JP6631877B2 - 抗老化剤 - Google Patents

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Description

本発明は、天然物由来素材又は該天然物由来素材の加工物を有効成分として含有する、最終糖化産物と最終糖化産物受容体との結合を阻害する作用による抗老化剤に関する。
また、上記天然由来素材のうち、ターミナリアと、大麦若葉又は長命草とを含有する呈味が改善された組成物に関する。
アミノ酸、ペプチド、タンパク質などのアミノ化合物と還元糖とが反応して褐色性物質(メラノイジン)を生成する反応をメイラード反応といい、このメイラード反応の最終産物として生成する物質を最終糖化産物(Advanced Glycation End products;AGEs)という。
最終糖化産物の具体例としては、イミダゾロン、Nε−カルボキシメチルリシン、ペントシジン、ピラリン、クロスリン、Nε−カルボキシエチルリシン、メチルグリオキサールリシンダイマー、グリオキサールリシンダイマーなどがある。
最終糖化産物が生体内で蓄積すると様々な悪影響を及ぼし、例えば、しみ、しわやくすみなどの皮膚疾患、心筋梗塞、脳梗塞、骨粗鬆症、アルツハイマー病、関節リウマチ、糖尿病性血管障害、白内障などの老化症状をもたらす。このようなAGEの生成を抑制する作用を有する天然物由来のものとしては、マメ科ディアリウムインダムの果皮抽出物が知られている(特許文献1参照)。
特開2010−111615号公報
しかし、特許文献1に記載されているような、これまでに知られている最終糖化産物の生成を抑制する作用を有する天然物由来素材又は天然物由来素材の加工物は限られている。
また、特許文献1に記載の果皮抽出物は最終糖化産物を生体内での生成を抑制し得るが、発生した最終糖化産物の生体内での悪影響を阻止し老化症状を防ぐことは困難である。
そこで、本発明は、最終糖化産物による生体内での悪影響を阻止し得る、天然物由来素材を含有する抗老化剤を提供することを発明が解決しようとする課題とする。
また、上記天然物由来素材の一種であるターミナリアは、独特の苦みと渋みがあり、摂取する形態がタブレットなどの味を感じにくいものに限定されている。そこで、ターミナリアの味を改善し、ターミナリアを含有する食品を多様な形態で提供することを発明が解決しようとする課題とする。さらに現代において社会問題となっている肥満を予防するための食品を提供することを発明が解決しようとする課題とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意研究を積み重ねた結果、最終糖化産物に結合する最終糖化産物受容体(Receptor for AGE;RAGE)に着眼するに至った。そして、最終糖化産物と最終糖化産物受容体との結合を阻害することができれば、最終糖化産物による生体内での悪影響を阻止し、抗老化作用が得られるのではないかという考えに行き着いた。このような考えに基づいて、種々の天然物由来素材の中から、最終糖化産物−最終糖化産物受容体間結合阻害作用を示すものを見出すために試行錯誤した結果、特定の天然物由来素材及び天然物由来素材の加工物が最終糖化産物受容体に対して拮抗阻害作用を示すことから、これらを有効成分として含有することにより、最終糖化産物と最終糖化産物受容体との結合を阻害する作用を示す抗老化剤を創作することに成功した。本発明は、この成功例に基づき、完成された発明である。
さらに本発明者らは、鋭意研究を積み重ねた結果、ターミナリアを他の天然物由来素材と組み合わせるという発想に至った。そして、ターミナリアと種々の天然物由来素材との組み合わせで良好な味を示すものを見出すために試行錯誤した結果、ターミナリアと大麦若葉、又はターミナリアと長命草を組み合わせた組成物が良好な味を示すことを見出した。また、ターミナリアと大麦若葉とを組み合わせて摂取することにより、体重増加抑制作用を示すことを見出し、本発明を完成させた。
したがって、本発明によれば、松樹皮、こごみ、ターミナリア、こはぜ、葛の花、桑の葉、甘藷、よもぎ、黒生姜、長命草及び大麦若葉からなる群から選ばれる少なくとも1種の有効成分を含有する、最終糖化産物と最終糖化産物受容体との結合の阻害作用による抗老化剤が提供される。
本発明の別の側面によれば、松樹皮、こごみ、ターミナリア、こはぜ、葛の花、桑の葉、甘藷、よもぎ、黒生姜、長命草及び大麦若葉からなる群から選ばれる少なくとも1種の有効成分を含有する、最終糖化産物受容体活性化阻害作用による抗老化剤が提供される。
本発明の別の側面によれば、松樹皮、こごみ、ターミナリア、こはぜ、葛の花、桑の葉、甘藷、よもぎ、黒生姜、長命草及び大麦若葉からなる群から選ばれる少なくとも1種の有効成分を含有する、最終糖化産物受容体発現抑制作用による抗老化剤が提供される。
本発明の別の側面によれば、松樹皮、こごみ、ターミナリア、こはぜ、葛の花、桑の葉、甘藷、よもぎ、黒生姜、長命草及び大麦若葉からなる群から選ばれる少なくとも1種の有効成分又はこれらを含有する組成物を使用させることを含む、最終糖化産物と最終糖化産物受容体との結合を阻害する方法(ただし、ヒトに対する医療行為を除く)が提供される。
本発明の別の側面によれば、ターミナリアと、大麦若葉又は長命草とを含有することを特徴とする組成物が提供される。
本発明の別の側面によれば、ターミナリアと、大麦若葉又は長命草とを含有することを特徴とする粉末飲料組成物が提供される。
本発明の別の側面によれば、ターミナリアと大麦若葉と長命草とを含有することを特徴とする組成物が提供される。
本発明の別の側面によれば、ターミナリアと大麦若葉と長命草とを含有することを特徴とする粉末飲料組成物が提供される。
本発明によれば、特定の天然物由来素材又は特定の天然物由来素材の加工物を利用することにより、最終糖化産物受容体と最終糖化産物受容体との結合を阻害して、最終糖化産物による生体内での悪影響を阻止することが可能である。したがって、本発明によれば、しみ、しわやくすみなどの皮膚疾患、心筋梗塞、脳梗塞、骨粗鬆症、アルツハイマー病、関節リウマチ、糖尿病性血管障害、白内障などの老化症状を緩和、改善、抑制、予防及び治療することなどが期待できる。
さらに本発明によれば、独特の苦みや渋みがあるターミナリアを、良好な味で摂取することが可能である。したがって、本発明により、ターミナリアを含む健康飲食品を、飲料、菓子、調味料などの様々な形態で提供することが可能となる。また、ターミナリアと大麦若葉とを組み合わせることで、肥満を予防するための健康食品を提供することが可能となる。
実施例に記載のAGE−RAGE結合阻害評価の結果を示した図である。
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明の抗老化剤は、松樹皮、こごみ、ターミナリア、こはぜ、葛の花、桑の葉、甘藷、よもぎ、黒生姜、長命草及び大麦若葉のいずれか1種又はそれらを組み合わせた2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種若しくは全種の有効成分(以下、これらを総称して有効成分とよぶ場合がある。)を含有する。
松樹皮は天然物である松の樹皮であれば特に限定されない。松樹皮としては、例えば、フランス海岸松、カラマツ、クロマツ、アカマツ、ヒメコマツ、ゴヨウマツ、チョウセンマツ、ハイマツ、リュウキュウマツ、ウツクシマツ、ダイオウマツ、シロマツ、カナダのケベック地方のアネダなどのマツ目に属する植物の樹皮が挙げられるが、これらに限定されない。これらの中でも、食用として安全性が確認されている観点から、南仏の大西洋沿岸などに生育している海洋性松であるフランス海岸松(Pinus maritima)の樹皮が好ましい。
こごみは多年生シダの一種であるイワデンダ科植物又はメシダ科植物であるクサソテツ(Matteuccia struthiopteris)の若芽であれば特に限定されない。
ターミナリアは、Terminalia属の植物であれば特に限定されず、例えば、Terminalia belliricaTerminalia belericaTerminalia catappaTerminalia tomentosaTerminalia citrinaTerminalia phellocarpaTerminalia copelandiiTerminalia brassiTerminalia ivorensisTerminalia superbaTerminalia arjunaTerminalia chebulaなどが挙げられる。本発明においては、ターミナリア・ベリリカ(Terminalia bellirica)が好ましく用いられる。ターミナリアは、全体を用いてもいずれの部位を用いても良いが、種子を除く部位が好ましく、果実の種子を除く部位(果皮及び果肉部)がより好ましく用いられる。
こはぜはツツジ科スノキ属の植物であり、他にナツハゼなどとも呼ばれているものであれば特に限定されない。こはぜは、全体を用いてもいずれの部位を用いても良いが、果実の種子を除く部位(果皮及び果肉部)が好ましく用いられる。
葛の花は葛植物の花部であれば特に限定されない。葛植物とは、通常知られているとおりのマメ科クズ属のつる性多年生植物であり、日本、中国、台湾、東南アジアなどに分布することが知られている。葛植物の種類は特に限定されず、例えば、プエラリア・トムソニイ(Pueraria thomsonii)、プエラリア・ロバータ(Pueraria lobata)、プエラリア・スンバーギアナ(Pueraria thunbergiana)などが挙げられ、飲食品の原料として用いられているという観点から、プエラリア・トムソニイが好ましい。葛花は、いかなる開花の段階で採集された葛花であってもよいが、テクトリゲニン類が豊富に存在するという観点から、全開する前の蕾の段階で採集された葛花であることが好ましい。
桑の葉はクワ科(Moraceae)植物の葉であれば特に限定されず、摘採した後に嫌気条件に置かれて処理された桑の葉が好ましい(特開平9−135671号公報を参照)。
甘藷はヒルガオ科に属する植物をいい、一般にサツマイモと呼ばれるものであれば特に限定されない。甘藷の品種は、特に限定されない。例えば、すいおう、ジョイホワイト、コガネセンガン、シロユタカ、サツマスターチ、アヤムラサキなどの品種が挙げられる。なかでも、ポリフェノール含有量が高いすいおうが好ましい。甘藷は、全体を用いてもいずれの部位を用いても良いが、茎葉が好ましく、茎葉の先端部分(若茎葉)がより好ましく、黄味がかった緑色を保持している状態の若茎葉がさらに好ましい。
よもぎはキク科ヨモギ属に属する植物であれば特に限定されず、例えば、ヨモギ、ニガヨモギ、タラゴン、ニトロフヨモギ、オニオトコヨモギ、カワラヨモギ、オトコヨモギ、ハマヨモギ、カワラニンジン、クソニンジン、イヌヨモギ、ミヤマオトコヨモギ、エゾハハコヨモギ、サマニヨモギ、タカネヨモギ、ハハコヨモギ、シコタンヨモギ、シロヨモギ、イワヨモギ、ヒメヨモギ、ワタヨモギ、ケショウヨモギ、ヒトツバヨモギ、チシマヨモギ、ヒロハウラジロヨモギ、ヒロハヤマヨモギ、ユキヨモギ、ヤブヨモギ、オオヨモギ、ニシヨモギ、アサギリソウ、キタダケヨモギなどの品種が挙げられる。よもぎは、全体を用いてもいずれの部位を用いても良いが、例えば、花、花穂、茎、葉、枝、枝葉、根茎、根、種子などを用いても良い。
黒生姜(Kaempferia parviflora)は、東南アジアなどに自生することで知られているショウガ科バンウコン属の植物であれば特に限定されない。黒生姜の使用部位は、所望の薬理作用に寄与する成分を含有する部位であれば特に限定されず、例えば、全体、根、葉、茎、花、枝、根茎などが挙げられるが、好ましくは5,7−ジメトキシフラボン(57DMF)などのポリメトキシフラボノイド(PMF)を多く含有する根茎である。
長命草は学名がPeucedanum japonicum又はPeucedanum japonicum Thunb.であるものであれば特に限定されず、地方によってボタンボウフウ、チョーメイソウ、チョーメイグサ、チョミーフサ、ボーフー、サクナ、ウプバーサフナ、チョーミーグサ、牡丹防風などと呼ばれている。長命草は全体を用いてもいずれの部位を用いても良いが、例えば、葉、花、根などを用いることができるが、好ましくは葉が用いられる。
大麦(Hordeum vulgare L.)は中央アジア原産とされ、イネ科に属する一年生又は越年生草本であり、穂形により、二条大麦や六条大麦などに大別されるものであれば特に限定されない。大麦若葉は、大麦の葉が含まれていればよく、大麦の葉に加えて茎や根などの他の部位が含まれていてもよい。本発明に用いられる大麦若葉は、通常入手可能なものであれば特に限定されず、二条大麦や六条大麦などのいずれの大麦若葉を用いてもよい。また、いずれの品種の大麦若葉を用いてもよい。
有効成分となる天然物由来素材は、収穫直後のもの又は収穫後直ちに処理されたものであることが好ましい。処理までに時間を要する場合、天然物の変質を防ぐために低温貯蔵などの当業者が通常用いる貯蔵手段により貯蔵することが好ましい。
天然物由来素材は、天然物由来素材の加工物であってもよい。天然物由来素材の加工物としては、例えば、天然物由来素材の乾燥粉末、天然物由来素材の細片化物及びその乾燥粉末、天然物由来素材の搾汁及びその乾燥粉末、天然物由来素材の抽出物及びその乾燥粉末などが挙げられるが、これらに限定されない。ただし、加工、貯蔵、運搬などの容易性や使用形態の汎用性といった観点から、天然物由来素材の乾燥粉末及び天然物由来素材の抽出物の乾燥粉末であることが好ましい。例えば、桑の葉、甘藷、よもぎ、こごみ、ターミナリア、こはぜ、長命草及び大麦若葉は、それぞれ桑の葉の乾燥粉末、甘藷の若葉の乾燥粉末、よもぎの葉の乾燥粉末、こごみ(若芽)の乾燥粉末、ターミナリアの果皮及び果肉部の乾燥粉末、こはぜの果皮及び果肉部の乾燥粉末、長命草の葉の乾燥粉末、並びに大麦若葉の乾燥粉末であることが好ましい。また、松樹皮、葛の花及び黒生姜は、それぞれ松樹皮抽出物及びその乾燥粉末、葛の花抽出物及びその乾燥粉末、並びに黒生姜抽出物及びその乾燥粉末であることが好ましい。
例えば、天然物由来素材を乾燥粉末化するには従来公知の方法を用いることができる。そのような方法としては、天然物由来素材に対して、乾燥処理及び粉砕処理を組み合わせた方法を用いることができる。乾燥処理及び粉砕処理はいずれを先に行ってもよいが、乾燥処理を先に行うことが好ましい。乾燥粉末化は、この方法に、さらに必要に応じてブランチング処理、殺菌処理などの処理から選ばれる1種又は2種以上の処理を組み合わせてもよい。また、粉砕処理を行う回数は1回又は2回以上の処理を組み合わせてもよいが、粗粉砕処理を行った後に、より細かく粉砕する微粉砕処理を組み合わせることが好ましい。
ブランチング処理は天然物由来素材の緑色を鮮やかに保つための処理であり、ブランチング処理の方法としては、熱水処理や蒸煮処理などが挙げられる。
殺菌処理は当業者に通常知られている処理であれば特に限定されないが、例えば、温度、圧力、電磁波、薬剤などを用いて物理的又は化学的に微生物を殺滅させる処理であるということができる。乾燥処理及び粉砕処理に追加してブランチング処理を行う場合、ブランチング処理は乾燥処理の前に行われることが好ましい。また乾燥処理及び粉砕処理に追加して殺菌処理を行う場合、殺菌処理は、乾燥処理の後か、粉砕処理の前又は後に行われることが好ましい。
乾燥処理は特に限定されないが、例えば、天然物由来素材の水分含量が10%以下、好ましくは5%以下となるように乾燥する処理が挙げられる。乾燥処理は、例えば、熱風乾燥、高圧蒸気乾燥、電磁波乾燥、凍結乾燥などの当業者に公知の任意の方法により行われ得る。加熱による乾燥は、例えば、40℃〜140℃、好ましくは80℃〜130℃にて加温により天然物由来素材が変色しない温度及び時間で行われ得る。
粉砕処理は特に限定されないが、例えば、クラッシャー、ミル、ブレンダー、石臼などの粉砕用の機器や器具などを用いて、当業者が通常使用する任意の方法により植物体を粉砕する処理が挙げられる。粉砕された天然物由来素材は、必要に応じて篩にかけられ、例えば、30〜250メッシュを通過するものを天然物由来素材の粉末として用いることが好ましい。粒径が250メッシュ通過のもの以下とすることで、さらなる加工時に天然物由来素材の粉末が取り扱いやすくなり、粒径が30メッシュ通過以上のものとすることで、天然物由来素材の粉末と他の素材との均一な混合が容易になる。
具体的な乾燥粉末化の方法としては、例えば、天然物由来素材を切断した後、ブランチング処理を行い、次いで水分含量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥し、その後粉砕する方法が挙げられる。この他にも、例えば、天然物由来素材を切断した後、ブランチング処理を行い、次いで揉捻し、その後、乾燥し、粉砕する方法;天然物由来素材を乾燥し、粗粉砕した後、110℃以上で加熱し、さらに微粉砕する方法などが挙げられる。
天然物由来素材を細片化する方法は特に限定されないが、例えば、スライス、破砕、細断などの当業者が植物体を細片化する際に通常使用する方法を用いることができる。細片化の一例として、スラリー化してもよい。スラリー化は、天然物由来素材をミキサー、ジューサー、ブレンダー、マスコロイダーなどにかけ、天然物由来素材をどろどろした粥状(液体と固体との懸濁液)にすることにより行う。
天然物由来素材を搾汁する方法は特に限定されないが、例えば、天然物由来素材又はその細片化物を圧搾する方法、天然物由来素材の細片化物を遠心やろ過する方法などを挙げることができる。具体的な搾汁方法の例としては、ミキサー、ジューサーなどの機械的破砕手段によって搾汁し、必要に応じて、篩別、濾過などの手段によって粗固形分を除去することにより搾汁液を得る方法が挙げられる。
天然物由来素材の抽出物(エキス)を得る方法は特に限定されないが、例えば、天然物由来素材又はその細片化物に、エタノール、水、含水エタノールなどの当業者が通常用いる抽出溶媒を加え、必要に応じて攪拌や加温して抽出する方法などを挙げることができる。
抽出物は、必要に応じて濃縮してもよい。
天然物由来素材の抽出物を得る際に用いる抽出溶媒としては、例えば、水、有機溶媒、含水有機溶媒(含水エタノールなどの含水アルコール)が挙げられるが、これらに限定されない。水を溶媒に用いる場合には、温水又は熱水を用いてもよい。抽出に用いる有機溶媒としては、通常天然物成分を抽出するのに際して許容される有機溶媒が用いられ、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、ブタン、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、含水エタノール、含水プロピレングリコール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,2−トリクロロエテンなどが挙げられる。これらの溶媒は1種を単独で、又は2種以上を組合せて用いられ得る。これらの溶媒の中でも、熱水、含水エタノール及び含水プロピレングリコールが好ましく用いられる。
天然物由来素材の抽出方法は、通常通常天然物成分を抽出するのに際して許容される方法であれば特に限定されないが、例えば、加温抽出法、超臨界流体抽出法などの固液抽出法が挙げられる。
加温抽出法は、例えば、被験物質と溶媒とを接触させ、溶媒の沸点以下の温度などで処理して、被験物質に含まれる成分を溶媒に抽出する方法である。還流抽出法であってもよい。
超臨界流体抽出法は、例えば、物質の気液の臨界点(臨界温度、臨界圧力)を超えた状態の流体である超臨界流体を用いて抽出を行う方法である。超臨界流体としては、二酸化炭素、エチレン、プロパン、亜酸化窒素(笑気ガス)などが挙げられるが、好ましくは二酸化炭素である。
超臨界流体抽出法では、目的成分を超臨界流体によって抽出する抽出工程と、目的成分と超臨界流体を分離する分離工程とを行う。分離工程では、圧力変化による抽出分離、温度変化による抽出分離、吸着剤・吸収剤を用いた抽出分離のいずれを行ってもよい。
エントレーナー添加法による超臨界流体抽出を行ってもよい。この方法は、抽出流体に、例えば、エタノール、プロパノール、n−ヘキサン、アセトン、トルエン、その他の脂肪族低級アルコール類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン類を2〜20W/V%程度添加し、この流体を用いて超臨界流体抽出を行うことによって、目的とする抽出物の抽出溶媒に対する溶解度を飛躍的に上昇させる、又は分離の選択性を増強させる方法であり、効率的な天然物由来素材の抽出物を得ることができる。
超臨界流体抽出法は、比較的低い温度で操作できるため、高温で変質・分解する物質にも適用できるという利点、抽出流体が残留しないという利点、溶媒の循環利用が可能であるため、脱溶媒工程などが省略でき、工程がシンプルになるという利点がある。
天然物由来素材の抽出方法は、上述の抽出法以外に、液体二酸化炭素回分法、液体二酸化炭素還流法、超臨界二酸化炭素還流法などにより行ってもよい。また、複数の抽出方法を組み合わせてもよい。複数の抽出方法を組み合わせることにより、種々の組成の天然物由来素材の抽出物を得ることが可能となる。
抽出により得られた天然物由来素材の抽出物は、限外濾過、吸着性担体(ダイヤイオンHP−20、Sephadex−LH20、キチンなど)を用いたカラム法、バッチ法などにより精製を行うことが安全性の面から好ましい。
本発明において、有効成分として用いられる天然物由来素材及び天然物由来素材の加工物は市販されているものを用いてもよく、例えば、後述する実施例に記載されているものが挙げられる。
本発明の抗老化剤は、上記した有効成分を含有することにより、後述する実施例によって実証されているとおり、最終糖化産物と最終糖化産物受容体との結合の阻害作用を示し、もって抗老化効果を発揮することができる。本発明の抗老化剤に含有される有効成分は、最終糖化産物受容体に対して拮抗阻害作用を示す。
最終糖化産物受容体は、細胞表面分子である免疫グロブリンスーパーファミリーに属するパターン認識受容体として知られている。最終糖化産物が最終糖化産物受容体のN末端にある可変領域において認識されると、活性酸素種(ROS)の生成、MAPキナーゼの活性化、転写因子(NF−κB)の核への移行などを経て、酸化ストレスの亢進や炎症反応の惹起などといった細胞応答が引き起こされる(例えば、金医大誌(J Kanazawa Med Univ)37:141−161,201を参照)。
また、最終糖化産物受容体タンパク質は血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、神経細胞、マクロファージ、脂肪細胞などの広範囲な組織で発現が確認されているが、これらの細胞における発現レベルは、肺細胞を除いて、非常に低い。しかし、生体における病態が悪化するにつれて、各細胞での発現レベルが亢進することが知られている。
例えば、関節リウマチでは、炎症性サイトカイン及び最終糖化産物受容体のリガンドが豊富に存在する滑膜及び関節腔内において、血管内皮細胞及び滑膜表層マクロファージ上の最終糖化産物受容体の発現の亢進が認められている。最終糖化産物−最終糖化産物受容体系と炎症性サイトカイン間には正のフィードバック機構が存在し、最終糖化産物と最終糖化産物受容体とが結合することにより、関節リウマチの炎症過程が促進されると推察される(例えば、岡山医学会雑誌 第119巻,January 2008,pp.223−227を参照)。
別の例として、慢性的な高血糖状態では、循環血液中や組織において終末糖化産物が促進的に形成及び蓄積されることが知られている。そして、最終糖化産物が最終糖化産物受容体によって認識されると、酸化ストレスや炎症反応が惹起させ、初期糖尿病網膜症などの糖尿病性血管障害の発症及び進展に関わるといわれている。また、網膜において最終糖化産物受容体は、網膜色素上皮などの様々な部位で発現されていることが明らかになっている。さらに網膜色素上皮細胞に最終糖化産物を作用させると、最終糖化産物受容体の発現が増大する。加齢黄斑変性症の病態において、炎症性変化や血管新生が重要な役割を果たしていることが知られているが、これらの原因は、最終糖化産物受容体を発現している網膜色素上皮細胞が、最終糖化産物を豊富に含んだドルーゼンと持続的に接するために引き起こされている可能性がある(例えば、Anti−Aging Medicine 7(10):112−119,2010を参照)。
さらに別の例として、慢性炎症疾患、腎不全、虚血性心疾患又は脳卒中の罹患歴のない男女250名を対象とし、血清中の最終糖化産物受容体量やアディポネクチン量と、血圧やウエスト周囲径、メタボリックコンポーネントの当該状況とを比較検討した血清最終糖化産物受容体値は、アディポネクチンHMWR(高分子量アディポネクチン/総アディポネクチン)と同様にメタボリックコンポーネント(BMI、ウエスト周囲径、血圧、尿酸、中性脂肪)との相関が認められている(例えば、東京女子医科大学雑誌,84:E135−E140,2014を参照)。
上記のとおり、最終糖化産物と最終糖化産物受容体とが結合することにより、酸化ストレスの亢進や炎症反応の惹起といった生体にとって悪影響をもたらす細胞応答が生じ得る。
そこで、本発明の抗老化剤は、最終糖化産物と最終糖化産物受容体との結合を阻害する作用を示すことによって、酸化ストレスの亢進や炎症反応の惹起などの細胞応答によって誘発や亢進などがされる疾患や病態、例えば、しみ、しわやくすみなどの皮膚疾患、心筋梗塞、脳梗塞、骨粗鬆症、アルツハイマー病、関節リウマチ、糖尿病性血管障害、白内障などの老化症状を緩和、改善、抑制、予防及び治療することが期待できるものである。また、本発明の抗老化剤は、すでに生じている老化症状を改善することだけではなく、最終糖化産物受容体が発現する可能性のある部位に対して作用することによって老化症状を未然に防ぐ蓋然性がある。
さらに、本発明の抗老化剤は有効成分を含有することにより、最終糖化産物受容体活の性化を阻害する作用や最終糖化産物受容体の発現を抑制する作用を示し得ることから、本発明の抗老化剤の別の態様として、松樹皮、こごみ、ターミナリア、こはぜ、葛の花、桑の葉、甘藷、よもぎ、黒生姜、長命草及び大麦若葉からなる群から選ばれる少なくとも1種の有効成分を含有する、最終糖化産物受容体活性化阻害作用による抗老化剤や最終糖化産物受容体発現抑制作用による抗老化剤という態様をとり得る。本明細書では、最終糖化産物と最終糖化産物受容体との結合の阻害作用、最終糖化産物受容体活性化阻害作用及び最終糖化産物受容体発現抑制作用を総称して特定作用とよぶ場合がある。
本発明の抗老化剤における有効成分の含有量は、少なくとも特定作用を奏し得る有効量であれば、有効成分のみからなるものであってもよい。
有効成分の含有量は、1日あたりの使用量として下限値を有効成分の乾燥質量で、例えば、100mg/kg以上、好ましくは300mg/kg以上、より好ましくは500mg/kg以上となるように設定することができる。また、1日あたりの使用量として上限値を有効成分の乾燥質量で、例えば、2,000mg/kg以下、好ましくは1,500mg/kg以下、より好ましくは1,000mg/kg以下となるように設定することができる。
具体的には、有効成分の含有量は、1日あたりの使用量として有効成分の乾燥質量で、100〜5,000mgであり、好ましくは500〜2,000mgである。ただし、本発明の抗老化剤が特定作用を有する他の物質を含有する場合は、それに合わせて有効成分の含有量を減らすなど適宜調整できる。
本発明の抗老化剤は、有効成分に加えて、適宜選択したその他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、例えば、種々の賦形剤、結合剤、滑沢剤、安定剤、希釈剤、増量剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、添加剤、化粧品原料、医薬品原料などを挙げることができる。その他の成分の含有量は、本発明の抗老化剤の利用形態などに応じて適宜選択することができる。
本発明の抗老化剤は、老化症状を緩和、改善、抑制、予防及び治療することを目的とした種々の形態で利用することができ、例えば、経口用又は非経口用の形態とすることができる。本発明の抗老化剤は、その形態に応じて、そのまま経口的又は非経口的に使用してもよいし、有効成分を溶解するための溶媒などに溶解して経口的又は非経口的に使用してもよい。
本発明の抗老化剤の形態は特に限定されず、任意の形態とすることができる。経口用の抗老化剤の形態としては、例えば、経口的な使用に適した形態、具体的には、顆粒状、粉末状、タブレット状、チュアブル状、カプセル状、液状、シロップ状などが挙げられる。
非経口用の抗老化剤の形態としては、例えば、非経口的な使用に適した形態、具体的には、ローション状、クリーム状、リキッド状、ファンデーション状、ミスト状、エマルション状、スプレー状、ムース状、ジェル状などが挙げられる。
本発明の抗老化剤の包装形態は特に限定されず、剤形などに応じて適宜選択できるが、例えば、PTPなどのブリスターパック;ストリップ包装;ヒートシール;アルミパウチ;プラスチックや合成樹脂などを用いるフィルム包装;バイアルなどのガラス容器;アンプルなどのプラスチック容器などが挙げられる。
本発明の抗老化剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、期待される作用効果が奏される限り特に限定はなく、ヒト以外の動物に対して適用することができる。本発明の抗老化剤の使用者は特に限定されず、例えば、健常者であってもよいが、老化症状を緩和、改善、抑制、予防及び治療することが期待される者であることが好ましく、老化症状を有する者、最終糖化産物含有物を摂取する者、最終糖化産物受容体を高発現する者、酸化ストレスや炎症反応及びこれらによって病因とする疾患を有する者、40歳以上の中高年者がより好ましく、最終糖化産物含有物を摂取する者及び中高年者がさらに好ましい。
老化症状を有する者や中高年者は、現に老化症状を有する者に加えて、過去に老化症状を有した者、遺伝や職業などで老化症状を有するおそれがある者が包含される。本発明の抗老化剤の使用頻度は特に限定されず、例えば、1週間に1度以上であり、好ましくは1週間に2度以上である。
本発明の抗老化剤における有効成分の配合量は、その投与形態や剤形などによって適宜設定することができ、特に限定されない。例えば、有効成分の配合量は、全体を100質量部として、有効成分の下限値は乾燥質量で、0.001質量部以上、0.01質量部以上、好ましくは0.1質量部以上と設定することができ、有効成分の上限値は乾燥質量で、例えば、100質量部以下、好ましくは50質量部以下、より好ましくは10質量部以下と設定することができる。
本発明の抗老化剤は、有効成分に加えて、抗老化効果が得られる第2の生理活性成分を含有することができる。このような第2の生理活性成分としては、通常知られている抗老化効果を有する生理活性成分であれば特に限定されない。有効成分と第2の生理活性成分とを含有することにより、本発明の抗老化剤は、相乗的な抗老化効果を示す組成物であり得る。第2の生理活性成分は、1種又は2種以上の成分であり得る。第2の生理活性成分の配合量は、本発明の課題の解決を妨げない限り特に限定されず、適宜調整される。
本発明の抗老化剤の製造方法は特に限定されず、使用態様に応じて当業者に知られる一般的な製造方法に準じて製造される。例えば、顆粒状や固形状のものについては、有効成分をそのまま又は上記のその他の成分や第2の生理活性成分と同時又は数段階に分けて混和したものを、流動層造粒法、攪拌造粒法、押出造粒法などの造粒方法に従って造粒して顆粒状とし、さらに打錠機などを用いる常法に従って圧縮成形することによって錠状に成形できる。
本発明の別の態様は、松樹皮、こごみ、ターミナリア、こはぜ、葛の花、桑の葉、甘藷、よもぎ、黒生姜、長命草及び大麦若葉からなる群から選ばれる少なくとも1種の有効成分又は該有効成分を含有する組成物を使用させることを含む、最終糖化産物と最終糖化産物受容体との結合を阻害する方法である。ただし、本発明の方法は、ヒトに対する医療行為を除外するものである。
本発明のターミナリアと、大麦若葉又は長命草とを含有する組成物における配合量は、その投与形態や剤形などによって適宜設定することができ、特に限定されない。例えば、大麦若葉の配合量は、ターミナリアを100質量部として、50質量部〜2000質量部、好ましくは150質量部〜1000質量部、さらに好ましくは300質量部〜700質量部と設定することができる。また、長命草の配合量は、ターミナリアを100質量部として、1質量部〜200質量部、好ましくは5質量部〜100質量部、さらに好ましくは10質量部〜50質量部と設定することができる。
また、ターミナリアと大麦若葉と長命草とを含有する組成物における配合量は、その投与形態や剤形などによって適宜設定することができ、特に限定されない。例えば、大麦若葉と長命草の配合量の合計は、ターミナリアを100質量部として、50質量部〜2000質量部、好ましくは150質量部〜1000質量部、さらに好ましくは300質量部〜800質量部と設定することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様をとることができる。
[試験例1]
(AGE−RAGE結合阻害試験)
(1)被験試料
被験物質としてフランス海岸松樹皮抽出物であるフラバンジェノール(登録商標)(東洋新薬社)、こごみ(市販品)、ターミナリア・ベリリカ(市販品)、こはぜ(市販品)、葛の花(東洋新薬社;葛の花エキス末)、桑の葉(東洋新薬社;桑若葉末)、甘藷(「甘藷若葉末」;東洋新薬社)、よもぎ(「ヨモギ末」;東洋新薬社)、黒生姜(東洋新薬社;60%エタノール抽出エキス)、長命草(「長命草末」;東洋新薬社)及び大麦若葉(「大麦若葉末」;東洋新薬社)を用いた。
エッペンドルフチューブ内で各被験物質を100mg/mLとなるように蒸留水へ溶解し、ボルテックスを用いて1時間攪拌して懸濁液を得た。得られた懸濁液を15,000rpm、3分間遠心分離を行い、残渣が入らないように慎重に上清のみを別のエッペンドルフチューブヘ移し、これを被験試料の原液とした。
フラバンジェノール、こごみ、ターミナリア、こはぜ、葛の花及び桑の葉については、終濃度が5、1、0.33及び0.11mg/mLである4系列を用意した。一方、甘藷、よもぎ、黒生姜、長命草、大麦若葉末については、終濃度が5、1及び0.33mg/mLである3系列を用意した。
それぞれの被験試料の原液を用いて、被験物質ごとに終濃度の20倍の濃度になるように蒸留水を用いて調製し被験試料とした。
(2)AGE−RAGE結合阻害評価
CircuLex AGE−RAGE in vitro Binding Assay Kit(サイクレックス社)を用いて、製造業者の指示に従って、被験試料のAGE−RAGE結合阻害活性を測定した。すなわち、該キット中のAGE2−BSA coated Microplate又はBSA coated Microplateの各ウェルへ、終濃度の20倍濃度に調製した被験試料を5μL、Reaction Bufferを85μL、His−Tagged sRAGE Solution(50ng/mL)を10μLについてそれぞれ分注した。
また、ポジティブコントロール(阻害剤コントロール;Inh.Cont.)として、上記キット中の20×Inhibitor Control Compoundを被験試料の代わりに添加した。また、標準試料(STD)として、3.125〜100ng/mLに調製したHis−Tagged sRAGEを100μLずつ分注した。
分注を終えたMicroplateを1時間室温にて静置した。次いで、各ウェル中の溶液を除去した後、各ウェルをWash Bufferを用いて4回洗浄した。次いで、各ウェルへHRP−conjugated Anti−His−tag monoclonal Antibodyを100μL添加し、1時間室温にて静置した。
次いで、各ウェルから溶液を除去した後、Wash Bufferを用いて4回洗浄した。次いで、各ウェルへSubstrate Reagent(TBM:基質液)を100μL添加し、15分間室温にて静置した。次いで、Stop Solution(1N HSO:停止液)を添加し、プレートリーダーにて各ウェルの吸光度を測定した(450nm)。
測定した吸光度について、次のとおりにデータ解析した。すなわち、対応するウェルの吸光度について、AGE2−BSA plateの値からBSA plateの値を引いた(1)。次いで、STDの各値から、image jを用いてシグモイド曲線型の検量線を作成した(2)次いで、各被験物質を添加した際のAGEと結合したRAGE量を(2)で作成した検量線より算出した(3)。次いで、添加したsRAGE量(50ng/mL)から上記(3)の値を引き、結合が阻害されたRAGE量を算出した(4)。次いで、以下の計算式により阻害率を算出した。
阻害率(%)=[(4)の値]/[添加したsRAGE量]×100
(3)評価結果
終濃度が5mg/mLである各被験試料の測定結果を図1に示す。図1が示すとおり、驚くべきことに、フラバンジェノール、こごみ、ターミナリア、こはぜ、葛の花、桑の葉、甘藷、よもぎ、黒生姜、長命草及び大麦若葉は、ポジティブコントロールよりも、AGE−RAGE結合阻害作用を有することが確認された。同様に、終濃度が1mg/mLである場合は、フラバンジェノール、こごみ、ターミナリア、こはぜ、葛の花、桑の葉、甘藷、よもぎ及び黒生姜が、ポジティブコントロールよりも、AGE−RAGE結合阻害作用を有することが確認された。また、終濃度が0.33mg/mLである場合は、フラバンジェノール、こごみ、ターミナリア、こはぜ、葛の花、桑の葉、甘藷及びよもぎが、ポジティブコントロールよりも、AGE−RAGE結合阻害作用を有することが確認された。
さらに、終濃度が0.11mg/mLである場合は、フラバンジェノール、こごみ、ターミナリア、こはぜ及び葛の花が、ポジティブコントロールよりも、AGE−RAGE結合阻害作用を有することが確認された。
[試験例2]
(ターミナリア含有粉末飲料の官能試験1)
(1)被験試料
被験物質としてターミナリア・ベリリカ(市販品)、大麦若葉(「大麦若葉末」;東洋新薬社)及び長命草(「長命草末」;東洋新薬社)を用いた。
下記表1に示す処方の粉末飲料を調製した。官能試験には、表1に示す比較例1〜3及び実施例1〜3の計6つのサンプルを用いた。
(2)ターミナリア含有粉末飲料の官能評価
上記6つのサンプルを、プラスチック製のコップに移し、それぞれに100mLの水を注いでよくかき混ぜた。それら6つの粉末飲料を男女計5名がそれぞれ摂取し、香り、まろやかさ、コク、渋みの好ましさ、苦みの好ましさ、味の濃さ、舌触り、のど越し、後味、及び総合評価の項目を評価した。評価方法は、全ての項目において比較例1のターミナリア単独の粉末飲料を基準の「3点」とし、各項目を1点から10点の10段階で相対的に評価した(点数が高いほど評価が高い)。
(3)評価結果
官能試験の結果を表2に示す。表内の数字は被験者5人の平均点数である。
表2の結果から、ターミナリアと大麦若葉を配合した実施例1、及びターミナリアと長命草を配合した実施例2は、いずれの項目においても、各素材を単独で用いた比較例1〜比較例3よりも評価が高いことが分かる。
また、ターミナリア、大麦若葉及び長命草を全て配合した実施例3は、いずれの項目においても、実施例1及び実施例2よりもさらに評価が高かった。
以上の結果から、ターミナリアと、大麦若葉又は長命草とを配合することで、香り、まろやかさ、コク、渋みの好ましさ、苦みの好ましさ、味の濃さ、舌触り、のど越し、及び後味が各素材を単独で用いた場合よりも改善され、より味の好ましい飲料を提供できることが明らかになった。また、ターミナリアと大麦若葉と長命草とを全て配合することで、さらに味の好ましい飲料を提供できることが明らかになった。
上記の結果から、発明者らはさらに研究を重ね、ターミナリアと大麦若葉と長命草とをどのような比率で配合すればより好ましい味の飲料となるかを確認するため、次の試験を行った。
[試験例3]
(ターミナリア含有粉末飲料の官能試験2)
(1)被験試料
被験物質としてターミナリア・ベリリカ(市販品)、大麦若葉(「大麦若葉末」;東洋新薬社)及び長命草(「長命草末」;東洋新薬社)を用いた。
下記表3に示す処方の粉末飲料を調製した。官能試験には、表3に示す比較例4及び実施例4〜7の計5つのサンプルを用いた。
(2)ターミナリア含有粉末飲料の官能評価
上記5つのサンプルを、プラスチック製のコップに3gずつ移し、それぞれに100mLの水を注いでよくかき混ぜた。それら5つの粉末飲料を男女計5名がそれぞれ摂取し、香り、まろやかさ、コク、渋みの好ましさ、苦みの好ましさ、味の濃さ、舌触り、のど越し、後味、及び総合評価の項目を評価した。評価方法は、全ての項目において比較例4の粉末飲料を基準の「3点」とし、各項目を1点から10点の10段階で相対的に評価した(点数が高いほど評価が高い)。
(3)評価結果
官能試験の結果を表4に示す。表内の数字は被験者5人の平均点数である。
表4の結果から、ターミナリア1.5gと、大麦若葉8.2gと、長命草0.3gとを配合した実施例5が、いずれの項目においても最も評価が高く、それよりもターミナリアの配合量を少なくする、又は多くするごとに評価が下がる傾向が見られた。
[試験例4]
(マウスの体重増加抑制試験)
(1)被験試料
被験物質としてターミナリア・ベリリカ(市販品)、大麦若葉(「大麦若葉末」;東洋新薬社)及びMF粉末飼料(市販品)を用いた。
下記表5に示す処方の試験飼料を調製した。体重増加抑制試験には、表5に示す比較例5〜7及び実施例8の計4つのサンプルを用いた。
(2)マウスの体重増加抑制評価
8〜15週齢の雄性KK−Ayマウスを2日以上の馴化期間又は休止期間の後、体重が均一となるように4群に分けた。その後、各試験群に表5に示す試験飼料を4日間自由に摂取させた。群分け時(試験0日目)及び試験4日目に電子天秤で各マウスの体重を測定し、体重増加量を測定した。
(3)評価結果
体重増加抑制試験の結果を表6に示す。表内の数字は、比較例5の飼料を摂取した群のマウスの平均体重増加量を1としたときの、各試験群のマウスの平均体重増加量を相対的に示している。
表6の結果から、MF粉末飼料のみを含む比較例5の飼料を摂取した群に対して、MF粉末飼料にターミナリアを単独で配合した比較例6、及びMF粉末飼料に大麦若葉を単独で配合した比較例7の飼料を摂取した群では、体重増加を抑制する効果は見られず、むしろ体重増加が促進される傾向が見られた。しかし驚くべきことに、MF粉末飼料にターミナリア及び大麦若葉を配合した実施例8の飼料を摂取した群では、体重の増加が抑制された。
以上の結果から、ターミナリアと大麦若葉は、組み合わせて摂取することにより、それぞれを単独で摂取した場合には有さない動物の体重増加抑制作用を有することが明らかになった。
本発明によれば、最終糖化産物と最終糖化産物受容体との結合を阻害する作用を有する天然物由来素材又は該天然物由来素材の加工物を含有する抗老化剤が得られ、しみ、しわやくすみなどの皮膚疾患、心筋梗塞、脳梗塞、骨粗鬆症、アルツハイマー病、関節リウマチ、糖尿病性血管障害、白内障などの老化症状の緩和、改善、抑制、予防及び治療を期待する者にとって有益な医薬品、化粧品、医薬部外品、一般飲食品、特定保健用飲食品、栄養機能飲食品、保健機能飲食品、特別用途飲食品、栄養補助飲食品、健康補助飲食品、サプリメント、美容飲食品その他の健康飲食品として利用できる。
さらに本発明によれば、ターミナリアの呈味を改善し、ターミナリアを含有する食品を多様な形態で提供することが可能である。また大麦若葉と組み合わせることで、肥満の緩和、改善、抑制、予防及び治療を期待する者にとって有益な健康飲食品を提供することが可能である。

Claims (2)

  1. ターミナリア・ベリリカと、大麦若葉又は長命草とを含有することを特徴とする経口用組成物。
  2. ターミナリア・ベリリカと大麦若葉と長命草とを含有することを特徴とする経口用組成物。
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