JP7151350B2 - 内燃機関用の点火プラグ - Google Patents
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Description
本発明は、内燃機関用の点火プラグに関する。
自動車エンジン等の内燃機関には、火花放電を発生させて燃料ガスと空気の混合ガスに点火する点火プラグを有する点火装置が備えられている。近年、希薄燃焼により内燃機関の燃費を向上させることが行われており、希薄燃焼における着火性を向上させる目的で、放電ギャップを形成する電極の先端形状をチップ状としたものがある。例えば、特許文献1に開示される点火プラグは、中心電極と接地電極の少なくとも一方に、針状のチップを形成すると共に、母材接合部と放電部とで形成される複合チップとして、着火性向上とコスト抑制を図っている。放電部は、貴金属等の高密度材料であり、母材接合部の側面の少なくとも一部を被覆して、その厚みを電極母材側へ向けて薄肉化し、貴金属の使用量を抑制している。
また、特許文献2には、中心電極と接地電極の少なくとも一方を、軸部とその一面に接合された電極チップにて形成した点火プラグが開示されている。軸部は、銅を含む材料からなる第1芯部を、これよりも耐食性に優れる第1外層が被覆し、電極チップは、貴金属を含む材料からなり外表面を形成する第2外層が、これよりも熱伝導率が高い第2芯部を被覆している。さらに、第1芯部と第2芯部とは拡散接合部により、第1外層と第2外層とはレーザ溶融部により、それぞれ接合される。
ところで、希薄燃焼エンジンでは気筒内の流速を上げて燃焼を促進させるため、放電ギャップに発生させた火花放電が気流に流されやすい。その場合に、高速の気流によって放電経路が変化し、火花放電がチップの基端側へ移動することから、チップ側面の消耗が問題となる。また、放電経路の変化による吹き消えを抑制するために、従来よりも点火エネルギが高くなり、電極消耗が促進される傾向にあり、チップ側面の消耗も増加する。
特許文献1に開示の構成では、母材接合部の側面を覆う放電部が、側面の基端側ほど薄肉となっており、薄肉部が早期に消耗すると、耐消耗性に劣る母材接合部が露出する。あるいは、母材接合部との線膨張係数の差による熱応力で、薄肉部に亀裂が発生すると、母材接合部が露出して消耗が増加しやすくなる。そのため、チップ側面の耐消耗性のさらなる向上が望まれている。
特許文献2に開示の構成では、電極チップの第2外層が、第2芯部の全体を覆って形成されており、貴金属の使用量が増加する。そのため、コスト高となるだけでなく、第2外層が直接、軸部の第1外層に接合されて拘束されており、第2外層が薄くなると、線膨張係数の差による亀裂が生じやすい。また、異種金属接合となるために、接合強度を高めにくい。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、複合チップの側面の消耗を抑制し、貴金属材料の使用量を抑制して、長寿命で着火性に優れた内燃機関用の点火プラグを提供しようとするものである。
本発明の一態様は、
筒状の絶縁碍子(2)の内側に保持され、上記絶縁碍子の先端よりも先端側へ突出する中心電極(3)と、
上記絶縁碍子を保持するハウジング(H)の先端に設けられ、上記中心電極と軸方向(X)に対向配置される接地電極(4)と、
上記中心電極及び上記接地電極の少なくとも一方に形成され、上記軸方向に突出する複合チップ(5)と、を有する内燃機関用の点火プラグ(1)であって、
上記複合チップは、電極母材(3A、4A)と一体的に形成される土台部(511)を有する芯部(51)と、上記芯部の突出端面(512)を覆う放電部(521)及び上記突出端面に続く側面(513)を覆う側面被覆部(522)を有するカップ状の表層部(52)と、を備えており、
上記芯部は、Ni合金材料にて構成されており、上記表層部は、Pt合金材料にて構成されると共に、
上記表層部において、径方向(Y)における上記側面被覆部の被覆厚さSと、上記放電部の外径D1と、上記軸方向における上記側面被覆部の被覆長さL1とが、式1の関係を満たしている、内燃機関用の点火プラグ。
式1:S≧D1/20+L1/10-0.005mm
筒状の絶縁碍子(2)の内側に保持され、上記絶縁碍子の先端よりも先端側へ突出する中心電極(3)と、
上記絶縁碍子を保持するハウジング(H)の先端に設けられ、上記中心電極と軸方向(X)に対向配置される接地電極(4)と、
上記中心電極及び上記接地電極の少なくとも一方に形成され、上記軸方向に突出する複合チップ(5)と、を有する内燃機関用の点火プラグ(1)であって、
上記複合チップは、電極母材(3A、4A)と一体的に形成される土台部(511)を有する芯部(51)と、上記芯部の突出端面(512)を覆う放電部(521)及び上記突出端面に続く側面(513)を覆う側面被覆部(522)を有するカップ状の表層部(52)と、を備えており、
上記芯部は、Ni合金材料にて構成されており、上記表層部は、Pt合金材料にて構成されると共に、
上記表層部において、径方向(Y)における上記側面被覆部の被覆厚さSと、上記放電部の外径D1と、上記軸方向における上記側面被覆部の被覆長さL1とが、式1の関係を満たしている、内燃機関用の点火プラグ。
式1:S≧D1/20+L1/10-0.005mm
上記内燃機関用の点火プラグは、複合チップの芯部を覆うカップ状の表層部を、放電部の外径D1と、側面被覆部の被覆厚さS及び被覆長さL1とが、式1の関係を満たすように構成しているので、側面被覆部における亀裂の発生を抑制できる。すなわち、亀裂要因となる熱応力は、芯部を構成するNi合金材料と、表層部を構成するPt合金材料との線膨張係数の差により生じる。また、放電部の外径D1に起因して径方向に発生する熱応力と、側面被覆部の被覆長さL1に起因して軸方向に発生する熱応力の両方が、亀裂要因となっていると考えられる。そこで、これらの両方を考慮した式1により、側面被覆部の被覆厚さSを適切に設定することで、Pt合金材料の使用量を低減しながら、亀裂の発生を抑制することができる。したがって、亀裂による芯部の露出が抑制され、複合チップの耐消耗性を高めることができる。
以上のごとく、上記態様によれば、複合チップの側面の消耗を抑制し、貴金属材料の使用量を抑制して、長寿命で着火性に優れた内燃機関用の点火プラグを提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(実施形態1)
内燃機関用の点火プラグに係る実施形態1について、図1~図5を参照して説明する。
図1に示すように、点火プラグ1は、筒状の絶縁碍子2の内側に保持される中心電極3と、ハウジングHの先端に設けられ、中心電極3と軸方向Xに対向配置される接地電極4と、中心電極3及び接地電極4の少なくとも一方に形成される複合チップ5と、を有する。中心電極3は、絶縁碍子2の先端よりも先端側へ突出し、ハウジングHは、その内側に、絶縁碍子2を保持している。
内燃機関用の点火プラグに係る実施形態1について、図1~図5を参照して説明する。
図1に示すように、点火プラグ1は、筒状の絶縁碍子2の内側に保持される中心電極3と、ハウジングHの先端に設けられ、中心電極3と軸方向Xに対向配置される接地電極4と、中心電極3及び接地電極4の少なくとも一方に形成される複合チップ5と、を有する。中心電極3は、絶縁碍子2の先端よりも先端側へ突出し、ハウジングHは、その内側に、絶縁碍子2を保持している。
本形態では、複合チップ5は、中心電極3及び接地電極4の両方に設けられ、それぞれ軸方向X(すなわち、図の上下方向)に突出して、互いに対向している。複合チップ5は、中心電極3の側と接地電極4の側とで同様の構成を有し、それぞれ芯部51と、芯部51を被覆するカップ状の表層部52と、を備えている。点火プラグ1が適用される内燃機関は、例えば、自動車用の希薄燃焼エンジン等である。
図2に、一例として接地電極4に設けられる複合チップ5を示すように、芯部51は、接地電極4の電極母材4Aと一体的に接合される土台部511を有する。表層部52は、芯部51の突出端面512を覆う放電部521と、突出端面512に続く側面513を覆う側面被覆部522を有する。芯部51は、Ni合金材料にて構成されており、表層部52は、Pt合金材料にて構成される。
そして、放電部521の外径D1と、径方向Y(すなわち、図の左右方向)における側面被覆部522の被覆厚さSと、軸方向Xにおける側面被覆部522の被覆長さL1とが、式1の関係を満たすように形成される。
式1:S≧D1/20+L1/10-0.005mm
そして、放電部521の外径D1と、径方向Y(すなわち、図の左右方向)における側面被覆部522の被覆厚さSと、軸方向Xにおける側面被覆部522の被覆長さL1とが、式1の関係を満たすように形成される。
式1:S≧D1/20+L1/10-0.005mm
以下、本形態の点火プラグ1について、詳述する。
図3に示すように、点火プラグ1は、軸方向Xに延びる筒状のハウジングHを有しており、ハウジングHの先端側(すなわち、図の下端側)の外周面に、取付用のネジ部H1が形成されている。ハウジングHの基端側(すなわち、図の上端側)の内周面は、基端側へ拡径する段付に形成されており、この段付部に、絶縁碍子2の大径に形成された中間部21外周が支持されている。絶縁碍子2の先端部22は、先端側へ向けてテーパ状に縮径し、ハウジングHの先端から先端側へ突出すると共に、ハウジングHの内周面との間に隙間を有している。
図3に示すように、点火プラグ1は、軸方向Xに延びる筒状のハウジングHを有しており、ハウジングHの先端側(すなわち、図の下端側)の外周面に、取付用のネジ部H1が形成されている。ハウジングHの基端側(すなわち、図の上端側)の内周面は、基端側へ拡径する段付に形成されており、この段付部に、絶縁碍子2の大径に形成された中間部21外周が支持されている。絶縁碍子2の先端部22は、先端側へ向けてテーパ状に縮径し、ハウジングHの先端から先端側へ突出すると共に、ハウジングHの内周面との間に隙間を有している。
筒状の絶縁碍子2の内側には、先端側に長軸状の中心電極3が、基端側に長軸状の端子金具11が同軸的に備えられている。中心電極3は、抵抗体12を介して端子金具11と電気的に接続されており、端子金具11の基端部は、絶縁碍子2の基端から突出して図示しない外部電源に接続され、点火用の高電圧を供給可能となっている。抵抗体12は、ガラス材料と骨材とを含む基材に、カーボン材料等の導電性材料が分散したもので、中心電極3及び端子金具11との間には、それぞれ導電性のガラスシール層13、14が充填される。ハウジングHは、例えば、鉄系合金等の金属材料からなり、絶縁碍子2は、アルミナ等の絶縁性セラミックス材料からなる。
このような点火プラグ1は、図示しない内燃機関の気筒に取り付けられて、先端側が気筒内に露出する。中心電極3の先端の複合チップ6と、対向する接地電極4の複合チップ5の間には、放電ギャップGが形成される。中心電極3に所定のタイミングで外部電源から所定の高電圧が供給されると、放電ギャップGに火花放電が発生し、気筒内に供給された混合気が着火燃焼する。
図1において、接地電極4は、ハウジングHの先端面に一体的に設けられて、先端側へ延出するとともに概略L字形をなすように屈曲し、延出端である先端部41が、軸方向Xにおいて中心電極3の先端部31と対向している。中心電極3の先端部31は、先端側へ向けてテーパ状に縮径し、絶縁碍子2の先端よりも先端側へ突出する先端面に複合チップ5が接合されている。接地電極4の先端部41には、中心電極3の側を向く表面に複合チップ5が接合されている。中心電極3の複合チップ5と接地電極4の複合チップ5とは、プラグ中心軸15上に所定の距離をおいて同軸的に配置され、両者の間に放電ギャップGを形成している。
図2において、複合チップ5は、全体が概略円柱状で、接地電極4の先端部41から軸方向Xに突出する針状チップとして構成される。複合チップ5は、外表面を形成するカップ状の表層部52の内側に、芯部51を密接に保持し、表層部52から露出する芯部51の土台部511は、接地電極4の先端部41に、一体的に接合されている。表層部52は、概略一定径の外径を有し突出側が閉鎖された円筒カップ状をなし、軸方向Xにおいて、芯部51の突出端面512より突出側に位置する放電部521と、径方向Yにおいて、突出端面512に続く側面513の側方に位置する、側面被覆部522とを有する。
表層部52は、高密度材料であるPtを含む合金材料にて構成される。Pt合金材料は、高融点で耐酸化性に優れる材料であり、表層部52の耐消耗性を向上させることができる。また、Pt合金材料は延性材料であり、表層部52のカップ形状の成形が容易になる利点がある。具体的には、Ptに他の貴金属を添加した、Pt-Rh合金、Pt-Ir合金、Pt-Pd合金等を含む材料の他、Ptに非貴金属、例えばNiを添加した、Pt-Ni合金等を用いることができる。好適には、Pt合金材料として、Pt-Rh合金、又は、Pt-Ni合金を用いることが望ましい。
Pt合金材料として、Pt-Rh合金を用いる場合には、Pt-Rh合金におけるRhの含有量が、10質量%~30質量%の範囲にあるとよい。このとき、線膨張係数は、例えば、9.5×10-6/℃~12.0×10-6/℃(すなわち、基準温度50℃のときの900℃における線膨張係数)の範囲にある。PtとRhは、共に耐酸化性を有する材料であるが、Ptは、貴金属の中では比較的融点が低いため(すなわち、融点:1770℃)、より融点が高いRh(すなわち、融点:1960℃)を添加したPt-Rh合金とすることで、耐火花消耗性と耐酸化性を確保することができる。Rhの含有量が10質量%未満であると、融点を高めて耐消耗性を向上させる十分な効果が得られず、また、30質量%を超えると、硬度が高くなってカップ形状の成形性が低下するおそれがある。
Pt合金材料として、Pt-Ni合金を用いる場合には、Pt-Ni合金におけるNiの含有量が、5質量%~20質量%の範囲にあるとよい。このとき、線膨張係数は、例えば、10.5×10-6/℃~13.0×10-6/℃(すなわち、基準温度50℃のときの900℃における線膨張係数)の範囲にある。Ptは貴金属であるため価格が高く、価格変動によるコストへの影響も大きいため、非貴金属であるNiを添加することで、低コスト化を図ることができる。Niの含有量が5質量%未満であると、低コスト化の十分な効果が得られず、また、20質量%を超えると、硬度が高くなってカップ形状の成形性が低下するおそれがある。
芯部51は、低密度材料であるNiを含む合金材料にて構成される。Ni合金材料は、非貴金属材料であり、表層部52を構成するPt合金材料よりも安価であるので、低コスト化に寄与する。また、高密度のPt合金材料の使用量を低減して、自重による複合チップ5の脱落等の不具合を抑制することができる。具体的には、Ni合金材料として、Ni-Cr系合金、Ni-Cr-Fe系合金等が好適に用いられ、Niの含有量は、例えば、50質量%~90質量%の範囲とすることができる。NiにCr、Fe以外の他の元素、例えば、Mo、Al、Co、Mn、Si、C、S等を添加してもよい。このようなNi合金材料は、通常、Pt合金材料よりも線膨張係数が高く、例えば、14.0×10-6/℃~17.0×10-6/℃(すなわち、基準温度50℃のときの900℃における線膨張係数)の範囲にある。なお、非貴金属としては鉄系材料が広く用いられるが、エンジン燃焼室に露出する点火プラグ1の複合チップ5は、高温かつ酸化性大の環境に晒されるため、耐酸化性を有するNi系材料が好適に使用される。
芯部51と表層部52とは、圧入又は抵抗溶接等により、互いに密着するように固定される。密着固定された状態で熱処理等を行って、拡散接合により接合性を向上させることもできる。また、芯部51を挿入しながら同一工程にて表層部52をカップ状に成形してもよい。その後、表層部52から露出させた土台部511を、接地電極4の先端部41上に配置し抵抗溶接又はレーザ溶接等により接合することができる。接地電極4(すなわち電極母材4A)は、例えば、Ni合金材料にて構成することができ、芯部51と同種の材料を用いることで、熱応力を小さくすることができる。
図2に示される土台部511は、例えば、軸方向の端面が抵抗溶接により接地電極4の表面に接合された後に、レーザ溶接により外周表面を接地電極4の表面に接合されて、外周表面がやや裾拡がりの曲面状をなしている。レーザ溶接により、土台部511の接合界面が溶融して固化することで、溶融部を形成して接合性を確保することができる。また、表層部52の構成材料の一部が溶融して芯部51に溶け込むことで、溶融部が合金化してもよい。その場合、土台部511の少なくとも一部は、材料組成が、表層部52を構成するPt等を含むNi合金となる。
このように、芯部51と表層部52とを組み合わせた複合チップ5は、表層部52の内側に芯部51を有することで、耐消耗性を保持しながら高価なPt合金材料の使用量を低減できると共に、土台部511にて接地電極4との接合性を確保することができる。
中心電極3に設けられる複合チップ5も同様の構成とすることができる。中心電極3の先端部31において、芯部51の土台部511は、中心電極3の電極母材3A(例えば、図1参照)と一体的に形成され、芯部51の突出側を覆う表層部52が設けられる。
中心電極3に設けられる複合チップ5も同様の構成とすることができる。中心電極3の先端部31において、芯部51の土台部511は、中心電極3の電極母材3A(例えば、図1参照)と一体的に形成され、芯部51の突出側を覆う表層部52が設けられる。
次に、複合チップ5の形状の効果、特に、上記式1に示した表層部52の外径D1と、側面被覆部522の被覆長さL1及び被覆厚さSの関係について説明する。
図4に示すように、筒内気流の速い希薄燃焼エンジンにおいては、点火プラグ1の放電ギャップGを形成する複合チップ5が、高速の気流Fに晒される環境にある。そのため、放電ギャップGを挟んで、対向する2つの複合チップ5間に火花放電Pが発生すると、例えば、図中に矢印で示すように、側方からの気流Fによって流されやすくなる。これにより、火花放電Pが側方(すなわち、気流Fの流れ方向)に延ばされると、火花放電Pの両端が、中心電極3側の複合チップ5の外周部から側面寄り、又は、接地電極4側の複合チップ6の外周部から側面寄りへ移動する。
図4に示すように、筒内気流の速い希薄燃焼エンジンにおいては、点火プラグ1の放電ギャップGを形成する複合チップ5が、高速の気流Fに晒される環境にある。そのため、放電ギャップGを挟んで、対向する2つの複合チップ5間に火花放電Pが発生すると、例えば、図中に矢印で示すように、側方からの気流Fによって流されやすくなる。これにより、火花放電Pが側方(すなわち、気流Fの流れ方向)に延ばされると、火花放電Pの両端が、中心電極3側の複合チップ5の外周部から側面寄り、又は、接地電極4側の複合チップ6の外周部から側面寄りへ移動する。
このとき、図5に示す複合チップ5の外周部、すなわち、表層部52の放電部521の外周縁部から側面被覆部522へ続く角部53の近傍に、火花放電Pが集中し、消耗が大きくなることが判明した。特に、火花放電Pが気流Fに流されて側面へ移動すると、比較的薄肉の側面被覆部522が消耗し、熱応力による亀裂が生じやすくなる。すなわち、火花放電Pの熱による加熱と、気流Fによる冷却が繰り返されることで、Ni合金材料からなる芯部51と、これよりも線膨張係数の低いPt合金材料からなる表層部52との接合界面に、線膨張係数の差による熱応力が発生する。すると、薄肉の側面被覆部522に伸びが発生して亀裂が生じやすくなり、また、気筒内の高温腐食雰囲気によって亀裂部分が高温酸化して、表層部52の剥離等に至るおそれがある。これらにより、より消耗しやすい芯部51が露出すると、さらに消耗が促進されて、点火プラグ1の寿命を縮めることになる。
そこで、後述する評価試験1から導かれる、下記式1に基づいて、側面被覆部522の被覆厚さSと被覆長さL1とを設定する。
式1:S≧D1/20+L1/10-0.005mm
試験結果より、側面被覆部522に生じる亀裂には、その被覆厚さS及び被覆長さL1と、放電部521の外径D1との関係が重要であることが見出された。すなわち、側面被覆部522の被覆長さL1による軸方向Xの熱応力と、放電部521の外径D1による径方向Yの熱応力の両方が関わっており、いずれかが大きくなると、熱応力も大きくなり、亀裂が生じやすくなる。これらに起因する熱応力に対して、式1の関係を満たすように、被覆厚さSが適切に設定されることで、耐消耗性を向上することが可能になる。
式1:S≧D1/20+L1/10-0.005mm
試験結果より、側面被覆部522に生じる亀裂には、その被覆厚さS及び被覆長さL1と、放電部521の外径D1との関係が重要であることが見出された。すなわち、側面被覆部522の被覆長さL1による軸方向Xの熱応力と、放電部521の外径D1による径方向Yの熱応力の両方が関わっており、いずれかが大きくなると、熱応力も大きくなり、亀裂が生じやすくなる。これらに起因する熱応力に対して、式1の関係を満たすように、被覆厚さSが適切に設定されることで、耐消耗性を向上することが可能になる。
好適には、側面被覆部522の被覆厚さSは、軸方向Xにおける放電部521の被覆厚さT以下に設定される(すなわち、T≧S)。より好適には、放電部521の被覆厚さTよりも薄くするのがよく(すなわち、T>S)、式1を満たす範囲で必要以上に厚くならないように設定されることで、表層部52に用いられる高価な貴金属材料の使用量を抑制することができる。放電部521の被覆厚さTは、例えば、0.15mm≦T≦0.25mmの範囲にあるとよく、この範囲において、経年使用による消耗と、消耗による放電ギャップGの拡大に伴う放電維持電圧の上昇に対して、必要な耐消耗性を確保することができる。
複合チップ5は、高線膨張係数の低密度材料であるNi合金材料からなる芯部51と、低線膨張係数の高密度材料であるPt合金材料からなる表層部52との異種材接合であるために、線膨張係数差に起因する熱応力により側面被覆部522で亀裂が発生すると考えられる。亀裂が発生する要因の1つは、放電部521の外径D1に起因して径方向Yに発生する熱応力であり、外径D1が大きいほど熱応力が大きくなる。また、要因のもう1つは、側面被覆部522の被覆長さL1に起因して軸方向Xに発生する熱応力であり、被覆長さL1に比例して熱応力が増加する。
これら要因による熱応力を考慮して、亀裂の抑制に必要な被覆厚さSを適切な厚さとすることで、熱応力に対するストレングスを向上させて、亀裂を抑制することができる。これら要因は、それぞれ、式1の第1項(すなわち、D1/20)及び第2項(すなわち、L1/10)に反映される。
これら要因による熱応力を考慮して、亀裂の抑制に必要な被覆厚さSを適切な厚さとすることで、熱応力に対するストレングスを向上させて、亀裂を抑制することができる。これら要因は、それぞれ、式1の第1項(すなわち、D1/20)及び第2項(すなわち、L1/10)に反映される。
好適には、放電部521の外径D1は、0.5mm≦D1≦1.1mmの範囲となるように設定される。放電部521は、外径D1が大きくなるほど耐消耗性は向上するものの、火花放電Pによる熱エネルギが放電部521へ奪われて消炎作用が大きくなる。一方、外径D1が小さくなるほど、消炎作用が抑制されて着火性は向上するが、耐消耗性は低下する。したがって、これら着火性と耐消耗性が両立するように、外径D1を上記範囲で適宜選択するのがよい。
また、側面被覆部522の被覆長さL1は、0.2mm≦L1≦0.5mmの範囲となるように設定される。被覆長さL1が長くなることで、側面被覆部522側に移動する火花放電Pの位置を覆って側面の消耗を抑制する効果が高くなるが、長くなるほど、軸方向Xにおける熱応力が大きくなりやすい。したがって、通常の内燃機関において、気筒内の気流F等によって変化する火花放電Pの位置を十分覆うと共に、熱応力の発生を抑制するように、被覆長さL1を上記範囲で適宜選択するのがよい。
このとき、軸方向Xにおける土台部511の露出長さL2は、軸方向Xにおける複合チップ5の全長(すなわち、チップ長=T+L1+L2)が、規定長となるように、適宜設定される。好適には、露出長さL2は、0.2mm≦L2≦0.5mmの範囲にあるとよい。土台部511の表面を表層部52にて被覆せず、外周面を気筒内の雰囲気に露出させることで、放熱性が良好となり、芯部51の熱膨張が抑制される。ただし、露出長さL2が大きくなると、芯部51からの放熱が促進されて、消炎作用が大きくなりすぎるおそれがある。したがって、熱応力による亀裂を抑制しながら、良好な着火性が得られるように、露出長さL2を上記範囲で適宜設定するのがよい。
さらに、側面被覆部522から露出する土台部511の最小径部の径D2と、放電部521の外径D1との比率:D2/D1が、後述する評価試験2から導かれる、式2の関係を満たすことが望ましい。
式2:D2/D1≧0.8
点火エネルギが大きくなると、放電部521が火花放電Pの熱で消耗しやすくなるので、放電部521から芯部51を介して電極母材4Aへ適度に逃がすことが望ましい。このとき、放電部521の外径D1に対して、土台部511の径が小さいと、火花放電Pの熱エネルギを逃がしにくくなる。そこで、好適には、D2/D1が式2の範囲となるように、土台部511の最小径部の径D2と、放電部521の外径D1とを、適宜設定することで、耐消耗性をより向上させることができる。
式2:D2/D1≧0.8
点火エネルギが大きくなると、放電部521が火花放電Pの熱で消耗しやすくなるので、放電部521から芯部51を介して電極母材4Aへ適度に逃がすことが望ましい。このとき、放電部521の外径D1に対して、土台部511の径が小さいと、火花放電Pの熱エネルギを逃がしにくくなる。そこで、好適には、D2/D1が式2の範囲となるように、土台部511の最小径部の径D2と、放電部521の外径D1とを、適宜設定することで、耐消耗性をより向上させることができる。
(評価試験1)
上記実施形態1の構成の点火プラグ1について、複合チップ5の放電部521の外径D1と、側面被覆部522の被覆厚さS及び被覆長さL1を変化させて、側面被覆部522における亀裂の発生の有無を評価した。
図6~図9に示すように、実験例1~8について、それぞれ寸法の異なる複数のサンプルを用意した。実験例1~8の各サンプルは、いずれも、複合チップ5を構成する合金材料として、芯部51に、Ni-Cr-Fe系合金(すなわち、72質量%Ni-17質量%Cr-10質量%Fe;線膨張係数:16.4×10-6/℃)を使用し、表層部52に、Pt-Rh合金(すなわち、80質量%Pt20質量%Rh;線膨張係数:9.9×10-6/℃)を使用した。なお、線膨張係数の値は、900℃における線膨張係数(基準温度:50℃)であり、以下、同様とする。
上記実施形態1の構成の点火プラグ1について、複合チップ5の放電部521の外径D1と、側面被覆部522の被覆厚さS及び被覆長さL1を変化させて、側面被覆部522における亀裂の発生の有無を評価した。
図6~図9に示すように、実験例1~8について、それぞれ寸法の異なる複数のサンプルを用意した。実験例1~8の各サンプルは、いずれも、複合チップ5を構成する合金材料として、芯部51に、Ni-Cr-Fe系合金(すなわち、72質量%Ni-17質量%Cr-10質量%Fe;線膨張係数:16.4×10-6/℃)を使用し、表層部52に、Pt-Rh合金(すなわち、80質量%Pt20質量%Rh;線膨張係数:9.9×10-6/℃)を使用した。なお、線膨張係数の値は、900℃における線膨張係数(基準温度:50℃)であり、以下、同様とする。
評価試験1は、各実験例に示す寸法の複合チップ5を設けた点火プラグ1を、温度制御可能な冷熱ベンチにセットして行い、以下の条件にて冷熱サイクルを繰り返した。すなわち、加熱炉に挿入して昇温し950℃にて1分間保持した後、冷却して150°にて1分間保持することを1サイクルとして、これを200サイクル行った。その後、室内に取り出して空冷し、200サイクルの耐久試験の実施によって、側面被覆部522に亀裂が発生していないものを良好(○)、側面被覆部522に亀裂が発生していたものを不良(×)とし、結果を図6~図9に示した。
図6に示す実験例1、2では、被覆長さL1を0.2mmで一定とし、被覆厚さSを0.04mm~0.09mmの範囲において0.01mm間隔で変化させ、放電部521の外径D1を0.5mm~1.1mmの範囲において0.2mm間隔で変化させた。また、実験例1では、芯部51の土台部511の露出長さL2を0.5mm、表層部52の放電部521の被覆厚さTを0.15mmで一定とし、実験例2では、露出長さL2を0.2mm、放電部521の被覆厚さTを0.25mmで一定として、被覆厚さSと外径D1の組み合わせと、亀裂の発生との関係を調べた。
図6の上図及び下図に示されるように、亀裂の発生しない被覆厚さSと外径D1との間には相関があり、実験例1、2で同等の結果が得られた。すなわち、図中に示す境界線の式から、被覆長さL1が0.2mmで一定の場合には、放電部521の被覆厚さTや土台部511の露出長さL2に関わらず、S≧D1/20+0.015mmとなる組み合わせにおいては、亀裂が発生しないことが判明した。S<D1/20+0.015mmとなる組み合わせでは、いずれも芯部51の熱膨張による亀裂が発生した。
実験例3、4では、被覆長さL1を0.3mmで一定とした以外は、実験例1と同様にして、評価した。すなわち、被覆厚さSを0.04mm~0.09mmの範囲で、放電部521の外径D1を0.5mm~1.1mmの範囲で変化させ、また、実験例3では、土台部511の露出長さL2を0.5mm、放電部521の被覆厚さTを0.15mmで一定とし、実験例4では、露出長さL2を0.2mm、放電部521の被覆厚さTを0.25mmで一定として、被覆厚さSと外径D1の組み合わせと、亀裂の発生との関係を調べた。
図7の上図及び下図に示されるように、被覆長さL1が0.3mmで一定の場合にも、実験例3、4で同等の結果が得られた。すなわち、図中に示す境界線の式から、放電部521の被覆厚さTや土台部511の露出長さL2に関わらず、S≧D1/20+0.025mmとなる組み合わせにおいては、亀裂が発生しなかった。S<D1/20+0.025mmとなる組み合わせでは、芯部51の熱膨張による亀裂が発生した。
実験例5、6では、被覆長さL1を0.4mmで一定とした以外は、実験例1と同様にして、評価した。すなわち、被覆厚さSを0.04mm~0.09mmの範囲で、放電部521の外径D1を0.5mm~1.1mmの範囲で変化させ、また、実験例5では、土台部511の露出長さL2を0.5mm、放電部521の被覆厚さTを0.15mmで一定とし、実験例6では、露出長さL2を0.2mm、放電部521の被覆厚さTを0.25mmで一定として、被覆厚さSと外径D1の組み合わせと、亀裂の発生との関係を調べた。
図8の上図及び下図に示されるように、被覆長さL1が0.4mmで一定の場合にも、実験例5、6で同等の結果が得られた。すなわち、図中に示す境界線の式から、放電部521の被覆厚さTや土台部511の露出長さL2に関わらず、S≧D1/20+0.035mmとなる組み合わせにおいては、亀裂が発生しなかった。S<D1/20+0.035mmとなる組み合わせでは、芯部51の熱膨張による亀裂が発生した。
実験例7、8では、被覆長さL1を0.5mmで一定とした以外は、実験例1と同様にして、評価した。すなわち、被覆厚さSを0.04mm~0.09mmの範囲で、放電部521の外径D1を0.5mm~1.1mmの範囲で変化させ、また、実験例7では、土台部511の露出長さL2を0.5mm、放電部521の被覆厚さTを0.15mmで一定とし、実験例8では、露出長さL2を0.2mm、放電部521の被覆厚さTを0.25mmで一定として、被覆厚さSと外径D1の組み合わせと、亀裂の発生との関係を調べた。
図9の上図及び下図に示されるように、被覆長さL1が0.5mmで一定の場合にも、実験例7、8で同等の結果が得られた。すなわち、図中に示す境界線の式から、放電部521の被覆厚さTや土台部511の露出長さL2に関わらず、S≧D1/20+0.045mmとなる組み合わせにおいて、亀裂が発生しなかった。S<D1/20+0.045mmとなる組み合わせでは、芯部51の熱膨張による亀裂が発生した。
これら実験例1~8の結果を、図10にまとめて示すように、亀裂を抑制可能な被覆厚さSは、放電部521の外径D1と被覆長さL1とに応じて変化している。すなわち、被覆長さL1が一定のとき、必要な被覆厚さSは、1/20を係数とするD1の一次関数:S≧D1/20+αで表される。その定数項の値αは、L1に応じて定められ、L1が大きくなるほど(例えば、0.2mm~0.5mmの範囲)、αも大きくなり(例えば、0.005mm~0.045mmの範囲)、必要な被覆厚さSは厚くなる。
これは、亀裂発生の要因の一つが、外径D1であり、芯部51と側面被覆部522との界面に発生して径方向Yに作用する熱応力であると共に、亀裂発生の要因の他の一つが、被覆長さL1であり、軸方向Xにおいて芯部51と側面被覆部522との界面に発生する熱応力であることを示す。つまり、芯部51を構成するNi-Cr-Fe系合金の線膨張係数が、表層部52を構成するPt-Rh合金の線膨張係数よりも高いために、これら線膨張係数の差に起因する熱応力が、径方向Y及び軸方向Xの両方に作用することになる。これに対して、被覆厚さSが不十分であると、芯部51の熱膨張によって、側面被覆部522に亀裂が生じることになる。
したがって、放電部521の外径D1に起因して、径方向Yに発生する熱応力と、被覆長さL1に起因して、軸方向Xに発生する熱応力の両方を考慮して、被覆厚さSを十分な厚さに設定することが望ましい。具体的には、図10中に示される関係から、必要な被覆厚さSを、外径D1及び被覆長さL1を用いて、式1のように表すことができる。
式1:S≧D1/20+L1/10-0.005mm
そして、この式1を満たすように、被覆厚さSを十分な厚さとすることで、径方向Y及び軸方向Xの両方について、発生する熱応力に対して必要となるストレングスの向上を実現し、側面被覆部522に亀裂が生じるのを抑制できる。
式1:S≧D1/20+L1/10-0.005mm
そして、この式1を満たすように、被覆厚さSを十分な厚さとすることで、径方向Y及び軸方向Xの両方について、発生する熱応力に対して必要となるストレングスの向上を実現し、側面被覆部522に亀裂が生じるのを抑制できる。
(評価試験2)
次に、上記実施形態1の構成の点火プラグ1について、複合チップ5の土台部511の最小径部の径D2を変化させて、放電部521の消耗量への影響を評価した。芯部51及び表層部52を構成する合金材料には、上記評価試験1における各サンプルと同じNi-Cr-Fe系合金及びPt-Rh合金を使用した。
図11に示すように、実験例9~13の各サンプルは、土台部511の最小径部の径D2以外は、同じ寸法の芯部51及び表層部52を有する複合チップ5であり、放電部521の外径D1に対して、D2/D1が0.6~1.0の範囲となるように、最小径部の径D2を変化させている。各部の寸法は、以下の通りである。
放電部521の外径D1:0.7mm
放電部521の被覆厚さT:0.25mm
側面被覆部522の被覆長さL1:0.4mm
側面被覆部522の被覆厚さS:0.08mm
土台部511の露出長さL2:0.2mm
土台部511の最小径部の径D2:0.42mm~0.7mm
次に、上記実施形態1の構成の点火プラグ1について、複合チップ5の土台部511の最小径部の径D2を変化させて、放電部521の消耗量への影響を評価した。芯部51及び表層部52を構成する合金材料には、上記評価試験1における各サンプルと同じNi-Cr-Fe系合金及びPt-Rh合金を使用した。
図11に示すように、実験例9~13の各サンプルは、土台部511の最小径部の径D2以外は、同じ寸法の芯部51及び表層部52を有する複合チップ5であり、放電部521の外径D1に対して、D2/D1が0.6~1.0の範囲となるように、最小径部の径D2を変化させている。各部の寸法は、以下の通りである。
放電部521の外径D1:0.7mm
放電部521の被覆厚さT:0.25mm
側面被覆部522の被覆長さL1:0.4mm
側面被覆部522の被覆厚さS:0.08mm
土台部511の露出長さL2:0.2mm
土台部511の最小径部の径D2:0.42mm~0.7mm
評価試験2は、各実験例に示す寸法の複合チップ5を設けた点火プラグ1を、エンジンの気筒に取り付けて行い、以下の条件でエンジンの運転を行って、耐久試験後の消耗比Qを算出した。
エンジン:直列4気筒、2000CC
・運転条件:5600WOT
・運転時間:100H
このとき、図11の上段に示す耐久試験前の新品状態に対して、図11の下段に示す耐久試験後の消耗形態における、放電部521の消耗量をΔGとした。また、D2/D1=1.0の実験例4における消耗量をΔG0として、各実験例のサンプルにおける消耗量ΔGとの比を、消耗比Q=ΔG/ΔG0とした。各実験例のサンプルについて、新品状態におけるD2/D1の値と、算出した消耗比Qを、それぞれ図中に示した。また、これらの関係を図12に示した。
エンジン:直列4気筒、2000CC
・運転条件:5600WOT
・運転時間:100H
このとき、図11の上段に示す耐久試験前の新品状態に対して、図11の下段に示す耐久試験後の消耗形態における、放電部521の消耗量をΔGとした。また、D2/D1=1.0の実験例4における消耗量をΔG0として、各実験例のサンプルにおける消耗量ΔGとの比を、消耗比Q=ΔG/ΔG0とした。各実験例のサンプルについて、新品状態におけるD2/D1の値と、算出した消耗比Qを、それぞれ図中に示した。また、これらの関係を図12に示した。
図11の結果に示されるように、D2/D1が0.6の実験例9では、消耗比Qが1.4であるのに対し、D2/D1が大きくなるのに従い、消耗比Qが急減し、D2/D1が0.8以上の実験例11~13では、いずれも消耗比Qが1.0となっている。このように、複合チップ5の表層部52が同一形状であり、土台部511の露出長さL2が一定である場合において、放電部521の消耗量ΔGは、土台部511の最小径部の大きさによって増減する。これは、最小径部の径D2が小さいと、火花放電Pの熱エネルギを土台部511から電極母材へ十分逃がすことができず、放電部521の消耗が促進されるためと推測される。図12にこれらの結果をまとめて示すように、最小径部の径D2が大きくなるほど、放電部521の消耗は抑制され、その効果は、D2/D1が0.8以上の範囲では、ほぼ一定となる。
したがって、表層部52の放電部521の消耗を抑制には、好適には、D2/D1が0.8以上となるように、複合チップ5を構成するのがよい。これにより、熱応力による側面被覆部522の亀裂を抑制すると共に、高温による放電部52の消耗を抑制して、複合チップ5の耐消耗性をさらに向上させ、点火プラグ1を長寿命とすることができる。
(評価試験3)
上記実施形態1の構成の点火プラグ1について、複合チップ5の表層部52を構成する合金材料を変更し、上記評価試験1と同様にして冷熱サイクル試験を行って、耐消耗性を評価した。冷熱サイクル試験の条件は、1サイクルを、1050℃に昇温して6分間保持した後、冷却して150℃で6分間保持するものとし、200サイクル後の外観を観察して消耗形態を評価した。
図13に示すように、実験例14のサンプルでは、表層部52の構成材料として、Pt-Ni合金(すなわち、90質量%Pt-10質量%Ni;線膨張係数:11.4×10-6/℃)を使用した。
芯部51の構成材料には、上記評価試験1における各サンプルと同じNi-Cr-Fe系合金(すなわち、72質量%Ni-17質量%Cr-10質量%Fe)を使用した。
上記実施形態1の構成の点火プラグ1について、複合チップ5の表層部52を構成する合金材料を変更し、上記評価試験1と同様にして冷熱サイクル試験を行って、耐消耗性を評価した。冷熱サイクル試験の条件は、1サイクルを、1050℃に昇温して6分間保持した後、冷却して150℃で6分間保持するものとし、200サイクル後の外観を観察して消耗形態を評価した。
図13に示すように、実験例14のサンプルでは、表層部52の構成材料として、Pt-Ni合金(すなわち、90質量%Pt-10質量%Ni;線膨張係数:11.4×10-6/℃)を使用した。
芯部51の構成材料には、上記評価試験1における各サンプルと同じNi-Cr-Fe系合金(すなわち、72質量%Ni-17質量%Cr-10質量%Fe)を使用した。
また、比較のため、図14に示す実験例15のサンプルでは、芯部51の構成材料を、Fe系合金(すなわち、85Fe-11Cr-3Si-0.5C;線膨張係数:13.2×10-6/℃)に変更した場合について、同様の冷熱サイクル試験を行った。表層部52の構成材料は、実施例14と同じ、Pt-Ni合金を使用した。
各部の寸法は、実施例14、15共に、上記評価試験2のサンプルと同じであり、以下の通りとした。
放電部521の外径D1:0.7mm
放電部521の被覆厚さT:0.25mm
側面被覆部522の被覆長さL1:0.4mm
側面被覆部522の被覆厚さS:0.08mm
土台部511の露出長さL2:0.2mm
土台部511の最小径部の径D2:0.6mm
各部の寸法は、実施例14、15共に、上記評価試験2のサンプルと同じであり、以下の通りとした。
放電部521の外径D1:0.7mm
放電部521の被覆厚さT:0.25mm
側面被覆部522の被覆長さL1:0.4mm
側面被覆部522の被覆厚さS:0.08mm
土台部511の露出長さL2:0.2mm
土台部511の最小径部の径D2:0.6mm
実験例14について、図12の左図に示す冷熱サイクル前のサンプルと、図12の右図に示す冷熱サイクル後のサンプルの外観とを比較すると、冷熱サイクル後のサンプルでは、複合チップ5の外表面となる表層部52及び土台部511に消耗は見られるものの、外観はほとんど変化しておらず、耐消耗性は良好であった。
これに対して、実験例15のサンプルでは、図13の左図に示す冷熱サイクル前の外観に比べて、図13の右図に示す冷熱サイクル後は、外観に大きく変化が見られ、表層部52との境界部付近において土台部511が高温酸化により膨張すると共に、表層部52から露出する土台部511の消耗が大きくなっている。
これらの結果より、芯部51の構成材料を、耐酸化性に優れるNi合金材料とすることで、高温酸化を抑制して耐消耗性を向上させ、点火プラグ1を長寿命とすることができる。
これらの結果より、芯部51の構成材料を、耐酸化性に優れるNi合金材料とすることで、高温酸化を抑制して耐消耗性を向上させ、点火プラグ1を長寿命とすることができる。
(実施形態2)
内燃機関用の点火プラグに係る実施形態2について、図15~図16を参照して説明する。
本形態においても、点火プラグ1と、中心電極3及び接地電極4に形成される複合チップ5の基本構成は、上記実施形態1と同様であり、説明を省略する。本形態では、図15に示すように、複合チップ5の角部53における芯部51の外周形状と、これを被覆する表層部52の内周形状が異なっており、以下、相違点を中心に説明する。
なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
内燃機関用の点火プラグに係る実施形態2について、図15~図16を参照して説明する。
本形態においても、点火プラグ1と、中心電極3及び接地電極4に形成される複合チップ5の基本構成は、上記実施形態1と同様であり、説明を省略する。本形態では、図15に示すように、複合チップ5の角部53における芯部51の外周形状と、これを被覆する表層部52の内周形状が異なっており、以下、相違点を中心に説明する。
なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
図15において、芯部51は概略円柱状であり、円形平面状の突出端面512と円筒面状の側面513との接続部に、R面取り形状の面取り部514を有している。芯部51の土台部511を除く表面を被覆する表層部52は、概略一定径のカップ状の外形を有し、芯部51の突出端面512を覆う放電部521と、側面513を覆う側面被覆部522と、面取り部514に隣接してこれを覆う肉厚部523と、を有する構成となっている。
このとき、径方向Yにおける表層部52の被覆厚さは、面取り部514を覆う肉厚部523において、側面513を覆う側面被覆部522の被覆厚さSと同等ないしそれ以上となる。肉厚部523は、芯部51の側面513に近い側ほど、肉厚(すなわち、径方向Yにおける被覆厚さ)が薄くなり、芯部51の突出端面512に近い側ほど、肉厚が厚くなっており、その被覆厚さの最大差Qは、面取り部513の面取り形状に応じて決定される。
具体的には、図16に示すように、芯部51には、突出端面512の外周縁部と側面513との接続部がR面取り加工されて、概略1/4円弧状の外周表面を有して外方に突出する面取り部514が形成される。表層部52は、面取り部514を被覆する肉厚部523の内周表面が、面取り部514に対応して概略1/4円弧状に凹陥する形状となっている。肉厚部523は、放電部521との接続部において、最大被覆厚さS1となり、側面被覆部522の被覆厚さSよりも厚くなっている。肉厚部523の肉厚は、側面被覆部522との接続部において最小となり、側面被覆部522の被覆厚さSと同じである。
したがって、径方向Yにおける被覆厚さの最大差(以下、適宜、最大肉厚差と称する)Qは、肉厚部523の最大被覆厚さS1と側面被覆部の被覆厚さSの差であり、下記式3で表される。
式3:Q=S1-S
この構成においても、放電部521の外径D1と、側面被覆部522の被覆厚さS及び被覆長さL1との関係が、上記式1を満たすように設定することができる。好適には、上記式1に、最大肉厚差Qの項を追加した、下記式1Aの関係を満たしていることが望ましい。この式1Aは、後述する評価試験4によって導かれる。
式1A:S≧D1/20+L1/10-Q/10-0.005mm
このとき、最大肉厚差Qは、例えば、0mm<Q≦0.25mmの範囲で、適宜設定することができる。
式3:Q=S1-S
この構成においても、放電部521の外径D1と、側面被覆部522の被覆厚さS及び被覆長さL1との関係が、上記式1を満たすように設定することができる。好適には、上記式1に、最大肉厚差Qの項を追加した、下記式1Aの関係を満たしていることが望ましい。この式1Aは、後述する評価試験4によって導かれる。
式1A:S≧D1/20+L1/10-Q/10-0.005mm
このとき、最大肉厚差Qは、例えば、0mm<Q≦0.25mmの範囲で、適宜設定することができる。
図17に示すように、上記実施形態1の構成における耐久試験結果より、芯部51に面取り部514が形成されない場合に、図中にA部として示す角部53の内周側が亀裂の起点となって、表層部52に亀裂が生じやすくなることが判明した。そこで、A部に対応する箇所の強度を向上するために、放電部521と側面被覆部522との接続部に、肉厚部523を設ける。具体的には、肉厚部523に対応する芯部51の突出端面512と側面513との接続部に面取り部514を設け、カップ状の表層部52にて被覆する。これにより、面取り部514に隣接する肉厚部523を形成し、応力集中の抑制と強度向上を図ることができる。
図18に変形例として示すように、芯部51の面取り部514は、R面取り形状に限らず、C面取り形状とすることもできる。この場合には、面取り部514となる外周表面がC面取り加工されて、突出端面512の外周縁部から側面513へ向けて下り傾斜する平面状となっている。面取り部514を被覆する肉厚部523の内周表面も、面取り部514に対応する傾斜平面状となっている。
この構成においても、径方向Yにおける表層部52の被覆厚さは、肉厚部523と放電部521との接続部において、最大被覆厚さS1となり、最大肉厚差Q(=S1-S)を用いた上記式3を満たすように各部を設定することで、同様に、応力集中の抑制と強度向上を図ることができる。
なお、最大肉厚差Qは、径方向Yにおける面取り部514の面取り長さに相当する。
また、面取り部514の傾斜角度は、任意に設定することができ、例えば、45°のとき、軸方向Xにおける肉厚部523の長さQ1は、最大肉厚差Qと同じになる。傾斜角度がこれより大きくなると、軸方向Xにおける肉厚部523の長さQ1は、最大肉厚差Qより短くなる。
なお、最大肉厚差Qは、径方向Yにおける面取り部514の面取り長さに相当する。
また、面取り部514の傾斜角度は、任意に設定することができ、例えば、45°のとき、軸方向Xにおける肉厚部523の長さQ1は、最大肉厚差Qと同じになる。傾斜角度がこれより大きくなると、軸方向Xにおける肉厚部523の長さQ1は、最大肉厚差Qより短くなる。
(評価試験4)
次に、上記実施形態2の構成の点火プラグ1について、複合チップ5の放電部521の外径D1と、側面被覆部522の被覆厚さS及び被覆長さL1、さらに肉厚部523における最大肉厚差Qを変化させて、側面被覆部522における亀裂の発生の有無を評価した。
図19~図24に示すように、実験例16~27について、それぞれ寸法の異なる複数のサンプルを用意し、上記評価試験1と同様にして冷熱サイクル試験を行って、結果を比較した。なお、実験例16、18、20は、最大肉厚差Q=0mmの場合、すなわち、上記実施形態1の構成に相当する。
次に、上記実施形態2の構成の点火プラグ1について、複合チップ5の放電部521の外径D1と、側面被覆部522の被覆厚さS及び被覆長さL1、さらに肉厚部523における最大肉厚差Qを変化させて、側面被覆部522における亀裂の発生の有無を評価した。
図19~図24に示すように、実験例16~27について、それぞれ寸法の異なる複数のサンプルを用意し、上記評価試験1と同様にして冷熱サイクル試験を行って、結果を比較した。なお、実験例16、18、20は、最大肉厚差Q=0mmの場合、すなわち、上記実施形態1の構成に相当する。
実験例16~27は、芯部51の土台部511の露出長さL2を0.2mm、表層部52の放電部521の被覆厚さTを0.15mmで一定とした。また、芯部51及び表層部52を構成する合金材料には、上記評価試験1における各サンプルと同じNi-Cr-Fe系合金及びPt-Rh合金を使用した。
図19に示す実験例16、17では、被覆長さL1を0.2mmで一定とし、被覆厚さSを0.03mm~0.09mmの範囲において0.01mm間隔で変化させ、放電部521の外径D1を0.5mm~1.3mmの範囲において0.2mm間隔で変化させた。また、実験例16では、最大肉厚差Q=0mmとし、実験例17では、最大肉厚差Q=0.05mmとして、肉厚部523と亀裂の発生との関係を調べた。
図19の上図及び下図に示されるように、肉厚部523を有しない実験例16に対して、肉厚部523を有する実験例17において、同じ外径D1に対して、亀裂が発生せず良好(〇)な結果となる被覆厚さSの下限値が、より小さくなることが判明した。
具体的には、図中に示す境界線の式から、実験例16では、
S≧D1/20+0.2/10-0.005mm
となる組み合わせにおいて、亀裂が発生しないのに対して、実験例17では、
S≧D1/20+0.2/10-0.05/10-0.005mm
となる組み合わせにおいて、亀裂が発生しなかった。これらの式を満たさない組み合わせでは、いずれも芯部51の熱膨張による亀裂が発生した。
具体的には、図中に示す境界線の式から、実験例16では、
S≧D1/20+0.2/10-0.005mm
となる組み合わせにおいて、亀裂が発生しないのに対して、実験例17では、
S≧D1/20+0.2/10-0.05/10-0.005mm
となる組み合わせにおいて、亀裂が発生しなかった。これらの式を満たさない組み合わせでは、いずれも芯部51の熱膨張による亀裂が発生した。
図20に示す実験例18、19では、被覆長さL1を0.3mmで一定とした以外は、実験例16、17と同様にして、冷熱サイクル試験を行った。また、図21に示す実験例20、21では、被覆長さL1を0.5mmで一定とした以外は、実験例16、17と同様にして、冷熱サイクル試験を行った。これらの結果をそれぞれ、図中に示した。
図20、図21の上図及び下図に示されるように、肉厚部523を有しない実験例18、20に対して、肉厚部523を有する実験例19、21において、それぞれ同様の結果が得られた。
具体的には、図中に示す境界線の式から、実験例18では、
S≧D1/20+0.3/10-0.005mm
となる組み合わせにおいて、亀裂が発生しないのに対して、実験例19では、
S≧D1/20+0.3/10-0.05/10-0.005mm
となる組み合わせにおいて、亀裂が発生しなかった。また、実験例20では、
S≧D1/20+0.5/10-0.005mm
となる組み合わせにおいて、亀裂が発生しないのに対して、実験例21では、
S≧D1/20+0.5/10-0.05/10-0.005mm
となる組み合わせにおいて、亀裂が発生しなかった。これらの式を満たさない組み合わせでは、いずれも芯部51の熱膨張による亀裂が発生した。
具体的には、図中に示す境界線の式から、実験例18では、
S≧D1/20+0.3/10-0.005mm
となる組み合わせにおいて、亀裂が発生しないのに対して、実験例19では、
S≧D1/20+0.3/10-0.05/10-0.005mm
となる組み合わせにおいて、亀裂が発生しなかった。また、実験例20では、
S≧D1/20+0.5/10-0.005mm
となる組み合わせにおいて、亀裂が発生しないのに対して、実験例21では、
S≧D1/20+0.5/10-0.05/10-0.005mm
となる組み合わせにおいて、亀裂が発生しなかった。これらの式を満たさない組み合わせでは、いずれも芯部51の熱膨張による亀裂が発生した。
これらの結果から、被覆長さL1が一定の場合には、外径D1が大きくなるほど亀裂の抑制に必要な被覆厚さSは厚くなるが、最大肉厚差Qの項が減じられることで、上記境界線の式が、被覆厚さSの値が小さくなる方向へシフトしていることがわかる。すなわち、肉厚部523を設ける構成とすることで、亀裂の抑制に必要な被覆厚さSを薄くすることが可能になる。
さらに、実験例22~27では、最大肉厚差Qを変化させて、肉厚部523と亀裂の発生との関係を調べた。
図22に示す実験例22、23では、被覆長さL1を0.2mmで一定とし、実験例22では、最大肉厚差Q=0.1mmとし、実験例23では、最大肉厚差Q=0.25mmとして、同様の冷熱サイクル試験を行った。また、図23に示す実験例24、25では、被覆長さL1を0.3mmで一定とし、実験例24では、最大肉厚差Q=0.1mmとし、実験例24では、最大肉厚差Q=0.25mmとして、同様の冷熱サイクル試験を行った。さらに、図24に示す実験例26、27では、被覆長さL1を0.5mmで一定とし、実験例26では、最大肉厚差Q=0.1mmとし、実験例27では、最大肉厚差Q=0.25mmとして、同様の冷熱サイクル試験を行った。これらの結果をそれぞれ、図中に示した。
図22に示す実験例22、23では、被覆長さL1を0.2mmで一定とし、実験例22では、最大肉厚差Q=0.1mmとし、実験例23では、最大肉厚差Q=0.25mmとして、同様の冷熱サイクル試験を行った。また、図23に示す実験例24、25では、被覆長さL1を0.3mmで一定とし、実験例24では、最大肉厚差Q=0.1mmとし、実験例24では、最大肉厚差Q=0.25mmとして、同様の冷熱サイクル試験を行った。さらに、図24に示す実験例26、27では、被覆長さL1を0.5mmで一定とし、実験例26では、最大肉厚差Q=0.1mmとし、実験例27では、最大肉厚差Q=0.25mmとして、同様の冷熱サイクル試験を行った。これらの結果をそれぞれ、図中に示した。
図22~図24の上図及び下図に示されるように、肉厚部523の最大肉厚差Q=0.1mmとした実験例22、24、26に対して、肉厚部523の最大肉厚差Q=0.25mmとした実験例23、25、27において、図中に示す境界線の式が、被覆厚さSの値が小さくなる方向へシフトしている。
具体的には、図中に示す境界線の式から、亀裂が発生しない組み合わせは、それぞれ以下のようになる。
実験例22:S≧D1/20+0.2/10-0.1/10-0.005mm
実験例23:S≧D1/20+0.2/10-0.25/10-0.005mm
実験例24:S≧D1/20+0.3/10-0.1/10-0.005mm
実験例25:S≧D1/20+0.3/10-0.25/10-0.005mm
実験例26:S≧D1/20+0.5/10-0.1/10-0.005mm
実験例27:S≧D1/20+0.5/10-0.25/10-0.005mm
これらの式の関係から、被覆長さL1と、最大肉厚差Qを用いて、式1Aのように表すことができる。
式1A:S≧D1/20+L1/10-Q/10-0.005mm
そして、この式1Aを満たすように、最大肉厚差Qに応じて被覆厚さSを設定することで、径方向Y及び軸方向Xの両方について、発生する熱応力に対して必要となるストレングスの向上を実現し、側面被覆部522に亀裂が生じるのを抑制できる。
具体的には、図中に示す境界線の式から、亀裂が発生しない組み合わせは、それぞれ以下のようになる。
実験例22:S≧D1/20+0.2/10-0.1/10-0.005mm
実験例23:S≧D1/20+0.2/10-0.25/10-0.005mm
実験例24:S≧D1/20+0.3/10-0.1/10-0.005mm
実験例25:S≧D1/20+0.3/10-0.25/10-0.005mm
実験例26:S≧D1/20+0.5/10-0.1/10-0.005mm
実験例27:S≧D1/20+0.5/10-0.25/10-0.005mm
これらの式の関係から、被覆長さL1と、最大肉厚差Qを用いて、式1Aのように表すことができる。
式1A:S≧D1/20+L1/10-Q/10-0.005mm
そして、この式1Aを満たすように、最大肉厚差Qに応じて被覆厚さSを設定することで、径方向Y及び軸方向Xの両方について、発生する熱応力に対して必要となるストレングスの向上を実現し、側面被覆部522に亀裂が生じるのを抑制できる。
上記実施形態では、複合チップ5を、点火プラグ1の中心電極3と接地電極4の両方に取り付けた構成としたが、複合チップ5は、中心電極3及び接地電極4の少なくとも一方に取り付けられていればよい。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。例えば、上記実施形態では、点火プラグ1が希薄燃焼エンジンに取り付けられる場合について説明したが、希薄燃焼エンジンに限らず任意の内燃機関に適用することができる。また、点火プラグ1の各部構成は、上記図3に示す構成に限らず、適宜変更することができる。
1 点火プラグ
2 絶縁碍子
3 中心電極
4 接地電極
5 複合チップ
51 芯部
511 土台部
52 表層部
521 放電部
522 側面被覆部
2 絶縁碍子
3 中心電極
4 接地電極
5 複合チップ
51 芯部
511 土台部
52 表層部
521 放電部
522 側面被覆部
Claims (10)
- 筒状の絶縁碍子(2)の内側に保持され、上記絶縁碍子の先端よりも先端側へ突出する中心電極(3)と、
上記絶縁碍子を保持するハウジング(H)の先端に設けられ、上記中心電極と軸方向(X)に対向配置される接地電極(4)と、
上記中心電極及び上記接地電極の少なくとも一方に形成され、上記軸方向に突出する複合チップ(5)と、を有する内燃機関用の点火プラグ(1)であって、
上記複合チップは、電極母材(3A、4A)と一体的に形成される土台部(511)を有する芯部(51)と、上記芯部の突出端面(512)を覆う放電部(521)及び上記突出端面に続く側面(513)を覆う側面被覆部(522)を有するカップ状の表層部(52)と、を備えており、
上記芯部は、Ni合金材料にて構成されており、上記表層部は、Pt合金材料にて構成されると共に、
上記表層部において、径方向(Y)における上記側面被覆部の被覆厚さSと、上記放電部の外径D1と、上記軸方向における上記側面被覆部の被覆長さL1とが、式1の関係を満たしている、内燃機関用の点火プラグ。
式1:S≧D1/20+L1/10-0.005mm - 上記表層部は、上記放電部と上記側面被覆部との接続部に、上記径方向における最大被覆厚さS1が上記側面被覆部の被覆厚さSよりも厚い肉厚部(523)を有しており、
上記側面被覆部の被覆厚さSと、上記放電部の外径D1と、上記軸方向における上記側面被覆部の被覆長さL1と、上記最大被覆厚さS1と上記側面被覆部の被覆厚さSの差である被覆厚さの最大差Qとが、式1Aの関係を満たしている、請求項1に記載の内燃機関用の点火プラグ。
式1A:S≧D1/20+L1/10-Q/10-0.005mm - 上記芯部は、上記突出端面と上記側面との接続部に面取り部(514)を有し、上記肉厚部は、上記径方向において、上記面取り部に隣接して設けられると共に、上記被覆厚さの最大差Qは、0mm<Q≦0.25mmの範囲にある、請求項2に記載の内燃機関用の点火プラグ。
- 上記表層部を構成するPt合金材料は、Pt-Rh合金、Pt-Ni合金、Pt-Ir合金又はPt-Pd合金である、請求項1~3のいずれか1項に記載の内燃機関用の点火プラグ。
- 上記芯部を構成するNi合金材料は、Ni-Cr系合金又はNi-Cr-Fe系合金である、請求項1~4のいずれか1項に記載の内燃機関用の点火プラグ。
- 上記側面被覆部から露出する上記土台部の最小径部の径D2と、上記放電部の外径D1とが、式2の関係を満たしている、請求項1~5のいずれか1項に記載の内燃機関用の点火プラグ。
式2:D2/D1≧0.8 - 上記軸方向において、上記側面被覆部の被覆長さL1は、0.2mm≦L1≦0.5mmの範囲にあり、上記側面被覆部から露出する上記土台部の露出長さL2は、0.2mm≦L2≦0.5mmの範囲にある、請求項1~6のいずれか1項に記載の内燃機関用の点火プラグ。
- 上記放電部の外径D1は、0.5mm≦D1≦1.1mmの範囲にあり、上記軸方向における上記放電部の被覆厚さTは、0.15mm≦T≦0.25mmの範囲にある、請求項1~7のいずれか1項に記載の内燃機関用の点火プラグ。
- 上記側面被覆部の被覆厚さSと、上記放電部の被覆厚さTとが、S≦Tの関係にある、請求項1~8のいずれか1項に記載の内燃機関用の点火プラグ。
- 上記土台部は、上記電極母材に接合されており、Ni合金又は貴金属を含むNi合金にて構成される、請求項1~9のいずれか1項に記載の内燃機関用の点火プラグ。
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