以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
(実施形態1)
図13は燃料電池を示す斜視図、図14は燃料電池の構成を示す分解斜視図、図15は燃料電池を構成する積層体の分解斜視図、図16は燃料電池の積層体を構成する燃料電池セルを示す断面図である。
図17(A)は同燃料電池を構成するセパレータアセンブリのセパレータ同士が当接する面から見た図、図17(B)はアノードセパレータの中でもMEAと接合する側から見た図、図17(C)はカソードセパレータの中でもMEAと接合する側から見た図である。図18はセパレータアセンブリの漏れを検査する工程を示すフローチャートである。
本実施形態に係る検査方法は、図15、16に示すように燃料電池100の中でもMEA11の両面に配置されるセパレータ13(第1部材に相当)と、セパレータ13に隣接するセパレータ14(第2部材に相当)と、が接合されたセパレータアセンブリ12(接合体に相当)に対して行なわれる。
セパレータアセンブリ12に対する検査は、概説すれば、セパレータアセンブリ12を流体が通過する貫通漏れ検査と、セパレータアセンブリ12の内部に形成された空間から流体が外部に漏れ出る内部漏れ検査と、に分類される。上記漏れ検査はリークテストとも呼ばれる。
漏れ検査について図18を参照して概説すれば、セパレータアセンブリ12に検査流体を供給し(ステップST9)、第1センサを用いてセパレータアセンブリ12から外部と隔離された検査空間に漏れ出る検査流体を検出し(ステップST10)、第1センサによって検査流体を検出しなかった場合に(ステップST10:NO)検出レンジの上限値が第1センサよりも低い第2センサを用いてセパレータアセンブリ12から検査空間に漏れ出る検査流体を検出する(ステップST11)。詳細は後述する。
(燃料電池)
まず、本実施形態に係る検査方法の対象となるセパレータアセンブリを有する燃料電池について説明する。燃料電池100は、図14〜図16に示すように、MEA11と、セパレータアセンブリ12とを交互に積層した積層体10を主要な構成要素としている。積層体10は、概念的にMEA11の両面にセパレータ13、14を配置した燃料電池セル10aを複数備える。セパレータアセンブリ12は、上記のように隣接する燃料電池セル10aにおけるセパレータ13とセパレータ14とが接合されて構成される。
MEA11は、図16に示すように、電解質膜11aの片側にアノード11b、もう片側にカソード11cが接合されている。セパレータアセンブリ12は、2枚のセパレータ13、14を有する。また、積層体10の積層方向における両端部には図14に示すように集電板16、17が設けられている。また、燃料電池100は、図13に示すように積層体10を包囲する筺体20を有している。
セパレータ13、14は、図15や図16に示し、積層された複数の燃料電池セル10aにおいて隣り合うMEA11を隔離しつつ、MEA11で発生した電力を通電させている。セパレータ13、14は、アノード側セパレータ13とカソード側セパレータ14とに分類される。アノード側セパレータ13は、MEA11のアノード11bに当接させている。アノード側セパレータ13は、導電性材料を有する金属からなり、アノード11bよりも大きい薄板状に形成している。
アノード側セパレータ13は、図16に示すように、燃料ガス(水素)と冷却水等の冷却流体とを隔てて流す流路を構成するように複数の凹凸を一定の間隔で形成した波形形状13gを中央に設けている。アノード側セパレータ13は、図16に示すように、凹凸形状のうち、アノード11bと接触して形成された閉空間を、アノード11bに対して水素を供給するアノードガス流路13hとして構成している。一方、アノード側セパレータ13は、断面が複数の凹凸形状からなる波形形状13gを設け、カソード側セパレータ14の波形形状14gとの間に形成された閉空間を、冷却水を供給する冷却流体流路13j(14j)として構成している。
アノード側セパレータ13は、図15に示すように、長方形状からなり、その長手方向の一端に、矩形状の貫通孔でカソードガス供給口13a、冷却流体供給口13b、およびアノードガス供給口13cを設けている。同様に、アノード側セパレータ13は、その長手方向の他端に、矩形状の貫通孔でアノードガス排出口13d、冷却流体排出口13e、およびカソードガス排出口13fを設けている。
カソード側セパレータ14は、図16に示すように、MEA11のカソード11cに当接している。カソード側セパレータ14は、導電性材料を有する金属からなり、カソード11cよりも大きい薄板状に形成している。
カソード側セパレータ14は、図16に示すように、酸化剤ガス(酸素を含有した空気または純酸素)と冷却水とを隔てて流す流路部を構成するように断面が複数の凹凸形状からなる波形形状14gを中央に設けている。カソード側セパレータ14は、図16に示すように、凹凸形状のうち、カソード11cと接触して形成された閉空間を、カソード11cに対して酸化剤ガスを供給するカソードガス流路14hとして構成している。一方、カソード側セパレータ14は、凹凸形状のうち、アノード側セパレータ13との間に形成された閉空間を、冷却水を供給する冷却流体流路14j(13j)として構成している。
カソード側セパレータ14は、図15に示すように、長方形状からなり、その長手方向の一端に、矩形状の貫通孔でカソードガス供給口14a、冷却流体供給口14b、およびアノードガス供給口14cを設けている。同様に、カソード側セパレータ14は、その長手方向の他端に、矩形状の貫通孔でアノードガス排出口14d、冷却流体排出口14e、およびカソードガス排出口14fを設けている。
セパレータ14はセパレータ13と接合され、カソードガス供給口13aはカソードガス供給口14aと連通し、冷却流体供給口13bは冷却流体供給口14bと連通し、アノードガス供給口13cはアノードガス供給口14cと連通する。また、アノードガス排出口13dはアノードガス排出口14dと連通し、冷却流体排出口13eは冷却流体排出口14eと連通し、カソードガス排出口13fはカソードガス排出口14fと連通する。
セパレータ13とセパレータ14とは、図17(A)に示すように、接触面の外周13m(14m)が溶接されている。カソードガス供給口13a、14a、アノードガス供給口13c、14c、アノードガス排出口13d、14d、カソードガス排出口13f、14fは、図17(A)に示すように、各々の外周において溶接して接合され、接合部13n(14n)が形成されている。
図17(A)に示すように、波形形状13gと波形形状14gとが接触する箇所13r(14r)は溶接されている。また、アノード側セパレータ13の中でもMEA11と接する側の面には、図17(B)に示すようにアノードガス供給口13c及びアノードガス排出口13dと、カソードガス供給口13a、冷却流体供給口13b、冷却流体排出口13e、およびカソードガス排出口13fと、を区画してアノードガスが流通する空間を形成するようにシール剤が部位13pに塗布されている。
同様に、カソード側セパレータ14の中でもMEA11と接する側の面には、図17(C)に示すようにカソードガス供給口14a及びカソードガス排出口14fと、冷却流体供給口13b、アノードガス供給口13c、アノードガス排出口13d、および冷却流体排出口13eと、を区画してカソードガスが流通する空間を形成するようにシール剤が部位14pに塗布されている。
MEA11は、図15に示し、供給された酸素と水素を化学反応させて電力を生成する。MEA11は、電解質膜11aの片側にアノード11bを接合し、もう一方の側にカソード11cを接合して形成している。電解質膜11aは、たとえば、固体の高分子材料からなり、薄板状に形成している。
固体高分子材料には、たとえば、水素イオンを伝導し、湿潤状態で良好な電気伝導性を有するフッ素系樹脂を用いている。アノード11bは、電極触媒層、撥水層、およびガス拡散層を積層して構成し、電解質膜11aよりも若干小さい薄板状に形成している。カソード11cは、電極触媒層、撥水層、およびガス拡散層を積層して構成し、アノード11bと同様の大きさで薄板状に形成している。
アノード11bおよびカソード11cの電極触媒層は、導電性の担体に触媒成分が担持された電極触媒と高分子電解質を含んでいる。アノード11bおよびカソード11cのガス拡散層は、たとえば、充分なガス拡散性および導電性を有する炭素繊維からなる糸で織成したカーボンクロス、カーボンペーパ、またはカーボンフェルトから形成している。
MEA11は、図15に示すようにフレーム部材15を外方に取り付けている。フレーム部材15は、積層した電解質膜11a、アノード11b、およびカソード11cの外周を一体に保持している。フレーム部材15は、たとえば、電気絶縁性を有する樹脂からなり、セパレータ13、14の外周部分の外形形状と同様の外形形状で構成している。
フレーム部材15は、その長手方向の一端に、矩形状の貫通孔でカソードガス供給口15a、冷却流体供給口15b、およびアノードガス供給口15cを設けている。同様に、フレーム部材15は、その長手方向の他端に、矩形状の貫通孔でアノードガス排出口15d、冷却流体排出口15e、およびカソードガス排出口15fを設けている。また、平面視した際のセパレータ13、14の波形形状13g、14gとMEA11の部分は発電が行われる発電領域に当る。
上記の燃料電池セル10aは、互いに密封した状態で複数積層する必要がある。このため、積層する燃料電池セル10aの中でもMEA11とセパレータ13との間及びMEA11とセパレータ14との間には上記したシール剤を塗布することによって封止している。シール剤は、たとえば、熱硬化性樹脂を用いる。熱硬化性樹脂は、たとえば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル等から選択する。
一対の集電板16、17は、図14、図15に示し、燃料電池セル10aで生成された電力を外部に取り出す。
一対の集電板16、17の集電部16h等は、たとえば、ガスを透過させない緻密質カーボンのような導電性部材からなり、アノード11bおよびカソード11cの外形よりも若干小さい薄板状に形成している。一対の集電部16h等は、複数積層した最外層の燃料電池セル10aに設けたMEA11のアノード11bまたはカソード11cに当接している。集電部16h等は、その一面から導電性を備えた円柱形状の突起部16g等を突出して設けている。
突起部16g等は、後述する筺体20の一対のエンドプレート25、26の貫通孔25g等を挿通して、外部に臨んでいる。また、集電板16の突起部16gに当る形状は集電板17についても同様に設けられている。集電板16は、セパレータ13、14と同様に矩形状の貫通孔でカソードガス供給口16a、冷却流体供給口16b、アノードガス供給口16c、アノードガス排出口16d、冷却流体排出口16e、カソードガス排出口16fを設けている。集電板17は、セパレータ13、14と同様に矩形状の貫通孔でカソードガス供給口17a、冷却流体供給口17b、アノードガス供給口17c、アノードガス排出口17d、冷却流体排出口17e、及びカソードガス排出口17fを設けている。
筺体20は、図13に示し、複数積層した燃料電池セル10aおよび一対の集電板16、17を互いに密着させた状態で保持している。
筺体20は、図14に示すように一対の締結板21、22、一対の補強板23、24、および一対のエンドプレート25、26、及びネジ27を有している。以下、筺体20に含まれた各部材について説明する。
エンドプレート25は、集電板16よりも燃料電池セル10aの積層方向における外方に配置され、エンドプレート26は集電板17よりも外方に配置される。一対のエンドプレート25、26の外形形状は、一部の形状を除いて、層厚を増したMEA11のフレーム部材15と同様である。一対のエンドプレート25、26は、たとえば、金属からなり、一対の集電板16、17と当接する部分に絶縁体を設けている。
一対のエンドプレート25、26は、図15に示すようにその長手方向の一端に、矩形状の貫通孔でカソードガス供給口25a、26a、冷却流体供給口25b、26b、およびアノードガス供給口25c、26cを設けている。同様に、その長手方向の他端には、矩形状の貫通孔でアノードガス排出口25d、26d、冷却流体排出口25e、26eおよびカソードガス排出口25f、26fを設けている。
カソードガス供給口13a〜17a、25a、26aは、セパレータ13、14、フレーム部材15、集電板16、17、及びエンドプレート25、26を積層した際に連通する。冷却流体供給口13b〜17b、25b、26b、アノードガス供給口13c〜17c、25c、26c、アノードガス排出口13d〜17d、25d、26d、冷却流体排出口13e〜17e、25e、26e、及びカソードガス排出口13f〜17f、25f、26fについても同様である。一対のエンドプレート25、26は、前述した一対の集電板16、17の突起部16g等を挿通させる貫通孔25g、26gを有している。
一対の締結板21、22は、たとえば、金属からなり、板状に形成している。一対の締結板21、22は、図14に示すように縁部を一部折り曲げて形成しており、当該部分は組み付けた際に一対のエンドプレート25、26の面と接触する。また、締結板21、22は、エンドプレート25、26と接触する面にネジ27を挿通させる穴を設けている。当該穴にネジ27を取り付けて締め付けることによって、エンドプレート25、26、集電板16、17、及び積層体10は燃料電池セル10aの積層方向に加圧される。
一対の補強板23、24は、たとえば、金属からなり、一対の締結板21、22よりも細長い板状に形成している。一対の補強板23、24は、図14に示すように長手方向における端部を一部折り曲げて形成しており、当該部分にはネジ27を挿通させる穴が設けられている。
補強板23,24に設けた穴にはネジ27を積層方向に通すように形成しており、ネジ27を取り付けて締結することによって、締結板21、22と同様にエンドプレート25、26、集電板16、17、及び積層体10が積層方向に加圧される。このように、一対の締結板21、22および一対の補強板23、24は、ネジ27を締結することによって、エンドプレート25、26、集電板16、17、及び積層体10を燃料電池セル10aの積層方向に加圧している。
(検査装置)
次に本実施形態に係る検査装置について説明する。図1(A)、図2(A)、図3(A)、図4(A)は本発明の一実施形態に係る検査装置の検査部を構成する貫通漏れ検査部を示す斜視図、正面図、平面図、側面図である。図1(B)、図2(B)、図3(B)、図4(B)は同検査部を構成する内部漏れ検査部を示す斜視図、正面図、平面図、側面図である。なお、図3(A)、3(B)では内部に配置したセパレータアセンブリ12を破線にて図示している。
本実施形態に係る検査装置は、図1(A)、1(B)等に示すように流体がセパレータアセンブリ12を通過して流通するか検査する貫通漏れ検査部200と、セパレータアセンブリ12の内部空間から流体が漏れ出るか検査する内部漏れ検査部300と、を有する。まず、貫通漏れ検査部200について説明する。
(貫通漏れ検査部)
貫通漏れ検査部200は、図17(A)に示すセパレータアセンブリ12の溶接された箇所13rまたは箇所14rを外部からの流体が通過(貫通)して反対側に漏れでないかを検知する。貫通漏れ検査部200は、図1(A)〜図4(A)に示すように検査流体を検査空間に供給する検査流体供給部210と、検査空間に検査流体が漏れ出ているか検出する検出部220と、検査空間内の流体の吸引を行なう吸引部230と、検査流体供給部210、検査空間などを接続する接続部240と、検査空間を形成する空間形成部260と、検査空間内の圧力を測定する測定部290と、を有する。
検査流体供給部210は、図2(A)などに示し、本実施形態においてボンベにヘリウムを充填して構成している。しかし、検査流体を供給することができれば、流体を充填する構成はボンベ以外でもよい。また、検査流体もヘリウムに限定されない。
図5(A)は貫通漏れ検査部の上型にシール部材を取り付けた状態を示す斜視図、図5(B)、5(C)は上型にシール部材を取り付けていない状態を示す斜視図、底面図である。図6(A)は貫通漏れ検査部の下型にシール部材を取り付けた状態を示す斜視図、図6(B)、6(C)は下型にシール部材を取り付けていない状態を示す斜視図、平面図である。
空間形成部260は、図5(A)〜5(C)、6(A)〜6(C)に示すように、空間形成部260において相対的に上部に位置し検査空間を形成する上型261と、上型261の下部に配置され上型261と同様に検査空間を形成する下型271と、検査空間において意図しない部位からの検査流体の流通を防止するシール部材280と、シール部材286と、を有する。
上型261は、図5(A)〜5(C)に示すように、検査流体を流通させる検査空間262と、配管241、245を取り付ける取り付け穴263、264と、検査空間262に流入した検査流体がセパレータアセンブリ12の内部空間に流入することを防止する閉塞部265〜268と、を有する。
上型261は、凹形状を有する。検査空間262は、図5(C)に示し、上型261にセパレータアセンブリ12が取り付けられることによって当該凹形状部分が外部と隔離されて形成される閉空間である。検査空間262には図4(A)などに示すように検査流体供給部210から配管241を通って検査流体が流入する。
取り付け穴263は、図5(C)に示し、検査流体を検査空間262に流通させるために検査流体供給部210に取り付けられた配管241と接続される。取り付け穴264は、図5(C)に示し、漏れ検査の前後で検査空間262内の流体を吸引するために吸引部230を構成する吸引ポンプ231に取り付けられた配管245と接続される。
図10(A)は図3(A)の10−10線に沿う断面図、図10(B)は図10(A)のB部分を示す拡大図である。閉塞部265〜268は、図5(C)に示すように、セパレータアセンブリ12のカソードガス供給口12a、アノードガス供給口12c、アノードガス排出口12d、カソードガス排出口12fと同様に矩形形状で構成している。閉塞部265〜268は、図10(B)に示すように、検査流体がセパレータアセンブリ12の内部に侵入しないように、外周にシール部材280を取り付ける段差形状を設けている。
しかし、カソードガス供給口12aとの接触部において検査流体がセパレータアセンブリ12の内部に侵入しないようにできれば、閉塞部265の形状は矩形に限定されず、また、段差形状以外の形状を設けてもよい。アノードガス供給口12c、アノードガス排出口12d、カソードガス排出口12fに対する閉塞部266〜268についても同様である。
また、本実施形態において貫通漏れ検査の際には内部漏れ検査を行なわないように構成している。そのため、図3(A)などに示すようにセパレータアセンブリ12の内部への流体の流通に関連する冷却流体供給口12bと、冷却流体排出口12eとは上型261および下型271の外部に位置するように構成している。
下型271は、図6(A)〜6(C)に示すように、検査空間272と、配管242、246を接続する取り付け穴273、274と、閉塞部275〜278と、を有する。検査空間272は、図6(C)に示し、セパレータアセンブリ12に貫通箇所が存在する場合に、セパレータアセンブリ12を通過して検査流体が流入する空間である。その他は上型261の検査空間262と同様であるため説明を省略する。
取り付け穴273は、図6(C)に示し、検出部220への流路を構成する配管242と接続される。取り付け穴274は、図6(C)に示し、吸引部230の吸引ポンプ232に接続された流路を構成する配管246と接続される。
閉塞部275〜278は、上型261の閉塞部265〜268と同様であるため、説明を省略する。
図9(A)〜図9(C)は上型および下型に取り付けられるシール部材を示す斜視図、正面図、平面図である。シール部材280は、図9(A)〜図9(C)に示すように上型261および下型271の閉塞部265〜268、275〜278に取り付けられる凹部281と、凹部281の側部282と、凹部281に貫通して形成された開口部283と、セパレータアセンブリ12からの脱落を防止する脱落防止部284と、シール部材280を取り外す際の流体の流通部分にあたる通孔部285と、を有する。
凹部281は、シール部材280を上型261または下型271に取り付けられるように、上型261の閉塞部265〜268または下型271の閉塞部275〜278と嵌合する。側部282は凹部281の外側に形成された側面であり、セパレータアセンブリ12のカソードガス供給口12a、アノードガス供給口12c、アノードガス排出口12d、またはカソードガス排出口12fと当接してシール部位を形成する。
開口部283は、後述する内部漏れ検査の際にセパレータアセンブリ12の内部空間である冷却流体流路13j、14jに流体を流通できるように設けられている。脱落防止部284は、セパレータアセンブリ12からシール部材280が脱落しないように取り付け方向と交差する方向に突出して形成される縁部分である。通孔部285は、漏れ検査が終了した際に空気などを吹き付けることによって、シール部材280をセパレータアセンブリ12から引き離して取り外すことができるように構成している。通孔部285は、脱落防止部284に貫通穴として形成されている。
また、シール部材280は、凹部281、開口部283、および通孔部285を設けることによって、シール部材280の剛性を下げている。これにより、シール部材280とセパレータアセンブリ12とが組みつけられた際にセパレータアセンブリ12に負荷がかかりすぎることを防止している。なお、図9(A)〜9(C)に示すシール部材280は一例であって、閉塞部265〜268、275〜278をシールすることができれば、図9(A)〜9(C)に示す以外のシール部材であってもよい。
シール部材286は、シール部材280と同様にゴム等の弾性を有する部材によって構成されたOリングのような部材である。シール部材286は図5(A)、6(A)などに示すように上型261および下型271の外周に取り付けられて検査空間262、272を外部と隔離する。
図11は図3(A)の11−11線に沿う断面図である。接続部240は、図4(A)などに示すように貫通漏れ検査部200における各構成要素間で検査流体を流通できるように構成要素同士を接続する流路を構成する。接続部240は、配管241〜246と、バルブ247と、を有する。
配管241は、図11に示すように検査流体供給部210および上型261と接続され、検査流体供給部210から上型261の検査空間262までの流路を構成する。配管242は、下型271から検出部220までの途中に配置されたバルブ247と下型271と接続され、検査空間272からバルブ247までの流路を構成する。
配管243は、図11に示すようにバルブ247と検出部220を構成する第1センサ221と接続され、バルブ247から第1センサ221までの流路を構成する。配管244は、バルブ247と検出部220を構成する第2センサ222と接続され、バルブ247から第2センサ222までの流路を構成する。
配管245は、図2(A)などに示し、上型261と吸引部230を構成する吸引ポンプ231と接続され、上型261の検査空間262から吸引ポンプ231までの流路を構成する。配管246は、下型271と吸引部230を構成する吸引ポンプ232と接続され、下型271の検査空間272から吸引ポンプ232までの流路を構成する。
バルブ247は、図4(A)などに示し、配管242、配管243、および配管244と接続され、配管242から流通する検査流体を配管243または配管244のいずれかに切り替えて流通させる。
検出部220は、図4(A)などに示すように、配管242から流通する検査流体を最初に検出する第1センサ221と、第1センサ221によって検査流体を検知できなかった場合に検査流体の検出を行なう第2センサ222と、を有する。
第1センサ221は、検査流体を比較的高い検出レンジにおいて検出できるように構成しており、本実施形態では超音波を用いて検査流体のガス濃度の検出を行なう。超音波によるガスの検出は、特定の流体がセンサの内部の検出空間に侵入すると、検出空間の内部の空間の音速が変化することによって検査流体を検出する。
第2センサ222は、第1センサ221よりも低い検出レンジにおいて検査流体を検出し、第1センサ221にて検査流体を検知できなかった場合に用いられる。第2センサ222は、一例として試料をイオン化する構成と、スリットと、コレクタと、を設ける。上記構成は例えば質量分析計などに設けられている。そして、試料からイオンが生成された場合に試料のイオンが描く軌道の偏向を利用してコレクタにて検査流体を収集し、検査流体の検出を行なうように構成している。第2センサ222はディテクタとも呼ばれる。
ここで「検出レンジ」とは、検査流体のガス濃度を検出するセンサの取り扱い説明書や仕様書などに記載されている当該センサによって検出可能な範囲を意味する。ガス濃度の単位は一例としてPa・m3/sで表される。センサの種類によっては検査流体が多量にセンサ内に入りすぎるとセンサの調整が必要になることがある。本実施形態において第2センサ222と第1センサ221の検出レンジの比較は、特に検出レンジの上限値において行なう。
吸引部230は、図2(A)などに示すように吸引ポンプ231と、吸引ポンプ232と、を有する。吸引ポンプ231は、上記のように上型261と接続された配管245と接続され、漏れ検査の前後に検査空間262に残る流体を吸引する際に用いられる。吸引ポンプ232は、上記のように下型271と接続された配管246と接続され、吸引ポンプ231と同様に漏れ検査の前後で検査空間272に残る流体を吸引する際に用いられる。
測定部290は、図2(A)などに示すように圧力計291と、圧力計292と、を有する。圧力計291は、上型261の検査空間262における圧力を測定する際に用いられる。圧力計292は、下型271の検査空間272における圧力を測定する際に用いられる。圧力計291、292は例えばダイヤフラムの圧力計などを使用することができるが、これに限定されない。
(内部漏れ検査部)
次に内部漏れ検査部について説明する。内部漏れ検査部300は、図1(B)〜図4(B)に示すように検査流体を検査空間に供給する検査流体供給部310と、検査空間から検査流体が漏れ出ているか検出する検出部320と、検査空間内に残る流体を吸引する吸引部330と、検査流体供給部310、検査空間などを接続する接続部340と、検査空間を形成する空間形成部360と、検査空間内の圧力を測定する測定部410と、を有する。
検査流体供給部310は、検査流体供給部210と同様の構成であり、内部漏れの検査において検査空間に検査流体を供給する。検査流体供給部310についても検査流体供給部210と同様にボンベにヘリウムなどのガスを充填して構成しているが、検査流体供給部210と同様にこれに限定されない。
図7(A)は内部漏れ検査部の上型にシール部材を取り付けた状態を示す斜視図、図7(B)、7(C)は上型にシール部材を取り付けていない状態を示す斜視図、底面図である。図8(A)は内部漏れ検査部の下型にシール部材を取り付けた状態を示す斜視図、図8(B)、8(C)は下型にシール部材を取り付けていない状態を示す斜視図、平面図である。図12(A)は図3(B)の12−12線に沿う断面図、図12(B)は図12(A)のB部分を示す拡大図である。
空間形成部360は、図7(A)〜7(C)、8(A)〜8(C)に示すように、空間形成部360において相対的に上部に位置し検査空間を形成する上型361と、上型361の下部に配置され上型361と共に検査空間を形成する下型381と、検査空間において意図しない部位からの検査流体の流通を防止するシール部材390、396と、を有する。
上型361は、図7(A)〜7(C)、図12(B)に示すように、漏れが生じた際に検査流体が流通する検査空間362と、配管341、342、348を取り付ける取り付け穴363〜365と、取り付け穴363と連通する流通部366と、取り付け穴364と連通する流通部367と、セパレータアセンブリ12の漏れ以外の箇所から検査流体が漏れることを防止する閉塞部368、369、371、372と、を有する。
上型361は上型261と同様に凹部を有し、検査空間362は当該凹部にセパレータアセンブリ12を取り付けることによって形成される。ただし、セパレータアセンブリ12は上型361の凹部を完全に覆うのではなく、凹部の外周に隙間を残すことによって後述する下型381の検査空間382と連通する。
取り付け穴363は、図7(C)に示し、検査流体を検査空間362に流入させるために配管341と接続される。流通部366は、図12(B)に示し、取り付け穴363と連通するとともに、取り付け穴363からの検査流体がセパレータアセンブリ12の冷却流体供給口12bと接続される。そのため、流通部366は、冷却流体供給口12bの形状に合わせて外形が矩形の空洞形状で構成している。
流通部367は、セパレータアセンブリ12の冷却流体排出口12eと接続され、取り付け穴364と連通する。そのため、流通部367は、流通部366と同様に冷却流体排出口12eの形状と合わせて外形が矩形の空洞形状で構成している。
取り付け穴364は、図7(C)に示し、流通部367と連通し、セパレータアセンブリ12の内部にあたる冷却流体流路13j、14jの流体を吸引するために配管348と接続される。取り付け穴365は、検査空間362から流通する検査流体を検出部320に流出させるために配管342と接続される。閉塞部368、369、371、372は、貫通漏れ検査部200の閉塞部265〜268と同様であるため、説明を省略する。
下型381は、図8(A)〜8(C)に示すように、検査空間382と、配管345と接続される取り付け穴383と、閉塞部384〜389と、を有する。
下型381は上型361と同様に凹部を備え、検査空間382は、当該凹部がセパレータアセンブリ12によって覆われることで形成される。検査空間382は、検査空間362と同様にセパレータアセンブリ12によって下型の凹部が完全に覆われず、一部隙間が残ることによって、検査空間362と連通する。
取り付け穴383は、図8(C)に示し、セパレータアセンブリ12の冷却流体流路13j、14jから漏れ出た検査流体を検出部320まで流通させるために検出部320までの流路の一部を構成する配管345と接続される。閉塞部384〜389は、貫通漏れ検査部200の閉塞部275〜278と同様であるため説明を省略する。
シール部材390は、図7(A)、図8(A)などに示す貫通漏れ検査部200のシール部材280と同様であるため、説明を省略する。シール部材396は、図7(A)、図8(A)などに示し、貫通漏れ検査部200のシール部材286と同様であり、上型361と下型381の外周をシールするために取り付けられるOリングのような部材である。
接続部340は、図2(B)、図12(A)などに示すように、内部漏れ検査部300における各構成要素間で検査流体を流通できるように構成要素同士を接続する。接続部340は、配管341〜348と、バルブ351、352、と、を有する。
配管341は、図2(B)、図12(A)に示すように検査流体供給部310と上型361と接続され、検査流体供給部310から上型361の検査空間362までの流路を構成する。配管342は、上型361から検出部320までの途中に配置されたバルブ351と上型361と接続され、検査空間362、382からバルブ351までの流路を構成する。
配管343は、図2(B)に示すようにバルブ351と第1センサ321と接続され、バルブ351から第1センサ321までの流路を構成する。配管344は、バルブ351と第2センサ322と接続され、バルブ351から第2センサ322までの流路を構成する。配管345は、下型381から検出部320までの途中に設けられたバルブ352と下型381と接続され、検査空間362、382からバルブ352までの流路を構成する。
配管346は、バルブ352と第1センサ321と接続され、バルブ352から第1センサ321までの流路を構成する。配管347は、バルブ352と第2センサ322と接続され、バルブ352から第2センサ322までの流路を構成する。配管348は、上型361と吸引部330と接続され、検査空間362、382から吸引部330までの流路を構成する。
バルブ351は、配管342、配管343、および配管344と接続され、配管342から流通する検査流体を配管343または配管344のいずれかの流路に切り替えて流通させる。バルブ352は、バルブ351と同様に、配管345、配管346、および配管347と接続され、配管345から流通する検査流体を配管346または配管347のいずれかの流路に切り替えて流通させる。
検出部320は、比較的高いガス濃度の検出レンジにて検査流体を検出する第1センサ321と、第1センサ321よりも低いガス濃度の検出レンジにて検査流体を検出する第2センサ322と、を有する。第1センサ321は貫通漏れ検査部200の第1センサ221と同様であり、第2センサ322は貫通漏れ検査部200の第2センサ222と同様であるため、説明を省略する。
内部漏れの検査において検査空間362と検査空間382とは連通しているため、吸引部は図2(B)などに示すように吸引部330の吸引ポンプの一機のみで構成している。測定部410は、貫通漏れ検査部200の圧力計291、292と同様に検査空間362、382における圧力を測定する際に用いられる。
(漏れの検査方法)
次に本実施形態に係る貫通漏れおよび内部漏れの検査工程について説明する。漏れの検査について図18を参照し貫通漏れ検査について概説すれば、上型361および下型381などをセットして閉じた検査空間262、272を形成し(ステップST2)、検査流体を供給する(ステップST9)。そして、第1センサ221を用いてセパレータアセンブリ12から検査空間272に漏れ出る検査流体を検出する(ステップST10)。第1センサ221によって検査流体が検出されなかった場合(ステップST10:NO)、第2センサ222を用いて検査空間272に漏れ出る検査流体を検出する(ステップST11)。内部漏れ検査についても同様の工程を実施する。以下、詳述する。
まず、下型271にシール部材280、286を取り付ける。そして、セパレータアセンブリ12のカソードガス供給口12a、アノードガス供給口12c、アノードガス排出口12d、カソードガス排出口12fを下型271の閉塞部275〜278に位置合わせしてセパレータアセンブリ12をセットする。その際、カソードガス供給口12a、アノードガス供給口12c、アノードガス排出口12d、カソードガス排出口12fにシール部材280の側部を嵌合させる。
次に、上型261にシール部材280とシール部材286を取り付けて、上型261を下型271の上方から配置する(ステップST1)。この状態で上型261、下型271、およびセパレータアセンブリ12によって検査空間262、272が形成される(ステップST2)。上型261と下型271との型締めは、例えば上型261および下型271の外方から万力などを配置して適当な圧力で締め付けることによって行なう。
次に吸引ポンプ231を作動させて検査空間262に存在する流体を除去する。同様に、吸引ポンプ232を作動させて検査空間272に存在する流体を除去する。検査空間262、272の圧力は完全に真空とならなくても例えば数百ppm程度になっていればよい(ステップST3)。検査空間262、272内の流体の吸引は所定時間行なう。
次に圧力計291、292を用いて検査空間262、272の圧力が所定時間内に所定の圧力まで減圧できているか確認する(ステップST4)。所定時間内に検査空間262または検査空間272のいずれかの圧力が設定値まで減圧できない場合(ステップST4:NO)、上型261と下型271の組み付けを解体する(ステップST5)。そして、セパレータアセンブリ12または貫通漏れ検査部200を構成する工具を確認して圧力が下がらない原因を見つける。ここで貫通漏れ検査部200を構成する工具とは、貫通漏れ検査部200の中でも特に検査空間262、272の減圧に関する構成要素であって、上型261、下型271、配管245、246、吸引部230などに当たる。
上記原因がセパレータアセンブリ12ではなく上型261などの工具にある場合(ステップST6:NO)、貫通漏れ検査部200に不備があるとして検査を終了する。上記原因がセパレータアセンブリ12にある場合(ステップST6:YES)、セパレータアセンブリ12を不良品と選別する(ステップST8)。
検査空間262、272の内部圧力が所定値以下になった場合(ステップST4:YES)、検査流体供給部210から検査流体を供給する(ステップST9)。次に第1センサ221によって検査流体の検出を行なう(ステップST10)。
第1センサ221によって検査流体の検出ができた場合(ステップST10:YES)、検査流体の供給を停止し、吸引部230を用いて検査空間262、272の内部を吸引して洗浄する(ステップST12)。そして、上型261および下型271の組み付けを解体して(ステップST13)、検査中のセパレータアセンブリ12を不良品と選別する(ステップST8)。
第1センサ221による検出がされなかった場合(ステップST10:NO)、バルブ247を用いて流路の切り替えを行い、検査流体を検出するセンサを第1センサ221から第2センサ222に切り替える。そして、第1センサ221よりもガス濃度の検出レンジが低い第2センサ222を用いて検査空間272に漏れ出た検査流体を検出する(ステップST11)。
第2センサ222によって検査流体を検出した場合(ステップST11:YES)、上記と同様に検査流体の供給を停止し、吸引部230によって検査空間262、272内部の検査流体を吸引して洗浄を行なう(ステップST12)。そして、上型261と下型271の組み付けを解体し(ステップST13)、検査中のセパレータアセンブリ12を不良品と選別する(ステップST8)。
第2センサ222によって検査流体の検出がされなかった場合(ステップST11:NO)、上記工程まででは貫通漏れの検査が終了し、内部漏れの検査は終了していない(ステップST14:NO)。そのため、貫通漏れ検査部200の上型261、下型271の組み付けを解体する(ステップST15)。
次に内部漏れ検査部300を用いる。まず、貫通漏れ検査部200と同様に下型381にシール部材390、396を組み付け、セパレータアセンブリ12を配置する。そして、上型361にシール部材390、396を組み付けて、上型361を下型381の上方から配置する(ステップST1)。そして、万力などで締め付けを行い、検査空間362、382を形成する(ステップST2)。
そして、吸引部330を用いて検査空間362、382に残る流体を吸引する(ステップST3)。貫通漏れ検査と同様に所定時間内に検査空間362、382が所定圧力まで減圧しない場合(ステップST4:NO)、上型361および下型381の組み付けを解体する(ステップST5)。
次にセパレータアセンブリ12および内部漏れ検査部300を構成する工具を確認して圧力が低下しない原因を見つける(ステップST6)。ここで内部漏れ検査部300を構成する工具とは、内部漏れ検査部300の中でも特に検査空間362、382の減圧に関する構成要素であって、上型361、下型381、配管348、吸引部330などに当たる。
上記原因が貫通漏れの場合と同様にセパレータアセンブリ12にある場合(ステップST6:YES)、検査中のセパレータアセンブリ12を不良品と選別する(ステップST8)。
上記原因が内部漏れ検査部300の工具にある場合(ステップST6:NO)、検査を終了する。
検査空間362、382の内部圧力を所定値まで減圧した場合(ステップST4:YES)、検査流体供給部310を用いてセパレータアセンブリ12の冷却流体流路13j、14jに検査流体を供給する(ステップST9)。そして、第1センサ321を用いて検査空間362、382に検査流体が漏れ出ているか確認する(ステップST10)。
第1センサ321によって検査流体を検出した場合(ステップST10:YES)、貫通漏れの場合と同様に検査流体の供給を停止し、吸引部330を用いて検査空間362、382の内部を吸引して洗浄する(ステップST12)。そして、上型361、下型381の組み付けを解体して(ステップST13)、検査中のセパレータアセンブリ12を不良品と選別する(ステップST8)。
第1センサ321によって検査流体を検出できなかった場合(ステップST10:NO)、バルブ351、352を用いて流路の切り替えを行い、検査流体を検出するセンサを第1センサ321から第2センサ322に切り替える。そして、貫通漏れの場合と同様に第2センサ322を用いて検査空間362、382に検査流体が漏れ出ているか検知する(ステップST11)。
第2センサ322によって検査流体を検出した場合(ステップST11:YES)、第1センサ321の場合と同様に検査流体の供給を停止し、吸引部330を用いて検査空間362、382内部の検査流体を吸引して洗浄を行なう(ステップST12)。そして、上型361、下型381の組み付けの解体を行い(ステップST13)、検査中のセパレータアセンブリ12を不良品と選別する(ステップST8)。
第2センサ322を用いても検査流体を検出できなかった場合(ステップST11:NO)、現時点では貫通漏れも内部漏れの検査も終了している(ステップST14:YES)。そこで、まず検査流体の供給を停止し、上型361と下型381の組み付けを解体する(ステップST16)。そして、検査中のセパレータアセンブリ12を良品と選別して次工程に進める(ステップST17)。
(作用効果)
次に本実施形態にかかる作用効果について説明する。本実施形態ではセパレータアセンブリ12について、上型261と下型271を用いて形成した検査空間262、272を形成し、上型361と下型381を用いて検査空間362、382を形成する。そして、検査空間262、272または検査空間362、382にセパレータアセンブリ12を配置して検査流体を供給する。そして、第1センサ221、321を用いてセパレータアセンブリ12から漏れ出る検査流体を検出する。第1センサ221、321によって検査流体の検出ができなかった場合、第1センサ221、321よりもガス濃度の検出レンジの上限値が低い第2センサ222、322を用いてセパレータアセンブリ12から漏れ出る検査流体を検出するように構成している。
このように構成することによって、リークする検査流体の濃度が高い場合には第1センサ221、321によって検出ができ、第2センサ222、322を用いる必要がないため、第2センサ222、322の再調整や交換を不要にできる。また、リークする検査流体の濃度が比較的低い場合には第2センサ222、322によって検出ができる。そのため、検出の精度を従来と変えることなく、検出の際に第2センサ222、322の再調整や交換を不要にできることによってリークテストにかかる時間を減らし、リークテストにかかる費用を削減することができる。
また、第1センサ221、321による検出と第2センサ222、322による検出とは、ヘリウムなどの同じ検査流体を用いて行うことができる。そのため、第1センサと第2センサに異なる検査流体を用いる場合と比較して第1センサによる検査流体の使用後に検査空間を洗浄する工程を不要にできる。また、2番目に使用する検査流体の充填などの工程についても不要にできる。
また、第1センサ221、321による検出を行なう前に、検査空間262、272、362、382に存在する流体を吸引し、検査空間262、272、362、382の圧力を監視する。そして、検査空間内部の圧力が所定値以下に減圧していない場合に検査空間262、272、362、382の減圧に関係する上型261、下型271などの工具またはセパレータアセンブリ12の状況を確認するように構成している。
そのため、上型261、361および下型271、381の組み付けミスなどの不備をセンサの使用前に見つけ、検査の精度を向上させることができる。また、セパレータアセンブリ12において目視などで発見できるような欠陥はセンサの使用前に発見することによって第2センサ222、322等を使用せずにリークテストを実施することができる。
また、上型261および下型271等の工具並びにセパレータアセンブリ12の確認は、検査空間262、272、または検査空間362、382を所定時間内に設定値まで減圧できなかった場合に行われる。そのため、減圧の時間を設定しない場合と比べてリークテストの検査時間を短縮することができる。
また、本実施形態にかかる検査流体は一例としてヘリウムを採用することができる。
上記漏れ検査は、検査空間が検査流体の流入する検査空間262と検査流体の流出する検査空間272とに分割されている場合における検査空間262からセパレータアセンブリ12を通過して検査空間272に流通する検査流体の検出に利用できる。また、上記とは別にセパレータアセンブリ12の冷却流体流路13j、14jから検査空間362、382に漏れ出る検査流体を検出する際に利用することができる。前者は貫通漏れ検査、後者は内部漏れ検査に当たる。
また、第1センサ221、321は、上記のように超音波を照射した際の空間内の音速の変化を検知して検査流体を検出する超音波ガス濃度計を挙げることができる。また、第2センサ222、322は、流体をイオンにして磁場を通過させた際の軌道の偏向を利用して検査流体の検出を行うディテクタを挙げることができる。
また、本実施形態にかかる漏れ検査は燃料電池100を構成し、セパレータアセンブリ12を構成する金属製のセパレータ13、14に対して実施することができる。
なお、本発明は上述した実施形態にのみ限定されず、特許請求の範囲において種々の変更が可能である。上記では第1センサ221、321が超音波ガス濃度計を用いる実施形態について説明したが、これに限定されない。第1センサは第2センサよりもガス濃度の検出レンジが第2センサより相対的に高いものを使用すれば超音波ガス濃度計以外のものであってもよい。また、上記では検査流体としてヘリウムを用いる実施形態について説明したが、これに限定されず、水素を使用してもよい。