエンジンを200時間運転した。なお、フルスロットルのときは、電極母材19(接地電極18)の先端から主体金具17側に1mm離れた部分の温度が950℃に到達した。
エンジンを200時間運転する間、40時間毎に、チップ22の放電面23と中心電極13との間の火花ギャップGの大きさをピンゲージで測定した。試験の経過に伴って火花ギャップGが小さくなることは、チップ22が変形したことを示している。耐久試験前の火花ギャップGの大きさと、耐久試験40時間毎に測定した火花ギャップGの大きさとの差を求め、その差のうち最も大きい値を、チップ22の変形量(mm)とした。
(チップの割れ(変形)の評価)
耐久試験を行った後、試験者は、チップ22の軸線Oを含む断面を顕微鏡で観察して、粒界割れにより欠損した結晶粒が放電面23にあるかどうかを判定した。さらに、チップ22の軸線Oを含む断面の顕微鏡観察により、放電面23からのクラックの長さ及び数を求めた。
試験者は、結晶粒の脱落が無く0.15mm以上の長さのクラックが無いサンプル、又は、チップの変形量が0.05mm未満のサンプルは「優れる(S)」、結晶粒の脱落が無く0.15mm以上0.2mm未満の長さのクラックが1箇所以上に存在するサンプル、又は、チップの変形量が0.05mm以上0.065mm未満のサンプルは「良い(A)」と評価した。また、結晶粒の脱落が無く0.2mm以上の長さのクラックが1箇所以上に存在するサンプル、又は、チップの変形量が0.065mm以上0.08mm未満のサンプルは「満足できる(B)」、結晶粒の脱落があったサンプル、又は、チップの変形量が0.08mm以上のサンプルは「劣る(NG)」と評価した。結果は表2の「割れ」の欄に記した。
(結果)
サンプル39は、割れの評価が「NG」であった。チップ22が、Ptと原子半径の近いRhは含有するがNiを含有していないので、電極母材19と比較してチップ22の線膨張係数が小さく、さらに粒成長し易く、高温強度も不十分である。そのため、チップ22の応力が大きくなり、粒界割れや変形が生じたものと推察される。
サンプル41〜48,51〜54,57〜59,61,62,64,65,68,69は、割れの評価がいずれも「S」又は「A」であった。これらは、いずれも結晶粒径が160μm以下であり、Hb/Ha≦2.25を満たすので、結晶粒界に応力集中を生じ難くでき、さらに高温下でのチップ22の再結晶化や粒成長を抑制できたと考えられる。その結果、チップ22の粒界割れおよび変形、結晶粒の脱落を抑制できたと推察される。
一方、サンプル49,55,63,66,70は、割れの評価がいずれも「B」であった。サンプル49,55,63,66,70は、結晶粒径が160μmより大きいので、結晶粒界に応力集中が生じ易く、結晶粒界に割れや変形が生じ易くなったと推察される。
また、サンプル40,50,56,60,67も、割れの評価がいずれも「B」であった。サンプル40,50,56,60,67はHb/Ha>2.25なので、高温下でチップ22の再結晶化や粒成長が起こり、チップ22の粒界割れや変形、結晶粒の脱落が生じ易くなったと推察される。
なお、Hb/Ha≦2.15を満たすサンプル43〜48,52〜54,58,59,61,62,65,69は、割れの評価がいずれも「S」であった。結晶粒径が160μm以下であり、Hb/Ha≦2.15を満たすことにより、チップ22の粒界割れおよび変形、結晶粒の脱落の抑制効果を向上できることが明らかになった。
(実施例3)
試験者は、Pt:70wt%,Rh:20wt%,Ni:10wt%及び検出限界以下の不可避不純物からなる同一寸法の円柱状のチップ22と、表3に示す組成からなる同一寸法の柱部20a及び鍔部20bを備える種々の中間材20と、を準備し、実施例1と同様にしてサンプル71〜78におけるスパークプラグ10を得た。
Figure 0006637452
表3には、中間材20を構成する合金の組成(質量%)を記した。中間材20の組成分析は、実施例1と同様にして行った。
(中間材の消耗の評価)
各サンプルに実施例1と同じ耐久試験を行った後、試験者は、実施例1と同様にして中間材20の消耗の評価を行った。結果は、表3の「中間材消耗」の欄に記した。
(結果)
50質量%以上のNi、15質量%以上のCr、及び、0質量%以上15質量%以下のFeを含有するサンプル73〜78は、いずれも評価が「S」であった。サンプル73〜78は、Crによる緻密な酸化膜を中間材20の表面に形成することができ、中間材20の酸化消耗を抑制できたと推察される。
これに対し、サンプル71,72は、いずれも評価が「NG」であった。サンプル71はCrの含有率が10.0質量%と低いこと、サンプル72はNiの含有率が48.1質量%と低く、Feの含有率が17.0%と高いことが原因と考えられる。そのため、中間材20の表面に酸化膜が形成され難く、中間材20の酸化消耗が生じたと推察される。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施例では、R群の元素としてRhの他にIr,Ruを用いる場合について説明したが、これに限られるものではない。R群の元素としてIr,Ruに代えて、又は、Ir,Ruに加えて、W,Mo,Nb,Reの1種以上の元素を用いることは当然可能である。Ir,Ru,W,Mo,Nb,Reは原子半径が1.25〜1.34Åの範囲にあるので、Ptの原子半径(1.30Å)と近く、融点(1963〜3180℃)が、Ptの融点(1769℃)よりも高いので、いずれも合金の融点の低下を防ぎつつ合金を脆化させ易くできるからである。
上記各実施例では、N群の元素としてNiの他にCo,Feを用いる場合について説明したが、これに限られるものではない。N群の元素としてCo,Feに代えて、又は、Co,Feに加えて、Cuを用いることは当然可能である。Ni,Co,Fe,Cuは原子半径が1.15〜1.17Åの範囲にあるので、Ptの原子半径(1.30Å)よりも小さく、融点(1083〜1535℃)が、Ptの融点(1769℃)よりも低いので、いずれも合金の融点を低下させ応力を緩和させつつ元素の拡散を促進させ易くできるからである。
上記実施の形態では、チップ22の形状が円柱の場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の形状を採用することは当然可能である。他のチップ22の形状としては、例えば円錐台状、楕円柱状、三角柱や四角柱等の多角柱状などが挙げられる。
上記実施の形態では、中間材20が柱部20aと鍔部20bとを備える形状の場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の形状を採用することは当然可能である。他の中間材20の形状としては、例えば円錐台状、円柱状、楕円柱状、三角柱や四角柱等の多角柱状などが挙げられる。
上記実施の形態では、接地電極18に中間材20、溶融部21及びチップ22を設ける場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。中心電極13に設けられたチップ15に代えて、中心電極13の電極母材14に中間材20、溶融部21及びチップ22を接合することは当然可能である。この場合にも、上記実施の形態で説明したのと同様の作用効果を実現できる。
上記実施の形態では、主体金具17に接合された電極母材19を屈曲させる場合について説明した。しかし、必ずしもこれに限られるものではない。屈曲した電極母材19を用いる代わりに、直線状の電極母材を用いることは当然可能である。この場合には、主体金具17の先端側を軸線O方向に延ばし、直線状の電極母材を主体金具17に接合して、電極母材を中心電極13と対向させる。
上記実施の形態では、中心電極13の軸線Oとチップ22の中心軸とを一致させ、チップ22が中心電極13と軸線O方向に対向するように接地電極18を配置する場合について説明した。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、接地電極18と中心電極13との位置関係は適宜設定できる。接地電極18と中心電極13との他の位置関係としては、例えば、中心電極13の側面と接地電極18とが対向するように接地電極18を配置すること等が挙げられる。
10 スパークプラグ
13 中心電極(第2電極)
18 接地電極(第1電極)
19 電極母材
20 中間材
21 溶融部
22 チップ
23 放電面

Claims (7)

  1. Niを主体とする電極母材と、Niを主体とする合金からなり前記電極母材から突出した状態で前記電極母材に溶接される中間材と、Ptを主体とする合金からなるチップと、前記中間材および前記チップが溶け合ってなる溶融部と、を備える第1電極と、
    前記チップの放電面と火花ギャップを介して対向する第2電極と、を備えるスパークプラグであって、
    前記チップは、6質量%以上のRhと、Rh,Re,Ir,Ru,W,Mo及びNbからなるR群から選ばれる少なくとも1種と、5質量%以上のNiと、Ni,Co,Fe及びCuからなるN群から選ばれる少なくとも1種と、を含有し、
    前記R群の中ではRhを、前記N群の中ではNiをそれぞれ最も多く含み、
    Pt,Rh及びNiの含有率の合計は91質量%以上であり、
    Pt,前記R群および前記N群の含有率の合計は95質量%以上であり、
    前記R群の含有率を前記N群の含有率で除した値は、0.7以上8以下であるスパークプラグ。
  2. 前記チップの組織は、前記放電面に平行な断面における結晶粒径が160μm以下であり、
    前記チップの組織は、前記チップをAr雰囲気中1200℃で10時間加熱する処理後の前記チップの断面のビッカース硬度をHa、前記処理前の前記チップの断面のビッカース硬度をHbとするときに、Hb/Ha≦2.25を満たすように設定される請求項1記載のスパークプラグ。
  3. 前記ビッカース硬度Hbを前記ビッカース硬度Haで除したHb/Haは、Hb/Ha≦2.15を満たす請求項2記載のスパークプラグ。
  4. 前記チップは、Niの含有率が8質量%以上である請求項1から3のいずれかに記載のスパークプラグ。
  5. 前記R群の含有率を前記N群の含有率で除した前記値は、0.7以上5以下である請求項1から4のいずれかに記載のスパークプラグ。
  6. 前記中間材は、50質量%以上のNiと、15質量%以上のCrと、0質量%以上15質量%以下のFeと、を含有する請求項1から5のいずれかに記載のスパークプラグ。
  7. Pt,Rh及びNiの含有率の合計は、96質量%以上である請求項1から6のいずれかに記載のスパークプラグ。
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