JP6635813B2 - シート状積層体およびシート状積層体の製造方法 - Google Patents

シート状積層体およびシート状積層体の製造方法 Download PDF

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本発明は、シート状積層体およびシート状積層体の製造方法に関する。
特に、高分子薄膜を剥離シートから剥離する際の剥離性に優れるばかりでなく、剥離した高分子薄膜を人体に適用した際の安全性に優れ、かつ、大量生産に適したシート状積層体およびシート状積層体の製造方法に関する。
従来、ポリL−乳酸等の高分子からなる厚みが数十から数百nmの生体適合性を有する高分子薄膜を製造する技術が知られている(例えば、特許文献1および2)。
かかる高分子薄膜は、生体吸収性、生体分解性および組織修復性等を有することから、生体組織への適用性に優れている。
また、かかる高分子薄膜は、健常皮膚、皮膚創傷面、臓器創傷面や角膜等の生体組織に適用した場合、静電気力や濡れ性により、生体組織に対して強固に密着することが知られている。
したがって、高分子薄膜は、このような諸特性を有することから、健常皮膚、皮膚創傷面、臓器創傷面および角膜等の生体組織の被覆材等として検討されている。
例えば、特許文献1には、以下の工程により得られることを特徴とする薄膜状構造体が開示されている。
(a)基体の液相との界面における任意形状の領域に多官能性分子を吸着させ、
(b)吸着した多官能性分子を重合および/または架橋して高分子の薄膜を形成させ、
(c)形成された薄膜を基体から剥離する。
また、特許文献2には、膜の表面(A面)と裏面(B面)に機能性物質を有することを特徴とする薄膜状高分子構造体が開示されている。
より具体的には、例えば、以下の工程により得られる薄膜状構造体が開示されている。
(a)基体の液相との界面における任意形状の領域に多官能性分子を吸着させ、
(b)吸着させた多官能性分子を重合および/または架橋して高分子の薄膜を形成させ、
(c)形成させた薄膜のA面に機能性物質を結合させた後、さらにその上に可溶性支持膜を形成させ、
(d)薄膜および可溶性支持膜を基体から剥離させ、
(e)薄膜のB面に、A面に結合させた機能性物質と同一または別の機能性物質を結合させた後、可溶性支持膜を溶剤にて溶解させる。
WO2006/025592号公報(請求の範囲) WO2008/050913号公報(請求の範囲)
しかしながら、特許文献1に記載の高分子薄膜は、多官能性分子を基体等に吸着させ、かつ、それを重合等しなければならないため、長尺の剥離シートに対して高分子薄膜形成用溶液を連続的に塗布・乾燥することにより高分子薄膜を形成する方法と比較して、生産効率が低く、大量生産への移行が困難であるという問題が見られた。
また、得られた高分子薄膜を基体等から剥離する際の剥離性が不安定であるため、剥離の際に高分子薄膜が破れやすくなる場合があるという問題が見られた。
一方、特許文献2には、高分子薄膜を形成する方法として、多官能性分子を基体等に吸着させた後、重合等する方法以外に、SiO2基板上に高分子薄膜形成用溶液をスピンコートし、加熱・乾燥する方法が記載されている。
しかしながら、特許文献2に記載の高分子薄膜は、SiO2基板上にスピンコートにより形成された場合であっても、結局、枚葉での製造となるため、生産効率が不十分であり、大量生産への移行が困難であるという問題が見られた。
また、得られた高分子薄膜をSiO2基板から剥離する際の剥離性が不安定であるため、剥離の際に高分子薄膜が破れやすくなる場合があるという問題が見られた。
他方、剥離性に優れたアルキド系の剥離層を有する剥離シートや、所定のポリオレフィンフィルムからなる剥離シートに対して、高分子薄膜形成用溶液を連続的に塗布した後、加熱・乾燥することにより、剥離シート上に効率的に高分子薄膜を形成する技術も検討されている。
しかしながら、このようにして剥離性を十分に向上させた場合であっても、剥離した高分子薄膜を人体に適用した際の安全性が確保できなくなったり、剥離シートをロール状に巻き上げた際にブロッキングが生じやすくなって生産効率が低下したりするといった問題が見られた。
そこで、本発明者らは、以上のような事情に鑑み、鋭意努力したところ、所定厚みの高分子薄膜を剥離シート上に積層してなるシート状積層体において、少なくとも高分子薄膜が位置する側の表面に所定の樹脂を含み、かつ、所定の表面特性を満足する剥離シートを用いることにより、高分子薄膜を剥離シートから剥離する際の剥離性に優れるばかりでなく、剥離した高分子薄膜を人体に適用した際の安全性に優れ、かつ、大量生産に適したシート状積層体が得られることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の目的は、高分子薄膜を剥離シートから剥離する際の剥離性に優れるばかりでなく、剥離した高分子薄膜を人体に適用した際の安全性に優れ、かつ、大量生産に適したシート状積層体およびシート状積層体の製造方法を提供することにある。
本発明によれば、剥離シート上に、高分子薄膜を積層してなるシート状積層体であって、剥離シートにおける少なくとも高分子薄膜が位置する側の表面が、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂を含むとともに、剥離シートにおける高分子薄膜が位置する側の表面における表面自由エネルギーを40mJ/m2以下の値とし、かつ、高分子薄膜の厚みを5〜1000nmの範囲内の値とすることを特徴とするシート状積層体が提供され、上述した問題を解決することができる。
すなわち、本発明のシート状積層体であれば、高分子薄膜が位置する側の表面における主成分がポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂であり、かつ、当該表面における表面自由エネルギーが40mJ/m2以下の値である剥離シートを用いていることから、剥離シートに対する高分子薄膜形成用溶液の塗布適性を向上させて、均一な厚みの塗膜を安定的に形成することができる。
また、かかる所定の剥離シートを用いていることから、形成された高分子薄膜を剥離シートから剥離する際の剥離力を、安定的に所定以下の範囲に制御することができる。
したがって、これら2つの特性を併せ持つことにより、本発明のシート状積層体は、高分子薄膜を剥離シートから剥離する際に、優れた剥離性を発揮することができる。
また、本発明における剥離シートは、高分子薄膜が位置する側の表面における主成分がポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂であることから、アセトアルデヒドの発生源となり得るメラミン系樹脂を用いた場合のように、人体に対する悪影響を懸念する必要がない。
さらに、本発明における剥離シートは、耐ブロッキング性に優れることから、ロール状に巻き上げた場合であってもブロッキングの発生を効果的に抑制することができ、ロールツーロールによる大量生産に容易に適用することができる。
また、本発明のシート状積層体を構成するにあたり、剥離シートにおける高分子薄膜が位置する側の表面における表面自由エネルギーを20mJ/m2以上の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、剥離シート上に高分子薄膜形成用溶液を塗布する際に、より優れた塗布適性を得ることができ、ひいては、高分子薄膜を剥離シートから剥離する際の剥離性をさらに向上させることができる。
また、本発明のシート状積層体を構成するにあたり、剥離シートが、単層の剥離シートであることが好ましい。
このように構成することにより、基材上に剥離層を形成してなる剥離シートと比較して、容易に製造することができ、さらに、高分子薄膜を剥離する際に剥離層が凝集破壊するといった剥離層に起因する問題についても根本的に解決することができる。
また、本発明のシート状積層体を構成するにあたり、剥離シートが、基材と、当該基材における高分子薄膜が位置する側の表面に形成された剥離層と、を含むことが好ましい。
このように構成することにより、基材の材料選択の幅を広げることができることから、剥離シート全体としての耐熱変形性やフレキシブル性等を効果的に向上させることができる。
また、本発明のシート状積層体を構成するにあたり、基材の厚みを10〜200μmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、高分子薄膜の使用態様に応じて、シート状積層体を所定の平面形状となるように容易に裁断することができる。
また、本発明のシート状積層体を構成するにあたり、高分子薄膜を構成する高分子が、非水溶性高分子を含むことが好ましい。
このように構成することにより、被着体由来の水分によって高分子薄膜が溶解することを効果的に防止することができる。
また、本発明のシート状積層体を構成するにあたり、非水溶性高分子が、ポリ乳酸、乳酸共重合体、ポリラクトンおよびラクトン共重合体からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
このように構成することにより、より均一な厚みを有する高分子薄膜を、より安定的に得ることができる。
また、本発明のシート状積層体を構成するにあたり、高分子薄膜における剥離シートとは反対側の面に、水溶性高分子膜を積層してなることが好ましい。
このように構成することにより、所定の機能を有する水溶性機能性膜として、高分子薄膜の適用部において臓器創傷面や角膜等の生体組織、表皮などへの密着性を向上させる等の機能を付与することができるほか、高分子薄膜を支持する水溶性高分子支持膜として、高分子薄膜を積層させた状態で、ピンセット等により剥離シートから剥離し、適用対象物にそのまま適用することができる。
また、本発明の別の態様は、上述したシート状積層体の製造方法であって、下記工程(a)〜(b)を含むことを特徴とするシート状積層体の製造方法である。
(a)剥離シートとして、少なくとも高分子薄膜が位置する側の表面が、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂を含むとともに、高分子薄膜が位置する側の表面における表面自由エネルギーを40mJ/m2以下の値とする剥離シートを準備する工程
(b)剥離シート上に、高分子薄膜形成用溶液を塗布し、厚みが5〜1000nmの範囲内の値である高分子薄膜を形成する工程
すなわち、本発明のシート状積層体の製造方法であれば、所定の剥離シートを用いることから、高分子薄膜を剥離シートから剥離する際の剥離性に優れるばかりではなく、剥離した高分子薄膜を人体に適用した際の安全性に優れ、かつ、大量生産に適したシート状積層体を得ることができる。
また、本発明のシート状積層体の製造方法を実施するにあたり、工程(b)を、ロールツーロール法にて行うことが好ましい。
このように実施することにより、所定の厚みを有する高分子薄膜を、より効率的に形成することができることから、シート状積層体をより効率よく大量生産することができる。
図1(a)〜(c)は、本発明のシート状積層体の態様を説明するために供する図である。 図2(a)〜(d)は、本発明のシート状積層体の態様および使用方法を説明するために供する図である。 図3(a)〜(b)は、リバースグラビアコータについて説明するために供する図である。 図4(a)〜(b)は、スロットダイコータについて説明するために供する図である。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態は、図1(a)〜(b)に示すように、剥離シート2の上に、高分子薄膜4を積層してなるシート状積層体10(10α、10β)であって、剥離シート2における少なくとも高分子薄膜4が位置する側の表面が、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂を含むとともに、剥離シート2における高分子薄膜4が位置する側の表面における表面自由エネルギーを40mJ/m2以下の値とし、かつ、高分子薄膜4の厚みを5〜1000nmの範囲内の値とすることを特徴とするシート状積層体10(10α、10β)である。
以下、本発明の第1の実施形態を、図面を適宜参照して、具体的に説明する。
1.剥離シート
(1)態様
本発明における剥離シートは、図1(a)に示すような単層の剥離シート2(2a)であってもよいし、図1(b)に示すような基材2aの上に剥離層2bを形成してなる剥離シート2であってもよい。
すなわち、図1(a)に示すような単層の剥離シート2(2a)の場合、図1(b)に示すような基材2aの上に剥離層2bを形成してなる剥離シート2と比較して、容易に製造することができ、さらに、高分子薄膜4を剥離する際に剥離層2bが凝集破壊するといった剥離層2bに起因する問題についても根本的に解決することができる。
一方、図1(b)に示すような基材2aの上に剥離層2bを形成してなる剥離シート2の場合、基材2aの材料選択の幅を広げることができることから、剥離シート2の全体としての耐熱変形性やフレキシブル性等を効果的に向上させることができる。
(2)基材
(2)−1 種類
また、本発明においては、剥離シートにおける少なくとも高分子薄膜が位置する側の表面が、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂を含むことを特徴とする。
この理由は、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂であれば、後述する表面自由エネルギーの規定と相俟って、剥離シートに対する高分子薄膜形成用溶液の塗布適性を向上させて、均一な厚みの塗膜を安定的に形成することができるためである。
また、形成された高分子薄膜を剥離シートから剥離する際の剥離力を、安定的に所定以下の範囲に制御することができる。
したがって、これら2つの特性を併せ持つことにより、高分子薄膜を剥離シートから剥離する際に、優れた剥離性を発揮することができる。
また、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂であれば、高温環境下においても剥離性を損なうことなく維持することができる。
よって、本発明においては、剥離シートが図1(a)に示すような単層の剥離シートである場合には、当該剥離シートは、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂を主成分として成形した樹脂フィルムに限定される。
ここで、本発明において「ポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂」とは、下記式(1)で表される構成単位を主要な構成単位として構成されるポリマーを意味し、より具体的には、全構成単位のうち、80%以上(重量)の構成単位が下記式(1)で表される構成単位であるポリマーを意味する。
また、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂は、式(1)で表される構成単位以外の構成単位として、例えば、エチレンおよび4−メチル−1−ペンテンを除く炭素原子数3〜20のα−オレフィンを含んでもよい。
かかる炭素原子数3〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンおよび1−エイコセンなどが挙げられる。
これらのうち、好ましくは4−メチル−1−ペンテンを除く炭素原子数6〜20のα−オレフィンであり、さらに好ましくは炭素原子数8〜20のα−オレフィンである。これらのオレフィンは1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
また、反応性官能基を有する構成単位を含んでもよい。
かかる反応性官能基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、水酸基、アミノ基、アミド基、イミド基、およびニトリル基等が挙げられる。
一方、剥離シートが図1(b)に示すような基材上に剥離層を形成してなる剥離シートである場合には、基材上にポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂を主成分とした剥離層を形成すればよいため、基材の種類は制限されない。
したがって、耐熱変形性に優れるとともに、所定のフレキシブル性を有し、かつ、剥離層に対して所定の密着性を有することから、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリアセテートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム等を用いることが好ましい。
(2)−2 厚み
また、基材の厚みを10〜200μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、基材の厚みが10μm未満の値となると、耐熱変形性が不十分になる場合があるためである。一方、基材の厚みが200μmを超えた値となると、シート状積層体の裁断性が過度に低下したり、フレキシブル性が過度に低下してハンドリング性が過度に低下したりする場合があるためである。
したがって、基材の厚みを15〜180μmの範囲内の値とすることがより好ましく、20〜150μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(3)剥離層
次いで、剥離シートが図1(b)に示すような基材上に剥離層を形成してなる剥離シートである場合の剥離層について説明する。
(3)−1 剥離剤組成物
(i)樹脂
本発明における剥離層を形成するための剥離剤組成物は、樹脂成分としてポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂を含むことを特徴とする。
また、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂が、後述する脂肪族ポリイソシアネート化合物により架橋可能な反応性官能基を有する共重合体であることが好ましい。
この理由は、優れた剥離性を効果的に保持しつつ、剥離層を基材に対して強固に密着させることができるためである。
すなわち、剥離層の主成分であるポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂を、脂肪族ポリイソシアネート化合物により架橋することで、剥離層を基材に対して強固に密着させることが可能になるが、下記式(2)で表される単一の構成単位からなるポリ(4−メチル−1−ペンテン)樹脂の場合、架橋可能な反応性官能基が存在せず、架橋が困難になるためである。
また、脂肪族ポリイソシアネート化合物により架橋可能な反応性官能基としては、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、水酸基、アミノ基、アミド基、イミド基およびニトリル基等が挙げられ、特にカルボキシル基や酸無水物基またはこれらの誘導体であることが好ましい。
また、これらの反応性官能基を有する構成単位、すなわちエチレン性不飽和結合含有モノマーとしては、不飽和カルボン酸およびその誘導体(酸無水物、酸アミド、エステル、酸ハロゲン化合物および金属塩)、イミド、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、スチレン系モノマー等が挙げられ、好ましくは不飽和カルボン酸およびその誘導体、水酸基含有エチレン性不飽和化合物およびエポキシ基含有エチレン性不飽和化合物が挙げられる。
また、不飽和カルボン酸およびその誘導体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、α−エチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2,3−ジカルボン酸(ナジック酸、商標)、無水ナジック酸およびメチル−エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸(メチルナジック酸、商標)などの不飽和カルボン酸およびその無水物;ならびにメタクリル酸メチルなどの不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸ハライド、不飽和カルボン酸アミドおよびイミドなどが挙げられ、好ましくは塩化マロニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水ナジック酸、アクリル酸、ナジック酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチルおよびメタクリル酸メチルなどが挙げられ、より好ましくはアクリル酸、マレイン酸、ナジック酸、無水マレイン酸、無水ナジック酸およびメタクリル酸メチルが挙げられる。不飽和カルボン酸およびその誘導体は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、水酸基含有エチレン性不飽和化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタンモノ(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートおよび2−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチルアクリレート、10−ウンデセン−1−オール、1−オクテン−3−オール、2−メチロールノルボルネン、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、N−メチロールアクリルアミド、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、グリセリンモノアリルエーテル、アリルアルコール、アリロキシエタノールおよび2−ブテン−1,4−ジオールおよびグリセリンモノアルコールなどが挙げられ、好ましくは10−ウンデセン−1−オール、1−オクテン−3−オール、2−メタノールノルボルネン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、N−メチロールアクリルアミド、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、グリセリンモノアリルエーテル、アリルアルコール、アリロキシエタノール、2−ブテン−1,4−ジオールおよびグリセリンモノアルコールなどが挙げられ、より好ましくは2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよび2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。水酸基含有エチレン性不飽和化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物の具体例としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、イタコン酸のモノまたはジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸のモノ、ジまたはトリグリシジルエステル、テトラコン酸のモノまたはジグリシジルエステル、エンド−シス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸(ナジック酸、商標)のモノまたはジグリシジルエステル、エンド−シス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジメチル−2,3−ジカルボン酸(メチルナジック酸、商標)のモノまたはジグリシジルエステル、アリルコハク酸のモノまたはジグリシジルエステル、p−スチレンカルボン酸のグリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、3,4−エポキシ−1−ブテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ブテン、3,4−エポキシ−1−ペンテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ペンテン、5,5−エポキシ−1−ヘキセンおよびビニルシクロヘキセンモノオキシドなどが挙げられ、好ましくグリシジルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートが挙げられる。エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、上述したエチレン性不飽和結合含有モノマーのうち、より好ましくは不飽和カルボン酸またはその誘導体であり、特に好ましくは不飽和カルボン酸無水物であり、最も好ましくは無水マレイン酸である。
また、脂肪族ポリイソシアネート化合物により架橋可能な反応性官能基を有する構成単位の割合を、全構成単位100重量%に対して0.1〜10重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる構成単位の割合が0.1重量%未満の値となると、架橋密度が過度に低くなって、剥離層を基材に対して強固に密着させることが困難になる場合があるためである。一方、かかる構成単位の割合が10重量%を超えた値となると、架橋密度が過度に高くなって、高分子薄膜との密着性が過度に高くなり、剥離性が低下する場合があるためである。
したがって、脂肪族ポリイソシアネート化合物により架橋可能な反応性官能基を有する構成単位の割合を、全構成単位100重量%に対して0.3〜7重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜5重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、脂肪族ポリイソシアネート化合物により架橋可能な反応性官能基を有する構成単位以外の構成単位として、基材の項において列挙した炭素原子数3〜20のα−オレフィンを含んでもよい。
また、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂の融点を150〜199℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる融点が150℃未満の値となると、高分子薄膜を作成する際に加熱工程で融点が低い剥離層が軟化して、高分子薄膜の表面において部分的な混層が発生し、剥離性が低下する場合があるためである。一方、かかる融点が199℃を超えた値となると、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂を溶剤に溶解させることが困難になって、剥離剤組成物を調製することが困難になり、ひいては基材上に剥離層を形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂の融点を160〜190℃の範囲内の値とすることがより好ましく、170〜185℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、剥離層の主成分となるポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂は、剥離剤組成物の構成材料の一種であることから、溶剤に対して溶解可能であることが必要である。
(ii)架橋剤
本発明の剥離層を形成するための剥離剤組成物は、架橋剤として脂肪族ポリイソシアネート化合物を含むことが好ましい。
この理由は、脂肪族ポリイソシアネート化合物であれば、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂および溶剤との相溶性に優れ、剥離剤組成物中に均一に分散させることができることから、剥離層の表面平滑性を保持しつつ、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂同士を効率よく架橋することができるためである。
これに対し、脂環式ポリイソシアネート化合物や、芳香族ポリイソシアネート化合物を用いた場合、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂および溶剤との相溶性に劣ることから、剥離層内で凝集してしまい、剥離層の表面に剥離力が高い箇所と低い箇所が混在してしまうことによって、剥離安定性が著しく低下しやすくなることが確認されている。
また、脂肪族ポリイソシアネート化合物とは、直鎖または分岐鎖のみを有するポリイソシアネートであり、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネートの誘導体、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
また、脂肪族ポリイソシアネート化合物が、イソシアヌレート環を形成していることが好ましい。
この理由は、脂肪族ポリイソシアネート化合物同士が結合してイソシアヌレート環を形成することにより、剥離層の凝集力を向上させ、さらに剥離層を基材に対してより強固に密着させることができるためである。
なお、脂肪族ポリイソシアネート化合物がイソシアヌレート環を形成してなる化合物も、「脂肪族ポリイソシアネート化合物」に含まれる。
また、脂肪族ポリイソシアネート化合物の配合量を、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂100重量部に対して、0.01〜40重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、脂肪族ポリイソシアネート化合物の配合量が0.01重量部未満の値となると、剥離層を基材に対して強固に密着させることが困難になって、高分子薄膜を剥離する際に剥離層において凝集破壊が生じ、剥離性が低下する場合があるためである。一方、脂肪族ポリイソシアネート化合物の配合量が40重量部を超えた値となると、高分子薄膜との密着性が過度に高くなり、剥離性が低下する場合があるためである。
したがって、脂肪族ポリイソシアネート化合物の配合量を、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂100重量部に対して、0.05〜30重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜20重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましく、5〜15重量部の範囲内の値とすることが特に好ましい。
(iii)溶剤
また、剥離剤組成物は、基材に対して塗布された後、加熱・乾燥により硬化されて剥離層となる。
したがって、剥離剤組成物は、基材に対して塗布可能なように、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂および脂肪族ポリイソシアネート化合物を溶解させるための溶剤を含む。
かかる溶剤の種類としては、トルエン、キシレン、n−ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、オクタン、イソオクタンおよびこれらの混合溶媒を用いることが好ましい。
また、溶剤の配合量としては、剥離剤組成物の固形分が0.1〜10.0重量%の範囲内の値となるように配合することが好ましい。
この理由は、剥離剤組成物の固形分を10.0重量%以下の値とすることで、粘度が上がり過ぎず、剥離剤組成物の基材に対する濡れ性が向上して、塗布適性が維持でき、均一な表面を得ることができるためである。一方、剥離剤組成物の固形分を0.1重量%以上とすることで、粘度が下がり過ぎず、基材へのハジキの発生を抑制できるなど塗布適性が維持でき、均一な表面が得られるためである。
したがって、溶剤を、剥離剤組成物の固形分が1.0〜7.5重量%の範囲内の値となるように配合することがより好ましく、2.5〜5.0重量%の範囲内の値となるように配合することがさらに好ましい。
(3)−2 厚み
また、剥離層の厚みを10〜1000nmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、剥離層の厚みが10nm未満の値となると、剥離層の厚みを均一に制御することが困難になって、剥離性が低下する場合があるためである。一方、剥離層の厚みが1000nmを超えた値となると、結果的に大量の溶剤を使用する必要があり、希釈溶剤を揮発させる際に表面形状が不均一になる場合があるためである。また、剥離層が基材から脱落しやすくなる場合があるためである。
したがって、剥離層の厚みを50〜750nmの範囲内の値とすることがより好ましく、100〜500nmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(4)表面自由エネルギー
また、剥離シートにおける高分子薄膜が位置する側の表面における表面自由エネルギーを40mJ/m2以下の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかる表面自由エネルギーが40mJ/m2を超えた値となると、高分子薄膜と剥離シートとの間における相互作用が過度に強くなって、剥離シートから剥離する際に高分子薄膜が破れやすくなる場合があるためである。一方、かかる表面自由エネルギーが過度に小さな値となると、剥離シート上に高分子薄膜形成用溶液を塗布する際に、ハジキが多くなって優れた塗布適性を得ることが困難になる場合がある。その結果、高分子薄膜の厚みが不均一になり、ひいては剥離シートから剥離する際に高分子薄膜が破れやすくなる場合がある。
したがって、剥離シートにおける剥離層表面の表面自由エネルギーを15〜38mJ/m2の範囲内の値とすることがより好ましく、20〜30mJ/m2の範囲内の値とすることがさらに好ましく、23〜25mJ/m2の範囲内の値とすることが特に好ましい。
なお、表面自由エネルギーの測定方法については、実施例において記載する。
2.高分子薄膜
(1)材料物質
本発明における高分子薄膜は、非水溶性高分子を含むことが好ましい。
この理由は、本発明における高分子薄膜の主な適用対象物は、臓器創傷面や角膜等の生体組織、表皮などであり、基本的に生体由来の粘液、汗等をその表面に有していることから、かかる粘液等に含まれる水分によって高分子薄膜が溶解することを防ぐためである。
したがって、本発明における高分子薄膜の材料物質は、非水溶性の高分子薄膜を形成できるものであれば、特に限定されるものではなく、従来公知の材料物質を用いることができるが、生体適合性の材料物質を用いることがより好ましい。
また、本発明において高分子薄膜を非水溶性とするにあたり、必ずしもその材料物質が非水溶性である必要はなく、その材料物質を加熱・乾燥や架橋反応、重合等することにより、最終的に非水溶性高分子薄膜が得られるものであればよい。
また、具体的な材料物質としては、ポリ乳酸、乳酸共重合体、ポリラクトンおよびラクトン共重合体からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
この理由は、これらの材料物質を含むことにより、より均一な厚みを有する高分子薄膜を、より安定的に得ることができるためである。
また、材料物質としてポリ乳酸を用いる場合には、例えば、L−乳酸またはD−乳酸あるいはこれらの両方を含む乳酸の重合体を用いることができる。
また、L−ラクチド、D−ラクチド、meso−ラクチド等の乳酸の環状二量体であるラクチドの重合体を用いてもよい。
また、材料物質として乳酸共重合体を用いる場合には、乳酸とその他の単量体成分との重合体を用いることができる。
上述したその他の単量体成分としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸等のヒドロキシカルボン酸類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の分子内に複数の水酸基を含む化合物類またはその誘導体;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸等の分子内に複数のカルボン酸基を有する化合物類またはその誘導体が挙げられる。
また、乳酸共重合体を構成する乳酸とその他の単量体成分とを共重合する際の重量比は乳酸/その他の単量体成分=50/50〜99/1であることが好ましい。
また、材料物質としてポリラクトンを用いる場合には、例えば、εカプロラクトン、δブチロラクトン、βメチル−δバレロラクトン、βプロピオラクトン等のラクトンの重合体を用いることができる。
また、材料物質としてラクトン共重合体を用いる場合には、例えば、ラクトンとその他の単量体成分との重合体を用いることができる。
上述したその他の単量体成分としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸等のヒドロキシカルボン酸類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の分子内に複数の水酸基を含む化合物類またはその誘導体;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸等の分子内に複数のカルボン酸基を有する化合物類またはその誘導体が挙げられる。また、上述した乳酸またはラクチドをその他の単量体成分として用いてもよい。
また、ラクトン共重合体を構成するラクトンとその他の単量体成分とを共重合する際の重量比はラクトン/その他の単量体成分=50/50〜99/1であることが好ましい。
また、材料物質としてポリペプチドを用いる場合には、例えば、ポリリシン、ポリグルタミン、ポリアスパラギン、ポリアルギニン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリグリシン、ポリフェニルアラニン、ポリアラニン、ポリロイシン、ポリイソロイシン、ポリバリン、ポリプロリン、ポリセリン、ポリスレオニン、ポリチロシン等を用いることができる。
また、材料物質として、反対電荷を有する高分子電解質(ポリカチオンおよびポリアニオン)の希薄溶液を交互に塗布することにより、ポリカチオンと、ポリアニオンとが積層された高分子薄膜を形成することもできる。なお、ポリカチオンとポリアニオンとの積層数としては、それぞれ1層を積層した2層の積層体としてもよいが、さらに交互に積層して4層〜20層程度の積層体としてもよい。
かかるポリカチオンとしては、ポリリシン、ポリグルタミン、ポリアスパラギン、ポリアルギニン等が挙げられ、ポリアニオンとしては、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸等を挙げることができる。
また、材料物質の重量平均分子量を10,000〜2,000,000の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、材料物質の重量平均分子量をかかる範囲内の値とすることにより、より均一な厚みを有する高分子薄膜を、さらに安定的に得ることができるばかりか、高分子薄膜の強度をさらに向上させることができるためである。
すなわち、材料物質の重量平均分子量が10,000未満の値となると、高分子薄膜の強度が不十分となる場合があるためである。一方、材料物質の重量平均分子量が2,000,000を超えた値となると、高分子薄膜の厚みが不均一となる場合があるためである。
したがって、材料物質の重量平均分子量を30,000〜1,000,000の範囲内の値とすることがより好ましく、50,000〜500,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、材料物質は、上述したような重合体ばかりでなく、多官能性単量体であってもよい。
但し、これらの多官能性単量体を用いて高分子薄膜を形成する場合は、多官能性単量体を重合し、あるいは、さらに架橋することが必要になる。
かかる多官能性単量体としては、例えば、アミノ酸や糖類等、分子内にアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、イソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基、シアヌル基等を複数有する単量体や、ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、ジビニルスルホン、ビスマレイミド等、分子内に複数のビニル基を有する単量体等が挙げられる。
(2)厚み
また、高分子薄膜の厚みを5〜1000nmの範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、高分子薄膜の厚みをかかる範囲内の値とすることにより、高分子薄膜を適用対象としての臓器創傷面や角膜等の生体組織に適用した場合に、膜強度を適度に保ちながら生体組織に対して強固に密着させることができるためである。
すなわち、高分子薄膜の厚みが5nm未満の値となると、膜強度が過度に低下して、適用対象物に対して適用した際に、過度に破断しやすくなる場合があるためである。一方、高分子薄膜の厚みが1000nmを超えた値となると、適用対象物に対する密着性が過度に低下する場合があるためである。
したがって、高分子薄膜の厚みを10〜700nmの範囲内の値とすることがより好ましく、20〜400nmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(3)機能性物質による修飾
また、高分子薄膜の表面を、機能性物質により修飾することも好ましい。
ここで、「機能性物質」とは、細胞膜上にある認識タンパク質やそのリガンド、抗原や抗体など分子認識能を有する物質や、触媒や酵素など特定の反応を促進する物質、抗酸化剤やラジカル消去剤など特定の反応に関与する物質、あるいはカルボキシル基、アミノ基、メルカプト基、マレイミド基など電荷や反応に関与する基や配位子などを意味する。
また、高分子電解質の電荷(静電相互作用)を利用して機能を発現させる物質も機能性物質に含まれる。
例えば、機能性物質としては、ポリエチレングリコールや糖鎖のような高分子化合物、タンパク質、ペプチド、糖鎖、ビオチン誘導体、ポリカチオンおよびポリアニオンの高分子電解質からなる群から選ばれる少なくとも一つが挙げられるが、これらに何ら限定されるものではない。
また、機能性物質の結合法としては、化学的あるいは物理的に結合させる方法がある。
まず、化学的に結合させる方法としては、高分子薄膜を構成する重合体等に導入されたアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、イソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基、シアヌル基、ビニル基に対して、結合し得る官能基を介して結合させることができる。
例えば、機能性物質と高分子薄膜との結合反応として、ヒドロキシル基やアミノ基と、イソシアネート基との反応によるウレタン結合やユリア結合、アミノ基と、アルデヒド基との反応によるシッフ塩基の形成、メルカプト基同士のジスルフィド結合、メルカプト基と、ピリジルジスルフィド基やマレイミド基との反応やカルボニル基と、スクシンイミド基との反応等を利用することができる。
また、物理的に結合させる方法としては、機能性物質側と高分子薄膜側との静電的相互作用、疎水性相互作用、水素結合あるいは分子間力などを用いることができる。
あるいは、高分子薄膜側または機能性物質側にリガンドを導入させておき、機能性物質側または高分子薄膜側に導入されたアクセプターとのコンプレックスを利用して機能性物質を高分子薄膜上に固定することができる。
具体的な組み合わせとしては、ビオチンとアビジン、糖鎖とレクチン、抗原と抗体、薬物とレセプター、酵素と基質などが挙げられる。
また、酵素としては、カタラーゼ、西洋わさびペルオキシダーゼ、キモトリプシン、チトクローム、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、ガラクトシダーゼ、グリコセレブロシダーゼ、血液凝固因子、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、プルラナーゼ、イソメラーゼ、グルコアミラーゼ、グルコースイソメラーゼ、グルタミナーゼ、β−グルカナーゼ、セリンプロテアーゼ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
3.水溶性高分子膜
また、図1(c)や図2(a)に示すように、本発明のシート状積層体を構成するにあたり、高分子薄膜4における剥離シート2とは反対側の面に、水溶性高分子膜6(6a、6b)を積層してなるシート状積層体10´(10a´、10b´)とすることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、所定の機能を有する水溶性機能性膜6aとして、高分子薄膜4の適用部において臓器創傷面や角膜等の生体組織、表皮などへの密着性を向上させる等の機能を付与することができるほか、高分子薄膜4を支持する水溶性高分子支持膜6bとして、高分子薄膜4を積層させた状態で、ピンセット等により剥離シート2から剥離し、適用対象物50にそのまま適用することができるためである。
また、高分子薄膜4が剥離シート2および水溶性高分子膜6(6a、6b)によって両側から挟持されているため、使用前の段階において、高分子薄膜4を安定的に保護することができる。
なお、図1(c)および図2(a)では、単層の剥離シートを用いた場合を例示しているが、基材上に剥離層を形成してなる剥離シートを用いた場合も同様に水溶性高分子薄膜を設けることができる。
ここで、図2(a)〜(d)を用いて、水溶性高分子膜6としての水溶性高分子支持膜6bを有するシート状積層体10b´の使用態様を説明する。
すなわち、図2(a)に示す態様のシート状積層体10b´であれば、図2(b)に示すように、ピンセット等によって、剥離シート2から高分子薄膜4および水溶性高分子支持膜6bを剥離した後、図2(c)に示すように、高分子薄膜4および水溶性高分子支持膜6bの積層体8を、高分子薄膜4が適用対象物50に対して直接接触するように載置することができる。
そして、図2(c)に示すように、高分子薄膜4および水溶性高分子支持膜6bの積層体8に対して、例えば、生理食塩水12を加え、水溶性高分子支持膜6bを溶解することで、図2(d)に示すように、適用対象物50に対して高分子薄膜4を効率的に適用することができる。
なお、水溶性機能性膜と、水溶性高分子支持膜と、は必ずしも別のものである必要は無く、これらの両方の機能を備えた水溶性高分子膜であってもよい。
(1)材料物質
また、水溶性高分子薄膜の材料物質は、水溶性機能性膜の場合であれば、臓器創傷面や角膜等の生体組織、表皮などへの密着性を向上させる等の特定の機能を有することが好ましい。
この理由は、特定の機能を有する水溶性機能性膜であれば、高分子薄膜の適用面に対して直接的に接触し、容易かつ効果的に当該機能を付与することができるためである。
一方、水溶性高分子支持膜の場合であれば、高分子薄膜を支持すると共に、速やかに水に溶解する性質を有することが好ましい。
この理由は、図2(a)に示す態様のシート状積層体は、剥離シートから高分子薄膜および水溶性高分子支持膜の積層体を剥離し、水溶性高分子支持膜によって補強された状態の高分子薄膜を、そのまま適用対象物に対して適用し、水溶性高分子支持膜は水に溶解させて除去することを主な使用態様としているためである。
したがって、適用対象物にそのまま水溶性高分子支持膜が残留すると、高分子薄膜が有する適用対象物への強固な密着性等の特性を十分に発揮させることが困難になる場合がある。
このような理由から、水溶性高分子膜の材料物質は、臓器創傷面や角膜等の生体組織、表皮などへの密着性を向上させる等の特定の機能を有するか、もしくは、所定の強度と水溶性を有する水溶性高分子であれば、特に限定されるものではなく、従来公知のものを用いることができるが、適用対象物が生体組織などである場合には、生体に対し無害であるものがより好ましい。
なお、本発明において「水溶性」とは、水、あるいは、アルコール類の水溶液等に可溶であることをいい、実用的には、生理食塩水に可溶であることが好ましい。
また、具体的な水溶性高分子としては、例えば、ヒアルロン酸誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
この理由は、これらの水溶性高分子であれば、生体適合性があり、汎用性があるためである。
(2)厚み
また、水溶性高分子膜の厚みを20nm〜500μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、水溶性高分子膜の厚みをかかる範囲内の値とすることにより、臓器創傷面や角膜等の生体組織、表皮などへの密着性を向上させる等の特定の機能を効果的に発揮することができるとともに、高分子薄膜を好適に補強することができる一方で、適用対象物に適用した際には、生理食塩水等によって速やかに溶解させることができるためである。
すなわち、水溶性高分子膜の厚みが20nm未満の値となると、水溶性高分子膜を均一に形成することが困難になる結果、臓器創傷面や角膜等の生体組織、表皮などへの密着性を向上させる等の特定の機能を効果的に発揮することが困難になったり、高分子薄膜を効果的に補強することが困難になったりする場合があるためである。一方、水溶性高分子膜の厚みが500μmを超えた値となると、適用対象物に適用した際に、速やかに溶解・除去させることが困難になる場合があるためである。
したがって、水溶性高分子膜の厚みを100nm〜400μmの範囲内の値とすることがより好ましく、1μm〜300μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態で説明したシート状積層体の製造方法であって、下記工程(a)〜(b)を含むことを特徴とするシート状積層体の製造方法である。
(a)剥離シートとして、少なくとも高分子薄膜が位置する側の表面が、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂を含むとともに、高分子薄膜が位置する側の表面における表面自由エネルギーを40mJ/m2以下の値とする剥離シートを準備する工程
(b)剥離シート上に、高分子薄膜形成用溶液を塗布し、厚みが5〜1000nmの範囲内の値である高分子薄膜を形成する工程
以下、本発明の第2の実施形態を、第1の実施形態と異なる点を中心に、図面を参照しつつ、具体的に説明する。
1.工程(a):剥離シートの準備工程
工程(a)は、第1の実施形態で説明した所定の剥離シートを準備する工程である。
以下、剥離シートが図1(a)に示すような単層の剥離シートである場合と、図1(b)に示すような基材上に剥離層を形成してなる剥離シートである場合と、について、それぞれ説明する。
(1)単層の場合
剥離シートが単層の場合の製造方法としては、特に限定されるものではないが、溶液キャスティング法または溶融押出法により成形することが好ましい。
より具体的には、溶液キャスティング法では、溶剤に溶解したポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂溶液を支持体、例えば、平滑な金属製エンドレスベルト、平滑な樹脂フィルム等の支持体上に塗布した後、塗膜を均一に加熱し乾燥させて成膜することにより基材のみからなる単層タイプの剥離シートが得られる。
また、溶融押出法では、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂を押出機に供給し、リップクリアランスを1mm以下、好ましくは0.7mm以下に調整したTダイからシート状に溶融押出し、樹脂のガラス転移点(Tg)±20℃の範囲に制御した鏡面冷却ロールと接触させて冷却固化することにより成形することにより基材のみからなる単層タイプの剥離シートが得られる。
なお、必要に応じて、得られた剥離シートに対して1軸延伸もしくは2軸延伸などの処理を施してもよい。
(2)剥離層を有する場合
(2)−1 剥離剤組成物の準備工程
かかる工程は、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹等を有機溶剤に溶解してなる剥離剤組成物を準備する工程である。
なお、剥離剤組成物については、第1の実施形態において既に説明したため、省略する。
(2)−2 剥離剤組成物の塗布工程
かかる工程は、基材における少なくとも一方の表面に対し、剥離剤組成物を塗布し、剥離剤組成物層を形成する工程である。
また、剥離剤組成物の塗布を、ロールツーロール法にて行うことが好ましい。
この理由は、ロールツーロール法であれば、剥離剤組成物層をより効率的に形成することができるためである。
より具体的には、ナイフコート法、ロールコート法、バーコート法、ブレードコート法、ダイコート法およびグラビアコート法等、従来公知の方法により行うことができる。
(2)−3 剥離剤組成物の硬化工程
かかる工程は、剥離剤組成物層を加熱・乾燥させて硬化させることにより剥離層とし、剥離シートを得る工程である。
また、剥離剤組成物層を硬化させる際の加熱・乾燥条件としては、特に限定されるものではないが、通常80〜150℃の温度条件で、15〜300秒間行うことが好ましい。
この理由は、加熱・乾燥温度が80℃未満の値となると、溶剤を乾燥させるのに時間がかかり過ぎたり、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂の架橋が不十分になったりする場合があるためである。一方、加熱・乾燥温度が150℃を超えた値となると、剥離シートが熱変形しやすくなる場合があるためである。
また、加熱・乾燥時間が15秒未満の値となると、溶剤が残留したり、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂の架橋が不十分になったりする場合があるためである。一方、加熱・乾燥時間が300秒を超えた値となると、剥離シートが熱変形しやすくなる場合があるためである。
したがって、剥離剤組成物層を硬化させる際の加熱・乾燥条件を、90〜140℃の温度条件で、30〜180秒間とすることがより好ましく、95〜130℃の温度条件で、45〜120秒間とすることがさらに好ましい。
なお、より確実に硬化させる観点から、常温環境下において2〜14日、より好ましくは4〜7日のシーズニング期間を設けることが好ましい。
2.工程(b):高分子薄膜の形成工程
工程(b)は、剥離シートにおける剥離層に対し、高分子薄膜形成用溶液を塗布した後、加熱・乾燥させ、高分子薄膜を形成し、シート状積層体を得る工程である。
(1)塗布方法
また、高分子薄膜形成用溶液の塗布を、ロールツーロール法にて行うことが好ましい。
この理由は、ロールツーロール法であれば、所定の厚みを有する高分子薄膜を、より効率的に形成することができることから、シート状積層体をより効率よく大量生産することができるためである。
また、ロールツーロール法を実施するにあたり、特に、バーコータ、リバースグラビアコータまたはスロットダイコータを用いて行うことが好ましい。
この理由は、これらの塗布装置であれば、所定の厚みを有する高分子薄膜を、さらに効率的に形成することができるためである。
すなわち、バーコータ、リバースグラビアコータおよびスロットダイコータであれば、ナノメートルオーダーの高分子薄膜を、その表面に皺を発生させることなく、かつ、均一な厚みでべた塗りすることができ、しかも、構造が簡単である上、経済性にも優れるためである。
ここで、リバースグラビアコータについて、図3(a)および(b)を参照しつつ、大まかに説明する。
すなわち、図3(a)には、リバースグラビアコータ100の斜視図が示してあり、図3(b)には、リバースグラビアコータ100を矢印A方向に沿って見た場合の断面図が示してある。
図3(a)〜(b)に示すように、リバースグラビアコータ100は、原反ロール(図示せず)から繰り出されて巻取りロール(図示せず)に巻き取られる剥離シート2を、一定方向(矢印B)に沿って所定のスピードで走行させるための少なくとも1対のガイドロール(102、104)を備えている。
また、かかる少なくとも一対のガイドロール(102、104)の間で走行している剥離シート2に対して、塗布液供給パン106に収容された塗布液(図示せず)を、掻き揚げながら塗布するためのグラビアロール108を備えている。
また、かかるグラビアロール108は、通常、直径が50mm程度、長軸方向の長さが1700mm程度であり、グラビアパターンは彫刻などによって刻設されている。グラビアの線数は、特に限定されないが、15〜200#のものを使用することが好ましい。
そして、かかるグラビアロール108は、グラビアロール用駆動原(図示せず)によって、剥離シート2の走行方向とは逆方向に回転しながら、剥離シート2に対して塗布液を塗布することになる。
また、グラビアロール108には、ドクターブレード110が当接させてあり、これによりグラビアロール108に付着した余分な塗布液を掻き取ることができるため、ナノメートルオーダーの高分子薄膜を安定的に形成することができる。
また、高分子薄膜の厚みの調整は、高分子薄膜形成用溶液の濃度および粘度、並びにグラビアの線数と走行スピードを調整することにより行うことができる。
また、リバースグラビアコータを用いる場合における高分子薄膜形成用溶液の粘度(測定温度:25℃)は、1〜200mPa・sの範囲内の値とすることが好ましい。
また、リバースグラビアコータにおける剥離シートの走行スピードは、特に制限されないが、0.1〜100m/分の範囲内の値とすることが好ましい。
次いで、スロットダイコータについて、図4(a)および(b)を参照しつつ、大まかに説明する。
すなわち、図4(a)には、スロットダイコータ200の斜視図が示してあり、図4(b)には、スロットダイコータを矢印Aに沿って見た場合の断面図が示してある。
図4(a)〜(b)に示すように、スロットダイコータ200は、原反ロール(図示せず)から繰り出されて巻取りロール(図示せず)に巻き取られる剥離シート2を、一定方向(矢印B)に沿って所定のスピードで走行させるための少なくとも1対のガイドロール(202、204)を備えている。
また、かかる少なくとも一対のガイドロール(202、204)の間で走行している剥離シート2に対して、塗布液タンク206から、ポンプ208による加圧によって供給される塗布液(図示せず)を塗布するためのスロット210を備えている。
また、かかるスロット210は、剥離シート2の走行方向における上流側および下流側に互いに対向するように設けられたダイリップ(212、214)を備えており、かかるダイリップ(212、214)の隙間から、剥離シート2に塗布液が供給され、塗布することになる。
また、スロットダイコータにおける剥離シートの走行スピードは、特に制限されないが、0.1〜100m/分の範囲内の値とすることが好ましい。
また、高分子薄膜の厚みの調整は、高分子薄膜形成用溶液の濃度および粘度、並びにダイリップからの吐出量と剥離シートの走行スピードを調整することにより行うことができる。
また、スロットダイコータを用いる場合における高分子薄膜形成用溶液の粘度(測定温度:25℃)は、1〜500mPa・sの範囲内の値とすることが好ましい。
(2)高分子薄膜形成用溶液
(2)−1 高分子薄膜形成用溶液の材料物質
また、高分子薄膜形成用溶液における溶質としての高分子薄膜形成用の材料物質としては、第1の実施形態において既に説明したため、省略する。
(2)−2 溶剤
また、高分子薄膜形成用溶液における溶剤の種類としては、高分子薄膜形成用の材料物質を溶解、または均一に分散でき、加熱により揮発するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジクロロメタン、クロロホルム、および四塩化炭素などが好ましい。
また、溶剤の沸点としては、30〜120℃の範囲内の値とすることが好ましく、35〜80℃の範囲内の値とすることがより好ましい。
(2)−3 溶液の濃度
また、高分子薄膜形成用溶液の濃度を0.1〜20重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、高分子薄膜形成用溶液の濃度が0.1重量%未満の値となると、必要な厚みが得られなくなる場合や溶液の粘度が最適にならない場合があるためである。一方、高分子薄膜形成用溶液の濃度が20重量%を超えた値となると、均一な塗膜が得られなくなる場合があるためである。
したがって、高分子薄膜形成用溶液の濃度を0.3〜15重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜10重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(2)−4 溶液の粘度
また、高分子薄膜形成用溶液の粘度(測定温度:25℃)を1〜500mPa・sの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、高分子薄膜形成用溶液の粘度が1mPa・s未満の値となると、塗膜のハジキが発生する場合があるためである。一方、高分子薄膜形成用溶液の粘度が500mPa・sを超えた値となると、均一な塗膜が得られなくなる場合があるためである。
したがって、高分子薄膜形成用溶液の粘度(測定温度:25℃)を2〜400mPa・sの範囲内の値とすることがより好ましく、3〜300mPa・sの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、高分子薄膜形成用溶液の粘度は、JIS K7117−1の4.1(ブルックフィールド型回転粘度計)に準拠して測定されたものである。
(2)−5 乾燥条件
また、剥離シート上に形成された高分子薄膜形成用溶液の塗布層を、高分子薄膜とするための乾燥条件としては、特に限定されるものではないが、通常40〜120℃の温度条件で、6〜300秒間行うことが好ましい。
この理由は、乾燥温度が40℃未満の値となると、乾燥に時間がかかり過ぎたり乾燥不足になったりする場合があるためである。一方、乾燥温度が120℃を超えた値となると、皺やカールが生じたりする場合があるためである。
また、乾燥時間が6秒未満の値となると、乾燥不足になる場合があるためである。一方、乾燥時間が300秒を超えた値となると、皺やカールが生じたりする場合があるためである。
したがって、高分子薄膜形成用溶液の塗布層を高分子薄膜とするための乾燥条件を、50〜110℃の温度条件で、12〜180秒間とすることがより好ましく、60〜100℃の温度条件で、18〜120秒間とすることがさらに好ましい。
3.水溶性高分子膜の形成工程
かかる工程は、図1(c)や図2(a)に示すように、高分子薄膜4における剥離シート2とは反対側の面に、水溶性高分子膜6(6a、6b)を積層してなるシート状積層体10´(10a´、10b´)を製造する際に必要となる工程である。
すなわち、工程(b)で得られた高分子薄膜上に、水溶性高分子溶液を塗布し、水溶性高分子膜を形成する工程である。
(1)塗布方法
また、水溶性高分子溶液の塗布を、ロールツーロール法にて行うことが好ましい。
この理由は、ロールツーロール法であれば、所定の厚みを有する水溶性高分子膜を、より効率的に形成することができるためである。
より具体的には、ナイフコート法、ロールコート法、バーコート法、ブレードコート法、ダイコート法およびグラビアコート法等、従来公知の方法により行うことができる。
(2)水溶性高分子溶液
(2)−1 水溶性高分子
また、水溶性高分子溶液における溶質としての水溶性高分子としては、第1の実施形態において既に説明したため、省略する。
(2)−2 溶剤
また、水溶性高分子溶液における溶剤の種類としては、水溶性高分子溶液を溶解または均一に分散できるものであれば、特に限定されるものではないが、水、あるいは、アルコール類の水溶液等からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
(2)−3 溶液の濃度
また、水溶性高分子溶液の濃度を0.1〜20重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、水溶性高分子溶液の濃度が0.1重量%未満の値となると、必要な厚みが得られなくなる場合があるためである。一方、水溶性高分子溶液の濃度が20重量%を超えた値となると、均一な塗膜が得られなくなる場合があるためである。
したがって、水溶性高分子溶液の濃度を0.5〜15重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜10重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(2)−4 溶液の粘度
また、水溶性高分子溶液の粘度(測定温度:25℃)を1〜500mPa・sの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、水溶性高分子溶液の粘度が1mPa・s未満の値となると、塗膜のハジキが発生する場合があるためである。一方、水溶性高分子溶液の粘度が500mPa・sを超えた値となると、均一な塗膜が得られなくなる場合があるためである。
したがって、水溶性高分子溶液の粘度(測定温度:25℃)を2〜400mPa・sの範囲内の値とすることがより好ましく、3〜300mPa・sの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、水溶性高分子溶液の粘度は、JIS K7117−1の4.1(ブルックフィールド型回転粘度計)に準拠して測定されたものである。
(2)−5 乾燥条件
また、高分子薄膜上に形成された水溶性高分子溶液の塗布層を、水溶性高分子膜とするための乾燥条件としては、特に限定されるものではないが、通常40〜120℃の温度条件で、6〜1200秒間行うことが好ましい。
この理由は、乾燥温度が40℃未満の値となると、乾燥に時間がかかり過ぎたり乾燥不足となったりする場合があるためである。一方、乾燥温度が120℃を超えた値となると、皺やカールが生じたりする場合があるためである。
また、乾燥時間が6秒未満の値となると、乾燥不足になる場合があるためである。一方、乾燥時間が1200秒を超えた値となると、皺やカールが生じたりする場合があるためである。
したがって、水溶性高分子溶液の塗布層を水溶性高分子膜とするための乾燥条件としては、50〜110℃の温度条件で、12〜600秒間とすることがより好ましく、60〜100℃の温度条件で、18〜480秒間とすることがさらに好ましい。
以下、実施例を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
1.シート状積層体の製造方法
(1)剥離シートの準備
基材のみからなる剥離シートとして、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂シート(三井化学東セロ株式会社製、オピュラン X−88B #50、厚み50μm、融点235℃)を準備した。
(2)高分子薄膜形成用溶液の調製
重量平均分子量が180,000であるポリDL乳酸(PURAC株式会社製、PURASORB20)を酢酸エチルに溶解し、固形分濃度3重量%、25℃における粘度7.1mPa・sの高分子薄膜形成用溶液を調製した。
(3)高分子薄膜の形成
次いで、リバースグラビアコータ(株式会社廉井精機製、μコータ)を用いて、準備した剥離シートの上面に対し、得られた高分子薄膜形成用溶液を塗布した後、100℃で60秒間乾燥させ、厚み200nmの高分子薄膜を形成し、シート状積層体を得た。
このとき、使用したリバースグラビアコータにおけるグラビアロールは、線数150#、直径20mm、長軸方向の長さが300mmであり、剥離シートの走行スピードは1m/分であり、グラビアロールの回転速度は160rpmであった。
2.評価
(1)表面自由エネルギーの測定
得られた剥離シートの剥離層面における表面自由エネルギーを、各種液滴の接触角(測定温度:25℃)を測定し、その値を基に北崎・畑理論により求めた。
すなわち、「分散成分」としてのジヨードメタン、「双極子成分」としての1−ブロモナフタレン、「水素結合成分」としての蒸留水を液滴として使用し、協和界面科学株式会社製、DM−70を用いて、静滴法により、JIS R3257に準拠して接触角(測定温度:25℃)を測定し、その値を基に北崎・畑理論により、表面自由エネルギー(mJ/m2)を求めた。得られた結果を表1に示す。
(2)塗布適性評価
得られた剥離シートに対する高分子薄膜形成用溶液の塗布適性を評価した。
すなわち、剥離シートの上面に対し、高分子薄膜形成用溶液(固形分濃度3重量%)を、マイヤーバーを用いて塗布し、乾燥前の厚みが約6μmの塗膜を形成した。
次いで、得られた塗膜におけるハジキを目視にて観察し、下記基準に沿って評価し、塗布適性の評価とした。得られた結果を表1に示す。
○:高分子薄膜形成用溶液の塗膜において、塗布後にハジキが観察されなかった
×:高分子薄膜形成用溶液の塗膜において、塗布後にハジキが観察された
(3)耐ブロッキング性
得られた剥離シートにおける耐ブロッキング性を評価した。
すなわち、得られた剥離シート2枚を、一方の剥離シートの表面(高分子薄膜が位置する側の表面)と他方の剥離シートの裏面(高分子薄膜が位置する側とは反対側の表面)とが対向するように積層し、さらにそれを台紙で挟持した後、台紙の上から10kg/cm2の圧力をかけた状態で、23℃、相対湿度50%RHの環境下で24時間静置した。
次いで、2枚の剥離シートを離間して、表面と、裏面を互いに剥離する際のブロッキングの有無を下記基準に沿って評価し、耐ブロッキング性の評価とした。得られた結果を表1に示す。
○:表面と裏面を互いに剥離する際にタックが認められない
×:表面と裏面を互いに剥離することができない、もしくは表面と裏面を互いに剥離することはできたが、積層した2枚の剥離シートのうち一方の剥離シートを横方向にずらした際に、微小なブロッキングによる抵抗があった
(4)剥離性評価
(4)−1 剥離力の測定
得られたシート状積層体における、剥離シートから高分子薄膜を剥離する際の剥離力を測定した。
すなわち、シート状積層体における高分子薄膜に対して粘着テープ(日東電工株式会社製、No.31B)を貼合した後、粘着テープが貼合された状態の高分子薄膜を剥離シートから180°剥離する際の剥離力(mN/25mm)を測定した。得られた結果を表1に示す。
(4)−2 剥離安定性の評価
得られたシート状積層体における、剥離シートから高分子薄膜を剥離する際の剥離安定性を評価した。
すなわち、シート状積層体を10mm×10mmのサイズに裁断し、高分子薄膜の端部をピンセットでつまんで剥離シートから剥離した際に、実際に剥離することができた面積の割合を測定し、下記基準に沿って評価し、剥離安定性の評価とした。得られた結果を表1に示す。
○:剥離シートから剥離することができた高分子薄膜の面積が、10mm×10mmに対して80%以上の値である
△:剥離シートから剥離することができた高分子薄膜の面積が、10mm×10mmに対して60〜80%未満の値である
×:剥離シートから剥離することができた高分子薄膜の面積が、10mm×10mmに対して60%未満の値である
(5)メラミン系樹脂の使用の有無
得られたシート状積層体における安全性の指標の1つとして、ホルムアルデヒドの発生源となり得るメラミン系樹脂の使用の有無を、下記基準に沿って評価した。
○:メラミン系樹脂を使用していない
×:メラミン系樹脂を使用している
[実施例2]
実施例2では、剥離シートとして、以下のようにして製造した剥離シートを用い、剥離層を有する側の面を高分子薄膜が位置する側の表面としたほかは、実施例1と同様にシート状積層体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
1.剥離剤組成物の調製
カルボキシル基を有するポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂(三井化学株式会社製、融点180℃)100重量部を、メチルシクロヘキサン/酢酸エチル=80/20の混合溶媒900重量部に溶解させた溶液(固形分10重量%)に対し、脂肪族ポリイソシアネート化合物としての1,5−ペンタメチレンジイソシアネートがイソシアヌレート環を形成した化合物であるイソシアヌレート化合物(三井化学株式会社製、スタビオD−370N、固形分100重量%)10重量部を添加した後、トルエン/n−ヘプタン混合溶媒にて固形分濃度5.0重量%に希釈し、剥離剤組成物を調製した。
2.剥離層の形成
次いで、マイヤーバーを用いて、基材としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂株式会社製、ダイアホイルT100、厚み38μm)の表面に対し、得られた剥離剤組成物を塗布した後、100℃で60秒間加熱・乾燥させて硬化することにより厚み500nmの剥離層とし、剥離シートを得た。
[実施例3]
実施例3では、剥離シートを製造する際に、基材をポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂株式会社製、ダイアホイルT100、厚み50μm)に変えたほかは、実施例2と同様にシート状積層体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例4では、剥離剤組成物を調製する際に、ポリイソシアネート化合物の添加量を20重量部に変えたほかは、実施例2と同様にシート状積層体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例5では、剥離層を形成する際に、剥離層の厚みを300nmに変えたほかは、実施例2と同様にシート状積層体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例6では、剥離剤組成物を調製する際に、カルボキシル基を有するポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂(三井化学株式会社製、融点180℃)を、カルボキシル基を有するポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂(融点140℃)に変えたほかは、実施例2と同様にシート状積層体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例7]
実施例7では、剥離剤組成物を調製する際に、ポリイソシアネート化合物の添加量を30重量部に変えたほかは、実施例2と同様にシート状積層体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例8]
実施例8では、剥離シートとして、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂シート(三井化学東セロ株式会社製、オピュラン X−88B #50、厚み50μm、融点235℃)の表面に以下の条件にてプラズマ照射し、プラズマ照射をした側を高分子薄膜が位置する側の表面としたほかは、実施例1と同様にシート状積層体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
(プラズマ照射条件)
プラズマ装置:ヤマト科学株式会社製、製品名「Plasma Cleaner PDC 210」
反応ガス :アルゴン10cc、酸素2cc
出力 :100W
処理時間 :5秒
[比較例1]
比較例1では、剥離シートとして、ポリエステル系易接着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績株式会社製、コスモシャインA4100、厚み50μm)を用い、易接着層を高分子薄膜が位置する側の表面としたほかは、実施例1と同様にシート状積層体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例2]
比較例2では、剥離シートとして、ポリエステル系易接着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績株式会社製、コスモシャインA4100、厚み50μm)を用い、易接着層を有さない側の面を高分子薄膜が位置する側の表面としたほかは、実施例1と同様にシート状積層体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例3]
比較例3では、剥離シートとして、シリコーン系剥離処理ポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック株式会社製、SP−PET381031、厚み38μm)を用い、剥離剤層側の面を高分子薄膜が位置する側の表面としたほかは、実施例1と同様にシート状積層体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例4]
比較例4では、剥離シートとして、アルキド系剥離処理ポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック株式会社製、SP−PFS50 AL−5、厚み38μm)を用い、剥離剤層側の面を高分子薄膜が位置する側の表面としたほかは、実施例1と同様にシート状積層体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例5]
比較例5では、剥離シートとして、脂環式ポリオレフィンフィルム(日本ゼオン株式会社製、ZF14−040、厚み40μm)を用いたほかは、実施例1と同様にシート状積層体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
以上、詳述したように、本発明のシート状積層体によれば、所定厚みの高分子薄膜を剥離シート上に積層してなるシート状積層体において、少なくとも高分子薄膜が位置する側の表面に所定の樹脂を含み、かつ、所定の表面特性を満足する剥離シートを用いることにより、高分子薄膜を剥離シートから剥離する際の剥離性に優れるばかりでなく、剥離した高分子薄膜を人体に適用した際の安全性に優れ、かつ、大量生産に適したシート状積層体が得られるようになった。
したがって、本発明のシート状積層体等は、高分子薄膜の高品質化ばかりでなく、高分子薄膜を用いた医療用品等の高品質化および生産効率の向上に著しく寄与することが期待される。
2:剥離シート、2a:基材、2b:剥離層、4:高分子薄膜、6:水溶性高分子膜、6a:水溶性機能性膜、6b:水溶性高分子支持膜、10:シート状積層体、12:生理食塩水、50:適用対象物、100:リバースグラビアコータ、102:ガイドロール、104:ガイドロール、106:塗布液供給パン、108:グラビアロール、110:ドクターブレード、200:スロットダイコータ、202:ガイドロール、204:ガイドロール、206:塗布液タンク、208:ポンプ、210:スロット、212:ダイリップ、214:ダイリップ

Claims (8)

  1. 剥離シート上に、非水溶性高分子を含む高分子からなる高分子薄膜を積層してなるシート状積層体であ前記シート状積層体から前記高分子薄膜のみを剥離して使用できるシート状積層体であって、
    前記剥離シートにおける少なくとも前記高分子薄膜が位置する側の表面が、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂を含むとともに、
    前記剥離シートにおける前記高分子薄膜が位置する側の表面における表面自由エネルギーを40mJ/m以下の値とし、かつ、
    前記高分子薄膜の厚みを5〜1000nmの範囲内の値とすることを特徴とするシート状積層体。
  2. 前記剥離シートにおける前記高分子薄膜が位置する側の表面における表面自由エネルギーを20mJ/m以上の値とすることを特徴とする請求項1に記載のシート状積層体。
  3. 前記剥離シートが、単層の剥離シートであることを特徴とする請求項1または2に記載のシート状積層体。
  4. 前記剥離シートが、基材と、当該基材における前記高分子薄膜が位置する側の表面に形成された剥離層と、を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のシート状積層体。
  5. 前記基材の厚みを10〜200μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項に記載のシート状積層体。
  6. 前記非水溶性高分子が、ポリ乳酸、乳酸共重合体、ポリラクトンおよびラクトン共重合体からなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のシート状積層体。
  7. 前記請求項1〜に記載のシート状積層体の製造方法であって、
    下記工程(a)〜(b)を含むことを特徴とするシート状積層体の製造方法。
    (a)前記剥離シートとして、少なくとも前記高分子薄膜が位置する側の表面が、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂を含むとともに、前記高分子薄膜が位置する側の表面における表面自由エネルギーを40mJ/m以下の値とする剥離シートを準備する工程
    (b)前記剥離シート上に、高分子薄膜形成用溶液を塗布し、厚みが5〜1000nmの範囲内の値である前記高分子薄膜を形成する工程
  8. 前記工程(b)を、ロールツーロール法にて行うことを特徴とする請求項に記載のシート状積層体の製造方法。
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