JP6745319B2 - スパークプラグ - Google Patents

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Description

本発明はスパークプラグに関し、特に放電部材の少なくとも一部が拡散層を介して母材に接合されたスパークプラグに関するものである。
エンジンの高性能化や燃焼効率の向上などに伴い、使用環境下におけるスパークプラグの電極の温度は高くなる傾向にある。母材に放電部材が接合された第1電極が火花ギャップを介して第2電極に対向するスパークプラグでは、第1電極の温度の上昇により放電部材の接合部位の熱応力が大きくなるので、放電部材の剥離が懸念される。そこで、特許文献1の技術は母材にFeを0.05質量%以上5質量%以下含有させることにより、高温強度や高温耐食性を向上させて放電部材の剥離を抑制する。特許文献2の実施例は母材にFeを2質量%含有させることにより、母材の高温強度を確保して放電部材の剥離を抑制する。
特許文献1,2の実施例の放電部材は、Ptを主体としIrを含有するPt−Ir合金からなる。一方、Ptを主体としNiを含有するPt−Ni合金からなる放電部材も知られている。Pt−Ni合金からなる放電部材は、Pt−Ir合金からなる放電部材よりも耐消耗性や耐剥離性に優れる。
特開2003−105467号公報 特開2007−173116号公報
さて、Pt−Ni合金からなる放電部材が、Feを含有する母材に接合された電極について鋭意検討したところ、さらなる電極の高温化のもとでは、放電部材の耐消耗性や耐剥離性が十分に確保されないおそれが見出された。つまり、放電部材がNiを含むので、使用環境下において、母材に由来するFeが放電部材に拡散し易い。FeはPt合金の融点を下げる性質を本来有するので、放電部材が消耗し易くなるおそれがある。
さらに、放電部材に拡散したFeが放電部材のPtと結合し、放電部材と母材との接合部位で金属間化合物を生成すると、接合部位が脆化する。また、この金属間化合物の生成は体積変化を伴うので、放電部材と母材との接合部位の応力を大きくする。これにより放電部材が剥離し易くなるおそれがある。特に、放電部材の少なくとも一部が拡散層を介して母材に接合された電極は、レーザ溶接による溶融部を介して放電部材が母材に接合された電極に比べ、拡散層による応力の緩衝効果が乏しいので、放電部材はさらに剥離し易くなるおそれがある。
本発明はこの問題点を解決するためになされたものであり、母材に接合された放電部材の剥離および消耗を抑制できるスパークプラグを提供することを目的としている。
この目的を達成するために本発明のスパークプラグは、母材と、自身の少なくとも一部が拡散層を介して母材に接合された放電部材と、を備える第1電極と、放電部材と火花ギャップを介して対向する第2電極と、を備える。母材は、Niを50質量%以上、Crを8質量%以上40質量%以下、Siを0.01質量%以上2質量%以下、Alを0.01質量%以上2質量%以下、Mnを0.01質量%以上2質量%以下、Cを0.01質量%以上0.1質量%以下、Feを0.001質量%以上5質量%以下含有し、放電部材は、Ptを最も多く含有すると共にNiを含有する合金、又は、その合金に、Rh,Ir及びRuの少なくとも1種を含有する合金であり、Pt,Rh,Ir及びRuをP群として、放電部材のP群の原子濃度をK(at%)、母材のP群の原子濃度をL(at%)、放電部材のNiの原子濃度をM(at%)、母材のNiの原子濃度をN(at%)としたときに、(K+L)/(M+N)≦1.14を満たす。
請求項1記載のスパークプラグによれば、母材は、Feを0.001質量%以上5質量%以下含有し、Siを0.01質量%以上2質量%以下含有する。このような組成にすることで、放電部材に拡散したSiは放電部材に拡散したFeの拡散を促進するので、Feを放電部材の表面に到達させ易くできる。放電部材の表面に到達したFeは、酸化され放電部材の表面から消失し易いので、放電部材の内部のFeの含有率が増大しないようにできる。よって、放電部材の融点の低下を抑制して放電部材の消耗を抑制できる。
また、放電部材のP群の原子濃度K、母材のP群の原子濃度L、放電部材のNiの原子濃度M、母材のNiの原子濃度Nは(K+L)/(M+N)≦1.14を満たす。Niの原子濃度を相対的に高くすることによって、放電部材に拡散したFeと放電部材に含まれるP群の原子とを相対的に反応させ難くする。Feと放電部材に含まれるP群の原子との金属間化合物の生成を抑制できるので、拡散層と放電部材との界面や拡散層の脆化を抑制できる。拡散層と放電部材との界面における熱応力も抑制できるので、母材に接合された放電部材の剥離を抑制できる。
請求項2記載のスパークプラグによれば、母材および放電部材は(K+L)/(M+N)≦0.82を満たすので、放電部材の剥離をさらに抑制できる。
請求項3及び4に記載のスパークプラグによれば、母材のSiの含有率をX(質量%)、母材のFeの含有率をY(質量%)としたときにX/Y≧0.04を満たす。このような組成にすることで、放電部材に拡散したSiは放電部材に拡散したFeの拡散を一層促進するので、Feを放電部材の表面にさらに到達させ易くできる。よって、請求項1又は2の効果に加え、放電部材の消耗をさらに抑制できる。
請求項5記載のスパークプラグによれば、母材のSiの含有率をX(質量%)、母材のFeの含有率をY(質量%)としたときにX/Y≧0.35を満たすので、放電部材の消耗をさらに抑制できる。
請求項6記載のスパークプラグによれば、母材はFeを0.001質量%以上2質量%以下含有するので、放電部材の融点の低下や界面の脆化にFeが与える影響を小さくできる。よって、請求項1から5のいずれかの効果に加え、放電部材の剥離および消耗をさらに抑制できる。
請求項7記載のスパークプラグによれば、母材は、Crを22質量%以上28質量%以下、Siを0.7質量%以上1.3質量%以下、Alを0.6質量%以上1.2質量%以下、Mnを0.1質量%以上1.1質量%以下、Cを0.01質量%以上0.07質量%以下、Feを0.001質量%以上2質量%以下含有する。よって、請求項1から6のいずれかの効果に加え、放電部材をさらに剥離し難くできる。
請求項8記載のスパークプラグによれば、母材はNiを含有する固溶体の中に偏析物が存在し、母材の断面において、母材の面積に占める偏析物の面積は0.01%以上4%以下である。これにより、母材の高温強度を確保できるので、請求項1から7のいずれかの効果に加え、放電部材をさらに剥離し難くできる。
一実施の形態におけるスパークプラグの片側断面図である。 接地電極の断面図である。 拡散層の近傍の元素分布を示す図である。 母材の断面図である。 溶融部の近傍の元素分布を示す図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は軸線Oを境にした一実施の形態におけるスパークプラグ10の片側断面図である。図1では、紙面下側をスパークプラグ10の先端側、紙面上側をスパークプラグ10の後端側という(図2においても同じ)。
図1に示すようにスパークプラグ10は、絶縁体11、中心電極13(第2電極)、主体金具17及び接地電極18(第1電極)を備えている。絶縁体11は、機械的特性や高温下の絶縁性に優れるアルミナ等により形成された略円筒状の部材である。絶縁体11は、軸線Oに沿って貫通する軸孔12が形成されている。
中心電極13は、軸孔12に挿入されて軸線Oに沿って絶縁体11に保持される棒状の電極である。中心電極13は、母材14と、母材14の先端に接合される放電部材15とを備えている。母材14は熱伝導性に優れる芯材が埋設されている。母材14は、Niを主体とする合金またはNiからなる金属材料で形成されており、芯材は銅または銅を主成分とする合金で形成されている。なお、芯材を省略することは当然可能である。放電部材15は、例えば母材14よりも耐火花消耗性の高いPt,Ir,Ru,Rh等の貴金属やW、又は、貴金属やWを主体とする合金によって形成されている。
端子金具16は、高圧ケーブル(図示せず)が接続される棒状の部材であり、先端側が絶縁体11内に配置される。端子金具16は、軸孔12内で中心電極13と電気的に接続されている。
主体金具17は、内燃機関のねじ穴(図示せず)に固定される略円筒状の金属製の部材である。主体金具17は導電性を有する金属材料(例えば低炭素鋼等)によって形成される。主体金具17は絶縁体11の外周に固定されている。主体金具17の先端には、接地電極18が接続されている。
接地電極18は、主体金具17に接続される母材19と、母材19に接合される放電部材20と、を備えている。母材19は熱伝導性に優れる芯材が埋設されている。母材19は、Niを主体とする合金からなる金属材料で形成されており、芯材は銅または銅を主成分とする合金で形成されている。なお、芯材を省略して、Niを主体とする合金で母材19の全体を形成することは当然可能である。母材19は、Ni,Cr,Si,Al,Mn,C,Feを含有する。なお、これら以外の元素を含んでいても良い。
放電部材20は、Ptを主体としNiを含有する合金によって形成されている。放電部材20は、Rh,Ir及びRuの少なくとも1種を含有しても良い。放電部材20の放電面21は、火花ギャップ22を介して中心電極13と対向する。本実施形態では、放電部材20は円形の放電面21をもつ円盤状に形成されている。放電部材20は、母材19から放電部材20の放電面21までの高さH(図2参照)が0.05mmから0.35mmまでのものが用いられる。
スパークプラグ10は、例えば、以下のような方法によって製造される。まず、中心電極13を絶縁体11の軸孔12に挿入する。軸孔12に端子金具16を挿入し、端子金具16と中心電極13との導通を確保した後、予め母材19が接合された主体金具17を絶縁体11の外周に組み付ける。抵抗溶接によって母材19に放電部材20を接合した後、放電部材20が中心電極13と軸線方向に対向するように母材19を屈曲して、スパークプラグ10を得る。抵抗溶接の後、放電部材20が接合された母材19に熱処理を行うことは可能である。
図2は、放電部材20の放電面21の中心23を通る直線24のうち軸線Oに平行な直線24を含む接地電極18の断面図である。本実施形態では、スパークプラグ10の軸線Oは直線24に一致する。放電部材20は、少なくとも一部が拡散層25を介して母材19に接合されている。拡散層25は、母材19と放電部材20との間に生じた原子の拡散(原子間接合)により母材19と放電部材20とを接合する。放電部材20及び母材19が溶融凝固した溶融部が、放電部材20と母材19との界面の一部に形成されていても良い。しかし、溶融部は拡散層25に含まれない。
図3は拡散層25の近傍の元素分布を示す図である。図3は、直線24を含む接地電極18の研磨面において、拡散層25に垂直な直線24の上を、放電部材20から母材19まで一定間隔(例えば1μm)でPt及びNiの含有率を測定し、プロットした図である。図3の横軸は元素の含有率(質量%)であり、左側は含有率が低いことを示す。縦軸は距離(スパークプラグ10の軸線O方向の位置ともいえる)であり、下側はスパークプラグ10の先端側を示す。
母材19及び放電部材20に含まれる元素の含有率は、熱陰極電界放射型電子銃を搭載したFE−EPMA(日本電子株式会社製JXA8500F)のWDS分析により求めることができる。このWDS分析により定性分析を行った後、定量分析を実施して質量組成を測定することにより、検出した元素の質量組成の総和に対する含有率(質量%)を測定する。
本実施形態では、Niを主体とする合金からなる母材19はPtを含有していない。一方、放電部材20はPtを主体としNiを含有している。放電部材20のNiの含有率は母材19のNiの含有率より低いので、Pt及びNiの分布がわかれば、母材19と放電部材20との間を原子が拡散した拡散層25の位置を特定できる。
拡散層25は、放電部材20と母材19との熱圧接により原子の拡散が生じている。拡散層25は、放電部材20に含まれる特定の元素(本実施形態ではPt)の含有率が、放電部材20から母材19に向かって連続的に減少している。また拡散層25は、母材19に含まれる特定の元素(本実施形態ではNi)の含有率が、母材19から放電部材20に向かって連続的に減少している。
これに対し、レーザ溶接により形成された溶融部26について説明する。図5はレーザ溶接により形成された溶融部26が、母材19と放電部材20の間に形成されたサンプルにおいて、溶融部26の近傍の元素分布を示す図である。図5は溶融部26を横切るように放電部材20から母材19まで一定間隔(例えば1μm)でPt及びNiの含有率を測定し、プロットした図である。図5の横軸は含有率(質量%)であり、左側は含有率が低いことを示す。縦軸は距離(スパークプラグの軸線O方向の位置ともいえる)であり、下側はスパークプラグの先端側を示す。溶融部26は、溶融した母材19及び放電部材20が流動して凝固することにより、拡散層25とは異なり、放電部材20や母材19からの距離とは無関係に元素(Pt及びNi)が入り交ざっている。
図2に戻って拡散層25の厚さTの測定方法を説明する。図2では、放電部材20の放電面21の中心23を通る直線24が拡散層25に垂直に交わるので、放電部材20から母材19まで直線24の上の測定点のPt及びNiの含有率を、FE−EPMAのWDS分析により測定する。
初めに、放電部材20の放電面21から母材19側に向かって10μm離れた測定点Aを放電部材20の最初の測定点(基点)として、母材19側に向かって10μm間隔で5つの測定点をとり、定量分析を行う。5つの測定点のPtの含有率の平均値を放電部材20のPtの含有率W1とする。
次に、放電部材20の5つの測定点のうち母材19に最も近い測定点から母材19側に向かって一定間隔(例えば1μm)間隔で直線24上に測定点をとり、定量分析を行う。その測定点のうちPtの含有率W2がW1以下であり、且つ、その測定点よりも母材19側の測定点のPtの含有率がW2以下となる全ての測定点のうち放電部材20に最も近い測定点Bを特定する。測定点Bの位置を、Ptについて測定された放電部材20と拡散層25との境界の位置とする。
次いで、放電部材20から遠ざかる側へ向かって測定点Bから100μm離れた直線24上の測定点Cを母材19の最初の測定点(基点)として、放電部材20から遠ざかる側へ向かって10μm間隔で直線24上に5つの測定点をとり、定量分析を行う。5つの測定点のPtの含有率の平均値を母材19のPtの含有率W3とする。
次に、母材19の5つの測定点のうち放電部材20に最も近い測定点Cから放電部材20側に向かって一定間隔(例えば1μm)間隔で直線24上に測定点をとり、定量分析を行う。その測定点のうちPtの含有率W4がW3以上であり、且つ、その測定点よりも放電部材20側の測定点のPtの含有率がW4以上となる全ての測定点のうち母材19に最も近い測定点Dを特定する。測定点Dの位置を、Ptについて測定された母材19と拡散層25との境界の位置とする。測定点Bと測定点Dとの間の軸線方向の距離を、Ptについて測定された拡散層25の厚さT1とする。
同様に、放電部材20の放電面21から母材19側に向かって10μm離れた測定点Aを放電部材20の最初の測定点(基点)として、母材19側に向かって10μm間隔で直線24上に5つの測定点をとり、定量分析を行う。5つの測定点のNiの含有率の平均値を放電部材20のNiの含有率W5とする。
次に、放電部材20の5つの測定点のうち母材19に最も近い測定点から母材19側に向かって一定間隔(例えば1μm)間隔で直線24上に測定点をとり、定量分析を行う。その測定点のうちNiの含有率W6がW5以上であり、且つ、その測定点よりも母材19側の測定点のNiの含有率がW6以上となる全ての測定点のうち放電部材20に最も近い測定点Eを特定する。測定点Eの位置を、Niについて測定された放電部材20と拡散層25との境界の位置とする。
次いで、放電部材20から遠ざかる側へ向かって測定点Eから100μm離れた直線24上の測定点Fを母材19の最初の測定点(基点)として、放電部材20から遠ざかる側へ向かって10μm間隔で直線24上に5つの測定点をとり、定量分析を行う。5つの測定点のNiの含有率の平均値を母材19のNiの含有率W7とする。
次に、母材19の5つの測定点のうち放電部材20に最も近い測定点Fから放電部材20側に向かって一定間隔(例えば1μm)間隔で直線24上に測定点をとり、定量分析を行う。その測定点のうちNiの含有率W8がW7以下であり、且つ、その測定点よりも放電部材20側の測定点のNiの含有率がW8以下となる全ての測定点のうち母材19に最も近い測定点Gを特定する。測定点Gの位置を、Niについて測定された母材19と拡散層25との境界の位置とする。測定点Eと測定点Gとの間の軸線方向の距離を、Niについて測定された拡散層25の厚さT2とする。
厚さT2、Ptについて測定された拡散層25の厚さT1のうち大きい方を拡散層25の厚さT(図3参照)とする。拡散層25の厚さTは、放電部材20の耐剥離性を考慮して5μm以上であることが好ましいが、通常は70μm未満となる。
なお、測定点A,C,Fをそれぞれ基点とする5つの測定点において母材19及び放電部材20の質量組成を決定するためのFE−EPMAのWDS分析は、加速電圧20kV、スポット径10μmの条件で行う。拡散層25の厚さを決定するための測定点B,D,E,Gを特定するときのWDS分析は、加速電圧20kV、スポット径1μmの条件で行う。
分析を行う元素はPt及びNiに限らない。分析を行う元素は母材19又は放電部材20に含まれる元素の中から適宜2種類選択すれば良い。但し、母材19に最も多く含まれるNiと、放電部材20に最も多く含まれる元素と、を選択すると容易に拡散層25の厚さを測定できると考えられる。
放電部材20の放電面21の表面性状や拡散層25の厚さによっては、測定点A,C,Fにおいて濃度勾配がある場合や、測定点A,C,Fが拡散層25内に位置する場合があり得る。この場合は、測定点A,C,Fにおける測定値が、放電部材20や母材19の組成を代表していないので、測定点A,C,Fの位置を適宜に変更して測定を行う。要するに、測定点Aは、接合前の放電部材20の組成を代表する測定値が得られる部位に定めれば良く、測定点C,Fは、接合前の母材19の組成を代表する測定値が得られる部位に定めれば良い。
図4は母材19の断面図である。直線24上に放電部材20や母材19の偏析物27が存在する場合、拡散層25と並んで溶融部(図示せず)が存在する場合、直線24上に母材19や放電部材20のボイド(図示せず)が存在する場合など、偏析物27やボイド等が測定値に影響を与えていると思われる場合には、その測定点の代わりに、偏析物27やボイド等の影響がなくその測定点に最も近い2つの測定点を選択し、その2点の平均値を採用する。
母材19はNiを含有する固溶体であり、偏析物27は、母材19の固溶体とは異なる結晶構造をもつ。偏析物27は、母材19を構成する元素や不純物の炭化物、窒化物、酸化物、金属間化合物などが挙げられる。適量の偏析物27は、母材19の強度を確保するのに役立つ。
ところで、Pt−Ni合金からなる放電部材の少なくとも一部が拡散層を介して母材に接合されたスパークプラグでは、母材がFeを含む場合、Feが放電部材の耐剥離性や耐剥離性に大きな影響を与えうることが課題となる。つまり、スパークプラグの使用環境下において接地電極の温度が上昇すると、放電部材と母材との間に相互拡散が生じ易くなる。放電部材はNiを含有するので、母材を構成するFeが放電部材に拡散し易い。FeはPt合金の融点を下げる性質を本来有するので、放電部材が消耗し易くなる。
さらに、放電部材に拡散したFeが放電部材のPtと結合し、放電部材と母材との接合部位で金属間化合物を生成すると、接合部位が脆化する。また、この金属間化合物の生成は体積変化を伴うので、放電部材と母材との接合部位の応力を大きくする。その結果、拡散層を介して母材に接合された放電部材が剥離し易くなる。
一方、レーザ溶接により形成された溶融部26(図5参照)を介して母材に放電部材が接合されたスパークプラグでは、母材と放電部材との線熱膨張係数の差による熱応力を溶融部26が緩衝するので、母材に含まれるFeは、放電部材の剥離に大きな影響を与えない。
これに対し本実施形態では、放電部材20の少なくとも一部が拡散層25を介して母材19に接合されたスパークプラグ10において、母材19は、Niを50質量%以上、Crを8質量%以上40質量%以下、Siを0.01質量%以上2質量%以下、Alを0.01質量%以上2質量%以下、Mnを0.01質量%以上2質量%以下、Cを0.01質量%以上0.1質量%以下、Feを0.001質量%以上5質量%以下含有する。
なお、母材19の各元素の含有率(質量%)は、測定点C(図2参照)を基点とする5つの測定点におけるFE−EPMAのWDS分析による質量組成の分析結果に基づいて算出する。但し、測定点Cの代わりに測定点F(図2参照)を基点とする5つの測定点から母材19の各元素の含有率(質量%)を算出しても良い。要するに、接合前の母材19の組成を代表する測定値が得られる箇所について測定すれば良い。
母材19はNiを50質量%以上含有することにより、母材19の耐熱性を確保できる。Crを8質量%以上40質量%以下含有することにより、母材19の表面に形成されるCr酸化膜により母材19の耐酸化性を確保できると共に、Cr窒化物やCr炭化物などの偏析物27を生成させ難くすることができる。Siを0.01質量%以上2質量%以下含有することにより、母材19の耐酸化性を確保できると共に、Si化合物からなる偏析物27の生成を抑制できる。Alを0.01質量%以上2質量%以下含有することにより、高温強度および高温耐食性を確保できる。
母材19はMnを0.01質量%以上2質量%以下含有することにより、脱硫により母材19の脆化を防ぐことができると共に、Mn硫化物などの偏析物27の生成を抑制できる。Cを0.01質量%以上0.1質量%以下含有することにより、高温強度を確保できると共に、Cr炭化物などの偏析物27の生成を抑制できる。Feを0.001質量%以上5質量%以下含有することにより酸化鉄の生成を抑制できる。なお、母材19のNi,Cr,Si,Al,Mn,C,Fe以外の元素および不可避不純物元素の含有率は、合わせて1質量%以下が好ましく、0.4質量%以下がより好ましい。
母材19は、Feを0.001質量%以上5質量%以下含有し、Siを0.01質量%以上2質量%以下含有する。このような組成にすることで、放電部材20に拡散したSiは放電部材20に拡散したFeの拡散を促進するので、Feを放電部材20の表面に到達させ易くできる。放電部材20の表面に到達したFeは、表面において酸化膜を形成した後、放電部材20の表面から剥離し易い。これにより、放電部材20の内部のFeの含有率の増大を抑制できるので、放電部材20の融点の低下を抑制して放電部材20の消耗を抑制できる。
スパークプラグ10は、Pt,Rh,Ir及びRuをP群として、放電部材20のP群の原子濃度をK(at%)、母材19のP群の原子濃度をL(at%)、放電部材20のNiの原子濃度をM(at%)、母材19のNiの原子濃度をN(at%)としたときに(K+L)/(M+N)≦1.14を満たす。Niの原子濃度を相対的に高くすることによって、放電部材20に拡散したFeと放電部材20に含まれるP群の原子とを相対的に反応させ難くできる。Feと放電部材20に含まれるP群の原子との金属間化合物の生成を抑制できるので、拡散層25と放電部材20との界面や拡散層25の脆化を抑制できる。拡散層25と放電部材20との界面における熱応力も抑制できるので、母材19に接合された放電部材20の剥離を抑制できる。なお、(K+L)/(M+N)≦0.82がより好ましい。
なお、原子濃度K,L,M,Nは、測定点A,C(図2参照)を基点とする5つの測定点におけるFE−EPMAのWDS分析による質量組成の分析結果に基づいて算出する。原子濃度(at%)は、各元素の含有率(質量%)を各元素の原子量で除したものの比率を百分率で表したものである。元素の原子量はASM Alloy Phase Diagram Database TMに掲載されているデータを用いる。本実施形態では、母材19のP群の原子濃度L=0(at%)である。
母材19のSiの含有率をX(質量%)、母材19のFeの含有率をY(質量%)としたときの比率X/Yは、X/Y≧0.04が好ましい。このような構成にすることで、放電部材20に拡散したSiは放電部材20に拡散したFeの拡散を一層促進する。よって、放電部材20の消耗をさらに抑制できる。なお、X/Y≧0.35がより好ましい。
母材19の断面において母材19の面積に占める偏析物27の面積は0.01%以上4%以下が好ましい。母材19の脆化を防ぎ、母材19の強度を確保するためである。偏析物27の面積が0.01%以上であると、母材19の高温強度がより高まるので、母材19が変形し難くなる。これにより母材19に生成された酸化膜が剥離し難くなるので、拡散層25と放電部材20との界面、拡散層25と母材19との界面、拡散層25の内部への酸素原子の拡散が抑制される。その結果、さらなる酸化物の生成を抑制できる。
偏析物27の面積が4%以下であると、母材19の脆化が抑制される。これにより、拡散層25と放電部材20との界面、拡散層25と母材19との界面、拡散層25に割れが生じ難くなるので、放電部材20が剥離し難くなる。従って、母材19の面積に占める偏析物27の面積を0.01%以上4%以下にすると良い。
偏析物27は、波長分散形X線検出器(WDX或いはWDS)を搭載したEPMA、エネルギー分散形X線検出器(EDX或いはEDS)を取り付けたSEM等によるマッピング又は組成像の分析により検出できる。400μm×600μmの大きさの矩形の視野で母材19の断面を撮像後、画像処理により母材19の面積に占める偏析物27の面積(%)を求める。
本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(サンプル1−63の作成)
試験者は、表1及び表2に示す組成からなる種々の母材19及び円盤状の放電部材20を準備した。試験者は、抵抗溶接により母材19に放電部材20を接合し、サンプル1−63におけるスパークプラグ10を得た。各サンプルについて耐剥離性および耐消耗性の評価の他に断面観察などを行うので、各サンプルは同一の条件で作成したものを複数準備した。母材19と放電部材20との間に形成された拡散層25の厚さTは、いずれのサンプルも70μm未満であった。母材19からの放電部材20の放電面21の高さHは、いずれのサンプルも0.25mmであった。
Figure 0006745319
Figure 0006745319
母材19に含まれるNiの原子濃度N、放電部材20に含まれるP群の原子濃度K、放電部材20に含まれるNiの原子濃度M、及び(K+L)/(M+N)を、FE−EPMAのWDS分析による質量組成に基づいて算出し、表1及び表2に記した。母材19にP群の元素は含まれていなかったので、母材19に含まれるP群の原子濃度K=0である。
表1及び表2には、母材のSiの含有率をX(質量%)、母材のFeの含有率をY(質量%)としたときの比率X/Yを記した。また、400μm×600μmの大きさの矩形の視野で母材19の断面を撮像後、画像処理により母材19の面積に占める偏析物27の面積(%)を求め、その値が0.01%以上4%以下のサンプルは「good」、その値が0.01%未満または4%よりも大きいサンプルは「bad」を偏析物の欄に記した。
(耐剥離性試験)
試験者は各サンプルを4気筒2リットルのエンジンの各気筒に取り付け、1分間の4000rpmの負荷に続けて1分間のアイドル回転数の負荷を繰り返し各サンプルに加える試験を100時間実施した。4000rpm時の放電部材20の温度は950℃であった。なお、放電部材20の温度は、耐剥離性試験を始める前に、放電部材20の近くに到達する穴をあけたスパークプラグを用いて、放電部材20の近くの母材19の先端部に熱電対の測温接点を配置して測定した。1回の火花放電において点火コイルから各サンプルへ供給されるエネルギーは150mJであった。
試験後、SEMを用いて、各サンプルについて、放電部材20の放電面21の中心23を通る直線24であって軸線Oに平行な直線24を含む接地電極18の断面を観察し、拡散層25の両端から拡散層25の中央へ向かってそれぞれ進展したクラックの長さL1,L2を測定した。クラックの長さの合計値L1+L2を放電面21の長さLで除した値Q=(L1+L2)/Lを求め、Qに基づいてAからEまで5つのランクに分けた。判定基準は以下のとおり。A:Q<20%,B:20%≦Q<30%,C:30%≦Q<40%,D:40%≦Q<50%,E:Q≧50%又は放電部材20が脱落した。耐剥離性試験の結果は表1及び表2の剥離性の欄に記した。
(耐消耗性試験)
試験者は耐剥離性試験に使用したものと同じエンジンの各気筒にサンプルを取り付け、放電部材20が1000℃になる条件でエンジンを作動し、吸気絞り弁を全開の状態にして200時間エンジンを作動し続ける試験を行った。なお、放電部材20が1000℃になる条件は、耐消耗性試験を始める前に、放電部材20の近くに到達する穴をあけたスパークプラグを用いて、放電部材20の近くの母材19の先端部に熱電対の測温接点を配置して温度を測定し、その温度とエンジンの作動条件との関係を調べることにより求めた。1回の火花放電において点火コイルから各サンプルへ供給されるエネルギーは150mJであった。
試験後の各サンプルの火花ギャップ22を軸線Oに垂直な方向からCTスキャンで撮像後、画像処理により放電部材20の試験前後の放電面21の位置に基づき、放電部材20の最も薄くなった部分の厚さをギャップ増加量Rとして算出した。ギャップ増加量Rに基づいてAからEまで5つのランクに分けた。判定基準は以下のとおり。A:R<0.14mm,B:0.14mm≦R<0.16mm,C:0.16mm≦R<0.18mm,D:0.18mm≦R<0.20mm,E:R≧0.20mm又は試験中に失火した。耐消耗性試験の結果は表1及び表2の消耗性の欄に記した。
サンプル16,24,33,39,44,54−63は、耐剥離性試験の評価がEであった。特にサンプル55,56,59−63は耐消耗性試験の判定もEであった。サンプル16は母材19のCrの含有率が40質量%よりも大きかった。サンプル24は母材19のSiの含有率が2質量%よりも大きかった。サンプル33は母材19のAlの含有率が2質量%よりも大きかった。サンプル39は母材19のMnの含有率が2質量%よりも大きかった。サンプル44は母材19のCの含有率が0.1質量%よりも大きかった。サンプル54−56は(K+L)/(M+N)>1.14であった。
サンプル57は母材19のCrの含有率が8質量%未満であった。サンプル58は母材19のAlの含有率が2質量%よりも大きかった。サンプル59−61は母材19のFeの含有率が5質量%よりも大きかった。サンプル62は母材19のSiの含有率が2質量%よりも大きかった。サンプル63は母材19のNiの含有率が50質量%未満であり、Crの含有率が40質量%よりも大きく、Si,Al,Mnの含有率がそれぞれ2質量%よりも大きく、Cの含有率が0.1質量%よりも大きかった。
サンプル1−16は主に母材19のCrの含有率が異なるサンプルである。サンプル1−16は耐消耗性試験の判定がAであった。サンプル14,15は耐剥離性試験の判定がCであった。サンプル14は偏析物の面積が0.01%以上4%以下を満たしておらず、0.82<(K+L)/(M+N)≦1.14であった。サンプル15は母材19のCrの含有率が28質量%よりも大きく40質量%以下であり、0.82<(K+L)/(M+N)≦1.14であった。
サンプル1−7,12,13は耐剥離性試験の判定がBであった。サンプル1−4は母材19のCrの含有率が8質量%以上22質量%未満であり、Alの含有率が0.01質量%以上0.6質量%未満であり、Mnの含有率が1.1質量%よりも大きく2質量%以下であった。サンプル5は母材19のCrの含有率が8質量%以上22質量%未満であり、Siの含有率が0.01質量%以上0.7質量%未満であった。サンプル6,7は母材19のCrの含有率が8質量%以上22質量%未満であった。サンプル12,13は0.82<(K+L)/(M+N)≦1.14であった。母材19のCrの含有率は8質量%以上40質量%以下が好ましく、22質量%以上28質量%以下がより好ましいことが明らかになった。
サンプル17−24は主に母材19のSiの含有率が異なるサンプルである。サンプル17−24は耐消耗性試験の判定がAであった。サンプル17,22,23は耐剥離性試験の判定がCであった。サンプル17は母材19のSiの含有率が0.01質量%以上0.7質量%未満であり、0.82<(K+L)/(M+N)≦1.14であった。サンプル22,23は母材19のSiの含有率が1.3質量%以上2質量%以下であり、0.82<(K+L)/(M+N)≦1.14であった。サンプル18,19,21は0.82<(K+L)/(M+N)≦1.14であり、耐剥離性試験の判定はBであった。母材19のSiの含有率は0.01質量%以上2質量%以下が好ましく、0.7質量%以上1.3質量%以下がより好ましいことが明らかになった。
サンプル25−33は主にAlの含有率が異なるサンプルである。サンプル25−33は耐消耗性試験の判定がAであった。サンプル25,26は耐剥離性試験の判定がCであった。サンプル25,26は母材19のAlの含有率が0.01質量%以上0.6質量%未満であり、0.82<(K+L)/(M+N)≦1.14であった。サンプル27−29,31,32は0.82<(K+L)/(M+N)≦1.14であり、耐剥離性試験の判定はBであった。母材19のAlの含有率は0.01質量%以上2質量%以下が好ましく、0.7質量%以上1.3質量%以下がより好ましいことが明らかになった。
サンプル34−39は主に母材19のMnの含有率が異なるサンプルである。サンプル34−39は耐消耗性試験の判定がAであった。サンプル34,37,38は耐剥離性試験の判定はCであった。サンプル34は母材19のMnの含有率が0.01質量%以上0.1質量%未満であり、0.82<(K+L)/(M+N)≦1.14であった。サンプル37,38は母材19のMnの含有率が1.1質量%よりも大きく2質量%未満であり、0.82<(K+L)/(M+N)≦1.14であった。サンプル35,36は0.82<(K+L)/(M+N)≦1.14であり、耐剥離性試験の判定はBであった。母材19のMnの含有率は0.01質量%以上2質量%以下が好ましく、0.1質量%以上1.1質量%以下がより好ましいことが明らかになった。
サンプル40−44は主に母材19のCの含有率が異なるサンプルである。サンプル43は母材19のCの含有率が0.07質量%よりも大きく0.1質量%以下であり、偏析物の面積が0.01%以上4%以下を満たしておらず、0.82<(K+L)/(M+N)≦1.14であり、耐剥離性試験の判定はDであった。サンプル42は偏析物の面積が0.01%以上4%以下を満たしておらず、0.82<(K+L)/(M+N)≦1.14であり、耐剥離性試験の判定はCであった。サンプル41は0.82<(K+L)/(M+N)≦1.14であり、耐剥離性試験の判定はBであった。母材19のCの含有率は0.01質量%以上0.1質量%以下が好ましく、0.01質量%以上0.07質量%以下がより好ましいことが明らかになった。
サンプル45−53は主にX/Y及び(K+L)/(M+N)が異なるサンプルである。サンプル45,46は耐消耗性試験の評価がDであり、耐剥離性試験の評価がBであった。サンプル45は母材19のFeの含有率が2質量%よりも大きく5質量%以下であり、X/Y<0.04であった。サンプル46は母材19のMnの含有率が1.1質量%よりも大きく2質量%以下であり、Feの含有率が2質量%よりも大きく5質量%以下であり、X/Y<0.04であった。
サンプル47,48,51は耐消耗性試験の評価がCであり、耐剥離性試験の評価がBであった。サンプル47は母材19のMnの含有率が1.1質量%よりも大きく2質量%以下であり、Feの含有率が2質量%よりも大きく5質量%以下であり、0.04≦X/Y<0.35であった。サンプル48,51は母材19のFeの含有率が2質量%よりも大きく5質量%以下であり、0.04≦X/Y<0.35であった。
サンプル52,53は耐消耗性試験および耐剥離性試験の判定がいずれもCであった。サンプル52,53は母材19のFeの含有率が2質量%よりも大きく5質量%以下であり、0.04≦X/Y<0.35であり、0.82<(K+L)/(M+N)≦1.14であった。
サンプル49,50は耐消耗性試験および耐剥離性試験の判定がいずれもBであった。サンプル49は母材19のMnの含有率が1.1質量%よりも大きく2質量%以下であり、0.04≦X/Y<0.35であった。サンプル50は母材19のMnの含有率が1.1質量%よりも大きく2質量%以下であり、Feの含有率が2質量%よりも大きく5質量%以下であった。
サンプル45,46とサンプル47,48,51とを比較すると、耐消耗性試験において、X/Y<0.04のサンプル45,46はD判定であり、0.04≦X/Y<0.35のサンプル47,48,51はC判定であった。よって、サンプル45−48,51において、0.04≦X/Y<0.35とすることにより放電部材20の耐消耗性を向上できることが明らかであった。
サンプル52,53とサンプル47,48,51とを比較すると、耐剥離性試験において、0.82<(K+L)/(M+N)≦1.14のサンプル52,53はC判定であり、(K+L)/(M+N)≦0.82のサンプル47,48,51はB判定であった。よって、サンプル47,48,51−53において、(K+L)/(M+N)≦0.82とすることにより放電部材20の耐剥離性を向上できることが明らかであった。
サンプル49,50はいずれも(K+L)/(M+N)≦0.82であり、耐消耗性試験および耐剥離性試験の判定がいずれもBであった。しかし、サンプル49は母材19のFeの含有率が0.001質量%以上2質量%以下であり、0.04≦X/Y<0.35であった。サンプル50は母材19のFeの含有率が2質量%よりも大きく5質量%以下であり、X/Y≧0.35であった。よって、母材19のFeの含有率およびX/Yを調整することにより、放電部材20の耐消耗性および耐剥離性を確保できることが明らかであった。
耐消耗性試験および耐剥離性試験がいずれもA判定のサンプル8−11,20,30,40は、母材19が、Crを22質量%以上28質量%以下、Siを0.7質量%以上1.3質量%以下、Alを0.6質量%以上1.2質量%以下、Mnを0.1質量%以上1.1質量%以下、Cを0.01質量%以上0.07質量%以下、Feを0.001質量%以上2質量%以下含有し、X/Y≧0.35であり、偏析物の面積が0.01%以上4%以下を満たし、(K+L)/(M+N)≦0.82であった。
この実施例によれば、母材19が、Niを50質量%以上、Crを8質量%以上40質量%以下、Siを0.01質量%以上2質量%以下、Alを0.01質量%以上2質量%以下、Mnを0.01質量%以上2質量%以下、Cを0.01質量%以上0.1質量%以下、Feを0.001質量%以上5質量%以下含有し、(K+L)/(M+N)≦1.14とすることにより、耐消耗性試験および耐剥離性試験の判定をA−Dのいずれにできることが明らかになった。加えて、(K+L)/(M+N)≦0.82とすることにより、耐剥離性試験の判定をA,Bのいずれかにできることが明らかになった。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
実施形態では、放電部材20の形状が円盤状の場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の形状を採用することは当然可能である。放電部材20の他の形状としては、例えば円錐台状、楕円柱状、三角柱や四角柱等の多角柱状などが挙げられる。
実施形態では、母材19の片方の端部に放電部材20が接合され、母材19のもう片方の端部が主体金具17に接続される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。母材19の片方の端部と放電部材20との間に中間材を介在させることは当然可能である。この場合、中間材は母材19の一部であり、放電部材20は拡散層25を介して中間材(母材19)に接合される。
実施形態では、Pt,Rh,Ir及びRuからなるP群の元素が放電部材20に含まれ、母材19にP群の元素が含まれない場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。母材19と放電部材20との間にP群の濃度勾配があるとP群の拡散が生じるので、母材19にP群の元素が含まれる場合も、実施形態で説明した関係を満たす場合に放電部材20の剥離および消耗を抑制できることは明らかである。母材19にP群の元素が含まれる場合、母材19のP群の原子濃度L(at%)は0よりも大きい値をとる。
実施形態では、第1電極として接地電極18を例示し、接地電極18の母材19と放電部材20との間の拡散層25について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。中心電極13を第1電極とし、接地電極18を第2電極とすることは当然可能である。この場合、中心電極13の母材14と放電部材15との間が拡散層25を介して接合される。中心電極13の母材14の組成を接地電極18の母材19の組成と同様にすることで、上述の実施形態と同様に、放電部材15の母材14からの剥離を抑制できる。
実施形態では、抵抗溶接により母材19と放電部材20との間に拡散層25を形成する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。母材19及び放電部材20の融点以下の温度条件で、塑性変形をできるだけ生じない程度に母材19と放電部材20とを密着させ、原子の拡散を利用して拡散層25を形成し、母材19と放電部材20とを接合(いわゆる拡散接合)することは当然可能である。
実施形態では、主体金具17に接合された母材19を屈曲させる場合について説明した。しかし、必ずしもこれに限られるものではない。屈曲した母材19を用いる代わりに、直線状の母材を用いることは当然可能である。この場合には、主体金具17の先端側を軸線O方向に延ばし、直線状の母材を主体金具17に接合して、母材を中心電極13と対向させる。
実施形態では、中心電極13の軸線Oと放電部材20の放電面21の中心23とを一致させ、放電部材20が中心電極13と軸線方向に対向するように接地電極18を配置する場合について説明した。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、接地電極18と中心電極13との位置関係は適宜設定できる。接地電極18と中心電極13との他の位置関係としては、例えば、中心電極13の側面と接地電極18の放電部材20とが対向するように接地電極18を配置すること等が挙げられる。
10 スパークプラグ
13 中心電極(第2電極)
18 接地電極(第1電極)
19 母材
20 放電部材
22 火花ギャップ
25 拡散層
27 偏析物

Claims (8)

  1. 母材と、自身の少なくとも一部が拡散層を介して前記母材に接合された放電部材と、を備える第1電極と、
    前記放電部材と火花ギャップを介して対向する第2電極と、を備えるスパークプラグであって、
    前記母材は、Niを50質量%以上、Crを8質量%以上40質量%以下、Siを0.01質量%以上2質量%以下、Alを0.01質量%以上2質量%以下、Mnを0.01質量%以上2質量%以下、Cを0.01質量%以上0.1質量%以下、Feを0.001質量%以上5質量%以下含有し、
    前記放電部材は、Ptを最も多く含有すると共にNiを含有する合金、又は、前記合金に、Rh,Ir及びRuの少なくとも1種を含有する合金であり、
    Pt,Rh,Ir及びRuをP群として、
    前記放電部材の前記P群の原子濃度をK(at%)、
    前記母材の前記P群の原子濃度をL(at%)、
    前記放電部材のNiの原子濃度をM(at%)、
    前記母材のNiの原子濃度をN(at%)としたときに、
    (K+L)/(M+N)≦1.14を満たすスパークプラグ。
  2. 前記母材および前記放電部材は、(K+L)/(M+N)≦0.82を満たす請求項1記載のスパークプラグ。
  3. 前記母材のSiの含有率をX(質量%)、前記母材のFeの含有率をY(質量%)としたときに、X/Y≧0.04を満たす請求項1又は2に記載のスパークプラグ。
  4. 前記母材のSiの含有率をX(質量%)、前記母材のFeの含有率をY(質量%)としたときに、0.04≦X/Y≦1000を満たす請求項1から3のいずれかに記載のスパークプラグ。
  5. 前記母材のSiの含有率をX(質量%)、前記母材のFeの含有率をY(質量%)としたときに、X/Y≧0.35を満たす請求項1から4のいずれかに記載のスパークプラグ。
  6. 前記母材は、Feを0.001質量%以上2質量%以下含有する請求項1から5のいずれかに記載のスパークプラグ。
  7. 前記母材は、Crを22質量%以上28質量%以下、Siを0.7質量%以上1.3質量%以下、Alを0.6質量%以上1.2質量%以下、Mnを0.1質量%以上1.1質量%以下、Cを0.01質量%以上0.07質量%以下、Feを0.001質量%以上2質量%以下含有する請求項1から6のいずれかに記載のスパークプラグ。
  8. 前記母材は、Niを含有する固溶体の中に偏析物が存在し、
    前記母材の断面において、前記母材の面積に占める前記偏析物の面積は0.01%以上4%以下である請求項1から7のいずれかに記載のスパークプラグ。
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